JP7346390B2 - アゴニスト性cd40抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒトCD40受容体に特異的に結合し、Fcγに仲介されるCD40架橋に依存しないCD40シグナル伝達を誘導することができる、ヒト化アゴニスト性のモノクロ-ナル抗体、又はその抗原結合断片に関連する。本発明は前記抗体及びそれらを含む医薬組成物の使用にも関連する。
がんの免疫療法における近年の成功は、免疫系は大部分とは言わないまでも多くのがんを制御することが可能であるという仮説を復活させ、幾つかの場合では多くの低分子薬剤では見られない方法で持続する応答を作製する。アゴニスト性のCD40モノクローナル抗体(mab)は、様々な機構により抗がん免疫性を生成する潜在力を有する、新たな治療の選択肢を提供する。
CD40は細胞表面分子であり、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーのメンバーである。それは多くの非免疫細胞と広範囲の腫瘍と共に、樹状細胞、B細胞、及び単球等の抗原提示細胞(APC)上に広く発現している。
CD40の天然のリガンドはCD154であり、それは活性化されたTリンパ球の表面上に主として発現し、免疫応答のためにT細胞を「助ける」主要な成分を提供する。APC上のCD40を介したシグナル伝達は、ヘルパーT細胞がAPCにライセンスする能力の大部分を仲介する。DC上のCD40のライゲーションは、例えば、共刺激性及びMHC分子の表面発現の増加、炎症誘発性サイトカインの産生、及びT細胞のトリガー作用(triggering)の促進を誘導する。休止しているB細胞上のCD40のライゲーションは、抗原提示機能と増殖を増加させる。
CD40シグナル伝達の結果は多面的であり、CD40を発現している細胞の型と、CD40シグナルが提供されている微小環境に依存する。TNF受容体ファミリーの幾つかの他のメンバーと同様に、CD40シグナル伝達は、CD40細胞質末端の内在的なシグナル伝達活性によるというよりも、むしろアダプター分子により仲介される。受容体が集合した(assembled)ときに下流のキナーゼは活性化され、多成分のシグナル伝達複合体はCD40からサイトゾルに移動し(translocate)、特性がよく知られた幾つかのシグナル伝達経路が活性化される。
拮抗性のヒトCD40抗体は、先行技術の中で知られている。各自のアンタゴニスト性の抗体は、Fcγに仲介されるCD40受容体架橋の減少を示す、サイレントなFc変異体であってもよい。ヒトIgG1のFc領域の各自の変異は、例えば米国公開番号2018/0118843の中に述べられている。
近年に設計された免疫調節的なアプロ-チにおいて、免疫系ががん細胞を認識して破壊する能力を促進するために、CD40を標的としたアゴニストモノクローナル抗体(mAb)が使用された。各自の前臨床試験はアゴニスト性のCD40mAbはAPCを活性化して、抗腫瘍性T細胞応答を促進し、T細胞免疫性の非存在下でがんを制御する潜在力を有する細胞傷害性の骨髄細胞を育てることができると示している。よってアゴニスト性のCD40mAbは、CTLA-4又はPD-1等の、ネガティブなチェックポイント分子を阻害することによる免疫活性化を達成するmAbとは基本的に異なっている。
CP-870,893はCD40の強力且つ選択的なアゴニストとして作動する、最初の完全なヒトIgG2mAbである。興味深いことにCP-870,893の結合は、CD40との結合においてCD154とは競合しない。前臨床試験において、CP-870,893は、腫瘍細胞の生存について免疫系に依存する効果と依存しない効果の両方を仲介すると示されている。最初のヒト内試験において、有望な抗腫瘍活性が、特に黒色腫の患者において観察された。薬力学的にCP-870,893の投与は、末梢血B細胞の一時的な減少と、APC上のマーカーの活性化の上方制御(upregulation)をもたらす。
よってアゴニスト性のCD40mAbは、新規ながん療法のための有望な戦略を提示する。しかしながら、それらの潜在的な細胞傷害性の副作用に対する懸念も引き起された。アゴニスト性のモノクローナルCD40抗体は、サイトカイン放出症候群、自己免疫反応、血栓塞栓性症候群(血小板と内皮細胞によるCD40の発現による)、活性化誘導性の細胞死又は寛容(tolerance)をもたらす過剰免疫刺激、及び腫瘍血管新生を引き起こす、という可能性がある。これらの効果は、不都合な毒性又は腫瘍成長の促進を引き起こすかもしれない。機構的には、アゴニスト性のCD40と他のTNF受容体ファミリーが抗体を標的化してFcγ受容体と相互作用する能力は、動物研究における毒性の発生と関連付けられている(Li & Ravetch 2012, Xuら, 2003, Byrneら, 2016)。
試験された最も強いアゴニストであるCP-870,893について、報告されている最も一般的な副作用は、寒気、発熱、悪寒として現れるサイトカイン放出症候群、及び注入直後の他の症候群である。またCP-870,893について、血栓塞栓イベントのケースも幾つか観察されている。ダセツズマブについて、非感染性の炎症性眼疾患が観察されている。
従って細胞毒性が低下し、臨床上の副作用をより少なくする一方で、それらの効力と臨床上の有効性を維持している、アゴニスト性のCD40mAbを提供する必要性がある。本発明のアゴニスト性のCD40mAbはこの必要性を充たすことが可能であり、アゴニスト性のCD40抗体の免疫調節性の潜在力を最大限に引き出すことができる。
本発明は、ヒトCD40受容体に特異的に結合し、Fcγに仲介されるCD40受容体架橋に依存しないCD40シグナル伝達を誘導するモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を提供する。より特異的には、本発明の抗体は、CD40リガンドのエピトープと重複するCD40エピトープに結合し、ヒトAPCを活性化することができる。本発明は前記抗体を含む組成物、及び、がんを患っている患者の治療等、免疫系の刺激が望まれている障害(condition)又は疾患(disease)の治療におけるその抗体と組成物の使用も提供する。
定義
用語「抗体」は、抗体全体及び抗体断片を含むが、それが本発明に従った性質を示す限り、それに限定されるものではなく、様々な型の抗体構造を包含する。
「抗体断片」とは、無傷抗体が結合する抗原に結合する、無傷抗体の部分を含む、無傷抗体以外の分子を言う。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディー;直鎖抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成される多重特異的な抗体が挙げられるが、それらに限定される訳ではない。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」又は「モノクロ-ナル抗体組成物」とは、単一のアミノ酸組成の抗体分子の調製物を言う。
用語「ヒト化抗体」又は「ヒト化バージョンの抗体」とは、抗体エンジニアリングの結果として、重鎖と軽鎖の両方がヒト化されている抗体を言う。ヒト化された鎖は典型的にはV領域のアミノ酸配列が変えられている鎖であって、それによって、全体として解析されると、元の種の生殖系列配列よりもヒトの生殖系列配列に、ホモロジーにおいてより近いものである。ヒト化の評価は、結果として得られたアミノ酸配列に基づいて行われ、方法論それ自体に基づいて行われるものではない。
本明細書で使用される用語「標的又は抗標的抗体に対して特異的に結合する」とは、ELISAにより測定された、それぞれの抗原(標的)又は抗原発現細胞への抗体の結合を言うものであり、ここで前記ELISAは好ましくは、それぞれの抗原を固相担体へ被覆すること、それぞれの抗原又はタンパク質との免疫複合体の形成を許容する条件下において前記抗体を添加すること、本発明による抗体に対して結合する二次抗体を使用し、且つペルオキシダーゼに仲介される発色を使用して、光学密度値(OD)の測定による前記免疫複合体を検出することを含む。
本発明における用語「抗原」とは、免疫接種のために使用される抗原、又はタンパク質であって前記抗原をそのタンパク質配列の一部として含むものを言う。例えば、免疫接種のために、タンパク質の細胞外ドメインの断片(例えば最初の20アミノ酸)を使用することができ、検出/アッセイ等のために、そのタンパク質の細胞外ドメイン又は全長タンパク質を使用することができる。
本明細書における「特異的に結合する」又は「特異的に認識される」とは、抗原について適切な親和性を示す抗体、好ましくは顕著な交差反応性を示さない抗体を意味する。
「顕著な交差反応性を示さない」抗体とは、望ましくない他のタンパク質と、かなりの結合しない(と思われる)ものである。特異的な結合は、そのような結合を測定するための任意の分野で認識される手段、例えばELISA等の競合的結合アッセイにより測定することができる。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、ある抗体であって、参照抗体のその抗原への結合を競合アッセイにおいて50%以上阻害する抗体、及び逆に、参照抗体が、その抗体のその抗原への結合を競合アッセイにおいて50%以上阻害する抗体を言う。
本明細書で使用される「本発明による抗体の可変領域(又はドメイン)」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))とは、抗原の抗体への結合に直接的に関与する、軽鎖と重鎖の領域のペアのそれぞれを意味する。可変軽鎖及び重鎖領域は同じ一般構造を有し、それぞれの領域は4つのフレームワーク(FR)領域を含み、その配列は広く保存され、3つの相補性決定領域であるCDRにより連結されている。
本明細書で使用する用語「抗体の抗原結合部分」とは、抗原結合を担っている抗体のアミノ酸残基を言う。抗体の抗原結合部分は、好ましくは「相補性決定領域」又は「CDR」に由来するアミノ酸残基を含む。CDR配列は、Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)により規定される。この番号付けシステムを使用して、実際の直鎖のアミノ酸配列は、可変領域のFR又はCDRの短縮、又はそれへの挿入に相当する、より少ない又は追加のアミノ酸を含んでもよい。例えば重鎖可変領域は、H2の残基52の後の単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)と、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82c等)を含んでもよい。所定の抗体についての残基のKabatの番号付けは、「標準」のKabat番号付けがされた配列との、その抗体の配列の相同な領域におけるアラインメントにより決定されてもよい。
「定常領域(定常部分)」は抗体の抗原への結合に直接的には関与していないが、例えばエフェクター機能も示す。ヒトIgG1に対応する重鎖定常領域遺伝子断片はγ1鎖と呼ばれる。ヒトIgG3に対応する重鎖定常領域遺伝子断片はγ3鎖と呼ばれる。ヒト定常γ重鎖は、Kabat, E.A.ら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)により、及びBrueggemann, M.ら, J. Exp. Med. 166 (1987) 1351-1361; Love, T.W.ら Methods Enzymol. 178 (1989) 515-527により詳細に述べられている。
本明細書中の用語「Fc領域」とは、少なくとも定常領域の一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。その用語は天然配列のFc領域と変異体Fc領域を含む。
