以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
<第1の実施形態>
図1~図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1について説明する。
[構成]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1の構成について説明する。
図1は、電源システム1の概略構成を示す模式図である。
電源システム1は、具体的には、電動車両に搭載され、車両内の各装置に電力を供給するために用いられるシステムである。
なお、以下で説明する電源システム1は、あくまでも本発明に係る電源システムの一例であり、後述するように、本発明に係る電源システムの構成は電源システム1の構成に特に限定されない。
具体的には、図1に示されるように、電源システム1は、駆動輪9を駆動する動力を出力する駆動用モータ30と、駆動用モータ30に供給される電力を発電する燃料電池10と、駆動用モータ30に供給される電力を蓄電する二次電池20と、電動過給機50と、制御装置100とを備える。さらに、電源システム1は、燃料電池コンバータ41と、二次電池コンバータ42と、第1インバータ43と、第2インバータ44と、二次電池センサ60と、補機90とを備える。
電源システム1が搭載される車両は、燃料電池10または二次電池20の少なくとも一方から供給される電力を用いて駆動される駆動用モータ30を駆動源として走行する。詳細には、主として燃料電池10により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられ、例えば、駆動用モータ30の駆動に要求される電力に対して燃料電池10により発電される電力が不足する場合に二次電池20に蓄電される電力が利用される。
電源システム1において、燃料電池10は、燃料電池コンバータ41を介して第1インバータ43と接続されている。二次電池20は、二次電池コンバータ42を介して第1インバータ43と接続されている。二次電池20および二次電池コンバータ42は、燃料電池10および燃料電池コンバータ41に対して並列に第1インバータ43と接続されている。第1インバータ43は、駆動用モータ30と接続されており、当該駆動用モータ30が駆動輪9と接続されている。
燃料電池10は、燃料ガス(具体的には、水素ガス)と酸化ガス(具体的には、空気)とを反応させることにより発電する電池である。具体的には、燃料電池10は、水素タンク(図示省略)と接続されており、水素タンクには、例えば、燃料電池10に供給される高圧水素が充填されている。そして、モータポンプ(図示省略)等により水素タンクから燃料電池10へ水素ガスが供給されるようになっている。また、燃料電池10には、後述する電動過給機50により酸化ガスとしての空気が供給される。燃料電池10への水素ガスおよび空気の供給量が制御されることによって、燃料電池10の出力が制御される。
燃料電池コンバータ41は、燃料電池10により発電される電力を昇圧可能な電力変換装置である。例えば、燃料電池コンバータ41は、いわゆるチョッパ方式の回路を含むDCDCコンバータであり、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、燃料電池コンバータ41による電力変換が制御される。燃料電池10により発電される電力は、燃料電池コンバータ41および第1インバータ43を介して駆動用モータ30に供給され、駆動用モータ30の駆動に利用される。また、燃料電池10により発電される電力は、燃料電池コンバータ41および二次電池コンバータ42を介して二次電池20に供給され、二次電池20の充電にも利用され得る。
二次電池20は、電力を充放電可能な電池である。二次電池20としては、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池または鉛蓄電池が用いられるが、これら以外の電池が用いられてもよい。
二次電池コンバータ42は、二次電池20に蓄電される電力を昇圧可能であり、さらに燃料電池コンバータ41または第1インバータ43から供給される電力を降圧可能な電力変換装置である。例えば、二次電池コンバータ42は、いわゆるチョッパ方式の回路を含むDCDCコンバータであり、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、二次電池コンバータ42による電力変換が制御される。二次電池20に蓄電される電力は、二次電池コンバータ42および第1インバータ43を介して駆動用モータ30に供給され、駆動用モータ30の駆動に利用される。
補機90は、車両に備えられた各種機器(例えば、空調機器または音響機器等)である。補機90は、二次電池20と接続され、例えば、二次電池20から供給される電力を用いて駆動される。なお、図1では、補機90が二次電池コンバータ42を介して二次電池20と接続されている例が示されているが、補機90と二次電池20との接続関係はこのような例に特に限定されず、例えば、二次電池20と二次電池コンバータ42との間に補機90が介在していてもよい。また、二次電池20と補機90との間には、二次電池20に蓄電される電力を降圧して補機90に供給可能なDCDCコンバータが設けられていてもよい。
駆動用モータ30は、動力を出力可能であり、駆動用モータ30から出力される動力は、駆動輪9に伝達される。駆動用モータ30としては、例えば、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータが用いられる。また、駆動用モータ30は、車両の減速時に回生駆動されて駆動輪9の回転エネルギを用いて発電する発電機としての機能(つまり、回生機能)も有する。
第1インバータ43は、燃料電池コンバータ41または二次電池コンバータ42から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用モータ30に供給可能であり、さらに駆動用モータ30により発電される交流電力を直流電力に変換して二次電池コンバータ42に供給可能な電力変換装置である。第1インバータ43は、例えば、多相ブリッジ回路(例えば、三相ブリッジ回路)を含み、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、第1インバータ43による電力変換が制御される。駆動用モータ30により発電される電力(つまり、回生電力)は、基本的には、第1インバータ43および二次電池コンバータ42を介して二次電池20に供給され、二次電池20の充電に利用される。
