JP7338400B2 - 車両駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動ユニットを搭載した車両の駆動装置に関する。
従来、走行用モーターやジェネレーターなどの駆動ユニットを搭載した車両の駆動装置において、駆動ユニットやその制御装置の周囲に保護部材を配置した構造が知られている。例えば、制御装置の全周をパイプ状のフレームで囲むことで、車両衝突時の外力による周辺部材と制御装置との接触を防止する技術が知られている。また、モーターの給電ケーブルのコネクターまわりに保護部材を取り付けて、コネクターを保護する技術も知られている(特許文献1,2参照)。
特開2013-103584号公報 特開2013-129220号公報
駆動ユニットの上方に制御装置が固定される構造においては、駆動ユニットと制御装置との間に保護部材を介装させることが考えられる。この場合、外力が作用したとしても駆動ユニットと制御装置とが直接的に接触しにくくなり、保護性能が向上しうる。しかしながら、車両の衝突形態によっては、制御装置が保護部材ごと駆動ユニットに接近する方向へと移動する場合があり、駆動ユニットを損傷させるおそれがある。また、車両のボディに対して駆動ユニットを支持するマウント部材が制御装置の近傍に配置されるような場合には、マウントと制御装置との接触によって駆動ユニットの支持状態が不安定になる可能性もある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、駆動ユニット及びインバーターの保護性能を向上させた車両駆動装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
ここで開示する車両駆動装置は、インバーターと板状のプロテクターとを備える。インバーターは、車両に搭載される駆動ユニットの上方に固定され、駆動ユニットに供給される駆動電流を生成する。プロテクターは、インバーターと駆動ユニットとの間において、車両に対して前傾姿勢でインバーターに固定される。プロテクターは、平面状に形成される一般面と、一般面を上方へと平行移動させた平面状に形成されてインバーターに固定される固定面とを有する。固定面は、少なくとも車両前後方向の位置及び一般面との距離が異なる複数箇所に設けられる。
板状のプロテクターをインバーターと駆動ユニットとの間において、前傾姿勢で固定することで、車両前突時にインバーターが車両後方へ移動したときに、インバーターを駆動ユニットから離隔するように上方へ移動させることができ、駆動ユニット及びインバーターの接触による損傷を抑制することができる。したがって、駆動ユニット及びインバーターの保護性能を向上させることができる。
車両駆動装置が適用された車両の内部を透視して示す斜視図である。 車両の内部を透視して示す側面図である。 プロテクターを下面側から見たときの斜視図である。 プロテクターの三面図である。 インバーターを下面側から見たときの斜視図である。 インバーターの模式的な正面図である。 (A)~(C)はプロテクターの作用を示すための車両駆動装置の側面図である。
[1.装置構成]
図1~図7を用いて、実施例としての車両駆動装置を説明する。図中に記載された方位を表す矢印(前後左右上下)は、車両1の運転者を基準にして定められる方向を意味する。図1は、実施例としての車両駆動装置が適用された車両1の内部を透視して示す模式的な斜視図である。この車両1は、電動の駆動ユニット2とエンジン8とを搭載したハイブリッド自動車である。
図2に示すように、上記の車両駆動源は、ダッシュパネル26よりも前方のエンジンルーム(パワードライブルーム,モータールームとも呼ばれる)の内部に配置される。エンジン8は、ガソリンや軽油を燃焼とする内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン)である。このエンジン8はいわゆる横置きエンジンであり、クランク軸の向き(延在方向)が車両1の車幅方向に一致するように横向きに配置される。また、駆動ユニット2には、モーター3とジェネレーター4とが含まれる。
