JP7343372B2 - 偏光板 - Google Patents
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Description
〔1〕 画像表示素子に積層して用いられる偏光板であって、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子と、前記偏光子の前記画像表示素子側とは反対側となる面に積層された延伸フィルムとを有し、
前記偏光子の透過軸と、前記延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θ[°]が、下記の式(1a)の関係を満たす、偏光板。
θ≦60 (1a)
〔2〕 平面視において面内に貫通孔を有し、
前記偏光板の外縁から前記貫通孔までの、前記偏光子の透過軸に沿った最短距離d[mm]が、下記の式(2a)の関係を満たす、〔1〕に記載の偏光板。
d≧10 (2a)
〔3〕 前記延伸フィルムが、セルロース系樹脂フィルムまたは環状ポリオレフィン系樹脂フィルムである、〔1〕又は〔2〕に記載の偏光板。
〔4〕 前記偏光子の前記画像表示素子側となる面に積層された保護フィルムをさらに有する、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔5〕 〔4〕に記載の偏光板と、前記保護フィルム側に設けられた粘着剤層とを有する、粘着層付き偏光板。
〔6〕 前記粘着剤層は、前記偏光板を画像表示素子に貼合するためのものである、〔5〕に記載の粘着剤付き偏光板。
〔7〕 画像表示素子と、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の偏光板とを含む画像表示装置。
本発明に係る偏光板は、画像表示素子に積層して用いられる偏光板であって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子と、偏光子の画像表示素子側とは反対側となる面に積層された延伸フィルムとを有する偏光板である。偏光板は、偏光子の画像表示素子側の面に積層された保護フィルムをさらに有していてもよい。
θ≦60 (1a)
θ≦45 (1b)
θ≦30 (1c)
θ≦15 (1d)
d≧10 (2a)
d≧12 (2b)
図4は、図1に示す偏光板10と同じ形状であるものの、偏光子101の吸収軸101Aが長辺方向に45°である偏光板10’において、貫通孔11までの最短距離dを示す。図4に示すように、最短距離dは、偏光子101の透過軸101Bに沿った距離である。
偏光子101は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子であり、例えば一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光子であってよい。このような偏光子は、後述する偏光子の製造方法に従って製造することができる。偏光子101は、吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であることができる。偏光子101は、その一方の面に第1熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなる延伸フィルム102を接着剤又は粘着剤等で貼合して偏光板10として用いることができる。
偏光子101の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図6に示す製造方法は、以下の工程:
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水を含有する処理液を収容する膨潤槽に浸漬する膨潤工程S10と、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する処理液を収容する染色槽に浸漬して染色する染色工程S20と、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋剤を含有する処理液を収容する架橋槽に浸漬して架橋処理する架橋工程S30と、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄槽に浸漬する洗浄工程S40と、
乾燥工程S50と、
を含むことができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、偏光子製造工程のいずれか1以上の段階、より具体的には、膨潤工程S10の前から架橋工程S30までのいずれか1以上の段階で一軸延伸処理される(延伸工程)。
本工程における膨潤処理は、原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理であり、具体的には、水を含有する処理液を収容する膨潤槽にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの膨潤槽に浸漬されてもよいし、2以上の膨潤槽に順次浸漬されてもよい。膨潤処理前、膨潤処理時、または膨潤処理前および膨潤処理時に、フィルムに対して一軸延伸処理を行ってもよい。
本工程における染色処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる目的で行われる処理であり、具体的には、二色性色素を含有する処理液を収容する染色槽にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの染色槽に浸漬されてもよいし、2以上の染色槽に順次浸漬されてもよい。二色性色素の染色性を高めるために、染色工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理が施されていてもよい。染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行ってもよい。
染色工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋剤で処理する架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整等の目的で行う処理であり、具体的には、架橋剤を含有する架橋槽に収容される処理液に染色工程後のフィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの架橋槽に浸漬されてもよいし、2以上の架橋槽に順次浸漬されてもよい。架橋処理時に一軸延伸処理を行ってもよい。
