本出願は、その内容がここに全て引用される、2018年3月7日に出願された米国仮特許出願第62/639707号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
ガラスシートと平面との間の接着力であって、目標接着力範囲内の接着力を得るために、互いに反対の主面を有するガラス基板、例えば、ガラスシートを処理する方法が開示されている。1つ以上の実施の形態において、ガラスシートなどのガラス基板を処理する方法は、そのガラスシートの互いに反対の主面の少なくとも一方を、流体塗布装置と、酢酸、フッ化アンモニウム、および水を含む液体エッチング組成物とに接触させる工程を含み、その接触させる工程は、その互いに反対の主面の少なくとも一方への液体エッチング組成物の所定の移動量で行われる。この方法は、その所定の液体移動量を制御して、互いに反対の主面の少なくとも一方に調節可能にテクスチャを付け、テクスチャ付き主面を提供する工程をさらに含み、ここで、そのテクスチャ付き主面および平面が接触した状態に置かれたときに、そのテクスチャ付き主面と平面との間に接着力があり、その接着力は目標接着力範囲内にある。
1つ以上の実施の形態において、前記流体塗布装置は、流体をガラス基板に移動させられるどの適切な装置を含んでも差し支えない。例えば、流体塗布器は、噴射ノズル、布、スポンジ、パッド、ローラ、および/またはブラシの1つ以上からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。それゆえ、流体塗布器は、噴射ノズルとパッド、または噴射ノズルとローラ、または噴射ノズルとブラシを含むことができるであろう。いくつかの実施の形態において、その流体塗布器は、布とスポンジ、または布とパッド、または布とローラ、または布とブラシを含み得る。パッドは、流体を基板に塗布するための、どの適切なタイプの物質または材料から作られてもよく、例えば、パッドは、布または他の織物で巻かれたスポンジなど、材料の組合せから作られてもよい。同様に、ローラは、流体塗布操作中に基板と接触する織物、繊維、単繊維、剛毛または布を含む外面を備えてもよい。具体的な実施の形態において、流体塗布装置はローラを備える。いくつかの具体的な実施の形態において、そのローラは多孔質材料(例えば、スポンジ)を含み、これは、下記にさらに記載されている。いくつかの実施の形態において、そのローラは、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物から作られる。いくつかの実施の形態において、その流体塗布装置は、調節可能なエッチング液深さを有する槽を含む容器をさらに備え、そのローラは外周を有し、そのローラは、ある回転速度で回転するようにその容器に対して位置付けられており、そのローラの外周は、ある接触角およびあるローラ浸漬深さ「Ds」でエッチング液と接触する。
流体塗布装置の非限定例が、流体塗布装置101の形態で、図1~11に関して示されている。図1は、本開示の実施の形態による流体塗布装置101の概略図である。流体塗布装置101は、ガラスシートの形態にあることがある、基板105の第1の主面103aを液体107と接触させることができる。図のように、基板105は、第1の主面103aと反対の第2の主面103bをさらに含み得る。基板105の厚さ「T」は、第1の主面103aと第2の主面103bとの間に規定することができる。特定の用途に応じて、幅広い厚さが与えられるであろう。例えば、厚さ「T」は、約50マイクロメートル(μm)から約1センチメートル(cm)、例えば、約50マイクロメートルから約1ミリメート(mm)、例えば、約50マイクロメートルから500マイクロメートル、例えば、約50マイクロメートルから300マイクロメートルの厚さを有する基板を構成することができる。
図のように、基板105の厚さ「T」は、基板105の全長(図6~8参照)など、基板105のある長さに沿って実質的に一定であり得る。図2および4にさらに示されるように、基板105の厚さ「T」は、その長さに対して垂直であり得る基板105のある幅に沿って実質的に一定であり得る。さらに図に示されるように、基板105の厚さ「T」は、基板105の全幅に沿って実質的に一定であり得る。いくつかの実施の形態において、厚さ「T」は、基板105の全長および全幅に沿って実質的に一定であり得る。図示されていないが、さらなる実施の形態において、基板105の厚さ「T」は、基板105のある長さおよび/または幅に沿って変動してもよい。例えば、幅の互いに反対の外縁に、ある基板(例えば、ガラスリボン)の成形過程から生じ得る肥厚エッジ部分(エッジビード)が存在することがある。そのようなエッジビーズは、典型的に、ガラスリボンの高品質の中央部分の厚さより大きいことのある厚さを含む。しかしながら、図2および4に示されるように、そのようなエッジビーズは、基板105に形成された場合、基板105から既に分離されている。
図6~8に示されるように、基板105は、前縁105aおよび後縁105bを有するシートを含み得、ここで、基板105の長さは前縁105aと後縁105bとの間に延在する。さらなる実施の形態において、基板105は、リボンの供給源から提供することができるリボンから作ることができる。いくつかの実施の形態において、そのリボンの供給源は、流体塗布装置により処理または改質されるように解かれるリボンのスプールを含み得る。例えば、そのリボンは、リボンの下流部分が流体塗布装置101で処理または改質されながら、リボンのスプールから連続的に解くことができる。さらに、後続の下流工程(図示せず)では、そのリボンがシートに分割されることがある、または最終的に、処理済みリボンが貯蔵スプール上に巻かれることがある。さらなる実施の形態において、リボンの供給源は、基板105を成形する成形装置を含み得る。そのような実施の形態において、リボンは、その成形装置から連続的に延伸され、リボンを処理するために流体塗布装置101と接触され得る。その後、いくつかの実施の形態において、処理済みリボンは、次いで、1つ以上のシートに分割されることがある。あるいは、処理済みリボンは、その後、貯蔵スプールに巻かれることがある。
いくつかの実施の形態において、基板105は、シリコン(例えば、シリコンウエハーまたはシリコンシート)、樹脂、または他の材料を含み得る。さらなる実施の形態において、基板105は、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)、サファイヤ(Al2O3)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ゲルマニウム(Ge)または他の材料を含み得る。またさらなる実施の形態において、基板105は、ガラス(例えば、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスなど)、ガラスセラミック、またはガラスを含む他の材料から作ることができる。いくつかの実施の形態において、基板105は、ガラスシートまたはガラスリボンを含み得、約50マイクロメートルから約300マイクロメートルの厚さ「T」を有して可撓性であることがあるが、さらなる実施の形態において、他の範囲の厚さおよび/または非可撓性形態が与えられることがある。いくつかの実施の形態において、基板105(例えば、ガラスまたは他の光学材料を含む)は、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、または他の用途など、様々なディスプレイ用途に使用されることがある。
流体塗布装置101は、所望の目標接着力範囲に応じて、基板105の第1の主面103a上で、基板を様々なタイプの液体107と接触させるために使用されることがある。いくつかの実施の形態において、その液体は、基板105の第1の主面103aにテクスチャを付けるように設計された液体エッチング組成物を含む。その液体エッチング組成物は、基板105の第1の主面103aを形成する特定の材料にテクスチャを付けるように設計された材料エッチング液を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのエッチング液は、第1の主面103aで、ガラスを含む基板105にテクスチャを付けるためのガラスエッチング液を含み得る。さらなる実施の形態において、そのエッチング液は、第1の主面103a上で、シリコンを含む基板105にテクスチャを付けるのに適したエッチング液を含むことがある。
いくつかの実施の形態において、流体塗布装置101は、槽111を含む容器109をさらに備え、ここで、容器109の槽111内に液体107が収容されることがある。図1に示されるように、流体塗布装置101は、基板105の搬送方向113に沿って連続して配置された複数の容器109(図6~11における109a~eも参照のこと)を備え得る。図示されていない実施の形態において、1つの容器109が設けられることがあるが、複数の容器109は、槽111内の液体107の高度を変える応答時間を増加させ得、搬送方向113に沿って移動する基板105の異なる部分の選択的な処理速度も可能にできる。
図2を参照すると、容器109は、上縁203を含む調節可能なダム201をさらに備えることができる。図のように、槽111は、第1の端部分111aおよび第1の端部分111aと反対の第2の端部分111bを有することができる。図のように、槽111の第2の端部分111bは、調節可能なダム201により少なくとも部分的に画成することができる。実際に、図のように、調節可能なダム201は、容器109の格納壁211の少なくとも一部として機能することができ、ここで、槽111内の液体107の自由表面205の高度は、調節可能なダム201の高さ「H」を調節することによって調節することができる(図2および4参照)。実際に、液体107の自由表面205は、調節可能なダム201の上縁203を越えて延在し得、その後、調節可能なダム201を越えて溢れ格納区域207にこぼれ落ちることができる。
流体塗布装置101は、槽111の第1の端部分111aに通じる入口ポート208aをさらに備えることができる。図のように、入口ポート208aは、容器109の格納壁211を通る液体入口経路を提供することがある。あるいは、図示されていないが、入口ポート208aは、槽111に液体107を注ぐ、または他の様式で液体107を導入する、自由表面205の上に位置するポートを含むことがある。図1に示されるように、ポンプ115が、供給タンク117から液体107を、各槽111に関連付けられることがある入口ポート208aに接続された入口導管119に押し通すことがある。操作において、ポンプ115は、液体107を入口導管119から槽111の第1の端部分111aへと連続的に流すことがある。図2に示されるように、過剰な液体107は、次いで、調節可能なダム201の上縁203を越えて流れ、次に、液体210の溢れ流としてこぼれることがある。必要に応じて、溢れ格納区域207が、基板105の第1の主面103a上にテクスチャを与える過程中ずっと、調節可能なダム201を越えて連続的に溢れ得る液体210の溢れ流を収集することがある。必要に応じて、図3に示されるように、調節可能なダム201は、出口ポート208bと入口ポート208aとの間に配置されることがある。実際に、調節可能なダム201は、入口ポート208aと出口ポート208bとの間の液体107に対する障害物を提供する。調節可能なダム201は入口ポート208aと出口ポート208bとの間に配置されているので、調節可能なダム201の上縁203を越えて溢れる(例えば、連続的に溢れる)液体107のみが、入口ポート208aから出口ポート208bに到達するであろう。
