JP7353664B2 - インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 2018年10月17日ウェブサイト<https://www.sfn.org/Meetings/Neuroscience-2018/Sessions-and-Events/Neuroscience-2018-Program?utm_campaign=Membership%2FNeuroscience%202018&utm_source=hs_email&utm_medium=email&utm_content=66735809&_hsenc=p2ANqtz-9fME3DGe2mKgsjU0QxlXYvbohGxiljwUhgYV2ia_gC-gT1VV3qK5NcYyT7qvDT7zdEc5b0vL0PkzlSgBgXAIriUR9caWd5ZgP9WY4X4Tzo_40TQm4&_hsmi=66735809>にて発表
特許法第30条第2項適用 2018年11月3日から2018年11月7日San Diego Convention Center(111 W Harbor Dr,San Diego,CA 92101 アメリカ合衆国)において開催されたNeuroscience 2018で発表
本発明は、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬等に関する。
臨床において、主に1型糖尿病で認められるインスリン依存性糖尿病(IDDM)患者に対する治療の選択肢は、インスリンを除けば限られており、ほとんどの経口血糖降下薬に適応や有効性はない。しかしながら、インスリンによる治療を行うも様々な要因により低血糖や高血糖を繰返し、血糖コントロールに難渋することがある。また、インスリンに対するアレルギー反応や長期使用に伴うインスリン抗体の発生などの問題点があり、臨床において代替の治療法が求められている。
近年、脂肪細胞から分泌されるレプチンの投与により血糖値が改善することが報告されている。脂肪萎縮症の患者は脂肪細胞によるレプチン分泌が著しく低下し、2型糖尿病の病態を呈するが、一般的な2型糖尿病とは異なり、インスリンや経口血糖降下薬を投与しても血糖値の改善効果は得られない。しかし、レプチンを末梢から皮下注射で投与すると血糖値は劇的に改善する。
一方、げっ歯類の動物研究において、1型糖尿病モデルにレプチンを中枢投与すると血糖値が改善することが報告されているものの、末梢投与ではその効果は限定的である(非特許文献1)。実際、IDDMのヒトへレプチンを末梢投与しても血糖値は正常化しないことが報告されている。
Cell Metab. 2013 Sep 3;18(3):431-44. Curr Top Med Chem. 2019;19(4):246-263.
本発明は、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療技術を提供することを課題とする。好ましくは、本発明は、レプチンを使用し且つ非中枢投与による予防及び/又は治療技術を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を進めた結果、レプチン及びPTP1B阻害剤を含む、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬、であれば、上記課題を解決できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. レプチン及びPTP1B阻害剤を含む、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬.
項2. 非中枢投与製剤である、項1に記載の医薬.
項3. 前記PTP1B阻害剤が低分子化合物、核酸、及び抗体からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の医薬.
項4. 前記PTP1B阻害剤が低分子化合物である、項1~3のいずれかに記載の医薬.
項5. レプチンを含有する製剤とPTP1B阻害剤を含有する製剤とを含む、項1~4のいずれかに記載の医薬.
項6. レプチンを含有する、PTP1B阻害剤と併用投与するように用いられる、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬.
項7. PTP1B阻害剤を含有する、レプチンと併用投与するように用いられる、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬.
