A.第1実施形態:
図1は、本開示の第1実施形態の液体吐出装置100の構成を模式的示す説明図である。液体吐出装置100は、液体の一例であるインクの液滴を媒体12に吐出して印刷する、インクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、印刷用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質の印刷対象を採用可能である。図1以降の各図においては、互いに直交する第1軸方向X、第2軸方向Yおよび第3軸方向Zのうち、ノズル列方向を第1軸方向Xとし、ノズルNzからのインクの吐出方向に沿った方向を第3軸方向Zとし、第1軸方向Xと第3軸方向Zに直交する方向を第2軸方向Yとする。インクの吐出方向は、鉛直方向と平行であってもよいし、それと交差する方向でもよい。なお、液体吐出ヘッド26の搬送方向に沿った主走査方向は第2軸方向Yであり、媒体12の送り方向である副走査方向は第1軸方向Xとなる。以下の説明においては、説明の便宜上、主走査方向を印刷方向と、適宜称する。また、向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。なお、液体吐出装置100は、媒体送り方向(副走査方向)と液体吐出ヘッド26の搬送方向(主走査方向)とが一致する、いわゆるラインプリンタでもよい。
液体吐出装置100は、液体容器14と、流動機構615と、媒体12を送り出す搬送機構722と、制御ユニット620と、ヘッド移動機構824と、液体吐出ヘッド26と、を備える。液体容器14は、液体吐出ヘッド26から吐出される複数種のインクを個別に貯留する。液体容器14としては、可撓性フィルムで形成された袋状の液体パックや、液体を補充可能な液体タンクなどが利用可能である。流動機構615は、液体容器14と液体液体吐出ヘッド26とを接続する流路の途中に設けられている。流動機構615は、ポンプであり、液体容器14から液体吐出ヘッド26へ液体を供給する。
液体吐出ヘッド26は液体を吐出するための複数のノズルNzを有する。ノズルNzは、第1軸方向Xに沿って並んで配置されたノズル列を構成する。本実施形態では、1種類の液体を吐出するために2列のノズル列が用いられる。ノズルNzは、液体を吐出する円形のノズル開口を有する。なお、他の実施形態では、1種類の液体を吐出するために1列のノズル列が用いられてもよい。
制御ユニット620は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、搬送機構722やヘッド移動機構824、液体吐出ヘッド26を統括制御する。搬送機構722は、制御ユニット620の制御下で動作し、媒体12を第1軸方向Xに沿って搬送する。つまり、搬送機構722は、媒体12を液体吐出ヘッド26に対して相対的に移動させる機構である。
ヘッド移動機構824は、媒体12の印刷範囲に亘って第1軸方向Xに掛け渡された搬送ベルト23と、液体吐出ヘッド26を収容して搬送ベルト23に固定するキャリッジ25とを備える。ヘッド移動機構824は、制御ユニット620の制御下で動作し、液体吐出ヘッド26を主走査方向に沿ってキャリッジ25ごと往復移動させる。キャリッジ25の往復移動の際、キャリッジ25は図示しないガイドレールにより案内される。なお、液体容器14を液体吐出ヘッド26と共にキャリッジ25に搭載したヘッド構成としてもよい。
液体吐出ヘッド26は、ヘッド構成材を第3軸方向Zに積層した積層体である。液体吐出ヘッド26は、ノズルNzの列を副走査方向に沿って並べたノズル列を備える。液体吐出ヘッド26は、液体容器14が貯留する液体の色ごとに用意され、液体容器14から供給される液体を、制御ユニット620の制御下で、複数のノズルNzから媒体12に向けて吐出する。液体吐出ヘッド26の往復移動の間のノズルNzからの液体吐出により、媒体12に所望の画像等の印刷がなされる。図1の破線で示された矢印は、液体容器14と液体吐出ヘッド26とのインクの移動を模式的に表している。
図2は、液体吐出ヘッド26の機能的な構成図である。液体吐出ヘッド26は、ノズル駆動回路28と、ノズル列LNzを構成する複数のノズルNzと、複数の圧力チャンバー221と、駆動素子1100と、を備える。
複数の圧力チャンバー221は、対応するノズルNzと連通し、液体を収容する。複数の圧力チャンバー221は、第1軸方向Xに沿って並んで形成された圧力チャンバー列LXを構成する。複数の圧力チャンバー221は、隣り合う2つの圧力チャンバー221が一のノズルNzに共通して連通する。また、複数のノズルNzは、第1軸方向Xに沿って並んだノズル列LNzを構成する。図2に示す例では、ノズルNz1には2つの圧力チャンバー221a1,221b1が共通に連通し、ノズルNz2には2つの圧力チャンバー221a2,221b2が共通に連通する。また、ノズルNz3には2つの圧力チャンバー221a3,221b3が共通に連通し、ノズルNz4には2つの圧力チャンバー221a4,221b4が共有に連通する。ここで、一のノズルNzに共通して連通する、一方の圧力チャンバー221を第1圧力チャンバー221aとも呼び、他方の圧力チャンバー221を第2圧力チャンバー221bとも呼ぶ。
駆動素子1100は、複数の圧力チャンバー221のそれぞれに対応して設けられている。駆動素子1100は、例えばピエゾ素子である。駆動素子1100は、ノズル駆動回路28と電気的に接続され、ノズル駆動回路28から駆動パルスである電圧が印加されることで、圧力チャンバー221内の液体に圧力変化を生じさせる。駆動素子1100は、圧力チャンバー221を区画する壁に取り付けられている。
複数のノズルNzはそれぞれ、第3軸方向Zにノズル開口を有する。駆動素子1100が駆動されることで圧力チャンバー221の液体が押し出される。これにより、ノズル開口から液体が外部に向けて吐出される。
ノズル駆動回路28は、駆動素子1100の動作を制御する。ノズル駆動回路28は、駆動素子1100に対する駆動パルスの供給のONとOFFとを切り替えるスイッチ回路281を有する。スイッチ回路281は、各ノズルNzに対応して設けられている。スイッチ回路281Aは、圧力チャンバー221a1、221b1に対応して設けられた2つの駆動素子1100の駆動を共通して制御するために用いられる。スイッチ回路281Bは、圧力チャンバー221a2,221b2に対応して設けられた2つの駆動部220a,220bの駆動を共通して制御するために用いられる。スイッチ回路281Cは、圧力チャンバー221a3,221b3に対応して設けられた2つの駆動素子1100の駆動を共通して制御するために用いられる。スイッチ回路281dは、圧力チャンバー221a4,221b4に対応して設けられた2つの駆動素子1100の駆動を共通して制御するために用いられる。
ノズル駆動回路28には、制御ユニット620から駆動パルスCOMとパルス選択信号SIとが供給される。パルス選択信号SIは、印刷データPDに応じて生成され、駆動素子1100の駆動部220に印加する駆動パルスを選択するための信号である。駆動パルスCOMは、少なくとも一つの駆動パルスによって構成されている。本実施形態では、例えば、駆動パルスCOMは、液体をノズルNzから吐出する程度に駆動素子1100を振動させる吐出パルスと、液体を吐出しない程度にノズルNz内の液体を微振動させる微振動パルスとを有する。例えば、パルス選択信号SIが吐出パルスを選択する信号を示す場合には、スイッチ回路281は、駆動パルスCOMの中から吐出パルスが駆動素子1100に供給されるようにONとOFFとを切り替える。
図3は、液体吐出ヘッド26の液体の流れを説明するための模式図である。図4は、液体吐出ヘッド26の分解斜視図である。理解の容易のために図4においてノズルNzの数は実際の数よりも少なくしている。図4に示すように、液体吐出ヘッド26は、ヘッド本体11、ヘッド本体11の一方面側に固定されたケース部材40と、回路基板29と、を備える。また、本実施形態のヘッド本体11は、チャンバープレート13と、チャンバープレート13の一方側に設けられた流路プレート15と、チャンバープレート13に対して流路プレート15とは反対側に設けられた保護基板30と、流路プレート15に対して流路形成基板10とは反対側に設けられたノズルプレート20およびコンプライアンス基板45と、を備える。流路プレート15は、中間プレート15とも呼ぶ。チャンバープレート13は、流路形成基板10とアクチュエーター基板1105とが接合されることで形成されている。
液体吐出ヘッド26の各構成を説明する前に、図3を用いて、液体吐出ヘッド26の流路について説明する。以下ではノズルNzへと向かう液体の流れ方向を基準に説明する。図3において、液体の流れの向きは矢印の向きで示している。
