以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の調光型ロールスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、図1に示す調光型ロールスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を調光型ロールスクリーンの左側、及び、図示右方向を調光型ロールスクリーンの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示す調光型ロールスクリーンの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
〔第1実施形態〕
(全体構成)
まず、図1乃至図3を参照して、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンの構成を説明する。図1は、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンの概略構成を示す正面図であり、図2は、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンの概略構成を示す側面透視図である。更に、図3は、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の概略構成を示す正面断面図である。
第1実施形態の調光型ロールスクリーンは、操作コードの引き操作でスクリーンの調光操作及び下降操作を可能とするとともに、操作コードの引き操作を基にスクリーンの自動上昇を可能とするように構成される。
図1及び図2に示すように、本実施形態の調光型ロールスクリーンは、ブラケット1を介して取付フレーム2の上端を天井面等の取付面に固定して設置される。そして、取付フレーム2の左右両端に支持部材3が固定され、支持部材3間に円筒状の巻取パイプ4が回転可能に支持される。尚、本実施形態の例では、支持部材3は、それぞれサイドカバーが取着され、巻取パイプ4は、取付フレーム2に軸支される前カバーによって隠れるようにして意匠性を向上させたものとしている。
巻取パイプ4の右端部には、巻取パイプ4の回転を操作するための操作装置10が設けられている。また、操作装置10の詳細な構成については後述するが、操作装置10内に操作プーリー22(図3参照)が収容され、この操作プーリー22から無端状の操作コード11が垂下されている。そして、操作コード11の操作により巻取パイプ4を回転操作可能とするよう構成されている。この操作コード11は、所定ピッチで連続するボール部及びチェーン部からなる無端状のボールチェーンで構成され、操作プーリー22におけるボールチェーンを掛装するプーリー部22bの表面は、そのボール部に適合する形状の凹凸を有するように構成される。
巻取パイプ4は、1枚のスクリーン5の一辺を取着して巻き取り可能に吊下支持しており、巻取パイプ4の室外側から垂下し、錘部材として機能するウェイトバー7を介して折り返された当該スクリーンの他辺は、巻取パイプ4よりも上部に位置する取付フレーム2の室外側の側端面に取着されている。このため、スクリーン5は、前側で垂下する第1のスクリーン5aと、後側で垂下する第2のスクリーン5bとで前後二重に吊下支持されたものとなる。スクリーン5には、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成されている。
このように、スクリーン5は、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成され、このスクリーン5が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード11の操作により、前後のスクリーン5を上下方向に相対移動させて、透光部9と遮光部8との重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっている。尚、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成するピッチは、任意に定めることができる。
図2に示すように、巻取パイプ4と取付フレーム2との間で垂下されるスクリーン5の下端部には、ウェイトバー7の両端部で回転可能に支持されるボトムパイプ72が挿通されている。ボトムパイプ72は、上部が開口したボトムカバー71に収容される。このようなウェイトバー7は、錘部材として構成される。従って、第1及び第2のスクリーン5a,5bはウェイトバー7の重量に基づいて張設される。
また、巻取パイプ4内において、その左端側にはスクリーン5の自動巻上を可能とするスプリングモーター6が配設されている。スプリングモーター6は、ウェイトバー7を上昇させる方向に常に巻取パイプ4を回転付勢する付勢手段として機能する。そして、操作装置10には、図3に示すように、操作コード11の操作で回転する操作プーリー22と、操作プーリー22の回転を入力する入力軸25b、及び巻取パイプ4に回転伝達するための出力軸25cを有し、入力軸25bの基軸25aに対する相対回転を回転方向に応じて出力軸25cに接続・非接続とするクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)、クラッチ機構の接続時に、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上に制動力を付与するよう入力軸25bの回転を制動する制動機構(捩りコイルスプリング23)、及びクラッチ機構25における入力軸25bの回転に伴って回転する基軸25aの回転を所定の回転範囲で遅延させて固定する遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を備えるように構成される。
(操作装置)
以下、図3に示す操作装置10について、より具体的に、図4乃至図6を参照して説明する。図4は、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の分解斜視図である。図5は、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の制動機構(捩りコイルスプリング23)を示す側面図である。図6は、本発明による第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を示す斜視図である。
図3に示す操作装置10は、図4に示すように、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)が形成されている固定軸21、操作プーリー22、制動機構(捩りコイルスプリング23)、クラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)、及び出力軸部材26を備える。