本発明によれば、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療技術を提供することができる。本発明の技術によれば、レプチンを使用しながらも、非中枢投与により、インスリン依存型糖尿病を予防及び/又は治療することが可能である。
参考例1の血中グルコース濃度の測定結果を示す。横軸中、WTは野生型マウスのネガティブコントロール群を示し、KOはPTP1Bノックアウトマウスのネガティブコントロール群を示し、IDDM WT及びIDDM KOは、野生型マウス及びPTP1Bノックアウトマウスのストレプトゾトシン投与群を示す。 参考例1の血清インスリン濃度の測定結果を示す。横軸中の表記については、図1と同様である。 試験例1の血中グルコース濃度及び体重の測定結果を示す。横軸は、レプチン投与開始時からの経過日数を示す。凡例中、IDDM WT及びIDDM KOは、野生型マウス及びPTP1Bノックアウトマウスのネガティブコントロール群を示し、IDDM leptin WT及びIDDM leptin KOはレプチン投与群を示す。 試験例1のブドウ糖負荷試験の結果を示す。横軸は、ブドウ糖負荷後の経過時間を示す。凡例中の表記については、図3と同様である。 試験例2の血中グルコース濃度の測定結果を示す。横軸は、投与開始時からの経過日数を示す。凡例中、WTは野生型マウスを示し、IDDMはインスリン依存型糖尿病モデル群を示し、leptinはレプチン投与群を示し、leptin+antiPTP1BはレプチンとPTP1B阻害剤併用投与群を示す。 試験例3の筋肉における2-デオキシグルコースの取り込みの測定結果を示す。縦軸は、2-デオキシグルコースの取り込み量の相対値を示す。横軸中、WT及びKOは、野生型マウス及びPTP1Bノックアウトマウスのネガティブコントロール群を示す。propranolol +/-は、プロプラノロール投与の有無を示す。4つの群のn数は5~10である。統計解析はone-way ANOVAによる。#はWTとKOの間の差が有意(P値<0.05)であることを示し、†はプロプラノロール+と-の間の差が有意(P値<0.05)であることを示す。 試験例3の褐色脂肪組織における2-デオキシグルコースの取り込みの測定結果を示す。縦軸、横軸、及び統計解析については図6と同様である。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
アミノ酸配列の「同一性」とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列の、お互いに対するアミノ酸配列の一致の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列の一致性が高いほど、それらの配列の同一性又は類似性は高い。アミノ酸配列の同一性のレベルは、例えば、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて決定される。若しくは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(KarlinS, Altschul SF.“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoringschemes”Proc Natl Acad Sci USA.87:2264-2268(1990)、KarlinS,Altschul SF.“Applications and statistics for multiple high-scoring segments in molecular sequences.”Proc Natl Acad Sci USA.90:5873-7(1993))を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のウェエブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照すればよい。また、塩基配列の『同一性』も上記に準じて定義される。
本明細書中において、「保存的置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基;チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
本発明は、その一態様において、レプチン及びPTP1B阻害剤を含む、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬(本明細書において、「本発明の医薬」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
レプチンとしては、例えばヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ等の種々の哺乳類由来のレプチンを採用することができる。中でも、本発明の医薬の対象生物由来のレプチンが好ましい。
種々の生物種由来レプチンのアミノ酸配列は公知である。具体的には、例えば、ヒトレプチンとしては配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Reference Sequence:NP_000221)又は該タンパク質からN末シグナル配列が除去されてなるアミノ酸配列からなるタンパク質(配列番号2)が挙げられ、マウスレプチンとしては配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Reference Sequence:NP_032519)又は該タンパク質からN末シグナル配列が除去されてなるアミノ酸配列からなるタンパク質(配列番号4)等が挙げられる。また、レプチンは、N末シグナルペプチドが欠失したものであってもよい。
