JP7351791B2 - 汚染土壌等の浄化方法 - Google Patents
汚染土壌等の浄化方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7351791B2 JP7351791B2 JP2020073529A JP2020073529A JP7351791B2 JP 7351791 B2 JP7351791 B2 JP 7351791B2 JP 2020073529 A JP2020073529 A JP 2020073529A JP 2020073529 A JP2020073529 A JP 2020073529A JP 7351791 B2 JP7351791 B2 JP 7351791B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- purification
- pipe
- purification material
- supplied
- bacteria
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Processing Of Solid Wastes (AREA)
Description
特許文献1および特許文献2に記載の浄化方法では、以下の二つのステップにより浄化が進行する。第一のステップは、帯水層中の好気性細菌により地盤に嫌気環境を形成するステップである。地盤に浄化材を供給すると、好気性細菌によって浄化材中の有機物が分解される過程で、地盤内に存在する酸素が消費されて嫌気環境が形成される。第二のステップは、嫌気性細菌により脱塩素化を進めるステップである。第二のステップでは、嫌気性細菌が浄化材中の有機物を分解することによって水素(電子供与体)が供給され、嫌気性の浄化菌(嫌気性脱塩素細菌)がこの水素を利用することで脱塩素化が進行する。
前記浄化方法では、浄化材の使用量を少なくすることでコストの低減化を図ることができる。一方、浄化材を溶解した液中の酸素量が多いと、浄化材中の有機物が好気性細菌によって多く消費されるため、嫌気性細菌が分解する有機物の量が少なくなってしまい、結果的に浄化材の供給量を多くする必要がある。
なお、前記浄化方法において、前記嫌気的な地盤内に嫌気性の浄化菌を供給すれば、脱塩素化がより早く進行する。
嫌気性の浄化菌が空気(酸素)に触れると死滅するおそれがあるため、注入管を利用して浄化菌を供給する場合には、注入管の内部および注入管に至る管路内の酸素を除去して浄化菌が酸素に触れることを防止することが望ましい。
窒素ガスの供給にガスボンベを用いると、保管場所として比較的大きな用地が必要となり、かつ、高圧ガス保安法に基づいて管理する必要があるが、ガスボンベに代えてPSA方式の窒素発生装置を使用すると、取り扱い易くなるとともに、小スペース化が可能となる。また、費用もガスボンベに比べて安価である。浄化材溶液を注入管の底部から供給する場合には、浄化材溶液を圧送する管路内での圧力損失に対して十分に高い圧力が必要となるが、本発明の浄化方法によれば、注入管の上端部まで浄化材溶液を圧送すればよいので、ガスボンベに比べて圧力が低いPSA方式の窒素発生装置でも浄化材溶液を供給することができる。
注入管設置工程S1では、注入管1を地盤に設ける。図2は、注入管1の設置状況を示す断面図である。図2に示すように、注入管1は、地表GLから地下水位WL以深まで到達している。本実施形態の地下水は、汚染物質を含有したいわゆる汚染地下水である。すなわち、注入管1は、汚染地下水が存在する帯水層GAに到達している。本実施形態では、帯水層GAの上下には粘土層GCが積層されている。本実施形態の注入管1は、地盤(粘土層GCおよび帯水層GA)に圧入または打ち込むことにより地盤内(地中)に配管する。なお、注入管1の地中への設置方法は限定されるものではなく、例えば、地盤を削孔することにより形成された掘削孔に注入管1を挿入してもよい。
注入管1は、浄化材溶液および浄化菌の培養液を地盤に供給するための管材である。注入管1を構成する材料は限定されるものではないが、地盤に設置する際の押圧力や土圧に対して十分な耐力を有した金属製の管材であるのが望ましい。注入管1には、汚染地盤(汚染帯水層GA)の位置に応じて開口部11が形成されている。本実施形態の開口部11は、スリット状に形成されているが、開口部11の形状は限定されるものではなく、例えば、円形や矩形状の孔であってもよい。
また、注入管1の先端は、円錐状の先端部材12により遮蔽されている。先端部材12の注入管1への固定方法は限定されるものではなく、例えば、螺合してもよいし、溶接してもよい。また、先端部材12の構成は、注入管1の先端を遮蔽することが可能であれば限定されるものではなく、例えば板材であってもよい。
