以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態による製袋機およびこのような製袋機に設けられた位置調整補助装置を説明するための図である。なお、図1において、製袋機の処理部により処理されるワークを参照符号Wで示す。また、製袋機と位置調整補助装置とを組み合わせることにより本発明の製袋システムが構成される。
本実施の形態による位置調整補助装置100は、搬送されるワークに対して処理を行うための処理部120を、目標とする基準位置に位置決めする際に用いられるものである。図1に示す例では、位置調整補助装置100は、帯状のフィルムから袋を作製する製袋機10に設けられている。より具体的には、帯状のフィルムの少なくとも一方の面には、当該帯状のフィルムの長手方向に沿って所定の印刷ピッチにより反復印刷された印刷柄が形成されている。また、製袋機10は、帯状のフィルムを所定の印刷ピッチに対応する長さずつ間欠的に搬送するための搬送部110と、搬送部110により搬送されるワークに対して所定の処理を行うための処理部120とを有している。
なお、図1においては、一対の搬送ローラからなる複数の搬送部110のみが記載されているが、製袋機10には原反(図示せず)から帯状のフィルムを巻き出すための巻き出しローラや、帯状のフィルムにかかるテンションを調整するためのダンサーローラ等、図示しない他の複数のローラが設けられている。
また、製袋機10は、処理部120として、折曲部121、寄せロール122、センターシールユニット123、中間ガゼット円板124、縦シールユニット125、横シールユニット126、パンチユニット127およびカッター128を有している。このような製袋機10における各処理部120の具体的な構成について以下に説明する。また、各処理部120のうち、センターシールユニット123、縦シールユニット125、横シールユニット126、パンチユニット127およびカッター128は、帯状のフィルムにおける印刷柄に対する所定の位置で、上記の印刷ピッチ毎に帯状のフィルムに対して処理を行うようになっている。
折曲部121は、帯状のフィルムの幅方向おける両端部を中央部に向かって折り曲げる折曲部材(図示せず)と、当該折曲部材によってフィルムが折り曲げられる際にフィルムを案内するガイド121aとを有している。なお、図1においては、折曲部121近傍の構成を理解しやすくするため折り曲げられる前のフィルムの図示を一部省略し、折り曲げられた後の帯状のフィルムの両端部を線で示している。また、図1に示すようにガイド121aは板状部材を有しており、折曲部121の折曲部材により折り曲げられた帯状のフィルムはガイド121aの形状に沿って筒状に変形するようになっている。また、ガイド121aの板状部材の幅方向における大きさは、帯状のフィルム幅方向における長さの半分よりも僅かに小さいものとなるよう設定されている。このため、ガイド121aの板状部材の形状に沿って折り曲げられた帯状のフィルムの端部同士は、当該帯状のフィルムの中央部において僅かに重なり合うようになる。また、折曲部121は、帯状のフィルムの搬送面に沿って平行移動することが可能となるよう構成されている。
また、寄せロール122(押圧部)は、搬送部110による帯状のフィルムの搬送方向において、折曲部121よりも下流側に配置されている。また、寄せロール122は、軸122aと、当該軸122aに回転自在となるよう取り付けられたロール122bとを有しており、図1に示す例においては合計4つの寄せロール122が処理部120として設けられている。また、各寄せロール122は、折曲部121等によって折り曲げられた後の帯状のフィルムに対して、ロール122bが上方から接触して押圧するような位置に配置されている。このような各寄せロール122によれば、折曲部121によって折り曲げられた帯状のフィルムにより確実に折り目をつけることができる。また、幅方向に折り返された帯状のフィルムの両端部同士を、幅方向における中央部においてより確実に重ね合わせることができる。なお、製袋機10に設けられる各寄せロール122の数は4つに限定されることはなく、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