レプチンは、血糖降下作用を有する限りにおいて、アミノ酸の置換、欠失、付加、挿入等の変異を有していてもよい。変異としては、血糖降下作用がより損なわれ難いという観点から、好ましくは置換、より好ましくは保存的置換が挙げられる。
レプチンの好ましい具体例としては、下記(a)に記載するタンパク質及び下記(b)に記載するタンパク質:
(a)配列番号1~4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、及び
(b)配列番号1~4のいずれかに示されるアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ血糖降下作用を有するタンパク質
からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記(b)において、同一性は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
血糖降下作用の有無は、公知の方法に従って又は準じて判定することができる。例えば、インスリン依存型糖尿病モデル動物に被検タンパク質を脳室内投与し、血糖値が低下すれば、被検タンパク質は血糖降下作用を有すると判定することができる。
上記(b)に記載するタンパク質の一例としては、例えば
(b’)配列番号1~4のいずれかに示されるアミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなり、且つ血糖降下作用を有するタンパク質が挙げられる。
上記(b’)において、複数個とは、例えば2~15個であり、好ましくは2~10個であり、より好ましくは2~5個であり、よりさらに好ましくは2又は3個である。
レプチンは、血糖降下作用を有する限りにおいて、化学修飾されたものであってもよい。
レプチンは、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO)、アミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)の何れであってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルなどのC1-6アルキル基;例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基;例えば、フェニル、α-ナフチルなどのC6-12アリール基;例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基;α-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基;ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
レプチンは、C末端以外のカルボキシル基(またはカルボキシレート)が、アミド化またはエステル化されていてもよい。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、レプチンには、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成し得るN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども包含される。
レプチンは、血糖降下作用を有する限りにおいて、公知のタンパク質タグが付加されたものであってもよい。タンパク質タグとしては、例えばヒスチジンタグ、FLAGタグ、GSTタグ等が挙げられる。
レプチンは、酸または塩基との薬学的に許容される塩の形態であってもよい。塩は、薬学的に許容される塩である限り特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
レプチンは、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒は、薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
レプチンは、公知の方法に従って、例えば化学合成、哺乳動物の細胞又は組織(例えば血清等)からの精製、レプチンをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体からの精製等によって得ることができる。形質転換体からの精製により得る場合、形質転換体としては、レプチンをコードするポリヌクレオチドからレプチンを発現させることができる細胞である限り特に限定されず、大腸菌などの細菌、昆虫細胞、哺乳類細胞等の種々の細胞を利用することができる。
昆虫細胞としては、例えば、Sf細胞、MG1細胞、High FiveTM細胞、BmN細胞などが用いられる。Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞などが用いられる。
動物細胞としては、例えば、サルCOS-7細胞、サルVero細胞、チャイニーズハムスター細胞CHO、マウスL細胞、マウスAtT-20細胞、マウスミエローマ細胞、ラットGH3細胞、ヒトFL細胞などが用いられる。
PTP1B阻害剤としては、PTP1B(Protein tyrosine phosphatase 1B)の機能及び/又は発現を抑制することができるものである限り、特に制限されない。なお、抑制とは、PTP1Bタンパク質、PTP1B mRNAなどの機能及び/又は発現量を、例えば1/2、1/3、1/5、1/10、1/20、1/30、1/50、1/100、1/200、1/300、1/500、1/1000、1/10000以下に抑制することを意味し、機能及び/又は発現量を0とすることをも包含する。
