JP7344550B2 - 鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法 - Google Patents
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Description
ナノワイヤーへの形状選択性は、鉄イオンおよびニッケルイオンの還元反応により、選択的にナノワイヤーを形成し得る特性のことである。ここで、ナノワイヤーは、例えば、後述する平均繊維径およびアスペクト比を有するナノワイヤーをいう。
鉄ニッケルナノワイヤーの収率は、原料に含まれる鉄およびニッケルの合計質量に対する生成ナノワイヤーの重量比率のことである。
鉄ニッケルナノワイヤーの組成制御特性は、原料としての鉄とニッケルの仕込質量比率が、生成したナノワイヤーの組成における鉄とニッケルの質量比率とよく一致する特性のことである。
鉄ニッケルナノワイヤーの分散性は、溶媒(例えばグリコール、水等の極性溶媒)への添加および分散により、沈殿し難い特性のことである。
(1) ニッケルイオンを含有した反応溶媒に、アルカリ性化合物を添加し、その後、アンモニアを添加し、磁場を印加して還元反応をおこなうことを特徴とする鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(2) 還元反応を反応溶媒への還元剤の添加により開始し、鉄イオンを還元剤の添加前に反応溶媒に添加する、(1)に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(3) 鉄イオンを、以下のタイミングからなる群から選択されるタイミングで、反応溶媒に添加する、(2)に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法:
タイミング(A1):アルカリ性化合物の添加前;
タイミング(A2):アルカリ性化合物の添加と同時;
タイミング(B1):アルカリ性化合物の添加後であって、アンモニアの添加前;
タイミング(B2):アンモニアの添加と同時;および
タイミング(C1):アンモニアの添加後であって、還元反応の開始前。
(4) 鉄とニッケルの合計と還元剤のモル比が1:1~1:20の範囲である、(2)または(3)に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(5) 鉄とニッケルの仕込質量比率が20/80~65/35である、(1)~(4)のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(6) 鉄とニッケルの仕込質量比がパーマロイの質量比に該当する、(1)~(5)のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(7) アルカリ性化合物が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択される1種以上の化合物である、(1)~(6)のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(8) 鉄とニッケルの合計とアルカリ性化合物のモル比が1:0.2~1:1の範囲である、(1)~(7)のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(9) アルカリ性化合物とアンモニアのモル比が1:3~1:30の範囲である(1)~(8)のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(10) クエン酸塩の添加により、鉄イオンおよびニッケルイオンの一部とクエン酸イオンとの錯体を形成させた後、還元反応をおこなう、(1)~(9)のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
(11) クエン酸塩の添加量が、鉄イオンおよびニッケルイオンの合計に対して、0.5~10mol%である、(10)に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
また、本発明によれば、用いた原料の鉄とニッケルの仕込質量比率とほぼ同一組成のナノワイヤーを得ることができる。そのため、鉄とニッケルの仕込質量比率を厳密に制御することができ、パーマロイのような鉄とニッケルが特定の質量比のナノワイヤーを容易に製造することができる。
また、予め、鉄イオンおよびニッケルイオンの一部とクエン酸イオンとの錯体を形成させた後、還元反応をおこなうことにより、分散性に優れたナノワイヤーを得ることができる。
鉄ニッケルナノワイヤーは、電磁波シールドや電磁波吸収体等の電子デバイスに好適に用いることできる。
合成工程:反応溶媒中で鉄イオンとニッケルイオンを還元しナノワイヤー分散液を作製する工程;および
精製工程:得られたナノワイヤー分散液から、ナノワイヤーを回収する工程。
タイミング(A1):アルカリ性化合物の添加前;
タイミング(A2):アルカリ性化合物の添加と同時;
タイミング(B1):アルカリ性化合物の添加後であって、アンモニアの添加前;
タイミング(B2):アンモニアの添加と同時;および
タイミング(C1):アンモニアの添加後であって、還元反応の開始前。
合成工程で得られた生成物が、磁場に吸着するか否かで、以下のように評価した。
◎:還元反応の進行を確認した。実用上問題なし。
×:還元反応が起こらなかった。実用上問題あり。
得られたナノワイヤーを真空乾燥し、収率を算出し、以下の基準で評価した。ナノワイヤーの収率は、上記したように、原料に含まれる鉄およびニッケルの合計質量に対する生成ナノワイヤーの重量比率として算出される値である。
◎:90%以上(最良)。
○:50%以上90%未満(優良)。
△:20%以上50%未満(実用上問題なし)。
×:20%未満(実用上問題あり)。
得られた生成物を真空乾燥し得られたものを、SEMを用いて、形状を観察し、ナノワイヤーが得られているか判断した。
◎:粒子(球状、鱗片状、不定形)は認められず、ナノワイヤーのみが生成していた(最良)。
△:粒子(球状、鱗片状、不定形)とナノワイヤーが混ざって生成していた(実用上問題なし)。
×:粒子(球状、鱗片状、不定形)のみが生成していた(実用上問題あり)。
得られたナノワイヤーを真空乾燥し得られたものを、ICP-AES法により、鉄とニッケルの質量比率を求め、原料に含まれるニッケルと鉄の質量比と対比し、以下の基準で評価した。
◎:差が0.1質量%未満である(実用上問題なし)。
×:差が0.1質量%以上である(実用上問題あり)。
得られたナノワイヤーを真空乾燥し得られたものを、0.1質量%濃度になるようにエチレングリコールに展開し、シェーカーで10分間振とうした後、静置し、以下の基準で評価した。
◎:振とう終了後、5分間、沈殿することなく、分散状態を維持できた。
△:振とう終了後、1分間、沈殿することなく、分散状態を維持できたが、その後、すぐに沈殿が起こった(実用上問題なし)。
×:振とう終了後、1分間以内に、沈殿が起こった(実用上問題あり)。
反応性、収率、形状選択性、組成制御特性および分散性の評価結果に基づいて、総合的に評価した。
◎:全ての評価結果が◎であった。
○:全ての評価結果うち、最も低い評価結果が○であった。
△:全ての評価結果うち、最も低い評価結果が△であった。
×:全ての評価結果うち、最も低い評価結果が×であった。
得られた生成物を真空乾燥し得られたものを、SEMを用いて、観察した。任意の10本のナノワイヤーを選択し、その繊維径を測定し、平均繊維径を求めた。ナノワイヤーの選択に際しては、アスペクト比50以上のナノワイヤーの中から上記選択を行った。