また、各寄せロール122は、製袋作業に用いられる帯状のフィルムの幅方向の大きさ等に応じて異なる箇所に位置決めされるようになっている。ここで、図2は、各寄せロール122の基準画像データの一例を示す説明図であるが、各寄せロール122は、図2における上下方向および左右方向に移動させることができるよう構成されている。また、各寄せロール122は、帯状のフィルムの搬送面に直交する方向に延びる軸心122cを中心として、図2における面内方向に回転可能となるよう構成されている。なお、図2ならびに後述する図3および図4において、図1に示すような、両端部を折り曲げられた帯状のフィルムの各端部の図示を省略している。
また、帯状のフィルムの搬送方向における寄せロール122よりも下流側には、センターシールユニット123が配置されている。センターシールユニット123は、折曲部121および各寄せロール122等により幅方向に折り曲げられた筒状のフィルムの一部を加熱して接着(ヒートシール)するための加熱部材123aを有している。より具体的には、図1に示すように、加熱部材123aは搬送部110による帯状のフィルムの搬送方向に沿って延びる部分を有しており、当該帯状のフィルムの幅方向において重ね合わせられた部分同士がこの加熱部材123aによって加熱されて接着されるようになっている。このようなセンターシールユニット123により、原反から巻き出された帯状のフィルムが筒状のフィルムとなるよう形成される。なお、センターシールユニット123において、搬送部110によるフィルムの搬送方向における加熱部材123aよりも下流側に、当該加熱部材123aにより加熱された箇所を冷却するための部材が設けられていてもよい。
また、搬送部110による筒状のフィルムの搬送方向におけるセンターシールユニット123よりも下流側には、中間ガゼット円板124および縦シールユニット125がそれぞれ配置されている。また、中間ガゼット円板124は、筒状に形成されたフィルムの幅方向における端部を中央部に向かって押し込む(言い換えると、マチを形成する)ための部材であり、筒状のフィルムの幅方向における両端部の近傍にそれぞれ1つずつ配置されている。また、縦シールユニット125は加熱部材125aを有しており、各中間ガゼット円板124により押し込まれた部分の近傍を加熱して折り癖をつけるようになっている。なお、上記の加熱部材125aよりも下流側に、当該加熱部材125aにより加熱された箇所を冷却するための部材が設けられていてもよい。また、各中間ガゼット円板124および縦シールユニット125の設置を省略するようにしてもよい。
また、横シールユニット126は、搬送部110による筒状のフィルムの搬送方向において縦シールユニット125よりも下流側に配置されている。また、横シールユニット126は、筒状のフィルムの幅方向に沿って延びる加熱部材126aを有しており、このような加熱部材126aにより、筒状のフィルムが幅方向に沿って加熱されて接着されるようになっている。また、加熱部材126aは筒状のフィルムよりも大きな幅を有しており、加熱部材126aにより幅方向に沿って接着された部分が、製袋機10により個々の袋が作製されたときに当該袋の底部分となる。なお、横シールユニット126において、上記の加熱部材126aよりも下流側に、当該加熱部材126aにより加熱された箇所を冷却するための部材が設けられていてもよい。
また、筒状のフィルムの搬送方向における横シールユニット126よりも下流側には、パンチユニット127およびカッター128がそれぞれ配置されている。また、パンチユニット127により、筒状のフィルムの所定の箇所にミシン目等が形成されるようになっている。そして、各処理部120により上述した処理が行われた後の筒状のフィルムがカッター128により所定の間隔で切断されることにより、個々の袋が作製されるようになっている。また、上述したセンターシールユニット123、中間ガゼット円板124、縦シールユニット125、横シールユニット126、パンチユニット127およびカッター128は、それぞれ帯状のフィルムの搬送面に沿って平行移動することができるよう構成されている。
また、本実施の形態の位置調整補助装置100は、搬送部110により間欠的に搬送される帯状のフィルムおよび上記の各処理部120を撮像して画像データを取得するための撮像部130を有している。また、撮像部130は複数設けられており、各処理部120を上方から撮像して画像データを取得するようになっている。また、各撮像部130により取得された画像データは、後述する制御部190に送られるようになっている。なお、図1に示す例では、7つの処理部120に対して4つの撮像部130が設けられているが、撮像部130の数は4つに限定されることはない。全ての処理部120を撮像することができる撮像部130が1つだけ設けられていてもよいし、各処理部120の数に対応する数の撮像部130が設けられていてもよい。