モーター3(電動機)は、例えば三相交流型の同期電動機であり、バッテリー5の電力でモーター軸(ローターの回転軸)を回転させる機能と、車両1の慣性動力を利用して発電する機能とを併せ持つ。モーター軸の向きは、車両1の車幅方向に一致するように配置される。また、ジェネレーター4(発電機)は、例えば三相交流型の同期発電機であり、バッテリー5の電力でエンジン8のクランク軸を回転させる機能(スターター機能)と、クランク軸の回転動力を利用して発電する機能とを併せ持つ。ジェネレーター軸(ローターの回転軸)の向きは、車両1の車幅方向に一致するように、モーター軸と平行に配置される。図2,図3に示すように、モーター3はジェネレーター4よりも後方に配置される。なお、モーター3及びジェネレーター4を一体化してもよい。単一のケーシング内にモーター3及びジェネレーター4を収容した装置は、電動パワードライブとも呼ばれる。
バッテリー5は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池であり、数百ボルトの高電圧直流電流を供給しうる二次電池である。バッテリー5は、車両1の下面(フロア下)や車両1の後部,車室内,荷室内などに配置され、後述するインバーター6を介してモーター3とジェネレーター4とに電気的に接続される。バッテリー5は、モーター3及びジェネレーター4に電力を供給可能とされる。また、バッテリー5は、モーター3の回生電力やジェネレーター4の発電電力で充電可能であるとともに、車両外部からの給電を受けて充電すること(外部充電)も可能である。
エンジン8の隣には、トランスアクスル9(変速機)が配置される。トランスアクスル9は、トランスミッションとファイナルドライブ(アクスル)ギヤとを内蔵した動力伝達装置であり、駆動輪に接続される駆動輪軸とエンジン8とモーター3とジェネレーター4とに接続される。図1に示すように、エンジン8はトランスアクスル9の右側面に固定され、モーター3及びジェネレーター4はトランスアクスル9の左側面に固定される。したがって、エンジン8は、トランスアクスル9の車幅方向右側に並ぶように配置され、モーター3及びジェネレーター4は、トランスアクスル9の車幅方向左側に並ぶように配置される。なお、モーター3及びジェネレーター4の位置は、駆動輪軸と干渉しない位置に設定される。駆動輪に接続される駆動輪軸は、トランスアクスル9の左右両側面から車両外側に向かって延設される。
モーター3及びジェネレーター4の上方には、電力を交流と直流との間で相互に変換し、少なくとも駆動ユニット2に供給される駆動電流を生成するインバーター6が設けられる。インバーター6は、バッテリー5とモーター3及びジェネレーター4とをつなぐ電力線上に介装される。インバーター6はパワードライブユニット(PDU)とも呼ばれ、インバーター回路と電子制御装置とを内蔵する。インバーター回路には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのスイッチ素子が含まれる。また、電子制御装置は、スイッチ素子の作動状態(オンオフのタイミングや駆動周波数)を制御する機能を持つ。
インバーター6は、車両1のサイドメンバー21及びアッパーバー22に固定される。サイドメンバー21は、車長方向に延在するサブフレーム(またはフレーム)であり、車幅方向に所定の間隔をあけて左右に一対設けられる。また、アッパーバー22は、支持部材23を介してサイドメンバー21に接続されるサブフレーム(またはフレーム)であり、エンジンルームの前端部上方において車幅方向に延設される。ラジエーターの上端部はアッパーバー22に固定される。
駆動ユニット2(モーター3,ジェネレーター4)は、マウント20を介してサイドメンバー21に取り付けられる。マウント20には弾性部材(ゴム,ばね)や粘性流体が内蔵され、駆動ユニット2の振動や騒音がサイドメンバー21に伝わりにくくするための緩衝装置である。なお、エンジン8についても同様であり、図示しないエンジンマウントを介してサイドメンバー21に取り付けられる。
図2に示すように、インバーター6の前端部には、平板状の前端支持部24が設けられる。前端支持部24は、その下面側がアッパーバー22の頂面に面接触した状態で、アッパーバー22に対して固定される。また、インバーター6の後端部には、ブラケット25が設けられる。ブラケット25は、インバーター6とサイドメンバー21との間を縦方向に接続する形状に形成される。ブラケット25の下端面はサイドメンバー21の頂面に固定され、ブラケットの上端面はインバーター6の底面に固定される。
