以下、本発明の第1~第3実施形態に係る媒体排出装置について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る媒体排出装置30を備える印刷システム1の内部構成を示す正面図である。
図1に示す印刷システム1は、印刷装置10と、中間搬送装置20と、媒体排出装置30とを備える。
なお、図1には、印刷装置10における媒体Mの直進搬送経路R1、及び中間搬送装置20における媒体Mの排出経路R4を実線で示す。また、図1には、印刷装置10における媒体Mの循環搬送経路R2を2点鎖線で、印刷装置10における反転搬送経路R3を破線で示す。媒体Mは、例えば、枚葉紙(用紙)などのシート状の媒体、或いは、冊子等の媒体である。
図1に示すように、印刷装置10は、媒体供給部11と、繰り出しローラ12と、複数の搬送ローラ対13と、吸着搬送部14と、印刷部15と、搬送経路切り替え部16,17と、排出部18とを備える。
媒体供給部11には、媒体Mが積載される。媒体供給部11は、印刷装置10と一体に配置されているが、印刷装置10とは別体に配置されていてもよい。
繰り出しローラ12は、媒体供給部11に積載された複数枚の媒体Mのうち最上位に位置する媒体Mを繰り出して搬送する。
搬送ローラ対13は、印刷装置10内の直進搬送経路R1、循環搬送経路R2、及び反転搬送経路R3のそれぞれに複数対配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。
吸着搬送部14は、印刷部15に対向するように配置されている。吸着搬送部14は、媒体Mを吸着しながらベルトによって媒体Mを搬送する。
なお、繰り出しローラ12、複数の搬送ローラ対13、及び吸着搬送部14、並びに後述する中間搬送装置20の複数の搬送ローラ対21のそれぞれは、媒体Mを搬送する搬送手段の一例である。
印刷部15は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部15の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
搬送経路切り替え部16は、印刷部15によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路を、中間搬送装置20へ続く直進搬送経路R1と、排出部18又は反転搬送経路R3へ続く循環搬送経路R2とに切り替える。
搬送経路切り替え部17は、媒体Mの循環搬送経路R2を、排出部18へ続く搬送経路と、反転搬送経路R3へ続く搬送経路とに切り替える。なお、媒体Mは、反転搬送経路R3において表裏が逆転し、再び印刷部15へ搬送される。
排出部18には、媒体排出装置30へ排出されない媒体Mが積載される。
図1に示す中間搬送装置20は、複数の搬送ローラ対21と、媒体通過検知センサ22とを備える。
複数の搬送ローラ対21は、印刷装置10から排出された媒体Mをニップしながら搬送する。
媒体通過検知センサ22は、例えば、検知光(図1に点線で図示)を照射する発光部と、この検知光を受光する受光部とを有し、排出経路R4において媒体Mの通過を検知する。
図1に示す媒体排出装置30は、装置筐体31と、2点鎖線(想像線)で示す積載台32と、台車100と、後述する図3(a)~(c)に示すロック解除用コロ33とを備える。
なお、媒体排出装置30の装置筐体31は、印刷装置10とは別体に配置されているが、印刷装置10と一体に配置されていてもよい。また、媒体排出装置30は、単一の印刷装置10を備える印刷システム1に配置されているが、例えば、媒体Mの搬送経路に直列に配置された複数の印刷装置を備える印刷システムに配置されてもよい。また、媒体排出装置30は、印刷装置10から排出される媒体Mが積載されるのではなく、媒体Mに印刷以外の処理を行う処理装置や、媒体Mに処理を行わずに媒体Mを搬送する搬送装置から排出される媒体Mが積載されてもよい。また、中間搬送装置20が省略される場合には、媒体排出装置30は、印刷装置10から直接的に媒体Mが排出されてもよい。
装置筐体31には、媒体排出装置30に出し入れ可能に配置される台車100が挿入される。詳しくは後述するが、図2(a)~(c)に示すように、装置筐体31には、台車100側に突出する水平保持部31aが設けられている。
