JP7347783B2 - アルカリ洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
ここで、洗浄対象面が垂直面や傾斜面のような液体が流れ落ちやすい面である場合、液体の洗浄剤組成物を洗浄対象面に付着させても流れ落ちてしまうため、洗浄剤組成物と汚れとが充分に接触しなくなってしまう。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物では、SP値が10.6以上の溶剤に増粘剤とアルカリ金属水酸化物とが好適に溶解し、増粘剤が、アルカリ洗浄剤組成物中で好適な増粘作用を示す。その結果、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、垂直面や傾斜面のような液体が流れ落ちやすい洗浄対象面への付着性が優れたものとなるとともに、汚れを剥離させる作用も充分なものであり、任意の洗浄対象面において洗浄力が際立って優れたものになる。
なお、水のSP値は23.4である。SP値が23.4に近いほど親水性の高い溶剤であり、SP値が23.4より低いほど疎水性の高い溶剤であることを示す。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物の粘度がこのように高いと、洗浄対象面に付着させた場合に流れ落ちにくく、汚れに対する接触時間をより長くすることができ、本発明のアルカリ洗浄剤組成物の洗浄力を更に高めることができる。
なお、アルカリ洗浄剤組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて行うことができる。
測定時の液温は20℃、粘度計の回転数は1rpmとする。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物のpHがこのように高いと、油汚れ等の汚れに対する洗浄力を更に高めることができる。
これにより、溶剤に増粘剤とアルカリ金属水酸化物をより好適に溶解することができる。
これにより、溶剤に多糖類増粘剤を好適に溶解でき、本発明のアルカリ洗浄剤組成物中での増粘作用がより優れたものとなる。
これにより、本発明のアルカリ洗浄剤組成物における多糖類増粘剤の増粘作用が更に優れたものとなる。
アルカリ金属水酸化物を使用することによって強アルカリ性の洗浄剤組成物としやすくなり、油汚れ等の汚れに対する洗浄力がより高いものとなる。
これらのアルカリ金属水酸化物は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アルカリ金属水酸化物の含有量が30質量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなる。0.1質量%未満であると、汚れを充分に除去しにくい。
なお、上述したように、アルカリ金属水酸化物を複数種類含むときのアルカリ金属水酸化物の含有量は、その合計量として定める。
多糖類増粘剤としては、食品添加物が好ましく、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、ペクチン、ダイユータンガム、ウェランガム、及びグルコマンナンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中ではキサンタンガムを使用することがより好ましい。
増粘剤の含有量が上記範囲内であると、洗浄剤組成物の粘度が適度な範囲に調整される。
なお、上述したように、増粘剤を複数種類含むときの増粘剤の含有量は、その合計量として定める。
またSP値が10.6以上の溶剤としては、例えばグリコールエーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アルコール系溶剤が挙げられ、中でもグリコール系溶剤及び/又はアルコール系溶剤であることが好ましい。
グリコール系溶剤としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、ヘキサンジオールが好ましい。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノールが好ましい。
これらの溶剤は、組み合わせて使用してもよい。
SP値が10.6以上の溶剤の含有量が上記範囲内であると、洗浄剤組成物の各成分を充分に溶解でき、本発明の効果を充分に発揮できる。
なお、上述したように、SP値が10.6以上の溶剤を複数種類含むときの該溶剤の含有量は、その合計量として定める。
SP値が10.6未満の溶剤は、組み合わせて使用してもよい。
SP値が10.6未満の溶剤の含有量が上記範囲内であると、洗浄剤組成物の洗浄力がより優れたものとなる。
SP値が10.6未満の溶剤を複数種類含むときの該溶剤の含有量は、その合計量として定める。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物が、SP値が10.6未満の溶剤を更に含有する場合、SP値が10.6以上の溶剤と、SP値が10.6未満の溶剤との質量比は、垂直面や傾斜面に対する洗浄力をより優れたものとする観点からは、40~99/1~60であることが好ましく、50~95/5~50であることがより好ましく、55~90/10~45であることが更に好ましく、60~80/20~40であることが特に好ましい。