駆動ユニット2とインバーター6との間には、プロテクター7が設けられる。プロテクター7は、インバーター6と駆動ユニット2との間において、前傾姿勢でインバーター6に固定される板状の部材である。ここでいう前傾姿勢とは、前端が後端よりも下方に位置する姿勢を意味する。プロテクター7は、インバーター6が外力によって後方へと移動したときに、駆動ユニット2やマウント20との直接的な接触を防止する保護部材として機能する。本実施形態のプロテクター7は、インバーター6の下方かつ駆動ユニット2の上方であって、後述するマウント20よりも前方に配置される。なお、プロテクター7の材質は金属であってもよいし、合成樹脂であってもよい。
[2.プロテクターの構造]
プロテクター7の構造について詳述する。図3,図4に示すように、プロテクター7には、前後方向に長く形成された平面状の一般面10が設けられる。一般面10は、プロテクター7がインバーター6の下方に取り付けられた状態において、マウント20に対向する平面状に形成される部位である。一般面10は、インバーター6が外力によって後方へと移動したときに、駆動ユニット2やマウント20と接触する可能性の高い部位であり、十分な剛性,強度を持つように形成される。好ましくは、一般面10の下面側(駆動ユニット2やマウント20と接触する可能性の高い面)が平滑に形成される。
プロテクター7には、複数の固定面11~13が設けられる。固定面11~13の各々は、固定具(例えば、ボルト,リベット,クリップなど)によってインバーター6に固定される平面状の部位である。固定面11~13は、一般面10を上方へと平行移動させた平面状に形成され、各々の固定面11~13が固定具によってインバーター6の下面に対して固定される。本実施形態のプロテクター7には、第一固定面11と第二固定面12と第三固定面13とが設けられ、各々の固定面11~13がボルト30で締結固定される。
第一固定面11は、プロテクター7がインバーター6の下方に取り付けられた状態において、一般面10の左側に配置される。一般面10と第一固定面11との間には、第一段差部14が設けられる。第一段差部14は、一般面10と第一固定面11との間の段差を滑らかに接続する傾斜面であり、一般面10と第一固定面11とを車幅方向に隔てて車長方向に延設される。
第一固定面11には、ボルト孔17(固定孔)と位置決め孔18とが設けられる。ボルト孔17は、ボルト30が挿通される孔であり、位置決め孔18は、図示しない位置決めピンが挿通される孔である。位置決めピンは、インバーター6の下面から下方に向かって突設される。ボルト孔17は、位置決め孔18よりもプロテクター7の外側に配置される。図4に示す第一固定面11のボルト孔17は、位置決め孔18に対して所定の間隔をあけて、位置決め孔18の左側に配置されている。
図4に示すように、一般面10と第一固定面11との距離(一般面10を基準とした法線方向の距離)はH1である。この寸法H1は、第一固定面11に取り付けられるボルト30のボルト頭の高さ寸法H0よりも大きく設定される。ここでいうボルト頭の高さ寸法H0とは、ボルト30の第一固定面11からの突出寸法に相当する。一方、一般面10と第一固定面11との距離H1がボルト30の突出寸法H0以上の寸法であることから、ボルト30が一般面10よりも下方に突出することがない。したがって、ボルト30が駆動ユニット2やマウント20と干渉しにくくなる。
第二固定面12は、プロテクター7がインバーター6の下方に取り付けられた状態において、一般面10の前方に配置される。一般面10と第二固定面12との間には、第二段差部15が設けられる。第二段差部15は、一般面10と第二固定面12との間の段差を滑らかに接続する傾斜面であり、一般面10と第二固定面12とを車長方向に隔てて車幅方向に延設される。
第一固定面11と同様に、第二固定面12にはボルト孔17と位置決め孔18とが設けられる。ボルト孔17は、ボルト30が挿通される孔であり、位置決め孔18は、図示しない位置決めピンが挿通される孔である。ボルト孔17は、位置決め孔18よりもプロテクター7の外側に配置される。図4に示す第一固定面11のボルト孔17は、位置決め孔18に対して所定の間隔をあけて、位置決め孔18の前方に配置されている。一般面10と第二固定面12との距離はH2である。この寸法H2は、第二固定面12に取り付けられるボルト30のボルト頭の厚み寸法H0よりも大きく設定される。
第三固定面13は、プロテクター7がインバーター6の下方に取り付けられた状態において、第一固定面11の前方に配置される。第一固定面11と第三固定面13との間には、第三段差部16が設けられる。第三段差部16は、第一固定面11と第三固定面13との間の段差を滑らかに接続する傾斜面であり、第一固定面11と第三固定面13とを車長方向に隔てて車幅方向に延設される。
