JP7339830B2 - フッ素樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、流動性および充填性に優れるフッ素樹脂粒子およびその製造方法に関する。
フッ素系樹脂は、電気特性、耐薬品性、防水性および撥液發油性に優れるため半導体をはじめとする電子部品の保護膜、インクジェットプリンタヘッドの撥水膜、フィルタの水防油コートなどに用いられている。
なかでもオキソラン環を含むフッ素樹脂は嵩高い環構造を有するため非晶質で高い透明性および高い耐熱性を有する。また炭素、フッ素、酸素からのみ構成されることで高い電気特性、耐薬品性、防水性および撥液發油性を有する。さらに非晶性であることから溶融成形加工が可能である。
特許文献1にはオキソラン環を含むフッ素樹脂としてパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン(PFMMD)のポリマーおよびその製造方法に関する記載がある。特許文献1の実施例2には、ガラス製封管内でフッ化窒素(N22)の共存下でパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランのポリマーを重合した例の記載がある。この実施例では溶媒は用いられておらず、得られたポリマーの具体的な形態については記述はない。非特許文献1にはオキソラン環を含むフッ素樹脂としてPFMMDをバルク重合又は溶液重合してそのポリマーを得ることが記載されている。尚、本明細書において、特に断らない限り、樹脂とポリマーとは同義として記載する。
米国特許第3308107号
Macromolecules 2005, 38, 4237
非特許文献1には、バルク重合の場合は重合後に精製を行わないと、本樹脂の光学特性および耐熱性が低下するが、精製することでこれらの低下は低減することが記載されている。溶液重合では、フッ素系の2種類の溶媒のいずれかを用いて重合した後にクロロホルムを添加して沈殿させている。バルク重合の精製後の本樹脂およびクロロホルムを添加して沈殿させて得られた樹脂の具体的な形態についての記載はない。
本発明者らによる検討の結果、特許文献1および非特許文献1に記載の方法で得られた樹脂は、不定形の非粒子状の形態を有していた。そのため、樹脂の流動性に課題があった。たとえば樹脂を溶融成形する際、成形加工機内部への樹脂の連続した供給が困難になるなどの取り扱いに問題が生じることが分かった。さらに、特許文献1および非特許文献1に記載の樹脂は、上記形態を有するため、たとえば樹脂を成形加工機内に充填する際、所定の体積に対して所望の重量の樹脂が充填できない、すなわち充填性が低いという問題があることも判明した。この点は、樹脂重量に対して体積の大きな容器を要するため、当該物品を輸送する際の経済性が低くなる問題もあった。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、流動性および充填性に優れた、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明者らのさらなる検討の結果、特許文献1および非特許文献に記載された方法で製造された樹脂は、不定形の非粒子状の形態を有しているため、樹脂の内部に取り込まれた溶媒を除去することが困難である。樹脂中に溶媒が残存すると加熱時の重量減少量が大きく、成形加工時に発泡等が生じたり、成形加工時の作業環境を悪化させるという問題もあった。
そこで本発明は、流動性および充填性に優れるばかりでなく、加熱重量減少量が小さい、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂粒子およびその製造方法を提供することも目的とする。
加えて、フッ素樹脂の製造においては、一般に、乳化重合、懸濁重合等の手段により樹脂粒子を得ることが可能である。しかしこれらの方法においては、重合助剤として乳化剤または分散剤が用いられる。しかし、用いた乳化剤または分散剤は、樹脂粒子の内部に残存することで、異物となり、さらには樹脂を加熱した際の着色の原因となり、透明性および耐熱性を損なう可能性がある。近年の半導体周辺部材に求められる厳しいクリーン性を満足できない可能性があった。
そこで、本発明は、流動性および充填性に優れる、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂粒子を乳化剤および/または分散剤を用いることなく製造する方法、並びに乳化剤および/または分散剤を含有しない、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂粒子を提供することも目的とする。
さらに、本発明は、流動性および充填性に優れるばかりでなく、熱重量減少量が小さく、乳化剤および/または分散剤を含有しない、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、下記一般式(1)で表される残基単位を含み、体積平均粒子径が5μm以上2000μm以下であることを特徴とする新規な樹脂粒子が流動性および充填性に優れることを見出し、本発明の完成に至った。
式(1)中、Rf1、Rf2、Rf3およびRf4はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3~7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3~7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示す。前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Rf1、Rf2、Rf3およびRf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。