SP値が10.6以上の溶剤の含有量が上記質量比の範囲内となるものである場合、溶剤に増粘剤及びアルカリ剤が好適に溶解する。一方で、SP値が10.6未満の溶剤の含有量が上記質量比の範囲内となるものよりも多い場合、洗浄剤組成物の配合安定性が悪くなるおそれがある。
界面活性剤の種類は特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩(AES)、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホメチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミノスルホベタイン等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤が塩の場合、塩としては特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が好適なものとして挙げられる。
これらの各種界面活性剤は2種以上組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の含有量が5質量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなり、0.1質量%未満であると、汚れを充分に除去しにくい。
界面活性剤を複数種類含むときの界面活性剤の含有量は、その合計量として定める。
キレート剤は、特に限定されないが、ヒドロキシカルボン酸系、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩系等が挙げられ、これらを併用してもよい。これらの中では、ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤、及び、アミノカルボン酸系のキレート剤が好ましい。
上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。
また、キレート剤とキレート剤の塩がアルカリ洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤がアルカリ洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
金属腐食防止剤としては、亜硝酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の含硫黄化合物、含窒素化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
金属腐食防止剤を複数種類含むときの金属腐食防止剤の含有量は、その合計量として定める。
アルカリ金属水酸化物以外のアルカリ剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
水は、他の成分以外の残部として配合され、その含有量は特に限定されるものではない。水としては、特に限定されるものではないが、水道水、蒸留水、純水及びイオン交換水等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物の20℃における粘度が100mPa・s以上であると、洗浄対象面に付着させた場合に流れ落ちにくく、汚れに対する接触時間をより長くすることができ、本発明のアルカリ洗浄剤組成物の洗浄力を更に高めることができる。また、該粘度が50000mPa・s以下であると、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は調製が容易なものとなる。
なお、上述したように、アルカリ洗浄剤組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて行うことができる。
測定時の液温は20℃、粘度計の回転数は1rpmとする。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物をpHが高い強アルカリ性の洗浄剤組成物とすることによって、油汚れに対する洗浄力の高いアルカリ洗浄剤組成物とすることができる。
pHの測定は、市販のpHメーター等を用いて行えばよいが、例えば、堀場製作所製、D-21型を用いて測定することができる。
例えば、アルカリ金属水酸化物と、増粘剤と、SP値が10.6以上の溶剤と、必要に応じてその他の成分とを容器に添加し、攪拌混合すればよい。通常は水をともに混合して、アルカリ洗浄剤組成物のpH及び粘度を調整する。
すなわち、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、垂直面や傾斜面のような液体が流れ落ちやすい洗浄対象面に対して好適に用いられるものである。
また、洗浄対象物の材質としては、ステンレス、鋳鉄、鉄鋼、ステンレス、メッキ鋼板、アルミニウム、陶器、プラスチック等が挙げられる。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物で洗浄する汚れとしては、家庭の台所や飲食店、ホテル等の厨房等で使用する鍋、コンロ、五徳等に付着した油汚れを中心とした汚れが挙げられる。油汚れに加えて、タンパク質汚れやデンプン汚れが混在した汚れであってもよい。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は適度な粘度を有しており、汚れとの接触が良好に維持されるので、アルカリ洗浄剤組成物を汚れに対してスプレーし、しばらくの間放置してからふき取るようにすると、汚れ落ちを促進させることができる。