阻害対象のPTP1Bは、本発明の医薬の対象生物において発現するPTP1Bである。例えばヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ等の種々の哺乳類由来のPTP1Bを採用することができる。
種々の生物種由来PTP1Bのアミノ酸配列は公知である。具体的には、例えば、ヒトPTP1Bとしては配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Reference Sequence:NP_001265547)、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Reference Sequence:NP_002818)が挙げられ、マウスPTP1Bとしては配列番号7に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(NCBI Reference Sequence:NP_035331)等が挙げられる。
PTP1Bは、アミノ酸の置換、欠失、付加、挿入等の変異を有していてもよい。
PTP1Bの具体例としては、下記(a)に記載するタンパク質及び下記(b)に記載するタンパク質:
(a)配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、及び
(b)配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記(b)において、同一性は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
上記(b)に記載するタンパク質の一例としては、例えば
(b’)配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
上記(b’)において、複数個とは、例えば2~15個であり、好ましくは2~10個であり、より好ましくは2~5個であり、よりさらに好ましくは2又は3個である。
PTP1B阻害剤として、具体的には、例えば低分子化合物、核酸、抗体等が挙げられる。
低分子化合物としては、PTP1B機能阻害作用を有するものである限り特に制限されない。低分子化合物としては、例えば、分子量2000以下、1000以下、500以下の化合物が挙げられる。低分子化合物としては、例えば各種文献(例えば非特許文献2)に記載の化合物を使用することができる。低分子化合物としては、具体的には、例えばホスホノ(ジフルオロメチル)-フェニルアラニンを有するペプチド等のホスホペプチド;ジカルボン酸を含むチロシン模倣体、O-マロニルチロシン及びフルオロ-O-マロニルチロシン誘導体、O-カルボキシメチルサリチル酸等を含むペプチド;アリール-α-ケトカルボン酸、アリールジケト酸誘導体、チエノ[2,3-c]ピリジン-3-カルボン酸、アリーロジフルオロメチレノ-リン酸、ジベンゾ[b,d]フランカルボン酸、オキサリルアリールアミノ安息香酸誘導体、二環式ベンゾフラン及びインドールに基づくサリチル酸等の酸性阻害剤等;さらにはこれらの誘導体やこれらと他の化合物との複合体等が挙げられる。また、他にも、例えばジアリールスルフォンアミド誘導体、a-ブロモ-アセトフェノン及びスチリルベンゼン誘導体、6-トリアゾール(ヒドロキシ)ベンゾイックグルコシド、トリアゾール結合グリコシル化a-ケトカルボン酸誘導体、β-C-グリコシドウロン酸、β-C-グリコシル化合物、イソクロマンカルボン酸誘導体、フォルミルクロマン誘導体、キノリン誘導体、1,2-ナフトキノン誘導体、ピリダジンアナログ、ピペラジン、ピロロ[2,3-c]アゼピン、ブロモ-レトロカルコン誘導体、マスリン酸誘導体、(グリコピラノシル-トリアゾリル)-プリン、チアゾリジンジオン誘導体、チアゾリジノン誘導体、ベンジル、トリアゾール連結βC-グリコシル二量体、チオモルフォリン誘導体;さらにはこれらの誘導体やこれらと他の化合物との複合体等が挙げられる。低分子化合物として、より具体的には、例えばTrodusquemine、DPM-1001、A119505、A220435、A321842、CPT633、ISIS-404173、JTT-551、MX-7014、MX-7091、MX-7102、NNC-521246、OTX-001、OTX-002、TTP814、Bakuchiol、Dephostatin、RK-682、Berberine hemisulfate、PTP Inhibitor II、RK-682、NSC87877、PTP Inhibitor I、TCS 401、BML-267、CinnGEL 2-methylester、2-Chloro-2prime, 4prime-difluoroacetophenone、3,4-Dephostatin、Ethyl-3,4-Dephostatin、PTP Inhibitor IV、PTP Inhibitor V、PTP1B Inhibitor、4-Oxo-4H-1-benzopyran-2-carboxylic acid、等が挙げられる。これらの中でも、DPM-1001が特に好ましい。
核酸としては、PTP1Bタンパク質、PTP1B mRNAなどの発現量を抑制し得るものである限り特に制限されず、例えばPTP1B特異的small interfering RNA(siRNA)、PTP1B特異的microRNA(miRNA)、PTP1B特異的アンチセンス核酸、これらの発現ベクター; PTP1B特異的リボザイム; CRISPR/CasシステムによるPTP1B遺伝子編集剤などが挙げられる。