本明細書中で特定されない限り、Fc領域又は定常領域のアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の中に述べられている通りの、EUインデックスとも呼ばれる、EU番号付けシステムに従う。
「変異体Fc領域」はアミノ酸配列を含み、そのアミノ酸配列は、本明細書中で規定された少なくとも1つの「アミノ酸修飾」のために、「天然」又は「野生型」のFc領域配列のそれとは異なっている。
本明細書中で使用される用語「Fc変異体」とは、Fcドメインの中に修飾を含んでいるポリペプチドをいう。その修飾は付加、欠失、又は置換であることができる。置換は天然に存在するアミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸を含むことができる。変異体は非天然アミノ酸を含んでもよい。
用語「Fc領域含有ポリペプチド」は、抗体等のFc領域を含むポリペプチドをいう。
用語「Fc受容体」又は「FcR」とは、抗体のFc領域に結合する受容体を述べるために使用される。IgG抗体に結合するFcR(ガンマ受容体)には、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子の変異体及びオルタナティブスプライシング型を含む)が含まれる。FcγRII受容体はFcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制性受容体」)を含み、それらは類似したアミノ酸配列を有するが、主としてその細胞質ドメインにおいて異なっている。活性化受容体であるFcγRIIAは、その細胞質ドメインの中に、免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含む。抑制性受容体であるFcγRIIBは、その細胞質ドメインの中に免疫受容体チロシンに基づく抑制モチーフ(ITIM)を含む(Daeron, M., Annu. Rev. Immunol. 15 (1997) 203-234の中の総説を見よ)。FcRは、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9 (1991) 457-492; Capelら, Immunomethods 4 (1994) 25-34;及びde Haasら J. Lab. Clin. Med. 126 (1995) 330-41に総説されている。将来に同定されるべきものを含めて他のFcRは、本明細書中の用語「FcR」に包含される。その用語は新生児の受容体であるFcRnも含み、それは母親のIgGの胎児への運搬を担っている(Guyerら, J. Immunol. 117 (1976) 587 及びKimら, J. Immunol. 24 (1994) 249)。
本明細書中で使用される「IgG Fcリガンド」とは、任意の生物に由来する、IgG抗体のFc領域に結合してFc/Fcリガンド複合体を形成する分子、好ましくはポリペプチドを意味する。FcリガンドにはFcγR、FcRn、C1q、C3、マンナン結合レクチン、マンノース受容体、ブドウ球菌タンパク質A、連鎖球菌タンパク質G、及びウイルスFcγRが含まれるが、それらに限定される訳ではない。FcリガンドはFc受容体のホモログ(FcRH)も含むが、それはFcγRと相同性を有するFc受容体のファミリーである(Davisら, Immunological Reviews 190 (2002) 123-136、全体として参照することにより組み込まれる)。FcリガンドはFcに結合する未発見の分子を含んでもよい。特定のIgG FcリガンドはFcRnとFcガンマ受容体である。本明細書中で使用される「Fcリガンド」は、任意の生物に由来し、抗体のFc領域に結合してFc/Fcリガンド複合体を形成する分子、好ましくはポリペプチドを意味する。
本明細書中で使用される「Fcガンマ受容体」、「FcγR」、又は「FcガンマR」とは、IgG抗体のFc領域に結合し、FcγR遺伝子によりコードされるタンパク質のファミリーの任意のメンバーを意味するものである。ヒトにおいてこのファミリーは、アイソフォームであるFcγRIA、FcγRIB、及びFcγRICを含むFcγRI(CD64);アイソフォームであるFcγRIIA(アロタイプH131とR131を含む)、FcγRIIB(FcγRIIB-1とFcγRIIB-2を含む)、及びFcγRIIcを含むFcγRII(CD32);並びにアイソフォームであるFcγRIIIA(アロタイプV158とF158を含む)、及びFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIB-NA1とFcγRIIB-NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(Jefferisら, Immunol Lett 82(2002))のみならず、任意の未発見のヒトFcγR若しくはFcγRアイソフォーム又はアロタイプを含むが、それらに限定されるものではない。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びサルを含むが、それらに限定されるものではなく、任意の生物に由来してよい。マウスFcγRは、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、及びFcγRIII-2(CD16-2)のみならず、任意の未発見のマウスFcγR若しくはFcγRアイソフォーム又はアロタイプを含むが、それらに限定されるものではない。
本明細書中で使用される「FcRn」又は「新生児のFc受容体」とは、IgG抗体Fc領域に結合し、少なくとも部分的にFcRn遺伝子によりコードされるタンパク質を意味するものである。FcRnは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びサルを含むが、それらに限定されるものではなく、任意の生物に由来してもよい。本技術分野で知られているように、機能を有するFcRnタンパク質は、しばしば重鎖と軽鎖と呼ばれる2つのポリペプチドを含む。軽鎖はベータ-2-ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によりコードされている。本明細書中で特に明記しない限り、FcRn又はFcRnタンパク質は、FcRn重鎖とベータ-2-ミクログロブリンの複合体をいう。
ペプチド又はポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列の同一性パーセント(%)」とは、配列のアラインメントとギャップの導入を行った後に、もし必要ならば、最大パーセントの配列同一性を達成するために、如何なる保存的置換も配列同一性の一部分として考慮することなく、候補配列の中のアミノ酸残基が、特定のペプチド又はポリペプチド配列の中のアミノ酸残基と同一であるパーセンテージであると規定される。アミノ酸配列の同一性のパーセントを決定する目的のアラインメントは、例えば、公表されているコンピューターソフトウェアであるBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等を使用して、本技術分野の技能の範囲内である種々な方法により達成することができる。
「抗体依存性細胞仲介性細胞傷害」と「ADCC」とは、細胞に仲介される反応をいい、その反応においてFcRを発現する非特異的な細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、引き続いてその標的細胞の溶解を引き起こす。ADCCを仲介するための主要な細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchとKinet, Annu. Rev. Immunol 9 (1991) 457-492の464ページの表3に要約されている。
用語「抗体依存性細胞貪食」と「ADCP」とは、抗体に被覆された細胞が、免疫グロブリンFc領域に結合する貪食性免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞)により、全体的又は部分的のいずれにせよ取り込まれる(internalized)プロセスをいう。
本明細書中で使用される用語「抗体エフェクター機能(複数可)」又は「エフェクター機能」とは、IgGのFcエフェクタードメイン(複数可)(例えば免疫グロブリンのFc領域)が寄与している機能をいう。そのような機能は、例えば、Fcエフェクタードメイン(複数可)の、貪食若しくは溶解活性を有する免疫細胞上のFc受容体への結合により、又はFcエフェクタードメインの補体系の成分のへの結合によりもたらされる。典型的なエフェクター機能は、ADCC、ADCP、及びCDCである。
「C1q」は、免疫グロブリンのFc領域のための結合部位を含むポリペプチドである。C1qは2つのセリンプロテアーゼであるC1rとC1sと共に、複合体C1を形成し、それは補体依存性細胞障害(CDC)経路の最初の成分である。
抗体の「クラス」とは、それの重鎖が持つ定常ドメイン又は定常領域の型をいう。抗体の主要なクラスは5つあり:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、これらの幾つかをさらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAに分けてもよい。免疫グロブリンの異なったクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
薬剤例えば医薬製剤の「有効量」とは、望まれる治療又は予防の結果を達成するために、投与量において必要な期間有効である量をいう。
本明細書中において使用される用語「がん」は、例えば、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞細胞(bronchioloalviolar cell)肺がん、骨がん、膵臓がん(pancreatic cancer)、進行膵臓がん腫皮膚がん、頭部又は頸部のがん、皮膚又は眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管のがん腫、子宮内膜のがん腫、子宮頸部のがん腫、膣のがん腫、外陰部のがん腫、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん、膀胱のがん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞がん腫、腎盂のがん腫、中皮腫、肝細胞がん、胆道がん、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、神経鞘腫(schwanomas)、上衣腫(ependymonas)、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮がん、下垂体線腫、リンパ腫、リンパ球性白血病(上記のがんの何れかの難治性のバージョンを含む)又は上記のがんの1つ以上の組み合わせであってもよい。
