以下、図面を参照しながら、本願に係る磁気共鳴データ収集方法及び磁気共鳴イメージング装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
例えば、図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、全身用RFコイル4、局所用RFコイル5、送信回路6、受信回路7、RF(Radio Frequency)シールド8、架台9、寝台10、インタフェース11、ディスプレイ12、記憶回路13、及び処理回路14~16を備える。
静磁場磁石1は、被検体Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、その内周側に形成された撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、超伝導磁石や永久磁石等である。ここでいう超伝導磁石は、例えば、液体ヘリウム等の冷却剤が充填された容器と、当該容器に浸漬された超伝導コイルとから構成される。
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被検体Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル及びZコイルを有している。Xコイル、Yコイル及びZコイルは、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、各軸方向に沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。ここで、Z軸は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿うように設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿うように設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿うように設定される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給することで、撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2のXコイル、Yコイル及びZコイルに個別に電流を供給することで、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
ここで、リードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及びスライス傾斜磁場は、それぞれ静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被検体Sから発生する磁気共鳴信号に空間的な位置情報を付与する。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿って磁気共鳴信号の位相を変化させることで、位相エンコード方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。また、スライス傾斜磁場は、スライス方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。例えば、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域(2D撮像)の場合には、スライス領域の方向、厚さ及び枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域(3D撮像)の場合には、スライス方向の位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために用いられる。これにより、リードアウト方向に沿った軸、位相エンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。
全身用RFコイル4は、傾斜磁場コイル2の内周側に配置されており、撮像空間に配置された被検体SにRF磁場を印加し、当該RF磁場の影響によって被検体Sから発生する磁気共鳴信号を受信する。具体的には、全身用RFコイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路6から供給されるRFパルス信号に基づいて、その内周側に位置する撮像空間に配置された被検体SにRF磁場を印加する。また、全身用RFコイル4は、RF磁場の影響によって被検体Sから発生する磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。
局所用RFコイル5は、被検体Sから発生した磁気共鳴信号を受信する。具体的には、局所用RFコイル5は、被検体Sの部位ごとに用意されており、被検体Sの撮像が行われる際に、撮像対象の部位の表面近傍に配置される。そして、局所用RFコイル5は、全身用RFコイル4によって印加されたRF磁場の影響によって被検体Sから発生した磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。なお、局所用RFコイル5は、被検体SにRF磁場を印加する機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用RFコイル5は、送信回路6に接続され、送信回路6から供給されるRFパルス信号に基づいて、被検体SにRF磁場を印加する。例えば、局所用RFコイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルをコイルエレメントとして組み合わせて構成されたフェーズドアレイコイルである。