電源システム1には、燃料電池10に空気を供給する機構である空気供給機構110が設けられている。ここで、図1および図2を参照して、空気供給機構110の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る空気供給機構110の概略構成を示す模式図である。具体的には、図2では、燃料電池10による発電が行われている時(以下、燃料電池10の発電時とも呼ぶ)における空気供給機構110の様子が示されており、その際の空気供給機構110における空気の流れが矢印によって示されている。
図2に示されるように、空気供給機構110は、コンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50と、燃料電池10に供給される空気が流通する空気供給路111と、燃料電池10から排出される空気が流通する空気排出路112と、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側と空気排出路112におけるタービン52より上流側とをバイパスするバイパス路113と、コンプレッサ51とタービン52との間の空気の流路から分岐してタービン52を迂回する分岐路114とを備える。コンプレッサ51は、空気供給路111におけるバイパス路113との接続部分よりも上流側に位置しており、燃料電池10は、当該接続部分よりも下流側に位置している。
燃料電池10の発電時には、空気供給機構110において、電動過給機50のコンプレッサ51により電源システム1の外部の空気が空気供給路111に吸引され、燃料電池10に空気供給路111を介して空気が供給される。そして、燃料電池10に供給された空気は、燃料電池10内で水素ガスと反応した後に空気排出路112に排出される。燃料電池10から排出された空気は、電動過給機50のタービン52に回転力(つまり、タービン52を回転させる力)を付与しながら空気排出路112を流通し、電源システム1の外部に排出される。
詳細には、電動過給機50は、コンプレッサ51と、タービン52と、コンプレッサ用モータ53とを有する。具体的には、同軸上に配置されているコンプレッサ51とタービン52との間に、コンプレッサ用モータ53が設けられている。
コンプレッサ51は、空気供給路111に設けられている。コンプレッサ51は、空気を圧縮して吸引するものである。ゆえに、コンプレッサ51が回転駆動されることによって、電源システム1の外部の空気が空気供給路111に吸引される。
タービン52は、空気排出路112に設けられている。タービン52は、流体の運動エネルギを回転エネルギに変換する機能を有する。ゆえに、空気排出路112中でタービン52が空気の流れを受けることによって、回転エネルギを生成することができる。
コンプレッサ用モータ53は、コンプレッサ51を駆動する動力を出力する。コンプレッサ用モータ53としては、例えば、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータが用いられる。具体的には、図1に示されるように、コンプレッサ用モータ53は、第2インバータ44を介して二次電池20と接続されており、二次電池20から第2インバータ44を介して供給される電力を用いて駆動される。
第2インバータ44は、二次電池コンバータ42から供給される直流電力を交流電力に変換してコンプレッサ用モータ53に供給可能な電力変換装置である。第2インバータ44は、例えば、多相ブリッジ回路(例えば、三相ブリッジ回路)を含み、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、第2インバータ44による電力変換が制御される。
空気供給路111は、空気の吸入口とコンプレッサ51とを接続する第1供給路111aと、コンプレッサ51と燃料電池10とを接続する第2供給路111bとを有する。なお、各供給路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
第2供給路111bには、開閉弁121が設けられている。開閉弁121は、第2供給路111b内の空気の流れを断接する機能を有する。開閉弁121が開状態のときには、第2供給路111b内で開閉弁121を介して空気が流通可能な状態となり、開閉弁121が閉状態のときには、第2供給路111b内で開閉弁121により空気の流通が遮断された状態となる。つまり、開閉弁121は、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10に供給される状態(開閉弁121の開状態と対応)と、コンプレッサ51により供給される空気の燃料電池10への供給が停止した状態(開閉弁121の閉状態と対応)とを切り替える機能を有する。
空気排出路112は、燃料電池10とタービン52とを接続する第1排出路112aおよび第2排出路112bと、タービン52と空気の排出口とを接続する第3排出路112cとを有する。第1排出路112aは、第2排出路112bに対して上流側に位置しており、燃料電池10と接続されている。一方、第2排出路112bは、タービン52と接続されている。なお、各排出路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
第1排出路112aには、開閉弁122が設けられている。開閉弁122は、第1排出路112a内の空気の流れを断接する機能を有する。開閉弁122が開状態のときには、第1排出路112a内で開閉弁122を介して空気が流通可能な状態となり、開閉弁122が閉状態のときには、第1排出路112a内で開閉弁122により空気の流通が遮断された状態となる。
第3排出路112cには、背圧調整弁131が設けられている。背圧調整弁131は、第3排出路112c内における当該背圧調整弁131より上流側での空気の圧力を調整する機能を有する。具体的には、背圧調整弁131の開度が調整されることによって、背圧調整弁131を通過する空気の流量が調整されることにより、第3排出路112c内における背圧調整弁131より上流側での空気の圧力が調整される。
バイパス路113は、第2供給路111bにおける開閉弁121より上流側と、第2排出路112bとの間に亘って設けられている。なお、バイパス路113は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
バイパス路113には、開閉弁123が設けられている。開閉弁123は、バイパス路113内の空気の流れを断接する機能を有する。開閉弁123が開状態のときには、バイパス路113内で開閉弁123を介して空気が流通可能な状態となり、開閉弁123が閉状態のときには、バイパス路113内で開閉弁123により空気の流通が遮断された状態となる。つまり、開閉弁123は、コンプレッサ51により供給される空気がバイパス路113を介して第2排出路112bに供給される状態(開閉弁123の開状態と対応)と、コンプレッサ51により供給される空気のバイパス路113を介した第2排出路112bへの供給が停止した状態(開閉弁123の閉状態と対応)とを切り替える機能を有する。
分岐路114は、空気排出路112におけるタービン52より上流側から分岐してタービン52を迂回する。具体的には、分岐路114は、第1排出路112aと第2排出路112bとの接続部から分岐し、空気の排出口と接続されている。なお、分岐路114は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。また、分岐路114と接続される排出口は、第3排出路112cと接続される排出口と同一であってもよく(つまり、分岐路114が第3排出路112cと合流していてもよく)、異なっていてもよい。
分岐路114には、背圧調整弁132が設けられている。背圧調整弁132は、分岐路114内における当該背圧調整弁132より上流側での空気の圧力を調整する機能を有する。具体的には、背圧調整弁132の開度が調整されることによって、背圧調整弁132を通過する空気の流量が調整されることにより、分岐路114内における背圧調整弁132より上流側での空気の圧力が調整される。
燃料電池10の発電時には、詳細には、二次電池20の電力を用いてコンプレッサ用モータ53が駆動される。それにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、開閉弁121および開閉弁122が開状態となり、開閉弁123が閉状態となるように各開閉弁が制御される。また、背圧調整弁131が開状態(つまり、空気を通す状態)となり、背圧調整弁132が基本的に閉状態(つまり、空気を通さない状態)となるように各背圧調整弁が制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路111a、コンプレッサ51、第2供給路111b、燃料電池10、第1排出路112a、第2排出路112b、タービン52、第3排出路112cの順に流れる。
ここで、コンプレッサ51が回転駆動される際に、コンプレッサ51とタービン52とは、一体的に回転する。よって、燃料電池10の発電時には、空気の運動エネルギを用いてタービン52によって生成される回転エネルギが電動過給機50の回転に利用される状態となる。それにより、電費の向上が実現される。
なお、上記のように、開閉弁121,122,123および背圧調整弁131,132は、コンプレッサ51により供給される空気の流れを切り替える機構の一例(つまり、本発明に係る切替機構の一例)に相当する。後述するように、回生電力消費制御では、コンプレッサ51により供給される空気の流れが発電時とは異なる。このような発電時と回生電力消費制御との間での空気の流れの切り替えは、具体的には、上記の切替機構が駆動されることによって実現される。
以下、図1に戻り、電源システム1の構成の説明を続ける。
二次電池センサ60は、二次電池20の各種状態量を検出し、制御装置100へ出力する。例えば、二次電池センサ60は、二次電池20の残存容量(以下、SOC(State Of Charge)とも呼ぶ)、温度、電圧および内部抵抗を検出する。なお、二次電池センサ60は、二次電池20の各セルの電圧を検出してもよい。
制御装置100は、電源システム1における各装置の動作を制御することによって、電源システム1内の電力の供給を制御する。
例えば、制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)およびCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
具体的には、制御装置100は、燃料電池10、燃料電池コンバータ41、二次電池コンバータ42、第1インバータ43および第2インバータ44の動作を制御することによって、電源システム1内の電力の供給を制御する。
例えば、制御装置100は、燃料電池10および二次電池20から駆動用モータ30への電力の供給を制御することによって、駆動用モータ30の出力を制御することができる。
また、例えば、制御装置100は、燃料電池10から二次電池20への電力の供給を制御することによって、燃料電池10の発電電力を用いた二次電池20の充電を制御することができる。
また、例えば、制御装置100は、駆動用モータ30から二次電池20への電力の供給を制御することによって、駆動用モータ30の回生電力を用いた二次電池20の充電を制御することができる。
また、制御装置100は、二次電池センサ60と通信することによって、当該二次電池センサ60から出力される情報を取得する。このように得られる情報は、電源システム1内の電力の供給の制御に関する処理に利用される。
制御装置100は、上述したように、電源システム1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
なお、本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。制御装置100が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
上記のように、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力を用いた二次電池20の充電を制御する。しかしながら、上述したように、二次電池20が満充電である場合等の特定の状況下では、駆動用モータ30の回生電力を二次電池20以外の供給先で消費する必要が生じる。ここで、制御装置100は、燃料電池10の空気の供給を停止した状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路114に供給されるように、当該空気の流れを制御する。それにより、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することが可能となる。このような、制御装置100により行われる回生電力消費制御に関する処理の詳細については、後述にて説明する。
[動作]
続いて、図3~図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1の動作について説明する。
図3は、制御装置100が行う回生電力消費制御の実行可否の判定に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示される制御フローは、具体的には、電源システム1の起動後に繰り返し実行される。
図3に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否か(つまり、回生電力を二次電池20への充電によって消費し切ることが困難であるか否か)を判定する。回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定された場合(ステップS501/YES)、ステップS502に進む。一方、回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定されなかった場合(ステップS501/NO)、ステップS501の判定処理が繰り返される。