蓋材13には、少なくとも2本の取付管14,15が貫通した状態で固定されている。本実施形態の取付管14,15は、金属製の管材からなる。取付管14、15と蓋材13との接合部では、各取付管14、15と蓋材13との間に隙間が形成されることがないように、取付管14、15の全周が蓋材13に溶接されている。なお、取付管14、15を構成する材料は限定されるものではないが、蓋材13と同種の金属の管材を使用する。また、取付管14,15と蓋材13との固定方法は限定されるものではなく、例えば、蓋材13に形成されたネジ孔に外面にネジ加工が施された取付管14,15を螺合してもよい。このとき、シール材などにより密封する。
取付管14、15の上端(注入管1と反対側の端部)には、カップリングプラグ16が設けられている。なお、取付管14,15の構成は限定されるものではなく、例えば、取付管14、15の上端にはカップリングプラグ16に代えてカップリングソケットが設けられていてもよいし、開閉バルブが設けられていてもよい。
図2に示すように、注入管1の内部には、一方の取付管(第一取付管14)から注入管1の管底に至る内管17が配管されている。内管17を構成する材料は限定されるものではないが、内管17を介して輸送される流体(窒素ガスG等)との摩擦力が少ない材質の管材(例えば、フッ素樹脂チューブ)を使用するのが望ましい。
浄化材溶液製造工程S2では、浄化材溶液Sを製造する。図4に浄化材溶液Sの製造状況の概要を示す。浄化材溶液Sは、耐圧性の浄化材容器2内に浄化材と希釈液とを投入して、浄化材を希釈することにより所定の濃度に調整する。本実施形態では、浄化材溶液Sの有機物濃度を500mg/L~50000mg/Lの範囲内とする。浄化材溶液Sの濃度は、浄化材の種類などに応じて適宜決定すればよい。希釈液を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、水や汚染されていない地下水等を使用することができる。
浄化材容器2は、金属製の筒状部材からなり、上部に材料を投入するための投入口が形成されている。投入口は、投入口用蓋21により密閉する。また、浄化材容器2には、浄化材容器2の内部に連通する第一プラグ22と第二プラグ23が形成されている。第一プラグ22および第二プラグ23には、ワンタッチ式のコネクタが形成されている。なお、第一プラグ22および第二プラグ23には、コネクタに代えて、開閉バルブ等が設けられていてもよい。さらに、浄化材容器2の内部には、第一プラグ22から浄化材容器2の底部に至る内管24が配管されている。内管24を構成する材料は限定されるものではないが、内管24を介して輸送される流体との摩擦力が少ない材質の管材(例えば、ステンレス管)を使用するのが望ましい。
まず、窒素発生装置3から延設された送ガス管31を浄化材容器2の第一プラグ22に接続する。送ガス管31を構成する材料は限定されるものではないが、例えば、取り扱い性に優れ、かつ、ガス漏れの危険性の少ないフッ素樹脂チューブを使用すればよい。
次に、窒素発生装置3から送ガス管31を介して浄化材容器2に窒素ガスGを供給する。このとき、浄化材容器2の第二プラグ23を開口しておく。第二プラグ23は、コネクタに開口用ソケット25を差し込むことにより開口すればよい。本実施形態では、窒素ガスGの供給時間を5分以上とする。窒素発生装置3から供給された窒素ガスGは、浄化材容器2の内管24を介して浄化材容器2の底部から浄化材容器2の内部に供給される。こうすることで、浄化材溶液S中に含まれる酸素が第二プラグ23から排出される。浄化材容器2内へ窒素ガスGを一定時間供給し、酸素の除去が終了したら、窒素発生装置3からの窒素ガスGの供給を停止するとともに、第二プラグ23から開口用ソケット25を取り外し、第二プラグ23を遮蔽する。
第一管内酸素除去工程S3では、地盤に設置した注入管1の内部の酸素を除去する。本実施形態では、PSA方式の窒素発生装置3から注入管1の底部に窒素ガスGを供給することで、注入管1内の酸素を除去する。図5は、第一管内酸素除去工程S3の概要を示す断面図である。
まず、窒素発生装置3から延設された送ガス管31を第一取付管(一方の取付管)14のカップリングプラグ16に接続する。次に、窒素発生装置3から送ガス管31を介して注入管1に窒素ガスGを供給する。このとき、第二取付管(他方の取付管)15を開口しておく。第二取付管15は、カップリングプラグ16に開口用ソケット18を取り付けることにより開口すればよい。窒素発生装置3から供給された窒素ガスGは、注入管1の内管17を介して注入管1の底部から供給される。こうすることで、注入管1内の酸素が第二取付管15から排出される。注入管1に供給する窒素ガスGの量は、注入管1の長さに応じて決定する。本実施形態では、注入管1の管内の体積の3倍以上の窒素ガスGを供給する。
