JP7344921B2 - ドラム状体の製造方法 - Google Patents

ドラム状体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7344921B2
JP7344921B2 JP2021048589A JP2021048589A JP7344921B2 JP 7344921 B2 JP7344921 B2 JP 7344921B2 JP 2021048589 A JP2021048589 A JP 2021048589A JP 2021048589 A JP2021048589 A JP 2021048589A JP 7344921 B2 JP7344921 B2 JP 7344921B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel plate
shaped body
drum
welding
rolled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021048589A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022147377A (ja
Inventor
徹 矢ヶ崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2021048589A priority Critical patent/JP7344921B2/ja
Publication of JP2022147377A publication Critical patent/JP2022147377A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7344921B2 publication Critical patent/JP7344921B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

本発明は、金属製の原板からドラム状体を製造する方法に関する。
例えば、車両の変速手段として、エンジンなどの駆動源の回転速度を連続的に変化させる無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が用いられているが、特にベルト式無段変速機(ベルト式CVT)は、駆動側のドライブプーリと従動側のドリブンプーリとの間に無端状の金属ベルトを巻き掛けて構成されている。このようなベルト式無段変速機に用いられる金属ベルトは、金属製の複数のエレメントを無端状の一対の金属製フープによって環状に連結して構成されており、金属製フープは、複数の金属リングを積層することによって構成されている。
上記金属リングは、ドラム状体を輪切り状に所定幅ごとに切断した後に圧延し、さらに圧延されたリング状部材を所定の周長となるように周長補正することによって得られる。ここで、ドラム状体は、矩形状の薄い金属製の原板を打抜金型(パンチ)と剪断金型(ダイ)によって所定の形状に打ち抜く打抜き工程と、所定の形状に打ち抜かれた鋼板をその端面同士が対向するように丸めるローリング工程と、丸められた鋼板の端面同士を突き合わせてプラズマ溶接またはレーザー溶接によって接合する溶接工程とを経て製造される。
ところが、ドラム状体の製造における溶接工程において、溶接部分にブローホールが発生することがあり、このようなブローホールが発生すると、ドラム状体を所定幅に切断した後に圧延する際に割れ(クラック)が発生するという問題がある。すなわち、プラズマ溶接またはレーザー溶接のように突き合せ部分の一方の側からのみエネルギーを供給して溶接を行うと、突き合せ部分に形成されているバリ(かえり)が溶接部分に巻き込まれ、このバリが錆びることによってブローホールが発生する。
そこで、特許文献1には、打抜金型と剪断金型との間のクリアランスを鋼板の板厚全体の5~15%の範囲とし、剪断金型の刃先の半径を0~0.5mmの範囲とすることにより、溶接のために突き合わされる端縁部に形成される剪断面の厚さを当該鋼板の板厚全体の40~65%の範囲に設定する提案がなされている。
上記提案によれば、鋼板の剪断面の厚さを板厚全体の40~65%に設定することにより、鋼板の端縁部同士を突き合せたときに該端縁部同士の間隙(クリアランス)が低減され、しかも、剪断面によりバリが溶接接合部から離間することになり、このバリが溶接接合部に巻き込まれにくくなる。このとき、バリの高さが0.5mm未満であると、このバリが溶接接合部に巻き込まれにくくなる。この結果、溶接接合部におけるブローホールの発生が防がれる。