送信回路6は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有のラーモア周波数に対応するRFパルス信号を全身用RFコイル4に出力する。具体的には、送信回路6は、パルス発生器、RF発生器、変調器、及び増幅器を有する。パルス発生器は、RFパルス信号の波形を生成する。RF発生器は、共鳴周波数のRF信号を発生する。変調器は、RF発生器によって発生したRF信号の振幅をパルス発生器によって発生した波形で変調することで、RFパルス信号を生成する。増幅器は、変調器によって生成されたRFパルス信号を増幅して全身用RFコイル4に出力する。
受信回路7は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路15に出力する。例えば、受信回路7は、選択器、前段増幅器、位相検波器、及び、A/D(Analog/Digital)変換器を備える。選択器は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号を選択的に入力する。前段増幅器は、選択器から出力される磁気共鳴信号を電力増幅する。位相検波器は、前段増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。A/D変換器は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することで磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路15に出力する。なお、ここで、受信回路7が行うものとして説明した各処理は、必ずしも全ての処理が受信回路7で行われる必要はなく、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5で一部の処理(例えば、A/D変換器による処理等)が行われてもよい。
RFシールド8は、傾斜磁場コイル2と全身用RFコイル4との間に配置されており、全身用RFコイル4によって発生するRF磁場から傾斜磁場コイル2を遮蔽する。具体的には、RFシールド8は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、傾斜磁場コイル2の内周側の空間に、全身用RFコイル4の外周面を覆うように配置されている。
架台9は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア9aを有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、全身用RFコイル4、及びRFシールド8を収容している。具体的には、架台9は、ボア9aの外周側に全身用RFコイル4を配置し、全身用RFコイル4の外周側にRFシールド8を配置し、RFシールド8の外周側に傾斜磁場コイル2を配置し、傾斜磁場コイル2の外周側に静磁場磁石1を配置した状態で、それぞれを収容している。ここで、架台9が有するボア9a内の空間が、撮像時に被検体Sが配置される撮像空間となる。
寝台10は、被検体Sが載置される天板10aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、被検体Sが載置された天板10aを撮像空間に移動する。例えば、寝台10は、天板10aの長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び全身用RFコイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構造を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、被検体Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構造を有していてもよい。このようなオープン型の構造では、一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルによって挟まれた空間が、トンネル型の構造におけるボアに相当する。
インタフェース11は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース11は、処理回路17に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路17に出力する。例えば、インタフェース11は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、インタフェース11は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース11の例に含まれる。