さらに、本発明者らは、特定の有機溶媒を用いた沈殿重合法を用いることで、乳化剤または分散剤を用いることなく樹脂粒子を得ることができ、乳化剤および分散剤を用いることなく得られた樹脂粒子は乳化剤および分散剤を含有せず、樹脂本来の透明性および耐熱性を保持した樹脂粒子であること、さらには、樹脂粒子内部に溶媒が残存することなく、加熱重量減少量が小さい樹脂粒子を得られることを見いだし、本発明の好ましい態様に至った。
本発明は、以下の通りである。
[1]
下記一般式(1)で表される残基単位を含み、体積平均粒子径が5μm以上2000μm以下であることを特徴とする樹脂粒子。
(式(1)中、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3~7の分岐状のパーフルオロアルキル基または炭素数3~7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示す。前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
[2]
前記体積平均粒子径が5μm以上500μm以下である、[1]に記載の樹脂粒子。
[3]
安息角が5°以上60°以下である、[1]または[2]に記載の樹脂粒子。
[4]
前記樹脂粒子は、沈殿重合物である、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
[5]
嵩密度が0.2g/mL以上1.5g/mL以下である、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
[6]
250℃加熱時の重量減少量が1重量%以下である、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
[7]
前記樹脂粒子は、乳化剤および/または分散剤を含有しない、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
[8]
一般式(1)で表される残基単位が一般式(2)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)残基単位である、[1]乃至[7]いずれか一項に記載の粒子。
[9]
ラジカル重合開始剤、下記一般式(3)で表される単量体および有機溶媒の混合物を重合条件下に置いて、一般式(4)で表される残基単位を含む樹脂を得る工程を有し、
前記有機溶媒は、少なくとも前記単量体は溶解し、かつ重合により生じた樹脂の少なくとも一部は溶解せず、樹脂の沈殿を生じる溶媒であり、
前記重合により生じた樹脂は粒子として有機溶媒中に沈殿する、[1]乃至[7]いずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
(式(3)中、Rf5、Rf6、Rf6、およびRf7はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3~7の分岐状のパーフルオロアルキル基または炭素数3~7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示す。前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Rf5、Rf6、Rf6、およびRf7は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
(式(4)中のRf5、Rf6、Rf6、およびRf7の定義は、それぞれ式(3)中のRf5、Rf6、Rf6、およびRf7の定義と同じである。)
[10]
前記有機溶媒は、一般式(3)で表される単量体を溶解し、かつ一般式(4)で表される残基単位を含む樹脂を溶解しない有機溶媒である、[9]に記載の製造方法。
[11]
前記有機溶媒は、一般式(4)で表される残基単位を含む量平均分子量Mwが5×104~70×104の樹脂粒子をこの樹脂粒子に対して10倍量(w/w)の有機溶媒に50℃で5時間以上浸漬した後に、有機溶媒中に肉眼で樹脂粒子の残存が確認できる有機溶媒である、[10]に記載の製造方法。
[12]
前記有機溶媒は、一般式(4)で表される残基単位を含む量平均分子量Mwが5×104~70×104の樹脂粒子をこの樹脂粒子に対して10倍量(w/w)の有機溶媒に50℃で5時間以上浸漬した後に前記溶液を25℃に冷却後に、固体状態として残存する樹脂試料を回収し、樹脂試料の重量減少率が20重量%未満である有機溶媒である、[10]または[11]に記載の製造方法。
[13]
分子内にフッ素原子と水素原子を含む有機溶媒を用いることを特徴とする[9]乃至[12]のいずれか一項に記載の製造方法。
[14]
溶媒分子内の水素原子の含有量が1重量%以上である有機溶媒を用いることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
[15]
一般式(3)で表される単量体が一般式(5)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)であり、一般式(4)で表される残基単位が一般式(6)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)残基単位である、[9]乃至[13]いずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、流動性および充填性に優れるフッ素樹脂粒子およびフッ素樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