また、図5に示すように、位置調整補助装置100は、帯状のフィルムに関する情報を入力するための、操作キーやタッチパネル等から構成される入力部140と、入力部140により入力される情報に対応する各処理部120の基準位置を示す基準画像データを予め記憶した記憶部150とを有している。より具体的には、本実施の形態においては、帯状のフィルムに反復印刷された印刷柄の印刷ピッチ等(すなわち、作製される袋の品目)に応じて複数の設定値が予め用意されている。そして、操作者が、この複数の設定値のうちの1つを入力部140により入力することにより、帯状のフィルムに関する情報が位置調整補助装置100に入力されるようになっている。また、帯状のフィルムに関する情報が入力部140により入力されると、当該情報に対応する各処理部120の基準位置を示す基準画像データが記憶部150から読みだされるようになっている。なお、帯状のフィルムに反復印刷された印刷柄の印刷ピッチ等に関する情報を、操作者が入力部140により直接手入力するようにしてもよい。
また、位置調整補助装置100には、各撮像部130により撮像された画像データを表示するための表示部160が設けられており、各撮像部130により取得されて制御部190に送られた画像データが表示部160に表示されるようになっている(図5参照)。図1においては図示を省略しているが、各処理部120の位置決めを行う操作者の視界に入る位置に表示部160が設置されている。なお、1つの表示部160のみが位置調整補助装置100に設けられていてもよいし、2つ以上(例えば、各撮像部130の数に対応する数)の表示部160が位置調整補助装置100に設けられていてもよい。また、制御部190は、各撮像部130により取得された画像データにおける各処理部120の位置と、記憶部150に記憶されている基準画像データにおける各処理部120の基準位置とを比較するようになっている。また、各撮像部130により取得された画像データにおける各処理部120の位置が基準位置からずれている場合には、制御部190は、各撮像部130により取得された画像データを、実際に撮像された画像データとは異なる態様で表示するよう表示部160を制御するようになっている。
以下、各撮像部130により取得された画像データおよび記憶部150に記憶されている基準画像データに基づいて位置決め作業を行うための構成について図2乃至図4を参照して説明する。また、以下では、上述した処理部120のうち、各寄せロール122の位置決めを行う場合について説明する。なお、他の処理部120についても、以下に説明する方法と同様の方法により位置決めを行うことができる。
より具体的には、各寄せロール122の基準位置を示す基準画像データとして、記憶部150には図2に示す基準画像データが予め記憶されている。また、基準画像データとして、各寄せロール122の位置決めが行われた状態で撮像部130により予め取得された画像データが用いられるようになっている。より詳細には、例えば熟練の操作者の手作業によって各寄せロール122の位置決めが行われた後に、撮像部130によって各寄せロール122の画像データを取得し、この取得された画像データを基準画像データとして記憶部150に予め記憶させておく。
また、本実施の形態の位置調整補助装置100は更新手段170を備えており、各撮像部130により撮像された画像データを新たな基準画像データとするよう、記憶部150に記憶されている基準画像データを更新することができるようになっている。このことにより、製袋機10をより柔軟に運用することができるようになる。具体的には、現在の各処理部120の位置が、基準画像データにおける各処理部120の位置とは異なるものの、各処理部120を現在位置している箇所に位置決めしたほうが製袋作業における袋の不良品の発生率が低くなる等のメリットがある場合等に、基準画像データを更新するようにする。
また、実際に各寄せロール122の位置決め作業を行う際には、例えば図3に示すような、各寄せロール122の現在位置の画像データが撮像部130により取得され、この画像データが表示部160に表示されるようになっている。ここで、図3に示す画像データは、4つの寄せロール122のうち右下の寄せロール122のみが基準位置からずれている状態を示すものである。上述したように、制御部190は、撮像部130により取得された画像データにおける各寄せロール122の位置と、記憶部150に記憶されている基準画像データにおける各寄せロール122の基準位置とを比較するようになっている。
