JP7352516B2 - 脚運動認識装置及び脚運動補助装置 - Google Patents

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Description

本発明は、対象者の脚の運動のフェーズを推定する機能を有する脚運動認識装置と、対象者の脚の運動を補助する脚運動補助装置とに関する。
従来、例えば、特許文献1に見られるように、対象者の歩行運動を補助する歩行補助装置において、各脚の股関節の角度の観測データを用いて、ニューラルネットワークにより脚のスイング、接地等の運動状態(歩容)を認識する技術が知られている。
米国特許第10575761号明細書
ところで、対象者の歩行等の脚の運動を補助するように該脚に補助力を付与する場合、該脚の運動のフェーズを適切に特定し、そのフェーズに適した補助力を対象者の脚に付与することが望ましい。特に、対象者の脚の足部を該脚の下腿部に対してピッチ方向(該脚の左右方向に延在する軸周りの方向)に揺動させる補助力を該脚に付与する場合等では、足部の運動のフェーズを適切に特定し得ることが望ましい。
この場合、足部の運動のフェーズは、例えば、該足部を空中移動させている状態のフェーズである第1フェーズと、該足部の踵側部分を床面に接地させずに該足部の爪先側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第2フェーズと、該足部の爪先側部分を床面に接地させずに該足部の踵側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第3フェーズと、該足部の底屈及び背屈を行わずに該足部を床面に接地させた状態のフェーズである第4フェーズとに分類し得る。
ここで、一般的な対象者の通常的な歩行動作では、該対象者の足部の運動のフェーズは、第4フェーズ→第2フェーズ→第1フェーズ→第3フェーズ→第4フェーズ→……というパターン(以降、本欄では第1パターンという)のサイクルでの遷移が繰り返される。
従って、対象者の足部の運動のフェーズを上記第1~第4フェーズに分類して特定(推定)する場合、上記のサイクルでの足部の運動のフェーズの遷移を前提として、各フェーズへの遷移を推定することが考えられる。
しかるに、足部の運動のフェーズは、上記のサイクルと異なるサイクルで遷移する場合もある。例えば、対象者の脚の筋力が弱っている場合、あるいは、対象者が階段を昇降する場合等にあっては、空中移動させた足部をその爪先側部分で接地させることが生じ得る。この場合には、足部の運動のフェーズが、第4フェーズ→第2フェーズ→第1フェーズ→第2フェーズ→第4フェーズ→……という、第3フェーズを含まないパターン(以降、本欄では第2パラーンという)のサイクルでの遷移が繰り返される。
従って、前記第1パターンでのフェーズの遷移を前提として足部の運動フェーズを推定すると、対象者の脚の足部の運動が、第2パターンでのフェーズの遷移が行われる運動である場合には、足部の運動のフェーズを適切に推定することができなくなる虞がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、対象者の歩行時等における該対象者の足部の運動のフェーズを適切に推定することを可能とする脚運動認識装置を提供することを目的とする。さらに、本発明の脚運動認識装置を用いて対象者の脚の運動を補助することができる脚運動補助装置を提供することを目的とする。
本発明の脚運動認識装置は、対象者の脚の運動状態を認識する装置であって、前記脚の運動状態の観測データを取得し、前記観測データは、前記対象者の足部のピッチ方向の揺動角度であるピッチ角の変化を示す観測データを含み、該観測データに基づいて、該脚の足部の運動のフェーズを、該足部を空中移動させている状態のフェーズである第1フェーズと、該足部の踵側部分を床面に接地させずに該足部の爪先側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第2フェーズと、該足部の爪先側部分を床面に接地させずに該足部の踵側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第3フェーズと、該足部の底屈及び背屈を行わずに該足部を床面に接地させた状態のフェーズである第4フェーズとに分類して推定する機能を有する運動フェーズ推定部を備えており、該運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移と、前記第1フェーズから前記第3フェーズへの遷移とを区別して推定するように構成されており、前記運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズでの前記足部の運動中における該足部のピッチ角の変化の観測データに基づいて、該第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第2フェーズ及び前記第3フェーズのいずれのフェーズであるかを予測し、該予測に基づいて、前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件と前記第3フェーズへの遷移の判定用の条件とを切り替えるように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
かかる第1発明によれば、対象者の脚の運動パターンを、足部の運動が第1フェーズから第2フェーズへの遷移が生じる運動パターンと、第1フェーズから第3フェーズへの遷移が生じる運動パターンとに区別して、該運動パターンのそれぞれ毎に第1~第4フェーズのそれぞれへの遷移の判定用の条件を設定して、該条件に基づいて各フェーズへの遷移を推定することが可能となる。従って、上記運動パターンのそれぞれ毎に、適切な条件に基づいて各フェーズへの遷移を推定することが可能となる。
よって、第1発明によれば、対象者の歩行時等における該対象者の足部の運動のフェーズを適切に推定することが可能となり、足部のピッチ角の変化の観測データに基づいて、第1フェーズからの遷移先のフェーズが第2フェーズ及び第3フェーズのいずれのフェーズであるかを予測した上で、遷移の判定用の条件を切り替えるので、第1フェーズから第2フェーズ又は第3フェーズへの遷移が実際に生じたときに、そのことを推定することの信頼性を高めることができる。