図1に2点鎖線で示す積載台32には、媒体Mが積載される。積載台32は、例えば最上位の媒体Mの高さが一定高さとなるように昇降する。なお、図1には、台車100の上に直接的に媒体M(台車100で隠れているため、破線で図示)が積載されている状態を示しているが、積載台32が媒体排出装置30に着脱自在に配置される場合には、積載台32ごと媒体Mが台車100に積載されてもよい。また、図1における積載台32は、中間搬送装置20から排出される媒体Mが積載されるときの位置を示しているにすぎず、積載台32は、媒体Mが積載されるため、実際には媒体Mの下方に位置する。なお、積載台32及び台車100に互いの干渉を回避するための溝などが設けられている場合には、積載台32の上面が台車100の後述する図2(a)に示す積載面120aよりも下方の位置まで積載台32が下降することで、媒体Mを積載台32から台車100に受け渡してもよい。
図2(a)~(c)は、第1実施形態に係る台車100の取り出しを説明するための側面図である。
図3(a)~(c)は、台車100の取り出しを説明するためのロック部140等を示す拡大側面図である。
図2(a)~(c)及び図3(a)~(c)に示すように、台車100は、台車本体110と、媒体積載部120と、傾斜付勢部材130と、ロック部140と、ロック付勢部材150とを有する。
台車本体110は、側面視においてL字形状を呈する。台車本体110の上端には、媒体排出装置30から媒体Mを取り出すユーザによって把持される持ち手部分110aが設けられている。台車本体110の下端には、例えば4つのキャスタ110bが設けられている。
媒体積載部120は、台車本体110と同様に側面視においてL字形状を呈し、台車本体110に対して傾斜可能に配置されている。媒体積載部120は、図示しないガイド部材によってガイドされた状態で台車本体110に傾斜可能に配置されているとよい。
媒体積載部120は、積載面120aと、ロック用凸部120bと、傾斜付勢部材用凸部120cとを有する。
積載面120aには、媒体Mが積載される。積載面120aは、水平状態(図3(a)に示す仮想水平面H参照)と傾斜状態(図3(b)及び(c)参照)とに切り替え可能である。
図3(a)に示すように、ロック用凸部120bは、例えば媒体積載部120から下方に突出する球状部分を有し、後述するロック部140のロック用凹部141aに挿入される。
図2(a)~(c)に示すように、傾斜付勢部材用凸部120cは、媒体積載部120から下方に突出し、傾斜付勢部材130の一端が固定される。
傾斜付勢部材130は、例えば引っ張りバネであり、上述のように一端が傾斜付勢部材用凸部120cに固定され、他端が台車本体110に固定される。傾斜付勢部材130は、媒体積載部120を引っ張ることで、図3(c)に示すように媒体積載部120の積載面120aが水平(仮想水平面H)に対して傾斜するように媒体積載部120を付勢する。積載面120aは、台車100の取り出し方向Tの後端側が上に上がるように仮想水平面Hに対して傾斜するとよい。なお、取り出し方向Tは、図1に示す媒体Mの排出方向Dに直交するが、排出方向Dと同一方向であってもよい。
図3(a)~(c)に示すように、ロック部140は、アーム141と、支軸142ととを有する。
アーム141は、支軸142を回転中心軸として回転(揺動)可能に配置されている。この支軸142は、例えば台車本体110に固定されている。
アーム141の一端側(取り出し方向T側)の上部には、ロック用凹部141aが設けられている。アーム141の他端側の下部には、下方に突出するロック解除用凸部141bが設けられている。また、アーム141の他端には、ロック付勢部材用凸部141cが設けられている。
ロック用凹部141aには、媒体積載部120のロック用凸部120bが挿入される。これにより、積載面120aが水平状態(仮想水平面H)で媒体積載部120がロック部140によってロックされる。
図3(b)に示すように、ロック解除用凸部141bは、台車100が媒体排出装置30から取り出される際に装置筐体31に固定されたロック解除用コロ33によって押し上げられる。また、ロック解除用凸部141bは、台車100が媒体排出装置30に挿入される際にもロック解除用コロ33によって押し上げられる。
ロック解除用コロ33は、台車100の挿入時に台車100に干渉しないように台車100の内部に挿入される。例えば、ロック解除用コロ33は、台車100の取り出し方向Tに直交する幅方向(図1に示す排出方向D)において、台車100よりも長い。なお、ロック解除用コロ33は、台車100が媒体排出装置30から取り出される際にロック部140のロックを解除するロック解除部の一例である。
ロック付勢部材用凸部141cには、ロック付勢部材150の一端が固定されている。このロック付勢部材150の他端は、例えば台車本体110に固定されている。
ロック付勢部材150は、例えば引っ張りバネであり、ロック付勢部材用凸部141cを例えば下方に付勢することによって、図3(a)における反時計回りにアーム141を回転させ、ロック用凹部141aにロック用凸部120bを挿入させる。
ここで、台車100の出し入れによる媒体積載部120の積載面120aの傾きについて説明する。