ディスプレイ12は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ12は、処理回路17に接続されており、処理回路17から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ12は、液晶モニタやCRTモニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路13は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路13は、磁気共鳴データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路14は、寝台制御機能14aを有する。寝台制御機能14aは、制御用の電気信号を寝台10へ出力することで、寝台10の動作を制御する。例えば、寝台制御機能14aは、インタフェース11を介して、天板10aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板10aを移動するように、寝台10が有する天板10aの移動機構を動作させる。
処理回路15は、各種のパルスシーケンスを実行することで、被検体Sの磁気共鳴データを収集する。具体的には、処理回路15は、処理回路17から出力されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源3、送信回路6及び受信回路7を駆動することで、各種のパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路6が全身用RFコイル4にRFパルス信号を供給するタイミング及び供給するRFパルスの強さ、受信回路7が磁気共鳴信号をサンプリングするタイミング等を規定した情報である。そして、処理回路15は、パルスシーケンスを実行した結果として受信回路7から出力される磁気共鳴データを受信し、記憶回路13に記憶させる。このとき、記憶回路13に記憶される磁気共鳴データは、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によってリードアウト方向、フェーズアウト方向及びスライス方向の各方向に沿った位置情報が付与されることで、2次元又は3次元のk空間を表すデータとして記憶される。
処理回路16は、処理回路15によって収集された磁気共鳴データに基づいて、各種の画像を生成する。具体的には、処理回路16は、処理回路15によって収集された磁気共鳴データを記憶回路13から読み出し、読み出した磁気共鳴データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、2次元又は3次元の画像を生成する。そして、処理回路16は、生成した画像を記憶回路13に記憶させる。
処理回路17は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路17は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ12に表示し、インタフェース11を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路17は、操作者によって入力された撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路15に出力することで、磁気共鳴データを収集させる。また、例えば、処理回路17は、処理回路16を制御することで、処理回路15によって収集された磁気共鳴データに基づいて画像を生成させる。また、例えば、処理回路17は、操作者からの要求に応じて、記憶回路13に記憶された画像を読み出し、読み出した画像をディスプレイ12に表示させる。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成例について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、k空間のデータを間引いて収集し、収集されたデータから圧縮センシングによって画像を生成する撮像法を行う機能を有する。
そして、本実施形態に係るMRI装置100は、このような撮像法において、被検体の体動の影響を適切に補正するために、データ収集時の被検体の体動をより正確に把握することが可能なデータを得ることができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、処理回路15が、収集機能15aを有する。また、処理回路17が、補正機能17aを有する。また、処理回路16が、第1の生成機能16aと、第2の生成機能16bとを有する。ここで、収集機能15aは、収集部の一例である。また、補正機能17aは、補正部の一例である。また、第1の生成機能16aは、第1の生成部の一例である。また、第2の生成機能16bは、第2の生成部の一例である。
収集機能15aは、1回のRF励起で複数のエコー信号を収集する1ショットの収集を繰り返し行って磁気共鳴データを収集する。ここで、1ショットで収集される磁気共鳴データは、k空間の中心領域に対応するデータと、k空間の辺縁領域に対応するデータとを含む。そして、1ショットの収集において、中心領域に対応するデータはフルサンプリングで収集され、辺縁領域に対応するデータは間引きサンプリングで収集される。
例えば、収集機能15aは、FSE(Fast Spin Echo)系のパルスシーケンス、又は、FFE(Fast Field Echo)系のパルスシーケンスを用いて、磁気共鳴データを収集する。
