JP7353663B2 - Gabaa受容体リガンド - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、GABA受容体モジュレータとして有用な2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オールに関する。一実施形態において、前記化合物は、疼痛、神経因性疼痛および/または掻痒の処置において有用である。
背景
GABAは、侵害受容線維が終止する脊髄後角第II層を含むCNS内の主な阻害性神経伝達物質である。脊髄における阻害性神経伝達は、疼痛伝達において非常に重要であり、阻害の増大は、鎮痛に導く(Zeilhofer HU. et. al. (2009), Trends in pharmacological science)。
GABA受容体のモジュレータは、神経因性疼痛の動物モデルにおいて深い鎮痛を媒介することが見出されている(Munro, G. et al. (2013) European Journal of Pharmacology, 716, 1-3, 17-23)。神経因性疼痛の管理のための現行の治療は、多くの患者には有益性が限定され、望ましくない副作用または用量制限毒性を含む。加えて現行の治療は、対症療法的であり、疾患修飾性でない。神経因性疼痛の管理および処置のための改善された治療、特にこの疾患を修飾する能力を有するそれらの治療が、依然として求められている。
加えて、GABA受容体リガンドが掻痒の処置において有用になり得ることが、過去に実証されている(例えば、WO2017/129801号参照)。
GABA受容体は、複数のアイソフォームに存在するリガンド開口型チャネルである。各受容体は、α1~6、β1~3、γ1~3、δ、εおよびθサブユニットアイソフォームから引き出されたサブユニットを含む五量体の複合体である。CNS内に存在するGABA受容体の大部分は、αサブユニット2個、βサブユニット2個およびγサブユニット1個を含有する(Mckernan RM. et. al. (1996). Trends in Neuroscience 19, 139-43)。GABA受容体を活性化することの薬理学的効果は主に、受容体がサブユニットのどの型を含有するかに依存する。古典的な抗不安薬ベンゾジアゼピンは、サブタイプ選択性を示さない。古典的ベンゾジアゼピンの欠点(鎮静、依存性、および認知障害など)の手掛かりとなる要素の1つがGABA受容体のαサブユニットに関係することが、示唆されている。異なるαサブユニットをジアゼパムに対して非感受性にする点突然変異を有するマウスを用いた近年の試験で、αおよびαサブユニットがベンゾジアゼピンの鎮痛効果を媒介することが示唆されている(Knabl J. et al. (2009). Pain 141, 233-38)。このことは、前臨床の疼痛モデルにおけるα2/3含有GABA受容体の選択的ポジティブモジュレータの鎮痛効果を示した薬理学的研究により裏づけられる(Munro G. et. al (2008). JPET, 327, 969-81)。したがってα1サブユニットを上回るαおよび/またはαサブユニットへの選択性を有する化合物が、改善された副作用プロファイルを有すると予期される。
さらに、脊髄内のGABA作動性介在ニューロンが媒介する阻害の欠如がBhlhb5突然変異マウスにおいて慢性掻痒を担うことが、示されており(Ross SE. et. al. (2010). Neuron 65, 886-98)、脊髄阻害の増大による潜在的治療活性が示唆された。
WO98/34923号、欧州特許第0616807号、WO2004/087690号、WO2007/110374号およびWO2010/055132号には、GABA受容体複合体のモジュレーションに応答する中枢神経系疾患および障害の処置において有用なベンゾイミダゾール誘導体が記載されている。
WO03/086406号、WO03/087099号、WO03/099816号およびWO01/18000号には、GABA受容体のリガンドとして有用なイミダゾピリジン誘導体が開示されている。
WO2000/044752号およびWO99/67245号には、GABA受容体のリガンドとして有用なトリアゾロピリダジン誘導体が開示されている。
これらの過去に提示されたGABA受容体モジュレータから、微細な構造的差異が生物活性に大きな影響を有する可能性が示される。
しかし、過去に提示されたGABA受容体モジュレータの多くは、望まない副作用に関連する。したがって、最適化された薬理学的プロファイルを有し、望まない副作用を有さない化合物が、強く求められている。
概要
主要な態様において、本発明は、式1で表された2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール(化合物1)に関係する。
Figure 0007353663000001
その上、本発明は、医薬としての化合物1の使用に関する。本発明者らは、化合物1がポジティブアロステリックモジュレータに好適である新規なGABA α受容体であることを見出した。したがって一態様において、化合物1は、神経因性疼痛の処置、予防、および/または緩和において用いられる。別の態様において、化合物1は、掻痒の処置、予防、および/または緩和において用いられる。
(A)化合物1、(B)化合物9。卵母細胞の二電極電圧クランプの記録におけるGABA受容体への有効性プロファイル。各実験データセットで、GABAを一定濃度(0.5~3μM)の卵母細胞リンゲル液に溶解して、所与のGABA受容体サブタイプの組み合わせでのEC10~20誘発電流を発生させた。ピーク電流を読み取り、ジアゼパムの最大有効濃度に正規化し、その後、データポイントを非線形回帰、n=3~14により経験的ヒル方程式に当てはめた。化合物1は、GABA-α含有受容体におけるGABA介在電流の優先的増強、GABA-α2/5サブユニットのわずかな活性化(10%未満)およびGABA-α含有受容体の非活性化を示す。 雄CD-1マウスにおける引っ掻き行動に及ぼす急性投与後の化合物1の影響。化合物1での急性処置は、CCI病変に見舞われたラットにおける機械的アロディニアを回復させ、最小有効用量は経口投与後に1mg/kg以下であった。慢性処置の7日後に、3用量全ての有意な鎮痛効果が保持されたが、モルホリン(6mg/kg)の効果は、完全に喪失された。モルホリンは、皮下投与された。雄スプラグドゥーリーラットにおける慢性絞扼神経損傷(CCI)は、BennetteおよびXie(1998)により記載された通り実施された。動物は、手術の14日後に検査された。ビヒクルに対して**p<0.01、****p<0.0001、二元配置分散分析、フィッシャーのLSDポストテスト(posttest)、n=7~9。 CCI病変のあるラットにおける足逃避閾値に及ぼす急性および慢性投与後の化合物1の影響。化合物1は、CD-1雄マウスにおけるコンパウンド48/80誘導性引っ掻き行動を用量依存的に低減した。首筋に50μL皮下注射されたコンパウンド48/80は、ビヒクルを注射されたマウスに比較して、引っ掻き回数の顕著で有意な増加を誘導した。ヒスタミン作動性H1アンタゴニストのジペンヒドラミン(dipenhydramine)塩酸塩が、参照として用いられ、コンパウンド48/80の60分前に経口投与されたが、化合物1は、コンパウンド48/80投与の30分前に経口投与された。####生理食塩水に対してp<0.0001、ビヒクル+コンパウンド48/80に対して***p<0.001、**p<0.01、一元配置分散分析、フィッシャーLSD事後検定、n=7~9。 雄SDラットにおける探索的自発運動に及ぼす化合物1の影響。