細胞結合 抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体の、HEK-Blue-CD40L(商標)細胞(インビボゲン)上に細胞発現したCD40抗原への結合について試験した。EC50値は試験された抗体の強力な結合を実証する。 8点解析でのHEK-BlueのEC50測定 ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体のアゴニスト活性を、細胞に基づくNF-κB遺伝子レポーターアッセイで試験した。HEK-Blue-CD40L(商標)細胞(インビボゲン)を、様々な濃度の抗体と24時間インキュベートした。EC50値は抗体のNF-κBシグナル伝達を誘導する効力を実証する。 CD40-リガンドエピト-プ競合 ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が、CD40L結合部位と重複するエピトープに結合するかどうかを試験するために、CD40L競合ELISAを行った。様々な濃度の抗CD40抗体を組み換えCD40タンパク質とプレインキュベートし、結合複合体を形成した。続いてその複合体を、組み換え40Lで被覆されたマイクロタイタープレートに添加した。洗浄の後に、結合したCD40-抗CD40複合体を、ペルオキシダーゼ結合抗ヒト-F(ab)2抗体を使用して検出した。参照CP-870,893抗体についてのELISAシグナルは、CD40Lと競合はなく、よってCD40L結合部位とは異なるエピトープへの結合を示唆する。そのデータは、試験されたヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体は、CD40L結合部位と重複するエピト-プへ結合することを実証する。 カニクイザルCD40結合活性 ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体のカニクイザル(Macaca fascicularis)への結合活性を、組み換えカニクイザルCD40(アクロ バイオシステムズ)を使用してELISAで試験した。EC50値は抗体の結合の効力を示す。n.d.=試験した範囲の濃度では検出できない 樹状細胞成熟の誘導 ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体の初代標的細胞上でのアゴニスト活性を試験するために、単球由来の、未熟な樹状細胞の成熟を解析した。インビトロで単球から分化した未熟な樹状細胞を、アゴニスト性抗CD40抗体と5μg/mlの濃度で48時間インキュベートした。引き続いて、樹状細胞由来の、分泌されたIL12p40を、培地上清において、生化学的ELISAにより定量化した。 樹状細胞成熟の誘導 ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体の初代標的細胞上でのアゴニスト活性を試験するために、単球由来の、未熟な樹状細胞の成熟を解析した。インビトロで単球から分化した未熟な樹状細胞を、アゴニスト性抗CD40抗体と5μg/mlの濃度で48時間インキュベートした。引き続いて、樹状細胞由来の、分泌されたIL12p40を、培地上清において、生化学的ELISAにより定量化した。 樹状細胞の成熟 ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が、樹状細胞によるIL12p40分泌を刺激する活性を様々な抗体濃度において測定し、その活性を様々なFc部分(IgG1、IgG1-LALA、IgG2及びIgG1-V11)を有するCP-870,903抗体と比較した。抗体をインビトロで分化させた未熟な樹状細胞と48時間インキュベートした。IL12p40放出をELISAにより測定した。 樹状細胞成熟における抗CD40抗体のEC50の測定 樹状細胞に仲介されるIL12p40分泌における、ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体のEC50値を、10~0.005μg/mlの範囲の抗体濃度で試験することにより測定した。抗体を、インビトロで分化させた未熟な樹状細胞と48時間インキュベートした。IL12p40放出をELISAにより測定した。 サイトカイン放出アッセイ ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体を、10μg/mlで、高密度PBMCサイトカイン放出アッセイで試験して、TNF-アルファ等の炎症性サイトカインの全般的な誘導を測定した。そのデータは、抗CD3(OKT3)抗体とは対照的に、その抗CD40抗体は顕著なTNF-アルファ分泌を誘導しないことを示唆する。 細胞の抗体パルスチェイスアッセイ 細胞のパルスチェイスアッセイで、抗体結合の動力学とインターナリゼーションを試験した。抗体を0.8μg/mlの濃度で、HEK-Blue-CD40L(商標)細胞培養液と15分間インキュベートした。洗浄の後、細胞を再び洗浄して残っている細胞表面に局在化した抗CD抗体をアレクサ-488標識した二次抗体で検出する前に、抗体を60分間取り込ませた(allowed to internalize)。インターナリゼーションを許容しない条件下において細胞を同様に処理したが、抗体を15分間のみインキュベートし、続いて洗浄して二次抗体とインキュベーションした。そのデータは、インターナリゼーションを許容する条件下では、試験されたヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体について、表面に局在化した抗体からのシグナルは様々な程度に低下することを示す。全てのCP-870,893抗体アイソフォームについて強いシグナルの低下が観察される。 ヒト化抗CD40抗体の遺伝子レポーター誘導と樹状細胞成熟活性の相関関係 88のヒト化抗CD40IgG1-LALA抗体を、それらのHEK-Blue遺伝子レポーターにおける活性と、樹状細胞成熟アッセイについて試験した。HEK-Blue遺伝子レポーター活性を、誘導されたSEAP分泌に相当する655におけるODにより定量化し、樹状細胞成熟はIL12p40放出(ELISA)により定量化した。 アゴニスト性抗CD40抗体による樹状細胞上の共刺激性受容体の刺激 インビトロで分化させた未熟なiDCを、アゴニスト性CD40抗体、アイソタイプコントロ-ル抗体、又はCD40Lで48時間刺激した。共刺激性受容体分子の発現をフローサイトメトリ-により測定した。平均蛍光強度を、アイソタイプコントロール抗体処理に対して、又はCD40Lの場合には未処理試料に対して標準化した。発現の誘導をコントロール処理に対する誘導の倍数(FOI)として表す。 抗CD40処理された樹状細胞によるサイトカイン放出 インビトロで分化させた未熟なiDCを、アゴニスト性CD40抗体、アイソタイプコントロール抗体、又はCD40Lにより48時間刺激した。ELISA(IL-12p40)又はBDサイトメトリックビーズアレイを使用したフローサイトメトリ-により、サイトカイン放出を測定した。 アゴニスト性抗CD40抗体による樹状細胞上の共刺激性受容体の用量依存性刺激 インビトロで分化させた未熟なiDCを、アゴニスト性CD40抗体、又はアイソタイプコントロール抗体により、10000~5ng/mlの範囲の濃度で48時間刺激した。共刺激性受容体分子の発現をフローサイトメトリーにより測定した。平均蛍光強度を、アイソタイプコントロール処理に対して標準化した。発現の誘導を、コントロール処理に対する誘導の倍数(FOI)として表す。計算されたEC50値を表中に示す。 抗CD40処理された樹状細胞による用量依存的なサイトカイン放出 インビトロで分化させた未熟なiDCを、アゴニスト性CD40抗体とアイソタイプコントロールにより48時間刺激した。BDサイトメトリックビーズアレイを使用したフローサイトメトリ-により、サイトカイン放出を測定した。 アゴニスト性抗CD40抗体によるB細胞上の共刺激性受容体の用量依存的な刺激 B細胞を、アゴニスト性CD40抗体又はアイソタイプコントロ-ル抗体により、500~0.2ng/mlの範囲の濃度で48時間刺激した。共刺激性受容体分子の発現をフローサイトメトリーにより測定した。平均蛍光強度を、アイソタイプコントロール処理に対して標準化した。発現の誘導を、コントロ-ル処理に対する誘導の倍数(FOI)として表す。計算されたEC50値を表中に示す。 細胞に発現したCD40とCD40Lの結合の、抗CD抗体との競合 10000~9.8ng/mlの範囲の濃度でCD40Lを添加する前に、HEK-Blue-CD40L(商標)細胞を、抗CD40IgG1-LALA抗体とEC90の濃度でプレインキュベートした。細胞表面上に発現したCD40と、抗CD40抗体及びCD40Lの結合を、フルオロフォアが結合した様々な二次抗体を使用して検出した。 CD40Lと組み合わせたアゴニスト性CD40抗体によるFasR(CD95)細胞死受容体の発現誘導 ラモスBリンパ腫細胞を、CD40L単独、若しくはアゴニスト性抗CD40抗体又はアイソタイプコントロ-ル抗体と組み合わせて、一晩刺激した。フロ-サイトメトリーによりCD95発現を定量化した。発現の上方調節(upregulation)を、コントロ-ル処理に対する誘導の倍数(FOI)として表す。 ヒト化した、アゴニスト性の抗CD40IgG1-LALA抗体の親和性 生化学的な親和性を、BiocoreT200SPR装置で、表面プラズモン共鳴により測定した。動力学的データを、ラングミュアの1:1結合モデルを使用して測定した。 CD40結合に関する抗体の競合 HISタグを付したCD40タンパク質と様々な抗CD40抗体をプレインキュベーションした混合液の、様々な抗CD40抗体で被覆されたプレートへの結合。両方の抗CD抗体の連続的な結合を、抗HIS POD標識された抗体により検出する。 IgG1-LALA抗CD40抗体の抗体に仲介されるエフェクター機能 抗CD40抗体に仲介されるエフェクター機能を、ジャーカットエフェクタールシフェラーゼ遺伝子レポーター細胞株及び標的細胞としてのHEK-Blue-CD40L(商標)を使用して解析した。IgG1-LALA又はIgG1抗CD40抗体を10000~0.002ng/mlの範囲の用量で、標的及びエフェクター細胞と6時間インキュベートした。測定されたルシフェラーゼ活性の誘導の倍数は、抗CD40抗体に仲介されるエフェクター細胞の活性化を示す。 ヒト化マウスモデルにおけるアゴニスト性抗CD40抗体療法の安全性 3μg/gのMAB-16-0451又はCP-870,893抗CD40抗体を、Nod/Scid/gamma(c)(null)FcRg-/-マウスに0日目に注射した。注射前と注射後の様々な時点で体温を測定した。CP-870,893で処理され、著しい体温低下を示した3匹のマウスは、3日後に屠殺せざるを得なかった。 ヒト化マウスモデルにおけるアゴニスト性抗CD40抗体療法の安全性 3μg/gのMAB-16-0451又はCP-870,893抗CD40抗体を、Nod/Scid/gamma(c)(null)FcRg-/-マウスに0日目に注射した。注射前と注射後の様々な時点で体温を測定した。CP-870,893で処理され、著しい体温低下を示した3匹のマウスは、3日後に屠殺せざるを得なかった。 配列(一文字表記でのアミノ酸)可変領域(VR)の完全な配列:重鎖:完全なVH:配列番号1~14軽鎖:完全なVL:配列番号15~28相補性決定領域(CDR):重鎖:CDR-H1:配列番号29~42 CDR-H2:配列番号43~56 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発明の詳細な説明
本発明は、低下した細胞毒性を示し、臨床上の副作用をより少なくする一方で、先行技術のアゴニスト性CD40抗体と比較して、それらのシグナル伝達効力と臨床上の有効性が、増加しないまでも、少なくとも維持されている、アゴニスト性のCD40mAbを提供する需要に応じる。
本発明の抗体又は抗体結合断片は、それらはヒトCD40受容体に特異的に結合し、Fcγに仲介されるCD40受容体架橋に依存しないCD40シグナル伝達を誘導することができるので、それらの有益な性質を提供する。