制御装置100は、具体的には、アクセル開度およびブレーキ操作量に基づいて、駆動用モータ30の回生電力を決定する。詳細には、制御装置100は、アクセル操作が緩められた場合、アクセル操作が行われていない場合、またはブレーキ操作が行われている場合に、駆動用モータ30に回生発電を行わせる。そして、制御装置100は、それらの場合において、アクセル開度およびブレーキ操作量に基づいて、回生電力を決定し、決定された回生電力での発電を駆動用モータ30に行わせる。
また、制御装置100は、二次電池20に関する各種情報に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することができる。
例えば、制御装置100は、二次電池20のSOCに基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、二次電池20のSOCが基準SOCより高い場合、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定してもよい。基準SOCは、例えば、回生電力を用いて二次電池20の充電を行った場合に二次電池20が満充電になる可能性が比較的高いか否かを適切に判定し得る値に適宜設定される。
また、制御装置100は、二次電池20のSOCに基づいて当該二次電池20の許容充電量(つまり、単位時間あたりに二次電池20に充電可能な電力量)を特定し、二次電池20の許容充電量が駆動用モータ30により回生発電される単位時間あたりの電力量よりも小さい場合、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定してもよい。
なお、制御装置100は、二次電池20のSOCを適切に特定する観点では、二次電池20の各セルの電圧に基づいて、二次電池20のSOCを特定することが好ましい。また、制御装置100は、二次電池20の許容充電量を適切に特定する観点では、二次電池20のSOCに加えて二次電池20の温度に基づいて、二次電池20の許容充電量を特定することが好ましい。
ここで、ステップS501の判定処理を二次電池20のSOCに基づいて行う場合、より適切に判定を行う観点では、制御装置100は、二次電池20と接続される補機90の要求電力(つまり、補機90を駆動する電力の要求値)に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。
具体的には、制御装置100は、ステップS501の判定処理を二次電池20のSOCと基準SOCとの比較によって行う場合、補機90の要求電力が大きいほど、当該基準SOCを高くすることが好ましい。また、制御装置100は、ステップS501の判定処理を二次電池20の許容充電量と回生発電される単位時間あたりの電力量との比較によって行う場合、二次電池20の許容充電量が駆動用モータ30により回生発電される単位時間あたりの電力量から補機90の要求電力を減算して得られる値よりも小さいことをもって、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定することが好ましい。
また、例えば、制御装置100は、二次電池20の異常の診断結果に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、二次電池20が異常であると診断される場合、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定してもよい。
なお、二次電池20の異常は、制御装置100によって診断されてもよく、制御装置100と通信する他の装置によって診断されてもよい。例えば、二次電池20の電圧(具体的には、開放端電圧)が基準電圧より低い場合、二次電池20が異常である(具体的には、二次電池20が短絡している)と診断される。基準電圧は、例えば、二次電池20の1つのセルが短絡した場合に想定される二次電池20の開放端電圧より高く、正常時における二次電池20の開放端電圧より低い値に設定される。また、例えば、二次電池20の内部抵抗が基準抵抗より大きい場合、二次電池20が異常である(具体的には、二次電池20が劣化している)と診断される。基準抵抗は、例えば、二次電池20の1つのセルで劣化が生じた場合に想定される二次電池20の内部抵抗より小さく、正常時における二次電池20の内部抵抗より大きい値に設定される。
ステップS501でYESと判定された場合、ステップS502において、制御装置100は、回生電力消費制御を実行する。そして、図3に示される制御フローは終了する。回生電力消費制御は、上述したように、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53を駆動させる制御である。
ここで、制御装置100は、燃料電池10への空気の供給を停止した状態で、回生電力消費制御を実行する。また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路114に供給されるように、当該空気の流れを制御する。
具体的には、開閉弁121および開閉弁122が閉状態となり、開閉弁123が開状態となるように各開閉弁を制御し、背圧調整弁131および背圧調整弁132が開状態となるように各背圧調整弁を制御することによって、コンプレッサ51により供給される空気が回生電力消費制御用の流れとなる。ゆえに、例えば、ステップS501でYESと判定された際に、各弁の開閉状態が回生電力消費制御用の上記の状態になっていない場合、制御装置100は、各弁の開閉状態が回生電力消費制御用の上記の状態となるように各弁を駆動させた後に回生電力消費制御を実行する。
ここで、図4を参照して、回生電力消費制御について、詳細に説明する。図4は、回生電力消費制御の実行時における空気供給機構110の様子を示す模式図である。具体的には、図4では、回生電力消費制御の実行時の空気供給機構110における空気の流れが矢印によって示されている。
図4に示されるように、回生電力消費制御において、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53が駆動されることにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、上述したように、開閉弁121および開閉弁122が閉状態となり、開閉弁123が開状態となるように、各開閉弁が制御される。また、背圧調整弁131および背圧調整弁132が開状態となるように、各背圧調整弁が制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路111a、コンプレッサ51、第2供給路111b、バイパス路113、第2排出路112bの順に流れた後、第2排出路112bにおいて、タービン52に向かう方向と分岐路114に向かう方向とに分かれる。よって、コンプレッサ51により供給される空気の一部は、タービン52に供給された後、第3排出路112cを通って排気される。一方、コンプレッサ51により供給される空気の他の一部は、分岐路114に供給された後、排気される。