494の遊離脳内濃度に対応する30mg/kgまでで投与された化合物1は、雄スプラグドゥーリーラットにおける探索的自発運動に影響を及ぼさなかった(時間および用量を因子とする二元配置反復測定分散分析でp>0.05)。化合物1を、薄明条件下で新規なホームケージにラットを導入する120分前に3、10および30mg/kg、10ml/kgで経口投与した。ラットの活性は、自動的に30分間登録された(TSE MoTil、ドイツ所在)。 雄SDラットにおけるロータロッドパフォーマンスに及ぼす化合物1の影響。30mg/kgまでで投与された化合物1は、ロッドを落下するまでの潜時として測定された、加速しながら回転するロッド上でバランスを維持するラットの能力を損傷しなかった。これに反して非選択的GABA受容体ポジティブモジュレータのジアゼパムは、落下までの潜時を有意に短縮させた(p<0.05)。化合物1およびジアゼパムは、それぞれ検査開始の2時間および1時間前に経口投与された。ラットは、3日目に薬物効果を評価する前に2日間にわたり、4~40rpmで5分間、ロータロッドで訓練された。訓練後に90秒より長く走ることができなかったラットは、実験に含めなかった。ビヒクルに対してp<0.05、一元配置分散分析、フィッシャーのLSDポストテスト、n=6~7。
詳細な記載
一態様において、本発明は、式1で表された2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オールに関係する。
Figure 0007353663000002
一実施形態において、化合物1は、医薬的に許容できる塩である。
本発明の化合物は、互変異性体形態で存在してもよい。
医薬的に許容できる塩
本発明の化学化合物は、医薬的に(即ち、生理学的に)許容できる塩をはじめとする意図する投与に適した任意の形態で提供されてもよい。医薬的に許容できる付加塩の例としては、塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコナート(aconate)、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸塩および同様のものなどの非毒性の無機および有機酸付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。そのような塩は、当該技術分野で周知の記載された手順により形成されてもよい。医薬的に許容できると見なされ得ないシュウ酸などの他の酸が、本発明の化学化合物およびその医薬的に許容できる酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の調製において有用になる場合がある。
本発明の化合物1の医薬的に許容できる陽イオン性塩の例としては、陰イオン性基を含有する本発明の化合物1の、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リジニウム塩およびアンモニウム塩、並びに同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような陽イオン性塩は、当該技術分野で周知の記載された手順により形成されてもよい。本発明の文脈において、N含有化合物の「オニウム塩」もまた、医薬的に許容できる塩として企図される。好ましい「オニウム塩」としては、アルキル-オニウム塩、シクロアルキル-オニウム塩、およびシクロアルキルアルキル-オニウム塩が挙げられる。
標識された化合物
本発明の化学化合物は、標識または非標識形態で用いられてもよい。本発明の文脈において、標識された化合物は、通常は天然に見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられた原子を1種または複数有する。この標識は、前記化合物の容易な定量的検出を可能にするであろう。
本発明の標識された化合物は、様々な診断法において、そしてインビボ受容体撮像のために、診断ツール、放射線トレーサ、またはモニタリング剤として有用になり得る。本発明の標識された異性体は、好ましくは標識として少なくとも1種の放射性核種を含有する。ポジトロン放出放射性核種は全て、使用候補である。本発明の文脈において、放射性核種は、好ましくはH(ジューテリウム)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I、および18Fから選択される。
本発明の標識された異性体を検出するための物理的方法は、ポジトロン断層撮影法(PET)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)、およびコンピュータX線体軸断層撮影法(CAT)、またはそれらの組み合わせから選択されてもよい。
調製方法
本発明の化学化合物は、化学合成のための従来法、例えば実用例に記載されたものにより調製されてもよい。本出願に記載された工程の出発原料は公知であるか、または市販の化学薬品から従来法により即座に調製されてもよい。
本明細書に記載された反応の目的生成物は、従来の技術により、例えば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー他により単離されてもよい。
本発明の化合物は、非溶媒和形態に加え、水、エタノールおよび同様のものなどの医薬的に許容できる溶媒での溶媒和形態で存在してもよい。一般に溶媒和形態は、本発明の目的では非溶媒和形態と等しいと見なされる。
医薬組成物
本発明はまた、化合物1またはその医薬的に許容できる塩の治療有効量を、少なくとも1種の医薬的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤と共に含む医薬組成物を提供する。
治療における使用のための本発明の化合物1は、原料のままの化学化合物の形態で投与されてもよいが、有効成分を場合により生理学的に許容できる塩の形態で、1種または複数のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、および/または他の慣用的医薬助剤と共に医薬組成物に導入することが、好ましい。
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の化学化合物またはその医薬的に許容できる塩を、1種または複数の医薬的に許容できる担体と、そして場合により当該技術分野で公知であり使用される他の治療および/または防御成分と共に含む医薬組成物を提供する。担体(複数可)は、配合剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害でない、という意味で「許容でき」なければならない。本発明の医薬組成物は、経口、直腸内、気管支内、鼻内、肺、局所(口腔および舌下を含む)、経皮、膣内または非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射または輸液を含む)投与に適したもの、あるいは粉末および液体エアロゾル投与をはじめとする吸入もしくは吹送法による投与、または持続放出システムによる投与に適した形態のものであってもよい。持続放出システムの適切な例としては、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、成形品、例えば薄膜またはマイクロカプセルの形態であってもよい。
