以下、図面を参照して実施形態を説明する。同じ符号が付されているものは同様のものを示す。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係や部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一ではない。また、同じ部分を表すものであっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るハンドリングロボットシステム100を示す概略構成図である。ハンドリングロボットシステム100は、移載装置110、および認識装置130、搬送装置140および搬送制御部145を備えている。認識装置130は、載置領域に載置された物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を認識する。移載装置110は、この情報に基づいて載置領域にある物品125を、搬送装置140へと移載する。
ここで、説明の便宜上、+X軸方向、-X軸方向、+Y軸方向、-Y軸方向、+Z軸方向、および-Z軸方向について定義する。+X軸方向、-X軸方向、+Y軸方向、およびY軸方向は、略水平方向である。-X軸方向は、+X軸方向の反対方向である。+Y軸方向は、+X軸方向と略直交する。-Y軸方向は+Y軸方向の反対方向である。+Z軸方向は、+X軸方向および+Y軸方向と略直交する方向である。+Z軸方向は、略鉛直上向き方向である。-Z軸方向は+Z軸方向の反対方向であり、略鉛直下向き方向である。+X軸方向を第1の方向と称す。-Z軸方向を第2の方向と称す。-X軸方向を第3の方向と称す。
次にY軸周りの2方向への回転において、第1の回転方向と、第2の回転方向を定義する。図1におけるY軸周りの2方向への回転において、回転矢印Aの方向への回転を第1の回転方向と定義する。また、回転矢印Bの方向への回転を第2の回転方向と定義する。
載置領域とは、物品125が載置あるいは、積載される場所である。図1では、移動可能なかご台車120が載置領域に存在していることを示している。かご台車120は中間棚121を有して複数の物品125を載置した状態で移動可能である。なお、かご台車120に限定されず、移動可能なスチール台車、ボックスパレット、パレットに物品125を載置してもよいし、固定式の棚などに物品125を載置してもよい。
物品125は、段ボール箱などに入れられた製品、パッケージされた製品および製品そのものなど、様々な形状の物品を含む。物品125を、保持対象物と称すこともある。
認識装置130は、1つ以上の画像センサ131および認識制御部135を備える。画像センサ131は、載置領域内にある物品125の画像データを取得する。認識制御部135は、画像センサ131から出力される画像データに基づいて、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を認識する。認識制御部135は、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を移載装置110の制御部115に送信する。なお、以下において物品125の位置、姿勢、および形状を示す情報は、物品125の周囲との隙間を示す情報を含んでいる。
移載装置110は、マニピュレータ111、保持機構1および制御部115を備える。移載装置110は、物品125を保持機構1で保持しながら、搬送装置140へと移載させる。
搬送装置140は、移載された物品125を所望の場所へと搬送する。搬送装置140は、ベルトコンベア、ローラコンベア、ソーターなどである。
搬送制御部145は、搬送装置140の動作を制御する。搬送制御部145は、例えばCPU、メモリおよび補助記憶部を備えたコンピュータなどである。なお、搬送装置140の動作は、予め設定されたプログラムにより搬送制御部145が自動で制御してもよいし、作業者が手動で搬送制御部145を操作することにより制御してもよい。
マニピュレータ111は、多関節型のロボットである。マニピュレータ111は、マニピュレータ111の先端に取り付けられた保持機構1を載置領域内の任意の位置に移動させる。マニピュレータ111は、少なくとも2つのリンク114、114および、リンク114の端部をそれぞれ繋ぐ複数の関節部113および図示しない力センサを備える。
関節部113は、図示しないモータ、エンコーダおよび減速機などで構成される。マニピュレータ111の各リンク114は、関節部113のモータの駆動によりそれぞれ回動又は直動可能である。このため、マニピュレータ111の先端に配置された保持機構1の移動が可能となる。関節部113の動作は、1軸方向の回動に限定されず多軸方向の回動、直動を含む。なお、マニピュレータ111は、3軸(XYZ軸)方向の直動機構とリンク114を回転させる回転軸と関節部を組合せた構成でもよい。
図示しない力センサは、保持機構1が物品125を保持したときの保持機構1にかかる力の大きさから、物品125の重量に対応する電気信号を制御部115に出力する。
マニピュレータ111は、マニピュレータ111の保持機構1とは反対側の端部を、架台112に固定する。架台112は、床面や地面に設置される。架台112は、移動可能な台車などでもよい。架台112が移動可能である場合、マニピュレータ111は、床面上を自由に移動可能となる。
制御部115は、認識制御部135から物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を受信し、この情報に基づいてマニピュレータ111と保持機構1の動作を制御する。
説明を簡単にするため、搬送装置140の+X軸方向に載置領域(かご台車120および物品125)があるものとして、以下説明する。
ここで、搬送装置140と対向している取り出し対象の物品125の一つの面を物品125の正面126と定義する。また、正面126の反対側の面を物品125の背面127と定義する。
また、保持機構1が、+X軸方向にマニピュレータ111側から、載置領域側に移動することを前進と定義する。一方、保持機構1が、-X軸方向に載置領域側からマニピュレータ111側に移動することを後退と定義する。
保持機構1による物品125の取り出し動作を説明する。マニピュレータ111は、保持機構1を載置領域内の任意の位置に移動可能であるが、ここでは保持機構1を、+X軸方向に移動(前進)させる。保持機構1を取り出し対象の物品125の上面よりも少し高い位置まで移動させた後、保持機構1は-Z軸方向に突出部分を形成することができる。この突出部分が物品125の背面127と接触し、物品125を抱え込むことができる。マニピュレータ111が、この突出部分を形成した状態の保持機構1を-X軸方向に移動(後退)させることにより、取り出し対象の物品125をかご台車120から搬送装置140側に取り出すことができる。
保持機構1の一構成について図2~図8を用いて説明する。図2~図5に示すように、保持機構1は、基台20、駆動部30、板連結機構40、および押し当て部材90を備える。なお、押し当て部材90を規制部材90と称することもある。基台20は、第1の基台部21と第2の基台部24を備える。駆動部30は、可動部31と後述するその他の部材を備える。
板連結機構40は第1の面230と第2の面240とを持つフレキシブルな板状部材であって、第1の面230側には屈曲可能であるが第2の面240側には屈曲できない特性のものが好ましい。基台20は、板連結機構40の第1の面230側に位置している。板連結機構40は基台20上に、第1の面230が基台20に接するように載置される。駆動部30は、基台20上で板連結機構40を+X軸方向および-X軸方向に摺動させることができる。
摺動により基台20の+X軸方向の一端を超えて突出した板連結機構40の一部はその重みで-Z軸方向に落下して、第1の面230側に屈曲する。なお、基台20の+X軸方向の一端を基台20の一端とも称す。詳細は後述する。押し当て部材90は、基台20の一端から所定の距離を隔てて設けられていて、板連結機構40が+X軸方向に移動しないように規制している。