固定軸21は、略円柱状に形成され、その基端側は支持部材3の平面上の前後方向略中央に固定され、略筒状の操作プーリー22の内周面22aに貫通されて、操作プーリー22を回転可能に支持する。固定軸21の先端側には円筒状の軸部21aが設けられ、この軸部21aの内側に穿設された丸孔の周面上に、操作プーリー22の回転を所定の回転範囲で遅延させてクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)を作動させる突起部21bが部分的に形成されている。詳細に後述するが、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bは、遅延伝達機構として構成されている。
操作プーリー22は、その内周面22aに固定軸21が貫通されて、固定軸21に対して回転可能に支持される。操作プーリー22の基端側にはプーリー部22bが形成されており、プーリー部22bは操作コード11として構成されるボーチェーンを掛装するための凹凸が周方向に形成されている。そして、操作プーリー22が固定軸21に支持された状態では、そのプーリー部22bが支持部材3に配設されるプーリーケース31の丸枠状のプーリー収容部31a内に収まる。尚、プーリーケース31は、プーリー収容部31aによりプーリー部22bに対する操作コード11の掛装外れを防止して、コード導出部31bから操作コード11を外部に導出するようになっている。従って、操作コード11を引き操作すると、固定軸21に支持された操作プーリー22が回転する。また、操作プーリー22の先端側の一部に、本例では“山”字状に軸方向に突起する突起部22cが形成されている。
捩りコイルスプリング23は、操作プーリー22を貫通した固定軸21の柱状部分を所定の締付力で締め付けるように取着され、さらに、操作プーリー22の突起部22cが当該捩りコイルスプリング23の径外方向に突出する各端部23a間に位置するようにしている。本例の捩りコイルスプリング23における各端部23aは環状に曲げ加工して形成されたものとしている。捩りコイルスプリング23は、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上に制動力を付与する制動機構として機能し、即ち非操作時に巻取パイプ4が回転しないように制動する制動力を発生する。
クラッチアダプタ24は、略円筒状に形成され、クラッチユニット25の入力軸に相対回転不能に取着される部材であり、その中心に丸軸孔24aが形成されている。この丸軸孔24aは、操作プーリー22を貫通した固定軸21の先端に形成される軸部21aと係合し、回転可能に支持される。ただし、クラッチアダプタ24の基端側には軸方向に突出する突出片24bが形成されており、この突出片24bは、捩りコイルスプリング23の外側に位置して、突出片24bの各端部が、クラッチアダプタ24の回転方向でそれぞれ捩りコイルスプリング23の各端部23aに当接可能とする位置に配置される。そして、操作プーリー22の突起部22cが当該捩りコイルスプリング23の径外方向に突出する各端部23a間に位置していることから、操作プーリー22が回転すると、突起部22cの一端部がその回転方向の捩りコイルスプリング23の端部23aに当接して、捩りコイルスプリング23の当該締付力を拡径ささせて緩和させながら、クラッチアダプタ24の突出片24bの一端部に当接し、クラッチアダプタ24も回転するようになる。
図5には、操作装置10の制動機構(捩りコイルスプリング23)を示している。捩りコイルスプリング23は、操作プーリー22を貫通した固定軸21の柱状部分を所定の締付力で締め付けるように取着されるため、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上に制動力を付与する制動機構として機能し、即ち非操作時に巻取パイプ4が回転しないように制動する制動力を発生する。一方、図5に示すように、操作プーリー22がA方向に回転すると、突起部22cの一端部221がその回転方向の捩りコイルスプリング23の一方の端部23aに当接して、捩りコイルスプリング23の当該締付力を緩和させながら、クラッチアダプタ24の突出片24bの一端部241に当接し、クラッチアダプタ24も回転するようになる。同様に、操作プーリー22がB方向に回転すると、突起部22cの他端部222がその回転方向の捩りコイルスプリング23の他方の端部23aに当接して、捩りコイルスプリング23の当該締付力を緩和させながら、クラッチアダプタ24の突出片24bの他端部242に当接し、クラッチアダプタ24も回転する。尚、本例では、突起部22cの端部221と突出片24bの端部241との間、及び突起部22cの端部222と突出片24bの端部242との間において、それぞれ捩りコイルスプリング23の各端部23aに対する係合として十分な遊びを設けて配置しているものとしているが、これは、捩りコイルスプリング23の当該締付力を緩和させるときに、捩りコイルスプリング23が拡径するのを許容するためであり、この遊びは当該締付力を緩和させる範囲で適宜定めればよい。
図4に示すように、クラッチアダプタ24には本例では4つの係合孔24cが設けられ、このうち対向する2つの係合孔24cがクラッチユニット25の入力軸を為す軸方向に突出する一対の突出片25bと係合する。このため、クラッチアダプタ24が回転すれば、クラッチユニット25の入力軸も回転する。尚、クラッチアダプタ24がクラッチユニット25の入力軸に相対回転不能に取着された状態では、丸軸孔24aからクラッチユニット25の軸中心の基軸25aが露出した状態になる。ところで、本例では、第1実施形態と同じクラッチユニット25を用いる例としているため、クラッチアダプタ24を用いるものとしているが、クラッチアダプタ24は、予めクラッチユニット25の入力軸に固定されたものであってもよく、この場合には、クラッチユニット25の一対の突出片25bは不要である。
クラッチユニット25は、軸中心の基軸25aに対して、一対の突出片25bを有する入力軸の一回転を出力軸25cに同方向で回転伝達し、当該入力軸の他方向の回転は出力軸25cに回転伝達しないように非接続とする切り替えを可能とする所謂ワンウェイクラッチとして機能するとともに、出力軸25cの回転は当該入力軸側には伝達させずに空転させるように構成されたクラッチ機能を有する。クラッチユニット25の入力軸を為す一対の突出片25bは、クラッチアダプタ24の対向する2つの係合孔24cに係合し、クラッチユニット25の入力軸とクラッチアダプタ24とは一体となって回転する。クラッチユニット25の基軸25aは、クラッチアダプタ24の丸軸孔24aから露出して、固定軸21の軸部21a内に係合される。尚、クラッチユニット25は、軸中心の基軸25aを基準に当該入力軸の回転に基づくクラッチ機能を作動させるものであるため、基軸25aが固定されていないときは、当該入力軸が回転すると基軸25aも同期して同方向に回転する。換言すれば、基軸25aが固定されていない状態で当該入力軸が回転してから遅延して基軸25aが固定されるようにすることで、クラッチユニット25のクラッチ機能を遅延させることができる。