一般に、架橋による耐水化のための架橋処理および色相調整(補色)のための架橋処理の双方を実施する場合、色相調整(補色)のための架橋処理を実施する槽(補色槽)が後段に配置される。補色槽に収容される処理液の温度は、例えば10℃以上55℃以下であり、好ましくは20℃以上50℃以下である。補色槽に収容される処理液における架橋剤の含有量は、水100質量部あたり、例えば1質量部以上5質量部以下である。補色槽に収容される処理液におけるヨウ化物の含有量は、水100質量部あたり、例えば3質量部以上30質量部以下である。
本工程における洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分な架橋剤や二色性色素等の薬剤を除去する目的で必要に応じて実施される処理であり、水を含有する洗浄液を用いて架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄する処理である。具体的には、洗浄槽に収容される処理液(洗浄液)に架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの洗浄槽に浸漬されてもよいし、2以上の洗浄槽に順次浸漬されてもよい。あるいは、洗浄処理は、架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して洗浄液をシャワーとして噴霧する処理であってもよく、上記の浸漬と噴霧とを組み合わせてもよい。
乾燥工程S50は、洗浄工程S40後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させるためのゾーンである。洗浄工程S40後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを引き続き搬送させながら、乾燥工程S50に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光子が得られる。
延伸フィルムは、第1熱可塑性樹脂フィルムからなり、第1熱可塑性樹脂フィルムは、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
第2熱可塑性樹脂フィルムは、第1熱可塑性樹脂フィルムの説明において例示したフィルムと同種であってもよいし、異種であってもよい。偏光板10が、第2熱可塑性樹脂フィルムが画像表示素子側に配置されるように画像表示装置に用いられる場合、第2熱可塑性樹脂フィルムは、引張弾性率が3000N/m2以下であってもよいし、引張弾性率が3000N/m2を超えるものであってもよい。
(1)光学機能性フィルム
偏光板は、所望の光学機能を付与するための、偏光子101以外の他の光学機能性フィルムを備えることができ、その好適な一例は位相差フィルムである。
上述のように、第1熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸フィルム及び/又は第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルムが位相差フィルムを兼ねることもできるが、これらのフィルムとは別途に位相差フィルムを積層することもできる。後者の場合、位相差フィルムは、粘着剤層や接着剤層を介して延伸フィルム、保護フィルム、及び偏光子の少なくともいずれかの表面に積層することができる。偏光子と延伸フィルムとは、他のフィルムを介して積層されている構成であっても、他のフィルムを介さず粘着剤層や接着剤層のみを介して積層されている構成であってもよいが、クラックの発生を抑制する観点から、後者であることが好ましい。他のフィルムの厚みは通常20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下であり、通常1μm以上である。
基材フィルムは通常、熱可塑性樹脂からなるフィルムであり、熱可塑性樹脂の一例は、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂である。
偏光板は、粘着剤層を設けることにより粘着層付き偏光板とすることができる。粘着剤層としては、偏光板を液晶セル、有機EL表示素子等の画像表示素子、又は他の光学部材に貼合するための粘着剤層が挙げられる。
(メタ)アクリル系粘着剤には、メチル基やエチル基やn-、i-又はt-ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、より好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上の(メタ)アクリル系樹脂がベースポリマーとして有用である。
粘着剤層の厚みは、その接着力等に応じて決定されるが、1μm以上50μm以下の範囲が適当であり、好ましくは2μm以上40μm以下である。
イオン性化合物を構成するカチオン成分は無機カチオンでも有機カチオンでもよい。
有機カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン等が挙げられ、無機カチオンとしてはリチウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
一方、イオン性化合物を構成するアニオン成分としては、無機アニオンでも有機アニオンでもよいが、帯電防止性能に優れるイオン性化合物を与えることから、フッ素原子を含むアニオン成分が好ましい。フッ素原子を含むアニオン成分としては、ヘキサフルオロホスフェートアニオン[(PF6 -)]、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン[(CF3SO2)2N-]アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン[(FSO2)2N-]アニオン等が挙げられる。
偏光板10は、その表面(典型的には、延伸フィルム102又は保護フィルム103の表面)を保護するためのプロテクトフィルムを含むことができる。プロテクトフィルムは、例えば画像表示素子や他の光学部材に偏光板が貼合された後、それが有する粘着剤層ごと剥離除去される。
基材フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂であることができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂である。