出口導管121が、各槽111に関連付けられることがある出口ポート208bに接続されることがある。操作において、液体が、出口導管121を通って出口ポート208bから供給タンク117に重力供給されるか、または他のやり方で戻されることがある。図2に示されるように、出口ポート208bは、液体107が入口ポート208aから出口ポート208bへと方向213に槽111内を流動するように、入口ポート208aの下流に配置されることがある。図3および5は、入口ポート208aが第1の側壁301よりも第2の側壁303に近くに配置できる一方で、第2の側壁303よりも第1の側壁301により近く配置された出口ポート208bを概略示している。さらなる実施の形態において、入口ポート208a、出口ポート208b、および/または出口ポート208cが、垂直面305に沿って配置されることがあり、必要に応じて、第1の側壁301と第2の側壁303との間の中点を通ることがある。
いくつかの実施の形態において、流体塗布装置101は、槽111の第2の端部分111bに通じる別の出口ポート208cを含むことがある。図のように、出口ポート208cに、容器109の格納壁211を通る液体通路が設けられることがある。図2に概略示されるように、出口ポート208cは、設けられた場合、必要に応じて、槽111から液体107が出るのを防ぐために出口ポート208cに栓をするように設計されたキャップ215が設けられることがある。あるいは、出口ポート208cに、槽111から液体107を流し出すための収集容器217が設けられることがある。実際に、十分な時間に亘り使用した後、容器109から液体107の全てを除去するために、その系を洗い流すという要望があることがある。1つの実施の形態において、その系を洗い流すために、出口ポート208cからキャップ215を取り外し、廃棄または再利用のために、液体107を容器109から収集容器217中に流し出すことがある。
またさらなる実施の形態において、変換器装置219に変換器221およびキャップ223が設けられることがある。変換器221は、槽111内に挿入され、液体107が槽111から排出されるのを防ぐように出口ポート208cに係合するキャップ223により適所に固定されることがある。変換器221は、液体107を通る超音波を放出して、基板105の第1の主面103aの処理を向上させる、および/または槽111からの液体107で基板105の第1の主面103aにテクスチャを付けることにより達成される機能性を向上させることができる。
さらなる実施の形態において、ポンプ225が出口ポート208cに接続されて、出口ポート208cを通じて液体107を拍動で送るまたは他のやり方で導入することがある。出口ポート208cを通じて液体107(例えば、拍動液体107)を導入すると、液体107の混合および/または槽111内の流量特性を向上させることができる。
調節可能なダム201は調節可能な高度を与えるので、液体107に調節可能な深さD1、D2を与えることができる。この用途の目的のために、液体107の深さは、液体107の自由表面205の位置と、槽111の下限を少なくとも部分的に規定する、容器109の格納壁211の下側内面209の対応する位置との間に定義されると考えられ、ここで、下側内面209の対応する位置は、重力の方向に自由表面205の位置と揃えられる。いくつかの実施の形態において、図2に示されるように、調節可能なダム201の調節位置に対応する液体107の深さは、第1の端部分111aから第2の端部分111bの方向213に、第1の端部分111aの第1の深さ「D1」から、この第1の深さ「D1」より大きいことがある、第2の端部分111bの第2の深さ「D2」まで上昇し得る。いくつかの実施の形態において、図2に示されるように、下側内面209は、方向213および重力の方向に下方に傾斜することがあり得る。図のような、方向213のそのような下方傾斜は、直線(図示)または湾曲であってよい連続傾斜であり得る。さらなる実施の形態において、方向213の階段状または他の下方傾斜構成が設けられることがあるが、方向213の連続的な下方傾斜により、槽111内に適切な循環がなく液体107が存在するデッドスペースが避けられるであろう。方向213の下方傾斜は、方向213の液体107の流れを促進させるのに役立ち得、また上方傾斜または無傾斜の実施の形態と比べて、槽111内の液体107の循環および混合を促進するのに役立ち得る。
図2にさらに示されるように、流体塗布装置101は、容器109に対して回転可能に取り付けられたローラ227をさらに備えることがある。駆動機構229が、ローラ227の回転軸233に沿って延在する回転シャフト231に接続されることがある。駆動機構229は、回転シャフト231にトルクを印加して、ローラ227を回転軸233の周りの方向123に回転させることがある(図3参照)。駆動機構229は、連結器により回転シャフト231に直接接続されることがある駆動モータを含むことがある、もしくは駆動ベルトまたは駆動チェーンにより回転シャフトに間接的に接続されることがある。いくつかの実施の形態において、1つの駆動モータが設けられることがあり、1つ以上の駆動ベルトまたは駆動チェーンが、各それぞれの回転軸233の周りで同じ回転速度で複数のローラ227を同時に回転させる。あるいは、個々の駆動モータが各それぞれの回転シャフト231に関連付けられて、互いに対するローラ227の独立した回転を可能にするとがある。
さらに図2に示されるように、いくつかの実施の形態において、ローラ227の回転軸233は、第1の端部分111aから第2の端部分111bまで方向213に延在することがある。このように、このローラは、ローラの第1の端部227aと第2の端部227bとの間のローラ227の長さが第1の端部分111aから第2の端部分111bまで液体流動方向213に向けられるように、方向付けることができる。図のような、ローラ227のそのような縦の向きにより、方向213の液体流に対する抵抗を最小にすることができる。さらに、図2に示されるように、ローラ227の第1の側での自由表面205aは、ローラ227の第2の側での自由表面205bと同じまたはほぼ同じ高度に維持されるであろう。同じまたはほぼ同じ高度に維持される自由表面205a、205bを提供することにより、槽111から基板105の第1の主面103aに液体107を持ち上げる際のローラの機能性を向上させることができる。
図2に示されるように、ローラ227の外周235は、多孔質材料により画成することができる。その多孔質材料はセルの閉じた多孔質材料を含み得るが、セルの開いた多孔質材料は、多量の液体を容易に吸収して、槽111から基板105の第1の主面103aへの液体移動量を増大させるであろう。ローラ227の外周235を画成する材料は、ポリウレタン、ポリプロピレンまたは他の材料から製造された剛性または可撓性材料から作ることができる。さらに、いくつかの実施の形態において、ローラ227の外周は、細孔または他の表面欠陥がなく、滑らかであることがある。さらなる実施の形態において、ローラ227の外周が、戻り止め、溝、ギザギザまたは他の表面パターンでパターン形成されることがある。またさらなる実施の形態において、その外周は、布地のローラの毛を含むことがある、および/または繊維、剛毛、または単繊維などの突起部を含むことがある。
いくつかの実施の形態において、ローラ227は、ローラ全体に亘り連続した組成と構成の単体円柱を含むことがある。さらなる実施の形態において、図のように、ローラ227は、内側コア237およびローラ227の外周235を画成する、内側コア237上に配置された外側層239含むことがある。図のように、内側コア237は中実内側コアからなることができるが、さらなる実施の形態において、中空内側コアが設けられることがある。その内側コアは、ローラ227を回転させるトルクの伝達を促進することができ、一方で、外側層239は、前記槽からの液体107の所望の持ち上げ、およびその液体の基板105の第1の主面103a上への移動を与えるように設計された材料から製造することができる。
図3を参照すると、ローラ227の直径307は、例えば、約10mmから約100mm、例えば、約10mmから約80mm、または20mmから約50mmであり得るが、さらなる実施の形態において、他の直径を有するローラが与えられることがある。さらに示されるように、ローラ227の外周235の部分309は、液体の調節可能な深さ内に配置されることがあり、0.5mmからローラ227の直径307の50%までの自由表面205から下のローラ浸漬深さ「Ds」まで延在し得る。いくつかの実施の形態において、ローラ浸漬深さ「Ds」は、約0.5mmから約10mmなど、約0.5mmから約25mmであり得るが、さらなる実施の形態において、他の浸漬深さが与えられることがある。ローラ浸漬深さ「Ds」は、この用途の目的に関して、ローラ227の最低部分が自由表面205の下に延在する深さと考えられる。図3に示されるように、ローラ浸漬深さ「Ds」は、最大深さ面311が自由表面205からずれている距離であり、その最大深さ面311は、自由表面205と平行であり、図示された円形円筒ローラ227の最低点の接線となるように延在する。
さらに図3および5に示されるように、ローラ227は、幅広い接触角A1、A2で液体107と接触する。いくつかの実施の形態において、接触角A1、A2は、槽111から基板105の第1の主面103aに所望の液体移動量を提供するために、90°から180°未満であり得る。この用途に関して、接触角は、その基板の第1の主面103aに向かう方向315に面し、ローラ227の回転軸233を通る接触面313と垂直面305との間の角度と考えられる。本開示の目的に関して、接触面313は、回転軸233および自由表面205の高度の延長線317とローラ227の外周235との交差線319と交差する面と考えられる。実際に、図3および5に示されるように、自由表面205の延長線317は、交差線319でローラ227の外周235と交差する。接触面313は、交差線319および回転軸233を含む面と考えられる。図3に示されるように、自由表面205a、205bは、ローラ227の各側で同じであり得る。このように、ローラ227の各側での接触角は、互いに同一であり得る。さらなる実施の形態において、自由表面205a、205bが異なる高度にある場合、ローラ227の各側に2つの異なる接触角が与えられることがある。
ここで、基板105を処理または改質して、互いに反対の主面の少なくとも一方に調節可能にテクスチャを付ける方法を記載する。基板105を処理または改質する方法は、容器109の槽111に液体107(例えば、エッチング液)を充填する工程を含み得る。いくつかの実施の形態において、槽111を充填する工程は、入口ポート208aを通じてその液体を導入する工程を含むことがある。さらなる実施の形態において、ポンプ115は、供給タンク117から液体を入口導管119に通して入口ポート208aに提供することがある。いくつかの実施の形態において、容器109の槽111には、基板105の第1の主面103aを、ローラ227により第1の主面103aに移動される液体と接触させている間に、液体107が連続的に充填されることがある。