PTP1B特異的siRNAは、PTP1Bをコードする遺伝子の発現を特異的に抑制する二本鎖RNA分子である限り特に制限されない。一実施形態において、siRNAは、例えば、18塩基以上、19塩基以上、20塩基以上、又は21塩基以上の長さであることが好ましい。また、siRNAは、例えば、25塩基以下、24塩基以下、23塩基以下、又は22塩基以下の長さであることが好ましい。ここに記載するsiRNAの長さの上限値及び下限値は任意に組み合わせることが想定される。例えば、下限が18塩基であり、上限が25塩基、24塩基、23塩基、又は22塩基である長さ;下限が19塩基であり、上限が25塩基、24塩基、23塩基、又は22塩基である長さ;下限が20塩基であり、上限が25塩基、24塩基、23塩基、又は22塩基である長さ;下限が21塩基であり、上限が25塩基、24塩基、23塩基、又は22塩基である長さの組み合わせが想定される。また、siRNAは、shRNA(small hairpin RNA)であってもよい。
PTP1B特異的siRNAは、5’又は3’末端に、付加的な塩基(通常2~4塩基程度)を有していてもよい。siRNAは、3'末端に突出部配列(オーバーハング)を有していてもよく、具体的には、dTdT(dTはデオキシチミジンを表わす)を付加したものが挙げられる。また、末端付加がない平滑末端(ブラントエンド)であってもよい。
siRNA及び/又はshRNAの配列は、種々のwebサイト上に無料で提供される検索ソフトを用いて検索が可能である。このようなサイトとしては、例えば、以下を挙げることができる。
Ambionが提供するsiRNA Target Finder(http://www.ambion.com/jp/techlib/misc/siRNA_finder.html)pSilencer(登録商標)Expression Vector用インサートデザインツール(http://www.ambion.com/jp/techlib/misc/psilencer_converter.html)RNAi Codexが提供するGeneSeer(http://codex.cshl.edu/scripts/newsearchhairpin.cgi)。
PTP1B特異的miRNAは、PTP1Bをコードする遺伝子の翻訳を阻害する限り任意である。例えば、miRNAは、siRNAのように標的mRNAを切断するのではなく、標的の3’非翻訳領域(UTR)に対合してその翻訳を阻害してもよい。miRNAは、pri-miRNA(primary miRNA)、pre-miRNA(precursor miRNA)、及び成熟miRNAのいずれでもよい。miRNAの長さは特に制限されず、pri-miRNAの長さは通常数百~数千塩基であり、pre-miRNAの長さは通常50~80塩基であり、成熟miRNAの長さは通常18~30塩基である。一実施形態において、PTP1B特異的miRNAは、好ましくはpre-miRNA又は成熟miRNAであり、より好ましくは成熟miRNAである。このようなPTP1B特異的miRNAは、公知の手法で合成してもよく、合成RNAを提供する会社から購入してもよい。
PTP1B特異的アンチセンス核酸とは、PTP1Bをコードする遺伝子のmRNAの塩基配列と相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列又はその一部を含む核酸であって、該mRNAと特異的かつ安定した二重鎖を形成して結合することにより、PTP1Bタンパク質合成を抑制する機能を有する核酸である。アンチセンス核酸はDNA、RNA、DNA/RNAキメラのいずれでもよい。アンチセンス核酸がDNAの場合、標的RNAとアンチセンスDNAとによって形成されるRNA:DNAハイブリッドは、内在性リボヌクレアーゼH(RNase H)に認識されて標的RNAの選択的な分解を引き起こす。したがって、RNase Hによる分解を指向するアンチセンスDNAの場合、標的配列は、mRNA中の配列だけでなく、PTP1B遺伝子の初期翻訳産物におけるイントロン領域の配列であってもよい。イントロン配列は、ゲノム配列と、PTP1B遺伝子のcDNA塩基配列とをBLAST、FASTAなどのホモロジー検索プログラムを用いて比較することにより、決定することができる。
PTP1B特異的siRNA、PTP1B特異的miRNA、又はPTP1B特異的アンチセンス核酸の発現カセットについては、PTP1B特異的siRNA、PTP1B特異的miRNA、又はPTP1B特異的アンチセンス核酸が発現可能な状態で組み込まれているポリヌクレオチドである限りにおいて特に限定されない。典型的には、該発現カセットは、プロモーター配列、及びPTP1B特異的siRNA、PTP1B特異的miRNA、又はPTP1B特異的アンチセンス核酸のコード配列(必要に応じて、さらに転写終結シグナル配列)を含むポリヌクレオチド、必要に応じて他の配列を含む。
PTP1B遺伝子編集剤は、標的配列特異的ヌクレアーゼシステム(例えばCRISPR/Casシステム)により、PTP1B遺伝子の発現を抑制可能なものである限り特に制限されない。PTP1B遺伝子の発現抑制は、例えばPTP1B遺伝子の破壊、PTP1B遺伝子のプロモーターの改変による該プロモーターの活性抑制により可能である。
PTP1B遺伝子編集剤としては、例えばCRISPR/Casシステムを採用する場合は、典型的には、PTP1B遺伝子又はそのプロモーターを標的とするガイドRNA発現カセット、及びCasタンパク質発現カセットを含むベクター(PTP1B遺伝子編集用ベクター)を用いることができるが、これに限定されない。この典型例以外にも、例えばPTP1B遺伝子又はそのプロモーターを標的とするガイドRNA及び/又はその発現カセットを含むベクターと、Casタンパク質発現カセット及び/又はその発現カセットを含むベクターとの組み合わせを、PTP1B遺伝子編集剤として用いることが可能である。
