JP7354862B2 - 保湿ティシュペーパー及び保湿ティシュペーパー製品並びに保湿ティシュペーパーの製造方法 - Google Patents
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例えば特許文献1には、2プライのシートからなり、ローション薬液を塗布されてなるローションティシュペーパーにおいて、坪量,紙厚を数値的に規定すると共に、ティシュソフトネス測定装置TSAで測定して得られる滑らかさTS750,柔らかさTS7,しっかり感Dを数値的に規定することにより、滑らかさ、しっとり感、柔らかさ、ボリューム感、しっかり感、加工適性の何れも良好にしようとする発明が記載されている。
本件にかかる保湿ティシュペーパー製品は、上記保湿ティシュペーパーの2プライを、それぞれの前記裏面同士を接合させそれぞれの前記表面を外側に向けて重合されて構成された2プライの保湿ティシュペーパーがカートン内に複数組収容されたことを特徴としている。
本実施形態に係る保湿ティシュペーパーの製造方法は、図1に示すように、抄紙工程S10、塗工工程S20、エージング工程S30、及びカートン充填工程(製品化工程)S40の4つの工程を含む。
抄紙工程S10では、抄紙原料としてのパルプスラリーを抄紙して原反ロールを製造する。
塗工工程S20では、原反ロールから巻き出された原紙の面に保湿剤を塗布する。
エージング工程S30では、保湿剤を塗布された原紙が巻き取られた原反ロール(保湿原紙)を所定の保管環境で所定時間だけ保管して、紙に保湿剤を馴染ませる。
カートン充填工程(製品化工程)S40では、エージング後の原反ロールから巻き出された保湿原紙を裁断して折り畳んでカートンに充填して、製品とする。
以下、さらに詳細に説明する。
抄紙原料としてのパルプスラリーに含まれるパルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)のような化学パルプが挙げられる。また、木材パルプとしては、例えば、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)のような半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)のような機械パルプが挙げられる。非木材パルプとしては、例えば、コットンリンターやコットンリントのような綿系パルプ、麻、麦わら、バガスのような非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられる。脱墨パルプとしては、例えば、古紙を原料とし、脱墨することで得られるパルプが挙げられる。なお、パルプ成分には、上記のパルプのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。パルプ成分としては、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。中でも、パルプ成分としては、針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)とを併用することがより好ましい。
なお、抄紙工程における乾燥工程では、ヤンキードライヤーを用いており、湿紙の一方の面をヤンキードライヤーのロールの周面に接触させて乾燥させる。
また、本実施形態では、保湿剤として、グリセリン85質量%と水15質量%とを含有するものを使用するが、保湿材はこれに限定されるものではない。
また、保湿剤を裏面に塗布する利点として、裏面の方が表面よりも塗布する上で良いため、塗布厚のばらつきが少ない点が挙げられる。
また、積層連続シートW2の両面(すなわち、2枚の連続シートW1の各外側面FF)ではなく、積層連続シートW2の片面(すなわち、2枚の連続シートW1のうちの一方の外側面FF)に塗布する利点として、片面からの場合、2プライ分の塗液を一度に塗布するため、塗布量を制御しやすい点が挙げられる。
なお、原紙への保湿剤の供給方法も、オフセットグラビア方式による塗布(塗工)に限定されるものではない。
さらに、ティシュペーパーは、3プライ以上でもよい。
また、2プライ以上のティシュペーパーの各原紙は同一構成とする。
エージングエリアの保管環境(即ち、保管温度及び保管湿度)の管理は、湿度調整機能を有するエアコンディショナーを用いて行う。また、原反ロールをフィルムに巻いて、保管することも好ましい。
ところで、本保湿ティシュペーパーでは、ティシュペーパーの特性を表すパラメータのうち、ハンドフィール値(HF値)、密度及び保湿剤の塗布量の各パラメータに着目し、これらのパラメータを、肌触りのうちの「しっとり感」の向上に寄与する値に設定している。これについて説明する。
通常、保湿剤を塗布する前の原紙では、表面のハンドフィール値HFb1と、裏面のハンドフィール値HFb2との差ΔHFb12(=HFb1-HFb2)が3.0以上となる。