まず、図2(a)に示すように台車100が媒体排出装置30に挿入された状態では、媒体排出装置30の水平保持部31aは、例えば、媒体積載部120を押圧することによって、媒体積載部120の積載面120aを傾斜付勢部材130の付勢力に抗して水平状態(仮想水平面H)に保持する。このとき、図3(a)に示すように、ロック部140のアーム141のロック用凹部141aには、上述のようにロック用凸部120bが挿入される。これにより、ロック部140は、積載面120aが水平状態で媒体積載部120をロックする。なお、水平保持部31aは、媒体積載部120を押圧するのではなく、磁力などを用いて、積載面120aを傾斜付勢部材130の付勢力に抗して水平状態(仮想水平面H)に保持してもよい。また、ロック部140による媒体積載部120のロックは、ロック用凹部141aへのロック用凸部120bの挿入に限られず、引っ掛け、嵌め合いなどのその他の手段によって行われてもよい。
そして、図2(b)に示すように、台車100が媒体排出装置30から取り出される際には、図3(b)に示すように、ロック解除用凸部141bは、媒体排出装置30のロック解除用コロ33によって押し上げられる。これにより、ロック付勢部材150の付勢力に抗してアーム141が図3(b)における時計回りに回転し、ロック用凹部141aから媒体積載部120のロック用凸部120bが抜け出る。また、媒体積載部120は、図2(c)に示すように傾斜付勢部材130によって積載面120aが図3(c)に示す仮想水平面Hに対して傾斜するように付勢される。
これにより、図3(c)に示すように媒体積載部120の積載面120aが傾斜することで、図2(c)に示すように積載面120aに積載された媒体Mが傾斜した状態で保持される。
なお、台車100が媒体排出装置30に挿入される際には、図3(b)に示すように、ロック解除用凸部141bは、媒体排出装置30のロック解除用コロ33によって押し上げられる。これにより、アーム141は、図3(b)における時計回りに回転し、その後、ロック付勢部材150の付勢力によってアーム141が図3(a)における反時計回りに回転する。また、装置筐体31の水平保持部31aが媒体積載部120を押圧することによって、媒体積載部120の積載面120aを傾斜付勢部材130の付勢力に抗して水平状態(仮想水平面H)に保持する。これにより、媒体積載部120のロック用凸部120bがロック用凹部141aに挿入され、積載面120aが水平状態でロック部140によって媒体積載部120がロックされる。
ここで、上述のロック部140は、積載面120aが水平状態で媒体積載部120をロックするが、積載面120aが傾斜状態で媒体積載部120をロックしてもよい。その場合、積載面120aが水平に対して傾斜するように媒体積載部120を付勢する傾斜付勢部材130に代えて、積載面120aが水平状態となるように媒体積載部120を付勢する水平付勢部材が配置されるとよい。
なお、上述の水平保持部31a及びロック解除用コロ33(ロック解除部)は、台車100が挿入される際に積載面120aを水平状態に切り替え、台車100が取り出される際に積載面120aを傾斜状態に切り替える切り替え部の一例である。この切り替え部としては、水平保持部31a及びロック解除用コロ33を用いたものに限られず、例えば、上述のように、積載面120aが傾斜状態でロック部が媒体積載部120をロックし、積載面120aが水平状態となるように水平付勢部材が媒体積載部120を付勢する態様では、台車100が挿入される際にロック部のロックを解除し、台車100が取り出される際にロック部にロックさせる切り替え部であるとよい。
以上説明した第1実施形態では、媒体排出装置30は、媒体Mが積載され水平状態と傾斜状態とに切り替え可能な積載面120aが設けられた媒体積載部120を有し、出し入れ可能に配置される台車100と、この台車100が挿入される際に積載面120aを水平状態に切り替え、台車100が取り出される際に積載面120aを傾斜状態に切り替える切り替え部の一例である水平保持部31a及びロック解除用コロ33(ロック解除部)とを備える。
これにより、台車100が媒体排出装置30に挿入された場合に、媒体積載部120の積載面120aを水平状態(仮想水平面H)に保持することができる。また、媒体排出装置30から取り出された台車100は、媒体積載部120の積載面120aが仮想水平面Hに対して傾斜する。そのため、台車100を用いて媒体Mを運ぶ場合に、積載された媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。また、台車100を媒体排出装置30に対して出し入れする動作に連動して、媒体Mのサイズによらず簡単な構成で積載面120aを水平状態と傾斜状態とに切り替えることができる。よって、本第1実施形態によれば、簡素な構成で、媒体排出装置30から取り出される媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。