抗体は、PTP1Bに結合することによりPTP1Bが有する酵素活性を阻害する性質を有する抗体である限り、特に制限されない。抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、またはFabフラグメントやFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメントなどのように抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される。PTP1Bのアミノ酸配列のうち少なくとも連続する、通常8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、より好ましくは20アミノ酸からなるポリペプチドに対して抗原結合性を有する抗体も、本発明の抗体に含まれる。
本発明の医薬の用途は、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用である。インスリン依存型糖尿病には、I型糖尿病のみならず、II型糖尿病の一部も包含される。
本発明の医薬は、レプチン及びPTP1B阻害剤を含む限りにおいて特に制限されず、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。
なお、本発明の医薬は、レプチンとPTP1Bが1つの製剤中で混合されている形態であってもよいし、レプチンとPTP1Bとがそれぞれ別々の製剤に含まれている形態(この場合、本発明の医薬は、レプチンを含有する製剤とPTP1B阻害剤を含有する製剤とを含むみ、両者は別々の製剤形態、投与経路であり得る。)であってもよい。この観点から、本発明は、その一態様として、レプチンを含有する、PTP1B阻害剤と併用投与するように用いられる、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬、及びPTP1B阻害剤を含有する、レプチンと併用投与するように用いられる、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬に関する(以下、これらもまとめて「本発明の医薬」と示す。)。
他の成分としては、薬学的に許容される成分であれば特に限定されるものではない。他の成分としては、薬理作用を有する成分のほか、添加剤も含まれる。添加剤としては、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤等が挙げられる。
本発明の医薬の適用対象生物は特に限定されないが、哺乳動物では、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ等が挙げられる。
本発明の医薬は、任意の剤形、例えば錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などの経口製剤形態や、注射用製剤(例えば、点滴注射剤(例えば点滴静注用製剤等)、静脈注射剤、筋肉注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤)、外用剤(例えば、軟膏剤、パップ剤、ローション剤)、坐剤吸入剤、眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤、リポソーム剤等の非経口製剤形態を採ることができる。
本発明の医薬の投与経路としては、所望の効果が得られる限り特に制限されず、経口投与、経管栄養、注腸投与等の経腸投与; 経静脈投与、経動脈投与、筋肉内投与、心臓内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与等の非経口投与等が挙げられる。本発明の医薬は、非中枢投与製剤であることが好ましい。
本発明の医薬中の有効成分の含有量は、使用態様、適用対象、適用対象の状態等に左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.0001~100重量%、好ましくは0.001~50重量%とすることができる。
本発明の医薬を動物に投与する場合の投与量は、薬効を発現する有効量であれば特に限定されず、通常は、有効成分の重量として、一般に経口投与の場合には一日あたり0.1~1000 mg/kg体重、好ましくは一日あたり0.5~500 mg/kg体重であり、非経口投与の場合には一日あたり0.01~100 mg/kg体重、好ましくは0.05~50 mg/kg体重である。上記投与量は、年齢、病態、症状等により適宜増減することもできる。
レプチンとPTP1B阻害剤の投与は、同時投与であってもよいし、間をおいて(例えば5分間~24時間、5分間~12時間)順番に投与する態様であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考試験例1.インスリン依存型糖尿病モデルマウスの作製
野生型マウス(系統名:C57BL6J、10週齢、n=20)及びPTP1Bノックアウトマウス(Mol. Cell. Biol. 2000;20:5479-5489.及びDev. Cell. 2002;2:489-495.にて使用されたマウスである)(10週齢、n=20)に、ストレプトゾトシン(Sigma社製、Streptozotocin)を腹腔内投与(150mg/kg body weight)した(ストレプトゾトシン投与群)。一方で、ネガティブコントロール群として、ストレプトゾトシンを投与しない(クエン酸ナトリウムバッファーの用途)群も用意した。投与から1週間後(11週齢時)の暗周期の終りに、血中グルコース濃度及び血清インスリン濃度を測定した。
