JP7347767B2 - 造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法、予測診断薬及びキット - Google Patents

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Description

本発明は、造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法に関する。より具体的には、本発明は、造血幹細胞移植後血栓性微小血管症(TA-TMA)の発症及び造血幹細胞移植後の非再発死亡(NRM)リスクを早期に予測できる方法を提供する。
同種造血幹細胞移植は、通常の化学療法や免疫抑制療法だけでは治療することが難しい血液がんや免疫不全症等の疾患に対して、完治させることを目的として行う唯一の治療手段であり、日本では年間約3,500例実施されている。一方で、同種造血幹細胞移植後には合併症としてTA-TMAが比較的高頻度(10~30%)で認められ、そのうちの重症例は、診断から3か月以内の致死率の中央値が75%と報告されるほどに重篤である。
同種造血幹細胞移植後の合併症がこれほどまでの予後不良を来たす原因は、その病態生理に関して不明な点が多く早期診断する手段がないことにより、一旦発症すると重症化し治療困難となりやすいためであると考えられる。このため、同種造血幹細胞移植後の合併症の予測手段の確立は臨床現場におけるアンメットニーズの1つとなっている。
TA-TMAの診断や予後予測に、補体活性化経路における終末経路の補体複合体であるsC5b-9が関連しているとして、sC5b-9についてTA-TMAの発症予測のマーカーとしての可能性が報告されている。具体的には、小児において、同種造血幹細胞移植後28日目に測定されるsC5b-9について、TA-TMAの発生予測のマーカーとしての有用性が示されており(非特許文献1)、成人において、同種造血幹細胞移植後に移植片対宿主病(GVHD)を発症しさらにGVHD発症から2~6週間経過時に測定されるsC5b-9について、TA-TMAの発生予測のマーカーとしての有用性が示されている(非特許文献2)。
Biol Blood Marrow Transplant 24 (2018) 989?996 blood advances, Volume 2, Number 20 (2018) Pages 2619-2628
TA-TMAの発症予測マーカーとしてsC5b-9の有用性が報告されてきたが、この予測マーカーを有効に用いることができるタイミングは、小児で同種造血幹細胞移植後28日経過時、成人で同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)発症後2~6週間経過時である。しかしながら、TA-TMAの予後不良性に鑑みると、その予防のための対処を移植後のできるだけ早いタイミングで開始することが、TA-TMA発症制御において極めて重要である。そうすると、これまで報告されているようなタイミングでのTA-TMA発症予測は、依然として遅きに失するといわざるを得ない。遅くとも、造血幹細胞移植後20日以内には、合併症のリスクを判断する必要がある。また、これまで、TA-TMAの中でもNRMまで予測できたことの報告はなく、事実、上記の非特許文献1では、sC5b-9によってNRMの予測が出来なかったことが明示されている。しかしながら、TA-TMAの中でも最も重篤なNRMまで予測できれば臨床的な意義は非常に大きい。
そこで、本発明は、造血幹細胞移植後の合併症について、NRMも含めて広く予測でき、且つ造血幹細胞移植後20日以内の超早期に予測できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、造血幹細胞移植後の合併症をより一層早期に行うため、補体活性化経路においてsC5b-9よりも上流の経路に関連するタンパク質を予測マーカーとして用いることに着眼した。しかしながら、このようなタンパク質として、終末経路のsC5b-9よりも上流で生じる補体活性化物C5a、終末経路よりも上流経路である共通経路を仲介する補体成分C3、古典経路の機能に関連するCH50、古典経路及びレクチン経路を仲介する補体成分C4、終末経路よりも上流経路であるC3の活性化を制御する補体制御因子CFI及びCFH、並びにCFHに対する自己抗体について検討したものの、これらタンパク質はTA-TMAを移植後20日以内の超早期に予測できるマーカーとしては機能しなかった。そうした中で、第二経路の補体活性化物であるBaについては、TA-TMAを移植後20日以内の超早期に予測できるマーカーとして機能することを見出した。それだけでなく、Baが、同様の超早期に、NRMを予測できるマーカーとしても機能することも見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (i)被験対象に由来する生体試料中の補体活性化因子Baを検出する工程と、
(ii)前記工程(i)の結果に基づいて造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無を検出する工程と、を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法。
項2. 前記工程(ii)が、被験対象について得られる工程(i)の結果を、対照について得られる工程(i)の結果と対比して、前記補体活性化因子Baの量が増加していることを指標として行われる、項1に記載の検出方法。
項3. 前記造血幹細胞移植後の合併症が、造血幹細胞移植後血栓性微小血管症である、項1又は2に記載の検出方法。
項4. 前記造血幹細胞移植後の合併症が、非再発死亡をもたらす致死的合併症である、項1~3のいずれかに記載の検出方法。
項5. 前記被験対象が、造血幹細胞移植後20日以内の被験対象である、項1~4のいずれかに記載の検出方法。
項6. 前記工程(i)を生体特異的親和性に基づく検出法によって行う、項1~5のいずれかに記載の検出方法。
項7. 抗Ba抗体を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断薬。
項8. 項7に記載の予測診断薬を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断キット。
項9. 抗Ba抗体を含む、造血幹細胞移植後の合併症の発症リスクを低減するための処置の選定用コンパニオン診断薬。
