JP7341012B2 - 摩擦材及びブレーキパッド - Google Patents
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本発明の摩擦材において、上記無機バインダは、上記有機バインダよりも分解温度が高いことにより、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドでは、上記造粒粒子が補強材として好適に機能することができ、ブレーキパッド表面の上記有機バインダの剥がれを防止することができる。
なお、本明細書において、「分解温度」とは、熱重量測定装置を用いて、昇温速度:20℃/分で測定したときに5%重量が減少した温度を意味する。なお、吸着水、結晶水の脱離による重量の減少は含まないものとする。
本発明の摩擦材において、上記第2の充填剤は、無機系の摩擦調整剤からなり、上記無機系の摩擦調整剤は、チタン酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、炭素及び金属粉からなる群より選択される少なくとも1種類は、上記造粒粒子に対して耐熱性を好適に付与することができるため、上記造粒粒子が高温時の補強材として好適に機能することができる。
上記造粒粒子の平均粒子径が200~2000μmであると、造粒粒子が補強材として適切な大きさを有しており、かつ、良好に分散し、補強材として好適に機能することができる。
本発明の摩擦材において、上記造粒粒子の平均粒子径が200μm未満であると、造粒粒子として充分な大きさを有さず、粒子径が小さすぎるので、補強材として機能しにくく、上記造粒粒子の平均粒子径が2000μmを超えると、上記造粒粒子の分散性が低くなることがある。
なお、上記平均粒子径とは、摩擦材又はブレーキパッド中の無作為に選択した5個の造粒粒子の長径の平均値を意味する。長径の測定は、適切な標準スケールを用いればよく、マイクロスコープ、透過型電子顕微鏡等の顕微鏡を用いてもよい。
本発明の摩擦材において、上記無機バインダが粘土鉱物であるので、造粒機能に優れており、かつ、上記造粒粒子に対して耐熱性を好適に付与することができるため、上記造粒粒子が補強材として好適に機能することができる。
本発明の摩擦材において、上記第1の充填剤が有機系の摩擦調整剤を含み、上記有機系の摩擦調整剤は、ゴム及び/又はカシュー系ダストを含むことにより、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドの摩擦係数を好適に高めることができる。
本発明の摩擦材において、上記有機バインダが熱硬化性樹脂からなることにより、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドでは、構成する各成分を好適に結合させることができるため、強度を好適に高めることができる。
本発明のブレーキパッドは、上述した摩擦材を、裏金に固着して得られるため、銅成分の含有量を抑えても、高温又は高速時における耐摩耗性に優れる。
〔摩擦材〕
まず、本発明の摩擦材について説明する。
図1に示すように、本発明の摩擦材100は、母材10と、母材10中に分散する造粒粒子20とを含んでおり、母材10は、有機バインダ11と、繊維基材12と、第1の充填剤13とからなり、造粒粒子20は、無機バインダ21と、第2の充填剤22とからなる。
本発明の摩擦材を構成する各成分について説明する。
本発明の摩擦材において、母材は、有機バインダと繊維基材と第1の充填剤とからなる。
まずは、有機バインダについて説明する。
本発明の摩擦材を構成する有機バインダは、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドにおいて、構成する各成分を結合させる役割を有し、ブレーキパッドの強度を高め、強度を付与する役割を果たしている。
上記有機バインダとしては、熱硬化性樹脂であることが望ましい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドの強度を好適に高める観点から、フェノール樹脂であることがより望ましい。
本発明の摩擦材を構成する繊維基材は、特に限定されるものではないが、例えば、無機繊維、金属繊維、有機繊維、又は、上記繊維の混合繊維が挙げられる。
本発明の摩擦材を構成する第1の充填剤は、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドの摩擦係数を高めるとともに、ドラムやディスクに付着する分解生成物のクリーニングをする役割を果たしている。
上記第1の充填剤としては、例えば、有機系又は無機系の摩擦調整剤等が挙げられる。
なかでも、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドの摩擦係数を好適に高める観点から、有機系の摩擦調整剤を含むことが望ましく、上記有機系の摩擦調整剤としては、ゴム及び/又はカシュー系ダストを含むことがより望ましい。
上記第1の充填剤は、上記成分を含むことが望ましいが、公知の有機系又は無機系の摩擦調整剤を含んでもよい。
本発明の摩擦材において、造粒粒子は、無機バインダと第2の充填剤とからなる。
