JP7351197B2 - ステータの製造方法及びステータ - Google Patents
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Description
被覆導体線束は、複数本の導体線を集合させてなる導体線束と、導体線束の外周を被覆する可撓性の絶縁被覆材とを有している。各導体線は、絶縁被覆材内において相対移動が可能とされている。これにより、被覆導体線束における導体線の延在方向に直交する断面形状を変形させることができる。
本発明の目的は、コイルの占積率を高めることのできるステータの製造方法及びステータを提供することにある。
図1に示すように、ステータ10は、中心孔20aを有する筒状のステータコア20と、ステータコア20の内部に配置されるコイル30とを備えている。本実施形態のステータ10は、三相同期型の回転電機に用いられるものであり、ロータ100を取り囲むように設けられている。ステータコア20は、図示しない複数の鋼板が積層されることにより構成されている。
図2に示すように、ステータコア20は、環状のヨーク21、及びヨーク21からヨーク21の径方向の内側に向かって延在するとともにヨーク21の周方向に互いに間隔をおいて形成された複数のティース22を有している。周方向において互いに隣り合うティース22同士の間には、径方向の内側に開口する開口部26を有するスロット24が形成されている。ステータコア20は、都合48個のスロット24を有している。なお、各スロット24の内面には、図示しない絶縁紙が設けられている。
図2に示すように、コイル30は、アルミニウム合金などの金属製の導体32と、導体32の外周面を被覆する絶縁性の被覆部材33とを有する導線31により構成されている。図示は省略するが、本実施形態のコイル30は、導線31が略U字状に形成された複数のセグメントコイルが互いに接合することにより構成されている。より詳しくは、各セグメントコイルが所定のスロット24に挿入されるとともに、スロット24から突出した各セグメントコイルの端部同士が互いに接合されている。本実施形態では、U相、V相、及びW相を構成するコイル30が、複数のティース22に跨がって分布巻きにより巻回されている。
なお、図2以降の各図面においては、1つのスロット24内に配置されたコイル30のみを図示し、同スロット24に隣り合う2つのスロット24内に配置されたコイル30の図示を省略している。
図3に示すように、まず、3つの外側導線31aを径方向におけるスロット本体25の最外端に周方向に並べて配置する。このとき、各外側導線31aは、軸線方向に沿ってスロット本体25に挿入されて配置される。なお、本実施形態では、軸線方向に直交する断面形状が長円状をなす導線31が用いられる。
ここで、治具40は、スロット本体25における軸線方向の全体にわたって延びている。また、治具40の周方向における幅は、スロット本体25の周方向における幅と略同一である。
図6に示すように、次に、3つの内側導線31bを径方向の内側から開口部26を通じてスロット24内に挿入して、これらが周方向に並ぶように配置する。本実施形態では、治具40とは別の治具50により各内側導線31bをスロット24内に配置する。
充填工程においては、開口部26を通じてスロット24内に配置された内側導線31bを、治具50により径方向の外側に向けて押圧して導体32を塑性変形させることで、内側導線31bが開口部26に充填される。このとき、治具50が径方向においてスロット24の最内端を越えないため、内側導線31bが開口部26全体に充填されやすくなる。
(1)ステータ10の製造方法は、内側導線31bを、開口部26を通じてスロット24内に配置するとともに治具50により径方向の外側に向けて押圧して導体32を塑性変形させることで、内側導線31bを開口部26に充填する充填工程を備える。充填工程では、径方向におけるスロット24の最内端まで内側導線31bを押圧するようにした。
(2)押圧工程では、充填工程に先立ち、外側導線31aを治具40により径方向の外側に向けて押圧することでスロット24の内面に沿って外側導線31aの導体32を塑性変形させるようにした。
こうした方法によれば、治具40により外側導線31aが周方向の全体にわたって押圧される。このため、外側導線31aがスロット24内において周方向の全体にわたって均一に押圧されることで、外側導線31aの導体32がスロット本体25内において均一に塑性変形しやすくなる。これにより、スロット24内に外側導線31aを緻密に配置することができる。したがって、コイル30の占積率をより一層高めることができる。
回転電機においては、ステータ10の内周側でロータ100が回転することにより、ロータ100からティース22に向かって磁束が流入する。こうした磁束の一部がコイル30に流入した場合、コイル30の内部には、当該磁束の流入に伴う磁束変化によって渦電流が生じるおそれがある。こうした渦電流を低減させるための手段としては、導線31をスロット24内において周方向に複数並ぶように配置し、各導線31の断面積を小さくすることが有効である。
また、上記方法によれば、充填工程では、スロット24内において周方向に複数並ぶ内側導線31bを一括して押圧するため、周方向に複数並ぶ内側導線31bを開口部26に容易に充填することができる。
こうした方法によれば、充填工程では、内側導線31bがスロット24の開口部26とスロット本体25との双方に充填される。
こうした構成によれば、径方向におけるスロット24の最外端から最内端まで導線31が充填されている。したがって、コイル30の占積率を高めることができる。
なお、以下の図8及び図9にそれぞれ示す第1変更例および第2変更例において、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すとともに、上記実施形態に対応する構成については、上記実施形態の符号にそれぞれ「100」、「200」を加算した符号を付すことにより、重複した説明を省略する。