注入管1内へ窒素ガスGを一定時間供給し、注入管1内の酸素の除去が終了したら、窒素発生装置3からの窒素ガスGの供給を停止するとともに、第二取付管15(カップリングプラグ16)から開口用ソケット18を取り外し、第二取付管15を遮蔽する。
第一配管酸素除去工程S4では、浄化材容器2から注入管1に至る管路5内の酸素を除去する。図6に第一配管酸素除去工程S4の概要を示す。第一配管酸素除去工程S4では、PSA方式の窒素発生装置3から管路5内に窒素ガスGを供給することで、管路5内の空気を窒素ガスGに置き換える。管路5を構成する管材の材質は限定されるものではないが、例えば、取り扱い性に優れ、かつ、ガス漏れの危険性の少ないフッ素樹脂チューブを使用すればよい。管路5の一方の端部には、注入管1のカップリングプラグ16に接続可能なカップリングソケット51が設けられていて、他方の端部には窒素発生装置3に接続可能なコネクタソケット52が設けられている。
管路5内の酸素を除去する際には、コネクタソケット52を窒素発生装置3に接続するとともに、カップリングソケット51に開口用プラグ53を接続し、カップリングソケット51を開口した状態で窒素ガスGを供給する。一定時間、窒素ガスGを供給したら、窒素ガスGの供給を停止するとともに、開口用プラグ53を取り外す。コネクタソケット52を窒素発生装置3から取り外すと、管路5の内部が窒素ガスGで充填された状態で、管路5の両端が遮蔽される。
浄化材溶液供給工程S5では、地盤(帯水層GA)に浄化材溶液Sを供給する。地盤に浄化材溶液Sを供給したら、一定期間放置して、嫌気的な地盤を形成する。図7に浄化材溶液供給工程S5の概要を示す。図7に示すように、浄化材容器2の第一プラグ22と注入管1の第二取付管15とを管路5により接続する。また、浄化材容器2の第二プラグ23には、窒素発生装置3から延設された送ガス管31を接続する。このとき、浄化材容器2は、秤6等により、内容量の計測が可能な状態としておく。
浄化材溶液供給工程S5では、窒素発生装置3から浄化材容器2に窒素ガスGを供給し、窒素発生装置3から供給された窒素ガスGの圧力により、浄化材容器2から注入管1の上端部まで浄化材溶液Sを圧送する。このとき、注入管1の第一取付管14は遮蔽しておく。窒素発生装置3から供給された窒素ガスGは、送ガス管31を介して浄化材容器2の上部に供給される。浄化材容器2の上部に窒素ガスGが供給されると、浄化材溶液Sが窒素ガスGの圧力により、浄化材容器2の下部から内管24を介して管路5に排出される。管路5により圧送された浄化材溶液Sは、取付管15を介して注入管1の上部に圧送される。本実施形態では、窒素ガスGの圧力を0.5MPa以下の低い圧力で供給する。浄化材溶液Sは、注入管1の上端から押し込まれることで開口部11から排出されて地盤内に供給される。
浄化材溶液Sを所定時間供給し、浄化材容器2の重量の減少が停止したら、窒素ガスGの供給を停止する。なお、培養容器4には、浄化材溶液Sの供給後、空となった浄化材容器2を繰り返し使用してもよい。
浄化菌培養液製造工程S6では、培養液Bを製造する。図8に培養容器4を示す。培養液B(浄化菌)は、図8に示すように、密閉容器である培養容器4内において嫌気的な状態で培養されている。培養容器4は、浄化材容器2と同様に、金属製の筒状部材からなり、培養容器4の内部に連通する第一プラグ41と第二プラグ42が形成されている。第一プラグ41および第二プラグ42には、ワンタッチ式のコネクタが形成されている。なお、第一プラグ41および第二プラグ42には、コネクタに代えて、開閉バルブ等が設けられていてもよい。さらに、培養容器4の内部には、第一プラグ41から培養容器4の底部に至る内管43が配管されている。内管43を構成する材料は限定されるものではないが、内管43を介して輸送される流体との摩擦力が少ない材質の管材(例えば、ステンレス管)を使用するのが望ましい。なお、培養容器4には、浄化材溶液Sの供給後、空となった浄化材容器2を使用してもよい。
第二管内酸素除去工程S7では、地盤に設置した注入管1の内部の酸素を除去する(図5参照)。第二管内酸素除去工程S7は、浄化材溶液供給工程S5における浄化材溶液Sの供給後、一定時間が経過して嫌気的地盤が形成されたことが確認されてから実施すればよい。なお、第二管内酸素除去工程S7の詳細は、第一管内酸素除去工程S3と同様なため、詳細な説明は省略する。
第二配管酸素除去工程S8では、培養容器4から注入管1に至る管路5内の酸素を除去する(図6参照)。なお、第二配管酸素除去工程S8の詳細は、第一配管酸素除去工程S4と同様なため、詳細な説明は省略する。