液体吐出ヘッド26の各ノズルNzは、流動機構615によって第1導入孔44aおよび第2導入孔44bに供給された液体が連通する。第1導入孔44aおよび第2導入孔44bはケース部材40に形成されている。
第1導入孔44aに供給された液体は、ケース部材40内の第1共通液室440aを流通して第1リザーバ42aに流入する。第1リザーバ42aは、複数の第1圧力チャンバー221aに共通して連通する。第1リザーバ42aは、流路プレート15によって形成されている。第1リザーバ42aの液体は、第1個別流路192と第1供給流路224aとを順に流通して第1圧力チャンバー221aに流入する。第1個別流路192と第1供給流路224aとは、各第1圧力チャンバー221aに対応して複数設けられている。第1個別流路192は流路プレート15によって形成されている。第1供給流路224aおよび第1圧力チャンバー221aは、流路形成基板10によって形成されている。第1圧力チャンバー221aと第1リザーバ42aとを接続する第1個別流路192および第1供給流路224aが第1接続流路198を構成する。
第1圧力チャンバー221aの液体は、連通流路16を流通してノズルNzに至る。連通流路16は、流路プレート15によって形成されている。またノズルNzは、ノズルプレート20によって形成されている。
第2導入孔44bに供給された液体は、ケース部材40内の第2共通液室440bを流通して第2リザーバ42bに流入する。第2リザーバ42bは、複数の第2圧力チャンバー221bに共通して連通する。第2リザーバ42bは、流路プレート15によって形成されている。第2リザーバ42bの液体は、第2個別流路194と第2供給流路224bとを順に流通して第2圧力チャンバー221bに流入する。第2個別流路194と第2供給流路224bとは、各第2圧力チャンバー221bに対応して複数設けられている。第2個別流路194は流路プレート15によって形成されている。第2供給流路224bおよび第2圧力チャンバー221bは、流路形成基板10によって形成されている。第2圧力チャンバー221bと第2リザーバ42bとを接続する第2個別流路194および第2供給流路224bが第2接続流路199を構成する。
第2圧力チャンバー221bの液体は、連通流路16を流通してノズルNzに至る。このように連通流路16は、一のノズルNzと連通する第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bの液体が合流する流路である。第1供給流路224aと第2供給流路224bとを区別することなく用いる場合には、供給流路224を用いる。
次に、図4に加え、図5~図8を用いて液体吐出ヘッド26の詳細構成について説明する。図5は、アクチュエーター基板1105と流路形成基板10との一部を示す斜視図である。図6は、流路プレート15の一部を示す分解斜視図である。図7は、液体吐出ヘッド26を第2軸方向Yと第3軸方向Zに平行なYZ平面で切断した第1部分切断図である。図8は、液体吐出ヘッド26を第2軸方向と第3軸方向Zに平行なYZ平面で切断した第2部分切断図である。図7および図8には、図4に示す2列のノズル列のうちで一方のノズル列に対応する各要素について図示しているが、他方のノズル列に対応する各要素も同様の構成である。
図4に示すように、ケース部材40は、平面視において流路プレート15と略同一形状である矩形形状を有する。ケース部材40は、合成樹脂や金属などを用いて形成できる。本実施形態では、ケース部材40は、低コストで量産可能な合成樹脂を用いて形成している。ケース部材40は、アクチュエーター基板1105および流路プレート15に接合されている。ケース部材40は、流路形成基板10およびアクチュエーター基板1105が収容される深さの凹部を有する。図7に示すように、ケース部材40の凹部に流路形成基板10などが収容された状態で、凹部のノズルプレート20側の開口面が、流路プレート15によって封止されている。
図4に示すように、ケース部材40のうち、ノズルプレート20が位置する側とは反対側の面には第1導入孔44aと第2導入孔44bとが2つずつ形成されている。第1導入孔44aと第2導入孔44bとを区別することなく用いる場合には、導入孔44とも呼ぶ。図7に示すように、ケース部材40の内側には、ノズルNzからの液体の吐出方向に沿った方向である第3軸方向Zに沿って延びる、第1共通液室440aおよび第2共通液室440bが形成されている。
図4に示すように、コンプライアンス基板45は、可撓部材46と固定基板47とを有する。可撓部材46と固定基板47とは接着剤によって接着されている。
固定基板47は、ステンレス鋼などの金属などの可撓部材46よりも硬質の材料で形成されている。固定基板47は枠状の部材であり、枠の内側にはノズルプレート20が配置される。固定基板47は、流路プレート15に形成された第2リザーバ42bの、ノズルプレート20側の開口を封止する。
可撓部材46は、可撓性を有する材料で形成されている。可撓部材46は枠状であり、枠の内側には、ノズルプレート20が配置される。可撓部材46は、可撓性を有するフィルム状の薄膜、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリアミドなどにより形成された厚さが20μm以下の薄膜である。可撓部材46は、第2リザーバ42bの一壁を形成している平面状の吸振体である。可撓部材46は、第2リザーバ42bにおける圧力の変化を吸収する機能を果たす。
図4に示すように、流路形成基板10は、第2軸方向Yに間隔を開けて2つ設けられている。2つの流路形成基板10の一方は、一方のノズル列のノズルNzに供給する液体を収容し、他方は他方のノズル列のノズルNzに供給する液体を収容する。流路形成基板10の基材は、ステンレス鋼(SUS)やニッケル(Ni)などの金属、ジルコニア(ZrO2)あるいはアルミナ(Al2O3)を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミン酸(LaAlO3)のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10の基材は、シリコン単結晶である。
図5に示すように、流路形成基板10は板状部材である。流路形成基板10は、アクチュエーター基板1105と向かい合う面226と、流路プレート15と向かい合う第1面225とを有する。流路形成基板10は、第1面225から面226に亘って貫通する孔によって、供給流路224と圧力チャンバー221とが形成されている。なお、供給流路224と圧力チャンバー221とは、少なくとも第1面225側が開口する凹部として形成されていればよい。すなわち、供給流路224と圧力チャンバー221とは、少なくとも第1面225側に形成されていればよい。
複数の圧力チャンバー221は、第1軸方向Xに並んで設けられている。また、複数の供給流路224は、第1軸方向に並んで設けられている。圧力チャンバー221および供給流路224は、流路形成基板10の第1面225側から異方性エッチングすることにより形成されている。隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bの間、および、隣り合う第1供給流路224aと第2供給流路224bとの間には、隔壁222が設けられている。
面226には、アクチュエーター基板1105が接合されている。これにより、圧力チャンバー221および供給流路224の面226側の開口は、アクチュエーター基板1105によって封止される。
図5に示すように、供給流路224内には、貫通孔を区画する一側面から対向する他の側面に向かって突出する突出部227を有する。突出部227によって、突出部227の下流端223は他の部分よりも流路幅が狭くなっている。下流端223は圧力チャンバー221に接続されている。
アクチュエーター基板1105は、振動板210と、駆動素子1100と、保護層280とを備える。振動板210は、弾性層210aと、弾性層210a上に配置された絶縁層210bとを有する。振動板210は、例えば以下のように形成される。すなわち、振動板210の弾性層210aを、圧力チャンバー221や供給流路224側形成される前の流路形成基板10の面226上にスパッタ法などによって形成する。次に、絶縁層210bを弾性層210a上にスパッタ法などによって形成する。弾性層210aは酸化ジルコニウムを用い、絶縁層210bは酸化シリコンを用いてもよい。
駆動素子1100は、振動板210の面211上に配置されている。駆動素子1100は、圧電特性を有する圧電体層と、圧電体層の両面を挟むように配置された共通電極およびセグメント電極と、を有する。駆動素子1100を駆動する場合には、共通電極には、基準電位となるバイアス電圧が供給される。一方で、駆動素子1100を駆動する場合には、セグメント電極には、スイッチ回路281がONになることで駆動パルスCOMの中から選択された駆動パルスが供給される。
保護層280は、駆動素子1100上に配置され、駆動素子1100の一部を覆う。保護層280は、絶縁性を有し、酸化物材料、窒化物材料、感光性樹脂材料および有機-無機ハイブリット材料の少なくとも1つから形成されてもよい。例えば、保護膜80は、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化シリコン(SiO2)などの酸化物材料から形成されてもよい。保護層280は、後述する上部電極である共通電極の一部を露出させる開口部81を有していてもよい。平面視において、開口部81の少なくとも一部は、複数の圧力チャンバー221と重なる位置に形成されている。
また、アクチュエーター基板1105は、共通電極に接続されるリード電極と、下部電極であるセグメント電極に接続されるリード電極とを有する。なお、アクチュエーター基板1105の詳細は後述する。
図4および図6に示すように、流路プレート15は、ノズルプレート20と向かい合うプレート第1面157と、流路形成基板10と向かい合う第2面としてのプレート第2面158とを有する。流路プレート15は、平面視で矩形状であり、流路形成基板10よりも大きな面積を有する。図7に示すように、プレート第2面158は、流路形成基板10の第1面225に接合されている。
図6に示すように、流路プレート15は、第1流路プレート15aと第2流路プレート15bとの2枚のプレートが積層されることで形成されている。第1流路プレート15aは、流路形成基板10側に位置し、プレート第2面158を有する。第2流路プレート15bは、ノズルプレート20側に位置し、プレート第1面157を有する。第1流路プレート15aと第2流路プレート15bのそれぞれの基材は、ステンレス鋼やニッケルなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックスなどを用いることができる。なお、流路プレート15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料で形成されていることが好ましい。すなわち、流路プレート15と流路形成基板10との線膨張係数が大きく異なる場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と流路プレート15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、流路プレート15の基材として流路形成基板10の基材と同じ、すなわち、シリコン単結晶基板を用いている。これにより、流路形成基板10と流路プレート15との線膨張係数を同程度にできるので、熱による反りや熱によるクラック、剥離などの発生を抑制することができる。
図4に示すように、流路プレート15は、第1リザーバ42aと、第2リザーバ42bと、第1個別流路192と、第2個別流路194と、連通流路16と、を有する。
図6に示すように、第1リザーバ42aは、第1流路プレート15aを平面視方向であるZ軸方向に貫通する貫通孔によって形成されている。第1リザーバ42aは、第1軸方向Xに沿って延びる。図4および図8に示すように第1リザーバ42aは、複数の第1個別流路192を介して、複数の圧力チャンバー221と共通して連通する。本実施形態では、第1リザーバ42aは、複数の第1個別流路192を介して複数の第1圧力チャンバー221aに接続されることで、複数の第1圧力チャンバー221aに共通して連通する。
図6に示すように、第2リザーバ42bは、第1流路プレート15aと第2流路プレート15bとを平面視方向である第3軸方向Zに貫通する第1開口42b1および第2開口42b2と、第2軸方向Yについて、第2開口42b2から第2別流路194側に向かって延びる開口部42b3とによって形成されている。第2リザーバ42bは、第1軸方向Xに沿って延びる。第1開口42b1と第2開口42b2とは、平面視方向で重ね合わされる。第1開口42b1と第2開口42b2とはそれぞれ、平面視において、同じ大きさの矩形状である。第2リザーバ42bは、複数の第2個別流路194を介して、複数の圧力チャンバー221と共通して連通する。本実施形態では、第2リザーバ42bは、複数の第2個別流路194を介して複数の第2圧力チャンバー221bに接続されることで、複数の第2圧力チャンバー221bに共通して連通する。
図6に示すように、第1個別流路192は、第1流路プレート15aに形成された平面視方向である第3軸方向Zに貫通する貫通孔である。第1個別流路192は、平面視において矩形状である。図8に示すように、第1個別流路192は、第1リザーバ42aの下流端に接続されている。第1個別流路192は、第1リザーバ42aと第1供給流路224aとを接続する。
図6に示すように、第2個別流路194は、第1流路プレート15aを平面視方向である第3軸方向Zに貫通する第1プレート貫通孔194aと、第2流路プレート15bを平面視方向である第3軸方向Zに貫通する第2プレート貫通孔194bとによって形成されている。第1プレート貫通孔194aと第2プレート貫通孔194bとは、平面視方向で重ね合わされる。第1プレート貫通孔194aと第2プレート貫通孔194bとはそれぞれ、平面視において、同じ大きさの矩形状である。図7に示すように、第2個別流路194は、第2リザーバ42bの下流端に接続される。第2個別流路194は、第2リザーバ42bと第2供給流路224bとを接続する。
図6に示すように、連通流路16は、第1流路プレート15aを平面視方向である第3軸方向Zに貫通する第1貫通孔流路162と、第2流路プレート15bを平面視方向である第3軸方向Zに貫通する第2貫通孔流路164とによって形成されている。連通流路16は、第1軸方向Xに沿って複数設けられている。第1貫通孔流路162と第2貫通孔流路164とは平面視において同じ大きさの矩形状であり、平面視において重ね合わされる。連通流路16は、一つの第1個別流路192と一つの第2個別流路194とに共通して接続される。連通流路16は、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bの組に対して一つ設けられている。つまり、一つの連通流路16は、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとを一のノズルNzに連通させる。流路プレート15のプレート第2面158には、連通流路16の開口163が形成されている。第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bのそれぞれの液体は、開口163を介して連通流路16に流入する。
図7に示すように、保護基板30は、駆動素子1100を保護するための空間である凹部131を有する。保護基板30は、ケース部材40に接合されている。保護基板30は、貫通孔32を有する。貫通孔32には、配線部材121が挿通されている。ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属などを用いることができる。なお、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
図4に示すように、ノズルプレート20は、板状部材であり、流路プレート15が位置する側とは反対側の第1面21と、流路プレート15側の第2面22とを備える。ノズルプレート20は、複数のノズルNzを有する。複数のノズルNzは、第1軸方向Xに沿って並んだノズル列を2列形成する。ノズルNzは、ノズルプレート20を平面視方向である第3軸方向Zに貫通する貫通孔によって形成されている。ノズルNzの平面視は円形状である。一のノズルNzは、一の第1圧力チャンバー221aと一の第2圧力チャンバー221bとに共通して連通する。
回路基板29は、配線部材121とノズル駆動回路28とを有する。配線部材121は、駆動素子1100に電気信号を供給するための部材である。配線部材121は、複数の駆動素子1100と制御ユニット620に電気的に接続されている。配線部材121は、可撓性を有するシート状のもの、例えば、COF基板などを用いることができる。なお、配線部材121には、ノズル駆動回路28を設けなくてもよい。つまり、配線部材121は、COF基板に限定されず、FFC、FPCなどであってもよい。配線部材121は、後述するリード電極によって駆動素子1100と電気的に接続されている。また配線部材121は、複数のリード電極と電気的に接続される複数の端子123を有する。
ヘッド本体11を構成する上述の流路形成基板10やノズルプレート20は、単一の板状部材であったが、複数のプレートが積層されて形成されていてもよい。また、上述の流路プレート15は、第1流路プレート15aと第2流路プレート15bとが積層されることで形成されていたが、単一のプレートによって形成されていてもよいし、3つ以上のプレートが積層されることで形成されていてもよい。
