JP2022140346A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents

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Koji Kumon
智之 山口
Tomoyuki Yamaguchi
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【課題】端部領域において偏光子空隙部が形成されず、かつヒートショック試験においてクラックの発生が抑制される偏光子を備えた偏光板を提供する。【解決手段】偏光板は、ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の両面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、少なくとも一方の前記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置し、前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、下記式(I)を満たす。ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)[ホウ酸架橋度指数は、波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度で定義される。]【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板およびその製造方法に関する。
下記特許文献1は、偏光板に貫通孔を形成した場合等においても良好な耐久性を有する偏光板として、貫通孔の端部のホウ酸の含有濃度が他の部位より低い偏光子と該偏光子の両面に保護フィルムを有する偏光板を開示している。
特開2016-206641号公報
しかしながら上記特許文献1に記載の偏光板は、その端部に偏光子空隙部が形成されてしまっていた。偏光子空隙部とは、偏光子の端部が保護フィルムの端部よりも面方向内側に存在(または位置)することにより形成される保護フィルム間の空隙部を意味する。上記偏光子空隙部が偏光板の端部に形成されると、偏光板を表示装置等に組み込んだ際に、偏光子空隙部から光漏れが生じる場合がある。
本発明の目的は、偏光板の端部(中でも偏光子における透過軸方向と平行な方向の端部)領域において偏光子空隙部が形成されず、かつ高温(85℃)下に曝した後、冷却することによって低温(-40℃)下に曝す操作を繰り返すヒートショック試験においてクラックの発生が抑制される偏光子を備えた偏光板、およびその製造方法を提供することである。
本発明は、以下の偏光板およびその製造方法を提供する。
〔1〕 ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の両面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板であって、
前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、少なくとも一方の前記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置し、
前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、下記式(I)を満たす、偏光板。
ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)
[ホウ酸架橋度指数は、波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度で定義される。]
〔2〕 ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の両面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより偏光板を得る積層工程と、
前記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を、20℃以上の処理液に3~150秒接触させる端部処理工程とを含む、偏光板の製造方法。
〔3〕 前記偏光板を切断および/または打ち抜き加工することにより、前記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を形成する端部形成工程をさらに含む、〔2〕に記載の偏光板の製造方法。
〔4〕 前記偏光板において、前記熱可塑性樹脂フィルムの前記偏光子が配置された側とは反対側の面に偏光板用表面保護フィルムを積層する表面保護工程をさらに含む、〔2〕または〔3〕に記載の偏光板の製造方法。
〔5〕 前記処理液は水を含む、〔2〕から〔4〕のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
〔6〕 前記処理液は水である、〔2〕から〔5〕のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
〔7〕 前記処理液はpH3~9である、〔2〕から〔6〕のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
〔8〕 ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板であって、
前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、前記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置し、
前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、下記式(I)を満たす、偏光板。
ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)
[ホウ酸架橋度指数は、波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度で定義される。]
〔9〕 ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより偏光板を得る積層工程と、
前記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を、20℃以上の処理液に3~150秒接触させる端部処理工程とを含む、偏光板の製造方法。
本発明によれば、偏光板の端部(中でも偏光子における透過軸方向と平行な方向の端部)領域において偏光子空隙部が形成されず、かつ高温(85℃)下に曝した後、冷却することによって低温(-40℃)下に曝す操作を繰り返すヒートショック試験においてクラックの発生が抑制される偏光子を備えた偏光板、およびその製造方法を提供することができる。また本発明によれば、偏光子空隙部が形成されないことから光漏れも改善される。
図1は、本実施形態に係る偏光板を示す概略断面図である。 図2は、本実施形態に係る偏光板を構成する偏光子を説明する説明図である。 図3は、偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部の態様を説明する説明図であって、(a)~(e)は、本実施形態の範囲に含まれる偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部の態様を説明する説明図であり、(f)は、本実施形態の範囲外の偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部の態様を説明する説明図である。 図4は、本実施形態に係る偏光板を対象とした顕微ラマン分光分析について説明する説明図である。 図5は、他の実施形態に係る偏光板を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」とも記す)を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下のすべての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。図1および図5に示すX,YおよびZは、互いに直交する3つの座標軸を意味する。図1および図5中のXYZ座標軸其々が示す方向は各図に共通する。また本明細書において「平面視」とは、偏光板および偏光子をそれぞれ厚み方向から視することを意味する。
<偏光板>
本実施形態に係る偏光板は、ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板であって、好ましくは上記偏光子の両面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板である。本実施形態に係る偏光板において、上記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、少なくとも一方の上記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置する。また上記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、下記式(I)を満たす。
ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)
[ホウ酸架橋度指数は、波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度で定義される。]。
図1は、本実施形態に係る偏光板を示す概略断面図である。図1に示すように、偏光板1は、ヨウ素およびホウ素を含む偏光子2の両面に熱可塑性樹脂フィルム(第1熱可塑性樹脂フィルム3および第2熱可塑性樹脂フィルム4)を有する。偏光板1は、偏光子2の両側に熱可塑性樹脂フィルム(第1熱可塑性樹脂フィルム3および第2熱可塑性樹脂フィルム4)が接着剤または粘着剤を用いて貼合されることにより形成される。以下、本明細書において「第1熱可塑性樹脂フィルム」および「第2熱可塑性樹脂フィルム」を総称して保護フィルムということがある。
本明細書において「偏光子」とは、自然光などの光を直線偏光に変換する機能を有する部材をいう。上記偏光子は、透過軸と吸収軸とを有する。以下、偏光子の「透過軸方向」および「吸収軸方向」について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る偏光板を構成する偏光子を説明する説明図である。図2に示すように偏光子の透過軸方向(TD方向)は、偏光子に自然光を透過させたときの透過光の振動方向として理解される。一方、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、偏光子の上記透過軸に直交する。なお、偏光子は延伸フィルムであり得、偏光子の吸収軸方向は、その延伸方向(MD方向)と一致し得、偏光子の透過軸方向は幅方向(TD方向)と一致し得る。
本実施形態に係る偏光板は、偏光子空隙部が存在しない。すなわち上記偏光板において、上記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、少なくとも一方の上記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置する。本明細書において「偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、少なくとも一方の上記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置する」とは、図3(f)に示すような偏光板の構造を除くことをいう。つまり図3(f)に示す偏光板においては、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部21は、両面の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41よりも面方向内側に位置するため、偏光子空隙部2aが形成されている。一方、本実施形態において偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部21は、少なくとも一方の上記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置する限り、特段その構造は限定されない。例えば、図3(a)に示す偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部10において、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部21は、両面の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41と面方向において同じ位置にあってもよい。また、図3(b)および図3(c)に示すように、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部21は、一方の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41と面方向において同じ位置にあり、もう一方の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41よりも面方向外側に位置にしてもよい。さらに、図3(d)および図3(e)に示すように、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部21が、一方の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41よりも面方向内側に位置し、もう一方の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部31,41よりも面方向外側に位置していてもよい。なお本明細書において、図3(d)および図3(e)に示すように、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部21および熱可塑性樹脂フィルムにおける端部31,41が傾斜を有する場合、熱可塑性樹脂フィルムの端部31,41は熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向中央の位置を表し、偏光子の端部21は偏光子の厚み方向中央の位置を「偏光子透過軸方向と平行な方向の端部」として表すものとする。また本願明細書において「面方向」とは、偏光子2の面と平行な方向をいうものとする。
本実施形態に係る偏光板は、上記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部が下記式(I)を満たす。
ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)
[ホウ酸架橋度指数=波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度]。
上記ホウ酸架橋度指数の値は、0以上であってもよく、0より大きくてもよい。また、0より大きく0.9以下であることが好ましく、0.1以上0.85以下であることがより好ましく、0.15以上0.80以下であることがさらに好ましい。本明細書において「ホウ酸架橋度指数」とは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムなどからなる偏光子において、ポリビニルアルコール分子鎖同士がどの程度、ホウ酸で架橋されているのかを表す指数を意味する。ホウ酸架橋度指数の値が高いほど、ポリビニルアルコール分子鎖同士のホウ酸架橋が進行した偏光子であるといえ、偏光子においてヨウ素抜けが起こりにくいという特性を備えることができる。一方、偏光子の端部(特に偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)においてホウ酸架橋度指数の値が高すぎる場合、ヒートショック試験において偏光板にクラックが発生し易い傾向にある。上記式(I)を満たすことにより、ヒートショック試験における偏光板のクラック発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る偏光板は、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部でのホウ酸架橋度指数(以下、「ホウ酸架橋度指数(1)」という場合がある)と、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部から面方向内側に100μmでのホウ酸架橋度指数(以下、「ホウ酸架橋度指数(2)」という場合がある)との比率(ホウ酸架橋度指数(1)/ホウ酸架橋度指数(2))が0.95以下であることが好ましい。ホウ酸架橋度指数(1)/ホウ酸架橋度指数(2)は0.90以下であることがより好ましく、0以上であればよい。
ホウ酸架橋度指数は、顕微ラマン分光分析を行うことにより求めることができる。顕微ラマン分光分析において、レーザーラマン分光光度計(商品名:「NRS-5100」、日本分光株式会社製)を用いることにより、偏光子の波数780cm-1におけるラマン散乱光強度、および波数850cm-1におけるラマン散乱光強度をそれぞれ求め、次いでこれらの波数のラマン散乱光強度を除算(波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度)することにより、ホウ酸架橋度指数を算出することができる。
ここで図4は、本実施形態に係る偏光板を対象とした顕微ラマン分光分析について説明する説明図である。図4に示すようにレーザーラマン分光光度計においては、レーザー光Xと偏光子の吸収軸方向とが直交するように入射させる。なお、ここでレーザー光Xは、偏光子の厚み方向に偏光している。またレーザー光の測定位置を、偏光子の厚み方向中央の位置とする。なお、ラマン分光測定の前にミクロトームを用いて偏光板の断面加工を実機することが好ましい。波数780cm-1におけるラマン散乱光強度とは、ポリビニルアルコールとホウ素との結合に起因するラマン散乱光強度を意味し、波数850cm-1におけるラマン散乱光強度とは、ポリビニルアルコールに起因するラマン散乱光強度を意味する。
また上記の顕微ラマン分光分析に用いる各種の条件は、以下のとおりである。
励起波長 :532nm
グレーチング:600 l/mm
スリット幅 :100×1000μm
アパーチャ :φ40μm
対物レンズ :100倍。
偏光板は長尺の帯状であってもよいし、枚葉状であってもよい。偏光板が枚葉状である場合、偏光板は、平面視において全体形状が方形状または角丸方形状であってよい。角丸方形状とは、方形状の角部のうち1つ以上が曲線となっている形状をいい、すなわち方形状の角部のうち1つ以上が角丸であり、方形状とは4つの角がいずれも角丸ではない形状をいうものとする。また、本明細書において、方形状とは長方形状または正方形状をいうものとする。偏光板が角丸方形状である場合、偏光板が有する4つの角のうち1つ以上が角丸となっていてもよい。偏光板は、平面視における全体形状が多角形、円形、または楕円形であってもよい。
また偏光板は、平面視において異形部を有することもできる。当該異形部は、偏光板の外縁部および面内の少なくとも一方に形成することができる。偏光板の外縁部に異形部を有する場合、当該異形部の形状は、たとえば偏光板の平面視において、外縁部から内側へ凸状となる略U字形状または略V字形状であってよい。また、偏光板の面内に異形部を有する場合、当該異形部は、貫通孔であってよい。ここで偏光板の外縁部に異形部を有する場合、偏光板の異形部ではない部分における端部と、異形部における端部との少なくとも一方が上記式(I)を満していれば、本発明の範囲に属するものとなる。さらに、偏光板の異形部ではない部分における端部と、異形部における端部との両者が上記式(I)を満していることもより好ましい。なお、上述した偏光板の平面視における全体形状の具体例は、後述する(偏光子)の項目における偏光子の全体形状の例示としても適用される。
以下、本実施形態に係る偏光板について、その製造方法を通じてより詳細に説明する。まず、偏光板の各構成要件について説明する。
(偏光子)
偏光子は、ホウ酸およびヨウ素を含む。具体的には偏光子は、ホウ酸およびヨウ素を含有する樹脂フィルムである。ホウ酸およびヨウ素を含有する樹脂フィルムとしては、例えば一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向され、ポリビニルアルコール分子鎖同士がホウ酸で架橋された樹脂フィルムであることができる。そのような偏光子は、たとえば後述する偏光板の製造方法において、偏光子製造工程を実行することにより得ることができる。
偏光子の厚みは、例えば3μm以上30μm以下であってよく、5μm以上25μm以下であってもよく、15μmより大きく25μm以下であってもよく、16μm以上24μm以下であってもよい。偏光子の厚みが厚いほど、温度変化に伴う偏光子の収縮力が大きくなり、例えばヒートショック試験のような過酷な環境下に偏光板を保管した場合、偏光子にクラックが発生しやすくなる傾向にある。また、高温環境下に偏光板を保管した場合に偏光板が大きく変形しやすくなる傾向にある。本実施形態によれば、たとえ偏光子が厚く、収縮しやすいものである場合であっても、ヒートショック試験における偏光子の割れおよび耐熱試験における偏光板の変形を抑制することができる傾向にある。
(熱可塑性樹脂フィルム)
熱可塑性樹脂フィルムは、偏光子を物理的および化学的に保護することから、偏光子の保護フィルムであることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、透光性を有する熱可塑性樹脂からなることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィンポリマー系樹脂(COP系樹脂)、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはこれらの混合物もしくは共重合体であってよい。
本明細書において「保護フィルム」とは、熱可塑性樹脂フィルムであって、偏光子と直接、あるいは粘着剤又は接着剤を介して間接的に重なるフィルムであり、偏光板を表示装置に貼合後も偏光子を保護するために積層された状態で残るフィルムとして定義される。一方、後述する「偏光板用表面保護フィルム」とは、偏光板のいずれか一方の最外面に配置されるフィルムであり、偏光板を表示装置に貼合した後に剥離除去されるフィルムとして定義されるものとする。
図1に示すように、第1熱可塑性樹脂フィルム3と第2熱可塑性樹脂フィルム4とは同じ種類の樹脂から形成されるフィルムであってもよく、異なる種類の樹脂から形成されるフィルムであってもよい。また第1熱可塑性樹脂フィルム3および第2熱可塑性樹脂フィルム4は、厚み、位相差特性、光学特性、機械特性等において同じであってもよいし、異なっていてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂が鎖状ポリオレフィン系樹脂である場合、鎖状ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体であってよい。鎖状ポリオレフィン系樹脂は、二種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体であってもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂が環状オレフィンポリマー系樹脂(環状ポリオレフィン系樹脂)である場合、環状オレフィンポリマー系樹脂は、例えば、環状オレフィンの開環(共)重合体、または環状オレフィンの付加重合体であってよい。環状オレフィンポリマー系樹脂は、例えば、環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体(例えば、ランダム共重合体)であってよい。共重合体を構成する鎖状オレフィンは、例えば、エチレンまたはプロピレンであってよい。環状オレフィンポリマー系樹脂は、上記の重合体を不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変性したグラフト重合体、またはそれらの水素化物であってもよい。環状オレフィンポリマー系樹脂は、例えば、ノルボルネンまたは多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂であってよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂がセルロースエステル系樹脂である場合、セルロースエステル系樹脂は、例えば、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース(TAC))、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネートまたはセルロースジプロピオネートであってよい。これらの共重合物を用いてもよい。水酸基の一部が他の置換基で修飾されたセルロースエステル系樹脂を用いてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂は、セルロースエステル系樹脂以外のポリエステル系樹脂を用いてもよい。ポリエステル系樹脂は、例えば、多価カルボン酸またはその誘導体と多価アルコールとの重縮合体であってよい。多価カルボン酸またはその誘導体は、ジカルボン酸またはその誘導体であってよい。多価カルボン酸またはその誘導体は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、またはナフタレンジカルボン酸ジメチルであってよい。多価アルコールは、例えば、ジオールであってよい。多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、またはシクロヘキサンジメタノールであってよい。
ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、またはポリシクロヘキサンジメチルナフタレートであってよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂がポリカーボネート系樹脂である場合、ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介して重合単位(モノマー)が結合された重合体である。ポリカーボネート系樹脂は、修飾されたポリマー骨格を有する変性ポリカーボネートであってよく、共重合ポリカーボネートであってもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である場合、(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA));メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(例えば、MS樹脂);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)であってよい。
第1熱可塑性樹脂フィルムおよび第2熱可塑性樹脂フィルム其々は、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加剤を含んでよい。また、第1熱可塑性樹脂フィルムおよび第2熱可塑性樹脂フィルム其々は、その外面(偏光子とは反対側の表面)に、ハードコート層、防眩層、反射防止層、光拡散層、帯電防止層、防汚層、導電層などの表面処理層(コーティング層)を備えていてもよい。
第1熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、例えば、5μm以上110μm以下、または10μm以上100μm以下であってよい。第2熱可塑性樹脂フィルムの厚みも、例えば、5μm以上110μm以下、または10μm以上100μm以下であってよい。
第1熱可塑性樹脂フィルムおよび第2熱可塑性樹脂フィルムは、位相差値を有していてもよい。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムが得られる。
第1熱可塑性樹脂フィルムは、接着層を介して、偏光子に貼合されることが好ましい。第2熱可塑性樹脂フィルムも、接着層を介して、偏光子に貼合されることが好ましい。接着層は、ポリビニルアルコール系樹脂等を含んでよい。接着層は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂を含んでもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線を照射されることにより、硬化する樹脂である。活性エネルギー線は、例えば、紫外線、可視光、電子線、またはX線であってよい。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であってよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、一種の樹脂であってよく、複数種の樹脂を含んでもよい。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂は、カチオン重合性の硬化性化合物、またはラジカル重合性の硬化性化合物を含んでよい。活性エネルギー線硬化性樹脂は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤を含んでよい。
カチオン重合性の硬化性化合物は、例えば、エポキシ系化合物(分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物)、またはオキセタン系化合物(分子内に少なくとも一つのオキセタン環を有する化合物)であってよい。ラジカル重合性の硬化性化合物は、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)であってよい。ラジカル重合性の硬化性化合物は、ラジカル重合性の二重結合を有するビニル系化合物であってもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、または溶剤等を含んでよい。
接着剤層の厚みは、通常0.01~10μmである。接着剤層が活性エネルギー線硬化性樹脂を含む場合、上記接着剤層の厚みは、好ましくは0.1~8μmであり、接着剤層がポリビニルアルコール系樹脂を含む場合、上記接着剤層の厚みは、好ましくは0.03~1μmである。
(偏光板用表面保護フィルム)
図5は、他の実施形態に係る偏光板を示す概略断面図である。当該実施形態に係る偏光板は、図5に示すように、第1熱可塑性樹脂フィルム3または第2熱可塑性樹脂フィルム4の偏光子2とは反対側の表面に、さらに偏光板用表面保護フィルム5を備えていてもよい。偏光板用表面保護フィルム5は、通常、基材フィルムとその上に積層される粘着剤層とで構成され、偏光板用表面保護フィルム5の熱可塑性樹脂フィルム等への貼合および剥離除去は、上記粘着剤層と上記基材フィルムとが一体となった状態で行われる。基材フィルムは、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂で構成することができる。偏光板用表面保護フィルム5の厚みは、例えば、5μm以上200μm以下であってよい。偏光板用表面保護フィルム5は、偏光板の表面を傷や汚れから保護する目的で用いられるフィルムであり、例えば画像表示装置に適用される場合、その製造過程において、偏光板1から剥離され、除去される。
偏光板は、第1熱可塑性樹脂フィルム3または第2熱可塑性樹脂フィルム4の偏光子2とは反対側の表面に、さらに粘着層を備えていてもよい。偏光板用表面保護フィルム5を備える場合、上記粘着層は、通常、偏光板用表面保護フィルム5が積層されていない熱可塑性樹脂フィルム上に積層される。上記粘着層の保護を目的とし、上記粘着層の熱可塑性樹脂フィルムとは反対側の表面に離型フィルムが積層されていてもよい。
<偏光板の製造方法>
本実施形態に係る偏光板の製造方法は、ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の少なくとも一方の面(好ましくは両面)に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより偏光板を得る積層工程と、上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を、20℃以上の処理液に3~150秒接触させる端部処理工程を含む。このような特徴を備える偏光板の製造方法により、偏光子透過軸方向と平行な方向の端部においてヨウ素抜けが生じがたく、カールが抑制され、かつヒートショック試験においてクラックの発生が抑制される偏光子を備えた偏光板を得ることができる。
上記偏光板の製造方法は、上記積層工程において偏光子製造工程(ホウ酸とヨウ素とを含む偏光子を製造する工程)を含むことができる。上記偏光板の製造方法は、上記偏光板を切断および/または打ち抜き加工することにより、上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を形成する端部形成工程をさらに含むこともできる。すなわち偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、上記偏光板を切断および/または打ち抜き加工することにより形成される場合がある。なお上記端部形成工程については、上記積層工程と上記端部処理工程との間に実施することができる。
上記偏光板の製造方法は、上記偏光板において、上記熱可塑性樹脂フィルムの上記偏光子が配置された側とは反対側の面に偏光板用表面保護フィルムを積層する表面保護工程をさらに含むことができる。上記表面保護工程は、積層工程の前に実施してもよいし、積層工程の後に実施してもよい。また上記偏光板の製造方法は、上記端部処理工程の後に、上記積層工程を実施してもよい。端部処理工程の後に積層工程を実施する場合、上記端部処理工程において20℃以上の処理液に3~150秒接触させる対象部は、偏光子のみとなる。以下、本実施形態に係る偏光板の製造方法の一態様を具体的に説明する。
(積層工程)
(1) 偏光子製造工程
偏光子製造工程は、ホウ酸とヨウ素とを含む偏光子を製造する工程である。具体的には、ホウ酸とヨウ素とを含む偏光子は、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVAフィルム)に延伸処理、染色処理及び架橋処理を施すことにより製造することができる。延伸処理、染色処理及び架橋処理は公知の方法により行うことができる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80モル%以上の範囲であり得るが、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上の範囲である。ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレンおよびプロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸等の不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸のアルキルエステルおよびアクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100~10000であり、より好ましくは1500~8000であり、さらに好ましくは2000~5000である。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂から構成される原反フィルムを一軸延伸し、水で膨潤させ(膨潤工程)、二色性色素で染色し(染色工程)、ホウ酸水溶液で架橋させ(架橋工程)、水で洗浄し(洗浄工程)、最後に乾燥させる(乾燥工程)ことにより、製造することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、空中で延伸を行う乾式延伸、浴中で延伸を行う湿式延伸のいずれであってもよく、これらの双方を行ってもよい。湿式延伸は、例えば、上記の染色工程および/または架橋工程の間および/または前後に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理浴中に浸漬した状態で延伸を施し得る。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの最終的な延伸倍率は、通常4~8倍程度である。
膨潤工程では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水で膨潤させる。膨潤処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬させることにより実施できる。水の温度は、例えば10~70℃であり、浸漬時間は、例えば10~600秒程度である。
染色工程では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、フィルムに二色性色素を吸着させる。染色処理は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬させればよい。二色性色素としては、具体的に、ヨウ素または二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。水溶液中のヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.003~1質量部程度であり得る。水溶液中のヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~20質量部程度である。この水溶液の温度は、通常10~45℃程度であり、浸漬時間は、通常30~600秒程度である。
架橋工程は、例えば、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬させて行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常1~15質量部程度、好ましくは2~10質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常1~20質量部程度、好ましくは5~15質量部である。ホウ酸水溶液へのフィルムの浸漬時間は、通常10~600秒程度であり、好ましくは20秒以上であり、また好ましくは300秒以下である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~70℃である。
架橋工程を経たポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水による洗浄工程に付される。洗浄処理は、例えば、架橋処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬させて行われる。洗浄処理における水の温度は、通常5~40℃程度であり、浸漬時間は、通常2~120秒程度である。
その後、乾燥工程を経て、偏光子が得られる。乾燥は、通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は通常40~100℃であり、乾燥時間は通常30~600秒程度である。
(2) 積層工程
積層工程は、上記偏光子の少なくとも一方(好ましくは両面)に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより偏光板を得る工程である。具体的には、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとを重ねて互いに貼合することにより偏光板(以下、端部処理工程を経ていない偏光板を、説明の便宜のため「未処理偏光板」とも記す)を製造することができる。偏光子および熱可塑性樹脂フィルムは、長尺な帯状であってよい。上記熱可塑性樹脂フィルムは、接着層を介して偏光子に貼合することができる。
上記積層工程においては、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を向上させるために、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの貼合に先立ち、偏光子および/または熱可塑性樹脂フィルムの貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、プライマー塗布処理、ケン化処理等の表面処理を施してもよい。
(3) 表面保護工程
表面保護工程は、上記偏光板において上記熱可塑性樹脂フィルムの偏光子が配置された側とは反対側の面に偏光板用表面保護フィルムを積層する工程である。表面保護工程は、偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を形成する端部形成工程の前に行ってもよいし、当該端部形成工程および端部処理工程の後に行ってもよいが、好ましくは上記積層工程の後であって、上記端部形成工程の前に行うことができる。
(端部形成工程)
端部形成工程は、上記未処理偏光板に偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を形成するため、未処理偏光板を切断および/または打ち抜き加工することにより、上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を形成する工程である。本工程により未処理偏光板の寸法を、加工し易い寸法へ調整することもできる。切断および/または打ち抜き加工は、具体的には切断刃を用いたり、打ち抜き刃を用いたり、レーザー光を照射したりすることにより行うことができる。レーザー光は、COレーザーであってよい。これにより長尺状の未処理偏光板を枚葉状の未処理偏光板へ加工することができる。上記端部形成工程において未処理偏光板は、単独で、または複数枚重ねた状態で切断および/または打ち抜き加工を行うことができる。切断後は、偏光板の切断面を切削仕上げしてもよい。
(端部処理工程)
端部処理工程は、上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を、20℃以上の処理液に3~150秒接触させる工程である。上記端部処理工程により、上記偏光板を構成する偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、ホウ酸架橋度指数の値として0.9以下を満たすことができ、ヒートショック試験においてクラックの発生が抑制される偏光子を備えた偏光板を得ることができる。
端部処理工程は、1枚の未処理偏光板に対して行ってもよく、複数枚の未処理偏光板を積層した状態で行ってもよい。複数枚で端部処理を行う場合、未処理偏光板を例えば5枚以上3000枚以下重ねて実行することができる。未処理偏光板を重ねる枚数は好ましくは7枚以上、例えば2000枚であってもよいし、1000枚であってもよい。複数枚重ねた未処理偏光板に端部処理を行う際には、重ねた偏光板の最上面と最下面および/または側面部の左右から未処理偏光板を押さえておくことが好ましい。1枚の未処理偏光板に端部処理を行う際には、未処理偏光板のみの状態で端部処理を行ってもよいし、未処理偏光板を基板に貼合し、これらを貼合した状態で偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を処理してもよい。
端部処理工程において、上記処理液は水を含むことが好ましい。より好ましくは、上記処理液は水であってよく、上記処理液はホウ酸水溶液であってもよい。さらに処理液はpH3~9であることが好ましく、処理液はpH4~8であることがより好ましく、処理液はpH5~7であることがさらに好ましい。また、上記処理液は水溶性樹脂又は水分散性樹脂を含んでいてもよい。水溶性樹脂又は水分散性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリビニルアセタール系樹脂;エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂;ポリビニルピロリドン系樹脂;ポリアミドアミン系樹脂;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;ユリア系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;セルロース系樹脂;アルギン酸ナトリウム、デンプン等の多糖類等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリビニルアセタール系樹脂等の水酸基含有樹脂が好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂がより好ましい。
端部処理工程において、上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部に接触させる上記処理液の温度は、上述のように20℃以上である。上記処理液の温度は、ホウ酸架橋度指数を適切に制御する観点から、25℃以上90℃以下であることが好ましく、30℃以上85℃以下であることがより好ましく、40℃以上85℃以下であることがさらに好ましく、55℃以上80℃以下であることが特に好ましい。
端部処理工程において、上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部に接触させる上記処理液の時間は、上述のように3~150秒である。上記端部に接触させる処理液の時間は、偏光子透過軸方向と平行な方向の端部のヨウ素抜けを抑制し、偏光板のカールを抑制し、偏光板中の偏光子の光学性能の低下(偏光度低下、色相変化など)を抑制し、かつホウ酸架橋度指数を適切に制御する観点から、140秒以内の時間であることが好ましく、120秒以内の時間であることがより好ましく、30秒以内の時間であることが特に好ましい。上記端部に接触させる処理液の時間は、5秒以上の時間であってもよい。
上記端部におけるヨウ素抜け量の範囲としては、0μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよい。上記端部の光学性能の低下および外観品位の観点から、上記端部におけるヨウ素抜け量の上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、19μm未満が特に好ましい。本明細書において「ヨウ素抜け量」とは、偏光子において偏光子透過軸方向と平行な方向の端部から光抜けしている距離(μm)を意味する。
上記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を上記処理液に接触させる方法としては、例えば未処理偏光板の全部、または一部(少なくとも偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)を、処理液を収容した槽に浸漬する方法、未処理偏光板の全部、または一部(少なくとも偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)に処理液をスプレーする方法、未処理偏光板の一部(少なくとも偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)に処理液を塗布する方法、未処理偏光板の一部(少なくとも偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)と処理液を浸漬させた物品(布等の繊維物、スポンジ等)とを接触させる方法等が挙げられる。あるいは、上記端部処理工程の後に、上記積層工程を実施する場合、ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の全部、または一部(少なくとも偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)を、処理液を収容した槽に浸漬する方法、上記偏光子の全部、または一部(少なくとも偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)に処理液をスプレーする方法、偏光子の一部(少なくとも偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)と処理液を浸漬させた物品(布等の繊維物、スポンジ等)とを接触させる方法等が挙げられる。
処理液がホウ酸水溶液である場合、偏光板を処理液に接触させた後、偏光板を水洗することができる。水洗は、例えば偏光板を、水を収容する槽に浸漬する方法、および/または偏光板に水をスプレーする方法等により行うことができる。以上の方法により、本実施形態に係る偏光板を得ることができる。
(乾燥処理工程)
本実施形態に係る偏光板の製造方法は、上述した端部処理工程の後に、乾燥処理工程を有していてもよい。上記乾燥処理工程において乾燥温度は、20℃以上であってもよく、23℃以上であってもよく、100℃以下であってもよい。上記乾燥処理工程は、1枚の偏光板に対して行ってもよく、偏光板を複数積層した状態で行ってもよい。また、未処理偏光板を基板に貼合した状態で端部処理工程を行った場合、これらを貼合した状態で乾燥処理をしてもよい。
<画像表示装置>
上述の偏光板は画像表示装置に用いることができる。画像表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置等が挙げられる。偏光板は、画像表示装置の視認側に配置される偏光板に用いられてもよいし、画像表示装置のバックライト側に配置される偏光板に用いられてもよいし、視認側およびバックライト側の双方の偏光板に用いられてもよい。本実施形態に係る偏光板は、色抜け箇所が目立ちにくいことから、画像表示装置の視認側に用いられた場合であっても、デザイン性が損なわれにくい。そのため、画像表示装置は、カメラホールを有する画像表示装置、例えばスマートフォンや携帯電話等のモバイル機器、およびパーソナルコンピューター等に用いられる画像表示装置、テレビ等として好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の「%」および「部」は、特記のない限り、質量%および質量部である。
<実施例1>
(製造例1:偏光子製造工程)
長尺のポリビニルアルコールフィルム(平均重合度:約2400、ケン化度:99.9モル%以上、厚み:60μm)を連続的に搬送し、20℃の純水からなる膨潤浴に滞留時間31秒で浸漬させた(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/水が2/100(質量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間122秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が12/4.1/100(質量比)である56℃の架橋浴に滞留時間70秒で浸漬させ、続いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が9/2.9/100(質量比)である40℃の架橋浴に滞留時間13秒で浸漬させた(架橋工程)。染色工程および架橋工程において、浴中でのロール間延伸により縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は5.5倍とした。次に、架橋浴から引き出したフィルムを5℃の純水からなる洗浄浴に滞留時間3秒で浸漬させた後(洗浄工程)、80℃の乾燥炉に滞留時間190秒で導入し乾燥を行うことにより(乾燥工程)、偏光子を得た。以上により得られた偏光子の厚みは23.6μmであった。
(製造例2:積層工程)
第1熱可塑性樹脂フィルムとして厚み60μmのトリアセチルセルロース系樹脂からなる保護フィルム(商品名:「TG60UL」、富士フイルム株式会社製)を準備した。さらに第2熱可塑性樹脂フィルムとして厚み40μmのトリアセチルセルロース系樹脂からなる位相差フィルム(商品名:「KC3XR-1」、コニカミノルタ株式会社製)を準備した。
上記保護フィルムおよび位相差フィルムの片面にそれぞれコロナ処理を施し、当該コロナ処理面に、エポキシ系紫外線硬化性接着剤を、接着剤塗工装置を用いることにより塗工した。次いで塗工層面に上記製造例1で得た偏光子を重ね、続いて貼合ロールを用いて押圧および貼合することにより偏光板前駆体を得た。この偏光板前駆体に対し、位相差フィルム側からベルトコンベア付の紫外線照射装置(紫外線ランプについては、商品名:「Dバルブ」、フュージョンUVシステムズ社製を使用)を用いて積算光量が200mJ/cm(UVB)となるように紫外線を照射し、上記接着剤を硬化させて偏光板を得た。一方、偏光板の保護フィルム側に偏光板用表面保護フィルム(PET基材の片面にアクリル系粘着剤層を有するフィルム、商品名「AY-638」、藤森工業株式会社製)を上記偏光板に積層した。以上から、偏光板用表面保護フィルム/保護フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/位相差フィルムを有する偏光板用表面保護フィルム付偏光板を得た。
次に、アクリル系粘着剤層(厚み20μm)を離形フィルムの離型処理面に有する離型フィルム付粘着剤層を準備した。当該離型フィルム付粘着剤層を、上記偏光板用表面保護フィルム付偏光板の位相差フィルム側に、位相者フィルムの表面をコロナ処理した上で積層することにより第1積層体を得た。当該第1積層体は、偏光板用表面保護フィルム/保護フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/位相差フィルム/粘着剤層/離型フィルムの構造を有する。
(製造例3:端部形成工程)
上記製造例2で得た第1積層体を、裁断機を用いて枚葉体とした。次いで上記枚葉体を複数重ね合わせ、かつ外周を研磨処理した後、上記枚葉体を分離回収することにより、217mm(MD方向)×164mm(TD方向)の第2積層体とした。ここでTD方向とは、偏光子の延伸方向(MD方向)と直交する方向を意味する。ここで得られた第2積層体を未処理の偏光板用表面保護フィルム付偏光板という。
(製造例4:端部処理工程)
上記製造例3で得た第2積層体を7枚重ねることにより第3積層体を形成し、当該第3積層体の表面および裏面を厚さ0.7mmの無アルカリガラス(商品名:「Eagle XG」、コーニング社製)で把持するとともにクリップで固定した。さらに第3積層体のTD方向の一辺を含む端部(偏光子透過軸方向と平行な方向の端部)を、温度60℃の水(純水)に5秒間浸漬した。浸漬は、上記第3積層体の端部を水面から2cmの深さまで沈めて行った。次いで、第3積層体の残余の3辺に対しても同じ要領により、温度60℃の水(純水)に5秒間浸漬することにより、第4積層体を得た。その後、上記第4積層体を無アルカリガラスで把持するとともにクリップで固定したまま、室温で1日放置することにより乾燥させた。上記第4積層体が乾燥した後、上記第4積層体から無アルカリガラスおよびクリップを取外し、7枚の偏光板を分離回収し、第5積層体を得た。以上により、実施例1の偏光板を含む積層体(第5積層体)を製造した。製造した第5積層体における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部をレーザー顕微鏡で観察し、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、両側の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部と面方向において同じ位置であることを確認した。
<実施例2>
上記製造例4(端部処理工程)において、第3積層体のTD方向の一辺を含む端部および残余の3辺を温度80℃(純水)の水に5秒間浸漬したこと以外、実施例1と同じ要領とすることによって実施例2の偏光板を含む積層体(第5積層体)を製造した。製造した第5積層体における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部をレーザー顕微鏡で観察し、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、両側の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部と面方向において同じ位置であることを確認した。
<実施例3>
上記製造例4(端部処理工程)において、第3積層体のTD方向の一辺を含む端部および残余の3辺を温度50℃(純水)の水に5秒間浸漬したこと以外、実施例1と同じ要領とすることによって実施例3の偏光板を含む積層体(第5積層体)を製造した。製造した第5積層体における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部をレーザー顕微鏡で観察し、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、両側の熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部と面方向において同じ位置であることを確認した。
<比較例1>
上記製造例4(端部処理工程)において、第3積層体のTD方向の一辺を含む端部および残余の3辺を温度80℃の水(純水)に16分間浸漬したこと以外、実施例1と同じ要領とすることによって比較例1の偏光板を含む積層体(第5積層体)を製造した。製造した第5積層体における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部をレーザー顕微鏡で観察し、偏光板(保護フィルム)の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部より面内内側250μmまで偏光子が存在せず、偏光子空隙部があることを確認した。
(1) ヒートショック試験(HS試験)
上述した各実施例および比較例の偏光板を含む第5積層体をそれぞれ複数枚準備し、当該第5積層体に対して以下の手順に従ってヒートショック試験を行った。
まず上記第5積層体から離形フィルムを剥離し、当該第5積層体の剥離面に厚さ0.7mmの無アルカリガラス(商品名:「Eagle XG」、コーニング社製)にラミネーターを用いて貼り合わせた。続いて、無アルカリガラスが貼合された上記第5積層体に対し、オートクレーブ処理(温度50℃、圧力5kgf/cm(490.3kPa)で、20分間加圧)を施し、偏光板用表面保護フィルムを剥離し、次いで温度23℃、相対湿度55%の環境で1日保管することにより、上記第5積層体のHS試験評価用サンプルを得た。
上記HS試験評価用サンプルを、温度85℃の乾燥条件下で1時間保持し、次いで温度-40℃の乾燥条件下で1時間保持する操作を1サイクルとし、これを50サイクル繰り返すヒートショック(HS)試験を行った。試験後、上記HS試験評価用サンプルにおける偏光子の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部に割れが発生したか否かを目視で観察した。HS試験に供した複数枚のHS試験評価用サンプルに対する端部に割れが発生したHS試験評価用サンプルの枚数を、不良サンプル発生率(%)として求めた。不良サンプル発生率(%)は、35%以下であれば良好であると評価することができる。結果を表1に示す。
(2) カール量の測定
上述した各実施例および比較例の偏光板を含む第5積層体をそれぞれ準備し、当該第5積層体に対し、カール量を測定した。カール量は、水平な台の上に上記第5積層体の矩形の枚葉体(217mm(MD方向)×164mm(TD方向))を、セパレートフィルムが下側(台に接触する側)になるように置き、台から上記枚葉体における4つの頂点および4辺の中点の合計8点までの高さを定規でそれぞれ計測した。上記枚葉体ごとに得られた8点の値の平均値をカール量(mm)として求めた。カール量(mm)は、値が小さいほど良好であると評価することができる。結果を表1に示す。
(3) 外観評価
上述した各実施例および比較例の偏光板を含む第5積層体の7枚を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
good:7枚すべてで偏光板用表面保護フィルムと保護フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)の間に、浮きや剥がれが見られない。
not good:1枚でも偏光板用表面保護フィルムと保護フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)の間に、浮きや剥がれが見られる。
(4) 偏光板用表面保護フィルムの引き起こし力測定
以下の手順に従って偏光板用表面保護フィルムの引き起こし力を測定した。まず上記第5積層体から、50mm(MD方向)×25mm(TD方向)の試験片を5枚切り出した。上記試験片の切り出しは、上記試験片のTD方向の一辺が端部処理を施した辺となるようにして行った。
次に上記試験片からセパレートフィルムを剥離し、当該試験片の剥離面に厚さ0.7mmの無アルカリガラス(商品名:「Eagle XG」、コーニング社製)にラミネーターを用いて貼り合わせた。併せて無アルカリガラスに剥離紙も張り合わせた。その際、上記試験片の端部処理を施した辺から1mm内側までの端部が剥離紙上に位置するように、剥離紙と試験片とを無アルカリガラスに貼り合わせた。さらに上記端部を含む試験片の端部処理を施した辺から5mm内側までの領域を、幅25mmのセロハンテープ(ニチバン株式会社製)で、試験片の長辺とセロハンテープの長辺とが一直線になるように貼り、もって引き起こし力測定用サンプルを作製した。
上記引き起こし力測定用サンプルに対し、オートグラフ(商品名(品番):「AGS-50NX」、株式会社島津製作所製)を用いることにより、温度23℃相対湿度55%の環境下で、剥離幅:25mm、ピール角:180°、ピール速度300mm/minで引き起こし力測定を行った。この場合において、オートグラフの一方の掴み部は無アルカリガラスを把持し、他方の掴み部は、セロハンテープを把持した。
引き起こし力測定では、偏光板用表面保護フィルムを保護フィルムから剥離させる際に測定される剥離力の最大値を引き起こし力とみなした。引き起こし力(N/25mm)は、5枚の引き起こし力測定用サンプルから得られた値の平均値とした。引き起こし力(N/25mm)は、0.1以上であれば良好であると評価することができる。引き起こし力が高すぎると剥離しづらく、0.1未満であると製造工程中に所望外の工程で剥離してしまい、偏光板に対する保護機能を果たすことができずに好ましくない。結果を表1に示す。
(5) ヨウ素抜け量の測定
上述した各実施例および比較例の偏光板を含む第5積層体をそれぞれ5枚準備し、当該第5積層体に対し、以下の手順に従って偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部のヨウ素抜け量を測定した。
まず上記第5積層体からセパレートフィルムを剥離し、当該第5積層体の剥離面に厚さ0.7mmの無アルカリガラス(商品名:「Eagle XG」、コーニング社製)にラミネーターを用いて貼り合わせた。続いて偏光板用表面保護フィルムを剥離することにより、上記第5積層体のヨウ素抜け量評価用サンプルを得た。
次いで上記ヨウ素抜け量評価用サンプルを、検査用の偏光板上にクロスニコル状態で配置するとともに、上記ヨウ素抜け量評価用サンプルの背面から光源を照射することにより、各サンプルの偏光子透過軸方向と平行な方向の端部における光抜けの有無を確認した。さらに光抜けした上記ヨウ素抜け量評価用サンプルの端部をデジタルマイクロスコープ(商品名(品番):「VHX-1000」、キーエンス株式会社製)を用いて観察することにより、当該サンプルにおいて偏光子透過軸方向と平行な方向の端部から光抜けしている距離(μm)を特定し、これをヨウ素抜け量として求めた。上記距離(μm)が大きいほど、ヨウ素抜け量が多いと評価することができ、もって上記距離(μm)が小さいほど良好であると評価することができる。ヨウ素抜け量については、5枚の上記ヨウ素抜け量評価用サンプルから得られた上記距離の平均値とした。結果を表1に示す。表1中、比較例1のヨウ素抜け量の値(426μm)は、偏光板の端部からの光抜け量を示す。上述のように比較例1は、偏光板(保護フィルム)における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部より面内内側250μmまで偏光子が存在しないため、偏光子中の実際のヨウ素抜け量としては176μmとなる。
(6) ホウ酸架橋度指数の算出
上述した各実施例および比較例の偏光板を含む第5積層体をそれぞれ5枚準備し、当該第5積層体に対し、上述した方法に従って、偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向との端部でのホウ酸架橋度指数(ホウ酸架橋度指数(1))、および偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部から面方向内側100μmでのホウ酸架橋度指数(ホウ酸架橋度指数(2))、ならびにホウ酸架橋度指数(1)とホウ酸架橋度指数(2)との比率(ホウ酸架橋度指数(1)/ホウ酸架橋度指数(2))を求めた。ホウ酸架橋度指数については、5枚の第5積層体から得られた値の平均値とした。結果を表1に示す。
Figure 2022140346000002
<考察>
実施例1~実施例3の偏光板は、ヒートショック試験において偏光子透過軸方向と平行な方向の端部のクラックの発生が抑制されることが理解される。さらに実施例1~実施例3の偏光板は、ヨウ素抜けが生じ難く、良好な視認性を有する。また実施例1~実施例3の偏光板は、カールの発生も抑制され、偏光板用表面保護フィルムの引き起こし力も良好である。
一方、比較例1の偏光板は、ヒートショック試験において偏光子透過軸方向と平行な方向の端部のクラックの発生が抑制されるものの、偏光子空隙部が存在した。また、ヨウ素抜けが生じ、カールの発生もしやすく、偏光板用表面保護フィルムの引き起こし力の低下も引き起こした。
1 偏光板、2 偏光子、2a 偏光子空隙部、3 第1熱可塑性樹脂フィルム、4 第2熱可塑性樹脂フィルム、5 偏光板用表面保護フィルム、10 偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部、21 偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部、31,41 熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部、TD 偏光子の透過軸方向、MD 偏光子の吸収軸方向、X レーザー光。

Claims (9)

  1. ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の両面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板であって、
    前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、少なくとも一方の前記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置し、
    前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、下記式(I)を満たす、偏光板。
    ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)
    [ホウ酸架橋度指数は、波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度で定義される。]
  2. ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の両面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより偏光板を得る積層工程と、
    前記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を、20℃以上の処理液に3~150秒接触させる端部処理工程とを含む、偏光板の製造方法。
  3. 前記偏光板を切断および/または打ち抜き加工することにより、前記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を形成する端部形成工程をさらに含む、請求項2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記偏光板において、前記熱可塑性樹脂フィルムの前記偏光子が配置された側とは反対側の面に偏光板用表面保護フィルムを積層する表面保護工程をさらに含む、請求項2または請求項3に記載の偏光板の製造方法。
  5. 前記処理液は水を含む、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  6. 前記処理液は水である、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  7. 前記処理液はpH3~9である、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  8. ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを有する偏光板であって、
    前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、前記熱可塑性樹脂フィルムにおける偏光子透過軸方向と平行な方向の端部よりも面方向において同じ位置であるか、または面方向外側に位置し、
    前記偏光子における偏光子透過軸方向と平行な方向の端部は、下記式(I)を満たす、偏光板。
    ホウ酸架橋度指数≦0.9 (I)
    [ホウ酸架橋度指数は、波数780cm-1におけるラマン散乱光強度/波数850cm-1におけるラマン散乱光強度で定義される。]
  9. ヨウ素およびホウ素を含む偏光子の少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより偏光板を得る積層工程と、
    前記偏光板の偏光子透過軸方向と平行な方向の端部を、20℃以上の処理液に3~150秒接触させる端部処理工程とを含む、偏光板の製造方法。
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