さらに本発明によれば、流動性および充填性に優れるばかりでなく、乳化剤および分散剤を含有しない樹脂粒子およびその製造方法、並びに流動性および充填性に優れるばかりでなく、加熱重量減少量が小さい樹脂粒子およびその製造方法をそれぞれ提供するができる。
;実施例1で製造した樹脂粒子の粒度分布を示す図である。 ;実施例4で製造した樹脂粒子の粒度分布を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂粒子である。そして、本発明のフッ素樹脂粒子は一般式(1)に含まれる嵩高い環構造を有するため非晶質で高い透明性および高い耐熱性を有する。また炭素、フッ素および酸素からのみ構成されることで高い電気特性、耐薬品性、防水性および撥液發油性を有する。
本発明における一般式(1)で表される残基単位中のRf1、Rf2、Rf3およびRf4基はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3~7の分岐状のパーフルオロアルキル基、または炭素数3~7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示す。前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Rf1、Rf2、Rf3およびRf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。
炭素数1~7の直鎖状パーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基等が挙げられ、炭素数3~7の分岐状パーフルオロアルキル基としては、例えば、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロイソブチル基、ノナフルオロsec-ブチル基、ノナフルオロtert-ブチル基等が挙げられ、炭素数3~7の環状パーフルオロアルキル基としては、例えば、ヘプタフルオロシクロプロピル基、ノナフルオロシクロブチル基、トリデカフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1~7のエーテル性酸素原子を有していてもよい直鎖状パーフルオロアルキル基としては、例えば、-CF2OCF3基、-(CF22OCF3基、-(CF22OCF2CF3基、炭素数3~7のエーテル性酸素原子を有していてもよい環状パーフルオロアルキル基としては、例えば、2-(2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ)-ピリニル基、4-(2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ)-ピリニル基、2-(2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ)-フラニル基等が挙げられる。
優れた耐熱性となるため、Rf1、Rf2、Rf3およびRf4の少なくともいずれか1種が炭素数1~7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3~7の分岐状のパーフルオロアルキル基および炭素数3~7環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種であることが好ましい。
一般式(1)で表される残基単位としては、例えば以下の残基単位が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性および成型加工性に優れるため以下の残基単位を含む樹脂粒子が好ましく、一般式(2)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)残基単位を含む樹脂がより好ましい。
本発明の樹脂粒子は、体積平均粒子径が5μm以上2000μm以下であることで流動性が高く、成型加工機等に対する連続した供給が可能となる。体積平均粒子径は、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。さらに、体積平均粒子径が上記範囲であることで、樹脂粒子への溶媒の残留が抑制できることから、加熱重量減少量が小さいものとなる。尚、樹脂粒子への溶媒の残留は、後述する、沈殿重合法により樹脂粒子を得ることでも得られる。
本発明の樹脂粒子は、体積平均粒子径が5μm以上500μm以下であることがより好ましい。体積平均粒子径がこの範囲であることで、より流動性が高く、成型加工機等に対する連続した供給が容易となり、加熱重量減少量も小さいものとなる。さらに、非特許文献1に記載の方法で得られた樹脂に比べ充填性が増加し、効率的に容器に収納することが可能となる。体積平均粒子径が5μm以上であることにより気流により飛散しにくく、本発明の樹脂粒子の取り扱い性が向上する。また体積平均粒子径が500μm以下である場合、より短時間で樹脂粒子を溶融させることができ成型加工の効率性が向上するため好ましい。
本発明の樹脂粒子は、その90%粒子径が2500μm以下、さらには2000μm以下、またさらには1000μm以下であることが好ましい。これにより、本発明の樹脂粒子において、粗大な粒子の含有量が低くなり、流動性・成形性がより向上する。
また、本発明の樹脂粒子は、その10%粒子径が3μm以上であることが好ましい。これにより、本発明の樹脂粒子において、微細な粒子の含有量が低くなり、粉塵化がより防止され、流動性がより向上する。