好適な態様において本発明の抗体は、ヒトFc1領域の234位及び235位において少なくとも2つのアラニンアミノ酸を有する、ヒト化IgG1LALA抗体、ヒト化IgG1型抗体である。よって好適な態様によれば、IgG1LALAはヒトFc領域のL234A及びL235A変異を含む。
本発明の抗体が組み換え分子であることは更に好適である。
本発明により、ヒトCD40受容体に結合し、Fcγに仲介されるCD40受容体架橋に依存しないCD40シグナル伝達を誘導することができる、アゴニスト性モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片が提供される(実施例5、図6、及び下記のテキストも見よ)。更に本発明の抗体は、野生型のIgG Fcγ受容体シグナル伝達又は先行技術の抗体のFcγシグナル伝達と比較したときに、ヒトFcγ受容体を介したシグナル伝達能力の低下又は枯渇を示すかもしれない。
特定の態様では、本発明のアゴニスト性のモノクローナルCD抗体、又はその抗原結合断片は、野生型のIgG Fcγと比較して、ヒトFcγ受容体に対する親和性の低下又は枯渇を示すかもしれない。好適な態様によれば、本発明の抗体はFcγ受容体に結合せず、それによって本発明の抗体はFcγに仲介されるCD40受容体架橋を引き起こさない。
好適な態様において、本発明の抗体は少なくとも、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235Aにおいて、又はヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235Eにおいてアミノ酸置換を含む。
本発明において、抗体が、CD40L結合部位と重複するCD40エピトープに結合することは更に好適である。図3と16は、試験されたヒト化抗CD40IgG1-LALA抗体について、このエプトープ重複を実証する。そのCD40抗体がCD40受容体との結合について、CD40Lと競合することも好適である。従ってエピト-プ競合アッセイにおいて、本発明の抗体はCD40Lと競合する。そのようなアッセイは実施例3と11に述べられており、本発明の抗体による実験結果は図3と16に描かれている。よって更なる好適な態様によれば、本発明の抗体は、CD40LとCD40受容体の結合を阻害する。図19は、CD40との結合において、本発明の抗体はCP-870,893と競合しないことを実証する。
本発明による抗体は、CD40受容体に対する非常に高い結合活性を有する。よって実施例1に述べられた細胞結合アッセイにおいて、本発明による抗体は最大でも49.5ng/mlのEC50を伴う結合活性を示す。好ましくは、EC50は25ng/ml未満、より好ましくは15ng/ml未満、9ng/ml、7ng/ml、6ng/ml、5ng/ml、4ng/ml未満である。最も好ましくは、実施例1の中で述べられ、図1に描かれたような細胞結合アッセイにおいて、EC50は3ng/mlである。
本発明によるヒト化アゴニスト性抗CD40抗体は、可溶性のヒト又はカニクイザルのCD40三量体タンパク質についての生化学的親和性により特徴付けられてもよい(実施例13、図18を参照せよ)。本発明の抗体はヒトCD40について15.7nM以下のKD値を示してもよい。本発明の抗体は、10.3nM以下のKD値を有し、カニクイザルCD40タンパク質と交差反応性であってもよい。
更に本発明の抗体は、高い効力で細胞のNF-κBシグナル伝達を誘導することができる。実験の概要(実施例2を参照せよ)は図2に描かれており、1127~6243ng/mlの範囲のEC50結合値を示している。そのEC50値は、その抗体がNF-κBシグナル伝達を誘導する効力が大きいことを実証する。
本発明の抗体はカニクイザルのCD40に結合できることもまた、理解されるであろう。ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が、カニクイザル(Macaca fascicularis)に結合する活性は、組み換えカニクイザルCD40組み換えタンパク質を使用したELISA実験に示されている(実施例4を参照せよ)。図4に示されたEC50値は、その抗体の強い結合を示唆するものである。
本発明の抗体の他の特徴は、それらはヒトAPCを活性化できるというものである。例えばその抗体は、樹状細胞(DC)、B細胞、単球及び骨髄細胞を含む群から選択される細胞を活性化することができる。好ましくは、抗体はDCを活性化する。
APC活性化におけるこの強力なCD40アゴニスト活性は、CD40タンパク質のFcγ受容体に仲介される架橋によるものではない(図5、6、7に示され、実施例5に述べられている実験結果を参照せよ)。
従って、1態様において本発明の抗体は、実施例5に述べられる樹状細胞成熟アッセイにおいて、IL-12p40の放出を誘導する。そのようなアッセイにおいて本発明の抗体を用いて行われた実験の結果を図5~7に示す。
更に好適な態様において本発明の抗体は、IL12p70放出により測定される抗原提示細胞の成熟を誘導し、その放出はCP-870,893-IgG2抗体による刺激により誘導される放出と少なくとも同等であり、208ng/ml以下のEC50値を伴う(図12と14)。更に本発明の抗体は、CD86の誘導により測定される抗原提示細胞の成熟を少なくとも7.5倍に誘導し、148ng/ml以下のEC50を伴う(図11と13)。
好ましくは、本抗体は単球由来のDCからIL12p40の放出を誘導し、それはCP-870,893-IgG2抗体による刺激によって誘導される放出と少なくとも同等である(図6を参照せよ)。先に述べたように、DCの成熟を誘導するこの潜在力は、Fc受容体を介したシグナル伝達によるものではない。本発明のヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクロ-ナル抗体は、Fcγ受容体に依存しない様式で、単球由来の樹状細胞の活性化を強力に誘導する(実施例5と図6を見よ)。図6は、CP-870,893変異体により誘導されるIL12p40放出レベルは、その変異体がFc受容体へ結合する能力と相関している(IgG1-LALA<IgG2<IgG1<IgG1-V11)ことを実証する。際立ったことに、本発明のヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体による刺激は、CP-870,893変異体により得られる範囲をカバーし、それを上回りさえする、Fcに依存しないIL12p40分泌レベルをもたらす。よって本発明の抗CD40抗体は、CD40タンパク質のFcγ受容体に仲介される架橋無しに、初代の単球由来の樹状細胞に強力なアゴニスト活性を提供する。
更に本発明の抗体は、その活性化が非常に特異的である。それらは、TNF-アルファ等の炎症性サイトカインの全般的な放出を誘導することは無い(実施例6と図8を参照せよ)
本発明の抗体の他の特徴は、細胞表面からの抗体のクリアランスが低下していることである。CP-870,893は、細胞上のCD40受容体に結合した後に取り込まれる(internalize)と知られている。細胞のインターナリゼーションにより引き起こされるかもしれない、患者における大きなCD40受容体の埋没(sink)を反映して、CP-870,893は推定で6時間未満定の半減期で患者の循環から迅速に除去されることが臨床試験で示された(Ruter ら 2010)。
本発明の抗体は、エンドサイトーシスとインターナリゼーションを許容する条件下で、細胞表面に保持される(実施例7と図9を参照せよ)。それに対してCP-870,893変異体は、エンドサイトーシスとインターナリゼーションを許容する条件下で、細胞表面に保持されない(図9を参照せよ)。
本発明の抗体が、腫瘍細胞死に間接的な(免疫に仲介される)効果を有することは、理解されるであろう。よって本抗体は腫瘍細胞に、免疫細胞に仲介される間接的な細胞傷害性効果を示す。
一つの特定の態様において本発明の抗体は、ADCC、ADCP、又はCDCの機構によりCD40を発現する免疫細胞の枯渇をもたらすことはない。
従って要するに、本発明の抗体は更に、
(a)Fcγ受容体に結合しない;
(b)約49.5ng/ml以下のEC50値を伴うCD40細胞結合親和性を有する、
(c)約15.7nM以下のKD値を有する;
(d)約10.3nM以下のKD値を伴いカニクイザルCD40と交差反応性である;
(e)CD40へ結合することによりCD40Lを阻害する;
(f)CD40Lに仲介される機能の相乗的及び相加的効果を防ぐ;
(g)CP-870,893-IgG2抗体による刺激により誘導される放出と少なくとも同等であり、約208ng/ml以下のEC50値を伴う、IL12p70放出により測定される、
及び/又は、約148ng/ml以下のEC50値を伴う、樹状細胞における少なくとも7.5倍のCD86の誘導により測定される、
抗原提示細胞の成熟を誘導する;
(h)細胞表面上のCD40のレベルをCP-870,893より低い程度に減少させる、
ことにより特徴付けされてもよい。
好適な態様によれば本発明の抗体は、上記の性質(aからh)の、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、若しくは8つ、又は全てを有することにより特徴付けられる。
本発明の抗体は好ましい性質を有し、そのためにヒトの腫瘍の成長を阻害することが可能である。
特定の態様において、本発明の抗体は、配列番号29+nのCDR1H領域、配列番号43+nのCDR2H領域、及び配列番号57+nのCDR3H領域からなる群から選択されるCDR領域を含むVH領域の群から選択されるVH領域(ここでnは0~13からなる群から選択される数である)、及び、配列番号71+mのCDR1L領域、配列番号85+mのCDR2L領域、及び配列番号99+mのCDR3L領域からなる群から選択されるCDR領域を含むVL領域の群から選択されるVL領域(ここでmは0~13からなる群から選択される数である)を含んでもよく、ここでCDRは本発明によるそれらの活性を減少させない任意の1つ以上のアミノ酸変異を含んでもよい。
好ましくは、本抗体は、配列番号29+nのCDR1H領域、配列番号43+nのCDR2H領域、及び配列番号57+nのCDR3H領域からなる群から選択されるCDR領域を含むVH領域の群から選択されるVH領域(ここでnは0~13からなる群から選択される数である)、及び、配列番号71+mのCDR1L領域、配列番号85+mのCDR2L領域、及び配列番号99+mのCDR3L領域からなる群から選択されるCDR領域を含むVL領域の群から選択されるVL領域(ここでmは0~13からなる群から選択される数である)を含む。
特定の態様において、本発明の抗体は、配列番号29+nのCDR1H領域、配列番号43+nのCDR2H領域、及び配列番号57+nのCDR3H領域からなる群から選択されるCDR領域を含むVH領域の群から選択されるVH領域、及び、配列番号71+nのCDR1L領域、配列番号85+nのCDR2L領域、及び配列番号99+nのCDR3L領域からなる群から選択されるCDR領域を含むVL領域の群から選択されるVL領域を含んでもよく、ここでnは0~13からなる群から選択される数であり、ここでCDRは本発明によるそれらの活性を減少させない任意の1つ以上のアミノ酸変異を含んでもよい。
好ましくは、CDRは、それらの各々の配列番号と、少なくとも91%、好ましくは92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する。
他の態様において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、配列番号1~14の重鎖可変(VH)領域からなる群から選択されるVH領域と、少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%同一である、VH領域を含む。