基板105を処理または改質する方法は、ローラ227の外周235の一部を接触角A1、A2で液体107と接触させる工程も含み得る。いくつかの実施の形態において、図3および5に示されるように、その接触角は90°から180°未満であることがある。方法は、液体107の自由表面205の高度を変える工程も含み得る。この用途の目的について、図4を参照して、液体107の自由表面205の高度「E」は、いずれの可能な調節高度での自由表面205の高度よりも低い基準高度401に対して考えられる。自由表面205の任意の調節高度が常に海水面より高い実施の形態において、基準高度401は、必要に応じて、海水面と考えることができる。
高度を変える方法は、幅広い種類の方法で行うことができる。例えば、自由表面205の高度「E」を変える工程は、槽111を充填する流入液体の充填速度を変える(例えば、入口ポート208aを通じて)工程、および/またはその槽から出る流出液体の流出速度を変える(例えば、調節可能なダム201により)工程を含み得る。さらなる実施の形態において、液体高度「E」のレベル変化の度合いが高くなることにより増加した応答時間は、調節可能なダム201により達成することができる。したがって、本開示の実施の形態のいずれも、調節可能なダム201を調節することによって、液体高度「E」を調節する工程を含み得る。
調節可能なダム201により液体高度「E」を変える方法は、その液体の自由表面205は、調節可能なダム201の上縁203を越えて延在しつつ、槽を連続的に充填する工程など、槽を充填する工程を含み得る。槽111からのある量の液体210が、調節可能なダム201の上縁203を越えて連続的に溢れる。図2に示された自由表面205の高度を急激に減少させるために、作動装置241が調節可能なダム201を下向き方向243に引っ込めて、上縁203を、図2に示された上方位置から図4に示された下方位置まで移動させることがある。調節可能なダム201の比較的速い引っ込みに応答して、自由表面205の高度は、図4に示された高度「E」まで急速に低下させられることがある。
図4を参照すると、自由表面205の高度「E」を上昇させることが望ましい場合、作動装置241は、調節可能なダム201を、図4に示された下方位置から図2に示された上方位置まで上向き方向に伸ばすことがある。その結果、槽中への液体107の連続的充填(例えば、入口ポート208aを通じて)は、槽111を充填し続け、それによって、図2に示されるような、液体が調節可能なダム201を越えて連続的に溢れる定常状態が達成されるまで、液体107の自由表面205の高度「E」が上昇する。
自由表面205の高度「E」を変えると、結果的に、接触角A1、A2が変わる。実際に、調節可能なダム201を図2に示された上方位置に伸ばすと、自由表面205の高度「E」が上昇して、図3に示されるように、接触角が「A1」に減少する。比較的小さい接触角「A1」は、槽111から基板105の第1の主面103aへの比較的多い液体移動量を提供することができる。他方で、調節可能なダム201を図4に示された下方位置に引っ込めると、自由表面205の高度「E」が低下して、接触角が図5に示された「A2」に増加する。比較的大きい接触角「A2」は、槽111から基板105の第1の主面103aへの比較的少ない液体移動量を提供することができる。
前記方法は、回転軸233の周りにローラ227を回転させて、液体を槽111から基板105の第1の主面103aに移動させる工程をさらに含むことができる。図3に示されるように、例えば、ローラ227は、方向123に回転して、基板105の方向213の113への平行移動を促進しつつ、基板105の第1の主面103aを、移動される液体321の層323と接触させ、それによって、その第1の主面103aにその層323でテクスチャを付けることができる。図示された実施の形態において、基板105の第1の主面103aは、液体107の自由表面205の上に間隔が空けられ、自由表面205と面することがある。さらなる実施の形態において、ローラ227は、基板105の第1の主面103aと機械的に接触していないことがある。むしろ、図3に示されるように、移動液体の一部325が、ローラ227と接触しないように基板105を浮かせつつ、液体321を槽111から基板105の第1の主面103aに移動させることができる。その結果、基板105は、基板105にテクスチャが付けられ、方向113に沿って平行移動されているときに、各ローラ227の上部にある移動液体の一部325の上に支持され得る。
先に述べたように、液体移動量は、調節可能なダム201の上縁を上昇させて、接触角を減少させることによって、増加させることができる。実際に、図2に示された伸長位置において、調節可能なダム201は、その自由表面を図2および3に示された高度に上昇させる。図3に示された減少した接触角「A1」により、ローラ227の外周235上に持ち上げられている移動液体321の層の膜厚「F」は、より大きい接触角の場合と比べて、比較的厚いであろう。それゆえ、図3に示されるように、移動液体321の増加した移動量が、槽111から基板105の第1の主面103aに達成されるであろう。そのような例において、図3に示されるように、移動された液体321の比較的厚い層323が、基板105の第1の主面103aと接触するであろう。
先にさらに述べられたように、調節可能なダム201の上縁203を降下させて接触角を増加させることによって、液体移動量を減少させることができる。実際に、図4に示された引っ込み位置において、調節可能なダム201は、自由表面を図4および5に示された高度に降下させる。図5に示された増加した接触角「A2」により、ローラ227の外周235上に持ち上げられている移動液体321の層の膜厚「F」は、より小さい接触角の場合と比べて、比較的薄いであろう。それゆえ、図5に示されるように、移動液体321の減少した移動量が、槽111から基板105の第1の主面103aに達成されるであろう。そのような例において、図5に示されるように、移動された液体321の比較的薄い層323が、基板105の第1の主面103aと接触するであろう。
移動液体の移動量を増減させることは、基板105の異なる部分の選択的なテクスチャ付けを可能にすること、またはその基板の主面全体の上に異なるテクスチャを与えて、平面を有するガラス基板の目標接着力範囲内の接着力を得ることに有益であり得る。例えば、図6~11は、ローラ227に近づく基板105の後縁105bに応答して、液体移動量が減少させられる例を示している。図6~11に概略示されるように、流体塗布装置101は、方向113に平行移動する基板105の移動経路に沿って互いに間隔が空けられた複数のセンサ601、701、801、901、1001を備えることがある。図6に示されるように、後縁105bが第1のセンサ601に近づき、やがて第1のセンサ601で検出されるであろう。次に、第1のセンサ601は、通信経路を通じて信号を制御装置125(図1参照)に送信することができる。それに応じて、制御装置125は、信号を、第1の容器109aの調節可能なダム201を下向き方向243に、図2に示された位置から図4に示された引っ込み位置まで引っ込める作動装置241に送信することができる。それに応じて、第1の容器109a内の液体107の自由表面205の高度「E」が、図6に示された高度から図7に示された高度まで急速に降下する。高度「E」の急激な降下のために、接触角は増加し(例えば、A2に)、それによって、後縁105bが第1の容器109aに関連するローラ227の上を通過するときに、移動液体321が槽111から基板の第1の主面103aに持ち上げられる量が減少する。移動液体321の移動量が減少すると、後縁105bが第1の容器109aに関連するローラ227の上を通過するときに、基板105の第2の主面103b上にそうでなければ望ましくなく付着するかもしれない液体の跳ねを減少させることができる。このように、このローラは、比較的小さい接触角「A1」に関連する移動液体321の増加した移動量を提供して、第1の主面103aのローラによる適切な接触を提供しつつ、後縁105bがローラを通過するときに、比較的大きい接触角「A2」を提供して、移動液体321がローラ227により持ち上げられる量を減少させて、基板105の第2の主面103bに液体が望ましからず跳ねるのを避けることができる。高度「E」の変化は、ローラ浸漬深さDsも変化させる。さらに下記に述べるように、接触角、ローラ浸漬深さDs、および/またはローラ回転速度に対する変化は、処理されている基板の主面上に得られるテクスチャに影響を及ぼす。
いくつかの実施の形態において、制御装置125は、中央処理装置(CPU)、メモリ、および支援回路(図示せず)を備える。制御装置125は、接触角およびローラ浸漬深さDsも変化させる高度「E」、並びにローラの回転速度を制御することがある。制御装置125は、これらのパラメータを、直接的に、または特定のモニタリングシステムに関連するコンピュータ(または制御装置)および/または支援システムの構成要素により、制御することがある。制御装置125は、機械部品の位置決めおよび回転速度を制御するために工業環境で使用できる汎用コンピュータ処理装置および流体塗布装置に使用されるサブプロセッサのいずれかの形態の内の1つであることがある。制御装置125のメモリ、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、光学式記憶媒体(例えば、コンパクトディスクまたはデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、もしくは局所またはリモートの、デジタル保存のいずれか他の形態などの容易に入手できるメモリの1つ以上であることがある。前記支援回路は、従来の様式でCPUを支援するためにCPUに結合されている。これらの回路は、キャッシュメモリ、電源、クロック回路、入力/出力回路およびサブシステムなどを含む。1つ以上のプロセスまたはルックアップテーブルが、流体塗布装置101の作動を制御するために実行または起動されることのあるソフトウェアルーチンとしてメモリに保存されることがある。このソフトウェアルーチンは、CPUで制御されているハードウェアから遠隔地に位置する第2のCPU(図示せず)により記憶および/または実行されることもある。制御装置125は、配線接続を介して、もしくは無線で、例えば、ブルートゥース(登録商標)または他の適切な無線接続を使用して、接続されることがある。
図7に示されるように、次に、後縁105bが第2のセンサ701に近づき、やがて第2のセンサ701によって検出されるであろう。次に、第2のセンサ701は、通信経路を通じて信号を制御装置125に送信することができる。それに応じて、制御装置125は、信号を、第2の容器109bの調節可能なダム201を下向き方向243に、図2に示された位置から図4に示された引っ込み位置まで引っ込める作動装置241に送信することができる。それに応じて、第2の容器109b内の液体107の自由表面205の高度「E」が、図7に示された高度から図8に示された高度まで急速に降下する。高度「E」の急激な降下のために、接触角は増加し(例えば、A2に)、それによって、後縁105bが第2の容器109bに関連するローラ227の上を通過するときに、移動液体321が槽111から基板の第1の主面103aに持ち上げられる量が減少する。移動液体321の移動量が減少すると、後縁105bが第2の容器109bに関連するローラ227の上を通過するときに、第2の主面103b上に望ましくなく付着するかもしれない液体の跳ねを減少させることができる。