また、本第1実施形態では、台車100は、積載面120aが水平(仮想水平面H)に対して傾斜するように媒体積載部120を付勢する傾斜付勢部材130と、積載面120aが水平状態で媒体積載部120をロックするロック部140とを有する。切り替え部は、台車100が挿入される際に媒体積載部120の積載面120aを傾斜付勢部材130の付勢力に抗して水平状態に保持し、ロック部140に媒体積載部120をロックさせる水平保持部31aと、台車100が取り出される際にロック部140のロックを解除するロック解除部の一例であるロック解除用コロ33とを備える。これにより、台車100が媒体排出装置30に挿入された場合に、積載面120aが水平状態で媒体積載部120がロックされるため、水平状態でロックされた積載面120aに媒体Mを移送することができる。したがって、媒体Mの移送を確実に行うことができる。また、装置筐体31の水平保持部31a及びロック解除用コロ33、並びに台車100の傾斜付勢部材130及びロック部140を用いた簡素な構成で、媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。
<第2実施形態>
本第2実施形態では、装置筐体31の水平保持部31b及び台車200のみ上述の第1実施形態と相違する。そのため、重複する事項についての詳細な説明は省略する。
図4(a)~(c)は、第2実施形態に係る台車200の取り出しを説明するための側面図である。
図5(a)~(c)は、台車200の取り出しを説明するためのロック部240等を示す拡大側面図である。
図4(a)~(c)及び図5(a)~(c)に示すように、台車200は、台車本体210と、媒体積載部220と、傾斜付勢部材230と、ロック部240と、ロック付勢部材250とを有する。
台車本体210は、側面視においてL字形状を呈する。台車本体210の上端には、媒体排出装置30から媒体Mを取り出すユーザによって把持される持ち手部分210aが設けられている。台車本体210の下端には、例えば4つのキャスタ210bが設けられている。
媒体積載部220は、台車本体210と同様に側面視においてL字形状を呈し、台車本体210に対して傾斜可能に配置されている。媒体積載部220は、図示しないガイド部材によってガイドされた状態で台車本体210に傾斜可能に配置されているとよい。
図5(a)~(c)に示すように、媒体積載部220は、積載面220aと、ロック用凸部220bと、傾斜付勢部材用凸部220cとを有する。
積載面220aには、媒体Mが積載される。積載面220aは、水平状態(図5(a)に示す仮想水平面H参照)と傾斜状態(図5(b)及び(c)参照)とに切り替え可能である。
図5(a)に示すように、ロック用凸部220bは、例えば媒体積載部220から下方に突出する球状部分を有し、後述するロック部240のロック用凹部241aに挿入される。
傾斜付勢部材用凸部220cは、媒体積載部220から下方に突出し、傾斜付勢部材230の一端が固定される。
傾斜付勢部材230は、例えば引っ張りバネであり、上述のように一端が傾斜付勢部材用凸部220cに固定され、他端が台車本体210に固定される。傾斜付勢部材230は、媒体積載部220を引っ張ることで、図5(c)に示すように媒体積載部220の積載面220aが水平(仮想水平面H)に対して傾斜するように媒体積載部220を付勢する。なお、積載面220aは、台車200の取り出し方向Tの後端側が上に上がるように仮想水平面Hに対して傾斜するとよい。
図5(a)~(c)に示すように、ロック部240は、ロック用アーム241と、ロック解除用アーム242と、支軸243,244とを有する。
ロック用アーム241は、支軸243を回転中心軸として回転(揺動)可能に配置されている。この支軸243は、例えば台車本体210に固定されている。
ロック用アーム241の一端側(取り出し方向T側)の上部には、ロック用凹部241aが設けられている。このロック用凹部241aには、媒体積載部220のロック用凸部220bが挿入される。これにより、積載面220aが水平状態(仮想水平面H)で媒体積載部220がロック部240によってロックされる。
アーム241の他端側には、連結ピン241bが設けられている。この連結ピン241bは、ロック解除用アーム242の長孔242bに挿入されている。これにより、ロック用アーム241とロック解除用アーム242とが連結されている。