本発明の樹脂粒子の体積平均粒子径、90%粒子径、10%粒子径および粒子径分布は、レーザー回折散乱法による粒子径分布測定(体積分布)で評価することができる。レーザー回折散乱法による粒子径分布は、樹脂粒子を水中又はメタノール等の有機溶媒中に分散させて、必要に応じて超音波式ホモジナイザーで粒子の分散状態を均一化にする処理を施した後に測定することで、再現性良く定量化することができる。レーザー散乱計として、マイクロトラック・ベル株式会社製のマイクロトラックを例示することができる。
体積平均粒子径とは、Mean Volume Diameterとも言われ、体積基準で表した平均粒子径であり、粒子径分布を各粒径チャンネルごとに区切り、各粒径チャンネルの代表粒径値をd、各粒径チャンネルごとの体積基準のパーセントをvとした時に、Σ(vd)/Σ(v)で表される。
10%粒子径とは、その粉体の集団の全体積を100%として累積量を求めた時、その累積量が10%となる点の粒子径を表す。90%粒子径とは、その粉体の集団の全体積を100%として累積量を求めた時、その累積量が90%となる点の粒子径を表す。
本発明の樹脂粒子は、好ましくは、乳化剤および/または分散剤を含まない。乳化剤および/または分散剤を含まないことで透明性、耐熱性に優れた樹脂および樹脂粒子となる。乳化剤および/または分散剤を含まない樹脂粒子は、後述する沈殿重合法を用いて製造できる。従って本発明の樹脂粒子は、沈殿重合物であることが好ましい。ここで、分散剤は、樹脂粒子を溶媒中で分散させる働きを有する剤であり、その例としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等が挙げられる。乳化剤は、樹脂粒子を溶媒中で乳化させる働きを有する剤であり、その例としては、パーフルオロオクタン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン酸アンモニウム塩等の含フッ素界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム、エチレングリコール系重合体等の非フッ素界面活性剤等が挙げられる。
本発明の樹脂粒子の嵩密度は充填性の観点から0.2g/cm3以上1.5g/cm3以下であることが好ましい。嵩密度は後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の樹脂粒子には他の単量体残基単位が含まれていても良く、他の単量体残基単位としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VDF)、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール(PDD)、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)およびペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などが挙げられる。
本発明の樹脂粒子は、安息角が5°以上60°以下であることが好ましい。これにより、樹脂粒子の流動性がより高くなり、成型加工機等に対する連続した供給が容易となる。安息角は5°以上40°以下であることがより好ましく、10°以上40°以下であることがさらに好ましい。
ここで、安息角とは平面に樹脂粉末を堆積させたときに平面と粉末の稜線の作る角度のことをいう。安息角は、容器に樹脂粉末を充填し、自然落下させ、水平面に堆積させたときに山になった樹脂粉末の作る角度を測定することで評価可能である。安息角の具体的な測定方法は、後述する実施例に記載する。
本発明において、樹脂粒子の分子量には何ら制限はなく、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量が2,500~2,000,000等が挙げられる。樹脂の溶融粘度、および機械強度の観点から10,000~1,000,000(g/モル)であることが好ましい。測定の際は、標準試料としてポリメタクリル酸メチルを用い、樹脂粒子と標準試料の溶出時間からポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量を算出する。
次に本発明の樹脂粒子の製造方法について説明する。
本発明の樹脂粒子は、例えば、ラジカル重合開始剤、下記一般式(3)で表される単量体および有機溶媒の混合物を重合条件下に置いて、一般式(3)で表される残基単位を含む樹脂を得る工程を含む方法により製造することができる。
式(3)中、Rf5、Rf6、Rf7およびRf8は、それぞれ式(1)中のRf1、Rf2、Rf3、およびRf4と同義である。
式(4)中、Rf5、Rf6、Rf7、およびRf8は、それぞれ式(1)中のRf1、Rf2、Rf3、およびRf4と同義である。
本発明の樹脂粒子の製造方法において、前記有機溶媒は、少なくとも一般式(3)で表される単量体は溶解し、かつ重合により生じた一般式(4)で表される残基単位を含む樹脂の少なくとも一部は溶解せず、樹脂の沈殿を生じる溶媒であり、前記重合により生じた樹脂は粒子として有機溶媒中に沈殿する。本発明の樹脂粒子の製造方法において用いる前記有機溶媒を「沈殿重合溶媒」と記載することがある。沈殿重合溶媒は、より具体的には一般式(3)で表される単量体を溶解し、かつ一般式(4)で表される残基単位を含む樹脂を溶解しない有機溶媒であることができ、この沈殿重合溶媒を以下、沈殿重合溶媒Aと呼ぶ。本発明では沈殿重合溶媒を用いることにより、重合反応によって生成した樹脂を、特定の体積平均粒子径を有する粒子として析出させることができ、結果として成形性および充填性に優れる樹脂粒子を製造することができる。また、乳化剤および分散剤などの重合助剤を用いることがないため、透明性や耐熱性を損なう原因となる乳化剤および分散剤を含まない樹脂粒子を製造することができる。