同様にして、図8~11に示されるように、次に、後縁105bがセンサ801、901、1001に連続して近づき、やがてセンサ801、901、1001によって連続的に検出されるであろう。次に、センサ801、901、1001は、通信経路を通じて対応する信号を制御装置125に送信することができる。それに応じて、制御装置125は、それぞれ、順次的な信号を、第3、第4、および第5の容器109c、109d、109eの各々に関連する作動装置241に送信して、第3、第4、および第5の容器109c、109d、109eの調節可能なダム201を順次的に引っ込めることができる。次いで、調節可能なダム201は、下向き方向243に図2に示された位置から図4に示された引っ込み位置まで引っ込められる。それに応じて、液体107の自由表面205の高度「E」が、第3、第4、および第5の容器内で順次的に急速に降下する。高度「E」の急激な降下のために、接触角は増加し(例えば、A2に)、それによって、基板105の後縁105bが各順次的な容器109c、109d、109eに関連する各順次的なローラ227の上を通過するときに、移動液体321が槽111から基板の第1の主面103aに持ち上げられる量が減少する。移動液体321の移動量が減少すると、後縁105bが容器109c、109d、109eの各々に関連する対応するローラ227の上を通過するときに、第2の主面103b上に望ましくなく付着するかもしれない液体の跳ねを減少させることができる。
図示されていないが、基板105の後縁105bがローラ227を一旦通過すると、調節可能なダム201は、再び、図2に示された位置まで伸ばされて、液体の自由表面205の高度を上昇させて、方向113と反対の方向に基板が戻される準備のために、または新たな基板を受け入れる準備のために、増加した液体移動量を提供することがある。実際に、基板105の第1の主面103aの所望のテクスチャを達成するために、基板は、方向113および方向113と反対の方向に沿って往復して通過させられることがある。所望のレベルのテクスチャ付けが達成されるまで、各通過中に追加のテクスチャ付けを与えるために、各連続通過中に、新たなエッチング液が塗布されることがある(可能性のある濯ぎまたは他の処理中間工程を伴う)。
1つ以上の実施の形態において、図1~11に関して先に記載されたように液体移動量に変化をもたらす様々な工程パラメータの内の1つを制御することにより、互いに反対の主面の内の少なくとも一方に調節可能にテクスチャを付け、テクスチャ付き主面を提供するために、所定の液体移動の制御が可能になり、ここで、テクスチャ付き主面および平面が接触した状態に置かれたときに、そのテクスチャ付き主面と平面との間に接着力があり、その接着力は目標接着力範囲内にある。具体的な実施の形態において、図1~11に関して示された流体塗布装置101は、調節可能なエッチング液深さを有する槽を有する容器、およびローラの外周がある接触角およびあるローラ浸漬深さ「Ds」でエッチング液と接触するような回転速度で回転するように容器に対して回転可能に位置付けられたローラを備え得る。液体移動量に変化をもたらすパラメータは、互いに反対の主面の内の少なくとも一方の上に所望のテクスチャを与えて、ガラスシートが平面と接触した状態に置かれたときにの目標接着力範囲内の接着力を得るように、制御および/または調節される。
1つ以上の実施の形態において、所定の液体移動量は、接触角、ローラ浸漬深さ「Ds」、および回転速度の内の少なくとも1つの選択された値によって決定され、その選択された値は、所定の液体移動量に相互に関連付けられる。それゆえ、いくつかの実施の形態によれば、液体移動量に対する個々の接触角の効果を決定するために、個々の接触角値の範囲について、経験的データを得ることができる。次に、個々の接触角値の各々は、個々の液体移動量値に相互に関連付けられる。次に、個々の液体移動量値の各々は、ガラスシートの互いに反対の主面の内の少なくとも一方の上に得られたテクスチャに相互に関連付けられる。次に、各個々の液体移動量値の各々に得られたテクスチャは、個々の液体移動量値の各々により得られたテクスチャに関して平面上のガラスシートの接着力値を測定することによって、平面とのガラスシートの接着力値と相互に関連付けられる。
平面上のガラスシートの接着力値は、個々の液体移動量値の範囲から得られる様々なテクスチャの各々について、下記にさらに記載されるように測定することができる。個々の液体移動量値の範囲に得られる様々なテクスチャの各々は、特定の平面、例えば、製造操作中にガラスシートが上に置かれることがある真空処理装置に使用される真空チャックまたはサセプタに利用される金属平面とのガラスシートの接着力と相互に関連付けることができる。
同様に、液体移動量に対する個々のローラ浸漬深さ「Ds」値の効果を決定するために、個々のローラ浸漬深さ「Ds」値の範囲について、経験的データを得ることができる。次に、個々のローラ浸漬深さ「Ds」値の各々は、個々との液体移動量値に相互に関連付けられる。次に、個々の液体移動量値の各々は、ガラスシートの互いに反対の主面の内の少なくとも一方に得られるテクスチャに相互に関連付けられる。次に、各個々の液体移動量値に得られるテクスチャは、個々の液体移動量値の各々により得られるテクスチャについて、平面上のガラスシートの接着力値を測定することによって、平面とのガラスシートの接着力値に相互に関連付けられる。
同様に、液体移動量に対する個々のローラ回転速度値の効果を決定するために、個々のローラ回転速度値の範囲について、経験的データを得ることができる。次に、個々のローラ回転速度値の各々は、個々の液体移動量値に相互に関連付けられる。次に、個々の液体移動量値の各々は、ガラスシートの互いに反対の主面の内の少なくとも一方に得られるテクスチャに相互に関連付けられる。次に、各個々の液体移動量値の各々に得られるテクスチャは、個々の液体移動量値の各々により得られるテクスチャについて、平面上のガラスシートの接着力値を測定することによって、平面とのガラスシートの接着力値に相互に関連付けられる。
接触角、ローラ浸漬深さ「Ds」およびローラ回転速度の値、並びに様々な平面材料(例えば、金属、高分子など)との様々なガラス組成のガラス基板に関する液体移動量、テクスチャおよび接着力に対するそれらの経験的に決定された関係は、制御装置125のメモリ内のルックアップテーブル内に記憶させることができる。ガラスシートの処理または改質中、その制御装置は、接触角、ローラ浸漬深さ「Ds」およびローラ回転速度の1つ以上に関する値、並びに所望のテクスチャおよび目標接着力範囲内の接着力を調節可能に得るための液体移動量に対するそれらの関係を選択および/または調節することができる。接触角、ローラ浸漬深さ「Ds」およびローラ回転速度に加え、液体エッチング組成物中の酢酸の量および/またはフッ化アンモニウムの量が、エッチング液と接触させられたガラスシートの主面が、平面と接触した状態に置かれたときの、ガラスシートの接着力に影響を及ぼすであろう。したがって、液体エッチング組成物の組成は、所望のテクスチャおよび平面上のガラス基板の目標接着力範囲内の接着力を得るために、所定の値に調節することができる。
1つ以上の実施の形態において、所定の液体移動量は、接触角、ローラ浸漬深さDs、および回転速度の少なくとも1つの選択された値により決定され、その選択された値は、所定の液体移動量と相互に関連付けられている。
接触角、ローラ浸漬深さDs、回転速度、酢酸の量、およびフッ化アンモニウムの量の少なくとも1つ変えることによって、平面とのガラスシートの目標接着力範囲内の接着力を得ることができる。
いくつかの実施の形態において、前記目標接着力範囲内の接着力は、目標接着力範囲内の接着力を得るための所定の値に、回転速度を変えることにより、または回転速度を設定することにより、得られる。いくつかの実施の形態において、前記目標接着力範囲内の接着力は、目標接着力範囲内の接着力を得るための所定の値に、回転速度を変えることにより、または回転速度を設定することにより、得られる。いくつかの実施の形態において、前記目標接着力範囲内の接着力は、平面とのガラスシートの目標接着力範囲内の接着力を得るための所定の値に、ローラ浸漬深さDsを変えることにより、またはローラ浸漬深さDsを設定することにより、得られる。いくつかの実施の形態において、回転速度およびローラ浸漬深さDsの両方は、平面とのガラスシートの目標接着力範囲内の接着力を得るための所定の値に変えられるまたは設定される。
液体エッチング組成物中の酢酸の量も変えることができる。いくつかの実施の形態において、酢酸は、約20質量%から約70質量%、約30質量%から約65質量%、約40質量%から約65質量%、または約50質量%から約60質量%の量で液体エッチング組成物中に存在する。いくつかの実施の形態において、フッ化アンモニウムは、約5質量%から約40質量%、約5質量%から約35質量%、約5質量%から約30質量%、または約10質量%から約25質量%の量で液体エッチング組成物中に存在する。いくつかの実施の形態において、水は、約10質量%から約50質量%、約15質量%から約45質量%、約15質量%から約40質量%、または約20質量%から約35質量%の量で液体エッチング組成物中に存在する。この方法のいくつかの実施の形態において、ガラスシートは、化学強化されたガラスシートである。
他の実施の形態において、図1~11の装置は、互いに反対の主面を有するガラスシートを改質する方法を実施するために使用できる。ガラスシートを改質する方法は、容器の槽に、調節可能なエッチング液深さを有するエッチング液であって、ある量の酢酸、ある量のフッ化アンモニウム、およびある量の水を含むエッチング液を充填する工程;ある回転速度で回転するように容器に対して回転可能に位置付けられたローラの外周の一部を、ある接触角およびあるローラ浸漬深さDsでエッチング液と接触させる工程であって、ローラを回転させると、エッチング液が槽から動いて、ガラスシートの互いに反対の主面の少なくとも一方と接触する工程;および回転速度、接触角およびローラ浸漬深さDsの少なくとも1つを制御可能に変更して、互いに反対の主面の少なくとも一方に調節可能にテクスチャを付け、ガラスシートが平面と接触した状態に置かれたときに、目標接着力範囲内の接着力を得るようにテクスチャ付き主面を提供する工程を有してなる。この方法は、液体エッチング組成物中の酢酸の量を変える工程も含み得る。いくつかの実施の形態において、酢酸は、約20質量%から約70質量%、約30質量%から約65質量%、約40質量%から約65質量%、または約50質量%から約60質量%の量で液体エッチング組成物中に存在する。いくつかの実施の形態において、フッ化アンモニウムは、約5質量%から約40質量%、約5質量%から約35質量%、約5質量%から約30質量%、または約10質量%から約25質量%の量で液体エッチング組成物中に存在する。いくつかの実施の形態において、水は、約10質量%から約50質量%、約15質量%から約45質量%、約15質量%から約40質量%、または約20質量%から約35質量%の量で液体エッチング組成物中に存在する。