特許第4698940号公報
しかしながら、特許文献1において提案された方法は、バリの発生を許容しているため、剪断面の洗浄が不十分である場合には、剪断面に付着している油分や異物が溶接のエネルギー(溶接熱)によって気化し、このことがブローホールの発生を招く原因となる。ここで、ブローホールの生成メカニズムを図11に基づいて以下に概説する。
すなわち、図11はレーザー溶接におけるブローホールの生成メカニズムを説明するための部分断面図であり、レーザー溶接が母材の表面に対して平行(図示矢印方向)になされた場合、母材の切断面に付着している油分や異物が溶接のエネルギーによって気化して気泡が発生する。この場合、気泡は、ほぼ常にキーホール底部の先端部から発生し、この気泡が湯流れに沿って浮遊し、凝固壁にトラップされてポロシティ(Porosity)となる。このような気泡やポロシティの発生状況は、溶接条件によって異なり、ポロシティの内部のガスは、主にシールドガスを巻き込んでいる。したがって、切断面の清浄度が高ければ、溶接条件によってポロシティの発生を抑制することができるが、溶接によって気化する油分や異物が切断面に付着している場合には、溶接条件によってはポロシティの発生を抑制することができない。特に、切断面のレーザーが照射されない側では、清浄度による影響が大きい。
上述のように溶接欠陥の原因となるブローホールが発生する可能性があることから、製造されたドラム状体のX線透過検査(RT検査)や超音波探傷検査(UT検査)などによる品質管理が必要であり、そのための時間と労力を要するために生産性が低下するという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、ブローホールによる溶接欠陥の発生を防いで品質と生産性の向上を図ることができるドラム状体の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、金属製の原板(W1)を打抜金型(13)と剪断金型(11)によって所定の形状に打ち抜く打抜き工程と、所定の形状に打ち抜かれた鋼板(1)をその端面(1A,1B)同士が対向するように丸めるローリング工程と、丸められた鋼板(1)の端面(1A,1B)同士を突き合わせてプラズマ溶接またはレーザー溶接によって接合する溶接工程と、を含む工程を経てドラム状体(W)を製造する方法であって、前記溶接工程の前に、前記鋼板(1)の端面(1A,1B)をプラズマまたはレーザーの照射によって洗浄する洗浄工程を実施することを特徴とする。
本発明によれば、鋼板の端面に付着している油分や異物が洗浄によって除去されるため、これらの油分や異物の気化に起因するブローホールの発生を防止することができる。したがって、製造されるドラム状体の品質を向上させることができる。また、溶接欠陥の有無を検査するX線透過検査(RT検査)や超音波探傷検査(UT検査)などによる品質管理が不要となるので、ドラム状体の生産性の向上を図ることができる。
ここで、前記洗浄工程を、前記ローリング工程と前記溶接工程との間で実施することが望ましい。
上記構成によれば、ローリング工程において鋼板の端面に付着した油分や異物を次の洗浄工程においてプラズマまたはレーザーの照射によって洗浄してこれらを確実に除去するようにしたため、次の溶接工程における油分や異物の気化に起因するブローホールの発生が防がれ、最終的な製品であるドラム状体の品質と生産性の向上が図られる。
また、前記洗浄工程におけるプラズマまたはレーザーの照射を前記鋼板(1)の端面(1A,1B)に垂直な方向から行うことが望ましい。
上記構成によれば、鋼板の端面にプラズマまたはレーザーが全面に亘って照射されるため、端面の全体がプラズマまたはレーザーによって洗浄され、端面に付着していた油分や異物が確実に除去される。
そして、前記洗浄工程におけるプラズマまたはレーザーの照射時に必要な前記鋼板(1)の開口幅w1は、
前記溶接工程において前記鋼板(1)の端面(1A,1B)同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板(1)の板厚をtとしたとき、次式:
にて求められる値に設定されていることが望ましい。