偏光板10の製造方法は、偏光子101を準備する工程と、偏光子101と第1熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸フィルム102とを貼合する貼合工程と、を少なくとも有する偏光板10の原料となる偏光板の製造工程と、原料となる偏光板の内面に貫通孔を設ける貫通孔形成工程とを含むことができる。
貼合工程では、偏光子101の両面に接着剤を介して熱可塑性樹脂フィルム(延伸フィルム102及び保護フィルム103)をそれぞれ貼合(積層)することができる。偏光子101と熱可塑性樹脂フィルムの貼合に用いる接着剤としては、紫外線硬化性接着剤等の活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤等の水系接着剤を挙げることができる。偏光子101の両面に熱可塑性樹脂フィルムを貼合する場合、2つの接着剤層を形成する接着剤は同種であってもよいし、異種であってもよい。例えば、両面に熱可塑性樹脂フィルムを貼合する場合、片面は水系接着剤を用いて貼合し、もう片面は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて貼合してもよい。紫外線硬化型接着剤は、ラジカル重合性の(メタ)アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、カチオン重合性のエポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性の(メタ)アクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程、
延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層(偏光子に相当)を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程、
偏光性積層フィルムの偏光子層上に接着剤を用いて熱可塑性樹脂フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程、
貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面熱可塑性樹脂フィルム付偏光板を得る剥離工程。
偏光板10は、長尺の偏光板を、枚葉状に切り出して枚葉状偏光板を得、この枚葉状偏光板の面内に貫通孔を設けることにより得ることができる。枚葉状偏光板の面内に貫通孔を設ける方法の具体例としては、例えば枚葉状偏光板を、トムソン刃を用いて打抜く方法や、ドリル等の回転切削具を用いて穿孔加工を行う方法等が挙げられる。貫通孔形成加工を行う際、枚葉状偏光板は、単独であってもよいし、複数枚摘み重ねた積層体としてもよい。なお、長尺の偏光板を枚葉状に切り出す際に、同時に貫通孔が形成されるように貫通孔形成工程を行ってもよい。
偏光板は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置に用いる画像表示素子としては、例えば液晶表示素子、有機EL表示素子等が挙げられる。液晶表示装置を構築するにあたって偏光板は、視認側に配置される偏光板に用いられてもよいし、バックライト側に配置される偏光板に用いられてもよいし、視認側およびバックライト側の双方の偏光板に用いられてもよい。本発明の偏光板は、例えば、カメラ、操作ボタン、赤外線照射口を有するスマートフォン等の画像表示装置に用いられ、これらに対応する位置に貫通孔が設けられた偏光板に用いられてもよい。
<実施例1、2および比較例1、2>
図8に示す構成の偏光板30、すなわち、「プロテクトフィルム301〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、製品名:SAT4038T15、サンエー化研社製〕/輝度向上フィルム302〔製品名:APF-V3、3M社製、厚み26μm〕/第1粘着剤シート303〔厚み5μm〕/延伸フィルム(「第1保護フィルム」ともいう)102/偏光子101〔一軸延伸ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、厚み8μm〕/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304〔厚み20μm〕/セパレートフィルム305」の積層構造を有する実施例1、2及び比較例1、2の粘着剤層付き偏光板を、以下の方法により作製した。
離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなる第2セパレートフィルム(リンテック株式会社製)の離型処理面に、アプリケータを用いて乾燥後の厚みが5μm(第1粘着剤シート)、20μm(第2粘着剤シート)となるように粘着剤組成物を塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤シートを作製した。その後、粘着剤シートの露出している表面に第1セパレートフィルム305を貼合して第1粘着剤シート303及び第2粘着剤シート304を作製した。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ20μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素:ヨウ素カリウム:水の質量比が0.02:2:100の水溶液に28℃で浸漬してヨウ素染色を行った(以下、ヨウ素染色工程ともいう。)。ヨウ素染色工程を経たポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ化カリウム:ホウ酸:水の質量比が12:5:100の水溶液に64℃で浸漬してホウ酸処理を行った(以下、ホウ酸処理工程ともいう)。ホウ酸処理工程において、速度比の異なるロール間にて約4倍に一軸延伸した。ホウ酸処理工程を経たポリビニルアルコールフィルムを7℃の純水で洗浄した後、85℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子(延伸後の厚さ8μm)を得た。