具体的には、制御部190は、基準画像データにおける各寄せロール122の近傍の所定領域におけるRGB値と、撮像部130により撮像された画像データにおける各寄せロール122の近傍の所定領域におけるRGBとの間の差分を取ることにより、各画像データを比較するようになっている。また、各画像データの差分を取ることにより得られたデータにおいて、所定の閾値よりも大きいずれがある場合には、制御部190により各寄せロール122の位置が基準位置からずれていると判定されるようになっている。言い換えると、制御部190は、各画像データ間でRGB値の異なる部分が、基準画像データにおける各寄せロール122の基準位置の周囲の所定範囲よりも離れた箇所に存在する場合に、各寄せロール122の位置が基準位置からずれていると判定するようになっている。
また、上記の所定の閾値が、各処理部120に求められる位置決めの精度に応じて決定されるようになっていてもよい。具体的には、帯状のフィルムに折り目を付けるための各寄せロール122に求められる位置決めの精度よりも、帯状のフィルムの重ね合わせられた部分を加熱して接着するセンターシールユニット123のほうが求められる位置決めの精度が高い。このため、各寄せロール122に設定される所定の閾値よりも、センターシールユニット123に設定される所定の閾値が低くなるよう、各々の閾値を設定するようにしてもよい。また、各処理部120が基準位置からずれているか否かを判定するための所定の閾値として、画像データの面内方向(すなわち、フィルムの搬送方向および幅方向)に応じて異なる閾値を設定するようにしてもよい。具体的には、センターシールユニット123の加熱部材123aは、帯状のフィルムの幅方向においては高い精度で位置決めを行う必要がある一方、帯状のフィルムの搬送方向では高い精度での位置決めが行われる必要はない。このような場合に、帯状のフィルムの幅方向における所定の閾値を低く設定し、帯状のフィルムの搬送方向における所定の閾値を高く設定するようにしてもよい。
また、制御部190は、各寄せロール122の位置が基準位置からずれていると判定された場合に、各画像データ間で互いに異なるRGB値を有する箇所を異なる色で表示部160に強調表示させるよう表示部160を制御するようになっている(図4参照)。より詳細には、表示部160に表示される、撮像部130により取得された画像データに対して、基準位置からずれている箇所を強調するような色付けが行われるようになっている。このように色付けを行うことにより、各寄せロール122における基準位置からずれている部分を可視化することができる。なお、図4においては、異なるRGB値を有する箇所を異なる色で表示する代わりにハッチングにより示している。また、理解を容易にするため、基準画像データにおける各寄せロール122の位置(図2参照)を点線により表示している。
また、制御部190は、赤色ではなく他の色を用いて基準位置からずれている箇所を強調表示するよう表示部160を制御するようになっていてもよい。また、各画像データ間の差分データを取得したときに、互いに等しいRGB値を有している箇所を青色で表示し、互いに異なるRGB値を有する部分を赤色で表示するようにしてもよい。
また、操作者は、図4に示すような画面が表示される表示部160を見ながら、各寄せロール122を移動させて当該寄せロール122の位置決めを行うようにする。上述したように、撮像部130により取得された画像データにおける各寄せロール122の位置が基準位置からずれている場合に、ずれている部分が表示部160において異なる色で強調表示されるようになっている。このため、図4に示す例においては、操作者は、異なる色で表示される領域の面積が小さくなるよう右下の寄せロール122の位置を調整すればよい。
このような手段によって各寄せロール122の位置決めを行うことにより、目盛りの設けられたスケール等を使用することなく各寄せロール122の位置決め作業を正確に行うことができ、よって位置調整ミス等が発生してしまうことを防止することができる。また、位置決め作業に熟練していない操作者であっても、迅速に各寄せロール122の位置決めを行うことができるようになる。また、各寄せロール122のような回転方向における移動が伴う処理部120の位置決め作業であっても、操作者による手作業で位置決めを行うことができる。また、レーザー変位計等を導入して位置決め作業を行う場合と比較して、より低いコストで各寄せロール122の位置決めを行うことができる。