上記第1発明では、前記観測データは、前記足部と一体に動くように設けられた慣性計測ユニットの検出データを少なくとも含むという態様を採用し得る(第2発明)。
これによれば、対象者の足部の運動加速度や、該足部の姿勢、角速度等の、該足部のフェーズとの相関性が高い観測データを用いて該足部のフェーズを推定することが可能となる。
上記第発明では、前記足部のピッチ角が該足部の底屈側の角度であるときの該ピッチ角を正の角度、前記足部のピッチ角が該足部の背屈側の角度であるときの該ピッチ角を負の角度と定義したとき、前記運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズでの前記足部の運動中における該足部のピッチ角が正の角度域で減少しているときの該ピッチ角の時間的変化率の大きさが第1所定値以下であり、且つ、該ピッチ角が正の角度に維持される場合に、前記第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第2フェーズであると予測し、前記ピッチ角の時間的変化率の大きさが前記第1所定値よりも大きいか、又は、該ピッチ角が正の角度から負の角度に変化した場合に、前記第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第3フェーズであると予測するように構成されていることが好ましい(第発明)。
これによれば、第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第2フェーズ及び前記第3フェーズのいずれのフェーズであるかを予測することの信頼性を高めることが可能となる。
上記第発明では、前記観測データは、前記対象者の足部の鉛直方向のジャークの値を示すデータを含み、前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角の正の角度域での減少の開始後、所定の第1タイミングに達した後における前記足部の鉛直方向のジャークの値に関する条件を少なくとも含むという態様を採用し得る(第発明)
また、上記第発明又は第発明では、前記観測データは、前記対象者の足部のピッチ方向の揺動角度の角加速度であるピッチ角加速度を示す観測データを含み、前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角加速度の値に関する条件を少なくとも含むという態様を採用し得る(第発明)。
上記第発明又は第発明によれば、前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の推定を好適に行うことが可能となる。
上記第~第発明では、前記観測データは、前記対象者の足部の鉛直方向のジャークの値を示すデータを含み、前記第1フェーズから前記第3フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角の正の角度域での減少の開始後、所定の第1タイミングに達した後における前記足部の鉛直方向のジャークの値と該足部のピッチ角の値とに関する条件を少なくとも含むという態様を採用し得る(第発明)。
また、上記第~第発明では、前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角の正の角度域での減少の開始後、所定の第1タイミングに達し、且つ、前記足部のピッチ角が減少から増加に転じてから所定の第2タイミングに達した後における前記足部のピッチ角の値に関する条件を少なくとも含むという態様を採用し得る(第発明)。
上記第発明又は第発明によれば、前記第1フェーズから前記第3フェーズへの遷移の推定を好適に行うことが可能となる。
上記第1~第発明では、前記運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズから前記第2フェーズに遷移したことを推定したとき、続いて、該第2フェーズから前記第4フェーズへの遷移と、該第4フェーズから前記第2フェーズへの遷移と、魏第2フェーズから前記第1フェーズへの遷移とを順番に推定し、前記第1フェーズから前記第3フェーズに遷移したことを推定したとき、続いて、該第3フェーズから前記第4フェーズへの遷移と、該第4フェーズから前記第2フェーズへの遷移と、該第2フェーズから前記第1フェーズへの遷移とを順番に推定するように構成されているという態様を採用し得る(第発明)。
これによれば、対象者の脚の運動パターンが、第4フェーズ→第2フェーズ→第1フェーズ→第3フェーズ→第4フェーズ→……というパターンでフェーズの遷移が繰り返される運動パターンである場合と、第4フェーズ→第2フェーズ→第1フェーズ→第2フェーズ→第4フェーズ→……というパターンでフェーズの遷移が繰り返される運動パターンである場合とで、足部の運動のフェーズの遷移を適切に推定することが可能となる。
また、本発明の脚運動補助装置は、対象者の足部を該対象者の下腿部に対してピッチ方向に揺動させる補助力を、該足部と該下腿部との間にアクチュエータから付与する脚運動補助装置であって、
上記第1~第発明の脚運動認識装置と、前記アクチュエータの作動制御を行う制御装置とを備えており、該制御装置は、前記脚運動認識装置で推定されたフェーズの遷移パターンに応じて前記アクチュエータの作動制御を行い得るように構成されていることを特徴とする(第発明)。
これによれば、対象者の脚の運動パターンに適した態様で、対象者の足部を該対象者の下腿部に対してピッチ方向に揺動させる補助力を発生させることが可能となる。
実施形態の脚運動補助装置を示す側面図 図1の脚運動補助装置に備えた慣性計測ユニットと制御装置とを示すブロック図。 図3Aは通常歩行運動パターンでの足部の運動のフェーズの遷移パターンを示す図、図3Bは爪先接地歩行運動パターンでの足部の運動のフェーズの遷移パターンを示す図。 図4Aは通常歩行運動パターンでの足部のピッチ角の経時変化の例を示すグラフ、図4Bは爪先接地歩行運動パターンでの足部のピッチ角の経時変化の例を示すグラフ。
本発明の一実施形態を図1~図4Bを参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の脚運動認識装置は、対象者Pの歩行時等、各脚の足部の空中移動と接地とを交互に繰り返す運動時に、対象者Pの各脚の運動を補助する脚運動補助装置1に含まれる装置である。