好ましくは、前記抗体は、配列番号1~14の重鎖可変(VH)配列の群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVH配列を含む。
特定の態様では、少なくとも60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含み、それによって本抗体は各々の抗原と特異的に結合する本発明の能力を保持する。
本発明は、配列番号1~14の群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体も包含する。
好ましくは、重鎖可変領域(VH)配列は、配列番号1、あるいは配列番号2、又は配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14である。
本発明は、配列番号15~28の軽鎖可変(VL)領域からなる群から選択されるVL領域と、少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%同一であるVL領域を含む抗体にも関連する。
好ましくは、前記抗体は、配列番号15~28のVL配列の群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVL配列を含む。
特定の態様では、少なくとも60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含み、それによって本抗体は各々の抗原と特異的に結合する本発明の能力を保持する。
本発明は、配列番号15~28の群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む抗体も包含する。
好ましくは、軽鎖可変領域(VL)配列は、配列番号15、あるいは配列番号16、又は配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、又は配列番号28である。
特定の態様では、前記VL配列において、合計で1~10個のアミノ酸が置換され、挿入され、及び/又は欠失している。他の態様では、前記VH配列において、合計で1~10個のアミノ酸が置換され、挿入され、及び/又は欠失している。特定の態様では、前記VH又はVL配列のそれぞれにおいて、合計で1~10個のアミノ酸が置換され、挿入され、及び/又は欠失している。前記置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域(すなわちFRにおいて)生じてもよい。
本発明は、本技術分野で知られた方法により作製することができる、親和性成熟抗体も含む。Marksら, Bio/Technology 10:779-783 (1992)は、VHとVLドメインのシャッフリングによる親和性成熟を述べている。CDR及び/又はフレームワーク残基の無作為な突然変異生成は: Barbasら, Proc Nat. Acad. Sci, USA 91: 3809-3813 (1994); Schierら, Gene 169: 147-155 (1995); Yeltonら, J. Immunol. 1 55:1994-2004 (1995); Jacksonら, J. Immunol. 1 54(7):3310-9 (1995); 及び Hawkinsら, J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992) 及び国際公開2010/108127により述べられている。
本発明は、図10に列挙された抗体(すなわち、MAB-16-0283、MAB-16-0377、MAB-16-0267、MAB-16-0386、MAB-16-0451、MAB-16-0346、MAB-16-0325、MAB-16-0388、MAB-16-0464、MAB-16-0262、MAB-16-0406、MAB-16-0484、MAB-16-0400、MAB-16-0489抗体を含む)を含む群から選択される抗体の、各々のCDR1、CDR2及びCDR3領域を含むVH領域及びVL領域を含む抗体も包含する。
本発明は配列番号1と15、又は配列番号2と16を含む抗体も包含する。本発明による抗体は配列番号3と17、又は配列番号4と18、又は配列番号5と19、又は配列番号6と20、又は配列番号7と21、又は配列番号8と22、又は配列番号9と23、又は配列番号10と24、又は配列番号11と25、又は配列番号12と26も含んでよい。あるいは、本発明の抗体は、配列番号13と27、又は配列番号14と28を含む。
他の観点では、本発明の抗体は、がんを患っている患者の治療に使用するためのものである。
前記がんは、膵臓がん(pancreas cancer)、進行膵臓がん腫肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞細胞(bronchioloalviolar cell)肺がん、骨がん、膵臓がん(pancreatic cancer)、皮膚がん、頭部又は頸部のがん、皮膚又は眼内黒色腫、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、腎臓がん、ホジキンリンパ腫、肝臓がん、胆嚢がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がん、唾液腺がん、又は子宮がんを含む群から選択される1つ以上の型のがんであり得る。
特定の態様では、がんは固形腫瘍である。
態様によっては、がんはCD40発現がんであることも可能である。しかしながら、これは本発明の抗体の効果的な機能のためには必要ではない。
本発明の抗体を患者において、がんの単独治療として、又は、組み合わせ治療(その更なる治療は、医薬細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、放射療法、標的療法、及び/又は手術であってもよい)の一部として使用してもよい。
よって、患者はがんの1つ以上の更なる治療、例えば、医薬(細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、標的療法等)、放射療法、及び/又は手術も受けてよい。
よって、態様によっては、本発明の抗体は、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、放射療法、標的療法、及び/又は免疫療法と組み合わせて、がんの治療において使用される。
本発明の抗体は、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、放射療法、標的療法、及び/又は免疫療法に対して応答が不十分である及び/又は耐性である患者の治療において使用することもできる。
前記放射療法は、外部照射療法、接触x線近接照射療法、近接照射療法、全身放射線療法、又は術中放射線療法を含む群から選択されてもよい。
本発明の細胞毒性又は細胞増殖抑制抗がん剤は、タキサン、アントラサイクリン、アルキル化剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログ、ペプチド抗生物質、及び白金に基づく薬剤を含む群に由来してもよい。
好ましくは標的とされる抗がん剤が標的療法の中で使用され、下記:セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、パニツムマブ等の抗EGFR化合物、トラスツズマブ、アド-ラスツズマブ、エムタンシン、ペルツズマブ等の抗HER2化合物、ベバシズマブ、アフリベルセプト、及びペガプタニブ等のVEGF標的化化合物、並びにスニチニブ、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、及びレゴラフェニブ(Regorafinib)等のチロシンキナーゼ阻害剤、の1つ又はその組み合わせから選択される。
患者が免疫療法を受けている場合には、これは免疫チェックポイント阻害剤であり得、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤を使用してもよい。1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1、抗PD-1、抗CTLA-4、抗CD137、抗LAG-3、抗TIM-3、抗OX40、及び/又は抗GITRを含む群から選択されてもよい。
本発明の抗体を、ヒトPD-L1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CD137、OX40、GITRと特異的に結合する抗体と組み合わせて、及び/又は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ウレルマブ、ウトミルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、トレメリムマブ、イピリムマブの薬剤と組み合わせて使用することもできる。
本発明により幾つかの態様では、毎週から毎月の投与計画(weekly to monthly dosing regimen)において、その抗体はがんの治療において使用される。
この発明の特別の利点の1つは、それらのFc領域における変異のために、先行技術の抗体と比較して、本抗体は用量又は治療を制限する毒性を示すことが少ないということである。本抗体がCD40抗体の典型的な副作用を引き起こすことは、仮にあったとしても、非常に限られた程度にすぎない。そのような副作用は、サイトカイン放出症候群、血栓症、脳塞栓症、トランスアミナーゼ上昇、リンパ球減少症、倦怠感、末梢神経障害、脱毛症、便秘、吐き気、及び好中球減少症を含む群から選択される障害(condition)である。
他の観点において本発明は、医薬的に許容可能な担体、及び本発明の抗体の治療有効量を含む医薬組成物に関連する。
本発明の医薬組成物を、がんを患っている患者の治療において使用できる。そのようながんは固形腫瘍であり得る。そのがんを、膵臓がん(pancreas cancer)、進行膵臓がん腫肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞細胞(bronchioloalviolar cell)肺がん、骨がん、膵臓がん(pancreatic cancer)、皮膚がん、頭部又は頸部のがん、皮膚又は眼内黒色腫、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、腎臓がん、ホジキンリンパ腫、肝臓がん、胆嚢がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がん、唾液腺がん、又は子宮がんを含む群から選択することもできる。
本組成物を、化学療法、放射療法、標的療法、及び/又は免疫療法と組み合わせて、がんの治療において使用することもできる。前記免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤であり得る。
前記組成物により治療される患者は、化学療法、放射療法、標的療法、及び/又は免疫療法に対して応答が不十分である及び/又は耐性であってもよい。
本発明の医薬組成物を、1つ以上の細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤、又は標的化された抗がん化合物と組み合わせて、がんの治療において使用してもよい。