上記構成によれば、鋼板の端面に対してプラズマまたはレーザーをその全面に亘って照射することができるため、該端面の全面が確実に洗浄されて油分や異物が除去される。また、鋼板の開口幅を必要最小限に抑えることによって、ローリング工程によって円筒状に丸められた鋼板を、剛性が低い状態であっても、正確に位置決めすることができる。
また、前記洗浄工程におけるプラズマまたはレーザーの照射時に必要な前記鋼板(1)の開口幅w2は、
前記溶接工程において前記鋼板(1)の端面(1A,1B)同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板(1)の板厚をt、前記鋼板(1)の端縁に形成されたバリ(1d)の高さをhとしたとき、次式:
にて求められる値に設定されていることが望ましい。
上記構成によれば、プラズマまたはレーザーの鋼板の端面への照射をバリの高さを考慮して正確に行うことができるため、鋼板の端面に付着している油分や異物を洗浄によって一層確実に除去することができる。
さらに、溶接工程において前記鋼板(1)の端面(1A,1B)同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板(1)の板厚をtとしたとき、
前記ローリング工程において丸められた前記鋼板(1)を次式:
D1=(r+t)-r
にて求められる外径D1の治具(20)によって固定し、該治具(20)を、前記ローリング工程によって丸められた前記鋼板(1)の内径側に配置しても良い。
また、前記溶接工程において前記鋼板(1)の端面(1A,1B)同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板(1)の板厚をt、前記鋼板(1)の端縁に形成されたバリ(1d)の高さをhとしたとき、
前記ローリング工程において丸められた前記鋼板(1)を次式:
D2=(r+t)-(r-h)
にて求められる外径D2の治具(20)によって固定し、該治具(20)を、前記ローリング工程によって丸められた前記鋼板(1)の内径側に配置しても良い。
上記構成によれば、ローリング工程において円筒状に丸められた鋼板の内径側(内部)に治具を組み込んで該鋼板を所定量だけ拡径させることによって、鋼板の端面へのプラズマまたはレーザーの照射に必要な該鋼板の開口幅を簡単且つ正確に設定することができる。また、ローリング工程において円筒状に丸められる鋼板にラップ長(端面同士のオーバーラップ長さ)を設定することができるため、円筒状の鋼板の内径側(内部)に治具を容易に組み込むことができる。
本発明によれば、ブローホールによる溶接欠陥の発生を防いでドラム状体の品質と生産性の向上を図ることができるという効果が得られる。
(a)~(e)は本発明に係るドラム状体の製造方法をその工程順に示す斜視図である。 (a)は打抜き工程において鋼板を打ち抜く状態を示す部分断面図、(b)は打抜かれた鋼板の端縁部を示す部分断面図である。 洗浄工程におけるプラズマまたはレーザーの照射方向を説明する図である。 洗浄工程においてプラズマまたはレーザーを鋼板の端面に直角に照射するために必要な鋼板の開口幅(バリの高さを考慮しない場合)を示す図である。 洗浄工程においてプラズマまたはレーザーを鋼板の端面に直角に照射するために必要な鋼板の開口幅(バリの高さを考慮した場合)を示す図である。 (a)はローリング工程において鋼板の端部同士をオーバーラップさせた状態を示す図、(b)は鋼板の開口幅を治具によって設定する状態を示す図である。 鋼板のバリ高さと開口幅及び拡径代との関係を示す図である。 溶接工程において鋼板の端面同士を突き合せた状態を示す部分断面図である。 溶接工程における鋼板の接合部の状態を示す部分断面図である。 (a)~(c)は洗浄工程と溶接工程を同一工程内で行う場合の説明図である。 鋼板の溶接部におけるブローホールの生成メカニズムを説明する部分断面図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(a)~(e)は本発明に係るドラム状体の製造方法をその工程順に示す斜視図、図2(a)は打抜き工程において鋼板を打抜く状態を示す部分断面図、図2(b)は打ち抜かれた鋼板の端縁部を示す部分断面図である。
本発明に係るドラム状体の製造方法は、以下の4つの工程を経て図1(e)に示す円筒状のドラム状体Wを製造するものである。
(a)打抜き工程
(b)ローリング工程
(c)洗浄工程
(d)溶接工程
以下、上記各工程について説明する。
(a)打抜き工程:
打抜き工程は、図1(a)に示す原板W1を打抜金型(以下、「パンチ」と称する)13と剪断金型(以下、「ダイ」と称する)11(図2(a)参照)によって所定の形状に打ち抜く工程であって、この打抜き工程においては、図1(a)に示すように、鋼製の原板W1が打ち抜かれて略矩形(長方形)の鋼板1が得られる。この鋼板1の長辺の両端縁(短辺)近傍の4箇所には、矩形溝状の凹部2がそれぞれ形成されている。なお、原板W1の材料としては、マルエージング鋼やステンレス鋼などが選定される。
原板W1の打ち抜きは、図2(a)に示すように、ダイ11と押さえパッド12との間に挟持された原板W1に対してパンチ13を下降させることによって行われる。すると、原板W1がパンチ13とダイ11の刃先とによって打ち抜かれて略矩形の鋼板1が得られるが、打ち抜かれた鋼板1は、パンチ13の下降に追従して下降するカウンタパンチ14によって支持される。
そして、打ち抜かれた鋼板1の長手方向両端面(切断面)1A,1Bには、図2(b)に示すように(図2(b)には一方の端面1Bのみ図示)、カウンタパンチ14側の表面に接する円弧凸曲面状のダレ1aと、このダレ1aに続く略垂直な剪断面1bと、この剪断面1bに続く略45°傾斜した破断面1cとが形成される。また、破断面1cが形成される側(図2(b)の上側)の表面には、略垂直に起立するシャープな形状のバリ(かえり)1dが形成される。なお、鋼板1の他方の端面1Aにも、一方の端面1Bと同様にダレ1aと、剪断面1bと、破断面1c及びバリ1dが形成されている(図8参照)。
(b)ローリング工程:
ローリング工程は、前の工程である打抜き工程において所定の形状に打ち抜かれた鋼板1を、図1(b)に示すように、その端面1A,1B同士が対向するようにベンディングによって円筒状に丸める工程である。
(c)洗浄工程:
洗浄工程は、前の工程であるローリング工程において丸められた鋼板1の端面1A,1Bを図1(c)に示すようにプラズマまたはレーザーの照射によって洗浄する工程である。このようにローリング工程の後に洗浄工程を実施すると、ローリング工程において鋼板1の端面1A,1Bに付着した油分や異物を当該洗浄工程においてプラズマまたはレーザーの照射によって洗浄して除去することができる。そのため、次の溶接工程において油分や異物の気化に起因するブローホールの発生が防がれ、最終的な製品であるドラム状体W(図1(e)参照)の品質と生産性の向上が図られる。以下、レーザーの照射による洗浄について説明するが、プラズマの照射によっても同様に洗浄を行うことができる。
ここで、図3に鋼板1の一方の端面1Aへのレーザーの照射について説明すると、レーザーの端面1Aへの照射は、図3に実線の矢印にて示すように、該端面1A(より詳細には略垂直な剪断面1b)に直角な方向(鋼板1の上下面に平行な方向)から行うべきである。その理由を以下に説明する。
図3に破線の矢印にて示すように、鋼板1の端面1A(剪断面1b)に対して斜め上方からレーザーを図示のLの範囲に照射すると、鋼板1の端面1Aのダレ1aの図示X部分にレーザーを照射することができず、この部分の洗浄を行うことができない。また、図3に一点鎖線の矢印にて示すように、鋼板1の端面1A(剪断面1b)に対して斜め下方からレーザーを図示のLの範囲に照射すると、鋼板1の端面1Aの破断面1cが形成される部分Yにレーザーを照射することができず、この部分の洗浄を行うことができない。
これに対して、図3に実線の矢印にて示すように、鋼板1の端面1A(剪断面1b)に直角な方向(鋼板1の上下面に平行な方向)からレーザーを照射すると、レーザーを必要な範囲Lに照射することができ、鋼板1の端面1Aの全域に亘って洗浄を行うことができ、この端面に付着している油分や異物を確実に除去することができる。なお、図3において、fはレーザー焦点距離である。
ところで、洗浄工程の前工程であるローリング工程において、鋼板1は、図1(b)に示すように、その端面1A,1B同士が対向するように円筒状に丸められている。そのため、当該鋼板1の端面1A,1Bに直角にレーザーを照射するためには、図4に破線にて示すように、円筒状に丸められた鋼板1の端面1A,1B同士を図示の開口幅w1だけ離して、図4に実線にて示すように該鋼板1を拡径させる必要がある。具体的には、開口幅w1は、一方の端面1Aの外端縁aが他方の端面1Bの内端縁bよりも内径側(図4の下方)に位置する値である。具体的には、後述の溶接工程において鋼板1の端面1A,1B同士を突き合わせたときの半径をr、鋼板1の板厚をtとしたとき、次式:
にて求められる値に設定される。