図9は、液体吐出ヘッド26の各構成をさらに説明するための図である。図9は、流路形成基板10と流路プレート15とを第3軸方向Zのマイナス側から平面視した場合の模式図である。隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間の隔壁222のうち、第1領域R1は、流路プレート15のプレート第2面158に接合されている。これにより、第1領域R1は、流量プレート15によって動きが拘束される。図9において、第1領域R1にはシングルハッチングを付している。また、隔壁222のうち第2領域R2は、平面視において一の連通流路16の開口163と重なっている。つまり、第2領域R2は、プレート第2面158とは接合されていない領域である。隔壁222を第2面158に接合して拘束した場合、拘束した領域において隔壁222の変形がしにくくなるため、圧力チャンバー221自体のコンプライアンスが小さくなってノズルNzからの液体の吐出効率を向上させる作用をもたらす。コンプライアンスとは、圧力に対する変形のしやすさを表す物理量である。このような作用をもたらす理由は以下のとおりである。つまり、圧力チャンバー221のコンプライアンスがより小さくなれば、圧力チャンバー221で発生させた圧力のうちで、圧力チャンバー221自身の変形により吸収される割合が減るため、ノズルNzへと向かう液流が相対的に増すからである。一方、隔壁222を連通流路16の開口163と重なるようにした場合、連通流路16のイナ-タンスを小さくできる。イナ-タンスは、瞬間的な液体の流れやすさを決定するパラメーターである。イナ-タンスが小さくなれば、液体は流れやすくなる。イナ-タンスは、流路長や流路断面などの流路の構造によって決まる。イナ-タンスは、流路断面積が小さいほど大きくなる。よって、連通流路16の開口163を隔壁222の第2領域R2と重なるように形成することで、連通流路16の流路断面積をより大きくできる。これにより、連通流路16のイナ-タンスを小さくできるので、圧力チャンバー221から連通流路16を介してノズルNzへと液体を円滑に流通させることができる。よって、ノズルNzからの液体の吐出効率を向上させる作用をもたらす。すなわち、隔壁222を第2面158で拘束して第1領域R1とするか、連通流路16の開口163と重ねて第2領域R2とするかの選択は、ノズルNzからの吐出効率に関して原理の異なる向上効果をもたらすところ、本構成は両方の領域を合わせ持つことでより優れた吐出効率の向上効果を奏する。
また、隔壁222は、第2軸方向Yに沿って延びている。ここで、第2領域R2の第2軸方向の長さL2は、第1領域R1の第2軸方向Yの長さL1の半分以下であることが好ましい。長さL2がこれより大きくなると、相対的に第1領域R1が小さくなり、圧力チャンバー221のコンプライアンス上昇による吐出効率低下の影響が著しくなる場合があるためである。すなわちこうすることで、上述した吐出効率の向上効果は特別に優れたものとなる。
また、第2領域R2の第2軸方向Yの長さL2は、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bのそれぞれの第1軸方向Xの幅W以上であることが好ましい。長さL2がこれより小さくなると連通流路16のイナ-タンス低減の効果が十分に得られない場合があるためである。すなわちこうすることで、上述した吐出効率の向上効果は特別に優れたものとなる。
また、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとは、平面視で第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成され、連通流路16は平面視で第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成されることが好ましい。第1仮想線Ln1は、第1軸方向Xにおいて、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間に位置する。こうすることで、第1圧力チャンバー221aから連通流路16へと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバー221bから連通流路16へと伝達される圧力波との大きさの偏りを抑制できる。これにより、第1圧力チャンバー221aから連通流路16に流入する液体の量と、第2圧力チャンバー221bから連通流路16に流入する液体の量に偏りが生じることを抑制できる。
なお、本開示において「実質的に線対称」とは、完全な線対称に加え、製造上生じ得る非対称も含む意味である。例えば、異方性エッチングによって圧力チャンバー221を形成する場合、圧力チャンバー221の側壁に段差や凹凸が生じたり、図9に示すように側壁が傾斜したりして、平面視において完全な長方形状には形成できない。また、突出部227が形成されるために、圧力チャンバー221のうちで突出部227付近の側壁は傾斜したりする。また、異方性エッチングによって連通流路16を形成する場合においても、連通流路16の側壁に段差や凹凸が生じたりする。よって、第1仮想線Ln1に線対称となるように、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bを製造したり、連通流路16を製造したりした場合でも、実際には多少非対称となる場合が生じ得る。本開示では、この場合においても「実質的に線対称」とみなす。
また図9に示すように、隣り合う第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bと連通するノズルNzは、平面視で第1仮想線Ln1と重なるように配置されることが好ましい。こうすることで、第1圧力チャンバー221aからノズルNzへと伝達される圧力波と、第2圧力チャンバー221bからノズルNzへと伝達される圧力波との大きさの偏りを抑制できる。これにより、第1圧力チャンバー221aから連通流路16を介してノズルNzに流入する液体の量と、第2圧力チャンバー221bから連通流路16を介してノズルNzに流入する液体の量に偏りが生じることを抑制できる。本実施形態では、平面視でノズルNzの中心Ceは第1仮想線Lnと重なる。
図10は、振動板210、流路形成基板10、駆動素子1100、第1リード電極270、第2リード電極276の位置関係を示す平面図である。図11は、図10の11-11断面図である。図12は、図10の12-12断面図である。
図10~図12に示すように、駆動素子1100は、面211において、第2軸方向Yに延びるように形成された複数のセグメント電極240と、圧電体層250と、共通電極260とを備える。圧電体層250は、平面視において、複数のセグメント電極240の少なくとも一部が重なり、かつ、複数のセグメント電極240を覆うように形成された第1部分251と、第1部分251以外の第2部分252とを有する。
図11および図12に示すように、振動板210は、可動領域215を有する。可動領域215は、平面視において圧力チャンバー221と重なる領域である。可動領域215は、圧力チャンバー221ごとに形成されている。本実施形態では、複数の可動領域215は、第1軸方向Xに並んで配置されている。振動板210のうち、隣り合う可動領域215の間は不動領域216である。図11に示すように、不動領域216の下方には、流路形成基板10の隔壁222が配置されている。
図11および図12に示すように、セグメント電極240は、少なくとも可動領域215において、第2軸方向Yに沿って延びる。本実施形態では、セグメント電極240は、第2軸方向における一方の端部が可動領域215内に形成され、他方の端部が可動領域215外に形成されている。
セグメント電極240は、導電性を有する層であり、駆動素子1100において下部電極を構成する。セグメント電極240は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、ニッケル(Ni)などのいずれかを含む金属層であってもよい。
また、図10においては、便宜的に省略したが、図11および図12に示すように、面211において、圧電体層250の第2部分252が形成される領域において、セグメント電極240と同じ材質からなる下地層241が形成されている。下地層241は、電圧が印加されない導電層であって、上方に圧電体層250を形成する際に、圧電体の結晶成長を制御するために形成される導電層である。これによれば、圧電体層250の結晶方向が均一となり、駆動素子1100の信頼性が向上する。
