JP7347746B2 - 建物の外装構造 - Google Patents
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Description
高層階建ての集合住宅では、ベランダに設けられた避難ハッチ内に収納されたはしごを下階へ伸ばして避難するような構造や、ベランダの外側に避難はしごを懸架する構造、避難袋などがある。
特許文献1(特開2002-88904号公報)には、 バルコニーの腰壁に開口部が設けられ、この開口部内を収納部として避難はしごが収納されている。この開口部は、蓋パネルで開閉可能に塞がれ、内外蓋パネルを開いてこの開口部からはしごを下に降せるようになっているベランダの外側に避難はしごを設けた避難構造が開示されている。
特許文献2(特開2004-222973号公報)には、建物の途中階の退避開口部に相当する位置に沿って柔軟な救助袋を建物上部構造に設けた袋取付枠から垂下し、前記退避開口部に救助袋の乗り込み口が位置するようになした垂下式救助袋を建物外壁に臨んで設けた固定収納枠体内に折り畳んで収納し、非常時に一動作で投下するようになした垂下式救助袋の収納投下装置が開示されている。
特許文献3(実開平6-55650号公報)には、ベランダの床開口に内蔵された避難はしごの上段で、のけぞらして転落しようとする体を背中側から支えて、階下のベランダの手すりを越える転落を防ぐ落下防止ガードを避難ハッチに内蔵させた避難はしごが開示されている。
1.バルコニーが設けられた建物外装構造であって、
バルコニー床に設けられた開口部と、該開口部に設置される避難はしごと、少なくとも該避難はしごより外側のバルコニーの部分に上下階に通るパネル部が設けられており、
当該階のパネル部の上端は当該階の上階のバルコニーの床部に取り付けられ、当該階のパネル部の下端は当該階のバルコニーの床部に取り付けられていることを特徴とする建物外装構造。
2.バルコニーが設けられた建物外装構造であって、
バルコニー床に設けられた開口部と、該開口部に設置される避難はしごと、少なくとも該避難はしごより外側のバルコニーの部分に上下階に通るパネル部が設けられており、
当該階のパネル部の側面は、当該階の腰壁に取り付けられており、当該階のパネル部の下端は当該階のバルコニーの床部に取り付けられていることを特徴とする建物外装構造。
3.パネル部は、透光性、太陽光発電機能のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする1.又は2.に記載された建物外装構造。
2.パネルは、上下階の床間を通してパネル部が配置されるので、避難はしご利用者の恐怖心が和らぎ、腰壁などに接合することにより、転落などの衝撃に対して強度を確保できる。パネルは、腰壁の外側に一連に設置、当該階のバルコニーから上階バルコニーの下面の間に設置、当該階のバルコニーの天端と上階のバルコニーの下面に設置する。
3.パネルは不透明にして視界を遮ることが望ましいが、半透明にして透光性材料を用いて、採光性を確保することができる。さらに、外に面しているパネルを有効活用して太陽光発電機能を持たせることにより、太陽光を有効に活用することができ、また、蓄電池を設置することで、災害時に非常用電源として利用することができる。特に、夜間避難をする際には、避難通路の照明を確保し、安全性が向上する。外面に半透明パネルや太陽光発電パネルを設置することにより、遮光性が上がり、部屋内に入るエネルギーを低下させて、省エネルギー効果もある。風雨の吹込み低減も期待できる。
4.太陽光発電パネルを用いることにより、バルコニー避難の安全性と電気エネルギーを創出できるシステムを構築することができる。
5.集合住宅の外観を外部から見上げたときに、バルコニーの開口部や蓄電池がパネルによって目立たなくなる。
高層建築物のバルコニーに設けられた避難はしごの使用時の安全性を高めるとともに、太陽光電池などの機能を付加することにより、電源設備としても利用できる建物外装構造である。
本発明は、バルコニーから安全に避難できる構成と太陽光発電を兼用することができるので、バルコニー避難の安全性に配慮した持続可能な創エネシステムを構築することができる。
20数階に相当する地上60mから地面を見たイメージを図10に示す。このイメージ図が示すように、目がくらみ、足がすくむような光景が理解できる。これに対して、避難はしごの背面側に上下階を通してパネルを設けることにより、図5に示すように、足下の景色が遮断されて、恐怖心が軽減される。
材質は、樹脂、ガラス、金属、ロープ、木材などを使用することができる。
パネル部は、バルコニーに沿って連続して設ける、あるいは、階ごとにバルコニー部分に設置して、全体として、建物の上下を通して形成される。バルコニー部分に設置する場合は、後付け工事も可能である。
パネル部の設置範囲は、建物外面の正面から見て、避難はしごが隠れる程度を目安とする。具体的には、パネル部の横幅は、避難はしごが設置される開口部の幅以上とする。避難はしごは消防法や自治体の設置基準に従って設けられるので、その基準に適用する箇所にパネル部が設けられる。
パネル部の設置は低層階部分を省くこともできる。低層階部分では恐怖心も和らぐので省くことも可能である。また、低層階部分にパネル部を設けないことにより、上層への侵入犯の防止にも役立つ。
実施例1に示す建物10は、ごく一般的な避難用の開口部3が設けられているバルコニー2を有する高層の集合住宅の途中階を例示している。本発明は、避難用の開口部3が設けられたバルコニーを有する建物であれば、図示の例に限らず適用できる。
図1は、途中階の当該階バルコニー20を中心に上下階を表現している。