上述したように、回生電力消費制御において、燃料電池10への空気の供給は停止する。ゆえに、燃料電池10に空気が送られることにより燃料電池10の電解質膜が乾燥してしまうことを抑制することができる。
また、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路114に供給される。
ゆえに、例えば、コンプレッサ51により供給される空気の全てがタービン52を迂回して排気される場合と異なり、コンプレッサ51に連れ回されるタービン52に空気を供給させることにより、タービン52における空気の流量と圧力との関係が異常となることを抑制することができる。それにより、タービン52の破損や騒音が生じることを抑制することができる。
さらに、例えば、コンプレッサ51により供給される空気の全てがタービン52に供給される場合と比較して、空気の流れによりタービン52に付与される回転力を低減することができる。それにより、タービン52からコンプレッサ51に伝達される動力を低減することができるので、電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。
上記のように、電源システム1によれば、燃料電池10の空気供給機構110にコンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50を利用しつつ、タービン52の破損や騒音が生じること、および電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。ゆえに、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
また、上記で説明した図3に示される制御フローのように、駆動用モータ30の回生電力を二次電池20以外の供給先で消費する必要性に対応した適切なタイミングで回生電力消費制御を実行する観点では、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定される場合に、回生電力消費制御を実行することが好ましい。
ここで、図5を参照して、回生電力消費制御における処理の詳細について説明する。
図5は、制御装置100が行う回生電力消費制御における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示される制御フローは、具体的には、図3におけるステップS502において実行される。
図5に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS521において、制御装置100は、コンプレッサ用モータ53の消費電力の目標値を決定する。
例えば、制御装置100は、駆動用モータ30により回生発電される単位時間あたりの電力量と補機90の要求電力に基づいて、コンプレッサ用モータ53の消費電力の目標値を決定する。具体的には、駆動用モータ30の回生電力をできるだけ多く消費する観点では、コンプレッサ用モータ53の消費電力の目標値は、例えば、駆動用モータ30により回生発電される単位時間あたりの電力量から補機90の要求電力を減算して得られる値程度に決定されることが好ましい。なお、コンプレッサ用モータ53の消費電力の目標値は、予め設定された値に決定されてもよい。また、コンプレッサ用モータ53の消費電力の目標値は、二次電池20の電圧(またはSOC)を所定値以下に保つ観点で決定されてもよい。この場合、例えば、コンプレッサ用モータ53の消費電力の目標値は、二次電池20の実電圧と目標電圧との差(または実SOCと目標SOCとの差)に基づいて決定され得る。
次に、ステップS522において、制御装置100は、コンプレッサ51に関する各種目標値を決定する。
具体的には、制御装置100は、コンプレッサ用モータ53の消費電力がステップS521で決定した目標値と同程度になるように、コンプレッサ51に関する各種目標値を決定する。制御装置100は、コンプレッサ51に関する各種目標値として、例えば、コンプレッサ51の過給圧、コンプレッサ51により吸引される空気の流量およびコンプレッサ用モータ53の回転数等の目標値を決定する。
次に、ステップS523において、制御装置100は、タービン52における空気の流量の目標値を決定する。
具体的には、制御装置100は、タービン52における空気の流量の目標値を、タービン52における空気の流量と圧力との関係が異常となること(ひいては、タービン52の破損や騒音が生じること)を適切に抑制し得る程度に大きな値に決定する。ただし、回生電力消費制御において電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを効果的に抑制する観点では、タービン52における空気の流量をできるだけ小さくすることが好ましい。つまり、制御装置100は、タービン52における空気の流量の目標値を、タービン52における空気の流量と圧力との関係が異常となることを適切に抑制し得る範囲で必要最低限の値に決定することが好ましい。
ここで、タービン52における空気の流量と圧力との関係の異常の生じやすさは、コンプレッサ51の過給圧に応じて変化する。具体的には、コンプレッサ51の回転数を一定としたとき、コンプレッサ51の過給圧が低いほど、タービン52における空気の圧力差が不足しやすくなる。ゆえに、タービン52の破損や騒音が生じることをより適切に抑制する観点では、制御装置100は、コンプレッサ51の過給圧に基づいて、タービン52における空気の圧力差の目標値(目標圧力差)を決定することが好ましい。この目標圧力差が実現されるように背圧調整弁131の通気抵抗の目標値を定めることが好ましい。例えば、コンプレッサ51の過給圧が低いほど、背圧調整弁131における通気抵抗の目標値を小さくすることが好ましい。背圧調整弁131における通気抵抗はコンプレッサ51の過給圧、回転数およびタービン52おける空気の流量によって定まるため、背圧調整弁131における通気抵抗の代わりにタービン52おける空気の流量の目標値を定める手法を用いてもよい。例えば、コンプレッサ51の過給圧が低いほど、タービン52における空気の流量の目標値を大きくすることが好ましい。