駆動部30が駆動を継続すると、板連結機構40が-Z軸方向へ突出する部分が次第に大きくなる。この突出部分を、突出部48と定義する。この突出部48によって保持機構1は全体の形状が変化したことになる。この状態で駆動部30が駆動を停止すると、突出部48が、基台20の一端と押し当て部材90との間を通過して第1の面230側に屈曲した状態となる。この-Z軸方向に突出した突出部分(突出部48)を備えた状態のまま保持機構1を-X軸方向に移動(後退)する場合、板連結機構40の突出部48に接触する物品125があれば、物品125と突出部48とが接触し、反力により突出部48が+X軸方向に押される。このとき、突出部48が押し当て部材90に接触するが、基台部20に固定されている押し当て部材90は、突出部48が+X軸方向に移動しないように規制している。これにより、物品125と突出部48との接触状態が維持されるため、物品125の保持が可能となって、物品125をかご台車120から取り出すことができる。詳細については後述する。
保持機構1は、板連結機構40の移動により、収納状態と突出状態の2つの状態を取りうる。収納状態とは、図2および図3に示すように、板連結機構40全体が基台20上にあって-Z軸方向へ垂れ下がっていない状態である。突出状態とは、図4および図5に示すように、駆動部30の駆動により板連結機構40が摺動(移動)することによって、その一部が基台20から-Z軸方向へ突出している(垂れ下がっている)状態である。このように保持機構1は外形が変形可能である。
図6~8に示された板連結機構40では、板材50、蝶番60および回動抑制部材70を備える。板材50の第1の面230には蝶番60が固定される。板材50の第2の面240には回動抑制部材70が固定される。板材50の第1の面230は、基台20に対面しているため、基台20が無くなれば、隣り合う板材50、50は第1の面230側への屈曲(第1の回転方向への回転)が可能である。これに対し板連結機構40は回動抑制部材70によって第2の面240側への屈曲(第2の回転方向への回転)ができない。具体的には、隣り合う板材50、50の第1の面230の為す角度αは蝶番によって0度<α≦180度まで屈曲可能である。他方で隣り合う板材50、50の第2の面240の為す角度βは180度以上のみ取りうる、すなわち蝶番60があっても第2の面240側への屈曲(第2の回転方向への回転)は抑制されている。
突出状態で物品125を保持し、取り出す際に、物品125と接触する突出部48の第1の面230に外力が加わり、+X軸方向へ押される。押し当て部材90がこれに応じて第2の面240への反発力を発生させるため、突出部48が+X軸方向に移動できないようになっている。この際、突出部48の各板材50には、第2の回転方向へ回転するように外力が加わる。回動抑制部材70による第2の回転方向への回転の制限がない場合、突出部48の各板材50が、制限なく第2の回転方向へ回転してしまい物品125を保持し続けることができない。板連結機構40の第2の回転方向への回転を抑制することで、物品125を保持し続けることが可能となる。
板連結機構40のうち、最も可動部31側に位置する端部を板連結機構40の基端部41と定義し、反対側の最も先端に位置する端部を板連結機構40の先端部42と定義する。
次に基台20について説明する。図3および図5に示すように、基台20は、第1の基台部21および第2の基台部24を備える。第1の基台部21の一端に第2の基台部24の基端が固定される。ここで、第1の基台部21の一端とは、第1の基台部21の+X軸方向の端である。第2の基台部24の基端とは、第2の基台部24の-X軸方向の端である。また、第2の基台部24の+X軸方向の端を第2の基台部24の先端と定義する。第1の基台部21の他端はマニピュレータ111の先端に固定されている。このため、保持機構1は、マニピュレータ111によって自由に移動可能である。
図9に示すように、第2の基台部24は、第2の基台部24の下面25、側面26、側面26の先端部26b、凹部27、上面28、先端面29を有する。第2の基台部24の側面26の先端部26bは、第2の基台部24の側面26のうち先端(+X軸方向の端)側に位置している部分である。第2の基台部24の先端面29は、第2の基台部の24の先端(+X軸方向の端)を構成している面である。なお、上述した基台20の一端は、第2の基台部24の先端面29を含む。第2の基台部24の先端面29の一部は、丸みを帯びている。丸みを帯びていることで、収納状態から突出状態への切り替えおよび突出状態から収納状態への切り替えにおいて、板連結機構40の摺動が滑らかに行われる。
なお、第2の基台部24の先端面29は、丸みを帯びていなくてもよい。なお、第2の基台部24の先端面29は、摺接部材を備えてもよい。摺接部材とは板連結機構40の摺動を滑らかに行うための部材である。摺接部材の例として、回転ローラや外周面の摩擦係数が低い柱状の部材がある。
駆動部30は、板連結機構40をX軸方向に摺動させる。駆動部30には板連結機構40の基端部41が固定されている。具体的な固定方法の詳細は後述する。図9に示すように、駆動部30は、可動部31、可動部31の先端32、プレート部材33、レール34、摺動台35、第1のストッパー38、第2のストッパー39および図示しない突出量検出部を備える。レール34は、X軸方向(第2の基台部24の長手方向)に延びており、第2の基台部24の凹部27に固定される。第1のストッパー38は、第2の基台部24の凹部27とレール34の-X軸方向の端に固定される。第2のストッパー39は、凹部27とレール34の+X軸方向の端に固定される。摺動台35は、レール34の上面に摺動可能に取り付けられる。プレート部材33は、摺動台35の上面に固定される。プレート部材33の上面には、板連結機構40の基端部41を含む少なくとも一枚の板材50がネジ留めされる。可動部31の先端32は、プレート部材33に固定される。これにより、可動部31とプレート部材33と板連結機構40が連結固定される。
駆動部30の動作について説明する。可動部31に+X軸方向の力が作用すると、+X軸方向に摺動台35が摺動する。同様に、可動部31に-X軸方向の力が作用すると、-X軸方向に摺動台35が摺動する。このとき、摺動台の摺動に伴い摺動台35の上面に固定されるプレート部材33も移動する。板連結機構40は、プレート部材33に連結固定されるため、駆動部30の動作により、板連結機構40は、X軸方向に摺動することができる。なお、摺動台35の摺動範囲は、第1のストッパー38から、第2のストッパー39の間の範囲である。
なお、駆動部30は、図示しない可動部および送りねじを用いた構成、リニアスライダ、電動モータとラックピニオンを組み合わせた構成、空圧シリンダを用いた構成であってもよい。
板連結機構40の好ましい一構成例は、複数の板材50を複数の蝶番60で連結したものである。各板材50は、薄型のプレート部材である。なお、板材50は、その他の形状の部材でもよい。板材やその他の形状の部材を構造体とも称す。複数の構造体を連結して構成した連結機構や板連結機構40を構造体連結機構とも称す。
板材50は、第2の基台部24のX軸方向(長手方向)に沿って互いに隣接するように並べられる。板材50は、板材50の長手方向がX軸方向およびZ軸方向に対して略直交するように、X軸方向に沿って並べられている。このようにして並べられた板材50において、板材50のZ軸方向の厚さはX軸方向の幅に比べて薄いことが望ましい。このため、収納状態における保持機構1のZ軸方向への厚みを抑え、Z軸方向に対して保持機構1を薄型とすることができる。