ガラスシートを改質する方法のいくつかの実施の形態において、ローラは多孔質表面を含む。いくつかの実施の形態において、回転速度、接触角、およびローラ浸漬深さDsは、制御装置により制御可能である。いくつかの実施の形態において、この制御装置は、回転速度、接触角、およびローラ浸漬深さDsの少なくとも1つを所定の値に制御して、平面とのガラスシートの目標接着力範囲内の接着力を得る。いくつかの実施の形態において、この制御装置は、この方法の完了の際に、接着力を増加させるように設定される。1つ以上の実施の形態において、この制御装置は、この方法の完了の際に、接着力を減少させるように設定される。
いくつかの実施の形態において、ここに記載された方法を使用して、製造過程または輸送過程中にガラス基板が接触する平面に対して予測可能かつ「調整可能な」(すなわち、調節可能な)静摩擦または接着特性を有するガラス基板を製造し、提供することができる。それゆえ、いくつかの実施の形態において、ガラス基板は、平面との接着(または前静摩擦(pro-stiction))を促進する目標接着力範囲内の比較的高い接着力を有するように、ガラスの主面を処理、改質、または調節可能にテクスチャ付けすることができる。他の実施の形態において、ガラス基板は、ガラス基板と平面を接着させない、または最小量の接着力で接着させる(または抗静摩擦(anti-stiction))目標接着力範囲内の比較的低いまたはゼロの接着力を有するように、主面を処理、改質、または調節可能にテクスチャ付けすることができる。
ここに記載された方法を使用して、ディスプレイガラス物品を形成することができ、本開示の態様は、ここに記載された方法により製造されたディスプレイガラス物品に関する。ディスプレイガラス物品は、製造操作中にディスプレイガラス物品の調整可能(すなわち、調節可能)かつ予測可能な取扱いおよび処理を可能にするように、そのガラス物品の主面が平面と接触した状態に置かれたときに、目標接着力範囲内の接着力を有する。例えば、包装操作中、ガラス物品の主面は、高分子平面と接触した状態に置かれることがある。1つ以上の実施の形態によれば、ガラス物品の主面が高分子主面と接触した状態に置かれたときに、目標接着力範囲内の調整可能かつ予測可能な接着力を有するガラス物品を提供することができる。他の実施の形態において、ガラス物品の主面は、真空室または他の処理室のテーブルまたはチャックなど、金属表面と接触した状態に置かれることがある。1つ以上の実施の形態によれば、ガラス物品の主面が金属主面と接触した状態に置かれたときに、目標接着力範囲内の調整可能かつ予測可能な接着力を有するガラスシートなどのガラス物品を提供することができる。
いくつかの実施の形態において、ガラスシートを処理または改質する方法は、ガラスシートを洗浄して、有機および/または無機汚染を除去する工程、および次いで、どのような残留物も除去するように十分に濯ぐ工程を含むことがある。その洗浄工程は、洗浄剤を含むことがある水溶液などの溶液を使用して行うことができる。一例において、ガラスシートを最初にKOH溶液で洗浄して、表面上の有機汚染物質および埃を除去することができる。他の洗浄溶液を、必要に応じて、代わりに使用してもよい。洗浄後、ガラス基板を、必要に応じて、例えば、脱イオン水で、濯いでもよい。
氷酢酸は、約17℃未満の温度で凍結し始める。したがって、いくつかの実施の形態において、エッチング組成物の温度は、約18℃から約90℃の範囲、例えば、約18℃から約40℃の範囲、約18℃から約35℃の範囲、約18℃から約30℃の範囲、約18℃から約25℃の範囲、またさらには約18℃から約22℃の範囲にあることがある。より低い範囲、例えば、18℃から30℃の範囲内のエッチング組成物の温度が好ましい。何故ならば、これにより、蒸気圧を低下させることができ、ガラス上に生じる蒸気関連欠陥が少なくなるからである。
それに加え、ガラス基板がエッチング組成物に暴露されるときのガラス基板自体の温度が、テクスチャ付け結果に影響を与え得る。したがって、エッチング組成物に暴露されたときのガラス基板は、約20℃から約60℃の範囲、例えば、約20℃から約50℃の範囲、または約30℃から約40℃の範囲にある温度であることがある。最適温度は、ガラス組成、環境条件および所望のテクスチャ(例えば、表面粗さ)に依存する。使用される場合、エッチング組成物浴は、ある場合には、層化および枯渇を防ぐために、再循環されることがある。
エッチング組成物との接触時間は、約5秒から約10分未満に及ぶ、例えば、約10秒から約分の範囲、約10秒から約3分の範囲、約10秒から約90秒の範囲、または約10秒から約60秒の範囲にあることがあるが、所望の表面テクスチャを達成するように必要に応じて、他の接触時間も使用してよい。エッチング組成物との接触後のガラス基板の表面テクスチャは、ガラス組成で異なる得る。したがって、あるガラス組成に最適化されたエッチング組成物の配合は、他のガラス組成のための変更が必要なことがある。そのような変更は、典型的に、ここに開示されたエッチング液の成分範囲内で実験により行われる。
前記ガラス基板は、ここに明白にまたは固有に開示された工程パラメータに耐えられるどの適切なガラス、例えば、アルカリケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、またはアルミノホウケイ酸塩ガラスから作られてもよい。そのガラス材料は、シリカ系ガラス、例えば、全てCorning,Inc.から入手できる、コード2318ガラス、コード2319ガラス、コード2320ガラス、Eagle XG(登録商標)ガラス、Lotus(商標)、およびソーダ石灰ガラスなどであってよい。他のディスプレイ用ガラスも、ここに記載された過程の恩恵を受けるであろう。それゆえ、ガラス基板は、先に記載されたCorning Incorporated社のガラスに限定されない。例えば、ガラスのある選択因子は、続いてイオン交換過程が行われるか否かであることがあり、その場合、ガラスがアルカリ含有ガラスであることが一般に望ましい。
ディスプレイ用ガラス基板は、様々な組成を有し得、異なる過程により成形することができる。適切な成形過程としては、以下に限られないが、フロート法、並びにスロットドロー法およびフュージョンドロー法などのダウンドロー法が挙げられる。例えば、米国特許第3338696号および同第3682609号の各明細書を参照のこと。スロットドロー法およびフュージョンドロー法において、新たに成形されたガラスシートは垂直方向に向けられている。
前記ガラス基板は、フラットパネルディスプレイの製造に使用するために、特別に設計されることがあり、2.45g/cm3未満の密度を示すことができ、いくつかの実施の形態において、約200,000ポアズ(P)超、または約400,000P超、または約600,000P超、または約800,000P超の液相粘度(液相温度でのガラスの粘度と定義される)を示すことがある。それに加え、適切なガラス基板は、0℃から300℃の温度範囲に亘る、28~35×10-7/℃、または28~33×10-7/℃の実質的に線形の熱膨張係数、および約650℃より高い歪み点を示すことができる。ここに用いられているように、「実質的に線形」という用語は、指定範囲に亘るデータ点の線形回帰が、約0.9以上、または約0.95以上、または約0.98以上、または約0.99以上、または約0.995以上の決定係数を有することを意味する。適切なガラス基板は、1700℃未満の溶融温度を有するものを含み得る。
記載された方法の実施の形態において、前記ガラス基板は、ガラスの主成分がSiO2、Al2O3、B2O3、および少なくとも2種類のアルカリ土類酸化物である組成を有する。適切なアルカリ土類酸化物としては、以下に限られないが、MgO、BaO、およびCaOが挙げられる。SiO2は、ガラスの基礎ガラス形成材として働き、フラットパネルディスプレイ用ガラス、例えば、アクティブマトリクス液晶表示パネル(AMLCD)に適した密度と化学的耐久性、並びにガラスをダウンドロー法(例えば、フュージョン法)で成形できるようにする液相温度(液相粘度)をガラスに与えるために、約64モルパーセント以上の濃度を有する。適切なガラス基板は、2.45g/cm3以下、または2.41g/cm3以下の密度、95℃で24時間に亘り5%のHCl溶液に研磨試料が暴露されたときに、約0.8ミリグラム/cm3以下の質量損失、および30℃で5分間に亘り1体積の50質量%のHFと10体積の40質量%のNH4Fの溶液に暴露されたときに、1.5ミリグラム/cm2以下の質量損失を有し得る。
本開示の実施の形態に使用するのに適したガラス基板は、バッチ材料を、従来の大量溶融技術、例えば、耐火溶融装置内でのジュール溶融を使用して溶融できるように約71モルパーセント以下のSiO2濃度を有し得る。いくつかの実施の形態において、SiO2濃度は、約66.0モルパーセントから約70.5モルパーセントの範囲、または約66.5モルパーセントから約70.0モルパーセントの範囲、または約67.0モルパーセントから約69.5モルパーセントの範囲にある。
酸化アルミニウム(Al2O3)は、本開示の実施の形態に使用するのに適した別のガラス形成材である。どの特定の動作理論によっても束縛されないが、約9.0モルパーセント以上のAl2O3濃度が、ガラスに低い液相温度および対応する高い液相粘度を与えると考えられる。少なくとも約9.0モルパーセントのAl2O3を使用すると、ガラスの歪み点および弾性率も改善されるであろう。詳細な実施の形態において、Al2O3濃度は、約9.5から約11.5モルパーセントの範囲にあることがある。
酸化ホウ素(B2O3)は、ガラス形成材および溶融を助け、溶融温度を低下させる融剤の両方である。これらの効果を達成するために、本開示の実施の形態に使用するのに適したガラス基板は、約7.0モルパーセント以上のB2O3濃度を有し得る。しかしながら、大量のB2O3は、歪み点(7.0モルパーセントを超えるB2O3の各モルパーセントの増加毎に約10℃)、ヤング率、および化学的耐久性の減少をもたらす。
適切なガラス基板は、約650℃以上、約655℃以上、または約660℃以上の歪み点、10.0×106psi(約69GPa)以上のヤング率、およびガラスのSiO2含有量の議論に関して上述したような化学的耐久性を有することがある。どの特定の動作理論によっても束縛されないが、高い歪み点は、ガラスの製造後の熱処理中の圧縮(収縮)によるパネル歪みを防ぐのに役立つであろうと考えられる。したがって、高いヤング率は、出荷および取扱い中の大型ガラスシートが示す垂下の量を減少させるであろうと考えられる。
ガラス形成材(SiO2、Al2O3、およびB2O3)に加え、適切なガラス基板は、少なくとも2種類のアルカリ土類酸化物、すなわち、少なくともMgOとCaO、および必要に応じて、SrOおよび/またはBaOも含むことがある。どの特定の動作理論によっても束縛されないが、アルカリ土類酸化物は、溶融、清澄、成形、および最終的な使用にとって重要な様々な性質をガラスに与えると考えられる。いくつかの実施の形態において、MgO濃度は、約1.0モルパーセント以上である。他の実施の形態において、MgO濃度は、約1.6モルパーセントから約2.4モルパーセントの範囲にあることがある。