さらに、原紙に保湿剤を塗布することにより、ハンドフィール値が高くなる。
ハンドフィール値(HF値)は、ティシューソフトネスアナライザー(Emtec Electronic GmbH社製)を用いて、以下の測定方法によって測定することができる。
また、直径112.8(mm)の円形にカットした別のサンプルに対し、ブレード付きローターを100(mN)と、600(mN)の圧力で押し込んだ際の上下方向の変形変位量を算出する。HF値は、振動周波数と変形変位量から算出される値であり、計算のアルゴリズムはFacialIIを用いることができる。
なお、上記サンプルの測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行う。また、測定の際には、付属の説明書に従い標準サンプル(emetec ref.2X(nn.n))で校正し、アルゴリズムをFacialIIに設定する。計算ソフトウェアとしてはemetec measurement system ver.3.22を使用する。
坪量は、JIS P8124の規定に従って測定することができる。
紙厚は、ISO187に準拠した環境で、厚さ計を用いて測定することができる。
また、塗布量は、塗布直後のロールから原紙を切り出して坪量を測定し、この測定した坪量から塗布前の原紙の坪量を差し引くことで塗布量を算出することができる。
ティシュペーパーの原紙の坪量を上記範囲内とすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができる。
本実施形態に係る保湿ティシュペーパー及びその製造方法は、上述のように構成されており、上記のように、2プライの保湿ティシュペーパーの表面のハンドフィールの値HFa1と保湿ティシュペーパーの裏面のハンドフィールの値HFa2との差ΔHFa12を3.0以上とすることによって、しっとり感を向上させることができると共に、滑らかな風合いや、ふっくらとした触感を発揮させることができるようになる。
なお、保湿ティシュペーパーのプライ数を3以上にした場合にも、そのうちの隣接する2プライの保湿ティシュペーパーについて(例えば、最も表側の保湿ティシュペーパーと、これに隣接する保湿ティシュペーパー)、その表面(最も表側の保湿ティシュペーパーの表面)のハンドフィールの値HFa1と裏面(隣接する保湿ティシュペーパーの裏面)のハンドフィールの値HFa2との差ΔHFa12を3.0以上とすることが好ましく。これによって、しっとり感を向上させることができると共に、滑らかな風合いや、ふっくらとした触感を発揮させることができるようになる。
まず、パルプ成分(100量%)のうち、広葉樹クラフトパルプ(以下「LBKP」)が70質量% 、針葉樹クラフトパルプ(以下「NBKP」)が30質量%となるようにパルプスラリーを調製した。さらに、パルプスラリーには、柔軟剤を0.1~1.0質量%(対パルプ成分質量比)及び湿潤紙力剤を0.1~1.0質量%(対パルプ成分質量比)となるように添加した。このように調製したパルプスラリーを、ツインワイヤーヤンキーマシンを用いて抄造しティシュペーパーの原紙ウェブを得た。
得られた原紙ウェブ2本をプライマシンにかけ、巻き解きながら2プライへの重ね合せを行って、重ね合せ後、保湿剤を塗布して再度巻取り、2プライのティシュペーパーの原反ロールを得た。
(ハンドフィール値(HF値))
ハンドフィール値(HF値)は、前述のティシューソフトネスアナライザー(Emtec Electronic GmbH社製)を用いて、前述の測定方法によって測定した。
坪量の測定値は、1プライのティシュペーパーの測定値を示している。坪量は、JIS P8124の規定に従って測定した。
厚さの測定値は、2プライのティシュペーパーの測定値を示している。厚さは、ISO187に準拠した環境で、厚さ計(Universal Micrometer(Xill社)(ISO12625-3に準拠))を用いて、測定子を1秒間に2mmの速度で下ろした時の値を読み取った。なお、測定は2プライのティシュペーパー10組を1組ずつ測定し、取得した10組の厚さを平均したものを紙厚とした。
密度は、坪量を紙厚で割って求めた。ただし、演算に用いる坪量及び紙厚には、同一プライ数のものを用いる。
引張強度の測定値は、2プライのティシュペーパーの測定値であり、乾燥引張強度を示している。引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。縦方向の引張強度と、横方向の引張強度を各10サンプルずつ測定し、その平均値を算出して引張強度とした。
「しっとり感」の評価は10人の評価者によって5段階評価で行った。「しっとり感」はティシュペーパーを肌に当てて、評価した。
評価結果は、下記の1~5の5段階で表記した。
< しっとり感>