図10~図12に示すように、圧電体層250は、振動板210の面211に形成された板状の部材である。圧電体層250は、振動板210の一部を露出させるための、第1部分251と第2部分252とを区画する複数の開口部256を有する。第1部分251は、可動領域215において第2軸方向Yに沿って延び、セグメント電極240の一部を覆っている。また図12に示すように、圧電体層250は、セグメント電極240上にて開口する複数の開口部257を有する。圧電体層250は、圧電特性を有した多結晶体からなり、駆動素子1100において印加されることにより変形することができる。圧電体層250の構造及び材料は、圧電特性を有していればよく、特に限定されない。圧電体層250は、公知の圧電材料から形成されればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O3)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi、Na)TiO3)などを用いてもよい。
共通電極260は、平面視において、可動領域215の少なくとも一部を覆うように形成されている。図11に示すように共通電極260は、第1軸方向Xにおいて、複数の圧電体層250の第1部分251を連続して覆うように形成されている。また図12に示すように、共通電極260は、平面視において可動領域215と重ならない領域において、第1リード電極270と電気的に接続されている。共通電極260は導電性を有した層からなり、駆動素子1100において上部電極を構成する。共通電極260は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)などを含む金属層であってもよい。
駆動素子1100は、各圧力チャンバー221に対応して設けられた駆動部220を有する。駆動部220は、圧力チャンバー221上において、圧電体層250が共通電極260とセグメント電極240とによって挟まれた部分である。セグメント電極240に駆動パルスである電圧が印加されることで駆動部220が変形して圧力チャンバー221に圧力が加えられる。ここで、第1圧力チャンバー221aの液圧を可変させるために、第1圧力チャンバー221a上に配置された駆動部220を第1駆動部220aとも呼ぶ。また、第2圧力チャンバー221bの液圧を可変させるために、第2圧力チャンバー上221b上に配置された駆動部を第2駆動部220bとも呼ぶ。
第1リード電極270は、圧電体層250の第2部分252において、共通電極260と電気的に接続される。また第1リード電極270は、図4に示すノズル駆動回路28と図示しない配線を介して電気的に接続される。第1リード電極270は、導電性を有する材料によって形成される。
図12に示すように、第2リード電極276は、開口部257内のセグメント電極240と電気的に接続されるように形成される。第2リード電極276は、開口部257内に位置する導電膜である下地層276aと、下地層276aに電気的に接続するように形成された配線層276bとを有する。製造過程において、下地層276aはセグメント電極240の保護膜として機能することで、セグメント電極240が製造過程において損傷することを抑制できる。第2リード電極276は、導電性を有する材料によって形成される。各第2リード電極276は、配線部材121に設けられた対応する各端子123と電気的に接続される。
上記のごとく、チャンバープレート13は、第1軸方向Xに沿って並んだ複数の圧力チャンバー221と、各圧力チャンバー221に対応して設けられた駆動素子1100の駆動部220と、駆動素子1100に電気信号である駆動パルスCOMを供給するための複数の第2リード電極276とを有する。また、図12に示すように、回路基板29は、第2リード電極276上で接続される端子123を有する。
ここで、駆動素子1100を構成する複数のセグメント電極240のうちで、平面視で第1圧力チャンバー221aと重なり、第2圧力チャンバー221bと重ならないように形成された電極を第1セグメント電極240aとする。また複数のセグメント電極240のうちで、平面視で、第2圧力チャンバー221bと重なり、第1圧力チャンバー221aと重ならないように形成された電極を第2セグメント電極240bとする。
本実施形態では、図10に示すように、第2リード電極276の配線層276bは、第1個別配線277aと第2個別配線277bと合流配線276cと接続配線277dとを有する。第1個別配線277aは、第1セグメント電極240aと開口部257内で接続されている。第2個別配線277bは、第2セグメント電極240bと開口部257内で接続されている。合流配線277cは、第1個別配線277aと第2個別配線277bとを接続する配線であり、第1軸方向Xに延びる。接続配線277dは、合流配線277cから端子123側に向かって延びる配線であり、端子123に接続される。これにより、第1セグメント電極240aおよび第2セグメント電極240bは、共通する一の第2リード電極276に電気的に接続される。
リード電極としての第2リード電極276の第1軸方向Xの最大幅W276は、ノズル列のノズルピッチPNの50%以上80%以下であることが好ましい。こうすることで、第2リード電極276内を流れる電流のバラツキを低減できる。またこうすることで、隣り合う2つの第2リード電極276間の間隔を十分に確保し易くなるので、短絡の発生を抑制できる。なお、本実施形態では、ノズルピッチPNは、150dpiとなるピッチである。
上記のごとく、駆動素子1100により近い位置である第2リード電極276によって、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bへの電気信号の配線を共通化できる。これにより、駆動素子1100において、ノズル駆動回路28から第1セグメント電極240aまでの配線インピーダンスと、ノズル駆動回路28から第2セグメント電極240bまでの配線インピーダンスとのバラツキを低減できる。よって、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとから、より均等に液体をノズルNzに供給できるので、ノズルNzの吐出特性がばらつく可能性を低減できる。
上記第1実施形態では、一のノズルNzに連通する第1圧力チャンバー221aに対応して設けられた第1セグメント電極240aと、一のノズルNzに連通する第2圧力チャンバー221bに設けられた第2セグメント電極240bとは、第1軸方向Xに間隔を開けて配置された別電極であった。しかしながら、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとの形成態様はこれに限定されるものではない。
以下に図13を用いて、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとの他の形成態様について説明する。図13は、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bの他の形成態様を説明するための図である。図13は、図10に相当する図である。図13に示すように一のノズルNzに対応して設けられた第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとは、共通する電極層240Tの一部として形成されている。電極層240Tは、第1軸方向Xにおいて、一のノズルNzに対応して設けられた第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの組ごとに、間隔を開けて配置されている。電極層240Tの外形は、図13において太字の点線で示されている。図示しない圧電体層250は、電極層240Tと共通電極260とによって挟まれるように配置されている。電極層240Tのうち、第1圧力チャンバー221a上に位置する部分が第1セグメント電極240aとして機能し、第2圧力チャンバー221b上に位置する部分が第2セグメント電極として機能する。
図10および図13において、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとは、平面視で、第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成されていることが好ましい。また、一の第2リード電極276は、平面視で第1仮想線Ln1を跨ぐように形成されていることが好ましい。こうすることで、ノズル駆動回路28から第1セグメント電極240aまでの配線インピーダンスと、ノズル駆動回路28から第2セグメント電極240bまでの配線インピーダンスとのバラツキを低減できる。
