JP7343372B2 - 偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板に関し、画像表示装置にも関する。
近年、画像表示装置のデザイン性が多様化しつつある。そのトレンドの影響を受け、偏光板にも様々な形状への対応が求められている。
特開2018-25630号公報
面内に貫通孔を有する偏光板は、貫通孔の周辺にクラックが発生する場合がある。特開2018-25630号公報では、偏光子の両面にセルロース系樹脂からなる保護層を設ける構成とすることによりクラックを抑制することが記載されている。
本発明の目的は、平面視において面内に貫通孔を有する偏光板であって、低温と高温条件下に繰り返し晒す冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)においてクラックの発生が抑制される偏光板、又はそのような偏光板を製造するための原料として用いられる偏光板を提供することである。
本発明は、以下の偏光板及び画像表示装置を提供する。
〔1〕 画像表示素子に積層して用いられる偏光板であって、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子と、前記偏光子の前記画像表示素子側とは反対側となる面に積層された延伸フィルムとを有し、
前記偏光子の透過軸と、前記延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θ[°]が、下記の式(1a)の関係を満たす、偏光板。
θ≦60 (1a)
〔2〕 平面視において面内に貫通孔を有し、
前記偏光板の外縁から前記貫通孔までの、前記偏光子の透過軸に沿った最短距離d[mm]が、下記の式(2a)の関係を満たす、〔1〕に記載の偏光板。
d≧10 (2a)
〔3〕 前記延伸フィルムが、セルロース系樹脂フィルムまたは環状ポリオレフィン系樹脂フィルムである、〔1〕又は〔2〕に記載の偏光板。
〔4〕 前記偏光子の前記画像表示素子側となる面に積層された保護フィルムをさらに有する、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔5〕 〔4〕に記載の偏光板と、前記保護フィルム側に設けられた粘着剤層とを有する、粘着層付き偏光板。
〔6〕 前記粘着剤層は、前記偏光板を画像表示素子に貼合するためのものである、〔5〕に記載の粘着剤付き偏光板。
〔7〕 画像表示素子と、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の偏光板とを含む画像表示装置。
本発明によれば、平面視において面内に貫通孔を有する偏光板であって、低温と高温条件下に繰り返し晒す冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)においてクラックの発生が抑制される偏光板を提供することができる。
本発明に係る偏光板の一例を示す概略図である。 図1に示す偏光板を分解して示す分解図である。 偏光子の透過軸と延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θの一例を示す模式図である。 本発明に係る偏光板の他の例を示す概略図である。 貫通孔の例を示す概略図である。 偏光子の製造方法を示すフローチャートである 本発明に係る粘着剤層付き偏光板の一例を示す概略断面図である。 実施例で作製した偏光板を示す概略断面図である。 実施例で作製した偏光板を示す概略図である。 実施例で作製した偏光板を示す概略断面図である。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、画像表示素子に積層して用いられる偏光板であって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子と、偏光子の画像表示素子側とは反対側となる面に積層された延伸フィルムとを有する偏光板である。偏光板は、偏光子の画像表示素子側の面に積層された保護フィルムをさらに有していてもよい。
上記延伸フィルム及び上記保護フィルムは、ともに熱可塑性樹脂フィルムからなる。延伸フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(以下、「第1熱可塑性樹脂フィルム」とする)を延伸してなるものであり、保護フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(以下、「第2熱可塑性樹脂フィルム」とする)そのものであっても、これに延伸等の加工を施してなるものであってもよい。本明細書において、第1熱可塑性樹脂フィルムと第2熱可塑性樹脂フィルムとを合わせて熱可塑性樹脂フィルムともいう。
本発明に係る偏光板は、偏光子の透過軸と、延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θ[°]が、下記の式(1a)の関係を満たす。
θ≦60 (1a)
本発明に係る偏光板は、平面視において、面内に貫通孔を有する。貫通孔は一つであっても、二つ以上であってもよい。本明細書において、平面視とは、層の厚み方向から見ることを意味する。本発明は、貫通孔が形成される前の原料となる偏光板も包含する。原料となる偏光板については、偏光板の製造方法の欄で後述する。
偏光板は、平面視において方形状又は角丸方形状であってよい。角丸方形状とは、方形状の角部のうち1つ以上が曲線となっている形状をいい、すなわち方形状の角部のうち1つ以上が角丸であり、方形状とは4つの角がいずれも角丸ではない形状をいうものとする。また、本明細書において、方形状とは長方形状又は正方形状をいうものとする。偏光板が角丸方形状である場合、偏光板が有する4つの角のうち1つ以上が角丸となっていてもよい。
角丸部分の曲率半径は、例えば1mm以上10mm以下であってよく、好ましくは2mm以上8mm以下である。
図1は、本発明に係る偏光板の一例を示す概略図である。図1に示すように、偏光板10は、貫通孔11を有する角丸方形状である。偏光板10は、方形が有する4つの角の全てが角丸となっている。
図2は、図1に示す偏光板10を、偏光子101と、延伸フィルム102とに分解して示した分解図である。偏光子101は、延伸軸と一致する吸収軸101Aと、吸収軸101Aに直交する透過軸101Bとを有する。偏光子において、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸軸方向に二色性色素が吸着配向されており、結果、延伸軸と吸収軸A1が一致している。偏光板10に対する偏光子101の吸収軸101Aの方向は特に限定されないが、例えば偏光板が平面視において長方形である場合、長辺方向に平行な方向であってよく、又は短辺方向に平行な方向であってよく、又は長辺方向(又は短辺方向)とのなす角度が45°±5°である方向であってよく、好ましくは45°±2°である方向であってよい。図2において、吸収軸101Aは、偏光板の長辺方向に平行である。
図2に示す偏光板10において、偏光子101の透過軸101Bと延伸フィルム102の延伸軸102Aとのなす角度θは0(ゼロ)°である。図3は、偏光子101の透過軸101Bと延伸フィルム102の延伸軸102Aとのなす角度θの一例を示す図である。偏光子101の透過軸101Bと延伸フィルム102の延伸軸102Aとのなす角度は、0°の場合は180°と見ることもでき、10°の場合は170°と見ることもできるが、なす角度θは小さい方の角度を意味するものとする。したがって、θは、0°以上90°以下の範囲の値である。
偏光子101の透過軸101Bと延伸フィルム102の延伸軸102Aとのなす角度θは、上記の式(1a)の関係を満たすことから、クラックの発生を抑制することができる。また、クラックの発生をより抑制することができる観点から、上記した角度θは、下記の式(1b)の関係を満たすことが好ましく、下記の式(1c)の関係を満たすことがさらに好ましく、下記の式(1d)の関係を満たすことがさらにより好ましい。上記した角度θは、0°であることが最も好ましい。
θ≦45 (1b)
θ≦30 (1c)
θ≦15 (1d)
延伸フィルム102は、第1熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなるフィルムであり、延伸は一軸方向のみに行う延伸であっても、複数の軸方向に行う延伸であってもよい。前者は一つの延伸軸を有し、後者は複数の延伸軸を有する。複数の延伸軸を有する場合において、いずれか一つの延伸軸を延伸軸として、偏光子の透過軸とのなす角度θを見た場合に、角度θが上記の式(1a)の関係を満たし、上記の式(1b)の関係を満たすことが好ましく、上記の式(1c)の関係を満たすことがさらに好ましく、上記の式(1d)の関係を満たすことがさらにより好ましく、他の延伸軸と偏光子の透過軸とのなす角度は特に限定されない。
本発明者によれば、偏光板が貫通孔を有するときにクラックが発生しやすく、特に貫通孔の周辺においてクラックが発生しやすく、また偏光子の吸収軸に沿ってクラックが発生しやすいとの知見を得た。本発明におけるクラックは、高温環境下に晒した後に観察され得る。クラックが観察され得る条件及び観察方法は、後述する実施例の欄において説明する条件及び方法である。
クラックの発生原理は次の通り推測されるが、本発明はこれに限定されない。偏光板が高温環境下に晒された場合、偏光子は延伸軸に沿って、すなわち吸収軸に沿って収縮する一方、第1熱可塑性樹脂フィルムは収縮しにくいため、偏光子と第1熱可塑性樹脂フィルムとの間に歪みが生じることになる。偏光板が貫通孔を有している場合、その貫通孔近傍では偏光子は貫通孔の形状に沿っても収縮が起こり、貫通孔を有していない場合に比べ偏光子と第1熱可塑性樹脂フィルムとの間における歪みは増加するため、クラックが発生し易くなるものと推測される。
本発明の偏光板において、偏光子の透過軸と、延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θが、上記の式(1a)の関係を満たすことにより、クラックの発生を抑制することができる。かかるクラック発生の抑制原理は次の通り推測されるが、本発明はこれに限定されない。第1熱可塑性樹脂フィルムの延伸軸方向近傍の引張弾性率は、延伸軸方向で最も高く延伸軸方向から離れるにしたがって小さくなるという、異方性を有する。上記の式(1a)の関係を満たす場合には、かかる引張弾性率の異方性により、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間における歪みを緩和することができ、クラックの発生を抑制することができるものと推測される。
さらに、本発明者らは、クラックの発生しやすさについて、後述するように、i)偏光板の面内における貫通孔の位置、ii)貫通孔の大きさ、iii)偏光子の厚み、iv)第1熱可塑性樹脂フィルムの厚み等、と相関があるとの知見を得たものの、本発明の偏光板においては、上記i)、ii)、iii)、iv)について、クラックが発生しやすい条件であっても、クラックの発生を抑制することができるとの効果を奏する。
本発明に係る偏光板は、偏光板の外縁から貫通孔までの、偏光子の透過軸に沿った最短距離d[mm]が、下記の式(2a)の関係を満たす貫通孔を有する。図1において、最短距離d[mm]を示す。
d≧10 (2a)
本発明の偏光板は、上記の式(2a)の関係を満たす貫通孔を少なくとも一つ有することが好ましく、下記の式(2a)の関係を満たさない他の貫通孔を有するものであってもよい。上記の式(2a)の関係を満たす貫通孔は、例えば、さらに下記の式(2b)の関係を満たすものであってもよい。
d≧12 (2b)
図4は、図1に示す偏光板10と同じ形状であるものの、偏光子101の吸収軸101Aが長辺方向に45°である偏光板10’において、貫通孔11までの最短距離dを示す。図4に示すように、最短距離dは、偏光子101の透過軸101Bに沿った距離である。
本発明者は、クラックの発生しやすさと、偏光板の面内における貫通孔の位置とに相関があることを見出し、最短距離dが上記の式(2a)の関係を満たす場合にはクラックが発生しやすいとの知見を得た。本発明によると、このような貫通孔を有する場合であってもクラックの発生を抑制することができる。最短距離dは、偏光板の大きさによって取り得る値が異なるものの、例えば、100mm以下である。
図1において、貫通孔11は、円形の貫通孔として示されているが、これに限定されず、例えば楕円形、方形状、角丸方形状又はこれらを組合せた形状等であってよい。
貫通孔11の形状は特に限定されず、例えば図5(a)~(d)に示す形状であってよい。
貫通孔11の長径は、例えば0.5mm以上30mm以下であってよく、好ましくは1mm以上10mm以下である。貫通孔11の長径が、10mm以下である場合にはクラックが発生しやすいが、本発明によると、このような貫通孔を有する場合であってもクラックの発生を抑制することができる。
偏光板の厚みは、通常、5μm以上200μm以下とすることができ、150μm以下であってもよく、120μm以下であってもよい。
[偏光子]
偏光子101は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子であり、例えば一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光子であってよい。このような偏光子は、後述する偏光子の製造方法に従って製造することができる。偏光子101は、吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であることができる。偏光子101は、その一方の面に第1熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなる延伸フィルム102を接着剤又は粘着剤等で貼合して偏光板10として用いることができる。
偏光子101の厚みは、通常20μm以下であり、好ましくは18μm以下、より好ましくは15μm以下である。偏光子101の厚みを薄くすることは、偏光板10の薄膜化に有利である。偏光子101の厚みは、通常1μm以上であり、例えば5μm以上であってよい。偏光子101の厚みが20μm以下である場合にはクラックが発生しやすいが、本発明によると、このような貫通孔を有する場合であってもクラックの発生を抑制することができる。
偏光子101の厚みは、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルムの選定、延伸倍率の調節等により制御することができる。
[偏光子の製造方法]
偏光子101の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図6に示す製造方法は、以下の工程:
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水を含有する処理液を収容する膨潤槽に浸漬する膨潤工程S10と、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する処理液を収容する染色槽に浸漬して染色する染色工程S20と、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋剤を含有する処理液を収容する架橋槽に浸漬して架橋処理する架橋工程S30と、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄槽に浸漬する洗浄工程S40と、
乾燥工程S50と、
を含むことができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、偏光子製造工程のいずれか1以上の段階、より具体的には、膨潤工程S10の前から架橋工程S30までのいずれか1以上の段階で一軸延伸処理される(延伸工程)。
製造方法は、上記以外の他の工程をさらに含むことができる。本発明に係る製造方法に含まれる各種の処理工程は、偏光子製造装置のフィルム搬送経路に沿って原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを連続的に搬送させることによって連続的に実施することができる。フィルム搬送経路は、上記各種の処理工程を実施するための設備(処理槽や炉等)を、それらの実施順に備えている。
フィルム搬送経路は、上記設備の他、ガイドロールやニップロール等を適宜の位置に配置することによって構築することができる。例えば、ガイドロールは、各処理槽の前後や処理槽中に配置することができ、これにより処理槽へのフィルムの導入・浸漬および処理槽からの引き出しを行うことができる。より具体的には、各処理槽中に2以上のガイドロールを設け、これらのガイドロールに沿ってフィルムを搬送させることにより、各処理槽にフィルムを浸漬させることができる。
原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用し得る。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100以上10000以下であり、より好ましくは1500以上8000以下であり、さらに好ましくは2000以上5000以下である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超ではフィルム加工性に劣ることがある。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みは、例えば10μm以上50μm以下程度であり、偏光子の厚みを15μm以下とする観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。
原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、例えば、長尺の未延伸または延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(巻回品)として用意することができる。この場合、偏光子もまた、長尺物として得られる。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)膨潤工程S10
本工程における膨潤処理は、原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理であり、具体的には、水を含有する処理液を収容する膨潤槽にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの膨潤槽に浸漬されてもよいし、2以上の膨潤槽に順次浸漬されてもよい。膨潤処理前、膨潤処理時、または膨潤処理前および膨潤処理時に、フィルムに対して一軸延伸処理を行ってもよい。
膨潤槽に収容される処理液は、水(例えば純水)であることができる他、アルコール類のような水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。
フィルムを浸漬するときの膨潤槽に収容される処理液の温度は、通常10℃以上70℃以下程度、好ましくは15℃以上50℃以下程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常10秒以上600秒以下程度、好ましくは20秒以上300秒以下程度である。
(2)染色工程S20
本工程における染色処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる目的で行われる処理であり、具体的には、二色性色素を含有する処理液を収容する染色槽にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの染色槽に浸漬されてもよいし、2以上の染色槽に順次浸漬されてもよい。二色性色素の染色性を高めるために、染色工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理が施されていてもよい。染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行ってもよい。
二色性色素は、ヨウ素または二色性有機染料であることができる。二色性有機染料の具体例は、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色槽に収容される処理液には、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理と区別される。上記水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01質量部以上1質量部以下である。また、ヨウ化カリウム等のヨウ化物の含有量は通常、水100質量部あたり0.5質量部以上20質量部以下である。上述の通り、染色槽に収容される処理液は亜鉛塩を含有することができる。
フィルムを浸漬するときの染色槽に収容される処理液の温度は、通常10℃以上45℃以下、好ましくは10℃以上40℃以下であり、より好ましくは20℃以上35℃以下であり、フィルムの浸漬時間は、通常30秒以上600秒以下、好ましくは60秒以上300秒以下である。
二色性色素として二色性有機染料を用いる場合、染色槽に収容される処理液には、二色性有機染料を含有する水溶液を用いることができる。当該水溶液における二色性有機染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-4質量部以上10質量部以下であり、好ましくは1×10-3質量部以上1質量部以下である。染色槽には染色助剤等を共存させてもよく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩や界面活性剤等を含有させてもよい。二色性有機染料は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの染色槽に収容される処理液の温度は、例えば20℃以上80℃、好ましくは30℃以上70℃以下であり、フィルムの浸漬時間は、通常30秒以上600秒以下、好ましくは60秒以上300秒以下である。
(3)架橋工程S30
染色工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋剤で処理する架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整等の目的で行う処理であり、具体的には、架橋剤を含有する架橋槽に収容される処理液に染色工程後のフィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの架橋槽に浸漬されてもよいし、2以上の架橋槽に順次浸漬されてもよい。架橋処理時に一軸延伸処理を行ってもよい。
架橋剤としては、ホウ酸、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を挙げることができ、ホウ酸が好ましく用いられる。2種以上の架橋剤を併用することもできる。架橋槽に収容される処理液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり0.1質量部以上15質量部以下であり、偏光子の収縮力の観点から好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
二色性色素がヨウ素の場合、架橋槽に収容される処理液は、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましい。架橋槽に収容される処理液におけるヨウ化物の含有量は通常、水100質量部あたり0.1質量部以上15質量部以下であり、好ましくは5質量部以上12質量部以下である。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を架橋槽に共存させてもよい。
フィルムを浸漬するときの架橋槽に収容される処理液の温度は、通常50℃以上85℃以下、好ましくは50℃以上70℃以下であり、フィルムの浸漬時間は、通常10秒以上600秒以下、好ましくは20秒以上300秒以下である。
架橋工程S30では、架橋槽は2槽以上あってもよい。この場合、各架橋槽に収容される処理液の組成および温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。架橋槽に収容される処理液は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる目的に応じた架橋剤及びヨウ化物等の濃度や、温度を有していてもよい。架橋による耐水化のための架橋処理および色相調整(補色)のための架橋処理を、それぞれ複数の工程(例えば複数の槽)で行ってもよい。
一般に、架橋による耐水化のための架橋処理および色相調整(補色)のための架橋処理の双方を実施する場合、色相調整(補色)のための架橋処理を実施する槽(補色槽)が後段に配置される。補色槽に収容される処理液の温度は、例えば10℃以上55℃以下であり、好ましくは20℃以上50℃以下である。補色槽に収容される処理液における架橋剤の含有量は、水100質量部あたり、例えば1質量部以上5質量部以下である。補色槽に収容される処理液におけるヨウ化物の含有量は、水100質量部あたり、例えば3質量部以上30質量部以下である。
上述のように、偏光子の製造にあたり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、膨潤工程S10の前から架橋工程S30までのいずれか1または2以上の段階で一軸延伸処理される(延伸工程)。二色性色素の染色性を高める観点から、染色工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、または染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
一軸延伸処理は、空中で延伸を行う乾式延伸、槽中で延伸を行う湿式延伸のいずれであってもよく、これらの双方を行ってもよい。一軸延伸処理は、2つのニップロール間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、熱ロール延伸、テンター延伸等であることができるが、好ましくはロール間延伸を含む。原反フィルムを基準とする延伸倍率(2以上の段階で延伸処理を行う場合にはそれらの累積延伸倍率)は、3倍以上8倍以下程度である。良好な偏光特性を付与するために、延伸倍率は、好ましくは4倍以上、より好ましくは5倍以上とされる。
架橋工程S30を経ることにより、得られる偏光子にはホウ素成分が含まれる。このホウ素成分の含有量が少ないほど、収縮力は小さくすることができる傾向がある。ホウ素成分の含有量を少なくするためには、架橋槽の処理液におけるホウ酸含有量を低くしたり、架橋槽における浸漬時間を短くすればよい。
(4)洗浄工程S40
本工程における洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分な架橋剤や二色性色素等の薬剤を除去する目的で必要に応じて実施される処理であり、水を含有する洗浄液を用いて架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄する処理である。具体的には、洗浄槽に収容される処理液(洗浄液)に架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの洗浄槽に浸漬されてもよいし、2以上の洗浄槽に順次浸漬されてもよい。あるいは、洗浄処理は、架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して洗浄液をシャワーとして噴霧する処理であってもよく、上記の浸漬と噴霧とを組み合わせてもよい。
洗浄液は、水(例えば純水)であることができる他、アルコール類のような水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。洗浄液の温度は、例えば5℃以上40℃以下程度であることができる。
洗浄工程S40は任意の工程であり省略されてもよく、好ましくは、洗浄工程S40を行った後のフィルムに対して乾燥工程S50を行う。
(5)乾燥工程S50
乾燥工程S50は、洗浄工程S40後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させるためのゾーンである。洗浄工程S40後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを引き続き搬送させながら、乾燥工程S50に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光子が得られる。
乾燥処理は、フィルムの乾燥手段(加熱手段)を用いて行われる。乾燥手段の好適な一例は乾燥炉である。乾燥炉は、好ましくは炉内温度を制御可能なものである。乾燥炉は、例えば、熱風の供給等により炉内温度を高めることができる熱風オーブンである。また乾燥手段による乾燥処理は、凸曲面を有する1または2以上の加熱体に洗浄工程S40後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを密着させる処理や、ヒーターを用いて該フィルムを加熱する処理であってもよい。
上記加熱体としては、熱源(例えば、温水等の熱媒や赤外線ヒーター)を内部に備え、表面温度を高めることができるロール(例えば熱ロールを兼ねたガイドロール)を挙げることができる。上記ヒーターとしては、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を挙げることができる。
乾燥処理の温度(例えば、乾燥炉の炉内温度、熱ロールの表面温度等)は、通常30℃以上100℃以下であることが好ましい。乾燥時間は特に制限されないが、例えば30秒以上600秒以下である。
以上の工程を経て、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている偏光子を得ることができる。
得られた偏光子は、例えば、そのまま次の偏光板作製工程(偏光子の表面に延伸フィルム、保護フィルムを貼合する工程等)に搬送することもできる。
[第1熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸フィルム]
延伸フィルムは、第1熱可塑性樹脂フィルムからなり、第1熱可塑性樹脂フィルムは、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
延伸フィルムは、例えば未延伸の第1熱可塑性樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸することにより製造することができる。延伸するときの延伸条件を適宜調節したり、延伸フィルムをアニール処理したりすることにより引張弾性率及び位相差特性を制御することができる。延伸フィルムは、市販のものを用いてもよいし、第1熱可塑性樹脂フィルムを用いて作製してもよい。
第1熱可塑性樹脂フィルムは23℃における引張弾性率は1000N/m以上であり、1500N/m以上であることが好ましい。一般に、第1熱可塑性樹脂フィルムの弾性率は高い方がクラックが発生しにくい傾向にある。これは第1熱可塑性樹脂フィルムの弾性率が高い場合、偏光子が収縮した場合であっても、応力が発生しにくい傾向にあるからであると推定される。第1熱可塑性樹脂フィルムの引張弾性率は通常、8000N/m以下であり、例えば7000N/m以下であってよい。
第1熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;またはこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。中でも、光学耐光性及び寸法安定性の観点から好ましくはセルロースエステル系樹脂フィルムまたは環状ポリオレフィン系(COP)樹脂フィルムである。特にセルロースエステル系樹脂フィルムはクラックをより抑制しやすい傾向にある。
延伸フィルムの厚みは、偏光板10の薄型化の観点から薄いことが好ましいが、薄すぎると強度が低下して加工性に劣る傾向があることから、好ましくは5μm以上150μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
延伸フィルムは、保護フィルムとしての機能を有していてよい。また、延伸フィルムと後述する第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルムのいずれか一方または両方は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。偏光板10が画像表示装置に配置される場合、偏光板10は、延伸フィルム102が画像表示素子側とは反対側となるように画像表示装置に貼合することができる。
延伸フィルム102及び後述する第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルムはハードコート層が形成されたものであってよい。ハードコート層は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、両方の面に形成されていてもよい。ハードコート層を設けることにより、硬度及びスクラッチ性を向上させた熱可塑性樹脂フィルムとすることができる。ハードコート層は、例えば紫外線硬化型樹脂の硬化層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層は、強度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、又はこれらの混合物が挙げられる。
[第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルム]
第2熱可塑性樹脂フィルムは、第1熱可塑性樹脂フィルムの説明において例示したフィルムと同種であってもよいし、異種であってもよい。偏光板10が、第2熱可塑性樹脂フィルムが画像表示素子側に配置されるように画像表示装置に用いられる場合、第2熱可塑性樹脂フィルムは、引張弾性率が3000N/m以下であってもよいし、引張弾性率が3000N/mを超えるものであってもよい。
第2熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;またはこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。
偏光板が画像表示装置に配置される場合、偏光板は、第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルムが画像表示素子側となるように、画像表示装置に貼合することができる。
[偏光板のその他の構成要素]
(1)光学機能性フィルム
偏光板は、所望の光学機能を付与するための、偏光子101以外の他の光学機能性フィルムを備えることができ、その好適な一例は位相差フィルムである。
上述のように、第1熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸フィルム及び/又は第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルムが位相差フィルムを兼ねることもできるが、これらのフィルムとは別途に位相差フィルムを積層することもできる。後者の場合、位相差フィルムは、粘着剤層や接着剤層を介して延伸フィルム、保護フィルム、及び偏光子の少なくともいずれかの表面に積層することができる。偏光子と延伸フィルムとは、他のフィルムを介して積層されている構成であっても、他のフィルムを介さず粘着剤層や接着剤層のみを介して積層されている構成であってもよいが、クラックの発生を抑制する観点から、後者であることが好ましい。他のフィルムの厚みは通常20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下であり、通常1μm以上である。
位相差フィルムとしては、透光性を有する熱可塑性樹脂の延伸フィルムから構成される複屈折性フィルム;ディスコティック液晶又はネマチック液晶が配向固定されたフィルム;基材フィルム上に上記の液晶層が形成されたもの等が挙げられる。
基材フィルムは通常、熱可塑性樹脂からなるフィルムであり、熱可塑性樹脂の一例は、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂である。
偏光板に含まれ得る他の光学機能性フィルム(光学部材)の例は、集光板、輝度向上フィルム、反射層(反射フィルム)、半透過反射層(半透過反射フィルム)、光拡散層(光拡散フィルム)等である。これらは一般的に、偏光板が液晶セルの背面側(バックライト側)に配置される偏光板である場合に設けられる。
(2)粘着剤層
偏光板は、粘着剤層を設けることにより粘着層付き偏光板とすることができる。粘着剤層としては、偏光板を液晶セル、有機EL表示素子等の画像表示素子、又は他の光学部材に貼合するための粘着剤層が挙げられる。
図7は、粘着剤層付き偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図7に示すように、粘着剤層付き偏光板20は、第1熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸フィルム102と、偏光子101と、第2熱可塑性樹脂フィルムからなる保護フィルム103とが順に積層されてなる偏光板10と、偏光板10の保護フィルム103側に粘着剤層201が積層されてなる構成である。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、(メタ)アクリル系樹脂や、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂等をベースポリマーとするものを用いることができる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、耐候性、耐熱性、リワーク性等の観点から、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
(メタ)アクリル系粘着剤には、メチル基やエチル基やn-、i-又はt-ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、より好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上の(メタ)アクリル系樹脂がベースポリマーとして有用である。
偏光板への粘着剤層の形成は、例えば、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤に粘着剤組成物を溶解又は分散させて粘着剤液を調製し、これを偏光板の対象面に直接塗工して粘着剤層を形成する方式や、離型処理が施されたセパレートフィルム上に粘着剤層をシート状に形成しておき、それを偏光板の対象面に移着する方式等により行うことができる。
粘着剤層の厚みは、その接着力等に応じて決定されるが、1μm以上50μm以下の範囲が適当であり、好ましくは2μm以上40μm以下である。
偏光板は、上記のセパレートフィルムを含み得る。セパレートフィルムは、ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等からなるフィルムであることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートの延伸フィルムが好ましい。
粘着剤層は、必要に応じて、ガラス繊維、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粉や他の無機粉末からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を含むことができる。
帯電防止剤としては、例えば、イオン性化合物、導電性微粒子、導電性高分子等を挙げることができるが、イオン性化合物が好ましく用いられる。
イオン性化合物を構成するカチオン成分は無機カチオンでも有機カチオンでもよい。
有機カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン等が挙げられ、無機カチオンとしてはリチウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
一方、イオン性化合物を構成するアニオン成分としては、無機アニオンでも有機アニオンでもよいが、帯電防止性能に優れるイオン性化合物を与えることから、フッ素原子を含むアニオン成分が好ましい。フッ素原子を含むアニオン成分としては、ヘキサフルオロホスフェートアニオン[(PF )]、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン[(CFSO]アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン[(FSO]アニオン等が挙げられる。
(3)プロテクトフィルム
偏光板10は、その表面(典型的には、延伸フィルム102又は保護フィルム103の表面)を保護するためのプロテクトフィルムを含むことができる。プロテクトフィルムは、例えば画像表示素子や他の光学部材に偏光板が貼合された後、それが有する粘着剤層ごと剥離除去される。
プロテクトフィルムは、例えば、基材フィルムとその上に積層される粘着剤層とで構成される。粘着剤層については上述の記述が引用される。
基材フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂であることができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂である。
<偏光板の製造方法>
偏光板10の製造方法は、偏光子101を準備する工程と、偏光子101と第1熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸フィルム102とを貼合する貼合工程と、を少なくとも有する偏光板10の原料となる偏光板の製造工程と、原料となる偏光板の内面に貫通孔を設ける貫通孔形成工程とを含むことができる。
偏光板10が保護フィルム103をさらに含む場合には、上記製造方法は、貫通孔形成工程の前に、偏光子101の他方の面に保護フィルム103を貼合する第2貼合工程をさらに含むことができる。
[貼合工程]
貼合工程では、偏光子101の両面に接着剤を介して熱可塑性樹脂フィルム(延伸フィルム102及び保護フィルム103)をそれぞれ貼合(積層)することができる。偏光子101と熱可塑性樹脂フィルムの貼合に用いる接着剤としては、紫外線硬化性接着剤等の活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤等の水系接着剤を挙げることができる。偏光子101の両面に熱可塑性樹脂フィルムを貼合する場合、2つの接着剤層を形成する接着剤は同種であってもよいし、異種であってもよい。例えば、両面に熱可塑性樹脂フィルムを貼合する場合、片面は水系接着剤を用いて貼合し、もう片面は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて貼合してもよい。紫外線硬化型接着剤は、ラジカル重合性の(メタ)アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、カチオン重合性のエポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性の(メタ)アクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合、貼合後、活性エネルギー線を照射することによって接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線(紫外線)が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
偏光子101と熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を向上させるために、偏光子101と熱可塑性樹脂フィルムとの貼合に先立ち、偏光子101および/または熱可塑性樹脂フィルムの貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、プライマー塗布処理、ケン化処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の偏光板10は、上述のとおり、単層フィルムである偏光子101に熱可塑性樹脂フィルムを貼合することによって作製することもできるが、この方法に限らない。例えば特開2009-98653号公報に記載されるような、基材フィルムを利用する方法によっても作製することができる。後者の方法は薄膜の偏光子(偏光子層)を有する偏光板を得るのに有利であり、例えば次の工程を含むことができる。
基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程、
積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程、
延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層(偏光子に相当)を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程、
偏光性積層フィルムの偏光子層上に接着剤を用いて熱可塑性樹脂フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程、
貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面熱可塑性樹脂フィルム付偏光板を得る剥離工程。
偏光子101層(偏光子)の両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層する場合には、さらに片面第1熱可塑性樹脂フィルム付偏光板の偏光子面に接着剤を用いて第2熱可塑性樹脂フィルムを貼合する第2貼合工程を含む。
基材フィルムを利用する上記方法においては、偏光性積層フィルムを得る染色工程(例えば、偏光性積層フィルムを得る染色工程中の架橋工程後または洗浄工程後)に乾燥工程を含ませることができる。
[貫通孔形成工程]
偏光板10は、長尺の偏光板を、枚葉状に切り出して枚葉状偏光板を得、この枚葉状偏光板の面内に貫通孔を設けることにより得ることができる。枚葉状偏光板の面内に貫通孔を設ける方法の具体例としては、例えば枚葉状偏光板を、トムソン刃を用いて打抜く方法や、ドリル等の回転切削具を用いて穿孔加工を行う方法等が挙げられる。貫通孔形成加工を行う際、枚葉状偏光板は、単独であってもよいし、複数枚摘み重ねた積層体としてもよい。なお、長尺の偏光板を枚葉状に切り出す際に、同時に貫通孔が形成されるように貫通孔形成工程を行ってもよい。
<画像表示装置>
偏光板は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置に用いる画像表示素子としては、例えば液晶表示素子、有機EL表示素子等が挙げられる。液晶表示装置を構築するにあたって偏光板は、視認側に配置される偏光板に用いられてもよいし、バックライト側に配置される偏光板に用いられてもよいし、視認側およびバックライト側の双方の偏光板に用いられてもよい。本発明の偏光板は、例えば、カメラ、操作ボタン、赤外線照射口を有するスマートフォン等の画像表示装置に用いられ、これらに対応する位置に貫通孔が設けられた偏光板に用いられてもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。
[粘着剤層付き偏光板の作製]
<実施例1、2および比較例1、2>
図8に示す構成の偏光板30、すなわち、「プロテクトフィルム301〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、製品名:SAT4038T15、サンエー化研社製〕/輝度向上フィルム302〔製品名:APF-V3、3M社製、厚み26μm〕/第1粘着剤シート303〔厚み5μm〕/延伸フィルム(「第1保護フィルム」ともいう)102/偏光子101〔一軸延伸ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、厚み8μm〕/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304〔厚み20μm〕/セパレートフィルム305」の積層構造を有する実施例1、2及び比較例1、2の粘着剤層付き偏光板を、以下の方法により作製した。
1.第1粘着剤シート303及び第2粘着剤シート304の準備
離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなる第2セパレートフィルム(リンテック株式会社製)の離型処理面に、アプリケータを用いて乾燥後の厚みが5μm(第1粘着剤シート)、20μm(第2粘着剤シート)となるように粘着剤組成物を塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤シートを作製した。その後、粘着剤シートの露出している表面に第1セパレートフィルム305を貼合して第1粘着剤シート303及び第2粘着剤シート304を作製した。
2.積層構造1の作製工程
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ20μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素:ヨウ素カリウム:水の質量比が0.02:2:100の水溶液に28℃で浸漬してヨウ素染色を行った(以下、ヨウ素染色工程ともいう。)。ヨウ素染色工程を経たポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ化カリウム:ホウ酸:水の質量比が12:5:100の水溶液に64℃で浸漬してホウ酸処理を行った(以下、ホウ酸処理工程ともいう)。ホウ酸処理工程において、速度比の異なるロール間にて約4倍に一軸延伸した。ホウ酸処理工程を経たポリビニルアルコールフィルムを7℃の純水で洗浄した後、85℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子(延伸後の厚さ8μm)を得た。
得られた偏光子の両面にそれぞれ、表1に示す第1保護フィルムと、表1に示す第2保護フィルムとを、水系接着剤を介して貼合し、80℃で3分間乾燥させることにより、「第1保護フィルム102/偏光子101/第2保護フィルム103」からなる積層構造を作製した。実施例1,2において用いた第1保護フィルムは、一軸延伸フィルムであり、その延伸軸と偏光子101の透過軸とのなす角度θは0°となるように貼合した。その後、第2粘着剤シート304の第2セパレートフィルムを剥離して露出した粘着剤層の表面を、上記積層構造の第2保護フィルム103の表面にラミネータにて貼り合わせて、「第1保護フィルム102/偏光子101/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304/セパレートフィルム305」の層構成を有する積層構造1を得た。
3.積層構造2の作製工程
プロピレン製プロテクトフィルム付の輝度向上フィルム302〔製品名:APF-V3、3M製、厚み26μm〕について、輝度向上フィルムの露出面をコロナ処理し、第1粘着剤シート303の第2セパレートフィルムを剥離したものを輝度向上フィルム302のコロナ処理した表面にラミネータを用いて貼合した。次に、プロピレン製プロテクトフィルムを、プロテクトフィルム301に貼り替えて、「プロテクトフィルム301/輝度向上フィルム302/第1粘着剤シート303」の層構成を有する積層構造2を得た。
4.積層構造1と積層構造2の貼合工程
積層構造2の第1粘着剤シート303の表面に貼合されている第1セパレートフィルムを剥離して露出した第1粘着剤シートの表面を、積層構造1の第1保護フィルム102に貼合して、積層構造1と積層構造2とが積層されてなる粘着剤層付き偏光板を得た。
5.製品加工
上記4.にて得られた粘着剤層付き偏光板を打抜き、端面研磨して、図9に示す形状、すなわち、偏光子の吸収軸方向が長辺方向、それに直交する透過軸方向が短辺方向である、145.61mm×67.81mmの矩形であって、短辺方向の中心であってかつ一方の短辺からの最短距離が3mmである位置に一つの貫通孔(偏光板の外縁から貫通孔までの、偏光子の透過軸に沿った最短距離dは32.4mm、直径3mmの円形)を有する形状とした。なお、上記のようにして作製した粘着剤層付き偏光板の端面研磨は、粘着剤層付き偏光板を20枚積層して、外縁部および貫通孔周辺の0.3mmの範囲を研磨することにより行った。
6.評価用サンプルの作製
ガラス洗浄機で洗浄したガラス板(コーニング社製)を準備した。上記5.で作製した粘着剤層付き偏光板の第2粘着剤シートの表面に貼合されている第1セパレートフィルムを剥離して露出した第2粘着剤シートの表面を、上記で準備したガラス板に貼合し、その後、プロテクトフィルム301〔PETフィルム〕を剥離除去して、評価用サンプルを作製した。
<実施例3および比較例3>
図10に示す構成の偏光板40、すなわち「第1保護フィルム102/偏光子101〔一軸延伸PVAフィルム、厚み8μm〕/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304〔厚み20μm〕/セパレートフィルム305」の積層構造を有する実施例3および比較例3の粘着剤層付き偏光板を、以下の方法により作製した。
1.第2粘着剤シート304の準備
実施例1において作製した第2粘着剤シート304を準備した。
2.積層構造2の準備
実施例1において作製した偏光子101を準備した。この偏光子101の両面にそれぞれ水系接着剤を用いて表1に示す第1保護フィルム102と表1に示す第2保護フィルム103とを貼合した。実施例3において用いた第1保護フィルム102は一軸延伸フィルムであり、その延伸軸と偏光子101の透過軸とのなす角度θは0°となるように貼合した。次いで、実施例1と同様に乾燥させて、「第1保護フィルム102/偏光子101/第2保護フィルム103」からなる積層構造を作製した。その後、実施例1と同様に第2粘着剤シート304を貼り合せて「第1保護フィルム102/偏光子101/第2保護フィルム103/第2粘着剤シート304/セパレートフィルム305」の層構成を有する積層構造1を得、これを粘着剤層付き偏光板とした。
実施例1で得た粘着剤層付き偏光板に代えて、上記で得た粘着剤層付き偏光板を用いた以外は実施例1と同様にして打抜き、端面研磨して図9に示す形状とし、第1セパレートフィルム305を剥離して露出した第2粘着剤シートの表面を実施例1で準備したと同様のガラス板(コーニング社製)に貼合して、評価用サンプルを作製した。
[熱衝撃試験]
熱衝撃試験槽に、各実施例および各比較例で作製した評価用サンプルを投入し、-40℃及び85℃の熱刺激を各30分のサイクルで与えた。低温から高温への熱刺激を1サイクルとし、各サンプルにつき100サイクルの試験を行い、その後50サイクルの試験を3回行い、計250サイクルの試験を行った。
[クラック評価]
上記熱衝撃試験において100サイクル終了後、及び100サイクル終了後は50サイクル終了毎に評価用サンプルのクラックの発生及び生長をルーペ又は光学顕微鏡を用いて観察を行った。特に、貫通孔周辺に関しては詳細に観察を行った。クラックは、その発生位置と長さを計測し、200μm以上のクラックが一本も観察されなかった場合は「A」、200μm以上のクラックが一本以上観察された場合は「B」、と評価した。なお、「B」と評価されたサンプルについては、以降の熱衝撃試験を中止した。結果を表1に示す。
[引張弾性率の測定]
実施例および比較例で用いたそれぞれの第1保護フィルム102から長さ方向が異なる複数の試験片を切出して、それぞれ長さ方向に一定速度で引張りながら、それぞれの試験片の引張弾性率を測定することにより、引張弾性率が最大値を示す最大引張弾性率方向を求め、引張弾性率が最小値を示す最小引張弾性率方向を求め、それぞれの方向における引張弾性率を得た。いずれの第1保護フィルムも、最小引張弾性率方向は、最大引張弾性率方向に対して直交していた。第1保護フィルム102の最大引張弾性率方向の引張弾性率および最大引張弾性率に直交する方向の引張弾性率は表1に示すとおりであった。
試験片は、第1保護フィルム102をスーパーカッターにより幅25mm×長さ100mmの長方形状に切出して得た。それぞれの試験片の引張弾性率の測定は、試験片を弾性率測定機〔島津製作所製「AG-Xplus」〕にセットし、このとき、試験片を固定する固定治具間の距離は50mmとし、次いで室温(23℃)にて、引張速度1mm/分で試験片を一方向に引張りながら行った。実施例および比較例で用いた第1保護フィルム102の最大引張弾性率方向の引張弾性率および最大引張弾性率に直交する方向の引張弾性率は表1に示すとおりであった。
Figure 0007343372000001
表1において、未延伸のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを「未延伸TAC」、未延伸TACを一軸延伸してなる延伸フィルムを「延伸TAC」、未延伸のシクロオレフィン系樹脂(COP)フィルムを一軸延伸してなる延伸フィルムを「延伸COP」として表記している。
表1に示される通り、本発明による偏光板は、熱衝撃試験において250サイクル実施後もクラックが発生しなかった。
10 偏光板、11 貫通孔、20,30,40 粘着剤層付き偏光板、101 偏光子、101A 吸収軸、101B 透過軸、102 延伸フィルム(第1保護フィルム)、102A 延伸軸、103 保護フィルム(第2保護フィルム)、201 粘着剤層。

Claims (7)

  1. 画像表示素子に積層して用いられる偏光板であって、
    平面視において面内に貫通孔を有し、
    ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光子と、前記偏光子の前記画像表示素子側とは反対側となる面に積層された延伸フィルムとを有し、
    前記偏光子の透過軸と、前記延伸フィルムの延伸軸とのなす角度θ[°]が、下記の式(1a)の関係を満たす、偏光板。
    θ≦60 (1a)
  2. 記偏光板の外縁から前記貫通孔までの、前記偏光子の透過軸に沿った最短距離d[mm]が、下記の式(2a)の関係を満たす、請求項1に記載の偏光板。
    d≧10 (2a)
  3. 前記延伸フィルムが、セルロース系樹脂フィルムまたは環状ポリオレフィン系樹脂フィルムである、請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記偏光子の前記画像表示素子側となる面に積層された保護フィルムをさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 請求項4に記載の偏光板と、前記保護フィルム側に設けられた粘着剤層とを有する、粘着層付き偏光板。
  6. 前記粘着剤層は、前記偏光板を画像表示素子に貼合するためのものである、請求項5に記載の粘着剤付き偏光板。
  7. 画像表示素子と、請求項1~4のいずれか1項に記載の偏光板とを含む画像表示装置。
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