ここで、沈殿重合溶媒Aとは、一般式(4)で表される残基単位を含む樹脂粒子を当該有機溶媒に長時間浸漬した後に樹脂粒子が残存する溶媒を意味する。具体的には一般式(4)で表される残基単位を含む重量平均分子量Mwが5×104~70×104の樹脂粒子をこの樹脂粒子に対して10倍量(w/w)の有機溶媒に50℃で5時間以上浸漬した後に、有機溶媒中に肉眼で樹脂粒子の残存が確認できる場合に、当該有機溶媒を沈殿重合溶媒Aとして見なすことができる。沈殿重合溶媒Aは、50℃で5時間以上浸漬した後に前記溶液を25℃に冷却後に、固体状態として残存する樹脂試料を回収し、樹脂試料の重量減少率が20重量%未満である有機溶媒であることが好ましい。樹脂試料の重量減少率は、より好ましくは12重量%未満、さらに好ましくは10重量%未満である。
樹脂重量の減少率は以下の方法により計測できる。上記の冷却後の溶液をフィルターろ過後、フィルター上の固体を該溶媒でリンス洗浄し、アセトンで複数回洗浄後に乾燥し、フィルター上の樹脂試料を回収する。回収した樹脂の重量を計測し、当該有機溶媒に浸漬させた樹脂量から回収樹脂重量を引いた値を、当該有機溶媒に浸漬させた樹脂量で除した値の100分率を樹脂減少率とする。
沈殿重合溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、酢酸ブチル等の非ハロゲン系有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系有機溶媒のほか、分子内にフッ素原子を含む有機溶媒が挙げられる。
さらに、沈殿重合溶媒としてはラジカル重合において連鎖移動反応が生じにくく、重合収率に優れ、高分子量体を得やすいことから分子内にフッ素原子と水素原子を含む有機溶媒が好ましい。具体的な、分子内にフッ素原子と水素原子を含む沈殿重合溶媒としては、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール、1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1H,1H-ペンタフルオロプロパノール、1H,1H-ヘプタフルオロブタノール、2-パーフルオロブチルエタノール、4,4,4-トリフルオロブタノール、1H,1H,3H-テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H-オクタフルオロプロパノール、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテルなどが挙げられる。
なかでも、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール、1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタンが好ましく、重合収率に優れ、高分子量体を得やすいことから、1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタンが好ましい。沈殿重合溶媒の分子内のフッ素原子と水素原子の比率としては、重合収率に優れることから原子の個数比でフッ素原子:水素原子=1:9~9:1であることが好ましく、1:9~7:3であることが更に好ましく、4:6~7:3であることが更に好ましい。
沈殿重合溶媒としては、重合収率に優れることから分子内にフッ素原子と水素原子を含み、該溶媒中の水素原子の含有量が該溶媒分子の重量に対し1重量%以上が好ましく、1.5重量%以上が更に好ましい。また、重合収率に優れ、高分子量体を得やすいことから1重量%以上5重量%以下が好ましく、1.5重量%以上4重量%以下が好ましい。また、沈殿重合溶媒としては、重合収率に優れ、高分子量体を得やすいことから分子内に塩素原子を含まないものが好ましい。
一般式(3)で表される単量体と沈殿重合溶媒の比率としては、生産性に優れ、流動特性に優れる粒子が得られることから、重量比で単量体:沈殿重合溶媒=1:99~50:50であることが好ましく、5:95~40:60であることが更に好ましく、5:95~30:70であることが更に好ましい。
ラジカル重合を行う際のラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ-tetr-ブチルパーオキサイド、tetr-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tetr-ブチルパーオキシアセテート、パーフルオロ(ジ-tetr-ブチルパーオキサイド)、ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド、tetr-ブチルパーオキシベンゾエート、tetr-ブチルパーピバレート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
本発明の製造方法は、一般式(3)で表される単量体が一般式(5)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)であり、一般式(4)で表される残基単位が一般式(6)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)残基単位であることが好ましい。