該脚運動補助装置1は、本実施形態では、対象者Pの各脚の足部を下腿部に対してピッチ方向に揺動させる運動(足部を底屈又は背屈させる運動)を補助する補助力を各脚の下腿部と足部との間に付与し得るように各脚に装着される装置である。ここで、上記ピッチ方向は、対象者Pの各脚の左右方向に延在する軸周りの方向である。以降の説明では、脚運動補助装置1の構成に関する「左右方向」及び「前後方向」は、それぞれ、特にことわらない限り、該脚運動補助装置1を対象者Pの脚に装着した状態での該脚の左右方向及び前後方向のそれぞれに一致する方向を意味する。
補足すると、図1は、対象者Pの左脚に装着した脚運動補助装置1を該左脚の外側面側から見た側面図であるが、脚運動補助装置1の以降の説明は、対象者Pの右脚に装着される脚運動補助装置についても同様である。
脚運動補助装置1は、対象者Pの下腿部に装着される下腿部装具2と、対象者Pの足部に装着される足部装具3と、下腿部装具2に取り付けられた下腿部フレーム4と、下腿部フレーム4を足部装具3に連結する足部フレーム5及び連結プレート6と、下腿部フレーム4に対して足部装具3をピッチ方向に揺動させる駆動力を出力するアクチュエータとして下腿部フレーム4に搭載されたアクチュエータ7と、アクチュエータ7から足部装具3への動力伝達を行うリンク機構8とを備える。
下腿部装具2は、対象者Pの下腿部の脛部前面に当接されるパッド20を有する。このパッド20は、該パッド20の上端部の左右の両側部を連結する第1ベルト21と、該パッド20の下端部の左右の両側部を連結する第2ベルト22とを下腿部の背面側に巻き付ける(ひいては、第1ベルト21及び第2ベルト22のそれぞれと、パッド20との間に下腿部を挟み込む)ことにより下腿部に装着される。
下腿部フレーム4は、対象者Pの下腿部に装着したパッド20の前面とその下側の脛部前面とを覆うようにパッド20に取り付けられた半筒状の本体部40と、下腿部の外側面側で本体部40の下端部から下方に延設された延設部41とを有する。
本体部40は、下腿部に装着されたパッド20に対して、左右方向の回転軸線a1周りにピッチ方向に揺動し得るようにパッド20の下部に軸支されている。そして、本体部40の上端部をロック機構15を介してパッド20に係止することで、パッド20に対する本体部40のピッチ方向の姿勢を、対象者Pに適した所要の姿勢で固定し得るようになっている。
また、延設部41は、下腿部装具2を対象者Pの脚の下腿部に装着した状態で、該延設部41の下端部が、該脚の外側面側の踝の側方近辺の箇所(足首関節の側方箇所)に位置し得るように該延設部41の長さ(本体部40の下端からの長さ)等が設定されている。
なお、下腿部フレーム4の本体部40は、パッド20に固定され、あるいは、パッド20と一体に構成されていてもよい。また、延設部41は、その長さや向き(本体部40に対するピッチ方向の向き)を調整し得るように本体部40に取り付けられ得る。
足部装具3は、本実施形態では、例えばシューズ型の装具であり、対象者Pの足部に履かせることで該足部に装着される。なお、足部装具3は、シューズ型のものに限らず、例えばブーツ型、サンダル型等の装具であってもよい。
連結プレート6は、足部装具3に固定された部材である。該連結プレート6は、例えばL字型に屈曲形成されたプレートであり、足部装具3のソール部31の前後方向の中央付近の箇所に、該足部装具3の左右方向に延在するように差し込まれて該足部装具3に固定された第1プレート部61と、足部装具3の外側面側で第1プレート部61から起立するように該第1プレート部61から折り曲げられた第2プレート部62とを有する。
足部フレーム5は、下腿部フレーム4の延設部41の下端部と連結プレート6の第2プレート部62とを連結するリンク部材である。該足部フレーム5は、下腿部フレーム4に対して、左右方向の回転軸線a2周りにピッチ方向に揺動し得るように、該足部フレーム5の延設部41側の端部が延設部41の下端部に軸支されている。この場合、回転軸線a2は、下腿部装具2及び足部装具3を装着した対象者Pの脚の足首関節を通る位置に設定されている。また、足部フレーム5の第2プレート部62側の端部は、該第2プレート部62に固定されている。
従って、足部装具3は、下腿部フレーム4に対して回転軸線a2周りにピッチ方向に揺動し得るように足部フレーム5及び連結プレート6を介して下腿部フレーム4に連結されている。これにより、下腿部装具2及び足部装具3を装着した対象者Pの脚の足部を下腿部に対して底屈側又は背屈側に揺動させることが可能となっている。
アクチュエータ7は、例えば減速機付きの電動モータにより構成され、その出力軸(回転駆動軸)7aの回転軸線a5を左右方向に向けた状態で下腿部フレーム4の本体部40に搭載されている。
リンク機構8は、第1リンク80と第2リンク81とを有し、第1リンク80の一端部がアクチュエータ7の出力軸7aと一体に回転し得るように該出力軸7aに固定されている。また、第2リンク81の一端部が、足部装具3に対して、左右方向の回転軸線a3周りに回転し得るように足部フレーム5の第2プレート部62側の端部に軸支されている。そして、第1リンク80及び第2リンク81の他端部同士が左右方向の回転軸線a4周りに相対回転し得るように連結されている。
これにより、アクチュエータ7の出力軸7aを回転駆動することで、足部装具3が下腿部フレーム4に対して回転軸線a2周りにピッチ方向に揺動し、ひいては足部装具3を装着した対象者Pの足部を底屈側又は背屈側に揺動させる補助力を対象者Pの足部と下腿部との間に付与することが可能である。
例えば、アクチュエータ7の出力軸7aを、図1に示す状態から反時計回り方向に回転駆動することで、対象者Pの足部を足部装具3と共に背屈側に駆動する補助力が対象者Pの下腿部と足部との間に付与される。また、アクチュエータ7の出力軸7aを、図1に示す状態から時計回り方向に回転駆動することで、対象者Pの足部を足部装具3と共に底屈側に駆動する補助力が対象者Pの下腿部と足部との間に付与される。
本実施形態の脚運動補助装置1は、上記の如く構成されているので、下腿部装具2と足部装具3とをそれぞれ対象者Pの脚の下腿部と足部とに装着することで、該脚に装着される。