図7に示すように、板連結機構40の基端部41側から1番目に配置された板材を板材50aと定義する。板連結機構40の基端部41側から2番目に配置された板材を板材50bと定義する。板連結機構40の基端部41側から3番目に配置された板材を板材50cと定義する。板連結機構40の基端部41側から4番目に配置された板材を板材50dと定義する。
板材50a、板材50b、板材50cは、プレート部材33の上面に配置されネジ留めされている。なお、プレート部材33の上面に固定される板材50は、これに限定されず、他の位置に配置される板材50を固定してもよい。また、固定される板材50の数はこれに限定されない。例えば、固定する板材50の数を増やしてもよい。
なお、本実施形態では、駆動部30と板連結機構40の一部分が直接固定されているが、これに限定されない。例えば、駆動部30と板連結機構40の間に別の部材を設け、この別の部材に駆動部30および板連結機構40が固定されてもよい。駆動部30の駆動に伴い板連結機構40が移動する構成であればよい。
蝶番60について説明する。図10は、突出状態における板連結機構40の第1の面230を示す斜視図である。図10に示すように、蝶番60は、第1の面230側から、隣接する2つの板材50、50にネジ留めすることにより固定される。隣接する2つの板材50、50に対して2つの蝶番60、60を使用している。なお、蝶番60は、連結部材とも称す。
隣接する板材50、50を連結する2つの蝶番60、60は互いに離間している。離間距離の違いによって蝶番60の配置パターンは2種類ある。第1の配置パターンは、蝶番60、60が隣接する板材50、50の長手方向の一端側と長手方向の他端側に配置されるパターンである。第2の配置パターンは、蝶番60、60が第1の配置パターンと比較して、板材50、50の長手方向の中央部に配置されるパターンである。板連結機構40は、この2種類の配置パターンを隣接する板材50、50ごとに交互に繰り返すことで構成される。第1の配置パターンで使用する蝶番60、60と第2の配置パターンで使用する蝶番60、60は、板材50、50の長手方向(Y軸方向)において互いに重ならない位置に配置される(X軸方向に一直線状に配置されない)。したがって、板材50、50の長手方向において互いに重なる位置に配置(X軸方向に一直線状に配置)するときよりも、蝶番60のサイズによらず、板材50の短手方向の幅(収納状態における板材50のX軸方向の長さ)を短くすることができる。板材50の短手方向の幅を短くすることで、収納状態から突出状態への切り替えと、突出状態から収納状態への切り替えを滑らかに行うことができる。
なお、蝶番60の数と位置は上記に限定されない。例えば、本実施形態において、隣接する2つの板材50、50の間に蝶番60は、2つ使用しているが、蝶番60の数はこれに限定されない。また、板材50に固定する蝶番60の位置も限定されず、例えば、一直線状に配置してもよい。なお、隣接する2つの板材50、50を回動可能に連結する連結部材として蝶番60を一例として記載したがこれに限定されない。例えば、弾性部材を2つの板材50、50に固定してもよい。
回動抑制部材70について説明する。図11は、突出状態における板連結機構40の第2の面240を示す斜視図である。回動抑制部材70により、隣接する2つの板材50、50の両方の第2の面240が回動抑制部材70と接触すると、隣接する2つの板材50、50は第2の回転方向への回転が抑制される。回動抑制部材70は、板材50の第2の回転方向への回転の一部を抑制する。
回動抑制部材70は、板状のプレート部材である。板連結機構40の基端部41側から4番目の板材50dから板連結機構40の先端部42側に向かって並べられている複数の板材50において、隣接している2つの板材50、50の間を覆うように、回動抑制部材70が第2の面240側に配置される。回動抑制部材70は、隣接する板材50、50のうち板連結機構40の先端部42側の板材50に、第2の面240側からネジ留めされることで固定される。隣接する2つの板材50、50に対して、2つの回動抑制部材70、70が用いられる。
本実施形態において、板材50a、板材50bおよび板材50cは、プレート部材33上にネジ留めされている。このため、板材50a、50b、50cは、板連結機構40の突出部48となることはない。したがって、板材50aと板材50bの間と、板材50bと板材50cの間と、板材50cと板材50dの間を覆う回動抑制部材70は不要である。なお、不要ではあるが、使用してもよい。なお、回動抑制部材70が取り付けられている板材50には、回動抑制部材70が2つ固定されているが、回動抑制部材70の数はこれに限定されない。また、板材50に固定する回動抑制部材70の位置も本実施形態に限定されない。
押し当て部材90について説明する。図12は、押し当て部材90の説明のために、保持機構1から板連結機構40を取り外した斜視図である。図12に示すように、押し当て部材90は、第2の基台部24の先端面29から所定の距離を隔てて設けられている。押し当て部材90の両端部は、第2の基台部24の側面26の先端部26b、26bに接続部材92、92で固定されている。第2の基台部24の先端面29と押し当て部材90との間の隙間を隙間sと定義する。隙間sは、突出部48が通過できるサイズとする。なお、第2の基台部24の先端面29と押し当て部材90との距離は、隙間sを突出部48が通過できるサイズであれば、できるだけ短いことが望ましい。第2の基台部24の先端面29と押し当て部材90との距離を短くすることで、物品125を保持する際の突出部48の第2の回転方向への回転(+X軸方向への移動)を少なくすることができ、物品125を安定して保持することできる。
図13は、収納状態における保持機構1の押し当て部材90の周辺を拡大した斜視図である。図14は、突出状態における保持機構1の押し当て部材90の周辺を拡大した斜視図である。図13に示すように、収納状態では、板連結機構40の先端部42が第2の基台部24の上面28と接している。すなわち、板連結機構40が、X軸方向に一直線状に並んでおり隙間sには進入していない。図14に示すように、突出状態では、板連結機構40が、第2の基台部24の先端面29を経由して、隙間sに進入する。
収納状態から突出状態への切り替えについて説明する。図2および図3に示すように、収納状態では、板連結機構40の先端部42が第2の基台部24上に位置しており、板連結機構40が、X軸方向に一直線状に並んでいる。図4および図5に示すように、駆動部30の+X軸方向への駆動により板連結機構40は、+X軸方向に移動する。板連結機構40は、板連結機構40の先端部42側から、つぎつぎに第2の基台部24の先端面29を経由し、自重により隙間sを通って-Z軸方向に向かって垂れ下がり、突出状態となる。
次に、突出状態から収納状態への切り替えについて説明する。突出状態において、駆動部30が-X軸方向に駆動することで、突出部48は、第2の基台部24の先端面29を経由して、第2の基台部24の上面28へと引き戻され、収納状態となる。駆動部30の駆動量によって、突出部48のZ軸方向の長さは変化する。
保持機構1が物品125を取り出す際に、突出状態で保持機構1を後退させると、突出部48と物品125とが接触する。物品125と突出部48が接触する前後の突出部48の状態について説明する。図15(a)は、突出部48が物品125と接触する前の保持機構1の側面図である。図15(a)に示すように、突出部48と物品125が接触する前は、突出部48と押し当て部材90は接触していない。
図15(b)は、突出部48と物品125が接触した後の保持機構1の側面図である。図15(b)に示すように、突出部48と物品125が接触すると、突出部48に+X軸方向の外力が加わる。このとき、+X軸方向の外力に対して、突出部48を構成している板材50のそれぞれは、回動抑制部材70により、隣接する板材50同士の第2の回転方向への回転は抑制される。外力により、突出部48の全体は、第2の回転方向へと回転(+X軸方向へ移動)する。第2の回転方向へと回転した突出部48は、押し当て部材90と接触し、第2の回転方向への回転が規制される。これにより、物品125を保持し、物品125を取り出すことが可能となる。