そこで、本実施形態では、図5に示すように、クラッチユニット25の基軸25aを固定軸21の軸部21a内に係合させたときに、クラッチユニット25の入力軸が回転しても、クラッチユニット25の基軸25aに形成した径外方向に突起する突起部251が、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bと当接しない回転範囲を設けて基軸25aも同期して同方向に回転するようにしている。そして、突起部251が突起部21bと当接したときに、基軸25aが固定されてクラッチユニット25のクラッチ機能を作動するようにすることで、クラッチユニット25のクラッチ機能を遅延させるようにしている。このため、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bが、クラッチ機構25における入力軸25bの回転に伴って回転する基軸25aの回転を所定の回転範囲で遅延させて固定する遅延伝達機構として機能する。
より具体的に、図6を参照して説明する。図6は、操作装置10の遅延伝達機構(突起部21b)を示す斜視図である。クラッチユニット25の入力軸を為す一対の突出片25bは、クラッチアダプタ24の2つの係合孔24cに係合し、クラッチユニット25の入力軸とクラッチアダプタ24とは一体となって回転する。クラッチユニット25の基軸25aは、固定軸21の軸部21a内の穿設された丸孔に挿入され、基軸25aに形成した突起部251が、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bの端部211又は212と周方向で当接又は非当接とするように係合される。
クラッチユニット25の入力軸が回転すると基軸25aが固定されない限り基軸25aも同期して同方向に回転するが、基軸25aに形成した突起部251が、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bの端部211又は212と当接しない回転範囲が設定されている。この回転範囲内において、操作コード11による操作プーリー22の図示A方向の回転がクラッチアダプタ24を介してクラッチユニット25の入力軸に伝達されると、基軸25aも同期して同方向に回転するためクラッチ機能が働かず、この入力軸の回転を出力軸25cに同方向で回転伝達させることができる。同様に、この回転範囲内において、操作コード11による操作プーリー22の図示B方向の回転がクラッチアダプタ24を介してクラッチユニット25の入力軸に伝達されると、基軸25aも同期して同方向に回転するためクラッチ機能が働かず、この入力軸の回転を出力軸25cに同方向で回転伝達させることができる。
一方、突起部251が突起部21bの端部211又は212と当接したときに、基軸25aが固定されてクラッチユニット25のクラッチ機能を作動するようになる。本例では突起部251が突起部21bの端部212と当接して、クラッチアダプタ24が図示B方向に回転する時には、その回転に応じて出力軸25cが同方向で回転し、当該クラッチアダプタ24の回転が停止しているときは、上述した図5を参照して説明したように、制動機構による制動力が出力軸25cに働き、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上も働くことなく制動されて巻取パイプ4の状態が保持される。一方、突起部251が突起部21bの端部211と当接してクラッチユニット25の機能が作動するようになり、クラッチアダプタ24が図示A方向に回転するときは、クラッチユニット25は、当該入力軸の他方向の回転を出力軸25cに回転伝達しないように非接続とする切り替えを行う。当該入力軸の他方向の回転は出力軸25cに回転伝達しないように非接続となると、図5に示した制動機構による制動力が出力軸25cに働かない状態になり、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上が許容される。
図4に示す出力軸部材26は、クラッチユニット25の出力軸25cに係合する係合孔26aを有し、その外壁周方向には凹凸が形成されている。そして、巻取パイプ4の端部を保持するパイプホルダ41内に操作装置10が収容されると、パイプホルダ41の先端側の係合凹凸部41aと係合して、クラッチユニット25の出力軸25cの回転がパイプホルダ41に伝達される。パイプホルダ41には軸方向に延びる凸条片41bが外周壁上に複数本形成されており、この凸条片41bを利用してパイプホルダ41が略環状の巻取パイプ4の端部に嵌着されて相対回転不能に一体化される。尚、本例の出力軸部材26は、巻取パイプ4に外部から所定値以上の回転負荷が加わる場合に空転させるトルクリミッタとして機能する構造を有しているが、クラッチユニット25の出力軸25cとパイプホルダ41とを単に連結する連結部材として構成されたものでもよい。
このように、図3に示す操作装置10は、操作コード11の操作で回転する操作プーリー22と、操作プーリー22の回転を入力する入力軸25b、及び巻取パイプ4に回転伝達するための出力軸25cを有し、入力軸25bの基軸25aに対する相対回転を回転方向に応じて出力軸25cに接続・非接続とするクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)、クラッチ機構の接続時に、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上に制動力を付与するよう入力軸25bの回転を制動する制動機構(捩りコイルスプリング23)、及びクラッチ機構25における入力軸25bの回転に伴って回転する基軸25aの回転を所定の回転範囲で遅延させて固定する遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を備えるように構成されている。
(装置動作)
図7(a),(b)は、それぞれ第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける遮光状態時の遅延伝達機構の状態例とそのスクリーン状態を例示する図であり、図7(c),(d)は、それぞれ第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける採光状態時の遅延伝達機構の状態例とそのスクリーン状態を例示する図である。
図7(a),(b)に例示するように、クラッチユニット25の基軸25aの突起部251が、軸部21a内の突起部21bの一方の端部に当接している状態で(図7(a)参照)、前側で垂下する第1のスクリーン5aと後側で垂下する第2のスクリーン5bとの間で透光部9と遮光部8の位相がずれて遮光状態にあるとする(図7(b)参照)。この場合に、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の位相を一致させるには、本例では分かり易いように巻取パイプ4の中心Oを通る水平線を基準にすると、第1のスクリーン5aを当該水平線から下方の距離dの分だけ巻取パイプ4で巻き上げればよい。そこで、図7(c),(d)に例示するように、第1のスクリーン5aを当該水平線から下方の距離dの分だけ巻取パイプ4で巻き上げて、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の位相を一致させるのに要する突起部251の回転角をθaとすると(図7(d)参照)、突起部251が軸部21a内の突起部21bの他方の端部に当接するまでの回転範囲θbを、当接遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)による遅延量として、θa≦θb≦360°となるように設定する。この回転範囲θb内では、操作コード11による操作プーリー22の回転がクラッチアダプタ24を介してクラッチユニット25の入力軸に伝達されても、基軸25aも同期して同方向に回転するためクラッチ機能が働かない。このため、図7(b)の状態と図7(d)の状態との間で、操作コード11による操作プーリー22の正逆回転操作で、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の重なり具合による調光を自在に調節できる。