また、上述したように、撮像部130により撮像された画像データにおいて、各寄せロール122の位置に所定の閾値よりも大きいずれがある場合にのみ、ずれている箇所が異なる色で表示されるようになっている。このため、操作者は、異なる色で表示される箇所が小さくなるように右下の寄せロール122の位置を調整している最中に、異なる色で表示される箇所が存在しくなったときに、各寄せロール122の位置決め作業が完了したことを把握することができる。なお、各寄せロール122の位置決めが完了したときに、例えば「各寄せロール122の位置決めが完了しました」等のメッセージが表示部160に表示されるようになっていてもよい。
なお、上記の所定の閾値を設定せず、基準画像データにおける各寄せロール122の近傍の所定領域におけるRGB値と、撮像部130により撮像された画像データにおける各寄せロール122の近傍の所定領域におけるRGBとを比較したときに、互いに異なる部分が存在する場合には、この部分を他の箇所とは異なる態様で表示部160に表示させるようにしてもよい。また、各寄せロール122の周囲の所定領域のみでなく、撮像部130により撮像された画像データ全体と、記憶部150に記憶されている基準画像データの全体とを比較するようにしてもよい。
また、撮像部130により取得された画像データにおける各寄せロール122の位置が基準位置からずれている場合には、撮像部130により取得された画像データにおける各寄せロール122の位置が基準位置に近づくよう各寄せロール122を移動させるための操作手順を示すガイダンス画面が表示部160に表示されるようになっていてもよい。具体的には、ガイダンス画面として、各寄せロール122を移動させるべき方向を示す矢印と、当該矢印が指している方向に各寄せロール122を移動させることを操作者に案内する文字が含まれるものが表示部160に表示されるようになっていてもよい。また、所定の方向に各寄せロール122を移動させることを操作者に案内する文字や、各寄せロール122を移動させるべき方向を示す矢印のみがガイダンス画面にとして表示されるようになっていてもよい。あるいは、「右下の寄せロールをx方向にaミリメートル、y方向にbミリメートル移動させてください」という数字および文字による案内や、「右下の寄せロールを時計回りに約c度回転させて下さい」等の数字および文字による案内が表示部160に表示されるようになっていてもよい。このようなガイダンス画面が表示部160に表示されるようになっている場合には、操作者にとっての利便性を更に向上させることができる。また、ガイダンス画面により指示される方向とは異なる方向に処理部120を動かしてしまった場合に、このことを操作者に報知するメッセージが表示部160に表示されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による位置調整補助装置100は、各撮像部130により取得された画像データにおける各処理部120の位置が基準位置からずれている場合に、このことを報知する報知部180を有していてもよい。このような報知部180は、例えば音を発するスピーカーや位置調整補助装置100に取り付けられたランプ等から構成されており、各撮像部130により取得された画像データにおける各処理部120が基準位置からずれているとき、あるいは製袋作業の最中に位置決めした基準位置からずれてしまったときに、音またはランプの点灯、点滅等によってこのことを操作者に報知するようになっていてもよい。
また、図5に示すように、上述した搬送部110、各処理部120、各撮像部130、入力部140、記憶部150、表示部160、更新手段170および報知部180はそれぞれ制御部190に接続されている。また、制御部190から製袋機10および位置調整補助装置100の各構成部材に制御指令が通知されることにより、製袋機10および位置調整補助装置100の各構成部材が動作させられるようになっている。
次に、このような構成からなる製袋機10および位置調整補助装置100により、各処理部120の位置決め作業を行う際の動作について図1乃至図4を用いて説明する。