なお、以下では、このように、1回のRF励起で複数のエコー信号を収集する1ショットの収集を繰り返し行って磁気共鳴データを収集することを「マルチショット収集」と呼ぶ。
図2は、第1の実施形態に係る収集機能15aによって行われるデータ収集の一例を示す図である。また、図3は、第1の実施形態に係る比較例を示す図である。
なお、ここでは、MRI装置100によって2D撮像が行われる場合の例を説明する。
例えば、図2に示すように、収集機能15aは、2D撮像が行われる場合には、リードアウト方向の位置を示すKro軸と、位相エンコード方向の位置を示すKpe軸とで表される2次元のk空間に対応するデータを収集する。
ここで、例えば、収集機能15aは、リードアウト方向及び位相エンコード方向それぞれに沿って、撮像条件として設定されたマトリクスサイズに応じた数のサンプリング点を設定する。
そして、収集機能15aは、マルチショット収集によって、位相エンコード方向の位置を変えながら、リードアウト方向に沿ったラインごとにデータを収集する。具体的には、収集機能15aは、マルチショット収集によって、位相エンコード傾斜磁場の強度を変えながら複数のエコー信号を収集し、1つのエコー信号を収集するごとに、収集したエコー信号に基づいて、リードアウト方向に沿った1ライン分のデータをサンプリングする。
例えば、図2に示すように、収集機能15aは、N回のショット(Shot#1、#2、#3・・・#N)によって、位相エンコード方向の複数の位置について、リードアウト方向に沿ったラインごとにデータをサンプリングする。ここで、図2の右側に示す複数の黒い点は、それぞれ、各ショットで収集される複数のエコー信号によってデータがサンプリングされるラインの位置を示している。
この場合に、例えば、収集機能15aは、k空間を位相エンコード方向に分割することで、k空間の中心を含む中心領域R1と、中心領域R1の外側の2つの辺縁領域R2とを設定する。例えば、収集機能15aは、撮像条件として設定されたマトリクスサイズが256×256であった場合に、リードアウト方向に沿って同一直線上に並ぶ複数のサンプリング点を1ラインとして、k空間の中心を通るKro軸の付近に位置する複数ライン分の領域であって、位相エンコード方向に連続する複数ライン分の領域を中心領域R1として設定する。
そして、収集機能15aは、マルチショット収集の各ショットにおいて、中心領域R1に対応するデータをフルサンプリングで収集し、2つの辺縁領域R2に対応するデータを間引きサンプリングで収集する。ここで、例えば、間引きサンプリングは、ランダムにデータを間引くサンプリングである。なお、ここでいう「ランダム」には、完全なランダムだけではなく、疑似的なランダムも含まれる。
例えば、図2に示すように、収集機能15aは、辺縁領域R2については、各ショットにおいて、領域内に含まれるリードアウト方向に沿った複数のラインを位相エンコード方向に間引いてデータを収集する。このとき、収集機能15aは、データを収集するラインを、ショット間で重複しないように複数のショットに所定数ずつ割り当てて、データを収集する。
一方、中心領域R1については、収集機能15aは、各ショットにおいて、領域内に含まれる全てのラインのデータを収集する。
このように、マルチショット収集によって中心領域R1に対応するデータをフルサンプリングで収集する場合には、例えば、図3に示すように、中心領域R1に含まれるリードアウト方向に沿った複数のラインを、ショット間で重複しないように複数のショットに所定数ずつ割り当てて、データを収集する方法も考えられる。この場合には、複数のショットが行われることで、フルサンプリングされた中心領域R1のデータが1つ得られることになる。
これに対し、本実施形態では、収集機能5aは、例えば、図2に示すように、全てのショットにおいて、中心領域R1に含まれる全てのラインのデータを収集する。これにより、本実施形態では、ショットごとに、フルサンプリングされた中心領域R1のデータが得られることになる。
このように、収集機能5aが、各ショットにおいて、フルサンプリングされたk空間の中心領域R1のデータを収集することによって、ショットごとに、画像の全体像を表す低周波成分のデータを得ることができる。このデータによれば、データ収集時の被検体の体動をより正確に把握することが可能になる。
図1に戻って、補正機能17aは、収集機能15aによってフルサンプリングで収集されたk空間の中心領域に対応するデータから生成されたリファレンスデータを用いて、磁気共鳴データにおける体動の影響を補正する。具体的には、補正機能17aは、リファレンスデータを複数のショット間で比較することで、磁気共鳴データにおける体動の影響を補正する。ここで、体動の影響の補正は、体動の影響が大きいリファレンスデータに対応するショットのデータを破棄することを含む。
図4は、第1の実施形態に係る補正機能17aによって行われる体動補正の一例を示す図である。
例えば、図4に示すように、補正機能17aは、図2に示したようにN回のショットによってデータが収集されていた場合に、各ショットで収集された中心領域R1に対応するデータに基づいて、ショットごとに、リファレンスデータとして低周波画像を生成する。このとき、補正機能17aは、ショットごとに、中心領域R1に対応するデータにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、低周波画像を生成する。