図1での図示は省略したが、脚運動補助装置1は、さらに図2に示す如く、対象者Pの足部の運動を検出するための検出器としての慣性計測ユニット90(以降、IMU90という)と、アクチュエータ7の作動制御等を行う機能を有する制御装置91とを備えている。
IMU90は、図示しない加速度センサ及び角速度センサを含む計測ユニットであり、3軸の(3次元の)並進加速度と3軸周りの(3次元の)角速度とを検出可能である。該IMU90は、例えば足部装具3の前部、あるいは、連結プレート6、あるいは、足部フレーム5に装着される。
制御装置91は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェス回路、通信モジュール等を含む電子回路ユニットにより構成され、脚運動補助装置1の任意の適所、例えば下腿部フレーム4の本体部40に搭載される。この制御装置91は、IMU90の計測信号を有線通信もしくは無線通信で取得することが可能であると共に、図示しない外部のサーバもしくは通信端末等と無線通信を行うことが可能である。
そして、制御装置91は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、IMU90の計測信号に基づいて対象者Pの足部の姿勢(=足部装具3の姿勢)を推定する足部姿勢推定部91aとしての機能と、対象者Pの脚の運動のフェーズを推定する脚運動フェーズ推定部91bとしての機能と、アクチュエータ7の作動制御を行うアクチュエータ制御部91cとしての機能とを有する。本実施形態では、足部姿勢推定部91aと脚運動フェーズ推定部91bとの組が、本発明における運動フェーズ推定部に相当する。
ここで、足部姿勢推定部91aが推定する足部の姿勢は、より詳しくは、対象者Pの動作環境に設定されるグローバル座標系で見た足部の空間的な姿勢角とその角速度(姿勢角の時間的変化率)である。グローバル座標系としては、例えば図1に例示する如く、上下方向(鉛直方向)をZ軸方向、脚運動補助装置1を装着した対象者Pの前後方向をX軸方向、該対象者Pの左右方向をY軸方向とする3軸直交座標系Csを使用し得る。
この場合、足部姿勢推定部91aが推定する足部の姿勢角は、例えばオイラー角等により表現され得る。以降の説明では、上記3軸直交座標系Cs(グローバル座標系)のX軸周り方向の姿勢角をロール角、Y軸周り方向の姿勢角をピッチ角、Z軸周り方向の姿勢角をヨー角と称し、該ロール角、ピッチ角及びヨー角のそれぞれの角速度(時間的変化率)をロール角速度、ピッチ角速度、ヨー角速度と称する。
脚運動フェーズ推定部91bが推定するフェーズは、本実施形態では、脚運動補助装置1を装着した対象者Pの脚の足部の運動状態のフェーズである。この場合、推定対象のフェーズには、足部を空中移動させている状態のフェーズである第1フェーズと、該足部の踵側部分を床面に接地させずに爪先側部分を床面接地させた状態のフェーズである第2フェーズと、該足部の爪先側部分を床面に接地させずに踵側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第3フェーズと、該足部の底屈及び背屈を行わずに該足部を床面に接地させた状態のフェーズである第4フェーズと、対象者Pが両脚の足部を床面に接地させて該足部の運動を停止した状態のフェーズである第5フェーズとが含まれる。
以降の説明では、上記第1フェーズ、第2フェーズ、第3フェーズ、第4フェーズ、及び第5フフェーズをそれぞれ、スイングフェーズ、爪先接地フェーズ、踵接地フェーズ、フラットフェーズ、停止フェーズということがある。
ここで、対象者Pの通常歩行時(平坦な床での一般的な動作パターンでの歩行時)には、図3Aに示すように、該対象者Pの足部の運動パターンは、フラットフェーズ、爪先接地フェーズ、スイングフェーズ、踵接地フェーズをこの順番で繰り返すようにフェーズが遷移する運動パターンになる。以降、このようにフェーズが遷移する足部の運動パターンを通常歩行運動パターンという。
一方、例えば、脚の筋力が弱い対象者Pの歩行時、あるいは、対象者Pが階段を昇降する場合、あるいは、対象者Pが足踏みをする場合等では、図3Bに示すように、対象者Pの足部の運動パターンは、フラットフェーズ、爪先接地フェーズ、スイングフェーズ、爪先接地フェーズをこの順番で繰り返すようにフェーズが遷移する運動パターンになる。以降、このようにフェーズが遷移する足部の運動パターンを爪先接地歩行運動パターンという
そこで、本実施形態では、脚運動フェーズ推定部91bは、フラットフェーズから爪先接地フェーズへの遷移、爪先接地フェーズからスイングフェーズへの遷移、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移、踵接地フェーズからフラットフェーズへの遷移、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移、及び爪先接地フェーズからフラットフェーズへの遷移のそれぞれの遷移を区別して推定し得るように構成されている。
この場合、フラットフェーズから爪先接地フェーズへの遷移と、爪先接地フェーズからスイングフェーズへの遷移とは通常歩行運動パターン及び爪先接地歩行運動パターンの両方で生じ得る遷移である。また、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移と、踵接地フェーズからフラットフェーズへの遷移とは、通常歩行運動パターンで生じ得る遷移、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移と、爪先接地フェーズからフラットフェーズへの遷移とは、爪先接地歩行運動パターンで生じ得る遷移である。
次に、制御装置91による制御処理をより具体的に説明する。脚運動補助装置1を各脚に装着した対象者Pが歩行等、各脚の足部の空中移動と接地とを交互に行う運動を行うとき、制御装置91は、IMU90の計測信号を逐次取得しつつ、足部姿勢推定部91a、脚運動フェーズ推定部91b及びアクチュエータ制御部91cの処理を実行する。
足部姿勢推定部91aは、IMU90の計測信号により示される加速度(並進加速度)及び角速度の検出データから、例えばストラップダウン方式等の公知の手法を用いてグローバル座標系Csで見た対象者Pの足部の姿勢角(ロール角、ピッチ角及びヨー角)とのその角速度(ロール角速度、ピッチ角速度及びヨー角速度)とを逐次推定する。