項10. (i)被験対象に由来する生体試料中の補体活性化因子Baの量を測定する工程と、
(ii)対照について得られる工程(i)の結果と対比して、前記補体活性化因子Baの量が増加している場合に、造血幹細胞移植後の合併症リスク有と示す工程と、を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの診断方法。
項11. (I)造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者を特定するために、造血幹細胞移植を受けた患者の生体試料中の補体活性化因子Baを測定する工程と、(II)特定された造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者にエクリズマブを投与する工程と、を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者の治療方法。
項12. 前記(I)工程及び前記(II)工程を、造血幹細胞移植後20日以内の患者に対して行う、項11に記載の治療方法。
項13. 抗Ba抗体の、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断薬の製造のための使用。
項14. 抗Ba抗体の、合併症の発症リスクを低減するための処置の選定用コンパニオン診断薬の製造のための使用。
本発明によれば、被験対象に由来する生体試料中のBaを造血幹細胞移植後の合併症リスク予測バイオマーカーとして用いることで、造血幹細胞移植後の合併症リスクを、移植後20以内、例えば移植後7日目という超早期に予測することが可能となり、さらに、NRMについても超早期の予測が可能となる。
解析対象となる患者(TA-TMA患者又は非TA-TMA患者)の選択フローを示す。 TA-TMA患者(1)又は非TA-TMA患者(0)の、移植日及び移植後7日目における血漿中に含まれる各種補体活性経路関連因子(Ba,CH50)の含有量を示す。 TA-TMA患者(1)又は非TA-TMA患者(0)の、移植日及び移植後7日目における血漿中に含まれる各種補体活性経路関連因子(C3,CFH)の含有量を示す。 TA-TMA患者(1)又は非TA-TMA患者(0)の、移植日及び移植後7日目における血漿中に含まれる各種補体活性経路関連因子(CFI,CFH-IgG)の含有量を示す。 TA-TMA患者(1)又は非TA-TMA患者(0)の、移植日及び移植後7日目における血漿中に含まれる各種補体活性経路関連因子(C4,C5b9)の含有量を示す。 TA-TMA患者(1)又は非TA-TMA患者(0)の、移植日及び移植後7日目における血漿中に含まれる各種補体活性経路関連因子(C5a)の含有量を示す。 TA-TMA発症に対する移植後7日目におけるBa値のROC曲線を示す。 TA-TMA発症に対する移植後28日目におけるsC5b-9のROC曲線を示す。 図3から導出した移植後7日目におけるBa値のカットオフに基づく低値群(0)及び高値群(1)のTA-TMAの累積発症の経時的推移を示す。 移植後7日目におけるBa値のカットオフに基づく低値群(day7_Balow)及び高値群(day7_Ba high)に基づく腎機能の経時的推移を示す。 移植後7日目におけるBa値のカットオフに基づく低値群(0)及び高値群(1)に基づく非再発死亡(NRM)の累積発症の経時的推移を示す。 移植後7日目におけるBa値のカットオフに基づく低値群(0)及び高値群(1)に基づく再発(Relapse)の累積発症の経時的推移を示す。
1.造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法
本発明の造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法は、(i)被験対象に由来する生体試料中の補体活性化因子Baを検出する工程と、(ii)前記工程(i)の結果に基づいて造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無を検出する工程と、を含むことを特徴とする。以下、本発明の検出方法について詳述する。
1-1.造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカー
本発明の検出方法においては、補体活性化因子Baを、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーとして用いる。Baは、造血幹細胞移植後の合併症を起こした被験者由来の生体試料において、当該合併症を起こさなかった造血幹細胞移植患者に比べて、含有量が有意に増加する。従って、Baは、造血幹細胞移植後の患者において、造血幹細胞移植後の合併症リスクが高い者とそうでない者との区別を可能にする。
Baは、補体活性化経路のうちの第二経路において、補体B因子が補体D因子によって分解されることで生じる、B因子分解産物として公知である。Baのアミノ酸配列については、例えばヒトBaアミノ酸配列の場合、Uniprot/Swissprotにおける受入番号P00751に、当該受入番号で登録されているCFAB_HUMANの、B因子(26~764番目のアミノ酸配列)のN末端側の約1/3を占める26~259番目のアミノ酸配列で構成される。
ヒトBaアミノ酸配列について、タンパク質の具体的なアミノ酸配列を配列番号1に示す。
本発明で用いられる造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーであるBaは、配列番号1に示されるヒトBa、及びその他のその変異体であってもよい。すなわち、本発明で用いられる造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaとしては、配列番号1に示されるヒトBaの他、ヒトBaの変異体、ヒト以外の生物種のBa、ヒト以外の生物種のBaの変異体が挙げられる。
より具体的には、本発明で用いられる造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーであるBaとしては、以下の(1)及び(2)のタンパク質が挙げられ、好ましくは(1)のタンパク質が挙げられる。
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(2)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、Baとしての補体活性を有するタンパク質