その後、補正機能17aは、1ショット目の低周波画像を基準とし、2~Nショット目の各低周波画像について、1ショット目の低周波画像との間の相関度を計算する。そして、補正機能17aは、計算した相関度に基づいて、収集機能15aによって収集された磁気共鳴データにおける体動の影響を補正する。
例えば、補正機能17aは、kショット目の低周波画像について、計算した相関度に基づいて、当該画像が1ショット目の低周波画像に対して単純な平行移動又は回転を行って得られるものであるか否かを判定する。
ここで、補正機能17aは、kショット目の低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して単純な平行移動又は回転を行って得られるものであると判定した場合には、両画像の間の移動量を計算する。そして、補正機能17aは、計算した移動量に基づいて、両画像の位置が合うように、kショット目の磁気共鳴データを補正する。このとき、補正機能17aは、中心領域R1に対応するデータ(低周波データ)だけでなく、辺縁領域R2に対応するデータ(高周波データ)も含めて、kショット目の磁気共鳴データの全体を補正する。
また、補正機能17aは、kショット目の低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して単純な平行移動又は回転を行って得られるものではないと判定した場合には、当該低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して局所的な動きによる変形を行って得られるものであるか否かを判定する。
そして、補正機能17aは、kショット目の低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して局所的な動きによる変形を行って得られるものであると判定した場合には、体動の影響が大きいとみなし、kショット目の磁気共鳴データを破棄する。
一方、kショット目の低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して単純な平行移動又は回転を行って得られるものではなく、局所的な動きによる変形を行って得られるものでもないと判定した場合には、補正機能17aは、体動の影響がないものとみなし、kショット目の磁気共鳴データをそのままとする。
なお、ここでは、補正機能17aが、kショット目の低周波画像について、1ショット目の低周波画像に対して単純な平行移動又は回転を行って得られるものであるか否かを判定したうえで、単純な平行移動又は回転を行って得られるものであると判定した場合に、計算した移動量に基づいて磁気共鳴データを補正することとしたが、実施形態はこれに限られない。
例えば、補正機能17aは、kショット目の低周波画像について、1ショット目の低周波画像に対して単純な平行移動又は回転を行って得られるものであるか否かの判定は行わずに、局所的な動きによる変形を行って得られるものであるか否かの判定のみを行う。そして、補正機能17aは、kショット目の低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して局所的な動きによる変形を行って得られるものであると判定した場合には、上述した例と同様に、kショット目の磁気共鳴データを破棄する。一方、kショット目の低周波画像が1ショット目の低周波画像に対して局所的な動きによる変形を行って得られるものではないと判定した場合には、補正機能17aは、kショット目の磁気共鳴データに対して、回転量及び平行移動量を計算して補正する。この例では、回転量および平行移動量の計算を行うか否かを判定しないが、体動の影響がないショットの磁気共鳴データについては、補正量がゼロである場合とみなせばよい。
そして、補正機能17aは、2~Nショット目の各低周波画像について上述した処理を行った後に、破棄されずに残ったショットの磁気共鳴データを、補正後の磁気共鳴データとして記憶回路13に保存する。
例えば、Mショットの磁気共鳴データが破棄されたとすると、補正機能17aは、破棄されずに残った(N-M)ショット分のデータを補正後の磁気共鳴データとして記憶回路13に保存する。このとき、例えば、補正機能17aは、中心領域R1に対応するデータについては、(N-M)ショット分のデータをアベレージング処理等によって加算処理する。また、補正機能17aは、辺縁領域R2に対応するデータについては、(N-M)ショット分のデータをそのまま補正後の磁気共鳴データとして用いる。
または、例えば、補正機能17aは、中心領域R1に対応するデータについて、(N-M)ショット分のデータの全てを加算処理するのではなく、(N-M)ショット分のデータのうち操作者によって指定されたショット数分のデータを加算処理してもよい。
例えば、操作者によって指定されたショット数がLであったとすると、補正機能17aは、中心領域R1に対応するデータについては、Lショット分のデータを加算処理し、残りの(N-M-L)ショット分のデータは破棄する。この場合も、補正機能17aは、辺縁領域R2に対応するデータについては、(N-M)ショット分のデータをそのまま補正後の磁気共鳴データとして用いる。
または、例えば、補正機能17aは、中心領域R1に対応するデータについて、複数ショット部のデータを加算処理するのではなく、1ショット分のデータのみを用いてもよい。この場合も、補正機能17aは、辺縁領域R2に対応するデータについては、(N-M)ショット分のデータをそのまま補正後の磁気共鳴データとして用いる。