図8(a),(b)は、それぞれ第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける下降操作時及び上昇操作時の動作を概略的に示す側面図である。
本実施形態では、図8(a)に示すウェイトバー7を下降させる下降操作時では、前後に垂下する操作コード11のうち後方に垂下する操作コードを引き操作することで、所望の位置までウェイトバー7を下降させることができ、その下降操作をやめた位置でウェイバー7を停止させることができる。つまり、図6を参照して説明したように、突起部251が突起部21bの端部212と当接して、クラッチアダプタ24が図示B方向に回転する時には、その回転に応じて出力軸25cが同方向で回転し、これにより巻取パイプ4もウェイトバー7を下降させる方向に回転するため、下降操作することができる。そして、操作コード11を手放して下降操作をやめると、上述した図5を参照して説明したように、制動機構による制動力が出力軸25cに働き、巻取パイプ4内のスプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上も働くことなく制動されて巻取パイプ4の状態が保持される。
一方、図8(b)に示すウェイトバー7を上昇させる上昇操作時では、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)による遅延動作でもたらされる調光操作範囲を経てから、巻取パイプ4内のスプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上が働いて、ウェイバー7が自動上昇するようになる。つまり、図7を参照して説明したように、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)による遅延動作でもたらされる調光操作範囲(正確には図7(c)に示す回転範囲θb)内では、前後に垂下する操作コード11のうち前方に垂下する操作コードを引き操作すれば、その操作に応じた量で第1のスクリーン5aが巻取パイプ4に巻き取られ、後方に垂下する操作コードを引き操作すれば、その操作に応じた量で第1のスクリーン5aが巻取パイプ4から巻き戻される。このように、調光操作範囲内では、所望の位置までウェイトバー7を上昇させたり下降させたりすることができ、その調光操作をやめた位置でウェイバー7を停止させることができる。また、調光操作範囲を超えて前後に垂下する操作コード11のうち前方に垂下する操作コードを引き操作することで、図6に示す突起部251が突起部21bの端部211と当接してクラッチユニット25の機能が作動するようになり、調光操作範囲を超えてクラッチアダプタ24が図示A方向に回転するときは、クラッチユニット25は、当該入力軸のA方向の回転を出力軸25cに回転伝達しないように非接続とする切り替えを行う。当該入力軸のA方向の回転が出力軸25cに回転伝達しないように非接続となると、図5に示した制動機構による制動力が出力軸25cに働かない状態になり、スプリングモーター6によるスクリーン5の自動巻上が許容されて、ウェイバー7が自動上昇する。
このように、本実施形態のロールスクリーンは、スクリーン5の下降操作及び調光操作については手動で所望位置になるように操作できるとした上で、スクリーン5の上昇操作は自動で行うことができる。従って、本実施形態によれば、調光型ロールスクリーンの操作性をより向上させることができる。
〔第2実施形態〕
(全体構成)
次に、図9及び図10を参照して、本発明による第2実施形態の調光型ロールスクリーンの構成を説明する。図9は、本発明による第2実施形態の調光型ロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。尚、第2実施形態の調光型ロールスクリーンの側面図は、上述した図2と同様になっている。更に、図10は、本発明による第2実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の概略構成を示す正面断面図である。以下、第2実施形態の説明において第1実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
第2実施形態の調光型ロールスクリーンは、操作コードの引き操作でスクリーンの調光操作及び上昇操作を可能とするとともに、操作コードの引き操作を基にスクリーンの自動降下を可能とするように構成される。
図9に示すように、本実施形態の調光型ロールスクリーンは、ブラケット1を介して取付フレーム2の上端を天井面等の取付面に固定して設置される。そして、取付フレーム2の左右両端に支持部材3が固定され、支持部材3間に円筒状の巻取パイプ4が回転可能に支持される。尚、本実施形態の例では、支持部材3は、それぞれサイドカバーが取着され、巻取パイプ4は、取付フレーム2に軸支される前カバーによって隠れるようにして意匠性を向上させたものとしている。
巻取パイプ4の右端部には、巻取パイプ4の回転を操作するための操作装置10が設けられている。また、操作装置10の詳細な構成については後述するが、操作装置10内に操作プーリー22(図10参照)が収容され、この操作プーリー22から無端状の操作コード11が垂下されている。そして、操作コード11の操作により巻取パイプ4を回転操作可能とするよう構成されている。この操作コード11は、所定ピッチで連続するボール部及びチェーン部からなる無端状のボールチェーンで構成され、操作プーリー22におけるールチェーンを掛装するプーリー部22bの表面は、そのボール部に適合する形状の凹凸を有するように構成される。
巻取パイプ4は、1枚のスクリーン5の一辺を取着して巻き取り可能に吊下支持しており、巻取パイプ4の室外側から垂下し、錘部材として機能するウェイトバー7を介して折り返された当該スクリーンの他辺は、巻取パイプ4よりも上部に位置する取付フレーム2の室外側の側端面に取着されている。このため、スクリーン5は、前側で垂下する第1のスクリーン5aと、後側で垂下する第2のスクリーン5bとで前後二重に吊下支持されたものとなる。スクリーン5には、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成されている。
このように、スクリーン5は、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成され、このスクリーン5が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード11の操作により、前後のスクリーン5を上下方向に相対移動させて、透光部9と遮光部8との重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっている。尚、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成するピッチは、任意に定めることができる。