プロピレン製プロテクトフィルム付の輝度向上フィルム302〔製品名:APF-V3、3M製、厚み26μm〕について、輝度向上フィルムの露出面をコロナ処理し、第1粘着剤シート303の第2セパレートフィルムを剥離したものを輝度向上フィルム302のコロナ処理した表面にラミネータを用いて貼合した。次に、プロピレン製プロテクトフィルムを、プロテクトフィルム301に貼り替えて、「プロテクトフィルム301/輝度向上フィルム302/第1粘着剤シート303」の層構成を有する積層構造2を得た。
積層構造2の第1粘着剤シート303の表面に貼合されている第1セパレートフィルムを剥離して露出した第1粘着剤シートの表面を、積層構造1の第1保護フィルム102に貼合して、積層構造1と積層構造2とが積層されてなる粘着剤層付き偏光板を得た。
上記4.にて得られた粘着剤層付き偏光板を打抜き、端面研磨して、図9に示す形状、すなわち、偏光子の吸収軸方向が長辺方向、それに直交する透過軸方向が短辺方向である、145.61mm×67.81mmの矩形であって、短辺方向の中心であってかつ一方の短辺からの最短距離が3mmである位置に一つの貫通孔(偏光板の外縁から貫通孔までの、偏光子の透過軸に沿った最短距離dは32.4mm、直径3mmの円形)を有する形状とした。なお、上記のようにして作製した粘着剤層付き偏光板の端面研磨は、粘着剤層付き偏光板を20枚積層して、外縁部および貫通孔周辺の0.3mmの範囲を研磨することにより行った。
ガラス洗浄機で洗浄したガラス板(コーニング社製)を準備した。上記5.で作製した粘着剤層付き偏光板の第2粘着剤シートの表面に貼合されている第1セパレートフィルムを剥離して露出した第2粘着剤シートの表面を、上記で準備したガラス板に貼合し、その後、プロテクトフィルム301〔PETフィルム〕を剥離除去して、評価用サンプルを作製した。
図10に示す構成の偏光板40、すなわち「第1保護フィルム102/偏光子101〔一軸延伸PVAフィルム、厚み8μm〕/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304〔厚み20μm〕/セパレートフィルム305」の積層構造を有する実施例3および比較例3の粘着剤層付き偏光板を、以下の方法により作製した。
実施例1において作製した第2粘着剤シート304を準備した。
2.積層構造2の準備
実施例1において作製した偏光子101を準備した。この偏光子101の両面にそれぞれ水系接着剤を用いて表1に示す第1保護フィルム102と表1に示す第2保護フィルム103とを貼合した。実施例3において用いた第1保護フィルム102は一軸延伸フィルムであり、その延伸軸と偏光子101の透過軸とのなす角度θは0°となるように貼合した。次いで、実施例1と同様に乾燥させて、「第1保護フィルム102/偏光子101/第2保護フィルム103」からなる積層構造を作製した。その後、実施例1と同様に第2粘着剤シート304を貼り合せて「第1保護フィルム102/偏光子101/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304/セパレートフィルム305」の層構成を有する積層構造1を得、これを粘着剤層付き偏光板とした。
実施例1で得た粘着剤層付き偏光板に代えて、上記で得た粘着剤層付き偏光板を用いた以外は実施例1と同様にして打抜き、端面研磨して図9に示す形状とし、第1セパレートフィルム305を剥離して露出した第2粘着剤シートの表面を実施例1で準備したと同様のガラス板(コーニング社製)に貼合して、評価用サンプルを作製した。
熱衝撃試験槽に、各実施例および各比較例で作製した評価用サンプルを投入し、-40℃及び85℃の熱刺激を各30分のサイクルで与えた。低温から高温への熱刺激を1サイクルとし、各サンプルにつき100サイクルの試験を行い、その後50サイクルの試験を3回行い、計250サイクルの試験を行った。
上記熱衝撃試験において100サイクル終了後、及び100サイクル終了後は50サイクル終了毎に評価用サンプルのクラックの発生及び生長をルーペ又は光学顕微鏡を用いて観察を行った。特に、貫通孔周辺に関しては詳細に観察を行った。クラックは、その発生位置と長さを計測し、200μm以上のクラックが一本も観察されなかった場合は「A」、200μm以上のクラックが一本以上観察された場合は「B」、と評価した。なお、「B」と評価されたサンプルについては、以降の熱衝撃試験を中止した。結果を表1に示す。
実施例および比較例で用いたそれぞれの第1保護フィルム102から長さ方向が異なる複数の試験片を切出して、それぞれ長さ方向に一定速度で引張りながら、それぞれの試験片の引張弾性率を測定することにより、引張弾性率が最大値を示す最大引張弾性率方向を求め、引張弾性率が最小値を示す最小引張弾性率方向を求め、それぞれの方向における引張弾性率を得た。いずれの第1保護フィルムも、最小引張弾性率方向は、最大引張弾性率方向に対して直交していた。第1保護フィルム102の最大引張弾性率方向の引張弾性率および最大引張弾性率に直交する方向の引張弾性率は表1に示すとおりであった。
Claims (7)
- 画像表示素子に積層して用いられる偏光板であって、
平面視において面内に貫通孔を有し、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子と、前記偏光子の前記画像表示素子側とは反対側となる面に積層された延伸フィルムとを有し、
前記偏光子の透過軸と、前記延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θ[°]が、下記の式(1a)の関係を満たす、偏光板。
θ≦60 (1a) - 前記偏光板の外縁から前記貫通孔までの、前記偏光子の透過軸に沿った最短距離d[mm]が、下記の式(2a)の関係を満たす、請求項1に記載の偏光板。
d≧10 (2a) - 前記延伸フィルムが、セルロース系樹脂フィルムまたは環状ポリオレフィン系樹脂フィルムである、請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記画像表示素子側となる面に積層された保護フィルムをさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の偏光板。
- 請求項4に記載の偏光板と、前記保護フィルム側に設けられた粘着剤層とを有する、粘着層付き偏光板。
- 前記粘着剤層は、前記偏光板を画像表示素子に貼合するためのものである、請求項5に記載の粘着剤付き偏光板。
- 画像表示素子と、請求項1~4のいずれか1項に記載の偏光板とを含む画像表示装置。
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