図14は、第1実施形態の更に別形態を説明するための図である。図14は、図10に相当する図である。図14に示すように、端子123と第2リード電極276とは、平面視で第1仮想線Ln1と重なる位置で接続されていることが好ましい。図14に示す形態では、平面視で接続配線277dが第1仮想線Ln1に重なる位置で第2軸方向Yに沿って端子123まで延びている。こうすることで、ノズル駆動回路28から第1セグメント電極240aまでの配線インピーダンスと、ノズル駆動回路28から第2セグメント電極240bまでの配線インピーダンスとのバラツキをさらに低減できる。
上記のごとく第1実施形態では、図2および図3に示すように、液体吐出ヘッド26は、圧力チャンバー列LXを構成する複数の圧力チャンバー221に共通して連通される第1リザーバ42aおよび第2リザーバ42bを備える。また、圧力チャンバー列LXは、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとを含む。図3に示すように、第1圧力チャンバー221aは、第1個別流路192および第1供給流路224aを介して第1リザーバ42aと連通される。また第2圧力チャンバー221bは、第2個別流路194および第2供給流路224bを介して第2リザーバ42bと連通される。また上述のごとく、液体吐出ヘッド26は、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとを一のノズルNzに共通して連通させる連通流路16を備える。これにより、2つの圧力チャンバー221a,221bから一のノズルNzに向けて液体を供給できるので、小型で液体の吐出効率が向上した液体吐出ヘッド26が提供される。また、流動機構615の動作や、駆動素子1100の動作を制御して、連通流路16を介して第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間で液体を循環させることでノズルNz近傍の液体を効率的に、周囲に位置する液体と置換できる。これにより、ノズルNz近傍の液体が乾燥して粘度が上昇することで生じ得る、液体の吐出不良の発生を抑制できる。
また、図3に示すように、液体吐出ヘッド26は、第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bと、連通流路16と、一のノズルNzとの組を複数備える。また図4に示すように、各組に対応する複数の一のノズルNzは、第1軸方向Xに沿って並んで配置されたノズル列を構成する。
本実施形態では、第1リザーバ42aと第2リザーバ42bとからそれぞれ液体が供給される態様で説明してきたが、後述の第13実施形態のように、同じ液体吐出ヘッド26をいわゆる液体循環ヘッドとして用いることがある。このような場合、例えば、図3の点線の矢印の向きで示すように、第1圧力チャンバー221aから一の連通流路16を通って第2圧力チャンバー221bへと液体が流れる場合において、各組の連通流路16を流れる液体の向きは同じである。図3に示す例では、各連通流路16における液体は、第1軸方向Xのうち一方側から他方側へ向かって流れる。ここで、液体を第1圧力チャンバー221aから連通流路16を通って第2圧力チャンバー221bへと流した場合、つまり、第2圧力チャンバー221bから第2リザーバ42b、第2共通液室440bを通って液体を液体容器14に戻す場合には、以下の現象が生じ得る。つまり、ノズルNz近傍の流れに起因して、ノズルNzから吐出される液体の向きがノズルNzの開口方向である第3軸方向Zに対してズレる場合がある。よって、各連通流路16の流れの向きを揃えることで、各ノズルNzから吐出される液体の向きのバラツキの程度を小さくできる。
また、図6および図7に示すように、第1リザーバ42aと第2リザーバ42bとは、液体の吐出方向に平面視、つまり、第3軸方向Zのプラス側に向かって見た場合に、少なくとも一部が重なっている。本実施形態では、第1リザーバ42aと、第2リザーバ42bの開口部42b3とが重なっている。こうすることで、液体吐出ヘッド26が水平方向に大型化することを抑制できる。
また、図7および図8に示すように、第3軸方向Zに沿って延びる第1個別流路192は、第3軸方向Zに沿って延びる第2個別流路194よりも流路長が短い。これにより、第1接続流路198は第2接続流路199よりも流路長が短い。
また上記第1実施形態によれば、第1圧力チャンバー221aと、第2圧力チャンバー221bと、一のノズルNzと、一の第2リード電極276との組は、ノズル列を構成するノズルNzの数だけ複数備えられている。また、各組に対応する複数のノズルNzは、図4に示すように第1軸方向Xに沿って並んで配置されてノズル列を構成する。
また、上記第1実施形態によれば、図3に示すように、第1圧力チャンバー221aと第1リザーバ42aとは第1接続流路198を介して接続され、第2圧力チャンバー221bと第2リザーバ42bとは第2接続流路199を介して接続されている。つまり、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとが別のリザーバに接続されている。これにより、例えば、第1リザーバ42aを連通流路16に液体を供給する供給リザーバとして機能させ、第2リザーバ42bを連通流路16から液体を回収する回収リザーバとして機能させることができる。回収リザーバの液体は、第2共通液室440bを介して液体容器14に戻してもよい。つまり、液体容器14と液体吐出ヘッド26との間で液体を循環させてもよい。液体の循環は、流動機構615の動作を制御することで行われてもよい。
以上説明した第1実施形態によれば、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bが一のノズルNzと連通することで、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。つまり、液体がノズルNzから吐出される排除効率の低下を抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることができる。
B.第2実施形態:
図15は、第2実施形態の流路プレート150の斜視図である。図16は、第2実施形態の液体吐出ヘッド26aの構成を説明するための第1の図である。図17は、第2実施形態の液体吐出ヘッド26aの構成を説明するための第2の図である。図16は、流路形成基板10と流路プレート150とを-第3軸方向Z側から平面視したときの模式図である。図17は、ノズルプレート20のノズルNzと、圧力チャンバー221とを通るXZ平面で切断したときの模式図である。
第2実施形態の流路プレート150と、第1実施形態の流路プレート15の違いは、第1流路プレート15aの第1貫通孔流路1620の構成である。流路プレート150のその他の構成については第1実施形態の流路プレート15と同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
第1貫通孔流路1620は、第1流路プレート15a1を平面視方向である第3軸方向Zに貫通する。第1貫通孔流路1620は、各圧力チャンバー221に対応して複数設けられている。つまり、各圧力チャンバー221は、対応する各第1貫通孔流路1620と連通する。複数の第1貫通孔流路1620は、第1軸方向Xに沿って並んで配置されている。隣り合う第1貫通孔流路1620のうち、第1圧力チャンバー221aと向かい合う流路を第1流路162aとし、第2圧力チャンバー221bと向かい合う流路を第2流路162bとする。一のノズルNzに連通する隣り合う第1流路162aと第2流路162bとの間には流路隔壁159が設けられている。平面視において隣り合う第1流路162aと第2流路162bとは、一の第2貫通孔流路164と重なるように配置されている。
図17に示すように、ノズルNzから液体が吐出される場合には、第1圧力チャンバー221a上の駆動素子1100の駆動部220aと、第2圧力チャンバー221b上の駆動素子1100の駆動部220bとに駆動パルスが供給される。これにより矢印の向きに示すように、第1圧力チャンバー221aの液体は第1流路162aに押し出され、第2貫通孔流路164に流入する。また第2圧力チャンバー221bの液体は第2流路162bに押し出され、第2貫通孔流路164に流入する。第1流路162aおよび第2流路162bから第2貫通孔流路164に流入して合流した液体は、ノズルNzに向かって流れる。これにより、ノズルNz内の液体が外部に押し出されて吐出される。
図16および図17に示すように、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間の隔壁222は全領域に亘って流路プレート15のプレート第2面158に接合されて動きが拘束されている。これにより、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの剛性をより高くできるので、駆動部220の振動をより効率良く圧力チャンバー221に伝達できる。