図9に示すように、巻取パイプ4と取付フレーム2との間で垂下されるスクリーン5の下端部には、ウェイトバー7の両端部で回転可能に支持されるボトムパイプ72が挿通されている。ボトムパイプ72は、上部が開口したボトムカバー71に収容される。このようなウェイトバー7は、錘部材として構成される。従って、第1及び第2のスクリーン5a,5bはウェイトバー7の重量に基づいて張設される。
また、巻取パイプ4内において、その左端側にはウェイトバー7の下限位置を調節するためのリミットストッパー12、及びウェイトバー7の自重による降下速度を一致値以下に制限する油圧式のダンパー13が配設されている。そして、操作装置10には、図10に示すように、操作プーリー22の回転を入力する入力軸25b、及び巻取パイプ4に回転伝達するための出力軸25cを有し、入力軸25bの基軸25aに対する相対回転を回転方向に応じて出力軸25cに接続・非接続とするクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)、クラッチ機構の接続時に、ウェイトバー7の自重に基づく自動降下に制動力を付与するよう入力軸25bの回転を制動する制動機構(捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31M)、及びクラッチ機構における入力軸25bの回転に伴って回転する基軸25aの回転を所定の回転範囲で遅延させて固定する遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を備えるように構成される。
(操作装置)
以下、図10に示す操作装置10について、より具体的に、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本発明による第2実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の分解斜視図である。図12は、本発明による第2実施形態の調光型ロールスクリーンにおける操作装置10の制動機構(捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31M)及び遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を示す斜視図である。
図10に示す操作装置10は、図11に示すように、速度変換機構20、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)が形成されている歯車付きの固定軸21、操作プーリー22、制動機構(捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31M)、クラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)、及び出力軸部材26を備える。
固定軸21は、略円柱状に形成され、その基端側はフランジ付き歯車が形成されており、支持部材3の平面上の前後方向略中央に固定され、略筒状の操作プーリー22の内周面に形成される太陽歯車22dの中心に位置するように貫通されている。固定軸21の先端側には円筒状の軸部21aが設けられ、この軸部21aの内周面上に、操作プーリー22の回転を所定の回転範囲で遅延させてクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)を作動させる突起部21bが部分的に形成されている。詳細に後述するが、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bは、遅延伝達機構として構成されている。
操作プーリー22は、その内周面に太陽歯車22dが形成され、固定軸21が太陽歯車22dの中心に位置するように貫通された状態で、固定軸21のフランジ付き歯車のフランジ部分に回転可能に支持される。操作プーリー22の基端側にはプーリー部22bが形成されており、プーリー部22bは操作コード11として構成されるボーチェーンを掛装するための凹凸が周方向に形成されている。そして、操作プーリー22が固定軸21に支持された状態では、そのプーリー部22bが支持部材3に配設される上側プーリーケース31U及び下側プーリーケース31Lの丸筒状のプーリー収容部31a内に収まる。尚、上側プーリーケース31U及び下側プーリーケース31Lは、それぞれ嵌着してプーリーケースを構成し、速度変換機構20、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)が形成されている歯車付きの固定軸21、操作プーリー22、制動機構(捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31M)、及びクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)を収容する収容部位31e,31dが形成されている。プーリー収容部31aは、プーリー部22bに対する操作コード11の掛装外れを防止して、コード導出部31bから操作コード11を外部に導出するようになっている。従って、操作コード11を引き操作すると、固定軸21に支持された操作プーリー22が回転し、このためその内周面に形成される内歯車22dが回転する。
速度変換機構20は、略円筒状に形成され、その左右方向の略中心位置に形成される軸受孔20aに固定軸21の軸部21aが貫通係合されて、速度変換機構20全体が固定軸21に対し回転可能に支持される。速度変換機構20の基端側には本例では5つの遊星歯車27が周方向に等間隔に配設されて軸支されている。そして、速度変換機構20全体が固定軸21に対し回転可能に支持された状態では、各遊星歯車27が固定軸21の基端側の太陽歯車と操作プーリー22の内歯車22dとの間に配設されて噛合され、操作プーリー22の回転を減速して速度変換機構20の全体の回転に伝達することで、操作プーリー22の回転に伴う操作力を軽減させるようになっている。また、速度変換機構20の先端側には略C字状の軸方向に突出する突出片20bが形成されている。
捩りコイルスプリング23は、突出片20bの径外側に配設され、さらに、当該捩りコイルスプリング23の径内方向に突出する各端部23aが、速度変換機構20の突出片20bの周方向の各端部201間に位置するようにしている。また、捩りコイルスプリング23を覆うように金属等の硬質材料で形成された環状のスプリングケース31Mが配設され、このスプリングケース31Mは、上側プーリーケース31U及び下側プーリーケース31Lの収容部位31e,31d上にそれぞれ形成される係止溝31cにて係止される。また、スプリングケース31Mの一対の凹部31gが当該係止溝31cに形成される凸部311(図12参照)と係合し、上側プーリーケース31U及び下側プーリーケース31Lに対して相対回転不能に係止される。そして、捩りコイルスプリング23は、スプリングケース31Mの内周面に縮径して収容され、スプリングケース31Mの内周面を押圧して制動力を発生させる。このため、捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31Mは、クラッチ機構の接続時に、ウェイトバー7の自重に基づく自動降下に制動力を付与する制動機構として機能し、即ち非操作時に巻取パイプ4が回転しないように制動する制動力を発生する。尚、上側プーリーケース31U及び下側プーリーケース31L自体を硬質材料で構成するときは、スプリングケース31Mと同様に機能する部位を設けて、部材としてのスプリングケース31Mを省略してもよい。