したがって本発明の化合物1は、従来のアジュバント、担体、または希釈剤と共に、医薬組成物およびその単位投与物の形態にされてもよい。そのような形態としては、固体、詳細には錠剤、充填カプセル、粉末およびペレット形態、ならびに液体、詳細には水性または非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、およびそれらを充填されたカプセルが挙げられ、その全てが経口使用のためのもの、直腸内投与のための坐剤、および非経口使用のための滅菌注射可能溶液である。そのような医薬組成物およびその単位投与剤形は、追加の活性化合物または活性原材料を有し、または有さず、従来の成分を従来の割合で含んでいてもよく、そのような単位投与剤形は、用いられることになる意図する日用量範囲に相応しい任意の適切な有効量の有効成分を含有してもよい。本発明の化合物1は、非常に種々の経口および非経口投与剤形で投与され得る。以下の投与剤形が、本発明の化学化合物、または本発明の化学化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを活性成分として含み得ることは、当業者に自明であろう。
本発明の化合物1から医薬組成物を調製するために、医薬的に許容できる担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物としては、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1種または複数の物質であり得る。
医薬調製物は、好ましくは単位投与剤形である。そのような形態において、該調製物は、適当な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。該単位投与剤形は、包装された錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末など、包装された調製物であり得、その包装物は、異なる量の調製物を含有し得る。同じく単位投与剤形は、それ自体がカプセル、錠剤、カシェ剤もしくはロゼンジであり得、またはそれは、包装形態中のこれらのいずれかの適当な数であり得る。
治療有効用量は、症状または病気を好転させる有効成分の量を指す。治療有効性および毒性、例えばED50は、細胞培養物または実験動物において標準の薬理学的手順により決定されてもよい。治療効果と毒性効果の用量比が、治療指数であり、治療効果をもたらす血漿レベルと、毒性効果をもたらす血漿比の間の比率により表されてもよい。大きな治療指数を呈する医薬組成物が、好ましい。
投与された用量は、もちろん、処置される個体の年齢、体重および病気に加え、投与経路、投与剤形およびレジメン、ならびに所望の結果に注意深く適合されなければならず、厳密な投与量は、もちろん、実施担当者により決定されなければならない。
実際の投与量は、処置される疾患の性質および重症度に依存し、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を生じるように本発明の固有の状況に投与量を用量設定することにより変動されてもよい。しかし、個々の用量あたり約0.1~約10.000mg、好ましくは約1~約1000mg、最も好ましくは約10~約500mgの有効成分を含有する医薬組成物が、治療的処置に適することが目下、企図される。有効成分は、1日あたり1回または複数回投与されてもよい。充分な結果が、特定の例において、0.1μg/kg i.v.および1μg/kg p.o.という低い投与量で得ることができる。投与量範囲の上限は、約10mg/kg i.v.および100mg/kg p.o.であると目下、見なされる。好ましい範囲は、約0.1μg/kg~約10mg/kg/日 i.v.、そして約1μg/kg~約100mg/kg/日 p.o.である。
生物活性
本発明の化合物1は、GABA受容体複合体のモジュレーションが可能であり、αサブユニットと、わずかな程度にαおよびαサブユニットを含有するGABA受容体のポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)であることが実証される。化合物1は、急性および慢性処置後に神経因性疼痛のラットモデルにおいて機械的アロディニアを回復させ、それは、掻痒を誘導する化合物で処置されたマウスの引っ掻きを好転させており、鎮痛に加え鎮痒効果が示唆される。化合物1は、ラットの探索的自発運動およびロータロッドパフォーマンスでの測定で、鎮静の易罹病性および運動障害的影響を示さない。
治療法
化合物1は、GABA受容体のリガンドであるため、ヒトをはじめとする生存する身体の障害の処置、予防および/または緩和に有用である。好ましくは化合物1は、神経因性疼痛などの疼痛および/または掻痒の処置、予防、および/または緩和において使用される。
神経因性疼痛の処置
一態様において、本発明は、神経因性疼痛の処置、予防、および/または緩和における式1で表される2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オールの使用に関係する。
神経因性疼痛は、慢性疼痛の複数の形態をはじめとする疼痛の分類であり、体細胞組織というよりむしろ神経の機能不全から生じる。神経因性疼痛、即ち中枢神経系または末梢神経系の機能不全に由来する疼痛はまた、末梢神経もしくは中枢神経系の領域への損傷の結果の場合があり、疾患から生じる場合があり、または特発性の場合がある。神経因性疼痛の症状としては、熱傷、刺痛、電気、ピンおよび針の感覚、知覚異常、異常錯覚感、凝り、四肢のしびれ、体の歪みの感じ、アロディニア(通常は無害である刺激により誘発された疼痛)、痛覚過敏(疼痛への異常な感受性)、ヒペルパチー(悪化した疼痛応答が疼痛刺激の停止後に長時間持続すること)、幻肢痛、および自発痛が挙げられる。
掻痒の処置
一態様において、本発明は、掻痒の処置、予防、および/または緩和における、式1で表された2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オールの使用に関係する。
掻痒(皮膚掻痒症としても知られる)は、引っ掻きの欲求または反射を引き起こす感覚である。掻痒は、疼痛に対して多くの類似性を有することが示されている。掻痒のほとんどの例が、ヒスタミン関連であり、抗ヒスタミン薬で処置される。しかし掻痒の一部の例は、抗ヒスタミン薬で処置できない。掻痒の考えられる原因としては、乾燥肌、皮膚病および発疹、内在性の疾患、神経障害、かぶれおよびアレルギー反応、薬物、ならびに妊娠が挙げられる。
皮膚病、ふけ、点状掌蹠角化症、疥癬、瘢痕の増殖、乾皮症、シラミ、水痘および蕁麻疹などの多くの皮膚障害が、掻痒を引き起こす。前記皮膚病としては、乾癬、湿疹(皮膚炎)、日焼け、足部の水虫、および化膿性汗腺炎が挙げられる。
皮膚の痒みは、根底にある疾病の症状の可能性がある。これらには、肝臓疾患、腎不全、糖尿病、副甲状腺機能亢進、鉄欠乏性貧血、黄疸、胆汁うっ血、尿毒症、赤血球増多症、甲状腺の問題、ならびに白血病およびリンパ腫をはじめとする癌がある。神経系に影響を及ぼす病気 - 多発性硬化症、糖尿病、ピンチナーブおよび帯状ヘルペス(帯状疱疹)など - が、掻痒を引き起こす可能性がある。
掻痒は、羊毛、化粧品、石鹸、ヒスタミン、オピオイド、プロスタグランジン、プロテアーゼ、サイトカイン、ニューロペプチド、詳細にはサブスタンスP、セロトニン、クロロキン、コンパウンド48/80(CAS NO.94724-12-6)および胆汁酸塩などの複数の材料および化学物質により誘起または増大され得る。食物アレルギーもまた、皮膚に掻痒を引き起こす場合がある。
掻痒の感覚を増大すると考えられる因子としては、表皮および真皮の乾燥、組織の酸欠、毛細血管の拡張、刺激を与えること、原発性皮膚疾患および精神障害が挙げられる。
一実施形態において、掻痒は、皮膚掻痒症である。一実施形態において、皮膚掻痒症は、肛門掻痒症である。一実施形態において、皮膚掻痒症は、陰嚢掻痒症である。一実施形態において、皮膚掻痒症は、外陰掻痒症である。一実施形態において、皮膚掻痒症は、肛門陰部掻痒症である。