まず、操作者は、帯状のフィルムに関する情報を入力部140により位置調整補助装置100に入力する。具体的には、帯状のフィルムに印刷された印刷柄等に応じて複数の設定値が予め記憶部150に記憶されており、操作者はこのうち適切な設定値を入力部140により選択する。また、帯状のフィルムに関する情報が入力部140により入力されると、当該情報に対応する各処理部120の基準位置を示す基準画像データが記憶部150から読みだされる。次に、操作者は、図示しない原反を製袋機10にセットし、帯状のフィルムを所定の量だけ巻き出すようにして、各処理部120が位置している箇所に帯状または筒状のフィルムが位置するようにする。なお、上記の動作の順序が逆になっていてもよい。
この状態において、操作者は、ある処理部120(ここでは、各寄せロール122とする)の位置決め作業を開始する旨の指令を入力部140に入力する。このような指令が入力されると、各寄せロール122を撮像するための撮像部130によって各寄せロール122の画像データが取得され、取得された画像データが制御部190に送られる。また、制御部190は、撮像部130から送られた画像データと、記憶部150から読みだされた、各寄せロール122の基準位置を示す基準画像データとの差分を取る。そして、各画像データの差分を取ることにより得られたデータにおいて所定の閾値よりも大きいずれがある場合には、制御部190は、各寄せロール122の位置が基準位置からずれていると判定する。なお、両画像データの間でRGB値が互いに異なる部分が所定の閾値よりも少ない場合には、制御部190は、各寄せロール122が基準位置に位置していると判定するようになっている。
また、各寄せロール122の位置が基準位置からずれていると制御部190により判定された場合には、図4に示すように各画像データ間で互いに異なるRGB値を有する箇所が異なる色で表示部160に強調表示される。なお、図4においては、異なるRGB値を有する箇所を異なる色で表示する代わりにハッチングにより示している。
その後、操作者は、表示部160を見ながら、異なる色で強調表示される領域の面積が小さくなるよう右下の寄せロール122の位置を調整することによって各寄せロール122の位置決め作業を行う。より具体的には、表示部160において異なる色で強調表示される箇所がなくなる位置に各寄せロール122を移動させることにより、位置決め作業が完了する。また、位置決め作業を行う必要がある他の処理部120が存在する場合には、この処理部120に対応する表示部160を見ながら、異なる色で強調表示される領域の面積が小さくなるよう当該処理部120を移動させることにより他の処理部120の位置決め作業を引き続き行う。このような一連の作業を繰り返すことにより、位置調整補助装置100を用いて各処理部120の位置決め作業を行う動作が完了する。
ここで、従来の、帯状のフィルムの両端部を折り返して筒状のフィルムを作製する工程を含むような製袋機においては、寄せロール等の帯状のフィルムに対して処理を行う処理部の位置決めは操作者による手作業により行われるようになっていた。また、製袋に用いる帯状のフィルムを変更した場合等には製袋機の各処理部を手作業により再度位置決めする必要があるが、このような作業に時間がかかってしまい生産効率を向上させることが難しかったり、熟練した操作者を雇うために必要な人件費が高騰してしまうという問題があった。また、従来の製袋機では、帯状のフィルム自体の歪みや蛇行を検出し、この検出結果に基づいて製袋機のヒートシールを行う部材の位置等を調整するようになっており、どの箇所に各処理部を位置決めすればよいか具体的に指示されるようにはなってはいないため、所定の箇所に各処理部を位置決めすることができたか否かをその場で確認することは難しいという問題があった。また、処理部の回転移動を伴う位置決め作業を行うことは難しいという問題があった。
これに対し、以上のような構成からなる位置調整補助装置100は、搬送部110により搬送されるワーク(具体的には、帯状のフィルム)および各処理部120を撮像して画像データを取得するための各撮像部130と、ワークに関する情報を入力するための入力部140と、入力部140により入力される情報に対応する処理部120の基準位置を示す基準画像データを予め記憶した記憶部150と、撮像部130により撮像された画像データを表示するための表示部160と、を備えている。また、制御部190は、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置と記憶部150に記憶されている基準画像データにおける処理部120の基準位置とを比較し、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置が基準位置からずれている場合には撮像部130により取得された画像データにおける処理部120を異なる態様で表示するよう表示部160を制御するようになっている。