5:きわめて優れている
4:より優れている
3:優れている
2:やや優れている
1:やや劣る
実施例1~5及び比較例の保湿ティシュペーパーは何れも、1プライの表面のハンドフィールの値HFa1と保湿ティシュペーパーの裏面のハンドフィールの値HFa2との差ΔHFa12が17.0以下である。
また、実施例1~4の保湿ティシュペーパーは何れも、表面のハンドフィールの値HFa1は77よりも大きい値である80以上である。
また、実施例1~5の保湿ティシュペーパーは何れも、密度が0.26(g/m3)よりも小さい値である0.24(g/m3)以下であり、比較例の保湿ティシュペーパーの密度は0.26(g/m3)よりも大きい。
したがって、差ΔHFa12の値、表面のハンドフィールの値HFa1の値、及び密度の各パラメータ値に対応した「しっとり感」の向上を確認することができた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態等に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
上記実施形態では、原紙の裏面に保湿剤を塗布しているが、これに限定されず、原紙の表面に保湿剤を塗布してもよく、原紙の両面に保湿剤を塗布してもよい。
上記実施形態では、ロールを非透水性部材で覆ってエージングをしており、これにより、エージング時間の短縮が促進されると共に保湿剤の揮発が抑制されるが、ロールを非透水性部材で覆うことなくエージングをしてもよい。
S20 塗工工程
S30 エージング工程
S40 カートン充填工程(製品化工程)
WR1a,WR1b 第1次原反ロール
WR2 第2次原反ロール
RU1a,RU1b 巻戻しリール
RW 巻取りリール
RP プライ部
Vua,Vub 加工速度
W1 連続シート
W2 積層連続シート
FF 積層連続シートの外側面
FB 積層連続シートの内側面
F1 第1層シート
F2 第2層シート
Claims (8)
- 原紙に保湿剤を塗布されて複数枚がプライされて使用される保湿ティシュペーパーであって、
隣接する2プライの前記保湿ティシュペーパーの表面のハンドフィールの値HFa1と前記保湿ティシュペーパーの裏面のハンドフィールの値HFa2との差ΔHFa12が3.0以上であって、
前記保湿剤の塗布量が3.2~5.0(g/m 2 )である
ことを特徴とする保湿ティシュペーパー。 - 原紙に保湿剤を塗布されて複数枚がプライされて使用される保湿ティシュペーパーであって、
隣接する2プライの前記保湿ティシュペーパーの表面のハンドフィールの値HFa1と前記保湿ティシュペーパーの裏面のハンドフィールの値HFa2との差ΔHFa12が3.0以上であって、
密度が0.26(g/m 3 )以下である
ことを特徴とする保湿ティシュペーパー。 - 密度が0.26(g/m3)以下である
ことを特徴とする請求項1に記載された保湿ティシュペーパー。 - 前記表面のハンドフィールの値HFa1が77以上である
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された保湿ティシュペーパー。 - 前記差ΔHFa12が17.0以下である
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載された保湿ティシュペーパー。 - 前記保湿剤を塗布される前の前記原紙の表面のハンドフィールの値HFb1と前記保湿ティシュペーパーの裏面のハンドフィールの値HFb2との差ΔHFb12が3.0以上である
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載された保湿ティシュペーパー。 - 請求項1~6の何れか一項に記載の保湿ティシュペーパーの2プライを、それぞれの前記裏面同士を接合させそれぞれの前記表面を外側に向けて重合されて構成された2プライの保湿ティシュペーパーがカートン内に複数組収容された
ことを特徴とする保湿ティシュペーパー製品。 - 原紙に保湿剤が添加された保湿ティシュペーパーの製造方法であって、
抄紙工程で製造された前記原紙に保湿剤を塗布する工程を含む塗工工程と、
前記保湿剤が塗布された保湿原紙の前記保湿剤を馴染ませるエージングを行うエージング工程と、
前記エージングを行った前記保湿原紙を、複数枚がプライして所望の幅に切断し折り畳んで保湿ティシュペーパーとする製品化工程と、を備え、
前記塗工工程では、前記原紙の裏面側に前記保湿剤を塗布し、
隣接する2プライの前記保湿ティシュペーパーの表面のハンドフィールの値HSa1と前記保湿ティシュペーパーの裏面のハンドフィールの値HSa2との差ΔHFaが3.0以上となるように調整する
ことを特徴とする保湿ティシュペーパーの製造方法。
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