脚運動フェーズ推定部91bには、足部姿勢推定部91aによる足部の姿勢角の推定値と角速度の推定値とが入力されると共に、IMU90の計測信号により示される加速度(並進加速度)及び角速度の検出データが逐次入力される。なお、足部姿勢推定部91aの処理は、脚運動フェーズ推定部91bで実行するようにしてもよい。
脚運動フェーズ推定部91bは、例えば、対象者Pの足部の角速度ベクトル(ロール角速度、ピッチ角速度及びヨー角速度のそれぞれの推定値の組から成る3次元ベクトル)のノルム(絶対値)が所定値以下となる状態(該ノルム≒0の状態)が所定時間以上継続している場合に、対象者Pの足部の運動フェーズを停止フェーズとして推定する。そして、脚運動フェーズ推定部91bは、対象者Pの脚の運動の開始に応じて、対象者Pの足部の角速度ベクトルの絶対値が所定値を超えた場合に、停止フェーズからフラットフェーズへの遷移を検知する。
脚運動フェーズ推定部91bは、フラットフェーズへの遷移を検知すると、次に、フラットフェーズから爪先接地フェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を実行する。この判定処理では、脚運動フェーズ推定部91bは、例えば対象者Pの足部の運動状態に関する所定の第1条件が満たされた場合に、フラットフェーズから爪先接地フェーズへの遷移が発生したと判定する。
上記第1条件としては、例えば、対象者Pの足部のピッチ角速度ωyの推定値が正の所定値ωy_th1よりも大きく、且つ、該足部のピッチ角θyの推定値が負の所定値θy_th1よりも大きいという条件が用いられる。
ここで、本実施形態では、対象者Pの足部のピッチ角θyの極性については、例えば該足部の底屈及び背屈が生じていない状態(例えば対象者Pが平坦な床面に直立姿勢で起立した状態)での該足部のピッチ角がゼロ、該足部の底屈側のピッチ角が正の角度、背屈側のピッチ角が負の角度と定義される。そして、上記第1条件におけるヨー角速度ωyに係る所定値ωy_th1と、ヨー角度に係る所定値θy_th1とはあらかじめ実験等に基づいて設定され得る。例えば、ωy_th1がゼロよりも若干大きい正の所定値、θy_th1はゼロよりも若干小さい負の所定値に設定される。
脚運動フェーズ推定部91bは、上記第1条件が満たされると、フラットフェーズから爪先接地フェーズへの遷移の発生を検知する。そして、脚運動フェーズ推定部91bは、次に、爪先接地フェーズからスイングフェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を実行する。この判定処理では、脚運動フェーズ推定部91bは、対象者Pの足部の運動状態に関する所定の第2条件が満たされた場合に、爪先接地フェーズからスイングフェーズへの遷移が発生したと判定する。
上記第2条件としては、例えばIMU90の計測信号により示される対象者Pの足部の爪先の鉛直方向の並進速度Vzの推定値が正の所定値Vz_th2よりも大きく、且つ、該足部のピッチ角速度ωyの推定値が正の所定値ωy_th2よりも大きいという条件が用いられる。
ここで、足部の爪先の鉛直方向の並進速度Vzの正方向は、上向きの方向である。この並進速度Vzの推定値は、例えばIMU90の計測信号により示される対象者Pの足部の鉛直方向の並進加速度(重力加速度成分を除いた運動加速度)を積分してなる速度から、該足部のピッチ角速度ωyに起因する鉛直方向の並進速度を差し引くことで算出される。そして、上記第2条件における並進速度Vzに係る所定値Vz_th2と、ピッチ角速度ωyに係る所定値ωy_th2とはあらかじめ実験等に基づいて設定されている。例えば、Vz_th2は、ゼロよりも若干大きい正の所定値、ωy_th2はゼロよりも若干大きい正の所定値に設定される。
脚運動フェーズ推定部91bは、上記第2条件が満たされると、爪先接地フェーズからスイングフェーズへの遷移の発生を検知する。そして、脚運動フェーズ推定部91bは、次に、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移(通常歩行運動パターンでの遷移)と、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移(爪先接地歩行運動パターンでの遷移)とのいずれの遷移が発生する可能性が高いかを予測し、その予測結果を反映させて、踵接地フェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理、あるいは、爪先接地フェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を選択的に実行する。
ここで、通常歩行運動パターンでのスイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移と、爪先接地歩行運動パターンでのスイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移とでは、一般に、対象者Pの足部のピッチ角θyの変化パターンに特徴的な相違を生じる。
例えば図4Aのグラフは、通常歩行運動パターンでの足部のピッチ角θyの経時変化のグラフを例示し、図4Bのグラフは、爪先接地歩行運動パターンでの足部のピッチ角θyの経時変化を例示している。これらのグラフを比較して判るように、通常歩行運動パターンでは、スイングフェーズの終盤で足部のピッチ角θyが正の角度(底屈側の角度)から負の角度(背屈側の角度)に変化した上で、スイングフェーズから踵接地フェーズに遷移する。
一方、爪先接地歩行運動パターンでは、足部のピッチ角θyが正の角度(底屈側の角度)から負の角度(背屈側の角度)に変化することなく、正の角度域で単調に減少し、スイングフェーズから爪先接地フェーズに遷移する。また、爪先接地歩行運動パターンでは、スイングフェーズでのピッチ角θyの減少時の時間的変化率(すなわちピッチ角速度ωy)の絶対値は、通常歩行運動パターンのスイングフェーズでのピッチ角θyの減少時の時間的変化率(ピッチ角速度ωy)の絶対値よりも小さなものとなる。
そこで、本実施形態では、脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズでの足部のピッチ角θyの減少時(ピッチ角速度ωyの推定値が負の値となっている状態)における該足部のピッチ角速度ωyの推定値の絶対値が正の所定値ωy_th3よりも大きい場合、あるいは、ピッチ角θyの推定値が正の値から負の値に変化した場合には、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移が発生する可能性が高いと予測する。なお、上記所定値ωy_th3は、あらかじめ実験等に基づき設定される。
そして、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移が発生する可能性が高いと予測される場合には、脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を実行する。この判定処理では、脚運動フェーズ推定部91bは、対象者Pの足部の運動状態に関する所定の第3A条件及び第3B条件のいずれか一方の条件が満たされた場合に、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移が発生したと判定する。
上記第3A条件としては、例えば、IMU90の計測信号により示される対象者Pの足部の鉛直方向(前記グローバル座標系CsのZ軸方向)の並進加速度(重力加速度成分を除いた運動加速度)の時間的変化率である鉛直方向ジャークJzが所定値Jz_th3aよりも大きく、且つ、該足部のピッチ角θyの推定値が負の値(背屈側の値)であり、且つ、第1の所定タイミングからの経過時間のカウント値である第1計時カウント値t1が所定時間t1_th3aを越えたという条件が用いられる。なお、第1計時カウント値t1が所定時間t1_th3aを越えるタイミングは、本発明における所定の第1タイミングに相当する。
また、上記第3B条件としては、例えば、第2の所定タイミングからの経過時間のカウント値である第2計時カウント値t2が所定時間t2_th3bを越え、且つ足部のピッチ角θyの推定値が負の値(背屈側の値)であるという条件が用いられる。なお、第2計時カウント値t2が所定時間t2_th3bを越えるタイミングは、本発明における所定の第2タイミングに相当する。
ここで、鉛直方向ジャークJzの正方向は上向きの方向である。また、第1計時カウント値t1の起点タイミングである第1の所定タイミングは、足部のピッチ角速度ωyの推定値が負の所定値ωy_th3aよりも小さい値になった時点である。また、第2計時カウント値t2の起点タイミングである第2の所定タイミングは、足部のピッチ角速度ωyの推定値が所定値ωy_th3bよりも大きい値になり、且つ、前記第1計時カウント値t1が所定時間t1_th3bを越えた時点である。
そして、鉛直方向ジャークJzに係る所定値Jz_th3a(>0)と、第1計時カウント値t1に係る所定時間t1_th3a,t1_th3bと、第2計時カウント値t2に係る所定時間t2_th3bと、足部のピッチ角速度ωyに係る所定値ωy_th3a(<0),ωy_th3b(>0)とはあらかめ実験等に基づいて設定されている。この場合、Jz_th3aは正の所定値、ωy_th3aは負の所定値、ωy_th3bは正の所定値である。
図4Aにおいて、時刻taはスイングフェーズにおいて、上記第3A条件又は第3B条件が満たされた時点、すなわち、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移が発生したと判定される時点を例示している。
なお、本実施形態では、第3A条件及び第3B条件における第1計時カウント値t1に係る所定時間t1_th3a,t1_th3bは、例えば同一の時間に設定されている。ただし、所定時間t1_th3a,t1_th3bは、互いに異なる時間に設定されていてもよい。
また、脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズでの足部のピッチ角θyの減少時(ピッチ角速度ωyの推定値が負の値となっている状態)における該足部のピッチ角速度ωyの推定値の絶対値が前記所定値ωy_th3(>0)以下であり、且つ、該足部のピッチ角θyの推定値が正の値に維持されている場合には、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移が発生する可能性が高いと予測する。
そして、この場合には、脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を実行する。この判定処理では、脚運動フェーズ推定部91bは、対象者Pの足部の運動状態に関する所定の第4A条件及び第4B条件のいずれか一方の条件が満たされた場合に、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移が発生したと判定する。
上記第4A条件としては、例えば、IMU90の計測信号により示される対象者Pの足部の鉛直方向ジャークJzが正の所定値Jz_th4aよりも大きく、且つ、前記第1計時カウント値t1が所定時間t1_th4aを越えたという条件が用いられる。
また、上記第4B条件としては、例えば、対象者Pの足部のピッチ角速度ωyの推定値の時間的変化率として算出されるピッチ角加速度βyが所定値βy_th4bよりも小さいという条件が用いられる。
そして、鉛直方向ジャークJzに係る所定値Jz_th4aと、第1計時カウント値t1に係る所定時間t1_th4aと、ピッチ角加速度βyに係る所定値βy_th4bとはあらかめ実験等に基づいて設定されている。この場合、Jz_th4aは正の所定値、βy_th4bは負の所定値である。
図4Bにおいて、時刻tbはスイングフェーズにおいて、上記第4A条件又は第4B条件が満たされた時点、すなわち、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移が発生したと判定される時点を例示している。
なお、本実施形態では、第4A条件における第1計時カウント値t1に係る所定時間t1_th4aは、例えば、第3A条件における第1計時カウント値t1に係る所定時間t1_th3bと同一の時間に設定されている。ただし、所定時間t1_th43a,t1_th3aは、互いに異なる時間に設定されていてもよい。
脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズにおいて、前記第3A条件又は第3B条件が満たされると、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移の発生を検知する。そして、脚運動フェーズ推定部91bは、次に、踵接地フェーズからフラットフェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を実行する。この判定処理では、脚運動フェーズ推定部91bは、対象者Pの足部の運動状態に関する所定の第5条件が満たされた場合に、踵接地フェーズからフラットフェーズへの遷移が発生したと判定する。
上記第5条件としては、例えば、IMU90の計測信号により示される対象者Pの足部の鉛直方向の並進加速度(重力加速度成分を除いた運動加速度)にローパス特性のフィルタリングを施してなるフィルタリング値Azが正の所定値Az_th5以下となってから所定時間t_th5が経過し、且つ、対象者Pの足部の角速度ベクトルのノルム(絶対値)が正の所定値以下であるという条件が用いられる。
この場合、足部の鉛直方向の並進加速度のフィルタリング値に係る所定値Az_th5と、所定時間t_th5と、角速度ベクトルのノルムに係る所定値とは、あらかじめ実験等に基づき設定されている。本実施形態では、所定時間t_th5は、ピッチ角度θyが負の所定値θy_th5以下である場合と、該所定値θy_th5よりも大きい場合とは、踵接地フェーズの開始時における足部のピッチ角度θyが負の所定値θy_th5以下である場合とで異なる値に設定される。より詳しくは、θy≦θy_th5である場合の所定時間t_th5は、θy>θy_th5である場合の所定時間t_th5よりも長い時間に設定される。
そして、脚運動フェーズ推定部91bは、踵接地フェーズにおいて上記第5条件が満たされると、踵接地フェーズからフラットフェーズへの遷移の発生を検知する。以後は、フラットフェーズから爪先接地フェーズへの遷移の発生を検知する処理が再び再開される。
また、脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズにおいて、前記第4A条件又は第4B条件が満たされると、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移の発生を検知する。そして、脚運動フェーズ推定部91bは、次に、爪先接地フェーズからフラットフェーズへの遷移が発生したか否かの判定処理を実行する。この判定処理では、脚運動フェーズ推定部91bは、対象者Pの足部の運動状態に関する所定の第6条件が満たされた場合に、爪先接地フェーズからフラットフェーズへの遷移が発生したと判定する。
上記第6条件としては、例えば、前記第5条件と同じ条件が用いられる。ただし、第6条件は、第5条件と異なる条件であってもよい。
そして、脚運動フェーズ推定部91bは、爪先接地フェーズにおいて、上記第6条件(=第5条件)が満たされると、爪先接地フェーズからフラットフェーズへの遷移の発生を検知する。以後は、フラットフェーズからのフェーズの遷移を前記した如く推定する処理が再び再開される。
アクチュエータ制御部91cは、脚運動フェーズ推定部91bで上記の如く推定されたフェーズの遷移パターンに応じてアクチュエータの作動制御を行う。例えば、アクチュエータ制御部91cは、脚運動フェーズ推定部91bで推定されたフェーズの遷移パターンから、対象者の脚の運動パターンの種類(本実施形態では、通常歩行運動パターン又は爪先接地歩行運動パターン)を特定すると共に、その特定した運動パターンに含まれる各フェーズの時間幅に基づいて、該運動パターンの周期(1歩分の時間幅)を特定する。
そして、アクチュエータ制御部91cは、特定した運動パターンの種類と、各フェーズでの足部のピッチ角の変化幅等に基づいて、該運動パターンの各フェーズで対象者Pの脚に付与する補助力の大きさ及びその変化パターンを規定するパラメータを決定し、その決定しgたパラメータに応じてアクチュエータ7の作動制御(詳しくは、フェーズの推定を行った1歩の期間の次の一方の期間でのアクチュエータ7の作動制御)を実行する。
以上説明した本実施形態によれば、脚運動フェーズ推定部91bは、スイングフェーズから踵接地フェーズへの遷移を生じる通常歩行運動パターンと、スイングフェーズから爪先接地フェーズへの遷移を生じる爪先接地歩行運動パターンとを区別して、足部の運動のフェーズの遷移を高い信頼性で推定することができる。
このため、対象者Pの脚の運動パターンが通常歩行運動パターンと、爪先接地歩行運動パターンとのいずれの場合でも、それぞれの運動パターンに適した態様で補助力を対象者Pの脚に付与することができる。
なお、以上説明した実施形態では、IMU90を用いて、対象者Pの足部の運動状態を計測したが、対象者Pの足部の運動状態を、例えば該足部の撮影画像からモーションキャプチャ等の手法により検出してもよい。あるいは、IMU90を使用した計測手法と、モーションキャプチャ等の手法とを組み合わせた手法によって、足部の運動状態を計測してもよい。
また、足部の運動のフェーズの遷移の推定対象の運動パターンは、通常歩行運動パターンや、爪先接地歩行運動パターンに限られない。例えばこれらの運動パターンに加えて、対象者Pが後ろ向きに歩く運動パターン(足部の運動のフェーズが、フラットフェーズ→踵接地フェーズ→スイングフェーズ→爪先接地フェーズ→フラットフェーズ→……というように遷移する運動パターン)、あるいは、対象者Pがフラットフェーズを介さずに足踏みをするときのように、足部の運動のフェーズが、爪先接地フェーズ→スイングフェーズ→爪先接地フェーズ→……というように遷移する運動パターンでのフェーズの遷移を推定することも可能である。
また、前記実施形態では、脚運動補助装置1として、対象者Pの足部を下腿部に対してピッチ方向に揺動させる補助力を該足部と下腿部との間に付与する装置を例示したが、本発明の脚運動補助装置は、足部を下腿部に対してピッチ方向に揺動させる補助力の代わりに、あるいは、該補助力に加えて、脚の膝関節及び股関節の両方又は一方での屈伸を補助する補助力を発生する装置であってもよい。
1…脚運動補助装置(脚運動認識装置)、90…慣性計測ユニット、91…制御装置、91a…足部姿勢推定部(運動フェーズ推定部)、91b…脚運動フェーズ推定部(運動フェーズ推定部)、P…対象者。

Claims (9)