本発明の樹脂粒子は、成形加工時に発泡しにくい樹脂粒子となることから、250℃加熱時の重量減少量が1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることが好ましい。また、250℃加熱時の重量減少量の最小量については特に限定は無いが、例えば、0.001重量%以上を例示できる。また、本発明の樹脂粒子は、成形加工時に発泡しにくい樹脂粒子となることから、樹脂中に含まれる残存溶媒量が1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることが好ましい。ここで、250℃加熱時の重量減少量とは、TG-DTAを用いて、エアー気流下で10℃/minで40℃から昇温した際の250℃における重量減少量を示し、(1-(250℃におけるサンプル重量)/(秤量したサンプル重量))×100)から求められる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

<体積平均粒子径>
マイクロトラック社製MT3000を用い、分散媒としてメタノ-ルを使用して体積平均粒子径(単位:μm)を測定した。
<10%粒子径>
マイクロトラック社製MT3000を用い、分散媒としてメタノ-ルを使用して10%粒子径(単位:μm)を測定した。
<90%粒子径>
マイクロトラック社製MT3000を用い、分散媒としてメタノ-ルを使用して90%粒子径(単位:μm)を測定した。
<流動性>
樹脂の形状が粒子状であった場合を良好(〇)、粒子状ではなかった場合を不良(×)とした。
<嵩密度>
メスシリンダーにおける50mLの標線まで、メスシリンダーに衝撃を加えずに、樹脂粒子を落下させ充填した。この体積50mLあたりの樹脂粒子の重量(g)を計量した。樹脂粒子の重量を体積で除して、嵩密度(g/mL)を算出した。
<充填性>
嵩密度が0.2g/mL以上を良好(〇)、0.2g/mL未満を不良(×)とした。
<重量平均分子量Mw>
東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHZM-M、RI検出器を備えたゲルパーミッションクロマトグラフィーを用いて測定を行った。溶離液としてアサヒクリンAK-225(旭硝子株式会社製)に、AK-225に対して10wt%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(和光純薬工業製)を添加したものを用いた。標準試料としてAgilent製の標準ポリメタクリル酸メチルを用い、試料と標準試料の溶出時間からポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量Mwを算出した。
<250℃加熱重量減少量>
アルミ製サンプルパン(株式会社日立ハイテクサイエンス社製SSC000E030)にサンプル約10~15mgを秤量し、TG/DTA装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA6200AST2)にて、計装エアー気流下(160mL/min)で40℃から300℃まで10℃/minで昇温し、250℃における重量減少量(1-(250℃におけるサンプル重量)/(秤量したサンプル重量))×100)を求め、250℃加熱重量減少量とした。
<安息角>
サンプル瓶に樹脂粉末を7ml充填し、直径4cmの円形の台(ガラス製)の上に、ガラス製粉末漏斗(アズワン株式会社製、漏斗上部の口径50mm、漏斗下部の口径10mm、漏斗全長100mm、漏斗足部分の高さ40mm)を粉末漏斗の下端が円形の台から4cmの高さとなるよう固定し、漏斗を用い、樹脂粉末を漏斗の上端の高さから落下させ、堆積したときにできる山の斜面の角度(°)を分度器で測定した(比較例については樹脂粉末の流動性が悪いため、粉末漏斗を使用せず樹脂粉末を落下させた。)
(実施例1)パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子の製造
アンカー型攪拌翼、窒素導入管および温度計を備えた1LのSUS316製オートクレーブの内部を窒素置換した。開始剤としてビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド1.288g(0.00305モル)、単量体としてパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)150.0g(0.615モル)、沈殿重合溶媒としてアサヒクリンAE-3000(旭硝子製、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、溶媒分子中の水素原子の含有量:1.51重量%、溶媒分子中のフッ素原子:水素原子=7:3(個数比))を1340g加え、攪拌下55℃で24時間保持することで沈殿重合を行った。室温まで冷却し、精製した樹脂粒子を含む液を濾別し、アセトンで洗浄し、真空乾燥することよりパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子(樹脂A)を得た(収率:56%)。得られた樹脂粒子の形状、体積平均粒子径、10%粒子径、90%粒子径および嵩密度、安息角を表1に示す。得られた樹脂粒子は流動性、充填性に優れるものであった。得られた樹脂Aの重量平均分子量Mwは4.4×105であった。
(比較例1)パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂の製造