第三固定面13には、位置決め孔18が設けられず、ボルト孔17のみが設けられる。一般面10と第三固定面13との距離はH3である。この寸法H3は、第三固定面13に取り付けられるボルト30のボルト頭の厚み寸法H0よりも大きく設定される。図5に示すように、固定面11~13に設けられるボルト孔17の位置は、インバーター6の下部に形成されたボス19の位置に対応するように設定される。
ボス19は、ボルト30に螺合するネジ溝を底面に有する円筒形状に形成され、インバーター6の左側面及び前面の下部において三箇所に分散するように配置される。プロテクター7は、それぞれのボルト孔17の周囲をボス19の下面に面接触させた状態で、ボルト30によって締結固定される。プロテクター7の前端辺における左右方向の両端部と、プロテクター7の左端辺における前後方向の両端部とが、インバーター6の下面に固定される。
一般面10に対する固定面11~13の距離の大小関係に関して、車幅方向の位置がマウント20に近いほど、一般面10との距離が大きく設定される。反対に、車幅方向の位置がマウント20から遠いほど、一般面10との距離が小さく設定される。ただし、最小でも固定面11~13に取り付けられるボルト30のボルト頭の高さ寸法H0は確保される。また、車長方向の位置が車両1の前端に近いほど、一般面10との距離が大きく設定される。
例えば、図6に示すように、車幅方向の位置がマウント20に近い第一固定面11,第三固定面13は、第二固定面12よりも一般面10との距離が大きく設定される。また、車幅方向の位置がマウント20に近い第一固定面11,第三固定面13のうち、前方側に位置する第三固定面13は、後方側に位置する第一固定面11よりも一般面10との距離が大きく設定される。本実施形態では、不等式「H0≦H2<H1<H3」が成立するように、一般面10に対する固定面11~13の各々の距離が設定される。
[3.作用,効果]
(1)上記の車両駆動装置では、板状のプロテクター7が、インバーター6と駆動ユニット2との間において、前傾姿勢でインバーター6に固定される。これにより、外力によってインバーター6が車両後方へ移動したときに、インバーター6は駆動ユニット2から離隔するように上方へと滑動し、駆動ユニット2及びインバーター6の損傷が抑制される。
例えば、図7(A)に示す車両駆動装置を搭載した車両の前突時に、インバーター6のみに外力が作用することがある。この場合、図7(B)に示すように、駆動ユニット2(モーター3,ジェネレーター4)は移動することなく、インバーター6のみが車両後方へと移動し、プロテクター7の一般面10がマウント20に当接する。このとき、プロテクター7の一般面10は、マウント20からの反力を受けて上方へ移動しようとする。これにより、図7(C)に示すように、インバーター6の後端側が駆動ユニット2から離隔する方向へと持ち上げられ、インバーター6と駆動ユニット2との直接的な接触が回避される。
このように、インバーター6と駆動ユニット2との間において、前傾姿勢のプロテクター7をインバーター6に固定することで、車両前方からの外力を受けたインバーター6の移動方向を変化させて、インバーター6を駆動ユニット2から離隔させることができる。したがって、駆動ユニット2及びインバーター6の損傷を抑制することができ、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能を向上させることができる。
(2)上記の車両駆動装置では、図4に示すように、プロテクター7の固定面11~13が一般面10よりも上方に配置される。このように、固定面11~13を一般面10よりも上方に位置させることで、インバーター6が移動したときに、駆動ユニット2やマウント20とボルト30とを接触しにくくすることができる。したがって、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能をさらに向上させることができる。
(3)上記の車両駆動装置では、固定面11~13の各々と一般面10との距離が、ボルト頭の高さ寸法H0以上の寸法に設定されている。このような設定により、ボルト30が一般面10よりも下方に突出することを確実に防止することができる。したがって、駆動ユニット2やマウント20とボルト30との接触や破損,変形をより効果的に抑制することができ、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能をさらに向上させることができる。
(4)上記の車両駆動装置では、プロテクター7に複数の固定面11~13が形成される。このように、固定面11~13を複数箇所に設けることで、プロテクター7の固定状態を安定させることができる。また、固定面11~13と一般面10との距離を車両前後方向の位置ごとに相違させることで、衝突しやすさ(駆動ユニット2やマウント20に対するプロテクター7の衝突しやすさ)に応じた離隔寸法を確保することができ、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能をさらに向上させることができる。
(5)上記の車両駆動装置では、プロテクター7が前傾姿勢であることから、一般面10に対する固定面11~13の距離を一定距離に設定してしまうと、前方側の固定面11~13がより下方に位置することになってしまう。このような課題に対して、固定面11~13の位置が車両前方側であるほど、一般面10との距離を大きく設定することで、固定面11~13の上下方向の位置を高くすることができる。これにより、例えばインバーター6が車両前方から後方に向かって水平に移動してきたときに、ボルト30が駆動ユニット2やマウント20に接触しにくくなり、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能をさらに向上させることができる。
(6)図6に示すように、固定面11~13の車幅方向の位置がマウント20に近いほど一般面10との距離を大きく設定することで、マウント20とボルト30との接触の可能性をさらに低下させることができ、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能を向上させることができる。
(7)上記の車両駆動装置のプロテクター7には、一般面10と固定面11~13との間に第一段差部14,第二段差部15が設けられる。第一段差部14は車長方向に延設され、第二段差部15は車幅方向に延設される。このような構造により、プロテクター7の剛性を高めることができ、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能を向上させることができる。
(8)上記の車両駆動装置では、プロテクター7のボルト孔17が位置決め孔18の外側に配置される。これにより、プロテクター7をその外周部に近い位置でインバーター6に支持させることができ、プロテクター7の固定状態を安定させることができる。したがって、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能を向上させることができる。
(9)上記の車両駆動装置では、インバーター6の下部に形成されたボス19に対してボルト30が締結固定される。このように、ボルト30が締結されるボス19をインバーター6の下部に設けることで、プロテクター7の固定状態を安定させることができ、駆動ユニット2及びインバーター6の保護性能を向上させることができる。
[4.変形例]
上記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、本実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。例えば、上述の実施形態では、車両1のエンジンルーム内に配置された車両駆動装置を例示したが、車両1の後部に配置される後輪用の車両駆動装置に適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、エンジン8及びトランスアクスル9が搭載されたハイブリッド方式の車両1を例示したが、エンジン8やトランスアクスル9を省略することができる。ジェネレーター4についても省略可能である。少なくとも、駆動ユニット2としてのモーター3を備えた車両1において、駆動ユニット2の上方にインバーター6を固定し、インバーター6と駆動ユニット2との間に板状のプロテクター7を前傾姿勢で固定することで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
また、トランスアクスル9の代わりにトランスミッション(変速機)を搭載した車両1に対して、上記の車両駆動装置を適用することも可能である。ここでいうトランスミッションには、MT(マニュアルトランスミッション),AT(オートマチックトランスミッション),AMT(マニュアルオートマチックトランスミッション),CVT(連続可変トランスミッション),DCT(デュアルクラッチトランスミッション)などが含まれる。
なお、上述の実施形態では、プロテクター7に三つの固定面11~13が形成されているが、固定面11~13の数はこれに限定されない。また、例えば固定具の形状や固定手法により、一般面10よりも下方に突出した部位がない場合には、一般面10と固定面11~13との間に設定される段差寸法を限りなく小さくすることができる。これにより、一般面10と固定面11~13とを同一平面状に配置することができる。
1 車両 2 駆動ユニット
3 モーター 4 ジェネレーター
5 バッテリー6 インバーター
7 プロテクター 8 エンジン
9 トランスアクスル 10 一般面
11 第一固定面 12 第二固定面
13 第三固定面 14 第一段差部
15 第二段差部 16 第三段差部
17 ボルト孔(固定孔) 18 位置決め孔
19 ボス 20 マウント
21 サイドメンバー 22 アッパーバー
23 支持部材24 前端支持部
25 ブラケット 26 ダッシュパネル
30 ボルト

Claims (6)

  1. 車両に搭載される駆動ユニットの上方に固定され、前記駆動ユニットに供給される駆動電流を生成するインバーターと、
    前記インバーターと前記駆動ユニットとの間において、前記車両に対して前傾姿勢で前記インバーターに固定される板状のプロテクターとを備え
    前記プロテクターが、平面状に形成される一般面と、前記一般面を上方へと平行移動させた平面状に形成されて前記インバーターに固定される固定面とを有し、
    前記固定面が、少なくとも車両前後方向の位置及び前記一般面との距離が異なる複数箇所に設けられる
    ことを特徴とする、車両駆動装置。
  2. 前記固定面が、第一固定面及び段差を介して前記第一固定面の前方に配置される第三固定面を有し、
    前記一般面と前記第三固定面との距離が前記一般面と前記第一固定面との距離よりも大きく形成される
    ことを特徴とする、請求項記載の車両駆動装置。
  3. 車幅方向の位置が前記駆動ユニットのマウントに近い前記固定面ほど、前記一般面との距離が大きく形成される
    ことを特徴とする、請求項1または2記載の車両駆動装置。
  4. 車両に搭載される駆動ユニットの上方に固定され、前記駆動ユニットに供給される駆動電流を生成するインバーターと、
    前記インバーターと前記駆動ユニットとの間において、前記車両に対して前傾姿勢で前記インバーターに固定される板状のプロテクターとを備え
    前記プロテクターが、平面状に形成される一般面と、前記一般面を上方へと平行移動させた平面状に形成されて前記インバーターに固定される固定面とを有し、
    前記プロテクターが、前記一般面と前記固定面とを車幅方向に隔てて車長方向に延在する第一段差部と、前記一般面と前記固定面とを車長方向に隔てて車幅方向に延在する第二段差部とを有する
    ことを特徴とする、車両駆動装置。
  5. 車両に搭載される駆動ユニットの上方に固定され、前記駆動ユニットに供給される駆動電流を生成するインバーターと、
    前記インバーターと前記駆動ユニットとの間において、前記車両に対して前傾姿勢で前記インバーターに固定される板状のプロテクターとを備え
    前記プロテクターが、前記インバーターに突設された位置決めピンに係合する位置決め孔と、前記位置決め孔よりも前記プロテクターの外側に配置されて前記プロテクターを前記インバーターに固定する固定具が挿通される固定孔とを有する
    ことを特徴とする、車両駆動装置。
  6. 車両に搭載される駆動ユニットの上方に固定され、前記駆動ユニットに供給される駆動電流を生成するインバーターと、
    前記インバーターと前記駆動ユニットとの間において、前記車両に対して前傾姿勢で前記インバーターに固定される板状のプロテクターとを備え
    前記プロテクターを前記インバーターに固定する固定具が、前記インバーターの下部に形成されたボスに対して締結固定される
    ことを特徴とする、車両駆動装置。
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Citations (4)

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