図15において、板材50yは、第2の基台部24の先端面29上に位置している板材である。板材50zは、第2の基台部24の先端面29を離れて突出部48を構成する板材50のうち、板材50yと隣接する板材である。先述したように、回動抑制部材70は、隣接する板材50、50のうち板連結機構40の先端部42側の板材50に、第2の面240側からネジ留めされることで固定される。このため、収納状態と突出状態の切り替えにおいて、板材50yと板材50zとの間の回動抑制部材70は、板材50zにネジ留めされていることになる。そのため、板材50yと板材50zとの間の回動抑制部材70が、50yにネジ留めされる場合よりも、板材50yと板材50zとの間の回動抑制部材70の+X軸方向への長さを短くすることができる。したがって、基台20の一端と押し当て部材90との距離を短くすることができ、物品125を保持する際の、突出部48の第2の回転方向への回転(+X軸方向への移動)を少なくすることができる。
なお、物品125を取り出すことができれば、物品125の背面127に限らず、突出部48は、物品125のどの部分と接触してもよい。物品125は、例えば、紙葉類や梱包材などの柔軟性を有する不定形物である場合もある。また、物品125の背面127が鉛直面に対して傾いている場合や湾曲している場合がある。このような場合、取り出し動作時に物品125の背面127の傾きや湾曲は、突出部48に倣うように、物品125は姿勢を変更しつつ移動する。
図16は、第1の実施形態に係るハンドリングロボットシステム100の機能ブロック図である。先述したように、画像センサ131は、載置領域内にある物品125の画像データを取得する。認識制御部135は、画像センサ131から出力される画像データに基づいて物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を認識する。認識制御部135は、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を移載装置110の制御部115に送信する。
制御部115は、CPU(Central Processing Unit)153などのプロセッサを備えるマイクロコンピュータである。制御部115は、例えば、CPU153などのプロセッサが、メモリ154や補助記憶装置155に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、制御部115のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Interated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
制御部115は、認識制御部135から送信された物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を受信し、取り出し対象の物品125を決定する。先述したように、制御部115は、マニピュレータ111の動作を制御することにより、保持機構1を載置領域内の任意の位置に移動させる。また、制御部115は、駆動部30の動作を制御し、板連結機構40の収納状態と突出状態との切り替えを可能とする。これにより保持機構1の形状を変化させることができる。駆動部30には、突出部48のZ軸方向の長さ(板連結機構40の突出量)を検出する突出量検出部36が備えられている。突出量検出部36は、突出部48のZ軸方向の長さを示す情報を制御部115に送信する。制御部115は、この情報に基づいて、突出部48のZ軸方向の長さを調整するように制御する。
制御部115は、機能部として、保持制御部156および重量物制御部157を備える。保持制御部156は、保持機構1が適正に物品125を保持するように制御する。例えば、突出部48が物品125の重心から離れた位置と接触する場合がある。この状態で物品125を移動させると、物品125が並進動作と回転動作をして突出部48から物品125が外れやすくなる。この場合、保持機構1は安定して物品125を保持することができない。
保持制御部156は、認識制御部135から受信した物品125の位置、姿勢および形状を示す情報に基づいて、保持機構1による物品125の保持状態を検出する。保持制御部156は、物品125の回転動作を検出した場合、保持状態が不適正であると判断する。また、保持制御部156は、物品125の回転動作を検出しなかった場合、保持状態が適正であると判断する。なお、保持制御部156は、マニピュレータ111の力センサ151から受信した信号に基づいて、保持状態を検出してもよい。
保持制御部156は、保持状態が不適正であると判断した場合に、保持機構1による保持動作をやり直す。すなわち保持制御部156は、突出部48と物品125の接触を一旦解除する。保持制御部156は、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報から物品125の重心位置を推測して、適切な位置に保持機構1を移動させ突出部48と物品125を再接触させる。そして、保持制御部156は、保持機構1による保持状態を再判断する。保持制御部156は、取り出し対象の物品125の保持状態が適正であると判断するまで、上記処理を繰り返す。
重量物制御部157は、物品125の重量に応じて物品125の保持後の保持機構1の後退速度を調整するように制御する。取り出し対象の物品125が重量物である場合、保持機構1を後退させているときに、取り出し対象の物品125が周囲の物品125と接触して周囲の物品125破損させてしまうことがある。突出部48と取り出し対象の物品125とが接触した状態で後退させるとき、力センサ151は取り出し対象物品125の重量に応じて電気信号を出力する。重量物制御部157は、力センサ151から受信した電気信号に基づいて、物品125の重量を検出する。
重量物制御部157は、取り出し対象物品125の重量が所定重量以上のとき、取り出し対象の物品125が重量物であると判断する。この場合、重量物制御部157は、マニピュレータ111の移動速度を下げ、保持機構1の後退速度を下げる。保持機構1の後退速度を下げることで、取り出し対象の物品125が周囲の物品125に接触した場合に、周囲の物品125の破損を防止することができる。
本実施形態のハンドリングロボットシステム100を用いた物品125の取り出し動作の一例を図17を参照して説明する。まず、画像センサ131が、複数の物品125の画像データを取得する(ステップS501)。認識制御部135は、画像センサ131から出力される画像データに基づいて物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を認識し、この情報を制御部115に送信する(ステップS502)。制御部115は、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報に基づいて複数の物品125のなかで最初に取り出す物品125を決定する(ステップS503)。
制御部115は、取り出し対象の物品125の背面127の隙間に突出部48が進入可能かどうかの判定を行う。この際、制御部115は、取り出し対象の物品125の位置、姿勢および形状を示す情報と予め制御部115に記憶されている板連結機構40の厚さに基づいて判定を行う。(ステップS504)。例えば、物品125の背面127の隙間が、板連結機構40の厚さ(板材50の第1の面230から回動抑制部材70の上面までの厚さ)とほぼ同程度以上の隙間があれば、突出部48は隙間に進入可能である。このような予め定めた閾値以上の隙間を検出できない場合(ステップS504でNOの場合)は、ステップS505で後述する隙間生成動作を行ってから、再度ステップS504を実行する。ステップS504で予め定めた閾値以上の隙間を検出した場合(ステップS504でYESの場合)は、制御部115は、マニピュレータ111の動作を制御して図18(a)に示すように、保持機構1を収納状態で基台20の一端を取り出し対象の物品125の背面127の隙間の上方に位置するまで移動させる(ステップS506)。