なお、マルチショット収集によってデータを収集した場合には、時間的に近いショットのデータほど、体動による移動が少ないと考えられる。そのため、例えば、補正機能17aは、上述したように、中心領域R1に対応するデータについて、操作者によって指定されたショット数分のデータを加算処理する場合、又は、1ショット分のデータのみを用いる場合には、相関度を計算する際の基準となる1ショット目に近いショットから順に、複数又は1つのデータを選択して用いるようにする。
図1に戻って、第1の生成機能16aは、収集機能15aによってフルサンプリングで収集されたk空間の中心領域に対応するデータからコイル感度マップを生成する。
具体的には、第1の生成機能16aは、補正機能17aによって記憶回路13に保存された補正後の磁気共鳴データを読み出し、読み出した磁気共鳴データに含まれる中心領域に対応するデータに基づいて、コイル感度マップを生成する。
例えば、第1の生成機能16aは、局所用RFコイル5としてフェーズドアレイコイルが用いられる場合に、フェーズドアレイコイルのコイルエレメントごとに、コイル感度マップを生成する。
第2の生成機能16bは、補正機能17aによって体動の影響が補正された後の磁気共鳴データに基づいて、圧縮センシングにより画像を生成する。
具体的には、第2の生成機能16bは、補正機能17aによって記憶回路13に保存された補正後の磁気共鳴データを読み出し、読み出した磁気共鳴データと、第1の生成機能16aによって生成されたコイル感度マップとに基づいて、推定画像を生成する。
例えば、第2の生成機能16bは、局所用RFコイル5としてフェーズドアレイコイルが用いられる場合に、フェーズドアレイコイルのコイルエレメントごとに、対応する補正後の磁気共鳴データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。また、第2の生成機能16bは、生成した各画像の折り返しをコイルエレメントごとに生成されたコイル感度マップに基づいて展開することによって、推定画像を生成する。
そして、第2の生成機能16bは、生成した推定画像と、第1の生成機能16aによって生成されたコイル感度マップとを用いて、圧縮センシングにより最終画像を生成する。
例えば、第2の生成機能16bは、コイル感度マップを用いて、ウェーブレット変換等によって推定画像からノイズが除去された画像を生成する処理を繰り返し行うことで、最終画像を生成する。
以上、処理回路14~17が有する処理機能について説明したが、例えば、各処理回路は、プロセッサによって実現される。この場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13に記憶される。そして、各処理回路は、記憶回路13から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各処理回路は、図1の各処理回路内に示された各機能を有することとなる。
図5は、第1の実施形態に係るMRI装置100によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
例えば、図5に示すように、本実施形態では、収集機能15aが、操作者から開始の指示を受け付けた場合に(ステップS101,Yes)、マルチショット収集により磁気共鳴データを収集する(ステップS102)。例えば、ステップS101及びS102の処理は、処理回路15が、収集機能15aに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。
その後、補正機能17aが、ショットごとに、k空間の中心領域に対応するデータからリファレンスデータを生成する(ステップS103)。そして、補正機能17aは、リファレンスデータを複数のショット間で比較することで、磁気共鳴データにおける体動の影響を補正する(ステップS104)。例えば、ステップS103及びS104の処理は、処理回路17が、補正機能17aに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。
その後、第1の生成機能16aが、補正後の中心領域のデータに基づいて、コイル感度マップを生成する(ステップS105)。例えば、ステップS105の処理は、処理回路16が、第1の生成機能16aに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。
その後、第2の生成機能16bが、補正後の磁気共鳴データ及びコイル感度マップに基づいて、推定画像を生成する(ステップS106)。そして、第2の生成機能16bは、推定画像及びコイル感度マップに基づいて、圧縮センシングにより最終画像を生成する(ステップS107)。例えば、ステップS106及びS107の処理は、処理回路16が、第2の生成機能16bに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。
なお、ここでは、単一のプロセッサによって各処理回路が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、図1に示す例では、単一の記憶回路13が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