クラッチアダプタ24は、略円板状に形成され、クラッチユニット25の入力軸に相対回転不能に取着される部材であり、その中心に丸軸孔24aが形成されている。この丸軸孔24aは、操作プーリー22を貫通した固定軸21の先端に形成される軸部21aと係合し、回転可能に支持される。ただし、クラッチアダプタ24の基端側には軸方向に突出する突出片24bが形成されており、この突出片24bは、捩りコイルスプリング23の各端部23a間に位置して、突出片24bの各端部が、クラッチアダプタ24の回転方向でそれぞれ捩りコイルスプリング23の各端部23aに当接可能とする位置に配置される。そして、当該捩りコイルスプリング23の径内方向に突出する各端部23aが、速度変換機構20の突出片20bの周方向の各端部201間に位置することから、操作プーリー22が回転すると速度変換機構20が回転し、速度変換機構20が回転すると突出片20bの一端部201がその回転方向の捩りコイルスプリング23の端部23aに当接して、捩りコイルスプリング23の当該締付力を縮径ささせて緩和させながら、クラッチアダプタ24の突出片24bの一端部に当接し、クラッチアダプタ24も回転するようになる。
クラッチアダプタ24には本例では2つの係合孔24cが設けられ、クラッチユニット25の入力軸を為す軸方向に突出する一対の突出片25bと係合する。このため、クラッチアダプタ24が回転すれば、クラッチユニット25の入力軸も回転する。尚、クラッチアダプタ24がクラッチユニット25の入力軸に相対回転不能に取着された状態では、丸軸孔24aからクラッチユニット25の軸中心の基軸25aが露出した状態になる。ところで、クラッチアダプタ24は、予めクラッチユニット25の入力軸に固定されたものであってもよい。
図12には、操作装置10の制動機構(捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31M)及び遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を示している。捩りコイルスプリング23は、スプリングケース31Mの内周面に縮径して収容されるため、ウェイトバー7の自重に基づく自動降下に制動力を付与する制動機構として機能し、即ち非操作時に巻取パイプ4が回転しないように制動する制動力を発生する。一方、図12に示すように、操作プーリー22がA方向に回転すると、速度変換機構20の突出片20bの一方の端部201がその回転方向の捩りコイルスプリング23の一方の端部23aに当接して、捩りコイルスプリング23の当該締付力を緩和させながら、クラッチアダプタ24の突出片24bの一端部241に当接し、クラッチアダプタ24も回転するようになる。同様に、操作プーリー22がB方向に回転すると、速度変換機構20の突出片20bの他方の端部201がその回転方向の捩りコイルスプリング23の他方の端部23aに当接して、捩りコイルスプリング23の当該締付力を緩和させながら、クラッチアダプタ24の突出片24bの他端部242に当接し、クラッチアダプタ24も回転する。尚、本例では、突出片20bの一方の端部201と突出片24bの端部241との間、及び突出片20bの他方の端部201と突出片24bの端部242との間において、それぞれ捩りコイルスプリング23の各端部23aに対する係合として十分な遊びを設けて配置しているものとしているが、これは、捩りコイルスプリング23の当該締付力を緩和させるときに、捩りコイルスプリング23が縮径するのを許容するためであり、この遊びは当該締付力を緩和させる範囲で適宜定めればよい。
クラッチユニット25は、軸中心の基軸25aに対して、一対の突出片25bを有する入力軸の一回転を出力軸25cに同方向で回転伝達し、当該入力軸の他方向の回転は出力軸25cに回転伝達しないように非接続とする切り替えを可能とする所謂ワンウェイクラッチとして機能するとともに、出力軸25cの回転は当該入力軸側には伝達させずに空転させるように構成されたクラッチ機能を有する。クラッチユニット25の入力軸を為す一対の突出片25bは、クラッチアダプタ24の対向する2つの係合孔24cに係合し、クラッチユニット25の入力軸とクラッチアダプタ24とは一体となって回転する。クラッチユニット25の基軸25aは、クラッチアダプタ24の丸軸孔24aから露出して、固定軸21の軸部21a内に係合される。尚、クラッチユニット25は、軸中心の基軸25aを基準に当該入力軸の回転に基づくクラッチ機能を作動させるものであるため、基軸25aが固定されていないときは、当該入力軸が回転すると基軸25aも同期して同方向に回転する。換言すれば、基軸25aが固定されていない状態で当該入力軸が回転してから遅延して基軸25aが固定されるようにすることで、クラッチユニット25のクラッチ機能を遅延させることができる。
そこで、本実施形態においても、図12に示すように、クラッチユニット25の基軸25aを固定軸21の軸部21a内に係合させたときに、クラッチユニット25の入力軸が回転しても、クラッチユニット25の基軸25aに形成した径外方向に突起する突起部251が、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bと当接しない回転範囲を設けて基軸25aも同期して同方向に回転するようにしている。そして、突起部251が突起部21bと当接したときに、基軸25aが固定されてクラッチユニット25のクラッチ機能を作動するようにすることで、クラッチユニット25のクラッチ機能を遅延させるようにしている。このため、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bが、操作コード11による操作プーリー22の回転を所定の回転範囲で遅延させてクラッチ機構を作動させる遅延伝達機構として機能する。
より具体的に、図12を参照して説明する。クラッチユニット25の入力軸を為す一対の突出片25bは、クラッチアダプタ24の2つの係合孔24cに係合し、クラッチユニット25の入力軸とクラッチアダプタ24とは一体となって回転する。クラッチユニット25の基軸25aは、固定軸21の軸部21a内の穿設された丸孔に挿入され、基軸25aに形成した突起部251が、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bの端部211又は212と周方向で当接又は非当接とするように係合される。