構造的には建物10は、梁13と柱14が開口部である窓15(外壁)の外側に設けられている。床12を形成する床スラブに連続するように当該階バルコニー20の床部20aが設けられている。バルコニーの床部20aの先端に腰壁23が立ちあがっている。図1の例では、腰壁23が透明体のように表現されているが、わかりやすくするための表現であって、不透明体、鉄筋コンクリート体、柵体など通常の形態を採用できる。腰壁23の内側には、干し物用の欄干などを設けることもできる。
当該階のバルコニー20の床部20aには避難用の開口部3が設けられており、避難はしご4が下階のバルコニー22に伸びるように設置されている。この避難構造は各階共通である。隣との境には隔壁16が設けられている。
避難はしご4が位置するバルコニーの腰壁に沿ってパネル部5が上下階を通して設けられている。
本例では、避難ハッチ31が設けられたバルコニーの先端には腰壁23が設けられておらず、パネル部5が配置されている。この図2が示すように、避難はしごが設置されるバルコニー2の先端部分にパネル部5が設けられているので、避難はしご利用者は、バルコニーの外側に落下する危険が軽減されるとともに、足元直下の視界が遮られるので、恐怖心を和らげることができる。
本実施例では、パネル部5には、ソーラーパネルを用いている。このソーラーパネルで発電した電気エネルギーは、蓄電ユニット61などに供給する。
図4に建物外装構造1Aの縦断面図を示す。
上下階のバルコニーを通して避難はしご4が掛けられ、バルコニーの外面に沿って、パネル部5が設けられている。
バルコニー2の窓15側の壁に沿って避難はしご4が垂下しており、隔壁16をはさんで両側にパネル部5が下方まで伸びている。パネル部5は腰壁天端23aに沿って延びている。
避難はしご4の背面側にパネル部5があって、直接の外側が塞がれており、さらに、この図では隔壁16で片側が壁状になっているので、3方が囲まれた状態で安心感を醸成することができる。避難はしご4の窓15側のバルコニー側が開放部となり、眼下の様子が一部見えるが、住民にとっては、見慣れた風景の一部であるので、恐怖心は軽減される。
したがって、本建物外装構造1Aを構成する避難システムは、高層建築物であっても、実効性を発揮することができ、住民の安全性が向上する建物を提供することができる。
さらに、本実施例では、パネル部に透光性のソーラーパネルを用いているので、採光するとともに、太陽光電力を日常生活及び非常用電源として活用することができる。特に、非常時の停電用電源として利用することにより、避難はしごの利用性が向上する。また、風雨や太陽光の遮光にも役立つ。
したがって、本実施例では、バルコニーから安全に避難できる構成と太陽光発電を兼用することができるので、バルコニー避難の安全性に配慮した持続可能な創エネシステムを構築することができる。
建物10の基本構造は実施例1と同様である。
本実施例では、パネル部5をバルコニー2の先端の立上り部20bと上階のバルコニー下面端24との間に設置している。立上り部20bと上階のバルコニー下面端24には横桟54a、54bを設置して、パネルを取り付けることができる。この結果、避難はしご4の外側にパネル部5を上下階を通して、断続的に設置することができる。
立上り部20bに代えて、バルコニーの腰壁の天端とすることもできる。
建物10の基本構造は実施例1と同様である。
本実施例では、パネル部5をバルコニー2の先端の腰壁23(又は立上り部20b)の内側と上階のバルコニー下面端24との間に設置している。パネル部5の上下を収めるプレート55a、55bを躯体側に設けて、パネル部5のフレームとを接続して固定する。この結果、避難はしご4の外側にパネル部5を上下階を通して、断続的に設置することができる。
建物10の基本構造は実施例1と同様である。
本実施例では、図8(b)に示すようにパネル部5を格子状パネル56で構成している。縦横のフレーム52a、52bを配置する点は実施例1と同様であり、このフレームに格子状パネル56を取り付ける。
格子状のパネル部5が上下階を通して、断続的に設置することができる。
また、実施例2、3に示すパネル部をこの格子状パネルで構成することもできる。
10 建物
11 室内側
12 床
13 梁
14 柱
15 窓
16 隔壁
2、20、21、22 バルコニー
20b 立上り部
20a、21a、22a 床部
23 腰壁
24 バルコニー下面端
3 開口部
31 避難ハッチ
4 避難はしご
5 パネル部
51 パネル
52a 縦フレーム
52b 横フレーム
54a、54b 横桟
55a、55b プレート
56 格子状パネル
61 蓄電ユニット
62 室外機
Claims (3)
- バルコニーが設けられた建物外装構造であって、
バルコニー床に設けられた開口部と、該開口部に設置される避難はしごと、少なくとも該避難はしごより外側のバルコニーの部分に上下階に通るパネル部が設けられており、
当該階のパネル部の上端は当該階の上階のバルコニーの床部に取り付けられ、当該階のパネル部の下端は当該階のバルコニーの床部に取り付けられていることを特徴とする建物外装構造。 - バルコニーが設けられた建物外装構造であって、
バルコニー床に設けられた開口部と、該開口部に設置される避難はしごと、少なくとも該避難はしごより外側のバルコニーの部分に上下階に通るパネル部が設けられており、
当該階のパネル部の側面は、当該階の腰壁に取り付けられており、当該階のパネル部の下端は当該階のバルコニーの床部に取り付けられていることを特徴とする建物外装構造。 - パネル部は、透光性、太陽光発電機能のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載された建物外装構造。
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