また、製袋機10は、処理部120として、少なくとも帯状のフィルムを折り曲げるための折曲部121および折曲部121により折り曲げられた帯状のフィルムを押圧することにより折り目を形成するための押圧部(具体的には、各寄せロール122)のうちいずれか一方を有している。このような構成とすることにより、操作者は表示部160を見ながら異なる態様で表示される部分の領域が小さくなるよう各処理部120を移動させるだけで各処理部120の位置決めを行うことができるようになる。また、位置決め作業が完了したことをその場で確認できるため、作業に熟練していない操作者であっても各処理部120の位置決めを迅速に行うことができる。また、目盛りの形成されたスケール等を利用して各処理部120の位置決めを行う場合と比較して、各処理部120を位置決めする際にミスが発生してしまうことを防止することができる。さらに、従来技術では位置決めを行うことが困難である、回転移動を必要とする各処理部120の位置決め作業であっても容易に行うことができる。
また、本実施の形態による位置調整補助装置100においては、上述したように、制御部190は、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置と記憶部150に記憶されている基準画像データにおける処理部120の基準位置との間のずれが所定の閾値よりも大きいときに撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置が基準位置からずれていると判定するため、操作者は、処理部120の位置が基準位置からずれていること、および処理部120の位置決め作業が完了したことについて一目で把握することができる。また、制御部190は、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置が記憶部150に記憶されている基準画像データにおける処理部120の基準位置からずれている場合に、異なる色で表示するよう表示部160を制御するようになっている。
また、本実施の形態による位置調整補助装置100においては、上述したように、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置が記憶部150に記憶されている基準画像データにおける処理部120の基準位置からずれている場合に、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置が記憶部150に記憶されている基準画像データにおける処理部120の基準位置に近づくよう処理部120を移動させるための操作手順を示すガイダンス画面が表示部160に表示されるようになっている。より具体的には、ガイダンス画面には、処理部120を移動させるべき方向を示す矢印および所定の方向に処理部120を移動させることを操作者に案内する文字のうち少なくとも一方が含まれている。このことにより、操作者は矢印や文字を参考にして処理部120を移動させることにより処理部120の位置決めを行うことができ、よって操作者にとっての利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態による位置調整補助装置100においては、上述したように、撮像部130により撮像された画像データを新たな基準画像データとするよう、記憶部150に記憶されている基準画像データを更新するための更新手段170を更に備えているため、位置調整補助装置100をより柔軟に運用することができる。また、制御部190による比較範囲は、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の近傍の所定領域と、記憶部150に記憶される基準画像データにおける処理部120の近傍の所定領域であるため、各画像データ全体同士を比較する場合に比べて、処理部120の位置が基準位置からずれているか否かを判定するプロセスを簡略化することができる。また、位置調整補助装置100は、撮像部130により取得された画像データにおける処理部120の位置が記憶部150に記憶されている基準画像データにおける処理部120の基準位置からずれている場合にこのことを報知する報知部180(具体的には、スピーカーやランプ等)を更に備えている。このため、各撮像部130により取得された画像データにおける各処理部120が基準位置からずれているとき、あるいは製袋作業の途中に処理部120が基準位置からずれてしまったときに、音またはランプの点灯、点滅等によってこのことを操作者に報知することができる。