また、タービン52における空気の流量と圧力との関係の異常の生じやすさは、コンプレッサ用モータ53の回転数に応じて変化する。具体的には、コンプレッサ51の過給圧を一定としたとき、コンプレッサ用モータ53の回転数が高いほど、タービン52における空気の圧力差が不足しやすくなる。ゆえに、タービン52の破損や騒音が生じることをより適切に抑制する観点では、制御装置100は、コンプレッサ用モータ53の回転数に基づいて、タービン52における空気の圧力差の目標値(目標圧力差)を決定することが好ましい。この目標圧力差が実現されるように背圧調整弁131の通気抵抗の目標値を定めることが好ましい。例えば、コンプレッサ51の回転数が高いほど、背圧調整弁131における通気抵抗の目標値を小さくすることが好ましい。背圧調整弁131における通気抵抗はコンプレッサ51の過給圧、回転数およびタービン52おける空気の流量によって定まるため、背圧調整弁131における通気抵抗の代わりにタービン52おける空気の流量の目標値を定める手法を用いてもよい。例えば、コンプレッサ用モータ53の回転数が高いほど、タービン52における空気の流量の目標値を大きくすることが好ましい。
次に、ステップS524において、制御装置100は、各背圧調整弁131,132の開度の目標値を決定する。
具体的には、制御装置100は、コンプレッサ51の過給圧、コンプレッサ51により吸引される空気の流量およびタービン52における空気の流量がステップS522およびステップS523で決定した目標値と同程度になるように、各背圧調整弁131,132の開度の目標値を決定する。
次に、ステップS525において、制御装置100は、各背圧調整弁131,132およびコンプレッサ用モータ53を駆動させ、図5に示される制御フローは終了する。
具体的には、制御装置100は、各背圧調整弁131,132の開度がステップS524で決定した目標値と同程度になるように、各背圧調整弁131,132を駆動させる。また、制御装置100は、コンプレッサ用モータ53の回転数がステップS522で決定した目標値と同程度になるように、コンプレッサ用モータ53を駆動させる。
なお、制御装置100は、回生電力消費制御において、各背圧調整弁131,132およびコンプレッサ用モータ53の動作の制御として、各種制御量とその目標値との差に基づく制御(つまり、フィードバック制御)をさらに行うことが好ましい。上記の各種制御量は、例えば、コンプレッサ用モータ53の消費電力、コンプレッサ51の過給圧、コンプレッサ51により吸引される空気の流量またはタービン52における空気の流量等である。
上記で説明した図5に示される制御フローのように、タービン52の破損や騒音が生じることをより適切に抑制する観点では、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51の過給圧またはコンプレッサ用モータ53の回転数に基づいて、タービン52における空気の流量を制御することが好ましい。
上記では、図4および図5を参照して、制御装置100が行う回生電力消費制御に関する処理の例を説明したが、制御装置100は、上記で説明した処理以外の処理を行ってもよい。
例えば、回生電力消費制御を迅速に開始する観点では、制御装置100は、回生電力消費制御の非実行時に、燃料電池10の発電要求が生じる可能性が基準より低いと判定される場合、回生電力消費制御用に切替機構(具体的には、各開閉弁及び各背圧調整弁)を予め駆動させる(具体的には、開閉弁121および開閉弁122が閉状態となり、開閉弁123が開状態となり、背圧調整弁131および背圧調整弁132が開状態となるように各弁を駆動させる)ことが好ましい。例えば、主として二次電池20により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられる場合において、燃料電池10の発電電力を用いた二次電池20の充電が行われないと予想される程度に二次電池20のSOCが高い場合に、燃料電池10の発電要求が生じる可能性が基準より低いと判定される。なお、上記基準は、例えば、数値であってもよい。
[効果]
続いて、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1の効果について説明する。
本実施形態に係る電源システム1では、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側と、空気排出路112におけるタービン52より上流側とは、バイパス路113によってバイパスされている。また、コンプレッサ51とタービン52との間の空気の流路から分岐してタービン52を迂回する分岐路114が設けられている。また、制御装置100は、燃料電池10への空気の供給を停止した状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いてコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。そして、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路114に供給されるように、当該空気の流れを制御する。
それにより、燃料電池10の空気供給機構110にコンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50を利用しつつ、タービン52の破損や騒音が生じること、および電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。また、燃料電池10の発電時には、空気の運動エネルギを用いてタービン52によって生成される回転エネルギを電動過給機50の回転に利用することができる。ゆえに、燃料電池10および二次電池20を備える電源システム1において、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、分岐路114は、空気排出路112におけるタービン52より上流側から分岐してタービン52を迂回する。それにより、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路114に供給されるような当該空気の流れを適切に実現することができる。ゆえに、タービン52の破損や騒音が生じること、および電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51の過給圧に基づいて、タービン52における空気の流量を制御することが好ましい。それにより、タービン52における空気の流量を、タービン52における空気の流量と圧力との関係の異常の生じやすさに応じて適切に制御することができる。ゆえに、タービン52の破損や騒音が生じることをより適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ用モータ53の回転数に基づいて、タービン52における空気の流量を制御することが好ましい。それにより、タービン52における空気の流量を、タービン52における空気の流量と圧力との関係の異常の生じやすさに応じて適切に制御することができる。