がんの治療において、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤とそれを組み合わせて使用することも可能であり、ここで前記免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1、抗PD-1、抗CTLA-4、抗CD137、抗LAG-3、抗TIM-3、抗OX40、及び/又は抗GITRを含む群から選択されてもよい。
本組成物をヒトPD-L1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CD137、OX40、GITRと特異的に結合する抗体と組み合わせて、及び/又は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ウレルマブ、ウトミルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、トレメリムマブ、イピリムマブの薬剤と組み合わせて使用することもできる。
毎週から毎月の投与計画(weekly to monthly dosing regimen)において、それをがんの治療において使用することもできる。
本発明の抗体及び組成物は、何らかの用量又は治療を制限する毒性を示すことは、仮にあったとしても、非常に限られた程度でしかなく、且つ重要なことに、先行技術の抗体及び組成物よりも低い程度であることは、特に患者に理解されるであろう。他の観点において本発明は、必要性がある個体に本発明の抗体の有効量を投与することを含む、治療方法にも関連する。そのような個体は、がんを患っている患者でもよい。よって本発明はがんの治療方法にも関連し、ここでがんは固形腫瘍でもよい。
その必要性がある個体に投与する工程は、患者の腫瘍への局所投与(例えば、腫瘍内又は腫瘍周辺投与)等の局所投与を含んでもよい。
抗体に基づく本発明の薬剤は、CD40の活性化が治療利益を提供し得る任意の型のがんの治療において使用するのに適しており、前記抗体の投与を含む方法は、CD40の活性化が治療利益を提供し得る任意の型のがんの治療にも適している。
例えばがんは、前立腺がん;乳がん;結腸直腸がん;膵臓がん(pancreatic cancer);卵巣がん;肺がん;子宮頚がん;横紋筋肉腫;神経芽細胞腫;多発性骨髄腫;白血病;急性リンパ芽球性白血病、黒色腫、膀胱がん及び膠芽腫:からなる群から選択されてもよい。
本発明の治療方法は、本発明の抗体に基づいた薬剤の患者への単独投与、又は、組み合わせ治療(その更なる治療は、医薬細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、放射療法、標的療法、及び/又は手術であってもよい)の一部としての投与を含んでもよいことは、更に理解されるであろう。
実際に、上述した本発明の抗体の全ての特徴と好ましい性質は、治療方法及び本発明による抗体の使用にも反映され且つ含まれる。
下記の実施例は図と表と共に本発明を説明するために使用される。
実施例1:抗CD40抗体の細胞結合
ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が、細胞に発現したCD40に結合する効力を測定するために、HEK-Blue-CD40L(商標)(インビボゲン)細胞を、細胞培地で処理された透明な底の384ウェルのプレートの中の、10%のFBSを含んでいる25μlのDMEMの中に、1000細胞/ウェルの細胞密度で播種した。培地5μlの中に抗体を添加して、最終濃度を1.25μg/ml~0.01ng/mlの範囲とした。アレクサ-フルオロ-488が結合したヤギ抗ヒトIgG(ジャクソンラボラトリーズ)を20μlの培地中に0.8μg/mlの濃度で添加する前に、24時間後に25μlの洗浄緩衝液(PBS、0.05%ツイーン)により細胞を3回洗浄した。4時間後に、培地中の5μlのヘキスト色素を添加して、最終濃度を5μg/mlにした。蛍光細胞の結合シグナルをCellinsight自動化高含有量イメージャー(サーモフィシャーサイエンティフィック)を使用して測定した。エクセル(マイクロソフト)とXfit(IDBS)を使用して、適合曲線とEC50の計算を得た。図1は、3~49.5ng/mlの範囲のEC50結合値の概要を示す。
実施例2:抗CD40アゴニスト性抗体による細胞内NF-κBシグナル伝達の誘導
ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体のアゴニスト活性を、NF-κB誘導性の分泌型胎児アルカリホスファターゼ(SEAP)遺伝子コンストラクトを有する、HEK-Blue-CD40L(商標)(インビボゲン)細胞を刺激することにより試験した。細胞培地で処理された透明な底の384ウェルのプレートの中の、10%のFBSを含んでいる20μlのDMEMの中に、25000細胞/ウェルを播種し、一晩培養した。その後培地5μlの容量で抗体を添加し、最終濃度を20~0.013μg/mlの範囲とした。37℃と5%COで6時間インキュベートした後に、各ウェルの5μlの培地上清を、20μlの2xQUANT-Blue(商標)試薬(インビボゲン)を含んでいる、白く透明な底の384ウェルのプレートに移した。37℃と5%COで1時間インキュベートした後に、NF-κBに依存しているホスファターゼ分泌の活性化を反映している、620nmの波長における光学密度を測定した。エクセル(マイクロソフト)とXLfit(IDBS)を使用して、適合曲線とEC50の計算を得た。図2のEC50値は、抗CD40抗体が、HEK-BlueCD40(商標)細胞株の中でNF-κBシグナル伝達を誘導する効力を示す。
実施例3:CD40L結合との競合
ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体のCD40への結合の、CD40Lとの競合を、ELISAアッセイを使用して試験した。384ウェルのNunc(商標)MaxiSorp(商標)プレートの表面を、25μlの用量のPBS中の1μg/mlの濃度のCD40Lで、室温で1時間被覆した。5μg/mlの濃度の抗体を、1.7μg/mlの濃度の組み換えCD40タンパク質と共に、合計用量40μlで、室温で1.5時間、ELISA緩衝液(PBS、0.5%BSA、0.05%ツイーン)中でプレインキュベートした。Nunc(商標)MaxiSorp(商標)プレートを洗浄緩衝液(PBS、0.1%ツイーン)で3回洗浄し、PBS、2%BSA、0.05%ツイーンにより室温で1時間ブロッキングした。洗浄緩衝液で3回洗浄した後に、25μlの抗体-CD40複合体をNunc(商標)MaxiSorp(商標)プレートのウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄緩衝液で3回洗浄した後にウェルを、ELISA緩衝液中の抗ヒトペルオキシダーゼが結合した、ヤギ由来の種特異的なF(ab)断片(AbDセロテック)の1:2000の希釈液の25μlと共に、室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄緩衝液で6回洗浄し、30μl/ウェルのTMB基質溶液(インビトロゲン)を添加した。室温で10分後に、停止溶液(1M HCl)をウェル当たり30μl添加し、テカンM1000マイクロタイタープレートリーダーを使用して450nmと620nmの波長における吸光度を測定した。CP-870,893とインキュベートした試料のELISAシグナルは、CD40Lとの競合を欠くことを示唆し、一方、本発明のヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体のCD40への結合は、CD40Lと競合した(図3を見よ)。
実施例4:カニクイザルCD40結合活性
ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体の、カニクイザルCD40タンパク質への結合を、生化学的ELISAで試験した。組み換えカニクイザルCD40タンパク質(アクロバイオシステムズ)を、PBS中の0.5μg/mlの濃度で、384ウェルのNunc(商標)MaxiSorp(商標)プレートの中で、室温で1時間インキュベートした。洗浄緩衝液(PBS、0.1%ツイーン)で3回洗浄した後に、プレートをPBS、2%BSA、0.05%ツイーンにより室温で1時間ブロッキングした。プレートを洗浄緩衝液により再び3回洗浄し、PBS中の500~0.03ng/mlの範囲の濃度の抗体、0.5%BSA、0.05%ツイーンを、室温で1時間インキュベートした。洗浄緩衝液中で3回洗浄した後にウェルを、ELISA緩衝液中の抗ヒトペルオキシダーゼが結合した、ヤギ由来の種特異的なF(ab)断片(AbDセロテック)の1:3000の希釈液の12.5μlと共に、室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄緩衝液で6回洗浄し、15μl/ウェルのTMB基質溶液(インビトロゲン)を添加した。室温で10分後に、停止溶液(1M HCl)をウェル当たり15μl添加し、テカンM1000マイクロタイタープレートリーダーを使用して450nmと620nmの波長における吸光度を測定した。エクセル(マイクロソフト)とXLfit(IDBS)を使用して、適合曲線とEC50の計算を得た。図4に見られるように、多くの抗体は8と31.8ng/mlの間のEC50値で、カニクイザルCD40へ結合した。
実施例5:樹状細胞成熟の誘導
a.単球由来の樹状細胞を作製し、IL12p40サイトカインの分泌により測定される、ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が樹状細胞の成熟を刺激する能力を試験した。インビトロで単球から樹状細胞を分化させるために、様々なドナーに由来するヒトバフィーコート調製物を使用した。バイエルンの赤十字から受け取ったバフィーコートをDPBSで1:4に希釈し、Ficoll-Paque(GEヘルスケア)密度グラジエントで積層した。遠心分離の後に、相の間にある末梢血単核細胞(PBMC)をDPBSで3回洗浄し、磁気CD14マイクロビーズ(ミルテニー・バイオテック)を使用して製造者の指示書に従い、単球を単離した。T-175細胞培養フラスコ中で、1.2×10細胞/mlの細胞密度で、10%FCS、1xPen/Strep(ペニシリン/ストレプトマイシン)、1xL-グルタミン、50ng/mlの組み換えヒトGM-CSF(R&Dシステムズ)、及び10ng/mlの組み換えヒトIL-4(R&Dシステムズ)を含んでいるRPMI-1640の中で単球を培養した。48時間毎に培地の90%を、新鮮でサイトカインを含んでいる培地と交換した。インビトロで分化させた未熟な樹状細胞(iDC)を5日目に採取し、100μlの同じ培地の中に10細胞/mlの細胞密度で、細胞培養96ウェルプレートに播いた。
b.1つの実験では、抗CD40抗体を5μg/mlの濃度で添加することにより、iDCを刺激した。刺激して48時間後、製造業者の指示書に従って市販されているELISAキット(R&Dシステムズ)を使用し、分泌されたIL12p40サイトカインを培地上清中で定量化した。図5は、ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体は、単球由来の樹状細胞によるIL12p40放出を、1ng/ml未満~24ng/ml超の範囲の様々な程度で刺激する一方で、CD40に結合しないコントロールのIgG1-LALA抗体は検出可能なレベルのIL12p40の刺激をもたらさなかったことを示す。