本発明の摩擦材において、造粒粒子は、上記繊維基材とともに補強材として機能し、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドに対して、高温又は高速時における耐摩耗性を付与する役割を果たす。
本発明の摩擦材中における造粒粒子の配合量は、特に限定されるものではないが、50~90質量%が望ましい。
まずは、無機バインダについて説明する。
本発明の摩擦材を構成する無機バインダは、本発明の摩擦材において、造粒粒子を構成する各成分を結合させる役割を有し、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドに対して強度と耐熱性とを付与する役割を果たしている。
上記無機バインダは、上記有機バインダよりも分解温度が高いことが望ましい。上記無機バインダは、上記有機バインダよりも分解温度が高いことにより、本発明の摩擦材を用いたブレーキパッドでは、上記造粒粒子が補強材として好適に機能することができ、ブレーキパッド表面の上記有機バインダの剥がれを防止することができる。
上記粘土鉱物としては、スメクタイト(モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、カオリン、ベントナイト、バーミキュライト、緑泥石等を挙げることができる。
これらの中でも、スメクタイトを含む粘土鉱物が望ましく、モンモリロナイトを含む粘土鉱物がより望ましい。
本発明の摩擦材を構成する第2の充填剤は、上記造粒粒子に対して耐熱性を付与して、上記造粒粒子を高温での補強材として機能させる役割を果たす。
上記第2の充填剤としては、無機系の摩擦調整剤からなることが望ましく、上記無機系の摩擦調整剤としては、チタン酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、炭素、金属粉等からなる群より選択される少なくとも1種類を含むことがより望ましい。
上記造粒粒子の製造方法としては、公知の方法を用いてよく、例えば、上述した無機バインダと第2の充填剤とからなる造粒粒子用組成物を湿式混合することにより、上記造粒粒子を製造することができる。
上記造粒粒子の製造方法では、造粒後に、乾燥、粉砕、分級をしてもよい。また、得られた造粒粒子は、焼結してもよい。
本発明の摩擦材において、上記造粒粒子の平均粒子径が200μm未満であると、造粒粒子として充分な大きさを有さず、粒子径が小さすぎるので、補強材として機能しにくく、上記造粒粒子の平均粒子径が2000μmを超えると、上記造粒粒子の分散性が低くなることがある。
本発明の摩擦材の製造方法としては、特に限定されず、上記有機バインダと繊維基材と第1の充填剤とからなる母材と、無機バインダと第2の充填剤とからなる造粒粒子と、必要に応じて後述する添加剤とを、ブレーキパッドの性能を満足する配合となるように配合量を調整して混合することで製造することができる。
上記添加剤としては、pH調整剤として用いる水酸化カルシウム、消石灰等が挙げられる。
本発明のブレーキパッドは、上述した摩擦材を、裏金に固着して得られることを特徴とする。
本発明のブレーキパッドは、上述した摩擦材を、裏金に固着して得られるため、銅成分の含有量を抑えても、高温又は高速時における耐摩耗性に優れる。
上記裏金としては、車両等のブレーキに用いられる裏金であれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
例えば、本発明の摩擦材を、加熱しながらプレスする成形をすることにより、本発明のブレーキパッドを製造することができる。
上記加熱の際の温度は、100~200℃が望ましく、プレスの圧力は、2~50MPaが望ましい。
なお、上記加熱前に予備成形を行ってもよい。上記加熱及び成形後に、研磨、スコーチ処理を行ってもよい。
11 有機バインダ
12 繊維基材
13 第1の充填剤
20 造粒粒子
21 無機バインダ
22 第2の充填剤
100 摩擦材
Claims (6)
- 母材と、前記母材中に分散する造粒粒子とを含む摩擦材であって、
前記母材は、有機バインダと繊維基材と第1の充填剤とからなり、
前記造粒粒子は、無機バインダと第2の充填剤とからなり、
前記第2の充填剤は、無機系の摩擦調整剤からなり、前記無機系の摩擦調整剤は、チタン酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、炭素及び金属粉からなる群より選択される少なくとも1種類を含み、
前記無機バインダは、粘土鉱物からなる
ことを特徴とする摩擦材。 - 前記無機バインダは、前記有機バインダよりも分解温度が高い請求項1に記載の摩擦材。
- 前記造粒粒子は、平均粒子径が200~2000μmである請求項1又は2に記載の摩擦材。
- 前記第1の充填剤は、有機系の摩擦調整剤を含み、前記有機系の摩擦調整剤は、ゴム及び/又はカシュー系ダストを含む請求項1~3のいずれかに記載の摩擦材。
- 前記有機バインダは、熱硬化性樹脂からなる請求項1~4のいずれかに記載の摩擦材。
- 請求項1~5のいずれかに記載の摩擦材を、裏金に固着して得られることを特徴とするブレーキパッド。
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