  1. 対象者の脚の運動状態を認識する装置であって、
    前記脚の運動状態の観測データを取得し、
    前記観測データは、前記対象者の足部のピッチ方向の揺動角度であるピッチ角の変化を示す観測データを含み、該観測データに基づいて、該脚の足部の運動のフェーズを、該足部を空中移動させている状態のフェーズである第1フェーズと、該足部の踵側部分を床面に接地させずに該足部の爪先側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第2フェーズと、該足部の爪先側部分を床面に接地させずに該足部の踵側部分を床面に接地させた状態のフェーズである第3フェーズと、該足部の底屈及び背屈を行わずに該足部を床面に接地させた状態のフェーズである第4フェーズとに分類して推定する機能を有する運動フェーズ推定部を備えており、該運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移と、前記第1フェーズから前記第3フェーズへの遷移とを区別して推定するように構成されており、
    前記運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズでの前記足部の運動中における該足部のピッチ角の変化の観測データに基づいて、該第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第2フェーズ及び前記第3フェーズのいずれのフェーズであるかを予測し、該予測に基づいて、前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件と前記第3フェーズへの遷移の判定用の条件とを切り替えるように構成されていることを特徴とする脚運動認識装置。
  2. 請求項1記載の脚運動認識装置において、
    前記観測データは、前記足部と一体に動くように設けられた慣性計測ユニットの検出データを少なくとも含むことを特徴とする脚運動認識装置。
  3. 請求項記載の脚運動認識装置において、
    前記足部のピッチ角が該足部の底屈側の角度であるときの該ピッチ角を正の角度、前記足部のピッチ角が該足部の背屈側の角度であるときの該ピッチ角を負の角度と定義したとき、前記運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズでの前記足部の運動中における該足部のピッチ角が正の角度域で減少しているときの該ピッチ角の時間的変化率の大きさが第1所定値以下であり、且つ、該ピッチ角が正の角度に維持される場合に、前記第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第2フェーズであると予測し、前記ピッチ角の時間的変化率の大きさが前記第1所定値よりも大きいか、又は、該ピッチ角が正の角度から負の角度に変化した場合に、前記第1フェーズからの遷移先のフェーズが前記第3フェーズであると予測するように構成されていることを特徴とする脚運動認識装置。
  4. 請求項記載の脚運動認識装置において、
    前記観測データは、前記対象者の足部の鉛直方向のジャークの値を示すデータを含み、
    前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角の正の角度域での減少の開始後、所定の第1タイミングに達した後における前記足部の鉛直方向のジャークの値に関する条件を少なくとも含むことを特徴とする脚運動認識装置。
  5. 請求項3又は4記載の脚運動認識装置において、
    前記観測データは、前記対象者の足部のピッチ方向の揺動角度の角加速度であるピッチ角加速度を示す観測データを含み、
    前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角加速度の値に関する条件を少なくとも含むことを特徴とする脚運動認識装置。
  6. 請求項3~5のいずれか1項に記載の脚運動認識装置において、
    前記観測データは、前記対象者の足部の鉛直方向のジャークの値を示すデータを含み、
    前記第1フェーズから前記第3フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角の正の角度域での減少の開始後、所定の第1タイミングに達した後における前記足部の鉛直方向のジャークの値と該足部のピッチ角の値とに関する条件を少なくとも含むことを特徴とする脚運動認識装置。
  7. 請求項3~6のいずれか1項に記載の脚運動認識装置において、
    前記第1フェーズから前記第2フェーズへの遷移の判定用の条件は、前記足部のピッチ角の正の角度域での減少の開始後、所定の第1タイミングに達し、且つ、前記足部のピッチ角が減少から増加に転じてから所定の第2タイミングに達した後における前記足部のピッチ角の値に関する条件を少なくとも含むことを特徴とする脚運動認識装置。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の脚運動認識装置において、
    前記運動フェーズ推定部は、前記第1フェーズから前記第2フェーズに遷移したことを推定したとき、続いて、該第2フェーズから前記第4フェーズへの遷移と、該第4フェーズから前記第2フェーズへの遷移と、該第2フェーズから前記第1フェーズへの遷移とを順番に推定し、前記第1フェーズから前記第3フェーズに遷移したことを推定したとき、続いて、該第3フェーズから前記第4フェーズへの遷移と、該第4フェーズから前記第2フェーズへの遷移と、該第2フェーズから前記第1フェーズへの遷移とを順番に推定するように構成されていることを特徴とする脚運動認識装置。
  9. 対象者の足部を該対象者の下腿部に対してピッチ方向に揺動させる補助力を、該足部と該下腿部との間にアクチュエータから付与する脚運動補助装置であって、
    請求項1~のいずれか1項に記載の脚運動認識装置と、前記アクチュエータの作動制御を行う制御装置とを備えており、該制御装置は、前記脚運動認識装置で推定されたフェーズの遷移パターンに応じて前記アクチュエータの作動制御を行い得るように構成されていることを特徴とする脚運動補助装置。
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