c.本発明のヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体は、単球由来の樹状細胞上に発現したFcγ受容体へ結合することができなかった。これらの抗体を様々なFcγ受容体結合活性を持つ抗体と比較するために、我々は、ヒトIgG1、IgG1-LALA、IgG2、及びIgG-V11Fc部分を含む参照CP-870,893抗CD40抗体を構築し、単球由来の樹状細胞をこれらの抗体の様々な濃度で刺激した。IgG1-V11形は、重鎖Fc部分に4つの変異(G237D、H268D、P271G、A330R)を有する。これらの変異は、Fc受容体RIIBに対する親和性を選択的に増加させると述べられている(Mimoto ら 2013)。図6は、CP-870,893変異体はIL12p40の放出を、Fc依存的な様式で刺激することを実証している(IgG1-LALA<IgG2<IgG1<IgG1-V11)。際立ったことに、本発明のヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体による刺激は、CP-870,893変異体によりもたらされる範囲をカバーし、それを超えさえするレベルの、Fc非依存的なIL12p40分泌をもたらした。それによって本発明の抗CD40抗体は、Fcγ受容体が仲介するCD40タンパク質の架橋無しに、初代の、単球由来の樹状細胞に強力なアゴニスト活性を提供する。
d.他の実験では、ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が単球由来の樹状細胞によるIL12p40分泌を誘導する効力を、0.005~10μg/mlの範囲の濃度の抗体で刺激することにより測定した。図7は、様々な抗体のEC50値は380~743ng/mlの間の範囲であることを示す。
実施例6:高密度PBMCアッセイにおけるTNF-アルファ放出
ヒト化抗CD40IgG1-LALAモノクローナル抗体が、血液細胞においてサイトカインの全般的な放出を誘導するかどうかを決定するために、Romerら 2011のプロトコールに従ってPBMCを抗体で刺激した。前に述べたようにしてPBMCを単離し、T175細胞培養フラスコ中で1×10細胞/mlの細胞密度で、10%ヒトAB血清と1x非必須アミノ酸(NEAA)を含んでいるRPMI-1640の中で培養した。細胞を二日後に採取し、96ウェルの細胞培養プレート中に三連(triplicate)で、1×10細胞/mlの密度で播種した。抗体を10μg/mlの濃度で添加してPBMCと共に3日間、37℃、5%CO、及び95%の湿度でインキュベートした。実験の中にポシティブコントロ-ルとして、OKT-3抗体(アブカム)を含めた。製造業者の指示書に従って市販のヒトTNFアルファELISAキット(R&Dシステムズ)を使用し、細胞培養上清中に放出されたTNF-アルファを定量化した。図8は、OKT-3抗体とは対照的に、本発明の抗CD40抗体及びCD40に結合しないIgG1-LALAコントロール抗体は、PBMCによるTNF-アルファの顕著な放出を刺激することは無かったことを示す。
実施例7:細胞のパルスチェイスアッセイ
HEK-Blue-CD40L(商標)細胞(インビボゲン)を使用したパルスチェイスアッセイにおいて、抗CD40抗体の細胞結合とインターナリゼーションの動力学を解析した。透明な底を有する2つの黒色の384ウェルのプレート中の、10%FCSを含んでいるDMEM培地中に、2000細胞/ウェルを播種した。一晩培養した後に、本発明の抗CD40抗体と上記で述べたCP-870,893 Fc変異体抗体を、0.8μg/mlの濃度で1つのプレートに添加し、37℃と5%COで15分間インキュベートした。続いて、両方のプレートを細胞洗浄緩衝液(PBS、0.05%ツイーン)で3回洗浄し、培養培地中で1時間インキュベートした。最後の15分において、0.8μg/mlの濃度で抗体を2つめのプレートに添加した。その後両方のプレ-トを細胞洗浄緩衝液で3回洗浄し、氷上に置き、0.8μg/mlの二次抗ヒトアレクサ-フルオロ-488結合抗体(ジャクソンラボラトリーズ)及び5μg/mlのヘキスト染色(インビトロゲン)と、氷上で30分間インキュベートした。細胞表面の蛍光シグナルを、CellInsight高含有量イメージャー(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を使用して定量化した。図9は、CP-870,893変異体抗体は、インターナリゼーションを許容する条件で1時間インキュベートした後に、表面シグナルを強く低下させたことを示す。それに対して、本発明の抗CD40抗体の多くは同じ条件下でインキュベーションしても、細胞表面シグナルの僅かな低下をもたらすのみであり、インターナリゼーションの比率が制限されていることを示唆している。
実施例8:ヒト化抗CD抗体の遺伝子レポーター誘導と樹状細胞成熟活性の相関関係
a.細胞遺伝子レポーター(HEK-Blue-CD40L(商標))と樹状細胞(DC)成熟アッセイを、それぞれ、実施例2と5において述べたように行った。DCアッセイにおいては5μl/mlで、HEK-Blue-CD40L(商標)遺伝子レポーターアッセイでは13~20000ng/mlの範囲の濃度で、抗体を使用した。図10は、遺伝子レポーターアッセイにおいて観察された最大の誘導と、5μl/mlの抗体で刺激した後のDCによるIL12p40サイトカイン放出とを比較している。88のヒト化抗CD40IgG1-LALA抗体は全て遺伝子レポーター発現を同じ程度まで誘導する一方で、幾つかの抗体はDCによるIL12p40放出の非常に高い刺激を示す。HEK-Blue-CD40L(商標)細胞はFcγ受容体を発現しない。そのアッセイは、基礎的な、Fcγ受容体結合に依存しないCD40抗体のアゴニスト活性を捕捉している。DCはFcγ受容体を発現し、CP-870,893等の抗CD40抗体のアゴニスト活性はFcγ受容体結合に依存している(実施例5)。それにも関わらず、88のIgG1-LALA抗体の多くはDCの強い活性化を欠いているものの、僅かな一部分は、Fcγ受容体に仲介される架橋無しでDCの非常に強い活性化を誘導することができる。よって、アゴニスト性が高い抗CD40抗体であって、初代樹状細胞でのその活性がFcγ受容体架橋に依存しないというのは稀なケースであり、同定するには基礎的なアゴニスト活性を有する候補抗体を数多くスクリーニングする必要がある。
実施例9:アゴニスト性抗CD40抗体による樹状細胞における共刺激性受容体とサイトカイン放出の刺激
a.ヒト化したアゴニスト性の抗CD40IgG1-LALA抗体の、共刺激性受容体発現とDCによる炎症性サイトカイン放出の刺激における活性を試験するために、実施例5の中で述べたように、3人の別個のドナーから、未熟な単球由来のDC(iDC)を作製した。2μg/mlの濃度の抗体又は20μg/mlのCD40L(R&Dシステムズ6245-CL-050)により、iDCを48時間処理した。刺激されて成熟したDCを採取し、HLA-DR、CD86、CD80、CD83、CD54、及びCD95(全てミルテニー・バイオテックから)に対する蛍光標識された抗体を使用して染色し、BD FACSVerse装置でフローサイトメトリ-により解析した。図11はアイソタイプコントロール抗体処理に対する誘導の倍数として表した受容体の刺激を表す。そのデータは共刺激性受容体、特にCD86の強い誘導を実証する。CP-870,893は、本発明のMAB-16-0262、MAB-16-0451、MAB-16-0464及びMAB-16-0406抗体と比較して、全体としてより低い活性を示す。IgG1-LALA定常部分を含んでいるCP-870,893変異体を使用したときには、更なる活性の低下が観察され、この抗体のFcγ受容体結合依存性が確認された。
b.図12は、BDヒト炎症性サイトメトリックビーズアレイキット(BD #551811)を製造業者の指示書に従って使用し、DC培養液の上清の中でサイトカインを測定した結果を示す。本発明のMAB-16-0262、MAB-16-0451、MAB-16-0464及びMAB-16-0406抗体は、非常に高レベルのIL-12-p40とIL-12p70の放出を示し、その一方で他のサイトカイン(例えばTNF-α、IL-1β、IL-10、及びIL-6)を産生して分泌する程度はずっと低かった。CP-870,893 IgG2とIgG1の変異体で処理されたDCの、IL-12p40とIL12p70の放出は、本発明の抗体で観察された放出と比較して顕著に低かった。類似の実験において、3人の別個のドナーに由来するインビトロで分化したiDCを、10000~5ng/mlの範囲の濃度のアゴニスト性の抗CD40抗体により48時間処理した。受容体発現とサイトカイン放出を上述したように解析した。エクセル(マイクロソフト)とXfit(IDBS)を使用して、適合曲線とEC50の計算を得た。図13と14に示したデータは、1人のドナーにおいて観察された例示的な用量依存性効果を示す。2人の更なるドナーの結果は定量的に類似した効果を示す。要するに、EC50値により測定された本発明のヒト化抗CD40抗体の効力は、CP-870,893の効力と類似しているが、一方、特にIL-12サイトカイン放出と共受容体発現に関する最大誘導効果は、CP-870,893の最大誘導効果と比較して顕著に大きかった。
実施例10:アゴニスト性抗CD40抗体によるB細胞上の共刺激性受容体の刺激
a.ヒト化抗CD40IgG1-LALA抗体による共刺激性受容体の刺激も、B細胞で試験した。Ficoll密度グラジエント遠心分離により、ヒトのバフィーコートから3人の異なるドナーに由来するPBMCを単離し、製造業者の指示書に従ってB細胞アイソレーションキットII(ミルテニー・バイオテック)を使用し、ネガティブな磁気濃縮(negative magnetic enrichment)により、手つかずの(untouched)B細胞を精製した。2×10のB細胞をRPMI-1640+10%ヒトAB血清100μlの中で、500~0.2ng/mlの範囲の濃度の抗体で48時間刺激した。刺激されたB細胞を採取し、HLA-DR、CD86及びCD80に対するフルオロフォア標識された抗体(全てミルテニー・バイオテックから)を使用して染色し、BD FACSVerse装置でフローサイトメトリ-により解析した。図15は、アイソタイプコントロ-ル抗体処理に対する誘導の倍数としての、1人のドナーB細胞における用量依存性の受容体発現の刺激を表す。エクセル(マイクロソフト)とXfit(IDBS)を使用して、適合曲線とEC50の計算を得た。この結果は、本発明の抗体はB細胞上の共刺激性受容体も刺激するが、上方調節(upregulation)のレベルはDCで観察されたレベルよりも低いことを示している。
実施例11:細胞上のCD40と抗CD40抗体の結合の、CD40Lとの競合
a.CD40Lの存在下で、本発明のCD40抗体のHEK-Blue-CD40L(商標)細胞への結合を試験し、その抗体が細胞表面CD40のCD40L結合部位へ結合するかどうかを検証した。HEK-Blue-CD40L(商標)細胞を抗体と、それらのEC90結合濃度で、40℃で30分間プレインキュベートした。マウスIgG2a Fcタグ(ABバイオサイエンス)を含んでいるCD40Lを、10000~9.8ng/mlの範囲の濃度で添加し、細胞を4℃で60分間インキュベートした。細胞に発現したCD40へ結合した抗CD40抗体とCD40Lを、二次DyLight405-結合抗マウスIgGとアレクサ-フルオロ-488結合抗ヒトIgG(ジャクソンラボラトリーズ)を使用して検出し、FACSVerse装置(BD)を使用して解析した。図16Aは、CP-870,893を除いて抗CD40は(複数の)濃度で安定な結合を示し、CP-870,893の抗体結合シグナルはより高いCD40Lにおいて僅かに低下した。CD40Lは細胞に用量依存的な様式で結合し、CP-870,893がCD40Lとの結合に大きく干渉することはなかった(図16B)。それに対して本発明の抗体は、細胞に発現したCD40へのCD40Lの結合を強く防ぎ、これらの抗体はCD40のCD40L結合部分へ結合し、CD40LがCD40へ結合することを阻害することを示唆している(図16B)。