上述したように、第1の実施形態では、収集機能15aが、各ショットにおいて、フルサンプリングされたk空間の中心領域R1のデータを収集する。これにより、画像の全体像を表す低周波成分のデータを得ることができ、データ収集時の被検体の体動をより正確に把握することが可能になる。
そして、第1の実施形態では、補正機能17aが、収集機能15aによってフルサンプリングで収集されたk空間の中心領域に対応するデータから生成されたリファレンスデータを用いて、磁気共鳴データにおける体動の影響を補正する。これにより、収集されたデータにおける体動の影響をより適切に補正することができるようになる。
また、第1の実施形態では、第2の生成機能16bが、補正機能17aによって体動の影響が補正された後の磁気共鳴データに基づいて、圧縮センシングにより画像を生成する。これにより、被検体の体動にロバストな高速撮像を実現することができる。
また、第1の実施形態では、補正機能17aが、k空間の中心領域に対応するデータを加算処理することによって、生成される画像のSNR(Signal-to-Noise Ratio)を向上させることができる。
また、第1の実施形態では、補正機能17aが、体動の影響が大きいショットのデータを破棄することによって、k空間の中心領域の信号に対する体動の影響が低減されるため、圧縮センシングによる画像生成時のエラーを低減することができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、上述した第1の実施形態では、図2に示したように、収集機能15aが、マルチショット収集の各ショットにおいて、中心領域R1に対応するデータをフルサンプリングで収集し、2つの辺縁領域R2に対応するデータを間引きサンプリングで収集する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
例えば、収集機能15aは、2つの辺縁領域R2について、ショットごとに、いずれか一方の辺縁領域R2に対応するデータのみを収集するようにしてもよい。すなわち、この場合には、2つの辺縁領域R2に対応するデータが、Kro軸に対して非対称に収集されることになる。
図6は、第1の実施形態の変形例に係る収集機能15aによって行われる磁気共鳴データの収集の一例を示す図である。
例えば、図6に示すように、収集機能15aは、2つの辺縁領域R2について、ショットごとに、一方の辺縁領域R2に対応するデータと、他方の辺縁領域R2に対応するデータとを交互に収集する。
このとき、収集機能15aは、各辺縁領域R2について、図2に示した例と同様に、データをサンプリングするラインを複数のショットに所定数ずつ重複しないように割り当てて、データを収集する。ただし、本変形例では、収集機能15aは、図2に示した例のように、ショットごとに、2つの辺縁領域R2に対応するデータを収集する場合と比べて、少ない数のラインを各ショットに割り当てる。
これにより、本変形例では、図2に示した例と比べて、1ショットで収集するエコー信号の数、すなわち、ETL(Echo Train Length)を減らすことができ、ETS(Echo Train Space)を増加させたり、T2緩和補正(T2 decay補正)を行ったりしなくても、ETLの増加により生じる画像のボケ(T2 Blur)を低減させることができる。
なお、ここでは、収集機能15aが、2つの辺縁領域R2について、ショットごとに、いずれか一方の辺縁領域R2に対応するデータのみを収集することとしたが、例えば、収集していない方の辺縁領域R2をブランクのままにせず、収集した方の辺縁領域R2に対応するデータから、収集しなかった方の辺縁領域R2に対応するデータを推定して補填するようにしてもよい。
例えば、収集機能15aは、非収集部分が収集部分と複素共役の関係にあることを利用した画像再構成方法であるAFI(Asymmetric Fourier Imaging)を利用して、ショットごとに、収集した方の辺縁領域R2に対応するデータから、収集していない方の辺縁領域R2に対応するデータを補填してもよい。
(第2の実施形態)
また、上述した実施形態では、2D撮像が行われる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、上述したデータ収集の方法は、3D撮像が行われる場合にも適用することが可能である。
そこで、以下では、第2の実施形態として、MRI装置100によって3D撮像が行われる場合の例を説明する。なお、以下では、第2の実施形態について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態と共通する内容については詳細な説明を省略する。
図7及び8は、第2の実施形態に係る収集機能15aによって行われるデータ収集の一例を示す図である。また、図9は、第2の実施形態に係る比較例を示す図である。
例えば、図7に示すように、収集機能15aは、3D撮像を行う場合には、リードアウト方向の位置を示すKro軸と、位相エンコード方向の位置を示すKpe軸と、スライス方向の位置を示すKse軸とで表される3次元のk空間に対応するデータを収集する。
ここで、例えば、収集機能15aは、リードアウト方向に平行な軸を中心軸とした円筒形状の範囲をデータ収集領域とし、当該範囲内に、リードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って、撮像条件として設定されたマトリクスサイズに応じた数のサンプリング点を設定する。