また上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。例えば、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bが一のノズルNzと連通することで、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
C.第3実施形態:
図18は、第3実施形態のノズルプレート20bの平面図である。図19は、第3実施形態の流路プレート150bの一部を示す分解斜視図である。図20は、第3実施形態の液体吐出ヘッド26bの構成を説明するための第1の図である。図21は、液体吐出ヘッド26bの構成を説明するための第2の図である。図20は、ノズルプレート20bのノズルNzと、圧力チャンバー221とを通るXZ平面で切断したときの模式図である。第21は、流路形成基板10と流路プレート150bとを-第3軸方向Z側から平面視したときの図である。
第3実施形態の液体吐出ヘッド26bと、上記第1実施形態の液体吐出ヘッド26および第2実施形態の液体吐出ヘッド26aとの違いは、一のノズルNzに共通して連通する第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bと、一のノズルNzと、を連通させる連通流路292が、ノズルプレート20bに形成されている点である。第3実施形態の液体吐出ヘッド26bと、第2実施形態の液体吐出ヘッド26aとで同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
図18および図20に示すように、ノズルプレート20bは、液体を吐出するノズルNzが形成された第1面21と、ノズルNzと連通する連通流路292が形成された第2面22とを備える。第2面22は、第1面21とは反対側の面である。図20に示すように、連通流路292は第2面22から第1面21側に向かって延びる開口であり、深さ寸法はDpbである。連通流路292は、第1軸方向Xに沿って延びる。ノズルNzは、連通流路292の第1面21側の端部開口に接続され、第1面21まで延びる開口である。ノズルNzは深さ寸法Dpaである。連通流路292は、各ノズルNzに対応して複数設けられている。図20に示すように、連通流路292は、第3軸方向Zに垂直な水平方向の流路を形成する。
図18に示すように、平面視において、連通流路292は矩形状であり、ノズルNzは円形状である。平面視において、連通流路292は、接続されたノズルNzよりも大きい領域に形成されている。つまり、平面視において、連通流路292の輪郭の内側にノズルNzが配置されている。また、図20に示すように、ノズルNzと連通流路292との接続部分には段差が形成されている。
連通流路292の深さ寸法Dpbは、ノズルNzの深さ寸法Dpa以上であることが好ましい。連通流路292の深さ寸法Dpbが小さくなると、連通流路292の流路断面積、つまり水平方向の流れを形成する流路の断面積が小さくなり、連通流路292のイナ-タンスが大きくなる。連通流路292のイナ-タンスが大きくなることで、連通流路292の液体が円滑に流通できない可能性が生じ得る。よって、深さ寸法Dpbを深さ寸法Dpa以上とすることで、連通流路292のイナ-タンスが大きくなることを抑制できる。これにより、ノズルNzからの吐出効率が低下することを抑制できる。
また、深さ寸法Dpbは、深さ寸法Dpaの2倍以下であることが好ましい。こうすることで、連通流路292を、エッチングなどによって形成する際の製造時間が長くなることを抑制できる。またこうすることで、連通流路292の深さ寸法Dpbの製造バラツキの程度を小さくできるので、各ノズルNzからの液体の吐出量にバラツキが生じる可能性を低減できる。
本実施形態において、ノズルNzの深さ寸法Dpaは、25μm以上40μm以下であり、連通流路292の深さ寸法Dpbは、30μm以上70μm以下である。
図19に示すように、第2貫通孔流路1640は、第2流路プレート15b1を平面視方向である第3軸方向Zに貫通する。第2流路プレート15bは、複数の第2貫通孔流路1640を有する。複数の第2貫通孔流路1640は、各圧力チャンバー221に対応して設けられている。第2貫通孔流路162は、平面視において矩形状である。平面視において、各第2貫通孔流路162は、対応する第1貫通孔流路162と重なるように配置される。隣り合う第2貫通孔流路1640のうち、第1流路162aを介して第1圧力チャンバー221aと連通する流路を第1形成流路164aとし、第2流路162bを介して第2圧力チャンバー221bと連通する流路を第2形成流路164bとする。
図20に示すように、ノズルNzから液体が吐出される場合には、第1圧力チャンバー221a上の駆動素子1100の駆動部220aと、第2圧力チャンバー221b上の駆動素子1100の駆動部220bとに駆動パルスが供給される。これにより矢印の向きに示すように、第1圧力チャンバー221aの液体は第1流路162aに押し出され、第1形成流路164a、連通流路292の順に流れる。また第2圧力チャンバー221bの液体は、矢印の向きに示すように、第2流路162bに押し出され、第2形成流路164b、連通流路292の順に流れる。連通流路292において、第1形成流路164aと第2形成流路164bの液体が合流して、ノズルNzから吐出される。
図20に示すように、チャンバープレート13は、ノズルプレート20bの第2面側に配置される。また、第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bは、一の連通流路292を通じて一のノズルNzと連通する。こうすることで、ノズルプレート20bによって第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとを一のノズルNzに連通させることができるので、その他の部材、例えば、流路形成基板10などを他の種類の液体吐出ヘッドと共通に用いることができる。他の種類の液体吐出ヘッドとは、例えば、一のノズルNzに対して一の圧力チャンバーが連通している液体吐出ヘッドである。
図21に示すように、連通流路292は、平面視で、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bと少なくとも一部が重なるように形成されている。つまり、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bの真下には、連通流路292の一部が位置する。こうすることで、第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bと、連通流路292と、を接続する流路、本実施形態では流路プレート150bに形成された流路を水平方向に延ばす必要がない。よって、液体吐出ヘッド26bが水平方向に大型化することを抑制できる。
また、第1実施形態と同様に、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとは、平面視で第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成され、連通流路292は平面視で第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成されることが好ましい。こうすることで、第1圧力チャンバー221aから連通流路292へと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバー221bから連通流路292へと伝達される圧力波との大きさの偏りを抑制できる。これにより、第1圧力チャンバー221aから連通流路292に流入する液体の量と、第2圧力チャンバー221bから連通流路292に流入する液体の量に偏りが生じることを抑制できる。
また、第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bと連通する一のノズルNzは、平面視で、第1仮想線Ln1と重なるように配置されていることが好ましい。こうすることで、第1圧力チャンバー221aからノズルNzへと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバー221bからノズルNzへと伝達される圧力波との大きさの偏りをさらに抑制できる。これにより、第1圧力チャンバー221aからノズルNzに流入する液体の量と、第2圧力チャンバー221bからノズルNzに流入する液体の量に偏りが生じることをさらに抑制できる。本実施形態では、平面視でノズルNzの中心Ceは第1仮想線Lnと重なる。