なお、「1個もしくは数個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」とは、特に限定されるものではないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法や多型により、置換、欠失、挿入、及び/又は付加される程度の数(好ましくは5個以下、より好ましくは4個以下、さらに好ましくは3個以下、一層好ましくは2個以下、特に好ましくは1個)のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、及び/又は付加されることを意図する。また、Baが、B因子のアミノ基側の約1/3に当たるアミノ酸残基より構成されていることと、B因子が補体活性化経路の第二経路において細胞膜に結合したC3bに結合する活性及びD因子によって分解される特性を有するものであることとから、(2)のタンパク質は、補体活性化経路の第二経路においてヒトB因子と同様のC3bへの結合活性及びD因子によって分解される特性を有しているB因子の、N末端側の約1/3を占めるアミノ酸配列で構成されていればよい。
1-2.造血幹細胞移植後の合併症
造血幹細胞移植後の合併症としては、具体的には、造血細胞移植後に発症する血栓性微小血管症(transplant-associated thrombotic microangiopathy:TA-TMA)が挙げられる。TA-TMAは、微小血管症性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia: MAHA)、消費性血小板減少、微小循環不全による臓器機能障害を主徴とする。TA-TMAは、公知のTA-TMA診断基準(例えば、(1)LDH正常上限値以上、(2)50%以上の血小板減少又は血小板輸血依存、(3)進行性の貧血又は赤血球輸血依存、(4)末梢血中の1%以上の破砕赤血球出現又は組織学的な微小血管症の証明、(5)凝固異常がない、及び(6)ハプトグロビン正常下限値未満、及び(7)クームス試験陰性を全て満たす)により診断される。TA-TMAは、二次性TMAに分類されるものであり、その代表疾患としては、血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)、溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)が挙げられる。TA-TMAは、造血幹細胞移植後において様々な原因で血管内皮細胞が障害を受け、血小板血栓の形成が促進され、結果的に生体は循環不全による臓器機能障害に陥ることにより発症する。
本発明で用いられる造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーは、造血幹細胞移植後の合併症の中でも、移植関連の非再発死亡(non-relapse mortality:NRM)をもたらす重篤なものも予測することができる。このような観点から、本発明において、予測対象とする造血幹細胞移植後の合併症の好ましい例として、NRMをもたらす致死的合併症が挙げられる。
1-3.被験対象
被験対象としては、造血幹細胞移植を受けた動物である限り、任意の動物であってよく、具体的には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類及びウサギ等の実験動物;ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜;イヌ、ネコ等のペット;ヒト、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。本発明における被験対象は、好ましくは霊長類、更に好ましくはヒトであり、特に好ましくはヒトの成人である。成人の年齢の下限としては、16歳以上、好ましくは30歳以上、より好ましくは35歳以上が挙げられ、成人年齢の上限としては、造血幹細胞移植の適応対象である限りにおいて制限はなく、例えば80歳以下、好ましくは75歳以下、より好ましくは70歳以下が挙げられる。
また、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーであるBaが、移植後20日以内の早期のタイミングで当該合併症の予測が可能であるため、被験対象の好ましい例は、造血幹細胞移植日を0日として、移植後20日以内の被験対象である。また、精度よく当該合併症の予測を行う観点から、被験対象のより好ましい例として、移植後1~19日、好ましくは2~17日、より好ましくは3~15日、さらに好ましくは4~13日、一層好ましくは5~11日、特に好ましくは6~9日経過時の被験対象が挙げられる。
1-4.被験対象に由来する生体試料中のBaを検出する工程
工程(i)では、被験対象に由来する生体試料中のBaを検出する。工程(i)における検出対象試料は生体試料であり、検出対象物質は前記造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカー(即ち、Ba)である。
生体試料としては、被験対象に由来するものであればよく、具体的には、被験対象から採取された、血液試料、組織試料及び細胞試料等が挙げられる。
低侵襲性の観点からは、生体試料として好ましくは血液試料が挙げられる。血液試料としては、例えば全血、血清、血漿等が挙げられる。診断精度の観点から、好ましくは血漿が挙げられる。各種血液試料の採取及び調製は公知の手法に従って行うことができる。例えば、血漿であれば、抗凝固剤(EDTA、クエン酸ナトリウム、ヘパリン等)入りの容器に採取された血液(全血)を入れ、遠心分離して細胞成分(赤血球、白血球、血小板)を除去して調製することができる。血液試料は、必要に応じて、適切な濃度に希釈して使用される。
診断精度の観点からは、生体試料として好ましくは組織試料及び細胞試料が挙げられる。組織試料及び細胞試料としては、例えば、生検、外科病理診断、または細胞診により得られる試料が挙げられる。具体的には、組織試料及び細胞試料としては、新鮮組織及び細胞、凍結組織及び細胞、並びに病理組織学的に処理された(例えば、ホルマリン固定又はパラフィン包埋処理された)組織及び細胞等であってよい。これらの試料は、切片として使用されてもよいし、組織又は細胞から調製したタンパク質可溶画分として使用されてもよい。
Baの検出は、被験対象に由来する生体試料中のBaの存在の有無を検出することにより行うことができる。好ましくは、Baの検出は、生体試料中のBaの量を測定することにより行う。
Baの検出方法としては、公知のタンパク質検出方法を特に限定されることなく用いることができ、例えば、生体特異的親和性に基づく検出法及び質量分析による検出法が挙げられる。
生体特異的親和性に基づく検出法においては、被験対象から採取された生体試料中に存在するBaを抗原として特異的に認識し得る(但し、B因子は認識しない)抗Ba抗体を用いる。このような抗Ba抗体は、公知である。抗Ba抗体としては、Baを抗原として特異的に認識し、B因子を認識しない限りにおいて、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよいが、好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる。
また、生体試料中のBaを検出するために使用される抗Ba抗体は、検出可能である限り特に限定されず、IgG、IgD、IgE、IgA、sIgA、IgM等のいずれのアイソタイプであってもよい。本発明において好ましい抗体のアイソタイプとしては、IgGが例示される。また、抗Ba抗体は、Baを特異的に認識し結合するための相補性決定領域(CDR)を少なくとも有するものであればよく、具体的には、(ab')2、Fab'、Fab、Fv、sFv、dsFv、sdAb)等の抗体の結合性断片であってもよい。抗Ba抗体は、常法に従って遺伝子工学的に作製することができる。
生体特異的親和性に基づく検出法を用いたBaの具体的な検出方法としては、抗Ba抗体と生体試料とを接触させて、抗Ba抗体と造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaとの特異的結合を直接的又は間接的に検出する方法が挙げられる。このような検出方法としては、具体的には、ELISA法、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、ラジオイムノアッセイ(RIA)法、蛍光イムノアッセイ法等のイムノアッセイが例示される。これらのイムノアッセイによりBaを検出する場合には、Baに結合する別の抗体に酵素標識、発色標識、放射標識又は発光標識などの標識を結合し、この標識を検出又は測定することにより行うことができる。当該別の抗体としては、少なくともBaとの結合能を有していればよく、更にB因子への結合能を有していても有していなくてもよい。また、当該別の抗体としては、少なくともBaとの結合能を有している限りにおいて、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。
前記イムノアッセイを実施する際の条件については、生体試料中のBaと抗Ba抗体との特異的結合を検出し得る限り特に限定されず、従来公知の条件に基づいて設定される。
例えば、ELISA法によりBaを検出する場合、抗Ba抗体が固定されたマルチウェルプレートの各ウェルに被験対象から採取した生体試料を添加し、ウェル中の抗Ba抗体と生体試料中のBaとを反応させる。そして、Baに結合する標識化抗体を各ウェルに添加して反応させた後、酵素基質を添加して得られる反応生成物を検出及び/又は定量することによって、生体試料中の前記バイオマーカーの検出及び/又は定量を行うことができる。ここで、標識化抗体としては、生体試料を採取する被験対象の動物に基づいて適宜選択され得るが、被験対象がヒトである場合には、ヒトBaと特異的に結合する非ヒト標識化抗体(例えば、ウサギ由来抗ヒトBa抗体)等が挙げられる。
また、標識化抗体の標識に使用される酵素についても、通常使用されるものから適宜選択して用いることができ、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、β-D-グルクロニダーゼ等が挙げられる。また、酵素基質としては、酵素の種類に応じて公知の基質から適宜選択され得るが、例えば、酵素がペルオキシダーゼの場合であれば、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)を基質として使用することができる。
酵素と基質との反応により生じた反応生成物の検出及び/又は定量は、反応生成物の吸光度を測定することによって行うことができ、例えば3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)を酵素基質として用いた場合には、450nmにおける吸光度を測定することによって実施され得る。
ラジオイムノアッセイ(RIA)であれば、抗Ba抗体を放射性同位元素で標識し、生体試料中のBaと反応させ免疫複合体を形成させ、放射性同位元素から放出される放射能に基づいて検出することができる。
蛍光イムノアッセイであれば、抗Ba抗体をプレート等に固相化し、そこに生体試料を加えて反応させた後、被験対象の生体試料中に存在するBaに結合する標識化抗体を更に反応させて、蛍光発色を検出することにより行うことができる。被験対象由来のBaに特異的に結合する標識化抗体としては、前記ELISA法において記載される通りであり、蛍光色素により標識化されたものを用いる。蛍光色素としては、FITC、PE、APC、Cy-3、Cy-5等が例示される。
免疫沈降法であれば、抗Ba抗体と生体試料とを反応させて免疫複合体を形成させ、プロテインA、プロテインG等の活性吸着剤を用いて、不溶化物として沈降させることによって検出することができる。更に、免疫沈降法とウェスタンブロット法を組合せて検出することもできる。より具体的には、FLAG等のタグが連結された抗Ba抗体と生体試料とを反応させ、試料中にBaが存在すれば免疫複合体が形成されるため、前述の活性吸着剤によって沈降させる。そして、得られた沈降物をウェスタンブロット法に供する。即ち、沈降物をSDS-PAGEによって分離展開し、ニトロセルロース膜、PVDF膜等に転写した後、タグに対する抗体と転写膜上で抗原抗体反応を行うことにより生体試料中にBaが存在していた場合にはバンドとして検出することができる。
質量分析による検出法においては、公知の質量分析装置を特に限定されることなく用いることができる。例えば、試料を機器に導入するための方式としては、高速液体クロマトグラフィー等の分離装置への接続、ステンレスプレートへの試料の滴下、プローブを試料に浸漬させる方法等が挙げられる。導入された試料をイオン化させる方式としては、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法などが挙げられる。イオンの質量を測定する機器の種類としては、四重極型、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)型などが単独又は組み合わせて用いられる。当業者は、これら多様な選択肢の中から最適な組み合わせを任意に選択して質量分析を行うことができる。
質量分析による検出法を用いたBaの具体的な検出方法においては、質量分析を用いた公知のタンパク質測定法を用いることができる。例えば、測定対象となるBaをトリプシン消化等によって断片化してペプチド試料を調製し、Baに特異的な配列を有するプロダクトイオンを検出することで、Baの存在を検出することができる。当該Baに特異的な配列を有するプロダクトイオンは、使用する質量分析計の測定範囲(m/z)内で設定する。また、当該Baに特異的な配列を有する安定同位体標識内部標準ペプチドを用い、内部標準ペプチド由来のピークの強度に対する当該Baに特異的な配列を有するプロダクトイオン由来ピークの相対的な強度を導出することで、Baの定量を行うことができる。
1-5.造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無を検出する工程
工程(ii)では、前記工程(i)の結果に基づいて造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無を検出する。
造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無は、Baが、造血幹細胞移植後の合併症を起こした被験者由来の生体試料において、当該合併症を起こさなかった造血幹細胞移植患者に比べて含有量が有意に増加する特性に基づいて判断する。好ましくは、造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無の判断は、被験対象について得られる工程(i)の結果を、対照について得られる工程(i)の結果(以下において、基準Ba量とも記載する。)と対比して、Ba量が増加していることを指標として行うことができる。
ここで、工程(ii)において用いられる上記対照としては、被験対象と同種の動物で、造血幹細胞移植後の動物で、且つ、移植後の合併症を発症しない動物が挙げられ、好ましくは、被験対象と同種の動物で、造血幹細胞移植後の動物で、合併症を発症しない動物で、且つ、移植後の経過期間も被験対象と同じ動物が挙げられる。
基準Ba量の例としては、対照集団におけるBa測定値の平均値に標準偏差を減じた値から平均値に標準偏差を加えた値までの範囲(標準偏差を減じた値及び標準偏差を加えた値の両方を含む)、当該平均値の下限値から上限値までの範囲(下限値及び上限値の両方を含む)等、が挙げられる。このような基準Ba量を用いる場合、被験者におけるBa測定値が基準Ba量の上限値を超える場合に、被験者が造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断(合併症リスク「有」を検出)することができる。
基準Ba量の他の例としては、造血幹細胞移植後の合併症の有無が既知の対象集団において、造血幹細胞移植後の合併症を起こした対象がカットオフ値未満に所定の割合で含まれるように決定されたカットオフ値が挙げられる。このようなカットオフ値の決定においては、判別のカイ二乗値が最良となるような値を求めることができる。このような基準Ba量を用いる場合、被験者におけるBa測定値が基準Ba量を超える場合に、被験者が造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断(合併症リスク「有」を検出)することができる。
基準Ba量の更なる他の例としては、造血幹細胞移植後の合併症の有無が既知の対象集団における受診者動作特性(ROC)曲線に基づいて設定されるカットオフ値が挙げられる。この場合、感度及び特異度がいずれも1である点(座標(0,1))に最も近い距離にあるROC曲線上の点、又は、座標(1,1)から原点座標(0,0)を結ぶ直線から最も遠い距離にあるROC曲線上の点に基づいてカットオフ値を定めることができる。このような基準Ba量を用いる場合、被験者におけるBa測定値が基準Ba量を超える場合に、被験者が造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断(合併症リスク「有」を検出)することができる。
造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断された被験者については、更に、合併症の発症リスクを低減するための処置として、TA-TMAの発症リスクとなる薬剤の調整、感染症対策、予防的エクリズマブ投与等を検討し、処置することができる。
また、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、移植の適応の原因となった疾患が再発した場合と再発しなかった場合とで、生体試料中の含有量に有意差を示さない。このため、本発明によれば、合併症と再発と区別して予測することができる。更に、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、TA-TMAの中でも特に重篤なNRMも予測することができる。しかも、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、これらの予測を、20日以内の超早期に行うことができる。従って、造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断された被験者に対して取りうるべき処置を、超早期に適切に選択し開始することができるため、適切な処置を行う期間を長く確保することができる。そのため、造血幹細胞移植後の合併症リスクの低減、ひいては合併症による致命率の低減を、より効果的に図ることが期待できる。
2.造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断薬及び予測診断キット
本発明は、抗Ba抗体を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断薬を提供する。本発明の予測診断薬は、上記項目1で述べた造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法を行うために用いることができる。