実施例
実施例1:2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール(1)の調製
ステップ1:メチル6-((3-ブロモフェニル)アミノ)-5-ニトロニコチナート(4)の調製
Figure 0007353663000003

0℃の無水テトラヒドロフラン(750mL)中の6-クロロ-5-ニトロ-ニコチン酸 2(100g、461.72mmol)の撹拌された溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(120.6mL、692.58mmol)を、続いて3-ブロモアニリン 3(55ml、494.1mmol)を滴加した。反応混合物を窒素雰囲気下、周囲温度で24時間撹拌した。反応物をTLCおよびUPLCによりモニタリングした。反応混合物を減圧下で初期容量の半量まで濃縮した。石油エーテル(800mL)を反応混合物に添加し、この懸濁液を1時間撹拌した。出現した橙色固体を吸引濾過し、石油エーテル(300mLで8回)で徹底して洗浄し、メチル6-((3-ブロモフェニル)アミノ)-5-ニトロニコチナート 4(132g、81%)を橙色固体として供給した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.31 (s, 1H, 交換可能なプロトン), 8.94 (s, 1H), 8.82 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.63 (d, J = 7.60 Hz, 1H), 7.41-7.36 (m, 2H), 3.88 (s, 3H); LCMS (ESI): m/z: 352.9 (M+H)+
ステップ2:メチル5-アミノ-6-((3-ブロモフェニル)アミノ)ニコチナート(5)の調製
Figure 0007353663000004

エタノール:THF[1:1;(2600mL)]の混合物中のメチル6-((3-ブロモフェニル)アミノ)-5-ニトロニコチナート 4(485g;1377.28mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、塩化スズ二水和物(932.3g;4131.8mmol)を0℃で少量ずつ添加し、放置して反応混合物の温度を周囲温度にしながら、反応混合物を窒素雰囲気下で20時間撹拌した。反応の進行をTLCおよびUPLCによりモニタリングした。20時間後に、反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣を水(1000mL)で希釈した。水性混合物を5℃で固体重炭酸ナトリウムにより塩基性にした(pHがおよそ9~10になるまで)。その後、クロロホルム(1500mL)を水性部分に添加し、15分間撹拌し、出現した不溶性無機物をCeliteのベッドで濾過した。ベッドをクロロホルム(500mLで5回)で徹底して洗浄した。有機層を分離し、飽和ブライン溶液(800mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して濃縮し、メチル5-アミノ-6-((3-ブロモフェニル)アミノ)ニコチナート 5(350g、78.88%)を灰色がかった固体として産出した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.38 (s, 1H, 交換可能なプロトン), 8.13 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.70 (d, J = 10.00 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.27-7.22 (m, 1H), 7.13-7.10 (m, 1H), 5.31 (s, , 2H, 交換可能なプロトン), 3.80 (s, 3H); LCMS (ESI): m/z: 324.0 (M+H)+
ステップ3:メチル3-(3-ブロモフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキシラート(6)の調製
Figure 0007353663000005


無水THF(3000mL)中のメチル5-アミノ-6-((3-ブロモフェニル)アミノ)ニコチナート 5(350g、1086.41mmol)の撹拌された溶液に、オルトギ酸トリメチル(172.94g、1629.6mmol)を、続いてp-トルエンスルホン酸(pTSA)(61.99g、325.92mmol)を一度に添加し、反応塊を窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。反応の進行をTLCおよびUPLCによりモニタリングした。3時間後に、反応混合物を放置して周囲温度に到達させ、溶媒を減圧除去した。得られた粗製物を水(1000mL)で希釈し、室温で撹拌しながら、水性部分を重炭酸ナトリウムでpHがおよそ9~10になるまで塩基性にした。撹拌をさらに1時間継続した。出現した固体を吸引濾過し、真空下で完全に乾燥させて、粗製の塊状物(380g、105.3%物質収支)をオフホワイト色の固体として供給した。粗製物をクロロホルム(5000mL)に溶解し、ブラインで洗浄して、NaSOで脱水し、濾過して減圧濃縮し、メチル3-(3-ブロモフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキシラート 6(335g、92.83%)をオフホワイト色の固体として供給した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.12 (s, 1H), 9.03 (d, J = 2.00 Hz, 1H), 8.67 (d, J = 2 Hz, 1H), 8.27-8.26 (m, 1H), 8.04-8.01 (m, 1H), 7.73-7.71 (m, 1H), 7.63-7.59 (m, 1H), 3.94 (s, 3H); LCMS (ESI): m/z: 334.0 (M+H)+
ステップ4:2-(3-(3-ブロモフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール(7)の調製
Figure 0007353663000006

-20℃の無水THF(600mL)中のメチル3-(3-ブロモフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキシラート 6(50g、150.53mmol)の撹拌された懸濁液に、MeMgCl溶液[(72mL、143.92mmol);THF中の2M]を窒素雰囲気下で30分の期間に滴加した。反応混合物を-20℃~0℃の反応温度に保持しながら、窒素雰囲気下で3.5時間撹拌した。反応の進行をTLCおよびUPLCによりモニタリングした。3.5時間後に、反応塊を飽和塩化アンモニウム溶液(1500mL)でクエンチし、水層を酢酸エチル(1000mLで3回)で抽出して、ひとまとめにした有機層を飽和ブライン溶液(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して濃縮し、粗製の塊状物(51g、102%物質収支)を褐色ガム状物として供給した。粗製物を、ヘキサン中の20%酢酸エチルを溶離液として用いた中性アルミナのベッドのフラッシュカラムにより精製して、所望の生成物2-(3-(3-ブロモフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール 7(22g、44%)を褐色ガム状物として供給した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.95 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.06 (d, J = 8.00 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 8.00 Hz, 1H), 7.59-7.55 (m, 1H), 5.32 (s, 1H, 交換可能なプロトン), 1.55 (s, 6H); LCMS (ESI): m/z: 334.0 (M+H)。
ステップ5:2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール(1)の調製
Figure 0007353663000007

1,2-ジメトキシエハン(ehane):水[2:1;(45mL)]の混合物中の2-(3-(3-ブロモフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール 7(0.75g、2.25mmol)の撹拌された溶液に、2,4-ジメトキシピリミジン-5-ボロン酸 8(0.456g、2.48mmol)を、続いてNaCO(0.478g、4.51mmol)を添加した。混合物を窒素ガスで25分間脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩酸塩(0.079g、0.112mmol)を上記反応混合物に添加して、窒素雰囲気下で90℃まで加熱した。反応の進行をTLCおよびUPLCによりモニタリングした。15時間後に、反応混合物を放置して周囲温度に到達させ、冷水(75mL)でクエンチした。水性部分を酢酸エチル(200mLで3回)で抽出し、ひとまとめにした有機層をブライン(50mLで2回)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して濃縮し、粗製物(0.865g;物質収支97.8%)を褐色ガム状物として供給した。粗製物を、ヘキサン中の50%酢酸エチルを溶離液として用いたフラッシュカラムにより精製して、所望の生成物(0.575g)をオフホワイト色の固体として供給し、さらに研和して、吸引により濾過および乾燥させ、2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール(1)(0.5g、56.62%)をオフホワイト色の固体として供給した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.94 (s, 1H), 8.60 (d, J = 2.00 Hz, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.24 (d, J = 2.00 Hz, 1H), 8.13-8.12 (m, 1H), 8.01-7.98 (m, 1H), 7.70-7.63 (m, 2H), 5.3 (s, 1H, 交換可能なプロトン), 3.98 (d, J = 4.00 Hz, 6H), 1.55 (s, 6H); LCMS (ESI): m/z: 392.3 (M+H)+、MR:86.0℃~93.4℃。
実施例2:H-フルマゼニルへの結合のインビトロ阻害
組織調製
組換えGABA αβγ受容体の安定した発現を有するHEK-293細胞株を、Ultraglutamine 1、4500mg/l D-グルコース、10%ウシ胎仔血清を有し、以下の抗生物質:zeocin(0.1mg/ml)、ハイグロマイシンB(0.15mg/ml)およびG418(0.5mg/ml)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した(37℃、5%CO)。
培養物が、大型培養フラスコ(175cm)でコンフルエントに達したら、DMEMを除去し、細胞をダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS;KCl:0.2g/l、KHPO:0.2g/l、NaCl:8g/l、NaHPO:1.15g/l)で1回洗浄した。培養物にDPBS 2mlをおよそ5分間添加し、続いて培養フラスコの底部の細胞を穏やかに剥離させた後、細胞を回収した。さらなるDPBS 15mlの添加の後、細胞懸濁液をFalconチューブに移して、3,000rpmで10分間遠心分離した。ペレットをTris-HClまたはTrisクエン酸塩緩衝液(50mM、pH7.1)15ml中でUltra-Turraxホモジナイザーを用いて1回洗浄し、2℃および27,000×gで10分間遠心分離した。洗浄されたペレットをTris-HClまたはTrisクエン酸塩緩衝液(50mM、pH7.1)15mlに再懸濁させて、結合実験の当日まで-80℃で凍結させた。
アッセイ
実験の当日、膜調製物を室温で解凍して、2℃および27,000×gで10分間遠心分離した。ペレットをTrisクエン酸塩緩衝液(50mM、pH7.1)中でUltra-Turraxホモジナイザーを利用して30~150μgタンパク質/アッセイに再懸濁させ、その後、結合アッセイに用いた。細胞懸濁液のアリコット0.5mlを検査溶液25μlおよびH-フルマゼニル(1nM最終濃度)25μlに添加して混合し、二重測定として2℃で40分間インキュベートした。非特異的結合を、クロナゼパム(1μM最終濃度)を使用して決定した。
検査化合物の希釈およびアッセイのインキュベーションは全て、ガラスバイアル/プレートの中で実施した。検査化合物およびH-フルニトラゼパムの溶液を、所望の最終濃度の22倍に調製した。化合物を100%DMSO(10mM原液)に溶解し、48%エタノール-水で希釈して、三重測定として系列希釈物で検査した。Brandel Cell Harvesterを用いたWhatman GF/Cガラス繊維フィルター上への急速な濾過により結合を停止させ、続いて氷冷Trisクエン酸塩緩衝液1mlで10回洗浄した。Tri-Carb(商標)カウンタ(PerkinElmer Life and Analytical Sciences)を用いた従来の液体シンチレーションカウンティングにより、フィルター上の放射線の量を決定した。特異的結合は、全結合から非特異的結合を減算したものである。
結果
Figure 0007353663000008
IC50値は、H-フルマゼニルの特異的結合を50%阻害する検査物質の濃度である、
Figure 0007353663000009
(ここで、Cは、対照アッセイにおける特異的結合であり、Cは、検査アッセイの特異的結合である)。
結論
2-(3-(3-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)フェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)プロパン-2-オール(1)は、0.015μMのK値および0.038μMのIC50値を有することが見出された。
実施例3:卵母細胞の電気生理学的検査
ここで報告されるアッセイは、主な脳GABA受容体サブタイプでのPAMのインビトロ機能的能力および有効性を決定するために実施される。これを確定するために、全濃度応答プロファイルを、アフリカツメガエル卵母細胞内で発現されるα1β2γ2、α2β2γ2、α3β2γ2およびα5β2γ2受容体からの最大GABA誘導性応答の5~20%を発生するGABA濃度で決定した。
アフリカツメガエル卵母細胞の調製
コラゲナーゼで濾胞除去されたアフリカツメガエル卵母細胞を、Ecocyte Bioscienceから得た。注射のために、卵母細胞を改変バース溶液(90mM NaCl、1mM KCl、0.66mM NaNO、2.4mM NaHCO、0.74mM CaCl、0.82mM MgCl、100μg/mlゲンタマイシンおよびpH7.55に調整された10mM HEPES)中で注文設計されたチャンバー内に配置し、Pico Pump(WPI)を用いてcRNA混合物25~50nlと共に注射した。cRNA混合物は、3:1:3比および総濃度0.5μg/μlのGABARサブユニットα、βおよびγ2sを含有している。注射に続いて、卵母細胞を改変バース溶液中、18℃で1~5日間保持した。
二電極電圧クランプの実験
アフリカツメガエル卵母細胞の電気生理学的応答を、二電極電圧クランプ法を利用して測定した。単一の卵母細胞を、2ml/分より多量のOR2(90mM NaCl、2.5mM KCl、2.5mM CaCl、1mM MgClおよび5mM HEPES pH7.4)で継続的に灌流される注文設計の記録チャンバーに配置した。実験アッセイ溶液は、およそ180mOsmの測定モル浸透圧濃度を有する標準のOR2緩衝溶液であった。記録電極は、DMZ-Universalプラー(Zeitz Instrument)を用いてフィラメント(Sutter BF150-110-10)付きのホウケイ酸ガラス管から組み立て、2M KClを埋め戻し、OR2溶液に沈積されると、電極抵抗が0.5~1MΩの範囲内であった。手動のマイクロマニピュレータを用いて卵母細胞を突き刺し、少なくとも1分間-50mV~-80mVの保持電位で平衡にさせて、実験が開始する前に最大漏洩電流が確実に100nAになるようにした。保持電位は通常、典型的な静止電位-25mVよりも有意に低い-60mVに設定した。電流振幅が卵母細胞のバッチで低くなった場合、漏洩電流が100nAを超えないことを条件に、-80mVの保持電位を利用した。電流をGeneclamp 500B増幅器(Axon)により増幅し、20Hzでローパスフィルターにかけて、Digidata 1322A(Axon)により200Hzでデジタル化し、その後、pClamp9スイート(Axon)を用いてPC(Compaq Evo)により記録および解析した。
卵母細胞からおよそ2mmのところに配置され、Teflonチューブを通してGilson 233XLオートサンプラーに接続された、内径1.5mmのキャピラリーチューブ(Modulohm 214813)を通して、化合物溶液を適用した。Gilson 735ソフトウエアスイートを用いて、Gilson装置(233XLオートサンプラー、402ダイリュータおよびMinipuls 3ポンプ)の全てを制御し、pCLAMP9により記録を開始した。適用の間にキャピラリーチューブを通る流速2.5ml/分が、卵母細胞周辺の液体の急速な交換を確実にした。適用の長さを、ピーク電流を得るのに充分となる60秒間継続するように設定した。記録間の時間間隔は5分とし、その間はまた、キャピラリーチューブを通して卵母細胞をOR2で灌流した。
実験データ
各実験データセットで、所与のGABA受容体サブタイプの組み合わせのためのEC-EC20誘発電流を発生することが知られる濃度(0.5~5μM)のOR2に、GABAを溶解し、その後、この溶液を対照に、そして該化合物を溶解して実験で検査するための原液に用いた。完全な実験セットは、GABAの4種の対照トレースと、参照の0.5μMジアゼパムトレースと、10種のGABA対照トレースと、最後に上昇濃度の検査化合物のトレースと、を含有した。個々の卵母細胞は、1つの実験セットの後に廃棄された。
ジアゼパムのモジュレーション効果は、直前にジアゼパムトレースを対照トレースと比較することにより計算された。同様に、検査トレース中の化合物のモジュレーション効果は、検査トレースを直前に対照に比較することにより得られた。個々の卵母細胞間で化合物の効果の比較を可能にするために、全ての化合物の増強を、同じ卵母細胞での対照ジアゼパムの増強に正規化した。
結果
アッセイを化合物1および9について実施し、以下を参照されたく、結果を図1に表す。
Figure 0007353663000010
結論
濃度応答プロファイルから理解され得る通り、化合物1および9によるモジュレーションは、特にαβγ受容体のモジュレーションに関係して、変動する。重要なこととして、αβγ受容体のモジュレーションは、化合物1の場合には0に近似しているが、それは、化合物9では明確に負である。この実施例はまた、2分子間の相対的に小さな構造的差異が生物活性に大きな影響を有することを実証している。
実施例4:ラットにおける慢性絞扼神経損傷(CCI)の機械的アロディニアに及ぼす化合物1の急性および慢性効果
方法
動物:
雄SPRDラット(Taconic)、手術時に140~160グラム
手術:
麻酔を誘導して、酸素(30%)および酸化窒素(68%)と組み合わせた2.5%イソフルランにより保持した。坐骨神経を、坐骨神経三枝分岐の近位の大腿中部で露出させた。血管供給が明らかに損なわれないように、4本のクロムガット結紮糸(4/0)(Ethicon、ニュージャージー州ニューブランズウィック所在)で、神経の周囲を1~2mm離して緩く結紮した。上に横たわる筋肉は、4/0合成吸収性縫合糸で筋層を閉創した。皮膚は、1~2個のクリップで閉創した。
神経を損傷されたラットの行動検査:
手術の3~14日後に、動物を機械的アロディニアの存在についてモニタリングした。評定の前に、個々のラットをホームケージから取り出し、損傷された後足の足底表面に接近できるように高架された金属格子の上に配置された開口部で通気される15×20cm白色Plexiglass検査ケージの中で、ラットを60分間放置して順化させた。機械的アロディニアの存在を、一連の目盛り付きvon Freyヘア(下限=0.1および上限=26g、Stoelting Co、イリノイ州ウッドデール所在)を用いて評定し、その際、ヘアを足底表面に適用して、用いられた個々のフィラメントがちょうど曲がり始めるまで力を加えていった。フィラメントを1~2秒の期間適用し、1~2秒間隔で5回繰り返した。5回の適用のうち3回で足逃避を誘導したフィラメントを、機械的アロディニアの応答が起こる足の閾値(paw threshold threshold)(PWT)を表すと見なした。明らかな神経因性疼痛の行動(アロディニア)を示したそれらの動物のみを、薬物検査の実験に含めた。両側の足で4g以下のPWTを示した動物および対側の足で8g以上のPWTを示した動物を、アロディニアであると見なした。薬物検査の当日、実験担当者には処置について伏せた。薬物処置は、手術後15日目に実施された。
薬物処置:
急性薬物効果:
化合物1:経口投与あたり1、3、10mg/kg、10ml/kg。
前処置:2時間
モルヒネ塩酸塩:6mg/kg遊離塩基重量、1ml/kgの皮下投与。
前処置:30分
化合物1およびモルヒネのビヒクル:水中の5%DMSO+30%(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン(HPBCD)。
統計学的評価:一元配置分散分析、続いて多重比較のためのフィッシャーLSD検定。
慢性薬物効果:
化合物1:経口投与あたり1、3、10mg/kg、10ml/kgを1日1回7日間。
モルヒネ塩酸塩:6mg/kg遊離塩基重量、1ml/kgの皮下投与を1日1回7日間。8日目に、von Freyフィラメントを適用することにより機械的アロディニアをモニタリングし(「基礎レベル」)、その後、ラットに化合物1またはモルヒネ塩酸塩を投与して、投与2時間後および3時間後(化合物1)、または投与30分後(モルヒネ塩酸塩)に再度、von Freyフィラメントにより機械的アロディニアをモニタリングした。