結果を図1及び図2に示す。ストレプトゾトシンの投与後1週間で、インスリン依存型糖尿病症状を呈することが分かった。
試験例1.レプチン投与試験
野生型マウス(系統名:C57BL6J、10週齢、n=20)及びPTP1Bノックアウトマウス(Mol. Cell. Biol. 2000;20:5479-5489.及びDev. Cell. 2002;2:489-495.にて使用されたマウスである)(10週齢、n=20)に、ストレプトゾトシンを腹腔内投与(150mg/kg body weight)して、インスリン依存型糖尿病モデルを作製した。投与から1週間後(11週齢時)に、レプチン(NATIONAL HORMONE AND PEPTIDE PROGRAM社製、recombinant mouse leptin 10 mg)を20μg/dayで供給する浸透圧ミニポンプをマウス皮下に移植した(レプチン投与群)。一方、ネガティブコントロール群として、生理食塩水を供給する浸透圧ミニポンプをマウス皮下に移植した群も用意した。11週齢時(移植前)から2日毎に血中グルコース濃度及び体重を測定した。また、12週齢時にブドウ糖負荷試験を行った。
結果を図3及び図4に示す。野生型マウスのインスリン依存型糖尿病モデルにレプチンを投与しても、血中グルコースは、正常レベル(図1参照)までは下がらなかった。一方、PTP1Bノックアウトマウスのインスリン依存型糖尿病モデルにレプチンを投与すると、血中グルコースが正常レベル(図1参照)まで下がった。このことから、レプチンとPTP1B阻害剤を併用することにより、インスリン依存型糖尿病の予防/治療効果を大きく向上させることができると考えられた。
試験例2.レプチンとPTP1B阻害剤の併用投与試験
野生型マウス(系統名:C57BL6J、10週齢、n=5)に、ストレプトゾトシンを腹腔内投与(150mg/kg body weight)して、インスリン依存型糖尿病モデルを作製した。投与から1週間後(11週齢時)に、レプチンを20μg/dayで供給する浸透圧ミニポンプをマウス皮下に移植し、さらにPTP1B阻害剤(J Biol Chem. 2018 293(5):1517-1525.に記載、Glixx Laboratories社製、DPM-1001)の投与(5μg/g body weight/day、腹腔内投与)も開始した。11週齢時(移植前)から2日毎に血中グルコース濃度を測定した。
結果を図5に示す。レプチンとPTP1B阻害剤との併用投与により、血中グルコースを正常レベルにまで下げることができた。
試験例3.レプチンによる糖代謝改善の機序の解析
野生型マウス(系統名:C57BL6J、10週齢)及びPTP1Bノックアウトマウス(Mol. Cell. Biol. 2000;20:5479-5489.及びDev. Cell. 2002;2:489-495.にて使用されたマウスである)(10週齢)に、ストレプトゾトシンを腹腔内投与(150mg/kg body weight)して、インスリン依存型糖尿病モデルを作製した。投与から1週間後(11週齢時)に、レプチン(NATIONAL HORMONE AND PEPTIDE PROGRAM社製、recombinant mouse leptin 10 mg)を20μg/dayで供給する浸透圧ミニポンプをマウス皮下に移植した(レプチン投与群)。一方、ネガティブコントロール群として、生理食塩水を供給する浸透圧ミニポンプをマウス皮下に移植した群も用意した。12週齢時(ストレプトゾトシン投与から12日後)に、筋肉及び褐色脂肪組織(BAT)における2-デオキシグルコース(2DG)の取り込みを、2DG Uptake Measurement Kit(フナコシ社製)を使用して測定した。なお、この測定の3時間前及び15分前に、βアドレナリン受容体シグナル阻害剤であるプロプラノロール(シグマアルドリッチ社製)又は対照(生理食塩水)を腹腔内投与(10mg/kg body weight)した。
結果を図6及び図7に示す。プロプラノロールは、インスリン依存型糖尿病モデルの野生型マウスの筋肉及びBATにおける2DG取り込みの比率を減少させた。しかし、プロプラノロールと対照の違いは統計的有意性に達していなかった。対照的に、インスリン依存型糖尿病モデルのPTP1Bノックアウトマウスでは、2DGの取り込み率は、ビヒクルと比較してプロプラノロール処理で大幅に減少した。これらの結果は、PTP1B欠乏が中枢レプチンを増強し、少なくとも一部はβアドレナリン受容体シグナル伝達を介して末梢組織でのグルコース取り込みを増加させることを示唆する。

Claims (5)

  1. レプチン及びPTP1B阻害剤であるDPM-1001を含む、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬。
  2. 非中枢投与製剤である、請求項1に記載の医薬。
  3. レプチンを含有する製剤とPTP1B阻害剤であるDPM-1001を含有する製剤とを含む、請求項1又は2に記載の医薬。
  4. レプチンを含有する、PTP1B阻害剤であるDPM-1001と併用投与するように用いられる、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬。
  5. PTP1B阻害剤であるDPM-1001を含有する、レプチンと併用投与するように用いられる、インスリン依存型糖尿病の予防及び/又は治療用医薬。
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