鋼板1の端面1A,1Bの開口幅w1を式(1)にて表される値に設定することによって、図4に示すように、レーザーを鋼板1の一方の端面1Bに対して直角(水平)に照射して該端面1Bの全面を洗浄することができる。このため、鋼板1の端面1Bに付着している油分や異物を洗浄によって確実に除去することができる。また、鋼板1の開口幅w1を必要最小限に抑えることによって、ローリング工程によって円筒状に丸められた鋼板1を、剛性が低い状態であっても、正確に位置決めすることができる。
なお、鋼板1の他方の端面1Aを洗浄するには、鋼板1の全体を他方の端面1Aが垂直になるまで図4の時計方向に所定角度だけ回転し、この端面1Aに対してレーザーを直角となる方向(水平方向)から照射すれば良い。ここで、図4において、fはレーザー焦点距離、Δfはレーザー焦点距離の許容範囲である。
ところで、洗浄工程におけるレーザーの照射時に必要な鋼板1の開口幅を、鋼板1の端面に発生するバリ1dの高さを考慮して次のように設定することもできる。
すなわち、図5に破線にて示すように、ローリング工程において円筒状に丸められた鋼板1の端面1A,1B同士を離して図5に実線にて示すように拡径させる場合に必要な鋼板1の開口幅w2を、バリ1dの高さを考慮して次のように設定しても良い。
すなわち、溶接工程において鋼板1の端面1A,1B同士を突き合わせたときの半径をr、鋼板1の板厚をt、鋼板1の端縁に形成されたバリ1dの高さをhとしたとき、洗浄工程におけるプラズマまたはレーザーの照射時に必要な鋼板1の開口幅w2は次式:
で求められる値に設定される必要がある。
鋼板1の開口幅w2を式(2)で表される値に設定することによって、レーザーの鋼板1の端面1A,1Bへの照射をバリ1dの高さhを考慮して正確に行うことができるため、鋼板1の端面1A,1Bに付着している油分や異物を洗浄によって一層確実に除去することができる。
なお、以上は鋼板1の端面1A,1Bへのレーザーの照射による洗浄について図示及び説明したが、鋼板1の端面1A,1Bの洗浄は、プラズマの照射によっても同様に行われる。
ところで、ローリング工程において鋼板1を円筒状に丸める過程において、図6(a)に破線で示すように、鋼板1の端部同士を図示の長さδだけオーバーラップさせて該鋼板1を縮径させた状態から、図6(b)に示すように、所定の外径D1またはD2の円筒状のコレットチャックなどの治具20を鋼板1の内径側(内部)に嵌め込んで円筒状の鋼板1を拡径させ、該鋼板1の端部を所定の開口幅w1(式(1)参照)またはw2(式(2)参照)だけ開口させるようにすることができる。
ここで、溶接工程において鋼板1の端面1A,1B同士を突き合わせたときの半径をr、鋼板1の板厚をtとしたとき、鋼板1に開口幅w1(図4参照)の開口部を形成するには、外径D1が次式にて表される治具20を用いれば良い。
D1=(r+t)-r …(3)
また、鋼板1に、バリ1dの高さhを考慮した開口幅w2(図5参照)の開口部を形成するには、外径が次式にて表されるD2の治具20を用いれば良い。
D2=(r+t)-(r-h) …(4)
以上のように、ローリング工程において円筒状に丸められた鋼板1の内径側(内部)に外径D1または外径D2の治具20を組み込んで該鋼板1を所定量だけ拡径させることによって、鋼板1の端面1A,1Bへのプラズマまたはレーザーの照射に必要な該鋼板1の開口幅w1またはw2を簡単且つ正確に設定することができる。また、ローリング工程において円筒状に丸められる鋼板1に図6(a)に示すラップ長(端面1A,1B同士のオーバーラップ長さ)δを設定することができるため、円筒状の鋼板1の内径側(内部)に治具20を容易に組み込むことができる。
ここで、鋼板1の突き当て内径(端部1A,1B同士を突き当てた状態における内径)と、板厚と、バリ高さと、開口幅と、開口時の内径及び拡径代の一例を表1に示す。なお、表1に示す数値の単位は全てmmである。
表1に示すように、鋼板の突き当て内径が105.00mm(一定)、板厚が0.30mm(一定)である場合にバリ高さがそれぞれ0.0mm、0.10mm、0.30mm、0.50mmと増大すると、開口幅は、それぞれ5.62mm、6.49mm、7.94mm、9.16mm、開口時の内径は、それぞれ106.79mm、107.06mm、107.53mm、107.91mm、拡径代(開口幅-突き当て内径)は、それぞれ1.79mm、2.06mm、2.53mm、2.91mmと大きくなる。
以上の関係を図示すると図7に示す結果となる。
すなわち、図7はバリ高さに対する開口幅と拡径代との関係を示す図であり、本図からも上記の事実(バリ高さの増加と共に開口幅と拡径代も増加する事実)が明らかである。