クラッチユニット25の入力軸が回転すると基軸25aが固定されない限り基軸25aも同期して同方向に回転するが、基軸25aに形成した突起部251が、軸部21aの内周面上で部分的に突起する突起部21bの端部211又は212と当接しない回転範囲が設定されている。この回転範囲内において、操作コード11による操作プーリー22の図示A方向の回転がクラッチアダプタ24を介してクラッチユニット25の入力軸に伝達されると、基軸25aも同期して同方向に回転するためクラッチ機能が働かず、この入力軸の回転を出力軸25cに同方向で回転伝達させることができる。同様に、この回転範囲内において、操作コード11による操作プーリー22の図示B方向の回転がクラッチアダプタ24を介してクラッチユニット25の入力軸に伝達されると、基軸25aも同期して同方向に回転するためクラッチ機能が働かず、この入力軸の回転を出力軸25cに同方向で回転伝達させることができる。
一方、突起部251が突起部21bの端部211又は212と当接したときに、基軸25aが固定されてクラッチユニット25のクラッチ機能を作動するようになる。本例では突起部251が突起部21bの端部211と当接して、クラッチアダプタ24が図示A方向に回転する時には、その回転に応じて出力軸25cが同方向で回転し、当該クラッチアダプタ24の回転が停止しているときは、上述したように、制動機構による制動力が出力軸25cに働き、ウェイトバー7が自重降下することなく巻取パイプ4の状態が制動されて保持される。一方、突起部251が突起部21bの端部212と当接してクラッチユニット25の機能が作動するようになり、クラッチアダプタ24が図示B方向に回転するときは、クラッチユニット25は、当該入力軸の他方向の回転を出力軸25cに回転伝達しないように非接続とする切り替えを行う。当該入力軸の他方向の回転は出力軸25cに回転伝達しないように非接続となると、制動機構による制動力が出力軸25cに働かない状態になり、ウェイトバー7の自重降下が許容される。
図11に示す出力軸部材26は、クラッチユニット25の出力軸25cに係合する係合孔26aを有し、その外壁周方向には凹凸が形成されている。そして、巻取パイプ4の端部を保持するパイプホルダ41内に上側プーリーケース31U及び下側プーリーケース31Lを介して操作装置10が収容されると、パイプホルダ41の先端側の係合凹凸部41aと係合して、クラッチユニット25の出力軸25cの回転がパイプホルダ41に伝達される。パイプホルダ41には軸方向に延びる凸条片41bが外周壁上に複数本形成されており、この凸条片41bを利用してパイプホルダ41が略環状の巻取パイプ4の端部に嵌着されて相対回転不能に一体化される。尚、本例の出力軸部材26は、巻取パイプ4に外部から所定値以上の回転負荷が加わる場合に空転させるトルクリミッタとして機能する構造を有しているが、クラッチユニット25の出力軸25cとパイプホルダ41とを単に連結する連結部材として構成されたものでもよい。
このように、図10に示す操作装置10は、操作プーリー22の回転を入力する入力軸25b、及び巻取パイプ4に回転伝達するための出力軸25cを有し、入力軸25bの基軸25aに対する相対回転を回転方向に応じて出力軸25cに接続・非接続とするクラッチ機構(クラッチアダプタ24及びクラッチユニット25)、クラッチ機構の接続時に、ウェイトバー7の自重に基づく自動降下に制動力を付与するよう入力軸25bの回転を制動する制動機構(捩りコイルスプリング23及びスプリングケース31M)、及びクラッチ機構における入力軸25bの回転に伴って回転する基軸25aの回転を所定の回転範囲で遅延させて固定する遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)を備えるように構成されている。
(装置動作)
図13(a),(b)は、それぞれ第2実施形態の調光型ロールスクリーンにおける遮光状態時の遅延伝達機構の状態例とそのスクリーン状態を例示する図であり、図13(c),(d)は、それぞれ第1実施形態の調光型ロールスクリーンにおける採光状態時の遅延伝達機構の状態例とそのスクリーン状態を例示する図である。
図13(a),(b)に例示するように、クラッチユニット25の基軸25aの突起部251が、軸部21a内の突起部21bの一方の端部に当接している状態で(図13(a)参照)、前側で垂下する第1のスクリーン5aと後側で垂下する第2のスクリーン5bとの間で透光部9と遮光部8の位相がずれて遮光状態にあるとする(図13(b)参照)。この場合に、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の位相を一致させるには、本例では分かり易いように巻取パイプ4の中心Oを通る水平線を基準にすると、第1のスクリーン5aを当該水平線から下方の距離dの分だけ巻取パイプ4で巻き戻せばよい。そこで、図13(c),(d)に例示するように、第1のスクリーン5aを当該水平線から下方の距離dの分だけ巻取パイプ4で巻き戻して、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の位相を一致させるのに要する突起部251の回転角をθaとすると(図13(d)参照)、突起部251が軸部21a内の突起部21bの他方の端部に当接するまでの回転範囲θbを、当接遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)による遅延量として、θa≦θb≦360°となるように設定する。この回転範囲θb内では、操作コード11による操作プーリー22の回転がクラッチアダプタ24を介してクラッチユニット25の入力軸に伝達されても、基軸25aも同期して同方向に回転するためクラッチ機能が働かない。このため、図13(b)の状態と図13(d)の状態との間で、操作コード11による操作プーリー22の正逆回転操作で、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の重なり具合による調光を自在に調節できる。
図14(a),(b)は、それぞれ第2実施形態の調光型ロールスクリーンにおける下降操作時及び上昇操作時の動作を概略的に示す側面図である。
本実施形態では、図14(b)に示すウェイトバー7を上昇させる上昇操作時では、前後に垂下する操作コード11のうち前方に垂下する操作コードを引き操作することで、所望の位置までウェイトバー7を上昇させることができ、その上昇操作をやめた位置でウェイバー7を停止させることができる。つまり、図12を参照して説明したように、突起部251が突起部21bの端部211と当接して、クラッチアダプタ24が図示A方向に回転する時には、その回転に応じて出力軸25cが同方向で回転し、これにより巻取パイプ4もウェイトバー7を上昇させる方向に回転するため、上昇操作することができる。そして、操作コード11を手放して上昇操作をやめると、上述した図12を参照して説明したように、制動機構による制動力が出力軸25cに働き、ウェイトバー7が自重降下することなく巻取パイプ4の状態が制動されて保持される。