本発明の予測診断薬に用いられる抗Ba抗体については、上記項目1-4で述べた通りである。
本発明の予測診断薬において、抗Ba抗体は、不溶化担体上に固定化された状態で提供されてよい。不溶化担体の素材としては、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaの検出を妨げない限り特に限定されず、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリビニルクロライド、フッ素樹脂、架橋デキストラン、紙、シリコン、ガラス、金属、アガロース等を例示することができる。また、これらの材料を2種以上組合せて用いてもよい。不溶化担体の形状としては、基板状、粒子状、その他任意の形状が挙げられ、不溶化担体の具体例としては、マイクロプレート、トレイ、粒子、繊維、棒、盤、容器、セル、試験管等が挙げられる。
不溶化担体上への抗Ba抗体の固定化は、従来公知の方法に従って行うことができる。
また、本発明の予測診断薬は、抗Ba抗体の他に、緩衝液、安定化剤、防腐剤等を含んで製剤化されていてもよい。
本発明の予測診断薬は、抗Ba抗体の検出を行うために必要とされ得る他のアイテムと組み合わされてキット化されていてもよい。つまり、本発明は、当該予測診断薬を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断キットも提供する。
他のアイテムとしては、抗Ba抗体の検出を行うために必要とされ得るものであれば特に限定されず、例えば、標識化抗体、標識物質の検出剤、溶解剤、洗浄剤、反応停止液、コントロール試料、及び/又は予測診断プロトコル等が挙げられる。予測診断プロトコルには、上述の造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法を実施するための操作及び手順等の情報が含まれる。
3.造血幹細胞移植後の合併症リスクの診断方法
上記項目1-5で述べたとおり、造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無の判断は、被験対象について得られるBa量が、対照について得られる基準Ba量と対比して増加していることを指標として行うことができる。つまり、本発明は、(i)被験対象に由来する生体試料中の補体活性化因子Baの量を測定する工程と、(ii)対照について得られる工程(i)の結果と対比して、前記補体活性化因子Baの量が増加している場合に、造血幹細胞移植後の合併症リスク有と示す工程と、を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの診断方法も提供する。
本発明の診断方法における工程(i)及び工程(ii)の詳細は、上記項目1で述べた造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法の工程(i)及び工程(ii)と同様である。
3.合併症の発症リスクを低減するための処置の選定用コンパニオン診断薬
上記項目1-1で述べたとおり、生体試料中のBaは、造血幹細胞移植後の患者において、造血幹細胞移植後の合併症リスクが高い者とそうでない者との区別を可能にし、上記項目1-5で述べた通り、造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断された被験者については、更に、合併症の発症リスクを低減するための処置として、TA-TMAの発症リスクとなる薬剤の調整、感染症対策、予防的エクリズマブ投与等を検討し、処置することができる。つまり、本発明は、抗Ba抗体を含む、合併症の発症リスクを低減するための処置の選定用コンパニオン診断薬も提供する。本発明のコンパニオン診断薬は、上記項目1で述べた造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法に用いることができ。
本発明のコンパニオン診断薬に用いられる抗Ba抗体については、上記項目1-4で述べた通りであり、抗Ba抗体の具体的な形態の例については上記項目2と同様であり、抗Ba抗体が、抗Ba抗体の検出を行うために必要とされ得る他のアイテムと組み合わされてキット化されてよい点も上記項目2と同様である。
4.造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者の治療方法
上記項目1-5で述べたとおり、生体試料中のBaを造血幹細胞移植後の合併症リスク予測バイオマーカーとして用いることで、造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクを診断することができ、造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断(合併症リスク「有」を検出)された被験者については、更に、合併症の発症リスクを低減するための処置として、予防的にエクリズマブ投与等を検討し、処置することができる。エクリズマブは、抗C5キメラ抗体製剤であり、補体C5に特異的に結合することにより、炎症促進因子であるC5a及び終末補体複合体C5b-9の産生を抑制する。つまり、本発明は、(I)造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者を特定するために、造血幹細胞移植を受けた患者の生体試料中のBaを測定する工程と、(II)特定された造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者にエクリズマブを投与する工程と、を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクを有する患者の治療方法も提供する。
さらに、上記項目1-3及び1-5で述べたとおり、造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、予測を20日以内の超早期に行うことができるため、造血幹細胞移植後の合併症を発症するリスクが高いと予測診断された被験者に対して取りうるべき処置を、超早期に適切に選択し開始することができる。つまり、本発明の治療方法においては、前記(I)工程及び前記(II)工程を、造血幹細胞移植後20日以内(好ましくは移植後1~19日、より好ましくは2~17日、さらに好ましくは3~15日、一層好ましくは4~13日、より一層好ましくは5~11日、特に好ましくは6~9日)の患者に対して行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<<患者及び方法>>