そして、収集機能15aは、マルチショット収集によって、位相エンコード方向及びスライス方向の位置を変えながら、リードアウト方向に沿ったラインごとにデータを収集する。具体的には、収集機能15aは、マルチショット収集によって、位相エンコード傾斜磁場及びスライス傾斜磁場の強度を変えながら複数のエコー信号を収集し、1つのエコー信号を収集するごとに、収集したエコー信号に基づいて、リードアウト方向に沿った1ライン分のデータをサンプリングする。
このように、マルチショット収集によって円筒形状のデータ収集領域のデータを収集する場合には、例えば、図9に示すように、データ収集領域を周方向に所定の角度ずつ分割することで、複数の領域Rを設定し、ショットごとに、1つの領域Rに対応するデータを収集する方法もあり得る。なお、図9では、複数の領域Rのうち、1つの領域Rのみを示し、他の領域Rについては図示を省略している。
これに対し、本実施形態では、例えば、図8に示すように、収集機能15aは、円筒形状のデータ収集領域に、中心軸を含む中心領域R1を設定し、さらに、中心領域R1以外の範囲を周方向に所定の角度ずつ分割することで、複数の辺縁領域R2を設定する。なお、図8でも、複数の辺縁領域R2のうち、1つの辺縁領域R2のみを示し、他の辺縁領域R2については図示を省略している。
そして、収集機能15aは、マルチショット収集の各ショットにおいて、中心領域R1に対応するデータをフルサンプリングで収集し、1つの辺縁領域R2に対応するデータを間引きサンプリングで収集する。
例えば、図8に示すように、収集機能15aは、辺縁領域R2については、各ショットにおいて、領域内に含まれるリードアウト方向に沿った複数のラインを位相エンコード方向及びスライスエンコード方向に間引いてデータを収集する。例えば、収集機能15aは、辺縁領域R2内で、データ収集領域の中心に近い側から遠い側に向けて、径方向に間隔を空けるようにラインを移動させながらデータを収集する。
一方、中心領域R1については、収集機能15aは、各ショットにおいて、領域内に含まれる全てのラインのデータを収集する。例えば、収集機能15aは、中心領域R1内で、データ収集領域の中心軸から径方向の外側に向けて、径方向に隙間を空けないようにラインを移動させながらデータを収集する。これにより、本実施形態では、複数のショットが行われることで、ショットごとに、フルサンプリングされた中心領域R1のデータが得られることになる。
このように、3D撮像が行われる場合でも、収集機能5aが、各ショットにおいて、フルサンプリングされたk空間の中心領域R1のデータを収集することによって、ショットごとに、画像の全体像を表す低周波成分のデータを得ることができる。このデータによれば、データ収集時の被検体の体動をより正確に把握することが可能になる。
なお、本実施形態では、補正機能17a、第1の生成機能16a及び第2の生成機能16bは、処理対象のデータや画像が2次元ではなく3次元になるが、第1の実施形態で説明した処理と同様の処理を行う。
上述したように、第2の実施形態では、3D撮像が行われる場合に、収集機能15aが、各ショットにおいて、フルサンプリングされたk空間の中心領域R1のデータを収集する。これにより、3D撮像が行われる場合でも、画像の全体像を表す低周波成分のデータを得ることができ、データ収集時の被検体の体動をより正確に把握することが可能になる。また、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、収集されたデータにおける体動の影響をより適切に補正することができるようになる。また、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、被検体の体動にロバストな高速撮像を実現することができる。
なお、上述した各実施形態では、収集機能15aが辺縁領域R2に対応するデータを収集する際に行う間引きサンプリングが、ランダムにデータを間引くサンプリングである場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、収集機能15aが辺縁領域R2に対応するデータを収集する際に行う間引きサンプリングは、周期的にデータを間引くサンプリング(アンダーサンプリング)であってもよい。一般的に、圧縮センシングはランダムに間引きされたデータを用いて行われる手法であるため、この場合には、第2の生成機能16bは、周期的に間引かれたデータから画像を生成することが可能な画像生成法を用いて、画像を生成する。
また、上述した各実施形態では、本明細書における収集部、補正部、第1の生成部及び第2の生成部を、それぞれ、処理回路の収集機能、補正機能、第1の生成機能及び第2の生成機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における収集部、補正部、第1の生成部及び第2の生成部は、実施形態で述べた収集機能、補正機能、第1の生成機能及び第2の生成機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、データ収集時の被検体の体動をより正確に把握することが可能なデータを得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。