ロック解除用アーム242の一端側(取り出し方向T側)には、上述の長孔242bが設けられている。また、ロック解除用アーム242の他端には、上方に突出するロック解除用凸部242aが設けられている。このロック解除用凸部242aは、例えばロック部240から上方に突出する球状部分を有する。
図5(b)に示すように、ロック解除用凸部242aは、台車200が媒体排出装置30から取り出される際に、媒体排出装置30の水平保持部31bから下方に突出するロック解除用凸部31b-1によって押し下げられる。また、ロック解除用凸部242aは、台車200が媒体排出装置30に挿入される際にも、ロック解除用凸部31b-1によって押し下げられる。これにより、ロック解除用アーム242が図5(b)における反時計回りに回転し、それに伴い、ロック用アーム241が図5(b)における時計回りに回転する。なお、ロック解除用凸部31b-1は、台車200が媒体排出装置30から取り出される際にロック部240のロックを解除するロック解除部の一例である。また、水平保持部31b及びこの水平保持部31bに設けられたロック解除用凸部31b-1(ロック解除部)は、台車200が挿入される際に積載面220aを水平状態に切り替え、台車200が取り出される際に積載面220aを傾斜状態に切り替える切り替え部の一例である。
ロック付勢部材250は、例えば引っ張りバネであり、ロック解除用アーム242を例えば下方に付勢することによって、図5(a)における時計回りにロック解除用アーム242を回転させ、それに伴い、図5(a)における反時計回りにロック用アーム241を回転させ、ロック用凹部241aにロック用凸部220bを挿入させる。
ここで、台車200の出し入れによる媒体積載部220の積載面220aの傾きについて説明する。
まず、図4(a)に示すように台車200が媒体排出装置30に挿入された状態では、媒体排出装置30の水平保持部31bは、例えば、媒体積載部220を押圧することによって、媒体積載部220の積載面220aを傾斜付勢部材230の付勢力に抗して水平状態(仮想水平面H)に保持する。このとき、図5(a)に示すように、ロック用アーム241のロック用凹部241aには、上述のようにロック用凸部220bが挿入される。これにより、ロック部240は、積載面220aが水平状態で媒体積載部220をロックする。なお、水平保持部31bは、媒体積載部220を押圧するのではなく、磁力などを用いて、積載面220aを傾斜付勢部材230の付勢力に抗して水平状態(仮想水平面H)に保持してもよい。また、ロック部240による媒体積載部220のロックは、ロック用凹部241aへのロック用凸部220bの挿入に限られず、引っ掛け、嵌め合いなどのその他の手段によって行われてもよい。
そして、図4(b)に示すように、台車200が媒体排出装置30から取り出される際には、図5(b)に示すように、ロック解除用凸部242aは、水平保持部31bのロック解除用凸部31b-1によって押し下げられる。これにより、ロック付勢部材250の付勢力に抗してロック解除用アーム242が図5(b)における反時計回りに回転し、それに伴い、ロック用アーム241が図5(b)における時計回りに回転する。これにより、ロック用凹部241aから媒体積載部220のロック用凸部220bが抜け出る。また、媒体積載部220は、図5(c)に示すように傾斜付勢部材230によって積載面220aが仮想水平面Hに対して傾斜するように付勢される。
これにより、図5(c)に示すように媒体積載部220の積載面220aが傾斜することで、図4(c)に示すように積載面220aに積載された媒体Mが傾斜した状態で保持される。ここで、ロック部240は、ロック用アーム241とロック解除用アーム242とが一直線上に並ぶ状態よりも、ロック用アーム241が図5(c)における反時計回りに、ロック解除用アーム242が図5(c)における時計回りに、それぞれ回転しないように図示しない回転規制部によって回転を規制されているとよい。
なお、台車200が媒体排出装置30に挿入される際には、図5(b)に示すように、ロック解除用凸部242aは、水平保持部31bのロック解除用凸部31b-1によって押し下げられる。これにより、ロック解除用アーム242は、図5(b)における反時計回りに回転し、それに伴い、ロック用アーム241が図5(b)における時計回りに回転する。その後、ロック付勢部材250の付勢力によってロック解除用アーム242が図5(a)における時計回りに回転し、それに伴い、ロック用アーム241が図5(a)における反時計回りに回転する。また、装置筐体31の水平保持部31bが媒体積載部220を押圧することによって、媒体積載部220の積載面220aを傾斜付勢部材230の付勢力に抗して水平状態(仮想水平面H)に保持する。これにより、媒体積載部220のロック用凸部220bがロック用凹部241aに挿入され、積載面220aが水平状態でロック部240によって媒体積載部220がロックされる。