次に図18(b)に示すように、制御部115が保持機構1を突出状態に切り替えて、突出部48を取り出し対象の物品125の背面127の隙間に進入させ、突出部48が、物品125の背面127付近に位置する状態にする(ステップS507)。制御部115は、保持機構1を後退させることで、突出部48と取り出し対象の物品125を接触させる(ステップS508)。接触させたまま、保持機構1を後退させようとすることで、取り出し対象の物品125は、搬送装置140に移動する向きに力が加わる。この状態で、以下のステップS509、ステップS511、ステップS512、ステップS513の判断を行う。
まず、保持機構1による取り出し対象の物品125の保持状態が適正であるかを取り出し対象の物品125の位置、姿勢および形状を示す情報に基づき判断する(ステップ509)。具体的には、取り出し対象の物品125の回転動作を保持制御部156が検出した場合は、保持状態が不適正であると判断する。また、保持制御部156が取り出し対象の物品125の回転動作を検出しなかった場合、保持状態は適正であると判断する。
ステップS509で保持状態が適正でないと判断した場合(ステップS509でNOの場合)、まず、保持制御部156は、突出部48の取り出し対象の物品125との接触を一旦解除する。保持制御部156は、取り出し対象の物品125の位置、姿勢および形状を示す情報から物品125の重心位置を推測して、適切な位置に保持機構1を移動させて、突出部48と取り出し対象の物品125を再度接触させる(ステップS510)。そして、ステップS509に戻り、再度保持状態が適切であるかどうかを再び判断する。
ステップS509で保持状態が適正であると判断した場合(ステップS509でYESの場合)、制御部115は、認識制御部135より送信された取り出し対象の物品125の位置、姿勢および形状を示す情報に基づき、取り出し対象の物品125の移動が他の物品125によって妨げられていないか(荷詰まりが生じていないか、または荷詰まりが生じるおそれがあるか)の判断を行う(ステップS511)。荷詰まりがある場合(ステップS511でYESの場合)、ステップS501に移行する。詳細については、後述する。
ステップS511で荷詰まりがないと判断した場合(ステップS511でNOの場合)、制御部115は、認識制御部135から送信された取り出し物品125の位置、姿勢および形状を示す情報に基づき、荷崩れの予兆があるかどうかの判断を行う(ステップS512)。ステップS512で荷崩れの予兆がある場合(ステップS512でYESの場合)、ステップS501に移行する。詳細については、後述する。
ステップS512で荷崩れの予兆がない場合(ステップS512でNOの場合)、重量物制御部157は、力センサ151により送信された電気信号に基づいて、取り出し対象の物品125が重量物であるかを判定する(ステップS513)。ステップS513で重量物ではないと判断された場合(ステップS513でNOの場合)、図18(c)に示すように、通常速度で引き続き、保持機構1を後退させることで物品125を移動させる(ステップS514)。ステップ513で重量物であると判断された場合(ステップS513でYESの場合)、図18(d)に示すように、通常速度よりも低速にして、引き続き保持機構1を後退させることで取り出し対象の物品125を移動させる(ステップS515)。
その後、取り出し対象の物品125が搬送装置140まで移載されたことを検出すると(ステップS516)、保持機構1は突出状態から収納状態に復帰する。以上により、物品125の移載動作が完了する。載置領域内に物品125が無くなるまで、この動作を繰り返す。
図19は、図17のステップS505の隙間生成動作の一手順例を示す。取り出し対象の物品125の背面127に隙間がない場合は、突出部48を進入させるための隙間を生成する必要がある。取り出し対象の物品125aとその背後にある物品125cとの間に隙間を生成したい場合、まず、保持機構1を収納状態で取り出し対象の物品125aの上面の上方まで移動させる(図19(a))。次に、第2の基台部24の下面25を取り出し対象の物品125aの上面に押し付けて接触させる(図19(b))。その後、押し付け状態で保持機構1を後退させると、接触面での摩擦により物体125aも保持機構1とともに移動する(図19(c))。こうして、取り出し対象の物品125aの背面に隙間が生成される。なお、第2の基台部24の下面25にゴムシートなどの高摩擦部材を配置してもよい。
図20は、図17のステップS505の隙間生成動作の別の手順例を示す。図20は、取り出し対象の物品125aの高さよりも、物品125aの背後にある物品125cの高さのほうが一定値よりも高い場合の隙間生成動作に適している。まず、保持機構1を収納状態で取り出し対象の物品125aの上面上まで移動させる(図20(a))。次に、そのまま保持機構1を前進させて押し当て部材90で、物品125cの前面を押し出す。(図20(b))。こうして、取り出し対象の物品125aの背面に隙間が生成される(図20(c))。
図21は、図17のステップS511で荷詰まりがあると判断した後の動作の一手順例を示す。図17のステップS511で、制御部115は、突出部48と取り出し対象の物品125eとを接触させて保持しつつ保持機構1を後退させながら、荷詰まりが生じているかの判断を行う。図21(a)のように、取り出し対象の物品125eが他の物品125fに引っかかっている場合や外部環境と機械的に干渉している場合は、保持機構1で取り出し対象の物品125eを移動させることが困難である。このとき力センサ151がマニピュレータ111に作用する過負荷を検知する。なお、マニピュレータ111を駆動させるモータの電流値から過負荷を検出してもよい。
この場合、再びステップS503において、荷詰まりが生じる物品125eに代えて新たな取り出し対象を決定する。制御部115は物品125の位置、姿勢および形状を示す情報に基づいて、例えば、荷詰まりの原因となっている物品125fを取り出し対象に変更する。この場合、図17のステップS504の判断で、物品125fの背面に突出部48が進入できる隙間がないと判断されるため、隙間生成動作を行う。この例では、物品125fよりも、物品125eの方が高いため、図20で説明した隙間生成動作と同様な動作を行う(図21(b)、図21(c)、図21(d))。隙間生成後は、先述したように、隙間に突出部48を進入させる(図21(e))。そして、保持機構1を後退させることで、物品125fを移動させる(図21(f))。
図22は、図17のステップS512で、荷崩れの予兆があると判断した後の、動作の一手順例を示す。図17のステップS512で、制御部115は、突出部48と取り出し対象の物品125gとを接触させて保持しつつ保持機構1を後退させながら、荷崩れの予兆があるかどうかの判断を行う。このとき物品125g以外の物品125hなどの動きを認識制御部135が検出すると、制御部115は、この情報に基づき、荷崩れの予兆があると判断し保持機構1の後退を停止する(図22(a)、図22(b))。
次に、再びステップS503において、荷崩れの予兆がある物品125gに代えて新たな取り出し対象を決定する、制御部115は、物品の位置、姿勢および形状を示す情報に基づいて、荷崩れの原因となっている物品125hを取り出し対象に変更する。この場合、図17のステップS504で、物品125hの背面に突出部48が進入できる隙間がないと判断されるため、隙間生成動作を行う。この例では、物品125hよりも、物品125gの方が高いため、図20で説明した隙間生成動作と同様な動作を行う(図22(c)、図22(d))。隙間生成後は、先述したように、隙間に突出部48を進入させる(図22(e))。そして、保持機構1を後退させることで、物品125hを移動させる(図22(f))。