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.017g(0.0000407モル)、単量体としてパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)5.0g(0.0205モル)、重合溶媒としてヘキサフルオロベンゼン(溶媒分子中の水素原子の含有量:0重量%、溶媒分子中のフッ素原子:水素原子=10:0(個数比))8.2gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液をヘキサフルオロベンゼン36gで希釈して樹脂希釈溶液を作成した。アンカー翼を備えたビーカー中にクロロホルム1Lを加え、攪拌下、前記の樹脂希釈溶液を前記クロロホルム中に加えることで樹脂を析出させ、真空乾燥することにより、パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂(樹脂D)を得た(収率:61%)。得られた樹脂Dの重量平均分子量Mwは3.5×105であった。得られた樹脂の形状、嵩密度、安息角を表1に示す。樹脂が不定形であるため、体積平均粒子径は測定できなかった。場合は得られた樹脂は流動性、充填性に課題があるものであった。
(実施例2)パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子の製造
アンカー型攪拌翼、窒素導入管および温度計を備えた1LのSUS316製オートクレーブの内部を窒素置換した。開始剤としてビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.346g(0.000820モル)、単量体としてパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)100.0g(0.410モル)、沈殿重合溶媒として2,2,2-トリフルオロエタノール(溶媒分子中の水素原子の含有量:3.03重量%、溶媒分子中のフッ素原子:水素原子=5:5(個数比)を890g加え、攪拌下55℃で24時間保持することで沈殿重合を行った。室温まで冷却し、精製した樹脂粒子を含む液を濾別し、アセトンで洗浄し、真空乾燥することよりパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子(樹脂B)を得た(収率:78%)。得られた樹脂粒子の形状、体積平均粒子径、10%粒子径、90%粒子径および嵩密度、安息角を表1に示す。得られた樹脂粒子は流動性、充填性に優れるものであった。得られた樹脂Bの重量平均分子量Mwは1.1×105であった。
(実施例3)パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子の製造
アンカー型攪拌翼、窒素導入管および温度計を備えた1LのSUS316製オートクレーブの内部を窒素置換した。開始剤としてビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.519g(0.00123モル)、単量体としてパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)150.0g(0.615モル)、沈殿重合溶媒としてクロロホルムを1150g加え、攪拌下55℃で24時間保持することで沈殿重合を行った。室温まで冷却し、精製した樹脂粒子を含む液を濾別し、アセトンで洗浄し、真空乾燥することよりパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子(樹脂C)を得た(収率:19%)。得られた樹脂粒子の形状、体積平均粒子径、10%粒子径、90%粒子径および嵩密度、安息角を表1に示す。得られた樹脂粒子は流動性、充填性に優れるものであった。得られた樹脂Cの重量平均分子量Mwは7.0×103であった。
(実施例4)パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子の製造
アンカー型攪拌翼、窒素導入管および温度計を備えた1LのSUS316製オートクレーブの内部を窒素置換した。開始剤としてビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド1.038g(0.00246モル)、単量体としてパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)300.0g(1.23モル)、沈殿重合溶媒としてゼオローラ-H(日本ゼオン製、1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、溶媒分子中の水素原子の含有量:1.55重量%、溶媒分子中のフッ素原子:水素原子=7:3(個数比))を1200g加え、攪拌下55℃で24時間保持することで沈殿重合を行った。室温まで冷却し、精製した樹脂粒子を含む液を濾別し、アセトンで洗浄し、真空乾燥することよりパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子(樹脂E)を得た(収率:86%)。得られた樹脂粒子の形状、体積平均粒子径、10%粒子径、90%粒子径および嵩密度、安息角を表2に示す。得られた樹脂粒子は流動性、充填性に優れるものであった。得られた樹脂Eの重量平均分子量Mwは4.9×105であった。
(実施例5)パーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子の製造
アンカー型攪拌翼、窒素導入管および温度計を備えた1LのSUS316製オートクレーブの内部を窒素置換した。開始剤としてビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.519g(0.00123モル)、単量体としてパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)150.0g(0.615モル)、沈殿重合溶媒として1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(溶媒分子中の水素原子の含有量:1.82重量%、溶媒分子中のフッ素原子:水素原子=6:4(個数比))を1340g加え、攪拌下55℃で24時間保持することで沈殿重合を行った。室温まで冷却し、精製した樹脂粒子を含む液を濾別し、アセトンで洗浄し、真空乾燥することよりパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)樹脂粒子(樹脂F)を得た(収率:59%)。得られた樹脂粒子の形状、体積平均粒子径、10%粒子径、90%粒子径および嵩密度、安息角を表2に示す。得られた樹脂粒子は流動性、充填性に優れるものであった。得られた樹脂Fの重量平均分子量Mwは7.9×105であった。