どの特定の動作理論によっても束縛されないが、CaOは、低い液相温度(高い液相粘度)、高い歪み点とヤング率、およびフラットパネル用途、特に、AMLCD用途にとって最も望ましい範囲内の熱膨張係数(CTE)を生じると考えられる。CaOは、化学的耐久性に有利に寄与し、他のアルカリ土類酸化物と比べて、CaOは、バッチ材料として比較的安価であることも考えられる。したがって、いくつかの実施の形態において、CaO濃度は、約6.0モルパーセント以上である。他の実施の形態において、ディスプレイ用ガラス中のCaO濃度は、約11.5モルパーセント以下、または約6.5から約10.5モルパーセントの範囲にあり得る。
ある場合には、前記ガラス基板は、約60モル%から約70モル%の範囲のSiO2、約6モル%から約14モル%の範囲のAl2O3、0モル%から約15モル%の範囲のB2O3、0モル%から約15モル%の範囲のLi2O、約0モル%から約20モル%の範囲のNa2O、0モル%から約10モル%の範囲のK2O、0モル%から約8モル%の範囲のMgO、0モル%から約10モル%の範囲のCaO、0モル%から約5モル%の範囲のZrO2、0モル%から約1モル%の範囲のSnO2、0モル%から約1モル%の範囲のCeO2、50ppm未満のAs2O3、および50ppm未満のSb2O3を含むことがあり、ここで、12モル%≦Li2O+Na2O+K2O≦20モル%、および0モル%≦MgO+CaO≦10モル%であり、そのケイ酸塩ガラスは、リチウムを実質的に含まない。
ここに記載された特定のガラス基板は、積層ガラスであり得る。1つの態様において、そのディスプレイ用ガラス基板は、ガラスコアの少なくとも1つの露出面にガラス表皮をフュージョンドローすることによって製造される。一般に、ガラス表皮は、650℃以上の歪み点を有する。いくつかの実施の形態において、表皮ガラス組成物は、670℃以上、690℃以上、710℃以上、730℃以上、750℃以上、770℃以上、または790℃以上の歪み点を有する。開示された組成物の歪み点は、公知の技術を使用して、当業者により決定することができる。例えば、歪み点は、ASTM法のC336を使用して決定できる。
いくつかの実施の形態において、前記ガラス表皮は、フュージョン法によってガラスコアの露出面に施すことができる。適切なフュージョン法の一例が、ここに全てが引用される、米国特許第4214886号明細書に開示されている。フュージョンガラス基板成形法は、以下のように要約できる。異なる組成の少なくとも2つのガラス(例えば、ベースまたはコアガラスシートおよび表皮)を別々に溶融する。次に、それらのガラスの各々を、適切な送達システムを通じてそれぞれのオーバーフロー分配装置に送達する。それらの分配装置は、各々からのガラスが分配装置の上縁部分を越えて、少なくとも一方の側を下方に流れて、分配装置の片側または両側に適切な厚さの均一な流動層を形成するように一方を他方の上にして搭載されている。下側の分配装置を溢れ出る溶融ガラスは、分配装置の壁に沿って下方に流れ、底部分配装置の集束する外面に隣接して最初のガラス流動層を形成する。同様に、上側の分配装置から溢れ出る溶融ガラスは、上側の分配装置の壁を越えて下方に流れ、最初のガラス流動層の外面の上を流れる。2つの分配装置からのガラスの2つの個々の層が、下側の分配装置の集束面が交わるところに形成された延伸線で接合され、融合して、1つの連続して積層されたガラスリボンを形成する。2つのガラスの積層体における中心ガラスはコアガラスと呼ばれるのに対し、コアガラスの外面に位置付けられたガラスは、表皮ガラスと呼ばれる。表皮ガラスは、コアガラスの各表面上に位置付けることができる、またはコアガラスの片面に、1つだけ表皮ガラス層が位置付けられることがある。
前記オーバーフロー分配装置法は、そのように形成されたガラスリボンに火仕上げされた表面を与え、制御された分配装置により与えられたガラスリボン、およびそれから切断されたガラスシートの均一に分布する厚さは、ガラスシートに優れた光学品質を与える。ディスプレイ用ガラス基板として使用されるガラスシートは、100マイクロメートル(μm)から約0.7μmの範囲の厚さを有し得るが、ここに記載された方法から恩恵を受けるであろう他のガラスシートは、約10μmから約5mmの範囲の厚さを有することがある。ここに開示された方法に使用できる他の過程が、ここに全て引用される、米国特許第3338696号、同第3682609号、同第4102664号、同第4880453号、および米国特許出願公開第2005/0001201号の各明細書に記載されている。フュージョン製造法は、無垢の表面品質および拡張可能性を備えた、優れた厚さ制御により平らなガラス基板を含む、ディスプレイ業界にとっての利点を提示する。ガラス基板の平坦性は、平坦からのどのような逸脱も視覚歪みをもたらし得るので、液晶ディスプレイ(LCD)テレビのパネルの製造において重要であり得る。
いくつかの実施の形態において、名目上、アルカリ金属酸化物を含まず、酸化物基準の質量パーセントで計算して、約49から67%のSiO2、少なくとも約6%のAl2O3、SiO2+Al2O3>68%、約0%から約15%の範囲のB2O3、表示の配合の、約0から21%のBaO、約0から15%のSrO、約0から18%のCaO、約0から8%のMgOおよび約12から30%のBaO+CaO+SrO+MgOからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属酸化物を含む組成を有する、前記ガラス基板は、640℃以上の歪み点、約31×10-7/℃から約57×10-7/℃の範囲の熱膨張係数、および約95℃で5質量%のHCl水溶液中の24時間の浸漬後の20mg/cm2未満の質量損失を有するであろう。
先のガラス組成物は例示であり、他のガラス組成物が、ここに開示されたテクスチャ付け過程の恩恵を受けることがあることを理解すべきである。
接着力(静摩擦力)の測定:
ガラス基板の主面と別の平面との間の接着力(または静摩擦力)は、実施例で詳しく述べられる、2017年5月25日に出願された米国仮特許出願第62/511036号に記載された装置および方法を使用して測定することができる。手短に言えば、接着力は、ガラス物品の主面および平面を接触した状態に置き、力測定ゲージで、その主面および平面を分離する力を測定することによって、測定される。ガラス物品の主面は、テクスチャが付いていることがある。
実施例1
「Eagle XG」ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および室温(例えば、約25℃)での60質量%の酢酸、10質量%のNH4Fおよび30質量%のH2Oを含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は30から230秒に及び、ローラ速度は、5ミリメートル/秒から150ミリメートル/秒の範囲内で変えられ、ローラ浸漬深さDs(図において浸漬レベルと称される)は、2ミリメートルから10ミリメートルの範囲内で変えられた。
比較例1
実施例1の基板と同じ寸法を有する「Eagle XG」ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、エッチング組成物で処理しなかった。
比較例1A
以下の寸法を有する「Lotus」NXTガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は75から80秒に及び、ローラ速度は、80ミリメートル/秒から125ミリメートル/秒の範囲内で変えられ、ローラ浸漬深さDs(浸漬レベルと称される)は、1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内で変えられた。
比較例1B
「Eagle XG」ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での80秒間に亘る0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。接触時間およびローラ速度は、下記の表1に示されている。
実施例2
以下の寸法(100mm2)を有する「Lotus」NXTガラス基板(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は10から60秒に及び、ローラ速度は、25ミリメートル/秒から150ミリメートル/秒の範囲内で変えられ、ローラ浸漬深さDs(浸漬レベルと称される)は、2ミリメートルから10ミリメートルの範囲内で変えられた。
比較例2
実施例2としての以下の寸法[DIMENSIONS]を有する「Lotus」NXTガラス基板(Corning,Inc.から入手できる)を、エッチング組成物で処理しなかった。
実施例3
イオン交換済みの「Gorilla」Glass 3ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は30から60秒に及び、ローラ速度は、125ミリメートル/秒に維持され、ローラ浸漬深さDs(浸漬レベルと称される)は、6ミリメートルに維持された。
比較例3
実施例1の基板と同じ寸法を有するイオン交換済みの「Gorilla」Glass 3ガラス基板(Corning,Inc.から入手できる)を、エッチング組成物で処理しなかった。
実施例4
イオン交換していない「Gorilla」Glass 3ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は30から60秒に及び、ローラ速度は、125ミリメートル/秒に維持され、ローラ浸漬深さDs(浸漬レベルと称される)は、6ミリメートルに維持された。
比較例4
実施例1の基板と同じ寸法を有するイオン交換していない「Gorilla」Glass 3ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、エッチング組成物で処理しなかった。
実施例5
以下の寸法を有するイオン交換済みの「Gorilla」Glass 5ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は30から60秒に及び、ローラ速度は、125ミリメートル/秒に維持され、ローラ浸漬深さDs(浸漬レベルと称される)は、6ミリメートルに維持された。
比較例5
実施例1の基板と同じ寸法を有するイオン交換済みの「Gorilla」Glass 5ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、エッチング組成物で処理しなかった。
実施例6
イオン交換していない「Gorilla」Glass 5ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、開放多孔質網状構造および約5ショアAのジュロメータを有するポリウレタン化合物のスポンジ表面を有する直径40mmのローラ、および40℃での0.35MのNaF:1MのH3PO4を含む液体エッチング組成物を使用して、図1~11に関して記載された装置内で処理した。エッチング組成物の接触時間は30から60秒に及び、ローラ速度は、125ミリメートル/秒に維持され、ローラ浸漬深さDs(浸漬レベルと称される)は、6ミリメートルに維持された。