(d)溶接工程:
溶接工程においては、前工程である洗浄工程において端面1A,1Bが洗浄された鋼板1の端面1A,1B同士、具体的には、図8に示すように、端面1A,1Bの略垂直な剪断面1b同士を突き合わせ、その突合せ部を例えばレーザー溶接によって接合する工程である。この溶接工程においては、図1(d)に示すように、鋼板1の端面1A,1B同士の突合せ部(溶接部)の近傍に形成された計4つの凹部2に位置決め治具3をそれぞれ嵌め込んで当該鋼板1を位置決めした状態で、レーザー溶接がなされて鋼板1の端面1A,1B同士の突き合わせ部が接合(熱溶着)され、図1(e)に示す最終製品であるドラム状体Wが得られる。
以上のように、本発明に係るドラム状体の製造方法によれば、溶接工程の前に実施される洗浄工程において鋼板1の端面1A,1Bがプラズマまたはレーザーの照射によって洗浄され、これらの端面1A,1Bに付着している油分や異物が除去されるため、溶接工程において油分や異物が溶接のエネルギー(溶接熱)によって気化することに起因するブローホールの発生が防がれる。ここで、溶接工程における鋼板1の接合部の状態を図9に示すが、図11との比較において明らかなように、本発明に係る製造方法においては、ブローホールの発生原因となる油分や異物が除去されて存在しないため、溶接欠陥の1つであるブローホールが発生しない。
したがって、溶接欠陥の有無を検査するX線透過検査(RT検査)や超音波探傷検査(UT検査)などによるドラム状体Wの品質管理が不要となり、該ドラム状体Wの品質と生産性の向上が図られる。
特に、本発明に係る製造方法においては、洗浄工程を、ローリング工程と溶接工程との間で実施するようにしたため、ローリング工程において鋼板1の端面1A,1Bに付着した油分や異物を次の洗浄工程においてプラズマまたはレーザーの照射によって洗浄してこれらを除去することができ、次の溶接工程における油分や異物の気化に起因するブローホールの発生が確実に防がれる。
次に、洗浄工程と溶接工程を同一工程内で行う例を図10に基づいて以下に説明する。
図10(a)~(c)は洗浄工程と溶接工程を同一工程内で行う場合の説明図であって、この例では、図10(a)に示すように、治具20によって鋼板1を拡径させて両端面1A,1B間に所定の開口幅w1(またはw2)を設定する。そして、鋼板1の一方の端面1Aが当該鋼板1の軸心Oを通る水平面上に位置するように当該鋼板1を位置決めし、この状態で鋼板1の一方の端面1Aに対してレーザーを垂直上方から照射して該端面1Aを洗浄する。
次に、図10(a)に示す状態から、図10(b)に示すように、鋼板1を治具20と共に軸心Oを中心として図示の角度αだけ矢印方向(時計方向)に回転させて鋼板1の他方の端面1Bを、軸心Oを通る水平面上に位置させる。そして、この状態において、鋼板1の他方の端面1Bに垂直上方からレーザーを照射して該端面1Bを洗浄する。
以上のようにして鋼板1の両端面1A,1Bの洗浄が終了すると、図10(c)に示すように、外径が2rである、治具20よりも小さな別の治具30を用いて鋼板1を図10(a),(b)に示す拡径状態から縮径させ、両端面1A,1B同士を互いに突き合わせる。次に、鋼板1を治具30と共に図10(b)に示す状態から軸心Oを中心として図10(c)に示す角度βだけ矢印方向(反時計方向)に回転させれば、鋼板1の端面1A,1B同士の突き合わせ部が真上に位置する。そして、この状態から鋼板1の真上に位置する両端面1A,1Bの突き合わせ部にその真上方向からレーザー溶接して接合する。このようにすれば、洗浄工程と溶接工程を同一工程内で短時間に率良く実施することができ、省力化を実現して製造コストを低く抑えることができる。
なお、以上は主にレーザーの照射による洗浄とレーザー溶接について説明したが、プラズマの照射による洗浄とプラズマ溶接を行っても前記と同様の効果が得られる。
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
1 鋼板
1A,1B 鋼板の端面
1a ダレ
1b 剪断面
1c 破断面
1d バリ
11 ダイ(剪断金型)
13 パンチ(打抜金型)
20,30 治具
D1,D2 治具の外径
h バリの高さ
r 鋼板の端面同士を突き合わせたときの半径
t 鋼板の板厚
W ドラム状体
W1 原板
w1,w2 鋼板の開口幅

Claims (6)

  1. 金属製の原板を打抜金型と剪断金型によって所定の形状に打ち抜く打抜き工程と、