ビヒクル:5%DMSO+30%HPBCD(水中)
統計学的評価:一元配置分散分析、続いて多重比較のためのフィッシャーLSD検定。
結果
化合物1の急性投与は、von Freyヘアを用いて機械的アロディニアをモニタリングすることによる評定では、神経因性疼痛行動の有意な好転をもたらした。最低検査用量の1mg/kgおよび3mg/kgは、処置2時間後および3時間後のモニタリングで、ビヒクル処置に比較して足逃避閾値を有意に増大しており、図2を参照されたい(2時間後:p<0.01、3時間後:p<0.05、一元配置分散分析、続いてフィッシャーLSD事後検定)。ただ10mg/kgでは、統計学的有意性に達することができなかった。モルヒネ塩酸塩6mg/kgもまた、処置2時間後および3時間後にビヒクル処置に比較して足逃避閾値が有意に増大した(それぞれビヒクルに対してp<0.05およびp<0.001)。化合物1の7日の連日投与後、検査の3時間前に1~3、および10mg/kgを前処置された後(それぞれビヒクルに対してp<0.05、0.01および0.01)、そして検査の2時間前に10mg/kg投与された後(ビヒクルに対してp<0.001)に、足逃避閾値の有意な増大が保持された(一元配置分散分析、続いてフィッシャーLSD事後検定)。これに反して、急性薬物投与前のモルヒネでの慢性処置は、アロディニアへの効果を完全に消滅させており、耐性発現が示された(図2)。
結論
この実施例は、化合物1が急性薬物投与後に神経因性疼痛行動を好転させること、およびその効果が慢性薬物投与後に保持されることを実証し、耐性発現がないことを示している。これに反して、オピオイドであるモルヒネ塩酸塩の効果は、耐性発現により慢性投与後に完全に消失する。
実施例5:雄CD-1マウスにおけるコンパウンド48/80に誘導された引っ掻きに及ぼす化合物1の急性効果
方法
動物:
雄CD-1マウス(22~30g)(InterVivo Solutions、カナダ所在)
薬物処置:
動物に以下の処置の1つを施した:化合物1、ビヒクル(陰性対照)またはジフェンヒドラミン塩酸塩(陽性対照);N=マウス8匹/群。検査の30分前に、化合物1をビヒクル(水中の5%DMSO+30%HPBCD)中の3、10および30mg/kgの濃度で強制経口投与により投与した。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、検査の60分前に蒸留水(BEW=1.14)中の5%Tween 80の中の60mg/kgの用量で強制経口投与により投与した。処置は全て、10ml/kgの投与容量で施された。コンパウンド48/80は、生理食塩水中の50μg/0.02mlで頸部に皮内投与された。
行動のモニタリング:
30分にわたる引っ掻き回数の視覚的観察。視覚的評定は、処置について伏せられて実施された。
統計学的評価:
一元配置分散分析、続いて事後比較のためのフィッシャーLSD検定。
結果
化合物1は、ビヒクル処置に比較した引っ掻き回数で評定すると、最小有効用量を10mg/kgで掻痒を有意に軽減し(それぞれ10および30mg/kgでビヒクル処置に対してp<0.01/0.001、一元配置分散分析、続いて事後比較のためのフィッシャーLSD検定)、図3を参照されたい。
結論
この実施例は、化合物1がマウスにおける引っ掻き行動を有意に好転させることを実証し、掻痒に及ぼすプラスの効果を示している。
実施例6:雄スプラグドゥーリー(SD)ラットにおける探索的自発運動に及ぼす化合物1の急性効果
方法
動物:
雄SDラット(180~250グラム、NTac:SD、Taconic、デンマーク所在)
薬物処置:
動物に以下の処置の1つを施した:検査の120分前に、ビヒクル(水中の5%DMSO+30%HPBCD)または化合物1(経口投与あたり3、10、30mg/kg、10ml/kg)。n=6~7匹/用量群。
行動のモニタリング:
投与の2時間後に、おがくずの床敷を減らした新規な標準ホームケージにラットを個別に配置した。フォトセルおよびビームを具備したフレームの中にケージを配置して、自発行動の自動記録を可能にした(TSE MoTil、ドイツ所在)。探索的自発運動を、30分間記録した。
統計学的評価:
一元配置分散分析、続いて事後比較のためのフィッシャーLSD検定。
結果
化合物1は、検査された最高用量(30mg/kg)では雄SDラットにおける探索的自発運動へのいずれの影響も発揮しておらず(一元配置分散分析、続いて事後比較のためのフィッシャーLSD検定)、図4を参照されたい。
結論
この実施例では、化合物1が検査された用量でラットにおける探索的自発運動に影響を及ぼさなかったことが実証され、鎮静を引き起こす傾向がないことが示される。
実施例7:雄スプラグドゥーリー(SD)ラットにおけるロータロッドパフォーマンスに及ぼす化合物1に急性効果
方法
動物:
雄SDラット(150~180グラム、NTac:SD、Taconic、デンマーク所在)
薬物処置:
動物に以下の処置の1つを施した:それぞれ検査の120分前または60分前に、ビヒクル(水中の5%DMSO+30%HPBCD)、化合物1(経口投与あたり3、10、30mg/kg、10ml/kg)またはジアゼパム10mg/kg(経口投与あたり10ml/kg)。n=6~7匹/用量群。
行動のモニタリング:
ラットを、加速するロータロッド(4~40rpm、PanLab)で、薬物検査前の2日間、1日あたり5分間の1トライアルにより訓練した。訓練の2日後に、90秒より長く回転ロッド上に留まることができたラットのみを、この試験に含めた。検査当日に、ラットを回転ロッド上に配置し、4~40rpm/5分の速度で加速し、ロッド上で過ごすことが可能な最小時間を0秒とし、ロッド上で過ごす最大時間を300秒に設定した。化合物1は検査の2時間前に投与したが、陽性対照であるジアゼパムは検査の60分前に投与した。
統計学的評価:
一元配置分散分析、続いて事後比較のためのフィッシャーLSD検定。
結果
落下までの潜時としての測定で、ビヒクル処置ラットに比較して検査された最高用量(30mg/kg)では、化合物1は加速するロッド上でバランスをとるラットの能力に影響を及ぼさなかった。これに反して、ジアゼパムは、ロッドから落下するまでの時間を有意に短縮させており(ビヒクル処置に対してp<0.05)(一元配置分散分析、続いて事後比較のためのフィッシャーLSD検定)、図5を参照されたい。
結論
この実施例では、化合物1が検査された用量では加速するロッド上でバランスを維持するラットの能力を損なわないことが実証され、運動障害を引き起こす傾向がないことが示される。
実施例8:迅速平衡透析法により推定された血漿タンパク質結合
このアッセイの目的は、検査化合物が血漿タンパク質に結合する度合いを決定することである。
方法
迅速平衡透析法(RED)のデバイス:
透析膜(MWCO約8000)の垂直円筒により分離された2つの並列チャンバー(血漿および緩衝液)で構成されたディスポーザブルインサートを用いた。REDデバイスをTeflon製ベースプレート内に配置して、100rpmに設定されたHeidolphインキュベータにおいて37℃で4時間インキュベートした。
アッセイ
このアッセイは、以下のアッセイ記述に従ってリキッドハンドリングシステムで実施した:
・スパイクされた血漿の調製
・Teflon製ベースプレート内に関連の数のREDデバイスを配置して、プレートをインキュベータ上で予備加熱する。
・血漿400μlを血漿チャンバーに添加し、PBS緩衝液600μlを緩衝液チャンバーに添加する。
・140rpmに設定されたHeidolphインキュベータ上で37℃で4時間インキュベートする。
・インキュベーション後に、血漿チャンバーの50μlをエッペンドルフ管に移して、PBS緩衝液50μlを添加する。