<試験デザインと対象患者選択>
本試験は後方視的観察により行った。患者の選択は、図1に示す順序で行った。具体的には、2012年12月~2016年12月の間に大阪市立大学で同種造血幹細胞移植を施術された患者(但し、同意を得られなかった患者及び検体利用ができない患者を除外した)の症例のうち、TA-TMA診断困難例(uncertain TA-TMA)を除外した。uncertain TA-TMAは、TA-TMAが疑われるものの、TA-TMA診断に必要なハプトグロビン、クームス試験、破砕赤血球などの検査項目がなされていない症例と、血小板減少又は溶血を来す他の要因(血液原疾患や薬剤等)が認められる症例とを含む。このようにして対象となるTA-TMA発症患者を選択した後、各症例に対して傾向スコアを算出し、同数の非TA-TMA患者をマッチングした。最終的にTA-TMA発症患者とマッチングされた非TA-TMA患者を解析対象とした。
TA-TMA患者及び非TA-TMA患者から採取した移植前及び移植後20日以内(具体的には7日目)の凍結血漿検体を用いて9項目の補体活性経路関連因子を測定し、比較検討した。なお、補体活性経路関連因子のうち、非特許文献1において移植後28日目でのTA-TMA発生予測マーカーとしての有用性が報告されたsC5b-9については、移植後28日目の凍結血漿検体についても測定を行った。本試験で測定した補体活性経路関連因子を表1に示す。
Figure 0007347767000001
<定義>
TA-TMAの診断基準はChoらが提唱した診断基準に沿って、次の7項目を同時に満たすこととした。(1)LDH正常上限値以上、(2)50%以上の血小板減少又は血小板輸血依存、(3)進行性の貧血又は赤血球輸血依存、(4)末梢血中の1%以上の破砕赤血球出現又は組織学的な微小血管症の証明、(5)凝固異常がない、及び(6)ハプトグロビン正常下限値未満、及び(7)クームス試験陰性。
既報告に従い、8Gyより多いTBI量、7.2mg/kg以上の静注ブスルファン量、140mg/m2以上のメルファラン量のいずれかを含む前処置は骨髄破壊的前処置とし、それ以外を非骨髄破壊的前処置と定義した。HLA一致度はHLA-A座、HLA-B座、HLA-C座、HLA-DR座のDNAタイピングによって定義された。
<補体活性経路関連因子測定法>
血漿検体は、採血をEDTA-2Na入りの採血管に採取した後ただちに3000回転/20分間遠心を行うことで調製した。調製した血漿検体は、大阪市立大学の臨床検査部門で、検査測定時まで同じ型の超低温冷凍庫にて-80℃で管理・凍結保存を行った。
補体活性経路関連因子9項目(CH50、C3、C4、CFI、CFH、抗CFH抗体C5a、sC5b-9、Ba)の定量を行った。CH50の定量にはワンポイントCH50「生研」(デンカ生研株式会社)を用い;C3及びC4の定量には、それぞれ、N-アッセイTIA C3-SHニットーボー及びN-アッセイTIA C4-SH ニットーボー(いずれもニットーボーメディカル株式会社)を用い;CFI、CFH、及び抗CFH抗体の定量には、それぞれ、CFI (Human) ELISA Kit、CFH (Human) ELISA Kit、及びCFH IgG ELISA Kit (いずれもAbnova社)を用い;Ba、sC5b-9、及びC5aの定量には、それぞれ、MicroVue Ba EIA Kit、MicroVue sC5b-9 Plus EIA Kit、及びMicroVue C5a EIA Kit (Quidel 社)を用いた。具体的には、MicroVue Ba EIA Kitを用いたBaの定量においては、基板にコートされた、Baに特異的な(且つB因子を認識しない)モノクローナル抗体に、血漿検体を接触させ、当該モノクローナル抗体に結合した血漿検体中のBaに、Baとの結合性を有するホースラディッシュペルオキシダーゼ標識のポリクローナル抗体を結合させ、当該標識を測定する。
<傾向スコアマッチング法>
TA-TMA発症の有無を従属変数とし、TA-TMAの既知の移植前リスク因子である、患者年齢、性別、移植前疾患状態、ドナー(血縁/非血縁)、HLA一致度(一致/不一致)、グラフト種別(骨髄/末梢血/臍帯血)、前処置強度(骨髄破壊的/非骨髄破壊的)、GVHD予防法(シクロスポリン投与/タクロリムス投与)、患者サイトメガロウイルス抗体(有/無)を独立変数としたロジスティック回帰モデルにより、各患者の傾向スコアを算出した。TA-TMA患者のTA-TMA発症日と同時期までTA-TMAを発症せず非再発生存しており、かつTA-TMA患者の傾向スコアに最も近い傾向スコアを持つ患者が1:1で対照患者としてマッチングされた。対照患者は復元抽出可とし、マッチングのキャリパーは傾向スコアの標準偏差の0.25範囲内とした。欠損値は多重補完法によって補完した。
<統計学的解析手法>
2群間における補体蛋白値の経時的推移の比較、Cre値の経時的推移の比較には、Two way ANOVA法を用い、多重検定の補正にはsidak法を用いた。両群間で有意差が得られた場合には、さらにPost hoc解析により有意差のある時点を得た。ROC曲線からYouden Indexによる最適Cutoff値を求め、TA-TMA及びNRM累積発症の比較にはGray法を用いた。TA-TMA発症と非TA-TMA死亡は互いに競合イベントとした。
<<結果>>
<解析対象の患者背景>
マッチングにより抽出されたTA-TMA患者(n=15)及び対照患者(n=15)を解析対象とした。これらTA-TMA患者及び対照患者について、それぞれの移植前リスク因子における各群の人数(但し、年齢については、中央値及び範囲(括弧内)を示し、移植前疾患状態及びグラフト種別については、人数と共に割合(括弧内;単位%)を示す)及び群間比較によるp値(群間に差がない)を、下記表に示す。なお、このTA-TMA患者において、TA-TMAの発症日の中央値は、移植日を0日として、移植後25日目(四分位範囲:22.5-44)であった。
Figure 0007347767000002
<TA-TMA群と非TA-TMA群における補体活性経路関連因子の差>