以上説明した第2実施形態では、上述の第1実施形態と同様に、媒体排出装置30は、媒体Mが積載され水平状態と傾斜状態とに切り替え可能な積載面220aが設けられた媒体積載部220を有し、出し入れ可能に配置される台車200と、この台車200が挿入される際に積載面220aを水平状態に切り替え、台車200が取り出される際に積載面220aを傾斜状態に切り替える切り替え部の一例である水平保持部31b及びロック解除用凸部31b-1(ロック解除部)とを備える。
これにより、台車200が媒体排出装置30に挿入された場合に、媒体積載部220の積載面220aを水平状態(仮想水平面H)に保持することができる。また、媒体排出装置30から取り出された台車200は、媒体積載部220の積載面220aが仮想水平面Hに対して傾斜する。そのため、台車200を用いて媒体Mを運ぶ場合に、積載された媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。また、台車200を媒体排出装置30に対して出し入れする動作に連動して、媒体Mのサイズによらず簡単な構成で積載面220aを水平状態と傾斜状態とに切り替えることができる。よって、本第2実施形態によっても、簡素な構成で、媒体排出装置30から取り出される媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。
また、本第2実施形態では、台車200は、積載面220aが水平(仮想水平面H)に対して傾斜するように媒体積載部220を付勢する傾斜付勢部材230と、積載面220aが水平状態で媒体積載部220をロックするロック部240とを有する。切り替え部は、台車200が挿入される際に媒体積載部220の積載面220aを傾斜付勢部材230の付勢力に抗して水平状態に保持し、ロック部240に媒体積載部220をロックさせる水平保持部31bと、台車200が取り出される際にロック部240のロックを解除するロック解除部の一例であるロック解除用凸部31b-1とを備える。これにより、台車200が媒体排出装置30に挿入された場合に、積載面220aが水平状態で媒体積載部220がロックされるため、水平状態でロックされた積載面220aに媒体Mを移送することができる。したがって、媒体Mの移送を確実に行うことができる。また、装置筐体31の水平保持部31b及びロック解除用凸部31b-1、並びに台車200の傾斜付勢部材230及びロック部240を用いた簡素な構成で、媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。
なお、上述の第1及び第2実施形態では、水平保持部31a,31bは、台車100,200が挿入される際に媒体積載部120,220の積載面120a,220aを傾斜付勢部材130,230の付勢力に抗して水平状態に保持し、ロック部140,240に媒体積載部120,220をロックさせる。また、上述の第1実施形態ではロック解除用コロ33を用い、上述の第2実施形態ではロック解除用凸部31b-1を用いて台車100,200が取り出される際にロック部140,240のロックが解除される。しかしながら、積載面120a,220aの水平状態と傾斜状態との切り替えやロック又はロック解除は任意の構成で行うことができる。また、積載面120a,220aの水平状態と傾斜状態との切り替えや、ロック部140,240のロック又はロック解除は、ユーザが手動で行ってもよいし、或いは、持ち手部分110a,210aなどに操作部を設けて、この操作部を例えばユーザが押すことによって、各部と操作部とを連結する連結機構を介して行ってもよい。そのため、傾斜付勢部材130,230、ロック部140,240、水平保持部31a,31b、及びロック解除部(ロック解除用コロ33及びロック解除用凸部31b-1)は適宜省略することが可能である。この場合、より一層簡素な構成で、媒体排出装置30から取り出される媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。
<第3実施形態>
本第3実施形態では、装置筐体31に水平保持部31a,31bではなく挿入検知用発光部34が配置されていること及び台車300のみ上述の第1及び第2実施形態と相違する。そのため、重複する事項についての詳細な説明は省略する。
図6(a)~(c)は、第3実施形態に係る台車300の取り出しを説明するための側面図である。
図6(a)~(c)に示すように、台車300は、台車本体310と、媒体積載部320と、傾斜駆動部330と、挿入検知センサ340とを有する。