比較例6
実施例1の基板と同じ寸法を有するイオン交換していない「Gorilla」Glass 5ガラス基板(100mm2)(Corning,Inc.から入手できる)を、エッチング組成物で処理しなかった。
接着(静摩擦)力測定
接着(静摩擦)力を、以下に記載されるように測定した。全ての基板は、ステンレス鋼製平面上での接着(静摩擦)力について測定した。
図12は、ここに開示された実施の形態による例示の接着力測定装置1100の概略透視図を示しており、図13は、図12に示された装置1100の側面切欠図を示す。装置1100は、平面1102を有する基板接触部材1106を備える。基板接触部材1106は、接続ピン1118により安定化部材1116に剛結合されている。安定化部材1116は、次に、ネジ山の付いた係合部材1120および1122に結合されている。
図14Aは、図12および13に示された装置1100の基板接触部材1106の平面1102の底面透視図を示す。図14Aに示された実施の形態において、複数の平行通路1104が平面1102に刻まれている。
図14Bは、基板接触部材1106’の代わりの平面1102’の底面透視図を示し、通路1104’の少なくとも1つの他の部分に垂直な部分を有する通路1104’が平面1102’に刻まれている。通路1104’は、通路1104’の少なくとも他の部分に平行な部分も含む。通路1104’は、直角部分が4つの交差接続部分により接続されている、小さい方の直角部分を取り囲む大きい方の直角部分を含むと特徴付けることもできる。
特定の例示の実施の形態において、平面1102、1102’は、アルミニウム、鋼鉄、および黄銅の内の少なくとも1つなどの金属から作られる。平面は、セラミックまたはプラスチックなどの非金属材料から作られることもある。
特定の例示の実施の形態において、平面1102、1102’は、約5,000平方ミリメートルから約500,000平方ミリメートルの面積を有し得る。
特定の例示の実施の形態において、通路1104、1104’は、例えば、通路1104、1104’を含むための平面1102、1102’の機械的切断(例えば、機械加工)、レーザ切断、または成形などの1つ以上の方法によって、平面1102、1102’内に形成されることがある。通路1104、1104’の深さは、限定されないが、約0.5ミリメートルから約1ミリメートルに及び得る。通路1104、1104’の幅は、限定されないが、約0.5ミリメートルから約1ミリメートルに及び得る。通路1104、1104’の長さは、限定されないが、約10ミリメートルから約120ミリメートルに及び得る。
図12および13に示されるように、装置1100は、通路1104、1104’を真空源(図示せず)と流体連通させられる真空ライン1108および真空室1110をさらに備える。真空源は、平面1102、1102’が、平面を有する基板などの物体と接触するときに、通路1104、1104’内に生じる不完全真空を変えるように作動させることができる。
装置1100は、例えば、リード線1114を介してデータ処理ユニット(図示せず)と電気通信できる力測定ゲージ1112をさらに備える。特定の例示の実施の形態において、力測定ゲージ1112は、ロードセルを含み得る。そのロードセルは、例えば、当業者に公知のように、引張モードと圧縮モードの両方で較正された統合単方向ロードセルであり得る。例示の市販されているロードセルに、FUTEK Advanced Sensor Technology,Inc.、OMEGA Engineering、およびTransducer Techniquesから入手できるものがある。
図15A~Cは、それぞれ、第1、第2、および第3の位置の間で互いに対して動く、装置1100の基板接触部材1106および基板1200の側面透視図を示す。詳しくは、図15Aは、第1の位置から第2の位置への、装置1100の基板接触部材1106および平面1202を有する基板1200の相対運動の側面透視図を示している。図15Aに示されるように、基板接触部材1106の平面1102および基板1200の平面1202は、互いに接触していないが、矢印AおよびBに示されるように、互いに対して相対的に近づいている。
図15Bにおいて、基板接触部材1106を含む装置1100および基板1200は、第2の位置に示されており、基板接触部材1106の平面1102および基板1200の平面1202は、互いに接触している。この第2の位置にある間に、真空ライン1108および真空室1110による真空源の作動により、少なくとも1つの通路(たとえば、図14Aおよび14Bに示されたような、1104、1104’)に少なくとも不完全真空を生じることができる。
図15Cは、第2の位置から第3の位置への、装置1100の基板接触部材1106および平面1202を有する基板1200の相対運動の側面透視図を示している。図15Cに示されるように、基板接触部材1106の平面1102および基板1200の平面1202は、互いに接触しておらず、矢印AおよびBに示されるように、互から相対的に遠ざかっている。
図15A~15Cに示されるように、基板1200の平面1202の表面積は、基板接触部材1106の平面1102の表面積よりも大きく示されている。しかしながら、ここに開示された実施の形態は、基板1200の平面1202および基板接触部材1106の平面1102がほぼ同じ面積を有するもの、または基板接触部材1106の平面1102が基板1200の平面1202より大きい表面積を有するものなど、基板1200の平面1202および基板接触部材1106の平面1102が、図15A~15Cに示されたものと異なる相対的サイズであるものを含む。したがって、様々な表面積を有する基板の接着力を決定するために、装置1100を使用することができる。
装置1100と基板1200との間の相対運動は、装置1100および基板1200の一方または両方の運動により生じ得る。例えば、特定の例示の実施の形態において、装置1100は、基板1200に向かって、そして離れて動くことがある一方で、基板1200静止したままである。あるいは、特定の例示の実施の形態において、基板1200は、装置1100に向かって、そして離れて動くことがある一方で、装置1100は静止したままである。それに加え、特定の例示の実施の形態において、装置1100および基板1200の両方とも、互いに向かって、そして離れて動くことがある。
例えば、ここに開示された実施の形態は、例えば、その全ての開示がここに引用される、米国仮特許出願第62/262638号明細書に記載されたような、基板上の静電荷を測定するために使用されるシステムを含む、例えば、基板の追加の特徴を検査するシステムなど、より大型のプラットフォームまたはシステムに組み込まれる。そのようなシステムは、当業者に公知の方法にしたがって、湿度制御されることがある。
そのような実施の形態において、基板1200は、取付台に搭載され、必要に応じて、クランプ、真空チャック、および他の同様の構成要素または方法、もしくはその組合せなど、任意の適切な締結機構を使用してその取付台に固定されることがある。その取付台は、次いで、数ある中でも、取付台および装置1100を互いに対して位置付けるために使用できるアセンブリプラットフォームに含まれることがある。
例えば、いくつかの実施の形態において、装置1100は、ブラケット1124によって多軸作動装置に取り外し可能に固定されることがあり、その作動装置は、取付台に隣接して(例えば、その上に)位置付け、サーボモータなどのモータと位置決めセンサとの組合せなどにより、取付台に対する三次元運動を与えるように作動させることができる。その多軸作動装置は、所望の運動またはシーケンスを実施するためのプログラミングをさらに含み得る。そのモータは、所定の基板に選択されたプログラミングに基づいて、多軸作動装置の運動を促進するために使用することができる。
基板1200は、例えば、ガラス、プラスチック、金属、およびセラミックの内の少なくとも2つから作られた基板を含む、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、セラミック基板から選択することができる。特定の例示の実施の形態において、基板1200は、ガラスシートまたはパネルなど、ガラスから作られている。特定の例示の実施の形態において、基板1200は、いくつか例を挙げると、無機コーティング、有機コーティング、および高分子コーティングから選択される少なくとも1つの被覆材料など、少なくとも1種類の被覆材料で被覆されたガラスシートまたはパネルなど、ガラスから作られている。
基板1200の厚さは、限定されないが、例えば、約0.05ミリメートルから約5ミリメートルに及ぶことがある。基板1200の表面積は、限定されないが、例えば、約5,000平方ミリメートルから約500,000平方ミリメートルに及ぶことがある。
装置1100および基板1200は、第1、第2、および第3の位置の間で互いに対して動かされるときに、基板1200上への装置1100により印加される全荷重または力は、力測定ゲージ1112により測定することができ、リード線1114を通じてデータ処理ユニットに送信することができる。図16は、図15A~15Cに示されるような、装置1100および基板1200が、第1、第2、および第3の位置の間で互いに対して動かされるときの、時間の関数としての全荷重を示すグラフである。図17は、装置1100および基板1200が、第1の位置と第2の位置の間で互いに対して動かされるときの、時間の関数としての全荷重の拡大図を示すグラフである。図18は、装置1100および基板1200が、第2の位置と第3の位置の間で互いに対して動かされるときの、時間の関数としての全荷重の拡大図を示すグラフである。
詳しくは、図16~18は、5回の実験の実施に関する時間の関数としての平均全荷重を示す。図16~18に示されるように、装置1100は、図14Bに示されたような通路1104’を有する平面1102’を含む基板接触部材1106’を備えた。基板接触部材1106’はステンレス鋼から製造され、基板接触部材1106’の表面積は約10,907平方ミリメートルであり、通路1104’の深さは約0.76ミリメートルであり、通路1104’の幅は約0.76ミリメートルであった。基板1200は、約0.5ミリメートルの厚さおよび約9,123平方ミリメートルの表面積を有する、Corning Incorporatedから入手できる、「Eagle XG」ガラスから製造された。
図16~18に示されるように、装置1100および基板1200は、約53.3秒の時間まで、互いに相対的に近づけられ、その時点で、装置1100および基板1200は、装置1100の基板接触部材1106’の平面1102’と基板1200の平面1202が互いに接触している第2の位置にあった。第2の位置にある間に、通路1104’内で、約25mPaの負圧の不完全真空が生じた。接触した際に、装置1100により基板1200に印加された全荷重は、約0から約1.5ポンド(約680g)に急激に増加した。