以上、第1の実施形態に係る保持機構1の構成によれば、保持機構1は、収納状態では薄型で、突出状態では高剛性な突出部48を形成することができる。収納状態では薄型であるため、中間棚121の直下などの狭窄空間にも保持機構1を進入させることができる。また、高剛性な突出部48を形成することができるため、物品125を容易に保持することができる。また、保持機構1を備えた移載装置110およびハンドリングロボットシステム100により、中間棚121の直下などの狭窄空間に載置されている物品125を容易に保持して取り出すことができる。
なお、第1の実施形態では、制御部115における処理を、CPU153(中央演算処理装置)を用いてメモリ154などの外部記憶装置内のプログラムソフトで実現することを想定するが、CPU153を用いない単独の電子回路(ハードウェア)によって実現してもよい。また、クラウドサーバを介して処理を実行してもよい。
上述の第1の実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した効果と同様な効果を得ることも可能である。第1の実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD‐R、CD‐RW、DVD‐ROM、DVD±R、DVD±RW、Blu‐ray(登録商標)Discなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータまたは組み込みシステムが読み取り可能な記録媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは
、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPU153で実行させれば、ハンドリングロボットシステム100と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。また、記録媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークなどのMW(ミドルウェア)などが本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。さらに、第1の実施形態における記録媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネットなどにより伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記録媒体も含まれる。また、記録媒体は1つに限られず、複数の媒体から第1の実施形態における処理が実行される場合も、第1の実施形態における記録媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
なお、第1の実施形態におけるコンピュータまたは組み込みシステムは、記録媒体に記憶されたプログラムに基づき、第1の実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコンなどの1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステムなどの何れの構成であってもよい。また、第1の実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコンなども含み、プログラムによって第1の実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
(第1の実施形態の変形例1)
図23に第1の実施形態の変形例1に係る保持機構1aの側面から見た概略構成図を示す。第1の実施形態の変形例1では、第1の実施形態と同様の構成要素には、第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図16で示した保持機構1を保持機構1aに置き換えて以下説明する。
保持機構1aの板連結機構40aは、板材501と蝶番610を備えるが、回動抑制部材70が設けられていない。板材501の側面505に傾斜を設けている点と、第2の回転方向への回転時に隣接する板材501、501の側面505同士が接触する板材501、501間の距離で連結している点が第1の実施形態の板連結機構40と相違する。保持機構1aのその他の構成は、第1の実施形態に係る保持機構1と同様である。
突出部48を形成している板材501の第2の回転方向への回転が強制された場合において、隣接する板材501、501の側面505が接触する。この際、側面505に傾斜が設けられていることで、側面505の広範囲で接触するため、回転を抑制することができる。
第1の実施形態の変形例1に係る保持機構1aは、保持機構1の効果に加えて保持機構1で使用していた回動抑制部材70を使用しないため、製造コストを削減することができる。また、保持機構1aを備えた移載装置110およびハンドリングロボットシステム100を提供することができる。
(第1の実施形態の変形例2)
図24に第1の実施形態の変形例2に係る保持機構1bの側面図を示す。第1の実施形態の変形例2では、第1の実施形態と同様の構成要素には、第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図16で示した保持機構1を保持機構1bに置き換えて以下説明する。保持機構1bは、第1の実施形態に係る保持機構1の第2の基台部24の下面25に新たに吸着部170を設けている。保持機構1bのその他の構成は、保持機構1と同様である。
吸着部170は、例えばゴムや樹脂などで作製された吸着パッドなどである。なお、吸着パッドの代わりに、例えば粘着剤、粘着テープなどを用いてもよい。第2の基台部24の下面25に設ける吸着部170の数は、複数であってもよいし、1つであってもよい。なお、吸着部170のそれぞれは、真空エジェクタ、真空ポンプ、真空ブロワなどの真空発生器と組み合わせて構成してもよい。また、吸着部170のそれぞれは、図示しないチューブを介して圧力源に接続されてもよい。圧力源の減圧装置により、吸着部170と物品125が接触している空間を減圧することにより、吸着してもよい。チューブは、それぞれ別の圧力源に接続してもよい。
第1の実施形態の変形例2に係る保持機構1bは、保持機構1の効果に加えて物品125に対する吸着部170の吸着による保持を行うことができる。したがって、物品125に対して突出部48による接触による保持と吸着部170の吸着による保持を組み合わせることで、安定して物品125を保持することができる。また、保持機構1bを備えた移載装置110およびハンドリングロボットシステム100を提供することができる。なお、吸着部170が複数ある場合は、吸着部170のいずれかが破損している場合であっても、他の吸着部170を利用して物品125を保持することができる。
(第1の実施形態の変形例3)
図25、図26に第1の実施形態の変形例3に係る搬送装置140cの説明図を示す。第1の実施形態の変形例3では、第1の実施形態と同様の構成要素には、第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。搬送装置140cは、第1の実施形態に係る搬送装置140とは動作が異なる。搬送制御部145は、載置領域から取り出された物品125の搬送速度、搬送方向だけでなく、搬送装置140cの上面の上下動を制御する。