浄化菌供給工程S9では、嫌気的な地盤に嫌気性の浄化菌を供給する。図8に浄化菌供給工程S9の概要を示す。浄化菌供給工程S9は、第二管内酸素除去工程S7および第二配管酸素除去工程S8により、注入管1および管路5から酸素を除去してから実施する。
浄化菌供給工程S9では、まず、培養容器4の第一プラグ41と注入管1の第二取付管15とを管路5により接続する。また、培養容器4の第二プラグ42には、窒素発生装置3から延設された送ガス管31を接続する。このとき、培養容器4は、秤6等により、内容量の計測が可能な状態としておく。また、送ガス管31は、予め内部の酸素を除去しておく。
次に、窒素発生装置3から培養容器4に窒素ガスGを供給し、窒素発生装置3から供給された窒素ガスGの圧力により、培養容器4から注入管1の上端部まで浄化材の培養液Bを圧送する。このとき、注入管1の第一取付管14は遮蔽しておく。窒素発生装置3から供給された窒素ガスGは、送ガス管31を介して培養容器4の上部に供給される。培養容器4の上部に窒素ガスGが供給されると、窒素ガスGの圧力により、培養液Bが培養容器4の下部から内管43を介して管路5に排出される。管路5により圧送された培養液Bは、取付管15を介して注入管1の上部に供給される。本実施形態では、窒素ガスGの圧力を0.5MPa以下の低い圧力で供給する。培養液Bは、注入管1の上端から押し込まれることで開口部11から排出されて地盤内に供給される。培養液Bを所定時間供給し、培養容器4の重量の減少が停止したら、窒素ガスGの供給を停止する。
また、培養容器4から注入管1に至る管路5内の酸素を予め除去しておくため、絶対嫌気性の浄化菌の供給過程で酸素に触れることを防止できる。
窒素ガスGの供給にガスボンベを用いると、保管場所として比較的大きな用地が必要となり、かつ、慎重に取り扱う必要があるが、本実施形態では、ガスボンベに代えてPSA方式の窒素発生装置3を使用しているため、装置が取り扱い易くなるとともに、小スペース化が可能となる。また、費用もガスボンベに比べて安価である。また、浄化材溶液Sを注入管1の底部から供給する場合には、浄化材溶液Sを圧送する管路5内での圧力損失に対して十分に高い圧力が必要となるが、本発明の浄化方法によれば、注入管1の上端部まで浄化材溶液Sを圧送すればよいので、ガスボンベに比べて圧力が低いPSA方式の窒素発生装置3でも浄化材溶液Sを供給することができる。
本実験では、窒素発生装置3として、コフロック社製M4NT-0.4II(AC100V、0.4kW、窒素ガス純度:99.99%、窒素ガス圧力0.5MPa)を使用した。
砂層に対して、深さ6mまで注入管1を打設し、この注入管1を介して地盤内に浄化材溶液Sと培養液B(培養液B1,培養液B2)を順次注入した(図7,8参照)。注入管1には、GL-3m~-6mの位置に対応して複数の開口部11が形成されている。表1に示す条件で浄化材溶液Sと培養液Bを注入したところ、地盤に供給できることが確認できた。
なお、比較例として、図9に示すように、注入管101の底部に浄化材溶液Sを供給するための内管を注入管101の管底まで挿入して、注入管101の底部から浄化材溶液Sを供給する方法により地盤内に浄化材溶液を供給できるか否かを確認したが、比較例では、浄化材溶液Sを地盤内に供給することができなかった。このとき、浄化材溶液Sは、窒素発生装置103(流量:5L/min、窒素ガス圧力0.5MPa)から浄化材容器102に供給された窒素ガスの圧力により管路105を介して注入管101に供給するものとした。したがって、浄化材溶液Sと培養液Bの地盤内への供給は、注入管1の上部から供給すればよいことが確認できた。
本実験では、トリクロロエチレンなどの塩素化エチレン類により汚染された汚染帯水層(GL-4~-6m)に対して、浄化試験を実施した。図10は、本実験の注入管1の配置を示す平面図、図11は同断面図である。図10,11に示すように、本実験では、試験対象範囲を鋼矢板7により囲った状態で、浄化材溶液Sと培養液Bを注入した。浄化材溶液Sには、有機酸をベースとした浄化材(有機物濃度10g/L)を3ガロンの耐圧容器内で作成したものを使用した。また、培養液Bには、デハロコッコイデス属細菌UCH007株(特許第6103518号公報)を5ガロンの耐圧容器内で菌濃度が約2×107cells/Lまで培養したものを使用した。試験対象範囲は、0.8m×2.4mの範囲として、同一の区画を2つ(第一区画および第二区画)設置した。試験対象範囲は、上からシルト混じり粘土層G1、粘土層G2、シルト混じり砂礫層G3,粘土層G4が積層されており、このうちの塩素化エチレン類で汚染されているシルト混じり砂礫層G3に対して浄化を行う。本実験では、5本の注入管1a~1eを千鳥状に配置した。注入管1同士の間隔は、長手方向に0.4m、短手方向に0.2mとした。