・ティース22は突出部23を有するものでなくてもよい。この場合、スロット本体25と開口部26との周方向における幅が同一、すなわち、スロット24の周方向における幅が径方向の全体にわたって同一となる。これにより、上記スロット24の幅と略同一の幅を有する治具を、開口部26を通じてスロット24内に挿入することができる。したがって、押圧工程及び充填工程において同一の治具を用いることができる。
・押圧工程において、治具40とは別の治具を開口部26を通じてスロット24内に挿入し、外側導線31aを押圧するようにしてもよい。なお、同治具の周方向における幅は、開口部26の周方向における幅と略同一であることが好ましい。また、これに加えて、本実施形態の治具40により外側導線31aを更に押圧するようにしてもよい。
・本実施形態の充填工程では、径方向におけるスロット24の最内端まで各内側導線31bを押圧するようにしたが、径方向におけるスロット24の最内端よりも内側まで各内側導線31bを押圧するようにしてもよい。この場合、各内側導線31bは、ステータコア20とロータ100との隙間において、ティース22の先端面22aから径方向の内側に突出する。
・集中巻きにより巻回されたコイルを有するステータに対しても本発明を適用することができる。
・導体32は、例えば銅合金などのアルミニウム合金以外の金属からなるものであってもよい。
20…ステータコア
20a…中心孔
21…ヨーク
22…ティース
22a…先端面
23…突出部
24…スロット
25…スロット本体
26…開口部
30…コイル
31…導線
31a…外側導線
31b…内側導線
32…導体
33…被覆部材
40…治具
50…治具
51…押圧部
52…案内部
53…溝
100…ロータ
110…ステータ
131…導線
131a…外側導線
131b…内側導線
210…ステータ
231…導線
231a…外側導線
231b…内側導線
Claims (5)
- 環状のヨーク、及び前記ヨークから前記ヨークの径方向の内側に向かって延在するとともに前記ヨークの周方向に互いに間隔をおいて形成された複数のティースを有し、前記周方向において互いに隣り合う前記ティース同士の間に、前記径方向の内側に開口する開口部を有するスロットが形成されたステータコアと、金属製の導体、及び前記導体を被覆する被覆部材を有する導線により構成され、前記スロット内に配置されるコイルと、を備えるステータの製造方法であって、
前記ティースの前記径方向における先端には、前記周方向の両側に突出した一対の突出部が設けられており、
前記スロットは、互いに隣り合う一対の前記ティースにおいて前記周方向に対向する2つの前記突出部の突端面同士の間に形成された前記開口部と、前記開口部に対して前記径方向の外側に隣り合うスロット本体と、を有しており、
前記開口部における前記周方向の幅は、前記スロット本体における前記周方向の幅よりも小さくされており、
前記導線を、前記開口部を通じて前記スロット内に配置するとともに治具により前記径方向の外側に向けて押圧して前記導体を塑性変形させることで、当該導線を前記開口部に充填する充填工程を備え、
前記充填工程では、前記治具が前記開口部を形成する一対の前記ティースの前記径方向における先端面を前記径方向において超えないように前記導線を押圧し、同一の前記導線を前記スロット本体の内面と前記突端面との双方に接触させた状態で前記突出部に係止させる、
ステータの製造方法。 - 前記導線は、前記スロット内において前記径方向に複数並んで配置されるものであり、
前記充填工程に先立ち、前記径方向に複数並ぶ前記導線のうち前記開口部に充填される内側導線よりも前記径方向の外側に配置される外側導線を治具により前記径方向の外側に向けて押圧することで前記スロットの内面に沿って前記外側導線の前記導体を塑性変形させる押圧工程を備える、
請求項1に記載のステータの製造方法。 - 前記押圧工程では、治具により前記外側導線を前記周方向の全体にわたって押圧する、
請求項2に記載のステータの製造方法。 - 前記導線は、前記スロット内において前記周方向に複数並んで配置されるものであり、
前記充填工程では、前記周方向に複数並ぶ前記導線を一括して押圧する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のステータの製造方法。 - 環状のヨーク、及び前記ヨークから前記ヨークの径方向の内側に向かって延在するとともに前記ヨークの周方向に互いに間隔をおいて形成された複数のティースを有し、前記周方向において互いに隣り合う前記ティース同士の間に、前記径方向の内側に開口する開口部を有するスロットが形成されたステータコアと、金属製の導体、及び前記導体を被覆する被覆部材を有する導線により構成され、前記スロット内に配置されるコイルと、を備えるステータであって、
前記ティースの前記径方向における先端には、前記周方向の両側に突出した一対の突出部が設けられており、
前記スロットは、互いに隣り合う一対の前記ティースにおいて前記周方向に対向する2つの前記突出部の突端面同士の間に形成された前記開口部と、前記開口部に対して前記径方向の外側に隣り合うスロット本体と、を有しており、
前記開口部における前記周方向の幅は、前記スロット本体における前記周方向の幅よりも小さくされており、
前記導線は、前記径方向における前記スロットの最外端から前記開口部を形成する一対の前記ティースの前記径方向における先端面と面一になる位置まで充填されており、
同一の前記導線が前記スロット本体の内面と前記突端面との双方に接触した状態で前記突出部に係止している、
ステータ。
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