    所定の形状に打ち抜かれた鋼板をその端面同士が対向するように丸めるローリング工程と、
    丸められた鋼板の端面同士を突き合わせてレーザー溶接によって接合する溶接工程と、
    を含む工程を経てドラム状体を製造する方法であって、
    前記溶接工程の前に、前記ローリング工程で丸められた前記鋼板の端面をレーザーの照射によって洗浄する洗浄工程を実施し、
    前記洗浄工程において、レーザーの照射前に、前記溶接工程において前記鋼板の端面同士を突き合わせたときの半径、及び前記鋼板の板厚に基づいて設定された開口幅を有するように、前記ローリング工程によって丸められた前記鋼板を拡径することを特徴とするドラム状体の製造方法。
  2. 前記洗浄工程におけるレーザーの照射を前記鋼板の端面に垂直な方向から行うことを特徴とする請求項1に記載のドラム状体の製造方法。
  3. 前記開口幅は、前記溶接工程において前記鋼板の端面同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板の板厚をtとしたとき、次式:
    にて求められるW1値に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のドラム状体の製造方法。
  4. 前記開口幅は、前記溶接工程において前記鋼板の端面同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板の板厚をt、前記鋼板の端縁に形成されたバリの高さをhとしたとき、次式:
    にて求められるW2値に設定されていることを特徴とする請求項に記載のドラム状体の製造方法。
  5. 前記溶接工程において前記鋼板の端面同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板の板厚をtとしたとき、
    前記ローリング工程において丸められた前記鋼板を次式:
    D1=(r+t) -r
    にて求められる外径D1の治具によって固定し、該治具を、前記ローリング工程によって丸められた前記鋼板の内径側に配置することを特徴とする請求項3に記載のドラム状体の製造方法。
  6. 前記溶接工程において前記鋼板の端面同士を突き合わせたときの半径をr、前記鋼板の板厚をt、前記鋼板の端縁に形成されたバリの高さをhとしたとき、
    前記ローリング工程において丸められた前記鋼板を次式:
    D2=(r+t) -(r-h)
    にて求められる外径D2の治具によって固定し、該治具を、前記ローリング工程によって丸められた前記鋼板の内径側に配置することを特徴とする請求項4に記載のドラム状体の製造方法。
JP2021048589A 2021-03-23 2021-03-23 ドラム状体の製造方法 Active JP7344921B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021048589A JP7344921B2 (ja) 2021-03-23 2021-03-23 ドラム状体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021048589A JP7344921B2 (ja) 2021-03-23 2021-03-23 ドラム状体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022147377A JP2022147377A (ja) 2022-10-06
JP7344921B2 true JP7344921B2 (ja) 2023-09-14

Family

ID=83463552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021048589A Active JP7344921B2 (ja) 2021-03-23 2021-03-23 ドラム状体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7344921B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004337974A (ja) 2003-03-05 2004-12-02 Trumpf Werkzeugmaschinen Gmbh & Co Kg 金属性のワークの熱加工のための方法