(参考例1)
実施例1で得られた樹脂粒子を10倍量の各種溶媒に50℃で5時間浸漬し、樹脂粒子が残存するかを肉眼で観察した。
・樹脂粒子の残存が肉眼で確認された有機溶媒は以下の通りである:
1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール、1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、クロロホルム。
その後、25℃に冷却し、フィルターろ過後、該溶媒によりリンス洗浄することにより樹脂粒子を取出した後、樹脂粒子を10倍量のアセトンで2回洗浄し、真空乾燥し、乾燥重量から回収率を求めたところ、いずれも回収率は90%以上であった。また、上記で得られたろ液を留去し、ろ液中の固形分量を求めたところ、用いた樹脂粒子に対しろ液中の固形分量は10%未満であった。上記の結果より、樹脂重量の重量減少率は10重量%未満であることが確認された。
(参考例2)
実施例1で得られた樹脂粒子を10倍量の以下に記す各種溶媒に50℃で5時間浸漬し、樹脂粒子が残存するかを肉眼で観察した。
・樹脂粒子の残存が肉眼でされなかった有機溶媒は以下の通りである:
ヘキサフルオロベンゼン、CF3CF2CHCl2(溶媒分子中の水素原子の含有量:0.55重量%、溶媒分子中のフッ素原子:水素原子=8:2(個数比))
50℃における肉眼観察の結果、いずれの溶液も透明であり、濁りも殆ど確認されなかった。その後、25℃に冷却し、フィルターろ過後、該溶媒によりリンス洗浄し、フィルターを真空乾燥し、フィルターの重量増加量から回収率を計算した結果、いずれも5重量%未満であった。上記の結果より、溶媒への浸漬後の樹脂の重量減少率は95重量%以上であることが確認された。
本発明は、流動性、充填性に優れ、加熱重量減少量が小さいフッ素樹脂粒子およびフッ素樹脂粒子の製造方法を提供する。

Claims (5)

  1. ラジカル重合開始剤、下記一般式(3)で表される単量体および分子内にフッ素原子と水素原子を含む有機溶媒の混合物を重合条件下に置いて、一般式(4)で表される残基単位を含む樹脂を得る工程を有し、
    前記有機溶媒は、少なくとも前記単量体は溶解し、かつ重合により生じた樹脂の少なくとも一部は溶解せず、樹脂の沈殿を生じる溶媒であり、
    前記重合により生じた樹脂は粒子として有機溶媒中に沈殿する、一般式(4)で表される残基単位を含み、体積平均粒子径が5μm以上2000μm以下である樹脂粒子の製造方法。
    (式(3)中、Rf5、Rf6、Rf 7 、およびRf 8 はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3~7の分岐状のパーフルオロアルキル基または炭素数3~7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示す。前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Rf5、Rf6、Rf 7 、およびRf 8 は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
    (式(4)中のRf5、Rf6、Rf 7 、およびRf 8 の定義は、それぞれ式(3)中のRf5、Rf6、Rf 7 、およびRf 8 の定義と同じである。)
  2. 前記有機溶媒は、一般式(4)で表される残基単位を含む量平均分子量Mwが5×104~70×104の樹脂粒子をこの樹脂粒子に対して10倍量(w/w)の有機溶媒に50℃で5時間以上浸漬した後に、有機溶媒中に肉眼で樹脂粒子の残存が確認できる有機溶媒である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記有機溶媒は、一般式(4)で表される残基単位を含む量平均分子量Mwが5×104~70×104の樹脂粒子をこの樹脂粒子に対して10倍量(w/w)の有機溶媒に50℃で5時間以上浸漬した後に前記溶液を25℃に冷却後に、固体状態として残存する樹脂試料を回収し、樹脂試料の重量減少率が20重量%未満である有機溶媒である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記有機溶媒は、溶媒分子内の水素原子の含有量が1重量%以上である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の製造方法。
  5. 一般式(3)で表される単量体が一般式(5)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)であり、一般式(4)で表される残基単位が一般式(6)で表されるパーフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)残基単位である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の製造方法。
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