また、注入管1同士の間に観測井戸M1~M4を配置して塩素化エチレン類(VCM:クロロエチレン、1,2-DCE:1,2-ジクロロエチレン、TCE:トリクロロエチレン)の挙動と溶存性の有機物濃度(全有機炭素濃度)を測定した。両方の区画に対して、各注入管1に対して10Lの浄化材溶液Sを2回供給した。また、第二区画については3週間後に培養液Bを供給した。浄化材および培養液Bの供給速度を表2~4に示す。表2~4に示すように、本実施形態の浄化方法を使用することで浄化材および培養液Bを約2L/minの速度で供給できることが確認できた。また、第一区画および第二区画の観測井戸M1~M4における塩素化エチレン類の挙動をそれぞれ図12(a)と(b)に示す。図12(a)に示すように、第一区画では47日目以降に塩素化エチレン類の減少を確認できた。一方、図12(b)に示すように、第二区画では浄化菌を供給した直後から塩素化エチレン類が急速に減少することが確認できた。そのため、絶対嫌気性細菌を酸素に触れさせずに嫌気状態を保ったまま地盤に供給でき、汚染帯水層に導入した浄化菌(脱塩素細菌)が塩素化エチレン類を浄化できる状態で帯水層に導入できることを確認できた。
浄化材に含まれる溶存性の有機物濃度の残存率を図13(a)(第一区画)、図13(b)(第二区画)に示す。浄化材の供給は、酸素を除去しないで地盤に導入する際の条件(帯水層の地下水中の有機物濃度が約1,000mg/L)とした。この場合、通常であれば約四ヶ月間で有機物濃度は1%以下になる。しかし、本試験では、約四ヶ月経過後も有機物は15%程度残存しており、窒素置換することにより有機物の消費が抑えられ、有機物が地下水に残存したと考えられた。尚、第二区画において菌液供給後に残存率が一時的に上昇したが、これは菌液に含まれる有機物が加えられたためである。
窒素発生装置3を用いて、窒素ガスGに含まれる酸素濃度によって培養液Bがどの程度影響を受けるかについて確認した。培養液Bには、デハロコッコイデス属細菌を培養したものを使用した。培養容器4に作成した培地500mLに、窒素発生装置3から発生した窒素ガスGを0.5L/minの供給量で培養液B中に10分間パージを行い、培養液B中に添加した酸化還元指示薬であるレザズリンが赤色反応を示さずに嫌気状態が維持できるかどうかを確認した。その結果、酸素の混入量が100ppm以下(窒素ガスGの純度が99.99%)だけではなく、酸素の混入量が1000ppm以下(窒素ガスGの純度が99.9%)でも赤色反応を示さず、嫌気状態が維持されることを確認できた。したがって、窒素ガスGの純度は99.9%以上であれば、培養液B中の嫌気性浄化菌を地盤に供給できることが確認できた。
前記実施形態では、地盤に浄化菌を供給するものとしたが、浄化菌の供給は必要に応じて行えばよい。
また、前記実施形態では、注入管1を介して浄化材溶液Sと浄化菌を供給するものとしたが、注入管1は必要に応じて配置すればよく、例えば、地盤に形成された削孔から注入してもよい。
2 浄化材容器
3 窒素発生装置
4 培養容器
5 管路
B 培養液
G 窒素ガス
S 浄化材溶液
Claims (2)
- 浄化材容器内において有機物を含む浄化材溶液の中から酸素を除去する浄化材溶液製造工程と、
前記浄化材溶液および浄化菌を地盤に供給するための注入管を当該地盤に設ける注入管設置工程と、
前記注入管の内部の酸素を除去する管内酸素除去工程と、
地盤に前記浄化材溶液を供給して一定期間放置することで嫌気的な地盤を形成する浄化材溶液供給工程と、
前記嫌気的な地盤内に嫌気性の浄化菌を供給する浄化菌供給工程と、を備え、
前記管内酸素除去工程では、PSA方式の窒素発生装置から前記注入管の底部に窒素ガスを供給し、
前記浄化材溶液供給工程では、前記窒素発生装置から前記浄化材容器に窒素ガスを供給し、前記窒素発生装置から供給された窒素ガスの圧力により、前記浄化材容器から前記注入管の上端部まで前記浄化材溶液を圧送することを特徴とする、浄化方法。 - 前記浄化菌供給工程の前に、前記浄化菌が培養された培養容器から前記注入管に至る管路内の酸素を除去する配管酸素除去工程を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の浄化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020073529A JP7351791B2 (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | 汚染土壌等の浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020073529A JP7351791B2 (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | 汚染土壌等の浄化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021169067A JP2021169067A (ja) | 2021-10-28 |