また、本発明のアルカリ洗浄剤組成物をスポンジやウェス等に塗布し、スポンジやウェスで洗浄対象物を拭くようにして使用してもよい。
(アルカリ洗浄剤組成物の調製)
表1に示す処方に従い、各成分を混合して、各実施例及び比較例に係るアルカリ洗浄剤組成物を得た。
なお、表中に示す成分は全て純分換算した重量であり、各成分としては以下のものを用いた。
水酸化ナトリウム:(株)大阪ソーダ製 液体苛性ソーダ
水酸化カリウム:三京化成(株)製 液体苛性カリ
キサンタンガム:(株)カーギルジャパン製 SATIAXANE CX930
ダイユータンガム:三晶(株)製 KELCO-VIS DG
ウェランガム:三晶(株)製 Welan Gum BG3810
グアーガム:三晶(株)製 SUPERGEL 200
ポリエチレングリコール(SP値:10.70):東京化成(株)製 トリエチレングリコール
1-プロパノール(SP値:11.84):東京化成(株)製 1-プロパノール
エタノール(SP値:12.58):米山薬品工業(株) エタノール(99.5v/v%)
プロピレングリコール(SP値:15.91):東京化成(株)製 1,2-プロパンジオール
グリセリン(SP値:20.02):東京化成(株)製 グリセリン
ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値:10.00):日本乳化剤(株)製 プロピルプロピレンジグリコールSS
3-メトキシ-3-メチルブタノール(SP値:10.49):東京化成(株)製 3-メトキシ-3-メチルブタノール
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:10.51):東京化成(株)製 ジエチレングリコールモノブチルエーテル
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:青木油脂工業(株)製 ファインサーフTD-100
エチレンジアミン四酢酸・4ナトリウム:東京化成(株)製 エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム四水和物
グルコン酸ナトリウム:扶桑化学工業(株)製 グルコン酸ナトリウム
メタケイ酸ナトリウム:日本化学(株)製 メタケイ酸ナトリウム
水:イオン交換水
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物に対し、pHメーター(堀場製作所製、D-21型)を用いてpHを測定した。結果を表1に示した。
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物を、家庭で1年間使用後、焦げ汚れが付着した五徳の表面全体に、表面積5cm2に対して1mL塗布し、4時間接触させた後、流水ですすぎ、汚れの落ち具合を目視で評価した。なお、五徳は複雑な形状をしており、その表面としては水平面、傾斜面、及び、垂直面がある。
◎:4時間接触後、焦げ汚れが75%以上除去できる
○:4時間接触後、焦げ汚れが50%以上、75%未満除去できる
×:4時間接触後、焦げ汚れの除去率が50%未満である
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物に対し、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて粘度測定を行った。測定時の液温は20℃、粘度計の回転数は1rpmとした。
なお、比較例3のアルカリ洗浄剤組成物は、濁度が高く、粘度を適切に評価できるものではなかった。
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物を、垂直に立てたステンレス板に0.5mL滴下し、10cm垂れ落ちるまでの時間を測定し、落ち速度を算出した。
◎:垂れ落ち速度が10cm/分未満
○:垂れ落ち速度が10cm/分以上、20cm/分未満
×:垂れ落ち速度が20cm/分以上
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物に対し、濁度測定を行った。濁度の数値により外観の評価を行う。結果を表1に示す。
各試験溶液の濁度を、紫外可視近赤外分光光度計(型番:V-670DS、日本分光株式会社製)及び分光光度計用セル10mmを用いて測定した。
〇:濁度が150度(ホルマジン)未満である。
×:濁度が150度(ホルマジン)以上である。
Claims (4)
- アルカリ金属水酸化物0.1~30質量%と、増粘剤0.01~5質量%と、SP値が10.6以上の溶剤0.1~50質量%とを含有し、
20℃における粘度が100mPa・s以上であり、
pHが12以上であることを特徴とするアルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)。 - 前記溶剤は、グリコール系溶剤及び/又はアルコール系溶剤である請求項1に記載のアルカリ洗浄剤組成物。
- 前記増粘剤は、多糖類増粘剤である請求項1又は2に記載のアルカリ洗浄剤組成物。
- 前記多糖類増粘剤は、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、ペクチン及びグルコマンナンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載のアルカリ洗浄剤組成物。
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