図25は、搬送装置140cの載置面が水平上下動する場合を示している。これにより、物品125を載置領域から搬送装置140cに移動させる際に、物品125の底面と搬送装置140cの上面を合せることで、物品125への衝撃を軽減でき、物品125の破損を防止することができる。
図26は、搬送装置140cの端部を上下動することで傾斜させる場合を示している。これにより、搬送装置140c全体を上下動する必要がないため、搬送装置140cの端部を上下動するアクチュエータの出力を低減できる。このため、小型のアクチュエータを使用することができ、装置全体の小型化が可能となる。また、図示しない隣接する搬送装置に物品125を搬送する場合、搬送装置140cの上面全体を上下動する方式では、隣接する搬送装置140cと隣接する搬送装置の上面の高さを揃える必要がある。一方、図26の搬送装置140cの端部を上下動する方式では、搬送装置140cと隣接する搬送装置の上面を揃えるための待ち時間がないため、移載動作のスループット向上を期待できる。なお、図26の搬送装置140cの端部を上下動する方式の場合は、搬送装置140cは、受動ローラであってもよい。
第1の実施形態の変形例3に係る搬送装置140cは、搬送装置140の効果に加えて載置領域から物品125を搬送装置140cに移動させる際に物品125の底面と搬送装置140cの上面全体または上面の端部を合せることができる。これにより、物品125への衝撃を軽減することができ、物品125の破損を防止することができる。また、搬送装置140cを備えたハンドリングロボットシステム100を提供することができる。
(第1の実施形態の変形例4)
図27および図28に第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dの斜視図および側面図を示す。第1の実施形態の変形例4では、第1の実施形態と同様の構成要素には、第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
保持機構1dは、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を高精度に検出するために保持機構1に新たにToF(Time of Flight)センサ210を設けている。保持機構1dのその他の部分は、第1の実施形態に係る保持機構1と同一である。使用するToFセンサ210は少なくとも1つ以上で、複数配置される方が好ましい。
ToF方式は、光の往復時間から対象物までの距離を測る方式である。ToF方式は、暗い環境でも計測可能、装置構成が単純、小型軽量、距離計測精度が高い、対象物の反射率や表面粗さや色などの影響が無いといったなど利点がある。ToFセンサ210は、第2の基台部24の下面25に設けられる。なお、ToFセンサ210を距離検出部と称すこともある。
図29は、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dを備えたハンドリングロボットシステム100の機能ブロック図である。制御部115dは、制御部115の機能に加えて、ToFセンサの210の位置とToFセンサ210から送信される計測値に基づいて、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を取得する。制御部115d内のメモリ154では、ToFセンサ210の位置とToFセンサ210の物品125の計測値を対応付けて記憶する。CPU153は、メモリ154に格納されたToFセンサ210の位置および物品125の計測値に基づいて物品125の3次元情報を算出する。これにより、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を取得することができる。
ToFセンサ210で物品125を計測する際には、マニピュレータ111で保持機構1dを移動しながら計測してもよいし、停止して計測してもよい。ToFセンサ210の数が少数である場合は、マニピュレータ111で保持機構1dを移動しながら物品125を計測することで、広範囲を短時間で計測可能である。一方、多数のToFセンサ210がある場合では、停止状態の保持機構1dで載置領域内の広範囲を短時間で計測可能である。
第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dと制御部115dを備えたハンドリングロボットシステム100は、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を取得する手段として、認識装置130による取得手段と、ToFセンサ210と制御部115dを使用した取得手段と、を持つ。制御部115dは、2つの取得手段を組み合わせることで、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を高精度に取得する。
第1の実施形態の変形例4に係るハンドリングロボットシステム100は、第1の実施形態に係るハンドリングロボットシステム100の効果に加えて、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を高精度に取得することができる。また、画像センサ131では計測しづらい環境下(例えば、かご台車120の中間棚121の上に積載されている物品125の数が多い場合などのかご台車120の周囲からかご台車120内の物品125が見えづらい場合)であっても、中間棚121の直下の空間に保持機構1dが進入し、かご台車120の内部から測定することで、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を取得することができる。
なお、取り出し対象の物品125までの距離を検出することができれば、ToFセンサ210に限定されず、光学センサやその他のセンサを使用してもよい。
また、保持機構1dを回転関節(図示しない)でマニピュレータ111に回動可能に連結させ、保持機構1dをマニピュレータ111で揺動させる。これにより、ToFセンサ210の光の放出方向数が二方向以上にすることができるため、制御部115dは、高精度に物品125の形状を検出し、物品125の形状に基づいて突出部48の-Z軸方向の長さを調整することで、物品125を安定して保持することができる。
さらに、マニピュレータ111と保持機構1dとの間に除振機構(図示しない)を配置することで、高精度に物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を検出することができる。除振機構には、例えば、ゴムなどの弾性体やダッシュポットなどの振動減衰装置を使用する。除振機構を配置することでマニピュレータ111から保持機構1までの振動を遮断することができる。これにより振動によるToFセンサ210の計測誤差を低減でき、高精度に物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を検出することができる。
(第1の実施形態の変形例5)
図30に第1の実施形態の変形例5に係る保持機構1eの側面図を示す。第1の実施形態の変形例5では、第1の実施形態の変形例4と同様の構成要素には、第1の実施形態の変形例4と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図29で示した保持機構1dを保持機構1eに置き換えて以下説明する。
保持機構1eの下面には、物品125の背面127の形状を高精度に検出するために、少なくともToFセンサ210aを含む第1グループと、少なくともToFセンサ210bを含む第2グループのセンサ群を設ける。ToFセンサ210a(第1グループ)からの光の放出方向とToFセンサ210b(第2グループ)からの光の放出方向とは異なるものとする。保持機構1eのその他の構成は、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dと同様である。