ゆえに、タービン52の破損や騒音が生じることをより適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定される場合に、回生電力消費制御を実行することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力を二次電池20以外の供給先で消費する必要性に対応した適切なタイミングで回生電力消費制御を実行することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、二次電池20のSOCに基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かの判定を、二次電池20のSOCの変化に応じて適切に行うことができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、二次電池20と接続される補機90の要求電力に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かの判定を二次電池20のSOCに基づいて行う場合において、当該判定をより適切に行うことができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、二次電池20の異常の診断結果に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かの判定を、二次電池20の異常の有無に応じて適切に行うことができる。
また、本実施形態に係る電源システム1は、コンプレッサ51により供給される空気の流れを切り替える切替機構(具体的には、各開閉弁及び各背圧調整弁)を備える。また、制御装置100は、回生電力消費制御の非実行時に、燃料電池10の発電要求が生じる可能性が基準より低いと判定される場合、回生電力消費制御用に切替機構を予め駆動させることが好ましい。それにより、回生電力消費制御を迅速に開始することができる。ゆえに、駆動用モータ30の回生電力をより適切に消費することができる。
<第2の実施形態>
図6および図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2について説明する。
[構成]
まず、図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2の構成について説明する。
第2の実施形態に係る電源システム2では、上述した第1の実施形態に係る電源システム1と比較して、燃料電池10に空気を供給する機構である空気供給機構の構成が異なる。具体的には、電源システム2は、電源システム1の空気供給機構110と異なる空気供給機構210を備える。なお、電源システム2における空気供給機構210以外の構成要素については、電源システム1と同様であるので、説明を省略する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る空気供給機構210の概略構成を示す模式図である。具体的には、図6では、燃料電池10の発電時における空気供給機構210の様子が示されており、その際の空気供給機構210における空気の流れが矢印によって示されている。
空気供給機構210では、上述した電源システム1における空気供給機構110と比較して、コンプレッサ51とタービン52との間の空気の流路において分岐路が分岐する位置が異なる。具体的には、図6に示されるように、空気供給機構210は、電動過給機50と、空気供給路111と、空気排出路112と、バイパス路113と、空気供給路111から分岐する分岐路214とを備える。なお、空気供給機構210では、空気供給機構110と同様に、空気供給路111の第2供給路111bに開閉弁121が設けられており、空気排出路112の第1排出路112aに開閉弁122が設けられており、バイパス路113に開閉弁123が設けられており、空気排出路112の第3排出路112cに背圧調整弁131が設けられている。
詳細には、分岐路214は、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側から分岐して燃料電池10およびタービン52を迂回する。具体的には、分岐路214は、空気供給路111の第2供給路111bにおける開閉弁121より上流側から分岐し、空気の排出口と接続されている。なお、分岐路214は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。また、分岐路214と接続される排出口は、第3排出路112cと接続される排出口と同一であってもよく(つまり、分岐路214が第3排出路112cと合流していてもよく)、異なっていてもよい。
分岐路214には、背圧調整弁232が設けられている。背圧調整弁232は、分岐路214内における当該背圧調整弁232より上流側での空気の圧力を調整する機能を有する。具体的には、背圧調整弁232の開度が調整されることによって、背圧調整弁232を通過する空気の流量が調整されることにより、分岐路214内における背圧調整弁232より上流側での空気の圧力が調整される。
燃料電池10の発電時には、詳細には、二次電池20の電力を用いてコンプレッサ用モータ53が駆動される。それにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、開閉弁121および開閉弁122が開状態となり、開閉弁123が閉状態となるように各開閉弁が制御される。また、背圧調整弁131が開状態(つまり、空気を通す状態)となり、背圧調整弁232が基本的に閉状態(つまり、空気を通さない状態)となるように各背圧調整弁が制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路111a、コンプレッサ51、第2供給路111b、燃料電池10、第1排出路112a、第2排出路112b、タービン52、第3排出路112cの順に流れる。
なお、上記のように、開閉弁121,122,123および背圧調整弁131,232は、コンプレッサ51により供給される空気の流れを切り替える機構の一例(つまり、本発明に係る切替機構の一例)に相当する。後述するように、回生電力消費制御では、コンプレッサ51により供給される空気の流れが発電時とは異なる。このような発電時と回生電力消費制御との間での空気の流れの切り替えは、具体的には、上記の切替機構が駆動されることによって実現される。
[動作]
続いて、図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2の動作について説明する。
例えば、制御装置100は、上述した図3および図5に示される制御フローと同様の処理を行う。ゆえに、制御装置100は、例えば、上述した第1の実施形態と同様に、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定される場合に、回生電力消費制御を実行する。