全ての実施例の各々の生成物において、選択された10本のナノワイヤーの各々は、アスペクト比が100超であることを確認した。なお、アスペクト比は「平均繊維長/平均繊維径」に基づく値である。
(1)ニッケル溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で400.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム1.00g(25.01mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で472.5gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル溶液、水酸化ナトリウム溶液、28%アンモニア水25.00g(アンモニア量7.00g)、鉄溶液、ヒドラジン一水和物2.50g(49.94mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなった。
(5)精製工程
反応終了後、T100A090CのPTFE製フィルターを用いて生成物(ナノワイヤー)を回収した。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.20g(0.68mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で400.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム1.00g(25.01mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で470.0gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、水酸化ナトリウム溶液、28%アンモニア水25.00g(アンモニア量7.000g)、鉄溶液100.0g、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなった。
(5)精製工程
反応終了後、T100A090CのPTFE製フィルターを用いて生成物(ナノワイヤー)を回収した。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.29g(0.98mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で400.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム1.00g(25.01mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で470.0gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、水酸化ナトリウム溶液、28%アンモニア水25.00g(アンモニア量7.00g)、鉄溶液、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなった。
(5)精製工程
反応終了後、T100A090CのPTFE製フィルターを用いて生成物(ナノワイヤー)を回収した。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物15.35g(64.58mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.30g(1.02mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で350.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム2.50g(62.52mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で388.5gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物3.70g(18.61mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で150.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、水酸化ナトリウム溶液、28%アンモニア水100.00g(アンモニア量28.00g)、鉄溶液、ヒドラジン一水和物11.50g(229.72mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなった。
(5)精製工程
反応終了後、T100A090CのPTFE製フィルターを用いて生成物(ナノワイヤー)を回収した。
表1記載のように塩化ニッケル六水和物と塩化鉄(II)四水和物の添加量を変更した以外は実施例4と同様の操作を行った。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物149.67g(629.69mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物2.94g(10.00mmol)を水に添加し、全量で349.0gとした。この溶液を80℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム24.39g(609.90mmol)を水に添加し、全量で300.0gにした。この溶液を80℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物36.09g(181.53mmol)を水に添加し、全量で150.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を85~90℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、水酸化ナトリウム溶液、28%アンモニア水150.00g(アンモニア量42.00g)、鉄溶液、ヒドラジン一水和物51.0g(1018.78mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、85~90℃で、90分間還元反応をおこなった。
(5)精製工程
反応終了後、T100A090CのPTFE製フィルターを用いて生成物(ナノワイヤー)を回収した。
(1)ニッケル溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で400.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム1.00g(25.00mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で495.0gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル溶液、水酸化ナトリウム溶液、鉄溶液、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなったが、溶液は黒色にはなったものの、磁石に吸着する生成物は得られなかった。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.20g(0.68mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で400.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム1.00g(25.00mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で495.0gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、水酸化ナトリウム溶液、鉄溶液、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなったが、黒色変化が見られず、磁石に吸着する生成物も得られなかった。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.38g(1.28mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で400.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)水酸化ナトリウム溶液の作製