図30では、ToFセンサ210aは第2の基台部24の下面25から-Z軸方向に向いており物体の上面128をとらえやすい。ToFセンサ210bは第2の基台部24の下面25を傾斜させて、-Z軸方向に交差した方向に向いているため物品125の背面127をとらえやすい。二方向以上に光を発して計測して、計測値を制御部115dに送信する。制御部115dは、ToFセンサ210aとToFセンサ210bの計測値に基づいて、物品125の背面127の形状を高精度に取得する。
第1の実施形態の変形例5に係る保持機構1eを備えたハンドリングロボットシステム100は、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dを備えたハンドリングロボットシステム100の効果に加えて、物品125の背面127の形状を高精度に検出することができる。これにより、物品125の背面127の形状に基づいて、突出部48の-Z軸方向の長さを調整することで、物品125を安定して保持し取り出すことができる。
(第1の実施形態の変形例6)
図31に第1の実施形態の変形例6に係る保持機構1fの側面図を示す。第1の実施形態の変形例5では、第1の実施形態の変形例4と同様の構成要素には、第1の実施形態の変形例4と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図29で示した保持機構1dを保持機構1fに置き換えて以下説明する。保持機構1fは、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dに新たに傾斜センサ216を配置する。保持機構1fのその他の構成は、保持機構1dと同様である。
制御部115dは、傾斜センサ216の計測値とToFセンサの計測値を組み合わせることで、物品125の位置、姿勢および形状を高精度に取得することができる。
例えば、マニピュレータ111と保持機構1を固定している部材にたわみが生じているとする。この場合、第2の基台部24の下面25を地面に対して水平にしておいたつもりでも、傾いてしまう場合がある。この状態で、ToFセンサ210による物品125の計測を行うと計測誤差が生じてしまう。このような場合、制御部115dは、傾斜センサ216から受信した計測値とToFセンサ210から受信した計測値に基づいて計測誤差の補正を行うため、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を高精度に取得することができる。
第1の実施形態の変形例6に係る保持機構1fを備えたハンドリングロボットシステム100は、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dを備えたハンドリングロボットシステム100の効果に加えて、傾斜センサ216の計測値とToFセンサ210の計測値とを組み合わせて計測誤差の補正を行うため、物品125の位置、姿勢および形状を示す情報を高精度に取得することができる。
(第1の実施形態の変形例7)
図32に第1の実施形態の変形例7に係る保持機構1gの側面図を示す。第1の実施形態の変形例7では、第1の実施形態の変形例4と同様の構成要素には、第1の実施形態の変形例4と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図29で示した保持機構1dを保持機構1gに置き換えて以下説明する。
保持機構1gは、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dの第2の基台部24の下面25に新たに空気排出装置218を配置する。保持機構1gのその他の構成は、保持機構1dと同様である。制御部115dは、空気排出装置218とToFセンサ210を組み合わせて動作させることで、物品125の柔軟性の有無を検出する。空気排出装置218は、物品125に対して空気を排出する装置である。物品125が柔軟性を持つ(物品125が不定形物)の場合、空気の排出により、物品125の形状が変形する。
制御部115dは、物品125に対して、空気を排出した場合と排出していない場合のToFセンサ210の計測値から、物品125の柔軟性の有無を判定する。制御部115dは、物品125の変形量に応じて、保持機構1gの物品125の保持後の後退速度を変更する。具体的には、物品125が柔軟性を持つ(物品125が不定形物)の場合は保持機構1gの後退を低速にする。これにより、不定形物の変形量の低減を図り、物品125の破損を防ぐことができる。
第1の実施形態の変形例7に係る保持機構1gを備えたハンドリングロボットシステム100は、第1の実施形態の変形例4に係る保持機構1dを備えたハンドリングロボットシステム100の効果に加えて、物品125の柔軟性の有無を検出することができる。また、第1の実施形態の変形例7に係る保持機構1gを備えたハンドリングロボットシステム100は、物品125が柔軟性を持つ(物品125が不定形物)の場合であっても、保持機構1gの後退速度を低速にすることで、物品125の破損を防止しながら取り出すことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成要素には、第1の実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図33は、第2の実施形態に係るハンドリングロボットシステム100hを示している。ハンドリングロボットシステム100hは、荷降ろし装置250、制御部115h、搬送装置140、搬送制御部145および認識装置130を備える。
荷降ろし装置250は、かご台車120に載置された物品125の位置に合わせて物品125を取り出すことができる取り出し機構260と、上面の高さを変更可能なコンベア270と、を備える。取り出し機構260は、移動機構265と保持機構1を備える。保持機構1は、移動機構265に取り付けられる。移動機構265は、保持機構1をX軸方向とZ軸方向(上下方向)に移動させる。コンベア270の長さ(X軸方向)は、かご台車120から搬送装置140の距離に合わせる。コンベア270はZ軸方向(上下方向)に高さを可変できる装置が好ましい。制御部115hは、荷下ろし装置250の動作を制御する。
荷降ろし装置250の動作について説明する。まず、移動機構265によって保持機構1を取り出し対象の物品125の上面より高い位置に移動させる。また、かご台車120に載置されている物品125の下面の高さまで、コンベア270を上昇させる。コンベア270の上面の高さと物品125の下面の高さをそろえた状態で、物品125の背面127の隙間に保持機構1の突出部48を進入させ、保持機構1を後退させる。これにより、かご台車120に載置されている物品125を荷降ろしすることができる。次に、物品125を乗せたコンベア270の上面の高さを搬送装置140の高さまで下降(変更)させた状態に変更する。高さを調整後にコンベア270を駆動させることにより、コンベア270上の物品125を搬送装置140上に移動させることができる。
以上、第2の実施形態に係る荷降ろし装置250の構成によれば、荷降ろし装置250は、保持機構1を備える。荷降ろし装置250は、中間棚121の直下などの狭窄空間に保持機構1を進入させることができる。保持機構1が高剛性な突出部48を形成することができるため、荷降ろし装置250は、物品125を容易に保持して荷降ろしすることができる。また、コンベア270は、Z軸方向に高さを可変できる。このため、物品125のかご台車120からコンベア270への移動とコンベア270から搬送装置140への移動の際に生じる物品125への衝撃を軽減でき、物品125の破損を防ぐことができる。また、荷降ろし装置250を備えたハンドリングロボットシステム100hを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。