・相応に、緩衝液チャンバーの50μlをエッペンドルフ管に移して、血漿50μlを添加する。
・試料の全てをMeCN 300μlで沈殿させる。
・5℃および14000rpm(16000g)で25分間遠心分離する。
・上清を同容量のMilliQ水と共にHPLCバイアルに移す。
・LC-MS/MSおよびSRM検出により分析する。
結果
蛋白質結合を、以下の式を利用して計算した。
Figure 0007353663000011
遊離画分:fu=100-%タンパク質結合
(式中、
bufferは、緩衝液チャンバーからの試料についてLC-MS/MSにより決定された面積である。
plasmaは、血漿チャンバーからの試料についてLC-MS/MSにより決定された面積である。)
化合物1の血漿遊離画分は、マウスでは16%、ラットでは19%であった。
結論
化合物1は、薬理学的効果を発揮するほど豊富に血漿中で遊離している。
実施例9:脳組織結合
この実施例の目的は、迅速平衡透析(RED)法を利用したラット脳ホモジネートへの化合物1のタンパク質結合を評価することである。
材料と器具
ラット脳ホモジネート
ラット脳タンパク質画分を、成体ウィスターラットから単離された新鮮な脳組織から調製した。雄ウィスターラット(Harlan、オランダ所在)を安楽死させて(認可された方法により)、直ちに脳組織を回収した。白質を解離して、組織ホモジネート(10%w/v)をリン酸緩衝生理食塩水pH7.4で調製した。この画分を脳ホモジネートと呼び、この実験で使用した。
平衡透析のための手順
Teflon製ベースプレートの調製
Teflon(登録商標)製ベースプレートのウェルを20%エタノールで10分間すすいだ。エタノールを除去し、ウェルを蒸留水で2回すすぎ、その後、プレートを使用前に放置して乾燥させた。
平衡透析
化合物1(100%DMSO中の2mM 保存液)1μlを脳抽出液200μlに添加した(最終濃度10μM)。試料200μlを試料チャンバー内に入れた。10mM PBS 350μlを緩衝液チャンバー内に添加した。この装置をシーリングテープで覆い、およそ350rpmのオービタルシェーカにおいて37℃で4時間インキュベートして、平衡にした。その後、緩衝液チャンバーと抽出液チャンバーの両方から同容量を取り出し、別のマイクロ遠沈管に入れた。
試料分析のための手順
各透析後試料50μlを、緩衝液チャンバーおよび抽出液チャンバーから別のマイクロ遠沈管へピペットで移した。抽出液50μlを緩衝液試料に添加し、同様に同容量のPBSを回収された抽出試料に添加した。沈殿緩衝液(90/10 アセトニトリル:0.1%ギ酸含有水+内部標準、つまりトルブタミドまたはイブプロフェン、5μg/ml)300μlを添加してタンパク質を沈殿させ、化合物を放出させて、ボルテックス処理し、13,000~15,000gでの10分の遠心分離の前に氷上で30分間インキュベートした。その後、上清をバイアルまたは96ウェルプレートに移して、LC/MS/MSによる定量測定を実施した。緩衝液チャンバーおよび抽出液チャンバー中の化合物1の濃度を、内部標準に相対的なピーク面積から決定した。
結果
非結合画分(fu)を、以下の式を利用して計算した:
Figure 0007353663000012

(式中、
bufferは、緩衝液チャンバーからの試料についてLC-MS/MSにより決定された面積である。
brain homogenateは、脳ホモジネートチャンバーからの試料についてLC-MS/MSにより決定された面積である。)
参照化合物:ハロペリドール(高結合)およびカフェイン(低結合)。
脳組織中の化合物1の遊離画分は、ラットにおいて7%であった。
結論
化合物1は、薬理学的効果を発揮するほど豊富に脳内で遊離している。
実施例10:薬物動態プロファイル
この実施例の目的は、薬物動態データを得ることである。血漿試料は、典型的には6~8のタイムポイントで採取した(N=3~4)。試料を、10の標準を用い、長い標準曲線を利用して分析した。血漿試料をタンパク質沈殿させて、LC-MS/MSを用いた分析後にリキッドハンドリングシステムを利用して希釈した。
アッセイ
標準の調製
2つの各標準セットを、典型的には以下の濃度レベルで調製した:1、3、10、100、300、1,000、3,000、5,000および10,000ng/ml。第一の標準セットを、実行の開始時に分析し、較正に使用した。第二の標準セットは、実行の終了時に分析し、QCとして使用した。
血漿試料の調製
・血漿50μlをアセトニトリル中の内部標準150μlで沈殿させた。
・次に、5℃および16,000g(Eppendorf管)または3,000gマイクロタイタープレート(MTP)で25分間遠心分離。
・上清50μlおよび150Milli-Q水をHPLCバイアル/MTPに移した。
結果
承認基準
検量線上の各ポイントは、公称値から15%変動することが許容される(LLOQは、20%変動し得る)。ポイントがより大きく変動する場合、それは除外され得る。標準曲線は、最低でも5ポイント含まなければならず、2つの連続するポイントを除外してはならない。QCは、検量線の中では標準と同じ承認基準を有する。
薬物動態パラメータは、WinNonlinで計算した。
Figure 0007353663000013
Figure 0007353663000014
AUCを0~8時間で計算し、8時間後の濃度は149ng/mlであった。
結論
化合物1は、ラットにおいて長い半減期および低いクリアランスを示す。化合物1はまた、用量直線性(Cmax)、高い血漿暴露および高い暴露を示す。
実施例11:ヒトおよびラット肝細胞を用いた内因性クリアランス試験
このアッセイでは、化合物1を凍結保存された肝細胞と共に異なるタイムポイントでインキュベートして、化合物1の消失をLC-MS/MSによりモニタリングした。このアッセイで用いられた条件を、以下に要約する。
・アッセイでの化合物濃度:1μM
・肝細胞とのインキュベーションの時間:37℃および5%COで0、15、30、60、90および120分
・肝細胞の細胞密度:106細胞/ml
・アッセイ容量:500μl
・測定の重複数:2
・参照化合物:テストステロン(高クリアランス)
結果
Figure 0007353663000015
結論
化合物1は、ヒトおよびラット肝細胞において低クリアランスを有する。

Claims (12)

  1. 式1:
    で示される化合物、またはその医薬的に許容できる塩。
  2. 請求項1に記載の化合物の治療有効量を含む医薬組成物。
  3. 薬品中での使用のための、請求項1に記載の化合物。
  4. 神経因性疼痛の処置における使用のための、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記神経因性疼痛が、アロディニアである、請求項4に記載の使用のための化合物。
  6. 掻痒の処置における使用のための、請求項1に記載の化合物。
  7. 前記掻痒が、皮膚掻痒症である、請求項6に記載の使用のための化合物。
  8. 前記掻痒が、皮膚病により引き起こされる、請求項6に記載の使用のための化合物。
  9. 前記皮膚病が、乾癬である、請求項8に記載の使用のための化合物。
  10. 前記皮膚病が、湿疹である、請求項8に記載の使用のための化合物。
  11. 求項1に記載の化合物を含む、神経因性疼痛および/または掻痒の処置における使用のための組成物
  12. 神経因性疼痛および/または掻痒の処置のための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
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