JP7351791B2 true JP7351791B2 (ja) | 2023-09-27 |
Family
ID=78149805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020073529A Active JP7351791B2 (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | 汚染土壌等の浄化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7351791B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003047950A (ja) | 2001-08-01 | 2003-02-18 | Kurita Water Ind Ltd | 脱酸素及び脱炭酸処理装置並びに処理方法 |
JP2005058893A (ja) | 2003-08-11 | 2005-03-10 | Sasakura Engineering Co Ltd | 有機塩素化合物にて汚染された地下土壌の浄化方法 |
JP2008279403A (ja) | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Shimizu Corp | 汚染土壌及び汚染地下水の原位置浄化処理方法 |
JP2011020088A (ja) | 2009-07-17 | 2011-02-03 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 土壌および/または地下水の浄化方法 |
JP2011194307A (ja) | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Kurita Water Ind Ltd | 土壌処理方法及び装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3402699B2 (ja) * | 1993-11-17 | 2003-05-06 | キヤノン株式会社 | 微生物による土壌修復方法 |
JP3401661B2 (ja) * | 1996-02-29 | 2003-04-28 | 清水建設株式会社 | 汚染地下水、土壌の修復方法 |
US6589776B1 (en) * | 2000-10-24 | 2003-07-08 | General Electric Company | Method for treating contaminated media |
-
2020
- 2020-04-16 JP JP2020073529A patent/JP7351791B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003047950A (ja) | 2001-08-01 | 2003-02-18 | Kurita Water Ind Ltd | 脱酸素及び脱炭酸処理装置並びに処理方法 |
JP2005058893A (ja) | 2003-08-11 | 2005-03-10 | Sasakura Engineering Co Ltd | 有機塩素化合物にて汚染された地下土壌の浄化方法 |
JP2008279403A (ja) | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Shimizu Corp | 汚染土壌及び汚染地下水の原位置浄化処理方法 |
JP2011020088A (ja) | 2009-07-17 | 2011-02-03 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 土壌および/または地下水の浄化方法 |
JP2011194307A (ja) | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Kurita Water Ind Ltd | 土壌処理方法及び装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021169067A (ja) | 2021-10-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5560737A (en) | Pneumatic fracturing and multicomponent injection enhancement of in situ bioremediation | |