実施例12:CD40Lと組み合わせたアゴニスト性CD40抗体によるFasR(CD95)細胞死受容体発現の誘導
a.細胞上で抗CD40抗体に仲介される効果についてのCD40Lの干渉を試験するために、CD40L単独又はアゴニスト性抗CD40抗体と組み合わせて、ラモス細胞を処理した。96ウェルのプレート中の10%FCSを含んでいるRPMIの中に、1.25×10細胞/mlの細胞密度でラモス細胞を播種した。抗体を10μg/mlの濃度でウェルに添加し、プレートを37℃、5%CO、湿度95%で10分間インキュベートした。その後CD40L(R&Dシステムズ)を幾つかのウェルに添加して最終濃度を10μg/mlとし、プレートを37℃、5%CO、湿度95%で一晩インキュベートした。細胞をDPBSで洗浄し、CD95に対するFITC標識した抗体(ミルテニー・バイオテック)で染色した。図17は、CP-870,893によるCD95の誘導が、CD40Lの添加により強く増加する一方で、試験された全ての本発明の抗CD40抗体との共処理によりCD40Lの効果は低減することを示す。そのデータは、CD40上でCD40L結合部位に結合する本発明のアゴニスト性抗CD40抗体が、CD40Lによる相乗的及び相加的な効果を防ぎ、それにより制御され且つ安全な薬理を可能とすることを示す。
実施例13:ヒト化した、アゴニスト性の抗CD40IgG1-LALA抗体の親和性
a.本発明の抗体の生化学的な親和性を、表面プラズモン共鳴測定により測定した。抗ヒトFc抗体を介して、CM5センサーチップの表面に抗体を可逆的に固定化した。固定化された抗体と、可溶性のヒト又はカニクイザルのCD40単量体タンパク質(アクロバイオシステムズ)の間の相互作用の動力学を、Biacore T200 SPR装置で解析した。動力学データをラングミュアの1:1結合モデルを使用して測定した。図18は、MAB-16-0451とMAB-16-0464抗体は、1.2と2.6のKを有し、その一方で、MAB-16-0262とCP-870,893は、それぞれ、15.7又は8.9のK値を示すことを実証する。カニクイザルのCD40タンパク質を使用して作製されたK値は親和性が類似することを実証した。
実施例14:抗CD抗体のCD40への競合的な結合
a.本発明のヒト化した、アゴニスト性の抗CD40抗体がCD40分子上の重複領域に結合するかどうかを試験するために、競合的結合ELISAを行った。384ウェルのMaxisorpプレートを、PBS中の625ng/mlの濃度の抗体で60分間被覆し、続いて、PBS、2%BSA、0.05%ツイーンで70分間のブロッキング工程を行った。330ng/mlのHISタグを付したCD40組み換えタンパク質(アクロバイオシステムズ)及び4μg/mlのペルオキシダーゼを結合させた抗HIS検出抗体(シグマ-アルドリッチ)と共に、全ての抗体をチューブの中で個別に10μg/mlの濃度で、ELISA緩衝液(PBS、0.5%BSA、0.05%ツイーン)の中で60分間インキュベートした。抗体/HIS-CD40/抗HISペルオキシダーゼ混合物をプレートのウェルへ添加する前に、プレートをPBS、0.1%ツイーンで3回洗浄した。プレートを60分間インキュベートした。ウェルをPBS、0.1%ツイーンで6回洗浄し、15μl/ウェルのTMB基質溶液(インビトロゲン)を添加した。反応を15μl/ウェルの停止溶液(1M HCl)で停止し、450と620nmの波長における吸光度を、テカンM1000マイクロプレートリーダーを使用して測定した。図19は、本発明の抗体が、CD40との結合についてCP-870,903と競合しないことを実証する。しかしながら各抗体は、本発明の何れかの他の抗体と競合し、それはこれらの抗体がCD40の同じ領域へ結合することを実証する。重要なことに、本発明の抗体のアゴニスト活性は広い範囲をカバーするので(実施例9と10)、これは、アゴニスト性の抗CD40抗体のパラト-プが主として抗CD40抗体のアゴニスト活性を決定することを示している。
実施例15:IgG1-LALA抗CD40抗体の抗体に仲介されるエフェクター機能
a.抗体に仲介されるエフェクター機能(例えばADCC)の減少における、IgG1抗体の定常部分におけるLALA変異の効力を試験するために、製造業者の指示書に従ってジャーカットエフェクター細胞レポーター細胞株に基づくアッセイ(プロメガADCCバイオアッセイ、#G701A)を、HEK-Blue-CD40L(商標)細胞を標的細胞として使用して適用した。白色の平底の384ウェルのアッセイプレート中の、25μlのDMEM+10%FCSの中に、ウェル当たり5000のHEK-Blue-CD40L(商標)細胞を播種し、37℃、5%COで20時間インキュベートした。ウェル当たり4000のエフェクター細胞を8μlの同じ培地中に添加する前に、培地を4%の低IgG FCSを含んでいるRPMI培地8μlと置き換えた。最終的に、IgG1又はIgG1-LALAのFc部分のいずれかを含んでいるCP-870,903 抗CD40抗体を、10000~0.002ng/mlの範囲の濃度で、8μlの培地中に添加した。そのプレートを37℃、5%COで6時間インキュベートした。製造業者の指示書に従ってBioGloルシフェラーセアッセイ試薬(プロメガ)を使用し、エフェクター細胞のルシフェラーゼ活性を測定した。テカンM1000マイクロプレートリーダーを使用して発光強度を読み取った。誘導の倍数を、式RLU(抗体処理-バックグラウンド)/RLU(ベヒクル-バックグラウンド)により計算した。エクセル(マイクロソフト)とXfit(IDBS)を使用して、適合曲線を得た。図20は、IgG1におけるLALA変異は、エフェクター細胞におけるFc受容体に仲介されるシグナル伝達を止めることを実証する。
実施例16:ヒト化マウスモデルにおけるアゴニスト性抗CD40抗体療法の安全性
a.安全性を評価するために、幹細胞ヒト化マウスモデルを適用した。Nod/Scid/gamma(c)(null)FcRg-/-マウスは、マウスのFc活性化受容体を欠損している。よってこのモデルにおいてはマウスFc受容体結合により、ヒト免疫細胞による治療抗体のFc受容体結合が損なわれることはない。生まれた後の最初の24時間以内に、マウスに1.4Gyの致死以下の放射線照射を行った。4~6時間後にマウスに、臍帯血から単離された20000~50000のヒト造血幹細胞を静注で移植した。移植の12週間後にヒト免疫細胞の存在を末梢血細胞のフロ-サイトメトリーにより検証した。ヒト化が成功したマウスに、3μg/gのCP-870,893、MAB-16-0451又はアイソタイプコントロール抗体を1回静脈注射した。処理前と抗体注入後の様々な時点において、体重と体温を測定した(図21)。データは、CP-870,893で処理されたマウスの6匹中の3匹において顕著に体温が低下したことを示し、これらのマウスは体調の重篤な障害のために屠殺せざるを得なかった。それに対してMAB-16-0451で処理されたマウスは体温における顕著な影響を示さず、その他の如何なる体調障害の明らかな兆候も無かった。これは、Fc受容体結合活性を欠損しているアゴニスト性が高い抗CD40-IgG1-LALA抗体は、明らかな毒性の兆候無しに治療に適用することができることを示唆し、その一方で、活性がより低いアゴニスト性のCP-870,893-IgG2抗体の有毒な効果が、このモデルにおいてインビボで実証された。

Claims (15)

  1. ヒトCD40受容体に特異的に結合し、Fcγに仲介されるCD40受容体架橋に依存しないCD40シグナル伝達を誘導することができる、アゴニスト性モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片であって、
    該抗体、又はその抗原結合断片が、
    a)配列番号33のCDR1H領域、配列番号47のCDR2H領域、及び配列番号61のCDR3H領域を含む重鎖可変領域、及び
    b)配列番号75のCDR1L領域、配列番号89のCDR2L領域、及び配列番号103のCDR3L領域を含む軽鎖可変領域、を含む、抗体、又はその抗原結合断片。
  2. 抗体がヒト化IgG1LALA抗体である、請求項1に記載の抗体。
  3. 少なくともヒトIgG1Fc領域のL234A及びL235Aにおいてアミノ酸置換を含む、請求項2に記載の抗体。
  4. 抗体が、CD40Lの結合部位と重複するエピトープに結合する、請求項1ないし3の何れか1項に記載の抗体。
  5. 抗体がヒトAPCを活性化する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の抗体。
  6. 抗体が、樹状細胞(DC)を活性化する、請求項1ないし5の何れか1項に記載の抗体。
  7. 前記抗体が、腫瘍細胞に間接的な免疫細胞に仲介される細胞傷害性効果を有する、請求項1ないし6の何れか1項に記載の抗体。
  8. 請求項1ないし7の何れか1項に記載の抗体であって、
    (a)Fcγ受容体に結合しない;
    (b)49.5ng/ml以下のEC50値を伴うCD40細胞結合親和性を有する、
    (c)15.7nM以下のKD値を有する;
    (d)10.3nM以下のKD値を伴いカニクイザルCD40と交差反応性である;
    (e)CD40へ結合することによりCD40Lを阻害する;
    (f)CD40Lに仲介される機能の相乗的及び相加的効果を防ぐ;
    (g)208ng/ml以下のEC50値を伴う、IL12p70放出により測定される、
    及び/又は、148ng/ml以下のEC50値を伴う、樹状細胞における少なくとも7.5倍のCD86の誘導により測定される、
    抗原提示細胞の成熟を誘導する;及び/又は
    (h)細胞表面上のCD40のレベルを50%未満に減少させる、
    の少なくとも1つの特性を更に有する抗体。
  9. 抗体が、配列番号5のVH領域と少なくとも85%同一である重鎖可変(VH)領域を含む、請求項1ないし8の何れか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  10. 抗体が、配列番号19のVL領域と少なくとも85%同一である軽鎖可変(VL)領域を含む、請求項1ないし9の何れか1項に記載の抗体。
  11. がんを患っている患者の治療に使用するための、請求項1ないし10の何れか1項に記載の抗体。
  12. がんが固形腫瘍である、請求項11に記載の抗体。
  13. がんが、膵臓がん(pancreas cancer)、進行膵臓がん腫肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞細胞(bronchioloalviolar cell)肺がん、骨がん、膵臓がん(pancreatic cancer)、皮膚がん、頭部又は頸部のがん、皮膚又は眼内黒色腫、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、腎臓がん、ホジキンリンパ腫、肝臓がん、胆嚢がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がん、唾液腺がん、又は子宮がんを含む群から選択される、請求項11又は12に記載の抗体。
  14. 抗体が、細胞傷害性剤又は細胞増殖抑制剤、放射療法、標的療法、免疫療法、又は手術と組み合わせてがんの治療において使用される、請求項1~請求項13の何れか1項に記載の抗体。
  15. 医薬的に許容可能な担体、及び請求項1ないし14の何れか1項に記載の抗体の治療有効量を含む、医薬組成物。
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