なお、本実施の形態による位置調整補助装置100および製袋システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、図1等に示す例では、各処理部120を撮像するための撮像部130が各処理部の上方に配置されているが、このような構成に限定されることはない。各処理部120を位置決めするための基準画像を取得できる位置であれば、側方、斜め下方、あるいは下方から各処理部120を撮像する撮像部を用いるようにしてもよい。また、これらの撮像部を、製袋作業を行っているときの各処理部120の状態を確認するためのラインモニタとして使用するようにしてもよい。
また、上述した例においては、表示部160に表示される画像データの色を変えることによって基準位置からずれている各処理部120を異なる態様で表示するようになっているが、このような構成に限定されることはない。例えば、各処理部120において位置がずれている箇所を異なる輝度で表示するようにしてもよい。
また、上述した例では、製袋機10は帯状のフィルムを間欠的に搬送する搬送部110を有しているが、他の形状のワークを連続的に搬送するような搬送部が用いられるようになっていてもよい。また、押圧部として、帯状のフィルムの搬送面に沿って回転移動および平行移動が可能な寄せロール122を有する製袋機10について説明したが、押圧部は上述した構成に限定されることはない。帯状のフィルムの搬送面に沿った平行移動のみが可能となっている押圧部が用いられてもよいし、軸に対して回転自在となるよう取り付けられたロールが含まれていない部材が押圧部として用いられてもよい。
また、上述した例では、撮像部130は帯状のフィルムおよび各処理部120を撮像して画像データを取得するようになっているが、このような構成に限定されることはない。例えば、帯状のフィルムを含んでいない状態の基準画像データを予め記憶部150に記憶させておくとともに、帯状のフィルムを原反から繰り出す前に撮像部130により各処理部120の画像データを取得するようにしてもよい。また、上記の各画像データに基づいて、帯状のフィルムを原反から繰り出す前に各処理部120の位置決め作業を行うようにしてもよい。
また、上述した位置調整補助装置100に対して、各処理部120に向かって光を照射するための投光部を追加的に設けるようにしてもよい。このような投光部が設けられている場合には、撮像部130により撮像される際の各処理部120の陰影が比較的一定の状態に保たれるため、位置調整補助装置および製袋機が置かれる環境(例えば、日中であるか、日没後であるか等)によらずに、より安定した画像データを取得することができ、よって制御部190による位置ずれの判定精度をさらに向上させることができるようになる。
また、上述した例においては、各処理部120の位置決め作業は全て作業者による手作業によって行われるが、このような構成に限定されることはない。例えば、各処理部120を移動させるためのモータ等からなる駆動部を追加的に設けるとともに、当該駆動部によって各処理部120の位置が自動的に調整される位置調整補助装置を構成するようにしてもよい。このような位置調整補助装置では、撮像部130により取得された画像データにおける各処理部120の位置が基準位置からずれている場合に、制御部190によって駆動部が駆動されることにより、各処理部120の位置が調整されるようになる。また、このような位置調整補助装置において、表示部160や報知部180の設置が省略されるようになっていてもよい。
また、上述した例においては、ワークとして帯状のフィルムを用いる位置調整補助装置100および製袋機10(処理機)について説明したが、搬送部により搬送されるワークに対して処理を行う処理部の位置決めをするものであれば、他の装置に本発明の原理が適用されてもよい。具体的には、個々のシート状のワークに折り目をつけたり、糊付けを行ったりする、いわゆるサック貼り機に対して上述した位置調整補助装置が用いられてもよい。あるいは、原反から帯状のフィルムを巻き出し、巻き出された帯状のフィルムを幅方向における所定位置で切断する作業を行うためのボビンカット機において、帯状のフィルムを切断するための切断部の位置決めを行う際に本発明の位置調整補助装置の原理が用いられてもよい。