JP2005118796A (ja) 2003-10-15 2005-05-12 Honda Motor Co Ltd 突き合わせ溶接方法
WO2018062549A1 (ja) 2016-09-30 2018-04-05 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 被溶接部の洗浄方法、溶接システムおよびリングの製造方法
JP6645635B1 (ja) 2018-06-22 2020-02-14 日本製鉄株式会社 鋼板、テーラードブランク、熱間プレス成形品、鋼管、中空状焼入れ成形品、及び鋼板の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004337974A (ja) 2003-03-05 2004-12-02 Trumpf Werkzeugmaschinen Gmbh & Co Kg 金属性のワークの熱加工のための方法
JP2005118796A (ja) 2003-10-15 2005-05-12 Honda Motor Co Ltd 突き合わせ溶接方法
WO2018062549A1 (ja) 2016-09-30 2018-04-05 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 被溶接部の洗浄方法、溶接システムおよびリングの製造方法
JP6645635B1 (ja) 2018-06-22 2020-02-14 日本製鉄株式会社 鋼板、テーラードブランク、熱間プレス成形品、鋼管、中空状焼入れ成形品、及び鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022147377A (ja) 2022-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100228252B1 (ko) 고밀도 에너지빔의 사용에 의한 강관의 제조방법
JP2012170989A (ja) レーザ重ね溶接方法
JP2008110404A (ja) フランジにおける開口および隣接欠陥を補修する方法および装置
JP2836498B2 (ja) レーザ溶接製管方法
JP2012166234A (ja) 溶接鋼管の製造方法
JP4297341B2 (ja) 延性金属製部品の破断開始部形成方法及び破断開始部形成装置
JP7344921B2 (ja) ドラム状体の製造方法
JP2007229740A (ja) 重ねレーザ溶接方法
JPH0857642A (ja) 溶接鋼管の製造方法
JP2007283339A (ja) 突合せ溶接金属板の製造方法
JP4232024B2 (ja) 溶接ビード構造及び溶接方法
JP5803160B2 (ja) レーザ溶接鋼管の製造方法
JP6166679B2 (ja) めっき溶接鋼管の製造方法
JP2650558B2 (ja) 高加工性溶接鋼管の製造方法
JPH07144288A (ja) レーザー製管溶接方法
JP2011052777A (ja) 皿ばねの製造方法
JP2005118796A (ja) 突き合わせ溶接方法
JPH0947887A (ja) 筒形巻き金具の製造方法
JPH08155665A (ja) フェライト系ステンレス鋼のレーザ溶接方法
JP6787534B1 (ja) 組立スラブおよびその製造方法ならびにクラッド鋼材の製造方法
JPS5950435B2 (ja) 金属ストリップの連続処理製造ラインにおける金属ストリップ端部の接合方法
JP7356064B2 (ja) T継手、建築構造、及びt継手の製造方法
JP2007075839A (ja) アルミニウム構造体及びその製造方法
JP7294565B1 (ja) 突合せレーザビーム溶接方法
JPH02121736A (ja) アルミニウム合金製溶接缶胴体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230410

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230420

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230808

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7344921

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150