一方、図14(a)に示すウェイトバー7を下降させる下降操作時では、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)による遅延動作でもたらされる調光操作範囲を経てから、自動的にウェイトバー7が自重降下するようになる。つまり、図12を参照して説明したように、遅延伝達機構(固定軸21の突起部21b)による遅延動作でもたらされる調光操作範囲(正確には図13(c)に示す回転範囲θb)内では、前後に垂下する操作コード11のうち後方に垂下する操作コードを引き操作すれば、その操作に応じた量で第1のスクリーン5aが巻取パイプ4から巻き戻され、前方に垂下する操作コードを引き操作すれば、その操作に応じた量で第1のスクリーン5aが巻取パイプ4に巻き取られる。このように、調光操作範囲内では、所望の位置までウェイトバー7を上昇させたり下降させたりすることができ、その調光操作をやめた位置でウェイバー7を停止させることができる。また、調光操作範囲を超えて前後に垂下する操作コード11のうち後方に垂下する操作コードを引き操作することで、図12に示す突起部251が突起部21bの端部212と当接してクラッチユニット25の機能が作動するようになり、調光操作範囲を超えてクラッチアダプタ24が図示B方向に回転するときは、クラッチユニット25は、当該入力軸のB方向の回転を出力軸25cに回転伝達しないように非接続とする切り替えを行う。当該入力軸のB方向の回転が出力軸25cに回転伝達しないように非接続となると、図12に示した制動機構による制動力が出力軸25cに働かない状態になり、ウェイバー7が自重で自動降下する。
このように、本実施形態のロールスクリーンは、スクリーン5の上昇操作及び調光操作については手動で所望位置になるように操作できるとした上で、スクリーン5の下降操作は自動で行うことができる。従って、本実施形態によれば、調光型ロールスクリーンの操作性をより向上させることができる。
尚、図9及び図10に示す第2実施形態において、リミットストッパー12、及びダンパー13を設ける例を説明したが、これらの設置は省略してもよい。逆に、図1及び図3に示す第1実施形態において、リミットストッパー12、及びダンパー13を設ける形態としてもよい。更に、図9及び図10に示す第2実施形態において、遊星歯車27を用いる速度変換機構20を設ける例を説明したが、その他のギヤ機構で操作プーリー22の回転の速度変換伝達を行う構成としてもよいし、この速度変換機構20を省略して、操作プーリー22が略C字状の軸方向に突出する突出片20bを有するように原則なく一体化させた部材としてもよい。逆に、図1及び図3に示す第1実施形態において、遊星歯車27を用いる速度変換機構20やその他のギヤ機構を設けて、操作プーリー22の回転の速度変換伝達を行う構成としてもよい。
上述した各実施形態では、特定の実施形態について説明したが、調光機能を有する種々の調光型ロールスクリーンに応用できる。
(変形例)
図15(a)乃至(c)は、それぞれ変形例の調光型ロールスクリーンにおける概略構成と動作を概略的に示す側面図である。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
まず、図15(a)に示す変形例1の調光型ロールスクリーンでは、軸方向に開口部4Sを有する筒状の巻取パイプ4Aと、巻取パイプ4A内に隙間を有して収容され同一中心軸を有する巻取パイプ4Bの二重構造の巻取パイプ4を構成している。そして、1枚のスクリーン5の一辺を巻取パイプ4Aに取着して室外側から垂下させ、錘部材として機能するウェイトバー7を介して折り返された当該スクリーンの他辺を、開口部4Sを介して巻取パイプ4Aに室外側から取着する。本変形例1においても、スクリーン5は、前側で垂下する第1のスクリーン5aと、後側で垂下する第2のスクリーン5bとで前後二重に吊下支持されたものとなる。スクリーン5には、光を一部透過させる透光部9と、光を遮る遮光部8とが縞状に交互に形成されている。そして、巻取パイプ4Bは、図示しない操作コードの操作で回転する操作プーリーに対して常に同期して同方向に回転するものとし、巻取パイプ4Aは、遅延して巻取パイプ4Bと同期して同方向に回転するように遅延伝達機構を設ける。この場合も、図15(a-1)の遮光状態から第1のスクリーン5aを当該水平線から下方の距離dの分だけ巻取パイプ4Bで巻き上げて、図15(a-2)の採光状態とするよう、第1及び第2のスクリーン5a,5b間で透光部9と遮光部8の位相を一致させるのに要する巻取パイプ4Bの回転角をθaとすると、当接遅延伝達機構による遅延量とする回転角θbは、θa≦θb≦360°となるように設定する。そして、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、自動上昇、或いは自動降下するように制動機構及びクラッチ機構を設けることで操作性を向上させることができる。ただし、変形例1のように二重構造の巻取パイプ4を構成するときは、操作プーリーの回転を巻取パイプ4A,3Bに伝達させる機構を設ける必要があり、ウェイトバー7が下限位置にあるときのみ調光操作可能となる点で、操作性の向上及び部品点数の観点からは、上述した第1実施形態及び第2実施形態のように構成することが好ましい。
また、図15(a)に示す変形例1の更なる変形例として、図15(b)に示す変形例2の調光型ロールスクリーンでは、スクリーン5の形態を変形している。図15(b)に示す変形例2のスクリーン5は、前後二重の第1及び第2のスクリーン5a,5b全体を透光部9で構成し、第1及び第2のスクリーン5a,5b間に所定間隔で遮光部8の生地を配設したものとする。この場合も、巻取パイプ4Bは、図示しない操作コードの操作で回転する操作プーリーに対して常に同期して同方向に回転するものとし、巻取パイプ4Aは、遅延して巻取パイプ4Bと同期して同方向に回転するように遅延伝達機構を設ける。ここでは説明の都合上、変形例2では、図15(b-1)の採光状態から第1のスクリーン5aを当該水平線から下方の距離dの分だけ巻取パイプ4Bで巻き上げて、図15(b-2)の遮光状態とするものとし、採光状態から遮光状態にするのに要する巻取パイプ4Bの回転角をθaとすると、当接遅延伝達機構による遅延量とする回転角θbは、θa≦θb≦360°となるように設定する。そして、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、自動上昇、或いは自動降下するように制動機構及びクラッチ機構を設けることで操作性を向上させることができる。
また、図15(b)に示す変形例2の更なる変形例として、図15(c)に示す変形例3の調光型ロールスクリーンでは、スクリーン5の形態を更に変形している。図15(c)に示す変形例3のスクリーン5は、前後二重の第1及び第2のスクリーン5a,5b全体を透光部9で構成した側面視でハニカム状とし、ハニカム状の第1及び第2のスクリーン5a,5b間に所定間隔で遮光部8の生地を配設したものとする。この場合も、変形例1,2と同様に、巻取パイプ4Bは、図示しない操作コードの操作で回転する操作プーリーに対して常に同期して同方向に回転するものとし、巻取パイプ4Aは、遅延して巻取パイプ4Bと同期して同方向に回転するように遅延伝達機構を設ける。変形例3のように構成したスクリーン5では、変形例2では採光又は遮光のいずれかが不十分になる可能性があるが、変形例3では採光及び遮光性能をより向上させることができる。
従って、本発明は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。