US6720176B1 (en) | Liquid chemical compositions containing soluble sulfates and methods for anaerobic bioremediation | |
US5626437A (en) | Method for in-situ bioremediation of contaminated ground water | |
US6773598B2 (en) | Method and apparatus for biodegradation of oxygenates | |
CN102774965A (zh) | 一种用于地下水污染治理的原位修复系统 | |
KR101127223B1 (ko) | 토양 및 지하수의 지중처리용 통합공정에 적합한 다기능 관정 | |
JP4726635B2 (ja) | スパージング井戸および土壌浄化システム | |
US6210073B1 (en) | Multi-level fluid transfer apparatus, system and process | |
JP2006263523A (ja) | 廃棄物処分場における安定化方法と装置 | |
JP7351791B2 (ja) | 汚染土壌等の浄化方法 | |
CN113333447B (zh) | 土壤气相抽提降解修复技术的原位应用配套装置及其方法 | |
JP2009045558A (ja) | 汚染地下水の原位置浄化方法 | |
CN213763431U (zh) | 一种污染土壤原位好氧生物修复系统 | |
CN111744943A (zh) | 一种大口径药剂注入井及其有机物污染地下水原位修复设备及工艺 | |
JP2008279403A (ja) | 汚染土壌及び汚染地下水の原位置浄化処理方法 | |
US7252986B2 (en) | Process for the biodegradation of hydrocarbons and ethers in subsurface soil by introduction of a solid oxygen source by hydraulic fracturing | |
CA2804607C (en) | A method for treatment of subterranean sites adjacent to water injection wells | |
JP2005279548A (ja) | 汚染土壌の浄化方法 | |
JP2010188220A (ja) | 汚染土壌浄化工法 | |
CN107055809B (zh) | 高效能多角度井筛地下水整治设备 | |
US20090232603A1 (en) | In Situ Remediation Methods Using Electron Donors And Dispersant Gas | |
JP2012035181A (ja) | 汚染土壌及び汚染地下水の原位置浄化処理方法 | |
US20110207204A1 (en) | Method and apparatus for bioremediation of soils and sediments | |
US20120006538A1 (en) | Method for pre-treatment of subterranean sites adjacent to water injection wells | |
JPH11207375A (ja) | 地下水汚染の修復方法及びその装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220712 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230307 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230428 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230801 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230808 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230914 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7351791 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |