JP7342551B2 - 磁性体コアおよびインダクタとインダクタの製造方法 - Google Patents

磁性体コアおよびインダクタとインダクタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁性体コアおよびインダクタとインダクタの製造方法に関する。
特開平4-92821号公報(特許文献1)には、高透磁率を有するMn-Zn系ソフトフェライトの粒子表面に、高絶縁性を有するNi-Zn系ソフトフェライトの被覆層を形成して、複合ソフトフェライト組成物を成形し、さらに、この複合ソフトフェライト組成物をエポキシ樹脂と混合してプラスチックフェライト組成物を成形し、このプラスチックフェライト組成物をトランスコア材等に利用することが開示されている。
特開平4-92821号公報
ところで、特許文献1のようなソフトフェライト粒子の粒径を小さくしていくと、微粒子内を流れる渦電流を低減できるため、高周波でも渦電流損失を抑制することができることが知られている。そのため、ソフトフェライト粒子は、所定サイズ以下で、かつ、磁束の偏りを防ぐために、粒径バラつきが小さいことが望ましいが、この場合、ソフトフェライト粒子の充填率が低下してしまい、透磁率が高められない問題があった。
そこで、ソフトフェライト粒子の粒径バラつきを大きくすることで、ソフトフェライト粒子の充填率を向上させることができるが、ソフトフェライト粒子の粒径の大きい部分を優先して磁束が通過して、磁束の通り道に偏りができるため、飽和磁束密度が低下する問題があった。
そこで、本開示は、透磁率を高めつつ、飽和磁束密度の低下を抑制した磁性体コアと、その磁性体コアを備えたインダクタと、インダクタの製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本開示の一態様である磁性体コアは、
少なくとも第1方向に隣り合う複数の磁性体粒子と、
前記複数の磁性体粒子を個別に被覆すると共に絶縁性を有し磁性材料を含む被覆体と
を備え、
前記磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内であり、かつ、前記磁性体粒子および前記被覆体の充填率は、60%以上である。
前記態様によれば、磁性体粒子の粒径のばらつきを所定範囲に抑制し、かつ、磁性体粒子および被覆体の充填率を60%以上にすることで、飽和磁束密度の低下を抑制でき、かつ、透磁率を向上できる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記第1方向の透磁率は、前記第1方向に直交する方向の透磁率よりも大きい。
前記実施形態によれば、第1方向の透磁率を第1方向に直交する方向の透磁率よりも大きくできる。これにより、コイルを磁性体コアの第1方向に沿って巻回する場合、コイルの磁界方向と一致する磁性体コアの第1方向の透磁率を磁性体コアの第1方向に直交する方向の透磁率よりも大きくできる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、
前記被覆体は、磁性材料を含み、
前記被覆体内には、空隙が存在し、
前記磁性体コアの前記第1方向に対して直交する方向における断面の単位面積あたりの前記磁性体粒子、前記被覆体の面積は、
前記磁性体コアの前記第1方向に沿った方向における断面の単位面積あたりの前記磁性体粒子および前記被覆体の面積よりも小さい。
前記実施形態によれば、磁性体コアの第1方向に対して直交する方向の磁性材料の量を、磁性体コアの第1方向の磁性材料の量よりも少なくできるので、磁性体コアの第1方向の反磁界係数を小さくでき、磁性体コアの第1方向の透磁率を大きくできる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、
前記被覆体は、磁性材料を含み、
前記被覆体内には、空隙が存在し、
前記磁性体コアの前記第1方向に対して直交する方向における断面において、前記空隙の大きさの内の最も長い距離をLA1とし、LA1に相当する直線の垂直二等分線における前記空隙の大きさをLA2としたとき、アスペクト比α=LA1/LA2とし、
前記磁性体コアの前記第1方向に沿った方向における断面において、前記空隙の大きさの内の最も長い距離をLB1とし、LB1に相当する直線の垂直二等分線における前記空隙の大きさをLB2としたとき、アスペクト比α=LB1/LB2とすると、
α<αを満たす。
前記実施形態によれば、空隙は、磁性体コアの第1方向に直交する方向の断面よりも磁性体コアの第1方向に沿った方向の断面において、細長いものとなり、複数の磁性体粒子を第1方向に直交する方向よりも第1方向に沿って強く磁気的に結合することができ、第1方向の透磁率を第1方向に直交する方向の透磁率よりもより大きくできる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記磁性体粒子は、鉄(Fe)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)の金属、若しくは、これらの金属を主成分とする合金または超合金から構成される。
前記実施形態によれば、透磁率をより向上でき、かつ、飽和磁束密度の低下をより抑制できる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記磁性体粒子の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である。
ここで、「磁性体粒子の平均粒径」は、メジアン径D50である。
前記実施形態によれば、磁性体粒子内部を流れる渦電流を抑制できることから、動作上限周波数を向上できる。動作上限周波数とは、複素透磁率の実部が最大値から減少に転じる周波数をいう。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±5%以内である。
前記実施形態によれば、磁性体粒子の粒径のばらつきをより抑制することで、磁束の偏りを抑制し、飽和磁束密度を向上できる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、
前記被覆体は、第1被覆体と第2被覆体を含み、
前記第1被覆体は、前記複数の磁性体粒子を個別に被覆し、
前記第2被覆体は、第1方向に隣り合う前記磁性体粒子の各第1被覆体の間を結合して複数の前記磁性体粒子を前記第1方向に沿って連結する。
前記実施形態によれば、複数の磁性体粒子を第2被覆体により第1方向に沿って連結することができ、第1方向の透磁率を他の方向の透磁率よりも大きくできる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記第2被覆体は、磁性材料を含む。
前記実施形態によれば、透磁率を向上でき、飽和磁束密度の低下を抑制できる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記第1被覆体と前記第2被覆体とは、共有結合している。
前記実施形態によれば、第1被覆体と第2被覆体の結合が強固になる。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記第1被覆体は、酸化物磁性被膜、または、フェライトから構成される。
好ましくは、磁性体コアの一実施形態では、前記第2被覆体は、酸化物磁性被膜、または、フェライトから構成される。
好ましくは、インダクタの一実施形態では、
前記磁性体コアと、
第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを含む基板と、
前記磁性体コアに前記第1方向に沿って巻回したコイルと
を備え、
前記基板には、少なくとも前記第1主面に開口する開口部が設けられ、
前記磁性体コアは、前記開口部に埋設されている。
前記実施形態によれば、コイルの磁界方向と一致する磁性体コアの第1方向の透磁率を磁性体コアの第1方向に直交する方向の透磁率よりも大きくできる。
好ましくは、インダクタの一実施形態では、前記基板の前記第1主面および前記第2主面の内の少なくとも前記第1主面側において、前記磁性体コアと前記コイルとの間に、絶縁体が設けられている。
前記実施形態によれば、磁性体コアとコイルの導通を防止できる。
好ましくは、インダクタの一実施形態では、前記絶縁体は、樹脂材料からなる。
好ましくは、インダクタの製造方法の一実施形態では、
第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを含む基板に、少なくとも前記第1主面に開口する開口部を設ける工程と、
第1被覆体で被覆された磁性体粒子を、前記磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内となるように、前記基板の前記開口部に詰める工程と、
ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法により前記磁性体粒子に磁性を有する第2被覆体を成膜し、前記磁性体粒子、前記第1被覆体および前記第2被覆体の充填率が、60%以上となるようにして、磁性体コアを前記基板の前記開口部に埋設する工程と、
前記磁性体コアの第1方向に沿ってコイルを巻回する工程と
を備える。
前記実施形態によれば、磁性体粒子の粒径のばらつきを所定範囲に抑制し、かつ、磁性体粒子および被覆体の充填率を60%以上にすることで、透磁率を向上でき、かつ、飽和磁束密度の低下を抑制できる。
好ましくは、インダクタの製造方法の一実施形態では、
前記磁性体コアを前記基板の前記開口部に埋設する工程では、
前記磁性体粒子に対して前記第1方向に磁界を印加しながら、ALD法により前記磁性体粒子に前記第2被覆体を成膜して、前記第1方向に隣り合う前記磁性体粒子の各第1被覆体の間を結合して複数の前記磁性体粒子を前記第1方向に沿って連結する。
前記実施形態によれば、コイルの磁界方向と一致する磁性体コアの第1方向の透磁率を磁性体コアの第1方向に直交する方向の透磁率よりも大きくできる。
本開示の一態様である磁性体コアおよびインダクタとインダクタの製造方法によれば、透磁率を高めつつ、飽和磁束密度の低下を抑制できる。
インダクタの第1実施形態を示す平面図である。 図1のE-E断面図である。 磁性体コアのXZ断面の拡大図である。 磁性体コアのYZ断面の拡大図である。 磁性体コアのXZ断面の拡大図である。 図4AのA部の拡大図である。 図4BのB部の拡大図である。 第1被覆体と第2被覆体の結合状態を示す模式図である。 インダクタの製造方法について説明する説明図である。 インダクタの製造方法について説明する説明図である。 インダクタの製造方法について説明する説明図である。 インダクタの製造方法について説明する説明図である。 インダクタの製造方法について説明する説明図である。 インダクタの製造方法について説明する説明図である。 インダクタの第2実施形態を示す平面図である。 図8AのE-E断面図である。 インダクタの第3実施形態を示すYZ断面図である。 インダクタの第4実施形態を示すYZ断面図である。 第5実施形態に係るインダクタを含む半導体パッケージを示すYZ断面図である。 図11AのA部の拡大図である。
以下、本開示の一態様である磁性体コアおよびインダクタを図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
(第1実施形態)
図1は、インダクタの第1実施形態を示す平面図である。図2は、図1のE-E断面図である。図示するように、インダクタ1の長さ方向(L方向)をX方向とし、インダクタ1の幅方向(W方向)をY方向とし、インダクタ1の高さ方向(T方向)をZ方向とする。
図1と図2に示すように、インダクタ1は、基板5と、基板5に設けられた磁性体コア10と、磁性体コア10に巻回したコイル20とを有する。インダクタ1は、例えば、電圧変換回路のチョークコイルとして用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器に用いられる。ただし、インダクタ1の用途はこれに限られず、例えば、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。インダクタ1のサイズは、例えば、X方向が0.1mm以上10mm以下であり、Y方向が0.1mm以上10mm以下であり、Z方向が0.2mm以上0.6mm以下(または0.2mm以下)である。
基板5は、第1主面5aと、第1主面5aに対向する第2主面5bとを含む。第1主面5aと第2主面5bは、Z方向に対向する。順Z方向を上側とし、逆Z方向を下側とすると、第1主面5aは、上面となり、第2主面5bは、下面となる。基板5は、例えば、シリコン(Si)またはガラスなどの材料からなる。基板5には、第1主面5aおよび第2主面5bに開口する開口部50が設けられている。基板5には、開口部50に対して、Y方向の両側に、基板5をZ方向に貫通する複数のビア部51が設けられている。ビア部51は、第1主面5aおよび第2主面5bに開口する。
磁性体コア10は、基板5の開口部50に埋設されている。磁性体コア10は、基板5の開口部50から露出している。ここで、露出とは、磁性体コア10が基板5に覆われていない部分を有することを意味し、当該部分はインダクタ1の外部へ露出していてもよいし、他の部材へ露出していてもよい。
磁性体コア10は、略直方体に形成されている。磁性体コア10の長手方向に平行な中心軸10aが、X方向と平行になるように、磁性体コア10は、基板5に配置されている。ここで、磁性体コア10の中心軸10a方向(X方向)を、本願の磁性体コア10の第1方向の一例とする。
コイル20は、磁性体コア10の中心軸10a方向(第1方向)に沿って巻回されている。つまり、コイル20の中心軸は、磁性体コア10の中心軸10aに一致する。コイル20の中心軸は、コイル20の螺旋形状の中心軸をいう。コイル20は、例えば、Ag,CuまたはAuなどのめっきにより形成される。
コイル20は、第1導体部21、第2導体部22、第3導体部23および第4導体部24を有する。第1導体部21は、基板5の第1主面5aの上方に配置されている。第2導体部22は、基板5のY方向の一方側のビア部51を貫通している。第3導体部23は、基板5の第2主面5bの下方に配置されている。第4導体部24は、基板5のY方向の他方側のビア部51を貫通している。第1導体部21、第2導体部22、第3導体部23および第4導体部24は、順に直列に接続されて、コイル20の1ターンを構成する。
基板5の第1主面5a側および第2主面5b側において、磁性体コア10とコイル20との間に、絶縁体6が設けられている。つまり、基板5の第1主面5a側の絶縁体6は、コイル20の第1導体部21と磁性体コア10との間に位置する。基板5の第2主面5b側の絶縁体6は、コイル20の第3導体部23と磁性体コア10との間に位置する。絶縁体6は、例えば、樹脂材料からなる。絶縁体6は、磁性体コア10とコイル20の導通を防止できる。なお、ビア部51において、第2導体部22と基板5との間、および、第4導体部24と基板5との間にも、絶縁体6が存在しているが、ビア部51において、絶縁体6が存在しないで、第2導体部22および第4導体部24のみが存在していてもよい。
図3は、磁性体コア10のXZ断面の拡大図である。図3に示すように、磁性体コア10は、複数の磁性体粒子15と、複数の磁性体粒子15を個別に被覆する第1被覆体11と、X方向(第1方向の一例)に隣り合う磁性体粒子15の各第1被覆体11の間を結合して複数の磁性体粒子15をX方向に沿って連結する第2被覆体12とを備える。第1被覆体11および第2被覆体12は、絶縁性を有する。ここで、「X方向に沿って」とは、完全にX方向に沿っていることのみならず、実質的にX方向に沿っていることを含む。ここで、第2被覆体12は、X方向に直交する方向において隣り合う磁性体粒子15の間も結合するが、第2被覆体12が複数の磁性体粒子15をX方向に沿って連結するとは、複数の磁性体粒子15が、X方向に直交する方向よりも、X方向に沿って多く連結していることをいう。言い換えると、X方向に直交する方向よりも、X方向に沿った方向において、複数の磁性体粒子15が結合していない部分(例えば、空隙)が少ない。
これによれば、複数の磁性体粒子15を第2被覆体12によりX方向に沿って連結することができ、X方向の透磁率を他の方向の透磁率よりも大きくできる。要するに、磁性体コア10のX方向の透磁率は、磁性体コア10のX方向に直交する方向の透磁率よりも大きい。これにより、コイル20を磁性体コア10の中心軸10a方向(X方向)に沿って巻回することで、コイル20の磁界方向と一致する磁性体コア10のX方向の透磁率を磁性体コア10のX方向に直交する方向の透磁率よりも大きくできる。これに対して、磁性体コアを加圧焼結により製造すると、複数の磁性体粒子があらゆる方向において結合し、これにより、磁性体コア10のX方向の透磁率だけを上げることができない。
磁性体粒子15は、鉄(Fe)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)の金属、若しくは、これらの金属を主成分とする合金または超合金から構成される。磁性体粒子15は、好ましくは、Fe、Fe-Ni合金、Fe-Ni-Mo合金、Fe-Co合金、FeCr合金、Fe-Si合金、Fe-Al合金、Fe-Cr-Si合金、Fe-Cr-Al合金、Fe-Al-Si合金から構成される。
第1被覆体11および第2被覆体12は、例えば、酸化物磁性被膜、または、フェライトから構成される。第1被覆体11および第2被覆体12は、好ましくは、フェライトからなり、MnZnフェライト、NiZnフェライト、Coフェライト、Mgフェライト,CoZnフェライトあるいはこれらのフェライトを主成分とする複合フェライトからなる。第1被覆体11および第2被覆体12は、同一材料から構成されてもよく、または、異なる材料から構成されてもよい。
磁性体コア10には、樹脂がほとんど含まれておらず、例えば、樹脂の含有量は、磁性体コア10中に1%未満である。つまり、磁性体コア10は、複数の磁性体粒子15が樹脂の中に含まれた構造でない。
磁性体コア10のX方向に沿った方向における断面において、第2被覆体12内には、X方向に沿って延在する空隙16が存在する。例えば、磁性体コア10の中心軸10aを通過するXZ断面において観測する。これによれば、複数の磁性体粒子15を他の方向よりもX方向に沿って強く磁気的に結合することができ、X方向の透磁率を他の方向の透磁率よりもより大きくできる。このように、X方向に沿って延在する空隙16が存在する理由は、第2被覆体12が複数の磁性体粒子15をX方向に沿って連結するため、X方向に沿って延在する空隙16が形成され易くなるからである。
図4Aは、磁性体コア10のYZ断面の拡大図であり、図4Bは、磁性体コア10のXZ断面の拡大図である。図4Aと図4Bに示すように、第1被覆体11および第2被覆体12は、磁性材料を含み、第2被覆体12内には、空隙16が存在する。磁性体コア10のX方向に対して直交する方向におけるYZ断面の単位面積あたりの磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の面積(図4A)は、好ましくは、磁性体コア10のX方向に沿った方向におけるXZ断面の単位面積あたりの磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の面積(図4B)よりも小さい。
ここで、面積の計測は、3次元SEM画像を用いて行う。具体的に述べると、磁性体コア10の中心部において、FIB-SEMを用いて、3次元SEM画像を取得する。観察領域は、磁性体粒子15のD50径の10倍を1辺の長さとする立方体領域とする。そして、構築した3次元SEM画像を用いて、磁性体コア10のX方向、および、磁性体コア10のX方向に直交する方向に、それぞれ、画像を100等分にスライスする。各々の画像に対して、「磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の面積」を計算する。磁性体コア10のX方向、および、磁性体コア10のX方向に直交する方向のそれぞれに対して、100枚分の画像データから得た「磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の面積」の平均値を計算する。
これによれば、磁性体コア10のX方向に対して直交する方向の磁性材料の量を、磁性体コア10のX方向の磁性材料の量よりも少なくできるので、磁性体コア10のX方向の反磁界係数を小さくでき、磁性体コア10のX方向の透磁率を大きくすることができる。
図5Aは、図4AのA部の拡大図であり、図5Bは、図4BのB部の拡大図である。図5Aに示すように、磁性体コア10のX方向に対して直交する方向におけるYZ断面において、空隙16の大きさの内の最も長い距離をLA1とし、LA1に相当する直線の垂直二等分線における空隙16の大きさをLA2としたとき、アスペクト比α=LA1/LA2とする。YZ断面における空隙16の形状は、略三角形である。つまり、LA1は、三角形の一辺の長さに相当し、LA2は、三角形の高さに相当する。なお、空隙16の三角形の形状において、実際、三角形の辺は、わずかに湾曲しているが、近似的に直線として測定する。
図5Bに示すように、磁性体コア10のX方向に沿った方向におけるXZ断面において、空隙16の大きさの内の最も長い距離をLB1とし、LB1に相当する直線の垂直二等分線における空隙16の大きさをLB2としたとき、アスペクト比α=LB1/LB2とする。XZ断面における空隙16の形状は、略台形である。つまり、LB1は、台形の上底または下底の長い方に相当し、LB2は、台形の高さに相当する。なお、空隙16の台形の形状において、実際、台形の辺は、わずかに湾曲しているが、近似的に直線として測定する。
ここで、アスペクト比の計測は、3次元SEM画像を用いて行う。具体的に述べると、磁性体コア10の中心部において、FIB-SEMを用いて、3次元SEM画像を取得する。観察領域は、磁性体粒子15のD50径の10倍を1辺の長さとする立方体領域とする。そして、構築した3次元SEM画像を用いて、磁性体コア10のX方向、および、磁性体コア10のX方向に直交する方向に、それぞれ、画像を100等分にスライスする。各々の画像に対して、「空隙16のアスペクト比」を計算する。磁性体コア10のX方向、および、磁性体コア10のX方向に直交する方向のそれぞれに対して、100枚分の画像データから得た「空隙16のアスペクト比」の平均値を計算する。
そして、α<αを満たすことが好ましい。これによれば、空隙16は、磁性体コア10のX方向に直交する方向の断面よりも磁性体コア10のX方向に沿った方向の断面において、細長いものとなり、複数の磁性体粒子15をX方向に直交する方向よりもX方向に沿って強く磁気的に結合することができ、X方向の透磁率をX方向に直交する方向の透磁率よりもより大きくできる。
図6は、第1被覆体11と第2被覆体12の結合状態を示す模式図である。図6に示すように、第1被覆体11と第2被覆体12とは、化学吸着によって、共有結合している。これによれば、第1被覆体11と第2被覆体12の結合が強固になる。第2被覆体12は、後述するが、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法により形成される。
ここで、共有結合の判別は、XPS分析を用いて行う。具体的に述べると、第1被覆体11と第2被覆体12の界面をXPSで測定し分析した際に、第1被覆体11に含まれる元素と第2被覆体12に含まれる元素が結合した場合に生じる、固有の結合エネルギーが観測される。
具体的に述べると、第1被覆体11がFeからなり、第2被覆体12がCoからなる場合、第1被覆体11と第2被覆体12の界面付近では、Fe3-xCoのような組成となる。そのため、XPS分析によって、界面付近を測定することで、Fe3-xCoに相当する結合エネルギーが、Fe、Coそれぞれの電子軌道において観測される。
次に、磁性体粒子15の粒径のばらつきと、磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の充填率について説明する。
磁性体粒子15の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内であり、かつ、磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の磁性体コア10の全体積に対する充填率は、60%以上である。なお、第1被覆体11または第2被覆体12の一方が磁性を有さない場合、磁性体コア10の磁性を有する部分(磁性部分)の充填率、つまり、磁性体粒子15、および、第1被覆体11または第2被覆体12の他方の充填率が、60%以上であればよい。
ここで、「磁性体粒子15の粒径」の計測は、3次元SEM画像を用いて行う。具体的に述べると、磁性体コア10の中心部において、FIB-SEMを用いて、3次元SEM画像を取得する。構築した3次元SEM画像を用いて、所定領域内の全ての磁性体粒子15の体積を計測する。各磁性体粒子15の体積から各磁性体粒子15の球相当径(ヘイウッド径)を求める。ヘイウッド径を「磁性体粒子15の粒径」とする。各磁性体粒子15の球相当径を用いて累積分布を作成し、メジアン径D50を「磁性体粒子15の平均粒径」とする。D10とは、これ以下の粒子の比率が10%である粒径をいい、D90とは、これ以下の粒子の比率が90%である粒径をいう。
また、「磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の充填率」は、3次元SEM画像を用いて行う。具体的に述べると、磁性体コア10の中心部において、FIB-SEMを用いて、3次元SEM画像を取得する。観察領域は、磁性体粒子15のD50径の10倍を1辺の長さとする立方体領域とする。そして、構築した3次元SEM画像を用いて、磁性体コア10のX方向、および、磁性体コア10のX方向に直交する方向に、それぞれ、画像を100等分にスライスする。各々の画像に対して、「磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の充填率」を計算する。磁性体コア10のX方向、および、磁性体コア10のX方向に直交する方向のそれぞれに対して、100枚分の画像データから得た「磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の充填率」の平均値を計算する。
これによれば、磁性体粒子15の粒径のばらつきを所定範囲に抑制し、かつ、磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の充填率を60%以上にすることで、飽和磁束密度の低下を抑制でき、透磁率を向上できる。これに対して、磁性体粒子の粒径のばらつきが大きいと、磁性体粒子の粒径の大きい部分を優先的に磁束が通過して、磁束の通り道に偏りができるため、飽和磁束密度が低下する。また、磁性体コアの磁性を有する部分(磁性体粒子、第1被覆体および第2被覆体)の充填率が小さいと、透磁率を向上できない。
好ましくは、磁性体粒子15の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である。ここで、「磁性体粒子の平均粒径」は、メジアン径D50である。これによれば、渦電流を抑制できることから、動作上限周波数を向上できる。動作上限周波数とは、複素透磁率の実部が最大値から減少に転じる周波数をいう。
好ましくは、磁性体粒子15の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±5%以内である。これによれば、磁性体粒子15の粒径のばらつきをより抑制することで、磁束の偏りを抑制し、飽和磁束密度を向上できる。
次に、インダクタ1の製造方法について説明する。
図7Aは、基板5のYZ断面である。図7Aに示すように、例えばサンドブラスト加工により、基板5の第1主面5a側から開口部50およびビア部51を形成する。開口部50は、第1主面5aに開口し、ビア部51は、第1主面5aおよび第2主面5bに開口する。
図7Bに示すように、スキージ100により、第1被覆体11で被覆された磁性体粒子15を基板5の開口部50に詰める。予め、磁性体粒子15を、例えば、溶液反応プロセスにより、第1被覆体11で被覆しておく。このとき、磁性体粒子15の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内となるようにしておく。
図7Cに示すように、磁性体粒子15に対してX方向(第1方向)に磁界を印加しながら、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法により磁性体粒子15に磁性を有する第2被覆体12を成膜する。そして、第2被覆体12は、X方向に隣り合う磁性体粒子15の各第1被覆体11の間を結合して複数の磁性体粒子15をX方向に沿って連結する。これにより、磁性体コア10を基板5の開口部50に埋設する。このとき、磁性体粒子15、第1被覆体11および第2被覆体12の磁性体コア10の全体積に対する充填率が、60%以上となるようにしておく。
図7Dに示すように、例えばグラインド加工により、基板5の第2主面5b側を削り、基板5を薄くする。このとき、開口部50は、第1主面5aに加えて第2主面5bにも開口し、磁性体コア10は、第1主面5aに加えて第2主面5bにも露出する。
図7Eに示すように、基板5の第1主面5aおよび第2主面5bに、樹脂フィルムをラミネートして絶縁体6を設ける。絶縁体6は、基板5のビア部51にも充填されるが、ビア部51に充填された絶縁体6をレーザ加工により開口する。なお、ビア部51において、絶縁体6の一部が存在しているが、絶縁体6を完全に除去してもよい。
図7Fに示すように、磁性体コア10のX方向に沿って磁性体コア10の周りにコイル20を巻回する。コイル20は、例えば、SAP工法により形成される。つまり、第1導体部21を基板5の第1主面5aの上方に形成し、第2導体部22を基板5のY方向の一方側のビア部51に形成し、第3導体部23を基板5の第2主面5bの下方に形成し、第4導体部24を基板5のY方向の他方側のビア部51に形成する。
これにより、インダクタ1を製造する。この製造方法によれば、コイル20の磁界方向と一致する磁性体コア10のX方向の透磁率を磁性体コア10のX方向に直交する方向の透磁率よりも大きくできる。また、磁性体コア10をALD法により製造したので、加圧焼結法での製造が困難である小型サイズ(例えば、X方向が0.1mm以上10mm以下であり、Y方向が0.1mm以上10mm以下であり、Z方向が0.2mm以上0.6mm以下(または0.2mm以下)である)のインダクタ1を製造できる。
(第2実施形態)
図8Aは、インダクタの第2実施形態を示す平面図である。図8Bは、図8AのE-E断面図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、コイルの位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図8Aと図8Bに示すように、第2実施形態のインダクタ1Aでは、コイル20は、基板5でなく、磁性体コア10を貫通している。つまり、コイル20の第2導体部22および第4導体部24は、磁性体コア10のビア部17を貫通している。これにより、磁性体コア10をXY平面方向に大きくすることができ、透磁率を大きくすることができる。なお、個々の磁性体粒子15は第1被覆体11によって絶縁されており、また、第2被覆体12自体も絶縁性を有するので、第2導体部22および第4導体部24同士が磁性体粒子15を伝わって導通することを防ぐことができる。
第2実施形態のインダクタ1Aの製造方法について説明すると、磁性体コア10にビア部17を形成した後に、ビア部17内にSAP工法によりめっきを充填して第2導体部22および第4導体部24を形成する。
(第3実施形態)
図9は、インダクタの第3実施形態を示すYZ断面図である。第3実施形態は、第2実施形態とは、磁性体コアのビア部内の構造が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、第3実施形態のインダクタ1Bでは、磁性体コア10のビア部17において、第2導体部22と磁性体コア10との間、および、第4導体部24と磁性体コア10との間に、絶縁体6が存在している。これにより、第2導体部22および第4導体部24同士が磁性体粒子15を伝わって導通することを確実に防ぐことができる。
第3実施形態のインダクタ1Bの製造方法について説明すると、磁性体コア10にビア部17を形成した後に、ビア部17内に絶縁体6を充填し、その後、ビア部17内に絶縁体6の一部を残すようにビア部17を再度開口し、この開口にSAP工法によりめっきを充填して第2導体部22および第4導体部24を形成する。
(第4実施形態)
図10は、インダクタの第4実施形態を示すYZ断面図である。第4実施形態は、第1実施形態とは、基板の開口部の形状が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、第4実施形態のインダクタ1Cでは、基板5の開口部50は、第1主面5aに開口し、第2主面5bに開口していない。つまり、磁性体コア10は、第1主面5aに露出しているが、第2主面5bに露出していない。このため、基板5の第2主面5b側において、磁性体コア10とコイル20との間に、絶縁体6を設けなくても、基板5の第2主面5b側において、磁性体コア10とコイル20の導通を防止できる。
(第5実施形態)
図11Aは、第5実施形態に係るインダクタを含む半導体パッケージを示すYZ断面図である。図11Bは、図11AのA部の拡大図である。第5実施形態は、第1実施形態とは、インダクタの構造が相違し、インダクタを半導体パッケージに適用した点が異なる。
図11Aに示すように、半導体パッケージ200は、再配線層201と、再配線層201上に配置されたIC(Integrated Circuit:集積回路)202と、IC202を覆うモールド樹脂203とを備える。再配線層201の下面には、半田ボール205が設けられている。半導体パッケージ200は、半田ボール205側において、図示しない実装基板に実装される。
図11Bに示すように、再配線層201は、インダクタ1Dを備える。インダクタ1Dは、基板5Dと、基板5Dに設けられた磁性体コア10およびコイル20とを備える。基板5Dは、樹脂から構成され、この樹脂は、例えば、感光性樹脂である。磁性体コア10およびコイル20は、基板5D内に埋め込まれている。第1導体部21および第3導体部23は、基板5D内に埋め込まれ、第3導体部23および第4導体部24は、ビア導体として、第1導体部21および第3導体部23を電気的に接続する。磁性体コア10とコイル20の間には、磁性体コア10とコイル20の絶縁性を確保可能な程度の厚みで、樹脂から構成される基板5Dが存在する。
基板5Dの上面および下面のそれぞれに、複数の配線211が設けられている。インダクタ1Dは、ビア導体210を介して、上下の配線211に電気的に接続されている。下側の配線211は、半田ボール205に接続されている。上側の配線211は、IC202に接続されている。これにより、実装基板、インダクタ1DおよびIC202が、電気的に接続される。なお、基板5Dには、複数の磁性体コア10およびコイル20を設けてもよく、また、基板5Dには、インダクタ以外のコンデンサなどの電子部品を設けてもよい。













(実施例)
次に、表1に実施例1-6と比較例1-4を示す。
[表1]

Figure 0007342551000001
実施例1-6では、磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内となり、かつ、磁性体粒子、第1被覆体および第2被覆体の充填率は、60%以上となった。以下に、具体的に述べる。
実施例1では、磁性体粒子の平均粒径(D50)として、15μmとし、粒径ばらつき(D10およびD90のD50に対する割合)として、±30%とし、D10/D90として、10.5μm/19.5μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、フェライトおよび樹脂を用いていない。第2被覆体として、アルミナを用いた。磁性体コアの磁性を有する部分の充填率、つまり、磁性体粒子および第1被覆体の充填率は、60%となった。透磁率は、10H/mとなった。透磁率異方性、つまり、磁性体コアのX方向の透磁率が他の方向の透磁率よりも大きくなる特性は、無かった。飽和磁束密度は、0.6Tであった。動作上限周波数は、60MHzであった。
このように、実施例1では、バインダーが不要なため、磁性体粒子をまず充填することが可能となり、この結果、磁性体粒子のランダム最密充填によって60%を超える充填が可能となり、透磁率を向上することができた。さらに、飽和磁束密度も高いものであった。
実施例2では、磁性体粒子の平均粒径として、15μmとし、粒径ばらつきとして、±30%とし、D10/D90として、10.5μm/19.5μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、フェライトおよび樹脂を用いていない。第2被覆体として、Co0.2Fe2.8を用いた。磁性体コアの磁性を有する部分の充填率、つまり、磁性体粒子、第1被覆体および第2被覆体の充填率は、70%となった。透磁率は、15H/mとなった。透磁率異方性は、無かった。飽和磁束密度は、0.6Tであった。動作上限周波数は、60MHzであった。
このように、実施例2では、実施例1と比べて、さらに、第2被覆体として、磁性材料を用いることで、磁性体コアの磁性部分の充填率を向上でき、透磁率がより向上した。
実施例3では、磁性体粒子の平均粒径として、15μmとし、粒径ばらつきとして、±30%とし、D10/D90として、10.5μm/19.5μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、フェライトおよび樹脂を用いていない。第2被覆体として、Co0.2Fe2.8を用いた。磁性体コアの磁性を有する部分の充填率は、70%となった。透磁率は、45H/mとなった。透磁率異方性を有していた。飽和磁束密度は、0.6Tであった。動作上限周波数は、60MHzであった。
このように、実施例3では、実施例2と比べて、さらに、磁性体粒子に対してX方向に磁界を印加しながら第2被覆体を成膜したので、複数の磁性体粒子をX方向に沿って連結し、透磁率異方性を有する磁性体コアとなった。
実施例4では、磁性体粒子の平均粒径として、15μmとし、粒径ばらつきとして、±30%とし、D10/D90として、10.5μm/19.5μmとし、磁性体粒子の材料として、FeCoを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、フェライトおよび樹脂を用いていない。第2被覆体として、Co0.2Fe2.8を用いた。磁性体コアの磁性を有する部分の充填率は、70%となった。透磁率は、80H/mとなった。透磁率異方性を有していた。飽和磁束密度は、1.7Tであった。動作上限周波数は、60MHzであった。
このように、実施例4では、実施例3と比べて、さらに、磁性体粒子として、より透磁率と飽和磁束密度が高いFeCoを用いたので、透磁率および飽和磁束密度が向上した。
実施例5では、磁性体粒子の平均粒径として、1.5μmとし、粒径ばらつきとして、±30%とし、D10/D90として、1.05μm/1.95μmとし、磁性体粒子の材料として、FeCoを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、フェライトおよび樹脂を用いていない。第2被覆体として、Co0.2Fe2.8を用いた。磁性体コアの磁性を有する部分の充填率は、70%となった。透磁率は、85H/mとなった。透磁率異方性を有していた。飽和磁束密度は、1.7Tであった。動作上限周波数は、75MHzであった。
このように、実施例5では、実施例4と比べて、さらに、磁性体粒子の粒径を小さくしたので、渦電流を抑制し、動作周波数を向上できた。
実施例6では、磁性体粒子の平均粒径として、1μmとし、粒径ばらつきとして、±5%とし、D10/D90として、0.95μm/1.95μmとし、磁性体粒子の材料として、FeCoを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、フェライトおよび樹脂を用いていない。第2被覆体として、Co0.2Fe2.8を用いた。磁性体コアの磁性を有する部分の充填率は、70%となった。透磁率は、85H/mとなった。透磁率異方性を有していた。飽和磁束密度は、1.9Tであった。動作上限周波数は、100MHzであった。
このように、実施例6では、実施例5と比べて、さらに、磁性体粒子の粒径のバラつきを抑えたので、磁束の偏りを抑制でき、飽和磁束密度を向上できた。また、磁性体粒子の平均粒径を小さくできたので、動作周波数を向上できた。
比較例1では、磁性体粒子の平均粒径として、25μmとし、粒径ばらつきとして、±95%とし、D10/D90として、1.25μm/48.8μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、エポキシ樹脂を用いた。第2被覆体を用いなかった。磁性体コアの磁性を有する部分(つまり、磁性体粒子)の充填率は、80%となった。透磁率は、15H/mとなった。透磁率異方性は無かった。飽和磁束密度は、0.4Tであった。動作上限周波数は、50MHzであった。
このように、比較例1では、大小の磁性体粒子を混合したため、充填率は高いが、磁性体粒子の粒径がバラつき、これにより、磁束の偏りが発生して、磁束飽和密度が低下した。
比較例2では、磁性体粒子の平均粒径として、1.5μmとし、粒径ばらつきとして、±30%とし、D10/D90として、10.5μm/19.5μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、エポキシ樹脂を用いた。第2被覆体を用いなかった。磁性体コアの磁性を有する部分(つまり、磁性体粒子)の充填率は、55%となった。透磁率は、7H/mとなった。透磁率異方性は無かった。飽和磁束密度は、0.6Tであった。動作上限周波数は、75MHzであった。
このように、比較例2では、比較例1と比べて、磁性体粒子の粒径のバラつきが小さいため、磁性部分の充填率が低くなり、これにより、透磁率が低下した。
比較例3では、磁性体粒子の平均粒径として、1.5μmとし、粒径ばらつきとして、±5%とし、D10/D90として、0.95μm/1.05μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、エポキシ樹脂を用いた。第2被覆体を用いなかった。磁性体コアの磁性を有する部分(つまり、磁性体粒子)の充填率は、55%となった。透磁率は、7H/mとなった。透磁率異方性は無かった。飽和磁束密度は、0.6Tであった。動作上限周波数は、60MHzであった。
このように、比較例3では、比較例2と比べて、磁性体粒子の粒径が大きいため、動作上限周波数が低下した。
比較例4では、磁性体粒子の平均粒径として、1.5μmとし、粒径ばらつきとして、±5%とし、D10/D90として、0.95μm/1.05μmとし、磁性体粒子の材料として、NiZnを用いた。磁性体粒子を結合するバインダーとして、Co0.2Fe2.8のフェライトを用いた。第2被覆体を用いなかった。磁性体コアの磁性を有する部分(つまり、磁性体粒子とバインダー)の充填率は、90%となった。透磁率は、20H/mとなった。透磁率異方性は無かった。飽和磁束密度は、0.6Tであった。動作上限周波数は、60MHzであった。
このように、比較例4では、加圧焼結により製造されため、透磁率異方性は無かった。
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第5実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
前記実施形態では、絶縁体は、基板の第1主面および第2主面の内の少なくとも第1主面側において、磁性体コアとコイルとの間に、設けられているが、絶縁体を設けなくてもよい。
前記実施形態では、第2被覆体は、第1方向に隣り合う磁性体粒子の各第1被覆体の間を結合して複数の磁性体粒子をX方向(第1方向)に沿って連結しているが、他の方向に連結するようにしてもよい。
前記実施形態では、第1被覆体および第2被覆体は、明確に区別されているが、明確に区別されずに連続していてもよく、この場合、第1被覆体および第2被覆体は、一体として、被覆体として構成される。
1,1A,1B インダクタ
5 基板
5a 第1主面
5b 第2主面
50 開口部
51 ビア部
6 絶縁体
10 磁性体コア
10a 中心軸
11 第1被覆体
12 第2被覆体
15 磁性体粒子
16 空隙
20 コイル
21 第1導体部
22 第2導体部
23 第3導体部
24 第4導体部
100 スキージ

Claims (17)

  1. 少なくとも第1方向に隣り合う複数の磁性体粒子と、
    前記複数の磁性体粒子を個別に被覆すると共に絶縁性を有し磁性材料を含む被覆体と
    を備え、
    前記磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内であり、かつ、前記磁性体粒子および前記被覆体の充填率は、60%以上である、磁性体コア。
  2. 前記第1方向の透磁率は、前記第1方向に直交する方向の透磁率よりも大きい、請求項1に記載の磁性体コア。
  3. 前記被覆体は、磁性材料を含み、
    前記被覆体内には、空隙が存在し、
    前記磁性体コアの前記第1方向に対して直交する方向における断面の単位面積あたりの前記磁性体粒子、前記被覆体の面積は、
    前記磁性体コアの前記第1方向に沿った方向における断面の単位面積あたりの前記磁性体粒子および前記被覆体の面積よりも小さい、請求項1または2に記載の磁性体コア。
  4. 前記被覆体は、磁性材料を含み、
    前記被覆体内には、空隙が存在し、
    前記磁性体コアの前記第1方向に対して直交する方向における断面において、前記空隙の大きさの内の最も長い距離をLA1とし、LA1に相当する直線の垂直二等分線における前記空隙の大きさをLA2としたとき、アスペクト比α=LA1/LA2とし、
    前記磁性体コアの前記第1方向に沿った方向における断面において、前記空隙の大きさの内の最も長い距離をLB1とし、LB1に相当する直線の垂直二等分線における前記空隙の大きさをLB2としたとき、アスペクト比α=LB1/LB2とすると、
    α<αを満たす、請求項1から3の何れか一つに記載の磁性体コア。
  5. 前記磁性体粒子は、鉄(Fe)、コバルト(Co)またはニッケル(Ni)の金属、若しくは、これらの金属を主成分とする合金または超合金から構成される、請求項1から4の何れか一つに記載の磁性体コア。
  6. 前記磁性体粒子の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である、請求項1から5の何れか一つに記載の磁性体コア。
  7. 前記磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±5%以内である、請求項1から6の何れか一つに記載の磁性体コア。
  8. 前記被覆体は、第1被覆体と第2被覆体を含み、
    前記第1被覆体は、前記複数の磁性体粒子を個別に被覆し、
    前記第2被覆体は、第1方向に隣り合う前記磁性体粒子の各第1被覆体の間を結合して複数の前記磁性体粒子を前記第1方向に沿って連結する、請求項1に記載の磁性体コア。
  9. 前記第2被覆体は、磁性材料を含む、請求項8に記載の磁性体コア。
  10. 前記第1被覆体と前記第2被覆体とは、共有結合している、請求項8または9に記載の磁性体コア。
  11. 前記第1被覆体は、酸化物磁性被膜、または、フェライトから構成される、請求項8から10の何れか一つに記載の磁性体コア。
  12. 前記第2被覆体は、酸化物磁性被膜、または、フェライトから構成される、請求項8から11の何れか一つに記載の磁性体コア。
  13. 請求項1から12の何れか一つに記載の磁性体コアと、
    第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを含む基板と、
    前記磁性体コアに前記第1方向に沿って巻回したコイルと
    を備え、
    前記基板には、少なくとも前記第1主面に開口する開口部が設けられ、
    前記磁性体コアは、前記開口部に埋設されている、インダクタ。
  14. 前記基板の前記第1主面および前記第2主面の内の少なくとも前記第1主面側において、前記磁性体コアと前記コイルとの間に、絶縁体が設けられている、請求項13に記載のインダクタ。
  15. 前記絶縁体は、樹脂材料からなる、請求項14に記載のインダクタ。
  16. 第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを含む基板に、少なくとも前記第1主面に開口する開口部を設ける工程と、
    第1被覆体で被覆された磁性体粒子を、前記磁性体粒子の粒径において、D10およびD90が、D50に対して±30%以内となるように、前記基板の前記開口部に詰める工程と、
    ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法により前記磁性体粒子に磁性を有する第2被覆体を成膜し、前記磁性体粒子、前記第1被覆体および前記第2被覆体の充填率が、60%以上となるようにして、磁性体コアを前記基板の前記開口部に埋設する工程と、
    前記磁性体コアの第1方向に沿ってコイルを巻回する工程と
    を備える、インダクタの製造方法。
  17. 前記磁性体コアを前記基板の前記開口部に埋設する工程では、
    前記磁性体粒子に対して前記第1方向に磁界を印加しながら、ALD法により前記磁性体粒子に前記第2被覆体を成膜して、前記第1方向に隣り合う前記磁性体粒子の各第1被覆体の間を結合して複数の前記磁性体粒子を前記第1方向に沿って連結する、請求項16に記載のインダクタの製造方法。
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