台車本体310は、側面視においてL字形状を呈する。台車本体310の上端には、媒体排出装置30から媒体Mを取り出すユーザによって把持される持ち手部分310aが設けられている。台車本体310の下端には、例えば4つのキャスタ310bが設けられている。
媒体積載部320は、台車本体310と同様に側面視においてL字形状を呈し、台車本体310に対して傾斜可能に配置されている。媒体積載部320は、図示しないガイド部材によってガイドされた状態で台車本体310に傾斜可能に配置されているとよい。
媒体積載部320の積載面320aには、媒体Mが積載される。積載面320aは、水平状態(図6(a)に示す仮想水平面H参照)と傾斜状態(図6(b)及び(c)参照)とに切り替え可能である。
傾斜駆動部330は、媒体積載部320の積載面320aを水平状態と傾斜状態とに切り替える例えばモータ等のアクチュエータである。なお、積載面320aは、台車300の取り出し方向Tの後端側が上に上がるように仮想水平面Hに対して傾斜するとよい。
挿入検知センサ340は、例えば、装置筐体31に設けられた挿入検知用発光部34から照射される照射光L(図6(a)~(c)に点線で図示)を検知する。そのため、挿入検知センサ340が照射光Lを検知するときには台車300が媒体排出装置30に挿入され、挿入検知センサ340が照射光Lを検知しないときには台車300が媒体排出装置30から取り出されていると判別することができる。図示しない制御部は、このような挿入検知センサ340の検知結果に基づき、台車300が媒体排出装置30に挿入されているときには図6(a)に示すように媒体積載部320の積載面320aが水平状態となり、台車300が媒体排出装置30から取り出されているときには図6(b)及び(c)に示すように媒体積載部320の積載面320aが傾斜状態となるように傾斜駆動部330を制御するとよい。
なお、傾斜駆動部330は、例えば、持ち手部分310aなどに設けられた入力部におけるユーザの操作に基づいて、媒体積載部320の積載面320aを水平状態と傾斜状態とに切り替える制御が行われてもよい。そのため、挿入検知センサ340及び挿入検知用発光部34は、省略可能である。
以上説明した第3実施形態では、台車300は、媒体排出装置30に出し入れ可能に配置される台車300であって、媒体Mが積載され水平状態と傾斜状態とに切り替え可能な積載面320aが設けられた媒体積載部320と、この媒体積載部320の積載面320aを水平状態と傾斜状態とに切り替える傾斜駆動部330とを有する。
これにより、台車300が媒体排出装置30に挿入された場合に、媒体積載部320の積載面320aを水平状態(仮想水平面H)に保持することができる。また、台車300が媒体排出装置30から取り出された場合に、媒体積載部320の積載面320aを仮想水平面Hに対して傾斜させることができる。そのため、台車300を用いて媒体Mを運ぶ場合に、積載された媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。また、媒体Mのサイズによらず簡単な構成で積載面320aを水平状態と傾斜状態とに切り替えることができる。よって、本第3実施形態によっても、簡素な構成で、媒体排出装置30から取り出される媒体Mに積載乱れが生じるのを抑制することができる。
なお、本発明は、上述の第1~第3実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の第1~第3実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
媒体が積載され水平状態と傾斜状態とに切り替え可能な積載面が設けられた媒体積載部を有し、出し入れ可能に配置される台車と、
前記台車が挿入される際に前記積載面を水平状態に切り替え、前記台車が取り出される際に前記積載面を傾斜状態に切り替える切り替え部と
を備えることを特徴とする媒体排出装置。
[付記2]
前記台車は、前記積載面が水平に対して傾斜するように前記媒体積載部を付勢する傾斜付勢部材と、前記積載面が水平状態で前記媒体積載部をロックするロック部とを有し、
前記切り替え部は、前記台車が挿入される際に前記媒体積載部の前記積載面を前記傾斜付勢部材の付勢力に抗して水平状態に保持し、前記ロック部に前記媒体積載部をロックさせる水平保持部と、前記台車が取り出される際に前記ロック部のロックを解除するロック解除部とを有する
ことを特徴とする付記1記載の媒体排出装置。
[付記3]
媒体排出装置に出し入れ可能に配置される台車であって、
前記台車は、媒体が積載され水平状態と傾斜状態とに切り替え可能な積載面が設けられた媒体積載部を有し、
前記媒体排出装置は、前記台車が挿入される際に前記積載面を水平状態に切り替え、前記台車が取り出される際に前記積載面を傾斜状態に切り替える切り替え部を備える
ことを特徴とする台車。