以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
<第1の実施形態>
図1~図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1について説明する。
[構成]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1の構成について説明する。
図1は、電源システム1の概略構成を示す模式図である。
電源システム1は、具体的には、電動車両に搭載され、車両内の各装置に電力を供給するために用いられるシステムである。
なお、以下で説明する電源システム1は、あくまでも本発明に係る電源システムの一例であり、後述するように、本発明に係る電源システムの構成は電源システム1の構成に特に限定されない。
具体的には、図1に示されるように、電源システム1は、駆動輪9を駆動する動力を出力する駆動用モータ30と、駆動用モータ30に供給される電力を発電する燃料電池10と、駆動用モータ30に供給される電力を蓄電する二次電池20と、電動過給機50と、制御装置100とを備える。さらに、電源システム1は、燃料電池コンバータ41と、二次電池コンバータ42と、第1インバータ43と、第2インバータ44と、二次電池センサ60と、補機90とを備える。
電源システム1が搭載される車両は、燃料電池10または二次電池20の少なくとも一方から供給される電力を用いて駆動される駆動用モータ30を駆動源として走行する。詳細には、主として燃料電池10により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられ、例えば、駆動用モータ30の駆動に要求される電力に対して燃料電池10により発電される電力が不足する場合に二次電池20に蓄電される電力が利用される。
電源システム1において、燃料電池10は、燃料電池コンバータ41を介して第1インバータ43と接続されている。二次電池20は、二次電池コンバータ42を介して第1インバータ43と接続されている。二次電池20および二次電池コンバータ42は、燃料電池10および燃料電池コンバータ41に対して並列に第1インバータ43と接続されている。第1インバータ43は、駆動用モータ30と接続されており、当該駆動用モータ30が駆動輪9と接続されている。
燃料電池10は、燃料ガス(具体的には、水素ガス)と酸化ガス(具体的には、空気)とを反応させることにより発電する電池である。具体的には、燃料電池10は、水素タンク(図示省略)と接続されており、水素タンクには、例えば、燃料電池10に供給される高圧水素が充填されている。そして、モータポンプ(図示省略)等により水素タンクから燃料電池10へ水素ガスが供給されるようになっている。また、燃料電池10には、後述する電動過給機50により酸化ガスとしての空気が供給される。燃料電池10への水素ガスおよび空気の供給量が制御されることによって、燃料電池10の出力が制御される。
燃料電池コンバータ41は、燃料電池10により発電される電力を昇圧可能な電力変換装置である。例えば、燃料電池コンバータ41は、いわゆるチョッパ方式の回路を含むDCDCコンバータであり、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、燃料電池コンバータ41による電力変換が制御される。燃料電池10により発電される電力は、燃料電池コンバータ41および第1インバータ43を介して駆動用モータ30に供給され、駆動用モータ30の駆動に利用される。また、燃料電池10により発電される電力は、燃料電池コンバータ41および二次電池コンバータ42を介して二次電池20に供給され、二次電池20の充電にも利用され得る。
二次電池20は、電力を充放電可能な電池である。二次電池20としては、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池または鉛蓄電池が用いられるが、これら以外の電池が用いられてもよい。
二次電池コンバータ42は、二次電池20に蓄電される電力を昇圧可能であり、さらに燃料電池コンバータ41または第1インバータ43から供給される電力を降圧可能な電力変換装置である。例えば、二次電池コンバータ42は、いわゆるチョッパ方式の回路を含むDCDCコンバータであり、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、二次電池コンバータ42による電力変換が制御される。二次電池20に蓄電される電力は、二次電池コンバータ42および第1インバータ43を介して駆動用モータ30に供給され、駆動用モータ30の駆動に利用される。
補機90は、車両に備えられた各種機器(例えば、空調機器または音響機器等)である。補機90は、二次電池20と接続され、例えば、二次電池20から供給される電力を用いて駆動される。なお、図1では、補機90が二次電池コンバータ42を介して二次電池20と接続されている例が示されているが、補機90と二次電池20との接続関係はこのような例に特に限定されず、例えば、二次電池20と二次電池コンバータ42との間に補機90が介在していてもよい。また、二次電池20と補機90との間には、二次電池20に蓄電される電力を降圧して補機90に供給可能なDCDCコンバータが設けられていてもよい。
駆動用モータ30は、動力を出力可能であり、駆動用モータ30から出力される動力は、駆動輪9に伝達される。駆動用モータ30としては、例えば、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータが用いられる。また、駆動用モータ30は、車両の減速時に回生駆動されて駆動輪9の回転エネルギを用いて発電する発電機としての機能(つまり、回生機能)も有する。
第1インバータ43は、燃料電池コンバータ41または二次電池コンバータ42から供給される直流電力を交流電力に変換して駆動用モータ30に供給可能であり、さらに駆動用モータ30により発電される交流電力を直流電力に変換して二次電池コンバータ42に供給可能な電力変換装置である。第1インバータ43は、例えば、多相ブリッジ回路(例えば、三相ブリッジ回路)を含み、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、第1インバータ43による電力変換が制御される。駆動用モータ30により発電される電力(つまり、回生電力)は、基本的には、第1インバータ43および二次電池コンバータ42を介して二次電池20に供給され、二次電池20の充電に利用される。
電源システム1には、燃料電池10に空気を供給する機構である空気供給機構110が設けられている。ここで、図1および図2を参照して、空気供給機構110の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る空気供給機構110の概略構成を示す模式図である。具体的には、図2では、燃料電池10による発電が行われている時(以下、燃料電池10の発電時とも呼ぶ)における空気供給機構110の様子が示されており、その際の空気供給機構110における空気の流れが矢印によって示されている。
図2に示されるように、空気供給機構110は、燃料電池10に供給される空気が流通する空気供給路111と、燃料電池10から排出される空気が流通する空気排出路112と、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側から分岐して燃料電池10およびタービン52を迂回する分岐路113と、コンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50とを備える。
燃料電池10の発電時には、空気供給機構110において、電動過給機50のコンプレッサ51により電源システム1の外部の空気が空気供給路111に吸引され、燃料電池10に空気供給路111を介して空気が供給される。そして、燃料電池10に供給された空気は、燃料電池10内で水素ガスと反応した後に空気排出路112に排出される。燃料電池10から排出された空気は、電動過給機50のタービン52に回転力(つまり、タービン52を回転させる力)を付与しながら空気排出路112を流通し、電源システム1の外部に排出される。
詳細には、電動過給機50は、コンプレッサ51と、タービン52と、コンプレッサ用モータ53と、クラッチ54とを有する。具体的には、同軸上に配置されているコンプレッサ51とタービン52との間にクラッチ54が設けられており、コンプレッサ用モータ53は、コンプレッサ51とクラッチ54との間に設けられている。
コンプレッサ51は、空気供給路111に設けられている。コンプレッサ51は、空気を圧縮して吸引するものである。ゆえに、コンプレッサ51が回転駆動されることによって、電源システム1の外部の空気が空気供給路111に吸引される。
タービン52は、空気排出路112に設けられている。タービン52は、流体の運動エネルギを回転エネルギに変換する機能を有する。ゆえに、空気排出路112中でタービン52が空気の流れを受けることによって、回転エネルギを生成することができる。
コンプレッサ用モータ53は、コンプレッサ51を駆動する動力を出力する。コンプレッサ用モータ53としては、例えば、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータが用いられる。具体的には、図1に示されるように、コンプレッサ用モータ53は、第2インバータ44を介して二次電池20と接続されており、二次電池20から第2インバータ44を介して供給される電力を用いて駆動される。
第2インバータ44は、二次電池コンバータ42から供給される直流電力を交流電力に変換してコンプレッサ用モータ53に供給可能な電力変換装置である。第2インバータ44は、例えば、多相ブリッジ回路(例えば、三相ブリッジ回路)を含み、当該回路に設けられるスイッチング素子の動作が制御されることによって、第2インバータ44による電力変換が制御される。
クラッチ54は、コンプレッサ51とタービン52との間の動力の伝達を断接するものである。クラッチ54としては、例えば、コンプレッサ51と接続されているコンプレッサ51側の摩擦板と、タービン52と接続されているタービン52側の摩擦板とを含む電磁式のクラッチが用いられる。両摩擦板が離隔しており、コンプレッサ51とタービン52との間の動力の伝達が遮断されている状態が、クラッチ54が開放されている状態に相当する。一方、両摩擦板が接触しており、コンプレッサ51とタービン52との間で動力が伝達されるようになっている状態が、クラッチ54が閉鎖されている状態に相当する。
空気供給路111は、空気の吸入口とコンプレッサ51とを接続する第1供給路111aと、コンプレッサ51と燃料電池10とを接続する第2供給路111bおよび第3供給路111cとを有する。第2供給路111bは、第3供給路111cに対して上流側に位置しており、コンプレッサ51と接続されている。一方、第3供給路111cは、燃料電池10と接続されている。なお、各供給路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
第2供給路111bと第3供給路111cとの間には、三方弁121が設けられており、三方弁121には、分岐路113が接続されている。三方弁121は、第2供給路111bがいずれの通路と連通するかを切り替える弁であり、第2供給路111bと第3供給路111cとが連通する状態と、第2供給路111bと分岐路113(具体的には、第1分岐路113a)とが連通する状態とを切り替える機能を有する。
上記のように、三方弁121は、コンプレッサ51により供給される空気の流れを切り替える機構の一例(つまり、本発明に係る切替機構の一例)に相当する。具体的には、三方弁121によって、コンプレッサ51により供給される空気が分岐路113に送られる状態となるか否かが切り換えられる。分岐路113は、後述する回生電力消費制御において利用される。
空気排出路112は、燃料電池10とタービン52とを接続する第1排出路112aと、タービン52と空気の排出口とを接続する第2排出路112bとを有する。なお、各排出路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
分岐路113は、三方弁121と空気の排出口とを接続する第1分岐路113aおよび第2分岐路113bを有する。第1分岐路113aは、第2分岐路113bに対して上流側に位置しており、三方弁121と接続されている。一方、第2分岐路113bは、空気の排出口と接続されている。なお、各分岐路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。また、第2分岐路113bと接続される排出口は、第2排出路112bと接続される排出口と同一であってもよく(つまり、第2分岐路113bが第2排出路112bと合流していてもよく)、異なっていてもよい。
第1分岐路113aと第2分岐路113bとの間には、背圧調整弁122が設けられている。背圧調整弁122は、空気供給機構110内における当該背圧調整弁122より上流側での空気の圧力を調整する機能を有する。
燃料電池10の発電時には、詳細には、クラッチ54が閉鎖された状態で、二次電池20の電力を用いてコンプレッサ用モータ53が駆動される。それにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、三方弁121が、第2供給路111bと第3供給路111cとが連通する状態となるように制御される。それにより、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10に送られるように、当該空気の流れが制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路111a、コンプレッサ51、第2供給路111b、第3供給路111c、燃料電池10、第1排出路112a、タービン52、第2排出路112bの順に流れる。
上述したように、燃料電池10の発電時には、クラッチ54が閉鎖されている状態となっている。ゆえに、コンプレッサ51とタービン52とが一体的に回転する。よって、空気の運動エネルギを用いてタービン52によって生成される回転エネルギが電動過給機50の回転に利用される状態となる。それにより、電費の向上が実現される。
以下、図1に戻り、電源システム1の構成の説明を続ける。
二次電池センサ60は、二次電池20の各種状態量を検出し、制御装置100へ出力する。例えば、二次電池センサ60は、二次電池20の残存容量(以下、SOC(State Of Charge)とも呼ぶ)、温度、電圧および内部抵抗を検出する。なお、二次電池センサ60は、二次電池20の各セルの電圧を検出してもよい。
制御装置100は、電源システム1における各装置の動作を制御することによって、電源システム1内の電力の供給を制御する。
例えば、制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)およびCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
具体的には、制御装置100は、燃料電池10、燃料電池コンバータ41、二次電池コンバータ42、第1インバータ43、第2インバータ44およびクラッチ54の動作を制御することによって、電源システム1内の電力の供給を制御する。
例えば、制御装置100は、燃料電池10および二次電池20から駆動用モータ30への電力の供給を制御することによって、駆動用モータ30の出力を制御することができる。
また、例えば、制御装置100は、燃料電池10から二次電池20への電力の供給を制御することによって、燃料電池10の発電電力を用いた二次電池20の充電を制御することができる。
また、例えば、制御装置100は、駆動用モータ30から二次電池20への電力の供給を制御することによって、駆動用モータ30の回生電力を用いた二次電池20の充電を制御することができる。
また、制御装置100は、二次電池センサ60と通信することによって、当該二次電池センサ60から出力される情報を取得する。このように得られる情報は、電源システム1内の電力の供給の制御に関する処理に利用される。
制御装置100は、上述したように、電源システム1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
なお、本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。制御装置100が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
上記のように、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力を用いた二次電池20の充電を制御する。しかしながら、上述したように、二次電池20が満充電である場合等の特定の状況下では、駆動用モータ30の回生電力を二次電池20以外の供給先で消費する必要が生じる。ここで、制御装置100は、電動過給機50のクラッチ54を開放させた状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。それにより、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することが可能となる。このような、制御装置100により行われる回生電力消費制御に関する処理の詳細については、後述にて説明する。
[動作]
続いて、図3および図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1の動作について説明する。
図3は、制御装置100が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示される制御フローは、具体的には、制御装置100により行われる回生電力消費制御に関する処理の流れであり、電源システム1の起動後に繰り返し実行される。
図3に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否か(つまり、回生電力を二次電池20への充電によって消費し切ることが困難であるか否か)を判定する。回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定された場合(ステップS501/YES)、ステップS502に進む。一方、回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定されなかった場合(ステップS501/NO)、ステップS501の判定処理が繰り返される。
制御装置100は、具体的には、アクセル開度およびブレーキ操作量に基づいて、駆動用モータ30の回生電力を決定する。詳細には、制御装置100は、アクセル操作が緩められた場合、アクセル操作が行われていない場合、またはブレーキ操作が行われている場合に、駆動用モータ30に回生発電を行わせる。そして、制御装置100は、それらの場合において、アクセル開度およびブレーキ操作量に基づいて、回生電力を決定し、決定された回生電力での発電を駆動用モータ30に行わせる。
また、制御装置100は、二次電池20に関する各種情報に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することができる。
例えば、制御装置100は、二次電池20のSOCに基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、二次電池20のSOCが基準SOCより高い場合、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定してもよい。基準SOCは、例えば、回生電力を用いて二次電池20の充電を行った場合に二次電池20が満充電になる可能性が比較的高いか否かを適切に判定し得る値に適宜設定される。
また、制御装置100は、二次電池20のSOCに基づいて当該二次電池20の許容充電量(つまり、単位時間あたりに二次電池20に充電可能な電力量)を特定し、二次電池20の許容充電量が駆動用モータ30により回生発電される単位時間あたりの電力量よりも小さい場合、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定してもよい。
なお、制御装置100は、二次電池20のSOCを適切に特定する観点では、二次電池20の各セルの電圧に基づいて、二次電池20のSOCを特定することが好ましい。また、制御装置100は、二次電池20の許容充電量を適切に特定する観点では、二次電池20のSOCに加えて二次電池20の温度に基づいて、二次電池20の許容充電量を特定することが好ましい。
ここで、ステップS501の判定処理を二次電池20のSOCに基づいて行う場合、より適切に判定を行う観点では、制御装置100は、二次電池20と接続される補機90の要求電力(つまり、補機90を駆動する電力の要求値)に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。
具体的には、制御装置100は、ステップS501の判定処理を二次電池20のSOCと基準SOCとの比較によって行う場合、補機90の要求電力が大きいほど、当該基準SOCを高くすることが好ましい。また、制御装置100は、ステップS501の判定処理を二次電池20の許容充電量と回生発電される単位時間あたりの電力量との比較によって行う場合、二次電池20の許容充電量が駆動用モータ30により回生発電される単位時間あたりの電力量から補機90の要求電力を減算して得られる値よりも小さいことをもって、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定することが好ましい。
また、例えば、制御装置100は、二次電池20の異常の診断結果に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定する。
具体的には、制御装置100は、二次電池20が異常であると診断される場合、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定してもよい。
なお、二次電池20の異常は、制御装置100によって診断されてもよく、制御装置100と通信する他の装置によって診断されてもよい。例えば、二次電池20の電圧(具体的には、開放端電圧)が基準電圧より低い場合、二次電池20が異常である(具体的には、二次電池20が短絡している)と診断される。基準電圧は、例えば、二次電池20の1つのセルが短絡した場合に想定される二次電池20の開放端電圧より高く、正常時における二次電池20の開放端電圧より低い値に設定される。また、例えば、二次電池20の内部抵抗が基準抵抗より大きい場合、二次電池20が異常である(具体的には、二次電池20が劣化している)と診断される。基準抵抗は、例えば、二次電池20の1つのセルで劣化が生じた場合に想定される二次電池20の内部抵抗より小さく、正常時における二次電池20の内部抵抗より大きい値に設定される。
ステップS501でYESと判定された場合、ステップS502において、制御装置100は、回生電力消費制御を実行する。そして、図3に示される制御フローは終了する。回生電力消費制御は、上述したように、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53を駆動させる制御である。
ここで、制御装置100は、電動過給機50のクラッチ54を開放させた状態で、回生電力消費制御を実行する。ゆえに、例えば、ステップS501でYESと判定された際に、クラッチ54が閉鎖されている場合、制御装置100は、クラッチ54を開放させた後に回生電力消費制御を実行する。
また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気が分岐路113に送られるように、当該空気の流れを制御する。具体的には、三方弁121を、第2供給路111bと第1分岐路113aとが連通する状態となるように制御することによって、コンプレッサ51により供給される空気が上記の回生電力消費制御用の流れとなる。ゆえに、例えば、ステップS501でYESと判定された際に、三方弁121により第2供給路111bと第3供給路111cとが連通する状態となっている場合、制御装置100は、第2供給路111bと第1分岐路113aとが連通する状態となるように三方弁121を駆動させた後に回生電力消費制御を実行する。
ここで、図4を参照して、回生電力消費制御について、詳細に説明する。図4は、回生電力消費制御の実行時における空気供給機構110の様子を示す模式図である。具体的には、図4では、回生電力消費制御の実行時の空気供給機構110における空気の流れが矢印によって示されている。
図4に示されるように、回生電力消費制御において、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53が駆動されることにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、上述したように、三方弁121は、第2供給路111bと第1分岐路113aとが連通する状態となるように制御される。それにより、コンプレッサ51により供給される空気が分岐路113に送られるように、当該空気の流れが制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路111a、コンプレッサ51、第2供給路111b、第1分岐路113a、第2分岐路113bの順に流れる。
上述したように、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気は、分岐路113に送られる。ゆえに、燃料電池10に空気が送られることにより燃料電池10の電解質膜が乾燥してしまうことを抑制することができる。
また、回生電力消費制御において、クラッチ54が開放されている状態となっている。ゆえに、空気の流れが生じていない空気排出路112において、タービン52がコンプレッサ51に連れ回されることを抑制することができる。よって、タービン52における空気の流量と圧力との関係が異常となりタービン52の破損や騒音が生じることを抑制することができる。したがって、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
なお、空気供給機構110によれば、分岐路113に背圧調整弁122が設けられていることによって、回生電力消費制御において、空気供給路111内の圧力が過度に低下してしまうことが抑制される。
上記で説明した図3に示される制御フローのように、駆動用モータ30の回生電力を二次電池20以外の供給先で消費する必要性に対応した適切なタイミングで回生電力消費制御を実行する観点では、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定される場合に、回生電力消費制御を実行することが好ましい。
ここで、回生電力消費制御を迅速に開始する観点では、制御装置100は、回生電力消費制御の非実行時に、燃料電池10の発電要求が生じる可能性が基準より低いと判定される場合、クラッチ54を予め開放させ、かつ、回生電力消費制御用に切替機構(具体的には、三方弁121)を予め駆動させる(具体的には、第2供給路111bと第1分岐路113aとが連通する状態となるように三方弁121を駆動させる)ことが好ましい。例えば、主として二次電池20により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられる場合において、燃料電池10の発電電力を用いた二次電池20の充電が行われないと予想される程度に二次電池20のSOCが高い場合に、燃料電池10の発電要求が生じる可能性が基準より低いと判定される。なお、上記基準は、例えば、数値であってもよい。
なお、過給圧の急変を抑制する観点および電動過給機50の挙動を安定化する観点では、コンプレッサ51の回転数が過度に高い場合には、制御装置100は、クラッチ54の開放および回生電力消費制御用の三方弁121の駆動(つまり、空気の流れの切り替え)を禁止してもよい。また、その場合には、回生電力消費制御も禁止され得る。
[効果]
続いて、本発明の第1の実施形態に係る電源システム1の効果について説明する。
本実施形態に係る電源システム1では、コンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50に、コンプレッサ51とタービン52との間の動力の伝達を断接するクラッチ54が設けられる。また、制御装置100は、クラッチ54を開放させた状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いてコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。それにより、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10およびタービン52を介さずに外気に排出されるようにした場合であっても、タービン52における空気の流量と圧力との関係が異常となりタービン52の破損や騒音が生じることを抑制することができる。また、燃料電池10の発電時には、空気の運動エネルギを用いてタービン52によって生成される回転エネルギを電動過給機50の回転に利用することができる。ゆえに、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1は、空気供給路111におけるコンプレッサ51より下流側から分岐して燃料電池10およびタービン52を迂回する分岐路113をさらに備える。また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気が分岐路113に送られるように、当該空気の流れを制御する。それにより、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10およびタービン52を介さずに外気に排出されるようにすることができる。ゆえに、燃料電池10に空気が送られることにより燃料電池10の電解質膜が乾燥してしまうことを抑制することができる。さらに、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10を迂回してタービン52に送られるようにした場合と比較して、タービン52の回転が空気の流れにより促進されることを抑制することができるので、タービン52の回転を支持する部材の損耗を抑制することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1は、コンプレッサ51により供給される空気の流れを切り替える切替機構(具体的には、三方弁121)を備える。また、制御装置100は、回生電力消費制御の非実行時に、燃料電池10の発電要求が生じる可能性が基準より低いと判定される場合、クラッチ54を予め開放させ、かつ、回生電力消費制御用に切替機構を予め駆動させることが好ましい。それにより、回生電力消費制御を迅速に開始することができる。ゆえに、駆動用モータ30の回生電力をより適切に消費することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定される場合に、回生電力消費制御を実行することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力を二次電池20以外の供給先で消費する必要性に対応した適切なタイミングで回生電力消費制御を実行することができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、二次電池20のSOCに基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かの判定を、二次電池20のSOCの変化に応じて適切に行うことができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、二次電池20と接続される補機90の要求電力に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かの判定を二次電池20のSOCに基づいて行う場合において、当該判定をより適切に行うことができる。
また、本実施形態に係る電源システム1では、制御装置100は、二次電池20の異常の診断結果に基づいて、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かを判定することが好ましい。それにより、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であるか否かの判定を、二次電池20の異常の有無に応じて適切に行うことができる。
<第2の実施形態>
図5および図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2について説明する。
[構成]
まず、図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2の構成について説明する。
第2の実施形態に係る電源システム2では、上述した第1の実施形態に係る電源システム1と比較して、燃料電池10に空気を供給する機構である空気供給機構の構成が異なる。具体的には、電源システム2は、電源システム1の空気供給機構110と異なる空気供給機構210を備える。なお、電源システム2における空気供給機構210以外の構成要素については、電源システム1と同様であるので、説明を省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る空気供給機構210の概略構成を示す模式図である。具体的には、図5では、燃料電池10の発電時における空気供給機構210の様子が示されており、その際の空気供給機構210における空気の流れが矢印によって示されている。
図5に示されるように、空気供給機構210は、燃料電池10に供給される空気が流通する空気供給路211と、燃料電池10から排出される空気が流通する空気排出路212と、空気供給路211におけるコンプレッサ51より下流側と空気排出路212におけるタービン52より上流側とをバイパスするバイパス路213と、上述した電動過給機50とを備える。なお、空気供給機構210では、上述した空気供給機構110と同様に、電動過給機50のコンプレッサ51は空気供給路211に設けられ、電動過給機50のタービン52は空気排出路212に設けられる。コンプレッサ51は、空気供給路211におけるバイパス路213との接続部分よりも上流側に位置しており、燃料電池10は、当該接続部分よりも下流側に位置している。
燃料電池10の発電時には、空気供給機構210において、電動過給機50のコンプレッサ51により電源システム2の外部の空気が空気供給路211に吸引され、燃料電池10に空気供給路211を介して空気が供給される。そして、燃料電池10に供給された空気は、燃料電池10内で水素ガスと反応した後に空気排出路212に排出される。燃料電池10から排出された空気は、電動過給機50のタービン52に回転力(つまり、タービン52を回転させる力)を付与しながら空気排出路212を流通し、電源システム2の外部に排出される。
詳細には、空気供給路211は、空気の吸入口とコンプレッサ51とを接続する第1供給路211aと、コンプレッサ51と燃料電池10とを接続する第2供給路211bおよび第3供給路211cとを有する。第2供給路211bは、第3供給路211cに対して上流側に位置しており、コンプレッサ51と接続されている。一方、第3供給路211cは、燃料電池10と接続されている。なお、各供給路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
第2供給路211bと第3供給路211cとの間には、三方弁221が設けられており、三方弁221には、バイパス路213が接続されている。三方弁221は、第2供給路211bがいずれの通路と連通するかを切り替える弁であり、第2供給路211bと第3供給路211cとが連通する状態と、第2供給路211bとバイパス路213とが連通する状態とを切り替える機能を有する。
空気排出路212は、燃料電池10とタービン52とを接続する第1排出路212aおよび第2排出路212bと、タービン52と空気の排出口とを接続する第3排出路212cおよび第4排出路212dとを有する。第1排出路212aは、第2排出路212bに対して上流側に位置しており、燃料電池10と接続されている。一方、第2排出路212bは、タービン52と接続されている。第3排出路212cは、第4排出路212dに対して上流側に位置しており、タービン52と接続されている。一方、第4排出路212dは、空気の排出口と接続されている。なお、各排出路は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
第1排出路212aと第2排出路212bとの間には、三方弁222が設けられており、三方弁222には、バイパス路213が接続されている。つまり、バイパス路213は、三方弁221と三方弁222との間に亘って設けられている。三方弁222は、第2排出路212bがいずれの通路と連通するかを切り替える弁であり、第2排出路212bと第1排出路212aとが連通する状態と、第2排出路212bとバイパス路213とが連通する状態とを切り替える機能を有する。
上記のように、三方弁221および三方弁222は、コンプレッサ51により供給される空気の流れを切り替える機構の一例(つまり、本発明に係る切替機構の一例)に相当する。具体的には、三方弁221および三方弁222によって、コンプレッサ51により供給される空気がバイパス路213を通る状態となるか否かが切り換えられる。バイパス路213は、後述する回生電力消費制御において利用される。なお、バイパス路213は、1つの部材により形成されていてもよく複数の部材により形成されていてもよい。
第3排出路212cと第4排出路212dとの間には、背圧調整弁223が設けられている。背圧調整弁223は、空気供給機構210内における当該背圧調整弁223より上流側での空気の圧力を調整する機能を有する。
燃料電池10の発電時には、詳細には、クラッチ54が閉鎖された状態で、二次電池20の電力を用いてコンプレッサ用モータ53が駆動される。それにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、三方弁221が、第2供給路211bと第3供給路211cとが連通する状態となるように制御され、三方弁222が、第2排出路212bと第1排出路212aとが連通する状態となるように制御される。それにより、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10に送られるように、当該空気の流れが制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路211a、コンプレッサ51、第2供給路211b、第3供給路211c、燃料電池10、第1排出路212a、第2排出路212b、タービン52、第3排出路212c、第4排出路212dの順に流れる。
制御装置100は、上述した第1の実施形態と同様に、駆動用モータ30の回生電力を用いた二次電池20の充電を制御する。また、制御装置100は、上述した第1の実施形態と同様に、電動過給機50のクラッチ54を開放させた状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。
[動作]
続いて、図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2の動作について説明する。
例えば、制御装置100は、上述した図3に示される制御フローと同様の処理を行う。ゆえに、制御装置100は、例えば、上述した第1の実施形態と同様に、駆動用モータ30の回生電力が二次電池20の充電能力に対して過剰であると判定される場合に、回生電力消費制御を実行する。
ここで、制御装置100は、上述した第1の実施形態と同様に、電動過給機50のクラッチ54を開放させた状態で、回生電力消費制御を実行する。
また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気がバイパス路213を通ってタービン52に送られるように、当該空気の流れを制御する。具体的には、三方弁221を第2供給路211bとバイパス路213とが連通する状態となるように制御し、三方弁222を第2排出路212bとバイパス路213とが連通する状態となるように制御することによって、コンプレッサ51により供給される空気が上記の回生電力消費制御用の流れとなる。
図6は、回生電力消費制御の実行時における空気供給機構210の様子を示す模式図である。具体的には、図6では、回生電力消費制御の実行時の空気供給機構210における空気の流れが矢印によって示されている。
図6に示されるように、回生電力消費制御において、駆動用モータ30の回生電力を用いて電動過給機50のコンプレッサ用モータ53を駆動されることにより、コンプレッサ51が回転駆動されて空気の吸引が行われる。また、上述したように、三方弁221は、第2供給路211bとバイパス路213とが連通する状態となるように制御され、三方弁222は、第2排出路212bとバイパス路213とが連通する状態となるように制御される。それにより、コンプレッサ51により供給される空気がバイパス路213を通ってタービン52に送られるように、当該空気の流れが制御される。ゆえに、コンプレッサ51により供給される空気が、第1供給路211a、コンプレッサ51、第2供給路211b、バイパス路213、第2排出路212b、タービン52、第3排出路212c、第4排出路212dの順に流れる。
上述したように、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気は、バイパス路213を通ってタービン52に送られる。ゆえに、燃料電池10に空気が送られることにより燃料電池10の電解質膜が乾燥してしまうことを抑制することができる。
また、回生電力消費制御において、クラッチ54が開放されている状態となっている。ゆえに、空気排出路212において空気の流れにより回転力が付与されるタービン52からコンプレッサ51に動力が伝達されることを抑制することができる。よって、空気の流れにより回転力がタービン52に付与されることに起因して電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。したがって、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
なお、空気供給機構210によれば、空気排出路212におけるタービン52より下流側に背圧調整弁223が設けられていることによって、回生電力消費制御において、空気供給路211内、バイパス路213内および空気排出路212内の圧力が過度に低下してしまうことが抑制される。
[効果]
続いて、本発明の第2の実施形態に係る電源システム2の効果について説明する。
本実施形態に係る電源システム2では、上述した電源システム1と同様に、コンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50に、コンプレッサ51とタービン52との間の動力の伝達を断接するクラッチ54が設けられる。また、制御装置100は、上述した電源システム1と同様に、クラッチ54を開放させた状態で、駆動用モータ30の回生電力を用いてコンプレッサ用モータ53を駆動させる回生電力消費制御を実行する。それにより、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10を迂回してタービン52に送られるようにした場合であっても、回転力が空気の流れによりタービン52に付与されることに起因して電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。また、燃料電池10の発電時には、空気の運動エネルギを用いてタービン52によって生成される回転エネルギを電動過給機50の回転に利用することができる。ゆえに、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
また、本実施形態に係る電源システム2は、空気供給路211におけるコンプレッサ51より下流側と、空気排出路212におけるタービン52より上流側とをバイパスするバイパス路213をさらに備える。また、制御装置100は、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気がバイパス路213を通ってタービン52に送られるように、当該空気の流れを制御する。それにより、回生電力消費制御において、コンプレッサ51により供給される空気がバイパス路213を通ってタービン52に送られるようにすることができる。ゆえに、燃料電池10に空気が送られることにより燃料電池10の電解質膜が乾燥してしまうことを抑制することができる。さらに、コンプレッサ51により供給される空気が燃料電池10およびタービン52を介さずに外気に排出されるようにした場合と比較して、空気排出路212における空気の流れを利用してタービン52を回転させることができるので、例えば、電動過給機50の各部品の回転を支持する部分にエアベアリングを使用する場合において、回生電力消費制御の実行中であってもタービン52を含む電動過給機50の各部品の回転を維持すること(つまり、電動過給機50の各部品をアイドリングさせること)ができる。
上記のように、本発明の各実施形態に係る電源システム1,2では、コンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50に、コンプレッサ51とタービン52との間の動力の伝達を断接するクラッチ54が設けられ、制御装置100は、クラッチ54を開放させた状態で、回生電力消費制御を実行する。それにより、燃料電池10の空気供給機構110,210にコンプレッサ51およびタービン52を有する電動過給機50を利用しつつ、タービン52の破損や騒音が生じること、および電動過給機50で消費可能な電力が低下してしまうことを抑制することができる。また、燃料電池10の発電時には、空気の運動エネルギを用いてタービン52によって生成される回転エネルギを電動過給機50の回転に利用することができる。ゆえに、燃料電池10および二次電池20を備える電源システム1,2において、電費を向上させつつ、駆動用モータ30の回生電力を適切に消費することができる。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
例えば、上記では、電源システム1,2が搭載される車両において、主として燃料電池10により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられる例を主に説明したが、主として二次電池20により発電される電力が駆動用モータ30の駆動に用いられてもよい。
また、例えば、上記では、電源システム1において分岐路113が空気の排出口と接続される例を説明したが、分岐路113は、車両に搭載される空気を利用する各種装置と接続されていてもよい。その場合、回生電力消費制御において、分岐路113に送られた空気は、当該分岐路113を接続される装置の駆動に利用される。
また、例えば、上記では、各図面を参照して、電源システム1,2の構成について説明したが、本発明に係る電源システムの構成は、このような例に限定されず、例えば、電源システム1,2に対して一部の構成要素の削除、追加または変更を加えたものであってもよい。例えば、図1に示される電源システム1から二次電池コンバータ42を削除したものも、本発明に係る電源システムに含まれる。また、例えば、図2および図5にそれぞれ示される空気供給機構110,210に対して各種電磁弁または放熱部を追加した空気供給機構を備えるものも、本発明に係る電源システムに含まれる。
また、例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。