TA-TMA群(1)と非TA-TMA群(0)の間における比較例1~8及び実施例1の補体活性経路関連因子の測定結果を、図2a~図2eに示す。9つの補体活性経路関連因子のうち、Ba以外(比較例1~8)では、移植後20日以内(具体的には移植後7日目)に両群間で有意差を示さなかった。なお、図示していないが、非特許文献1において移植後28日目でのTA-TMA発生予測マーカーとしての有用性が報告されたsC5b-9については、移植後28日(比較例9)にTA-TMA群(1)で異常高値を示した。一方で、Ba(実施例1)では、移植後20日以内(具体的には移植後7日目)にTA-TMA群(1)で有意に異常高値を示した(平均値±標準誤差が、TA-TMA群(1)で1129±109ng/ml、非TA-TMA群(0)で584±38ng/ml)。
<移植後7日目のBa値による造血幹細胞移植後の合併症予測能-1>
TA-TMA発症群についての移植後7日目のBa値(実施例1)のROC曲線を図3に示す。TA-TMA発症群についての移植後7日目のBa値のAUCは0.88(95%信頼区間:0.72-1.0)であり、ROC曲線から求めた最適カットオフ値は869ng/mlであった。
なお、TA-TMA発症群についての移植後28日目のsC5b-9値(比較例9)のROC曲線を図4に示す。TA-TMA発症群についての移植後28日目のsC5b-9値のAUCは0.69(95%信頼区間:0.49-0.89)であり、ROC曲線から求めた最適カットオフ値は197.2ng/mlであった。
図3と図4との対比に示される通り、本発明の造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、非特許文献1で移植後28日目におけるTA-TMA予測マーカーとしての有用性が報告されたsC5b-9と比べて、TA-TMAの予測時期が格段に早くなるだけでなく、その精度においても格段に優れている。
<移植後7日目のBa値による造血幹細胞移植後の合併症予測能-2>
図3から導出した移植後7日目におけるBa値(実施例1)のカットオフを用い、Ba値がカットオフ未満の低値群(0)及びカットオフ以上の高値群(1)についてTA-TMA累積発症率(縦軸)と移植後経過月(横軸)との関係を図5に示す。図5における両群を群間比較すると、移植後7日目のBa高値群(1)は、移植後7日目のBa低値群(0)に比べて有意に高いTA-TMA累積発症率を示した(1年累積発症率:100% vs 17%;HR:18.9[95%信頼区間:5.5-64.6];p<0.001)。
また、同様にして腎機能を示すクレアチニンCre(縦軸)と移植後経過日(横軸)との関係を図6に示す。図6に示すように、移植後7日目のBa高値群(day7_Ba high)は、移植後7日目のBa低値群(day7_Ba low)に比べて有意に高いクレアチニン値を示した。
<移植後7日目のBa値による造血幹細胞移植後の合併症予測能-3>
図3から導出した移植後7日目におけるBa値(実施例1)のカットオフを用い、Ba値がカットオフ未満の低値群(0)及びカットオフ以上の高値群(1)について非再発死亡(NRM)累積発症率(縦軸)と移植後経過月(横軸)との関係を図7に示す。図7における両群を群間比較すると、移植後7日目のBa高値群(1)は、移植後7日目のBa低値群(0)に比べて有意に高いNRM累積発症率を示した(p=0.008)。
なお、図3から導出した移植後7日目におけるBa値(実施例1)のカットオフを用い、Ba値がカットオフ未満の低値群(0)及びカットオフ以上の高値群(1)について、再発(Relapse)累積発症率(縦軸)と移植後経過月(横軸)との関係を図8に示す。図において両群を群間比較しても、両群に有意差は無かった。
図7と図8との対比に示される通り、本発明の造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、再発と区別してNRMを予測することができる。一方、非特許文献1では、sC5b-9について移植後28日目におけるTA-TMA予測マーカーとしての有用性が示される一方で、NRMの予測はできないことが示されている。本発明の造血幹細胞移植後の合併症リスク予測マーカーBaは、最も重篤なケースであるNRMまで超早期に予測できるため、臨床的な意義が非常に大きい。

Claims (11)

  1. (i)造血幹細胞移植後4~13日の被験対象に由来する生体試料中の補体活性化因子Baを検出する工程と、
    (ii)前記工程(i)の結果に基づいて造血幹細胞移植後の合併症リスクの有無を検出する工程と、を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの検出方法。
  2. 前記工程(ii)が、被験対象について得られる工程(i)の結果を、対照について得られる工程(i)の結果と対比して、前記補体活性化因子Baの量が増加していることを指標として行われる、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記造血幹細胞移植後の合併症が、造血幹細胞移植後血栓性微小血管症である、請求項1又は2に記載の検出方法。
  4. 前記造血幹細胞移植後の合併症が、非再発死亡をもたらす致死的合併症である、請求項1~3のいずれかに記載の検出方法。
  5. 前記工程(ii)において、869ng/mlをカットオフ値とし、前記工程(i)の結果が前記カットオフ値以上である場合に前記造血幹細胞移植後の合併症リスク有と検出する、請求項1~4のいずれかに記載の検出方法。
  6. 前記工程(i)を生体特異的親和性に基づく検出法によって行う、請求項1~5のいずれかに記載の検出方法。
  7. 抗Ba抗体を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断薬であって、前記予測診断が造血幹細胞移植後4~13日である、予測診断薬
  8. 請求項7に記載の予測診断薬を含む、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断キット。
  9. 抗Ba抗体を含む、造血幹細胞移植後の合併症の発症リスクを低減するための処置の選定用コンパニオン診断薬であって、前記選定が、造血幹細胞移植後4~13日である、コンパニオン診断薬
  10. 抗Ba抗体の、造血幹細胞移植後の合併症リスクの予測診断薬の製造のための使用であって、前記予測診断が造血幹細胞移植後4~13日である、使用
  11. 抗Ba抗体の、合併症の発症リスクを低減するための処置の選定用コンパニオン診断薬の製造のための使用であって、前記選定が造血幹細胞移植後4~13日である、使用
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