図16~18に示されるように、装置1100の基板接触部材1106’の平面1102’と基板1200の平面1202は、約63.2秒の時間に亘り接触した状態に保持され、その後、約116.5秒の時点で、装置1100と基板1200は、基板接触部材1106’の平面1102’と基板1200の平面1202が接触していない第3の位置に動かされた。
図18に示されるように、基板接触部材1106’の平面1102’と基板1200の平面1202との間の接着力は、装置1100と基板1200が第2の位置から動かされ始める瞬間に、負の荷重として表される。図18の実施の形態において、その接着力は、約0.25ポンド(約113g)である。その接着力は、表面間の接着、この場合、基板接触部材1106’の金属表面と、基板1200のガラス表面との間の接着をもたらす様々な力の合計として広く纏めることができる。そのような力は、例えば、非共有結合された電荷相互作用による静電力、電荷状態に関係ない分子間引力、および液体媒介接触または接着による毛管力(例えば、湿度から生じるような)を含む。
力測定ゲージ1112を含む装置1100に関連して、その装置は、例えば、リード線1114を介してデータ処理ユニット(図示せず)と電気通信できる電位計も備えることがある。その電位計は、例えば、基板1200が第2の位置にあるときに、第2の位置と第3の位置との間の運動の結果として、基板接触部材1106、1106’の平面1102、1102’と基板1200との間の電荷移動を記録することができる。
図19は、比較例1の接着(静摩擦)力を実施例1のものと比較している。ポンドで表された静摩擦力が、未処理対照(比較例1)およびここに記載された1つ以上の実施の形態による処理済み基板(実施例1)に関して、浸漬レベルに対してプロットされている。右軸は、対照ガラス基板に対する静摩擦改善%に関する静摩擦力を表す。低いおよび高い浸漬レベル条件(それぞれ、液体エッチング組成物浴中にわずかに浸漬されたスポンジおよび完全に浸漬されたスポンジに対応する)下で処理された試料は、対照ガラスの比較例1と比べて約40~80%の範囲の非粘着性能を示し、高い浸漬レベル条件が最良の応答を示す。6ミリメートルの中間浸漬値は、約-15~50%の可変応答を生じ、ここで、負の値は、接着促進挙動を示す。
図20は、HFエッチング組成物で処理された試料(比較例1A)を実施例1の試料と比較するグラフである。比較例1Aの試料は、商業生産条件を模倣するために厳しいエッチング組成物接触時間の範囲下でしか実行されなかったので、エッチング組成物接触時間は、この特定の実験において重要な要因であると観察されなかった。この実験において、浸漬レベルは、図20に示されるように静摩擦力に関する重要な推進力であると観察され、ここで、わずかに浸漬されたローラは、抗静摩擦挙動に向かって反転する接着促進品質を示す。何故ならば、ローラは、次第に溶液で飽和されるからである。この実験において、ローラ速度は、重要な要因と観察されなかった。
図21は、実施例1および比較例1Aにしたがって処理された試料に関する、原子間力顕微鏡解析により得られたRaデータにおける平均粗さに対してプロットされた静摩擦力のグラフである。浸漬レベルが増加するにつれて、粗さは増加し、静摩擦力は減少した。これは、いくぶん直感に反するように思えた。示されたRa変化は小さく、本開示は、特定の原理または理論で限定されるべきではないが、可変工程条件により影響を受ける、静摩擦挙動に対する界面化学成分があると仮定される。比較例1Aの処理は、約-43%(静摩擦促進)から約-67%(静摩擦防止)に及ぶ静摩擦応答を生じた。接着力の調整可能性(すなわち、調整性)に関する根本的な理由(例えば、界面化学効果が加わったトポグラフィー)を今後の実験においてさらに研究する。
図22は、実施例2の基板および比較例2の基板を比較する、浸漬レベルに対する左のY軸上の静摩擦力および右のY軸の静摩擦改善%を示すグラフである。実施例2にしたがって処理されたガラス試料は、約-46%(静摩擦促進)から約46%(静摩擦防止)の全体的な静摩擦応答範囲を生じた。静摩擦調整可能性(すなわち、調整性)に対する根本的な理由(例えば、界面化学効果が加わったトポグラフィー)の理解を得るために、さらなる研究を行う。統計分析は、ローラの回転速度および液体エッチング組成物との接触時間は、実施例2の試料に関する静摩擦力に著しく影響しないことを示唆した。図19におけるような、浸漬レベルと静摩擦力との間に同様の関係が観察された。
図23は、比較例5および6の対照試料に対する実施例5および6に関するエッチング組成物との接触時間(エッチング時間)に対する左のY軸上の静摩擦力および静摩擦改善%を示すグラフである。データは、2つのエッチング組成物接触時間(30秒および60秒)に関する1つの浸漬レベル(6ミリメートル)および1つのローラ速度(125ミリメートル/秒)に基づく。
図24は、比較例3(対照-右の内側のY軸)および4(対照-右の外側のY軸)の対照データに対する実施例3および4に関するエッチング組成物との接触時間(エッチング時間)に対する静摩擦力データを示す。データは、4つの試料群の内の3つに抗静摩擦(低接着力)効果を示唆する。「Gorilla」Glass基板試料の処理または改質により、約-14%(接着(または静摩擦)促進)から約48%(接着(または静摩擦)防止)の全体の静摩擦応答が生じた。調整可能性に関する根本的な理由(例えば、界面化学効果が加わったトポグラフィー)をさらに研究する。
表1は、様々な試料の接着(静摩擦)応答を纏めている。「防止物」と付された試料は、処理により、接着または静摩擦を防いだテクスチャが生じたことを示す。「促進物」と付された試料は、その試料が、比較的高い接着力を有し、平面に貼り付いたことを示す。
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、開示された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本開示は、これらの実施の形態の改変および変更を、それらが付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという条件で包含することが意図されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
互いに反対の主面を有するガラスシートを処理する方法において、
前記ガラスシートの互いに反対の主面の少なくとも一方を、流体塗布装置と、酢酸、フッ化アンモニウム、および水を含む液体エッチング組成物とに接触させる工程であって、該互いに反対の主面の少なくとも一方への該液体エッチング組成物の所定の液体移動量で行われる工程
前記所定の液体移動量を制御して、前記互いに反対の主面の少なくとも一方に調節可能にテクスチャを付け、テクスチャ付き主面を提供する工程であって、該テクスチャ付き主面および平面が接触した状態に置かれたときに、該テクスチャ付き主面と該平面との間に接着力があり、該接着力は目標接着力範囲内にある、工程、
を有してなる方法。
実施形態2
前記接着力が、前記テクスチャ付き主面および前記平面を接触した状態に置き、力測定ゲージで、該テクスチャ付き主面および該平面を分離する力を測定することによって、測定される、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記流体塗布装置がローラを備える、実施形態1に記載の方法。
実施形態4
前記流体塗布装置が、調節可能なエッチング液深さを有する槽を含む容器をさらに備え、前記ローラは外周を有し、該ローラは、ある回転速度で回転するように前記容器に対して位置付けられており、該ローラの外周は、ある接触角およびあるローラ浸漬深さDsで前記エッチング液と接触する、実施形態3に記載の方法。
実施形態5
前記ローラの外周が多孔質材料から作られている、実施形態4に記載の方法。
実施形態6
前記所定の液体移動量が、前記接触角、前記ローラ浸漬深さDs、および前記回転速度の内の少なくとも1つの選択された値によって決定され、該選択された値は、該所定の液体移動量に相互に関連付けられる、実施形態4に記載の方法。
実施形態7
前記接触角、前記ローラ浸漬深さDs、前記回転速度、前記酢酸の量、および前記フッ化アンモニウムの量の内の少なくとも1つを変えて、前記接着力を得る工程をさらに含む、実施形態6に記載の方法。
実施形態8
前記回転速度を変えて、前記接着力を得る工程をさらに含む、実施形態6に記載の方法。
実施形態9
前記ローラ浸漬深さDsを変えて、前記接着力を得る工程をさらに含む、実施形態6に記載の方法。
実施形態10
前記回転速度および前記ローラ浸漬深さDsを変えて、前記接着力を得る工程をさらに含む、実施形態6に記載の方法。
実施形態11
前記エッチング液中に、前記酢酸が約50質量%から約60質量%の量で存在し、前記フッ化アンモニウムが約10質量%から約25質量%の量で存在し、水が約20質量%から約35質量%の量で存在し、前記ガラスシートが化学強化されたガラスシートである、実施形態1に記載の方法。
実施形態12
互いに反対の主面を有するガラスシートを改変する方法において、
容器の槽に、調節可能なエッチング液深さを有するエッチング液であって、ある量の酢酸、ある量のフッ化アンモニウム、およびある量の水を含むエッチング液を充填する工程、
ある回転速度で回転するように前記容器に対して回転可能に位置付けられたローラの外周の一部を、ある接触角およびあるローラ浸漬深さDsで前記エッチング液と接触させる工程であって、前記ローラを回転させると、該エッチング液が槽から動いて、前記ガラスシートの互いに反対の主面の少なくとも一方と接触する工程、および
前記回転速度、前記接触角および前記ローラ浸漬深さDsの少なくとも1つを制御可能に変更して、前記互いに反対の主面の少なくとも一方に調節可能にテクスチャを付け、テクスチャ付き主面を提供する工程であって、該テクスチャ付き主面および平面が接触した状態に置かれたときに、該テクスチャ付き主面と該平面との間に接着力があり、該接着力が目標接着力範囲内にある工程、
を有してなる方法。
実施形態13
前記エッチング液中に、前記酢酸が約50質量%から約60質量%の量で存在し、前記フッ化アンモニウムが約10質量%から約25質量%の量で存在し、水が約20質量%から約35質量%の量で存在する、実施形態12に記載の方法。
実施形態14
前記ローラが多孔質表面を含む、実施形態12に記載の方法。
実施形態15
前記回転速度、前記接触角および前記ローラ浸漬深さDsが、制御装置によって制御可能である、実施形態12に記載の方法。
実施形態16
前記制御装置が、前記接着力を得るように、前記回転速度、前記接触角および前記ローラ浸漬深さDsの内の少なくとも1つを所定の値に制御する、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記制御装置が、前記方法が完了した際に、前記接着力を増加させるように設定されている、実施形態16に記載の方法。
実施形態18
前記制御装置が、前記方法が完了した際に、前記接着力を減少させるように設定されている、実施形態16に記載の方法。
実施形態19
前記ガラスシートが化学強化されたガラスシートである、実施形態16に記載の方法。
実施形態20
前記接着力が、前記テクスチャ付き主面および前記平面を接触した状態に置き、力測定ゲージで、該テクスチャ付き主面および該平面を分離する力を測定することによって、測定される、実施形態12に記載の方法。