ここで、制御装置100は、上述した第1の実施形態と同様に、燃料電池10の空気の供給を停止した状態で、回生電力消費制御を実行する。また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路214に供給されるように、当該空気の流れを制御する。
具体的には、開閉弁121および開閉弁122が閉状態となり、開閉弁123が開状態となるように各開閉弁を制御し、背圧調整弁131および背圧調整弁232が開状態となるように各背圧調整弁を制御することによって、コンプレッサ51により供給される空気が回生電力消費制御用の流れとなる。
図7は、回生電力消費制御の実行時における空気供給機構210の様子を示す模式図である。具体的には、図7では、回生電力消費制御の実行時の空気供給機構210における空気の流れが矢印によって示されている。
図7に示されるように、回生電力消費制御において、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53が駆動されることにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、上述したように、開閉弁121および開閉弁122が閉状態となり、開閉弁123が開状態となるように、各開閉弁が制御される。また、背圧調整弁131および背圧調整弁232が開状態となるように、各背圧調整弁が制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路111a、コンプレッサ51、第2供給路111bの順に流れた後、第2供給路111bにおいて、バイパス路113に向かう方向と分岐路214に向かう方向とに分かれる。よって、コンプレッサ51により供給される空気の一部は、バイパス路113を介してタービン52に供給された後、第3排出路112cを通って排気される。一方、コンプレッサ51により供給される空気の他の一部は、分岐路214に供給された後、排気される。
上述したように、回生電力消費制御において、燃料電池10への空気の供給は停止する。ゆえに、燃料電池10に空気が送られることにより燃料電池10の電解質膜が乾燥してしまうことを抑制することができる。また、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路214に供給される。ゆえに、電源システム2によれば、上述した電源システム1と同様に、燃料電池10の空気供給機構210にコンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50を利用しつつ、タービン52の破損や騒音が生じること、および電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。ゆえに、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
[効果]
続いて、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2の効果について説明する。
本実施形態に係る電源システム2では、上述した電源システム1と同様に、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側と、空気排出路112におけるタービン52より上流側とは、バイパス路113によってバイパスされている。また、コンプレッサ51とタービン52との間の空気の流路から分岐してタービン52を迂回する分岐路214が設けられている。また、制御装置100は、燃料電池10への空気の供給を停止した状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いてコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。そして、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路214に供給されるように、当該空気の流れを制御する。それにより、上述した電源システム1と同様に、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
また、本実施形態に係る電源システム2では、分岐路214は、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側から分岐して燃料電池10およびタービン52を迂回する。それにより、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気の一部がバイパス路113を介してタービン52に供給され、当該空気の他の一部が分岐路214に供給されるような当該空気の流れを適切に実現することができる。ゆえに、タービン52の破損や騒音が生じること、および電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを適切に抑制することができる。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
例えば、上記では、電源システム1,2が搭載される車両において、主として燃料電池10により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられる例を主に説明したが、主として二次電池20により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられてもよい。
また、例えば、上記では、電源システム1,2において分岐路114,214が空気の排出口と接続される例を説明したが、分岐路114,214は、車両に搭載される空気を利用する各種装置と接続されていてもよい。その場合、回生電力消費制御において、分岐路114,214に送られた空気は、当該分岐路114,214を接続される装置の駆動に利用される。
また、例えば、上記では、各図面を参照して、電源システム1,2の構成について説明したが、本発明に係る電源システムの構成は、このような例に限定されず、例えば、電源システム1,2に対して一部の構成要素の削除、追加または変更を加えたものであってもよい。例えば、図1に示される電源システム1から二次電池コンバータ42を削除したものも、本発明に係る電源システムに含まれる。また、例えば、図2および図6にそれぞれ示される空気供給機構110,210に対して気液分離機、各種電磁弁または放熱部を追加した空気供給機構を備えるものも、本発明に係る電源システムに含まれる。
また、例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。