水酸化ナトリウム1.00g(25.01mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で495.0gにした。この溶液を90℃に加熱し、水酸化ナトリウムを溶解させた。
(3)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(4)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、水酸化ナトリウム溶液、鉄溶液、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなったが、黒色変化が見られず、磁石に吸着する生成物も得られなかった。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.20g(0.68mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で895.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(3)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、鉄溶液100.0g、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなったが、黒色変化が見られず、磁石に吸着する生成物も得られなかった。
(1)ニッケル-クエン酸類溶液の作製
塩化ニッケル六水和物3.11g(13.08mmol)とクエン酸三ナトリウム二水和物0.20g(0.68mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で870.0gとした。この溶液を90℃に加熱し、塩化ニッケルを溶解させた。
(2)鉄溶液の作製
塩化鉄(II)四水和物0.75g(3.77mmol)をエチレングリコールに添加し、全量で100.0gとした。室温で撹拌することで、塩化鉄(II)四水和物を溶解させた。
(3)合成工程
中心に磁場を印加できる磁気回路の中にある反応容器を90~95℃に加熱し、ニッケル-クエン酸類溶液、28%アンモニア水25.00g(アンモニア量7.000g)、鉄溶液100.0g、ヒドラジン一水和物5.00g(99.88mmol)をこの順で添加した。各成分の添加は、反応容器中の撹拌を行いながら、記載の順序にて10秒間隔で行った。すべて添加後、150mTの磁場を印加し、90~95℃で、90分間還元反応をおこなったが、磁石に吸着する生成物は得られなかった。
アルカリ性化合物の代わりにアンモニアを表1記載の量で添加した以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、合成工程において、磁石に吸着する生成物は得られなかった。
実施例2~7は、クエン酸類を所定量以上添加し、ニッケルイオンとの錯体を形成した後、還元反応をおこなったため、ナノワイヤーの分散性が優れていた。
実施例4~6はクエン酸類、アルカリ性化合物、アンモニアおよび還元剤をそれぞれ所定の添加量で用いたため、高収率かつ高分散性でナノワイヤーを作製することができた。
比較例4では、アルカリ性化合物の添加も、アンモニアの添加も行わなかったため、磁石に吸着する生成物は得られなかった。
比較例5では、アンモニアの添加は行ったが、アルカリ性化合物を添加しなかったため、磁石に吸着する生成物は得られなかった。
比較例6では、所定のアルカリ性化合物の添加を行う代わりに、アンモニアを添加したため、磁石に吸着する生成物は得られなかった。
Claims (9)
- ニッケルイオンを含有した反応溶媒に、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択される1種以上のアルカリ性化合物を添加し、その後、アンモニアを添加しアルカリ性溶液を得、磁場を印加して還元反応をおこなう、鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法であって、
還元反応を、反応溶媒への還元剤としてのヒドラジンの添加により開始し、
鉄イオンを還元剤の添加前に反応溶媒に添加し、
還元剤をアンモニアの添加後に反応溶媒に添加し、
アルカリ性化合物の添加量は、鉄イオンとニッケルイオンの合計1molに対して、0.1~2molであり、
アルカリ性化合物とアンモニアのモル比が1:10~1:30の範囲である、鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。 - 鉄イオンを、以下のタイミングからなる群から選択されるタイミングで、反応溶媒に添加する、請求項1に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法:
タイミング(A1):アルカリ性化合物の添加前;
タイミング(A2):アルカリ性化合物の添加と同時;
タイミング(B1):アルカリ性化合物の添加後であって、アンモニアの添加前;
タイミング(B2):アンモニアの添加と同時;および
タイミング(C1):アンモニアの添加後であって、還元反応の開始前。 - 鉄とニッケルの合計と還元剤のモル比が1:1~1:20の範囲である、請求項1または2に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
- 鉄とニッケルの仕込質量比率が20/80~65/35である、請求項1~3のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
- 鉄とニッケルの仕込質量比が21.5/78.5~64/36である、請求項1~4のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
- 鉄とニッケルの合計とアルカリ性化合物のモル比が1:0.2~1:1の範囲である、請求項1~5のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
- 還元反応前のクエン酸塩の添加により、鉄イオンおよびニッケルイオンの一部とクエン酸イオンとの錯体を形成させた後、還元反応をおこなう、請求項1~6のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
- クエン酸塩の添加量が、鉄イオンおよびニッケルイオンの合計に対して、0.5~10mol%である、請求項7に記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
- ヒドラジンがヒドラジン一水和物である、請求項1~8のいずれかに記載の鉄ニッケルナノワイヤーの製造方法。
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