なお、第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bから、一のノズルNzに向かう流路は、平面視において第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成されることが好ましい。これにより、第1圧力チャンバー221aから連通流路292に流入する液体の量と、第2圧力チャンバー221bから連通流路292に流入する液体の量に偏りが生じることをより一層抑制できる。
また図19に示すように、中間プレートとしての流路プレート150bは、平面視方向に貫通する第1貫通孔としての第1流路162aおよび第1形成流路164aと、平面視方向に貫通する第2貫通穴としての第2流路162bおよび第2形成流路164bとを有する。流路プレート150bは、ノズルプレート20bとチャンバープレート13との間に配置されている。また図20に示すように、第1圧力チャンバー221aは、第1貫通孔としての第1流路162aおよび第1形成流路164aを介して連通流路292と連通する。また第2圧力チャンバー221bは、第2貫通孔としての第2流路162bおよび第2形成流路164bを介して連通流路292と連通する。これにより、中間プレートとしての流路プレート150bを介して第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bを連通流路292に連通させることができる。よって、各圧力チャンバーに対応して各ノズルが設けられた液体吐出ヘッドに用いることができる中間プレート150bを用いて液体吐出ヘッド26bを製造できる。
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態や第2実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。例えば、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bが一のノズルNzと連通することで、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
D.第4実施形態:
図22は、第4実施形態の流路プレート150cの一部を示す分解斜視図である。図23は、液体吐出ヘッド26cの液体の流れを説明するための模式図である。図22には、一のノズルNzと連通する流路プレート150cの構成を図示している。上記各実施形態では、一のノズルNzに連通する圧力チャンバー221の数は2つであったが、これに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。第4実施形態の液体吐出ヘッド26cは、4つの圧力チャンバー221A,221B,221C,221Dが一のノズルNzに連通する例である。液体吐出ヘッド26cと図6に示す液体吐出ヘッド26との違いは流路プレート150cの構成である。液体吐出ヘッド26cのその他の構成については第1実施形態の液体吐出ヘッド26と同様であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。なお、第4実施形態のノズルプレート20のノズル列を構成するノズルNzの数は、第1実施形態のノズルプレート20のノズル列を構成するノズルNzの数の半分である。
図22に示すように、第1流路プレート15a3は、一のノズルNzに連通する2つの第1プレート貫通孔194aと、2つの第1個別流路192との組を複数有する。図22では1組のみが図示されている。2つの個別流路192は、第1リザーバ42aに接続されている。2つの第1プレート貫通孔194aは、第2流路プレート15b3に形成された、対応する2つの第2プレート貫通孔194bと接続される。これにより、第2リザーバ42bと、第1軸方向Xに並んで配置された2つの第2個別流路194とは連通する。一の連通流路16cは、第1軸方向に並んで配置された4つの圧力チャンバー221A、221B、221C、221Dと共通して連通する。つまり、平面視において、一の連通流路16cの開口163は、第1軸方向に沿って4つの4つの圧力チャンバー221A、221B、221C、221Dに亘って位置する。連通流路16は、第1流路プレート15aに形成された第1貫通孔流路162cと、第2流路プレート15bに形成された第2貫通孔流路164cとによって形成されている。
図23に示すように、第1リザーバ42aの液体は、圧力チャンバー221A、221Bに供給され連通流路16cで合流する。第2リザーバ42bの液体は、圧力チャンバー221C、221Dに供給され連通流路16cで合流する。4つの圧力チャンバー221A、221B、221C、221Dの液体は、連通流路16cを介してノズルNzから吐出される。
なお、本実施形態において、一のノズルNzと連通する4つの圧力チャンバー221A、221B、221C、221Dのそれぞれに対応して設けられた4つのセグメント電極240と、端子123とを接続する第2リード電極276とは、共通化してもよい。すなわち4つのセグメント電極240と電気的に接続されたリード線が途中で合流して1本のリード線となっていてもよい。こうすることで、4つの圧力チャンバー221A、221B、221C、221Dのそれぞれに対応して設けられた4つの駆動部220の駆動タイミングのずれを抑制できるので、ノズルNzの吐出効率の低下を抑制できる。
上記第4実施形態によれば、上記第1実施形態~第3実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。例えば、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bが一のノズルNzと連通することで、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
E.第5実施形態:
図24は、第5実施形態の液体吐出ヘッド26dの分解斜視図である。図25は吐出ヘッド26dの記録媒体と対向する側を表す平面図である。図26は、図25の26-26断面図である。図27は、流路形成基板10dと流路プレート15dとを第3軸方向Zのマイナス側から平面視した場合の模式図である。図4に示す第1実施形態の液体吐出ヘッド26と、第5実施形態の液体吐出ヘッド26dとの主な違いは、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとが共通する1つのリザーバ42dと連通している点と、流路形成基板10dおよびケース部材40dの構成である。第5実施形態の液体吐出ヘッド26dと第1実施形態の液体吐出ヘッド26とで同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
図24に示すように、ケース部材40dは、第1軸方向Xに延びる1つのノズル列に対して1つの導入孔44を有する。本実施形態では、ノズル列は2列であるので、導入孔44は2つ設けられている。また図26に示すように、ケース部材40dは、導入孔24に接続された共通液室440dを有する。共通液室440dは、第3軸方向Zに沿って延びる。
チャンバープレート13dは、一枚の板状部材である。図26に示すようにチャンバープレート13dは、上記第1実施形態と同様の材料で形成できる。本実施形態では、チャンバープレート13dは、シリコン単結晶基板によって形成されている。チャンバープレート13dには、一方面側から異方性エッチングすることにより形成された複数の圧力チャンバー221が設けられている。圧力チャンバー221は、直方体状の空間である。圧力チャンバー221は、第1軸方向Xに沿って並んで配置されている。圧力チャンバー221が第1軸方向Xに沿って並ぶチャンバー列は、ノズル列に対応して2列形成されている。第1軸方向Xに沿って並んだ複数の圧力チャンバーのうち隣り合う2つの圧力チャンバー221は、第1実施形態と同様、一のノズルNzに共通して連通する第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとを含む。図26は、第1圧力チャンバー221aを通る液体吐出ヘッド26dの断面を示している。
図24に示すように、流路プレート15dは、ノズルプレート20と向かい合うプレート第1面157と、流路形成基板10と向かい合う第2面としてのプレート第2面158とを有する。流路プレート15dは、平面視で矩形状であり、流路形成基板10よりも大きな面積を有する。プレート第2面158は、流路形成基板10の第1面225に接合されている。流路プレート15dの基材は、ステンレス鋼やニッケルなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックスなどを用いることができる。なお、上記第1実施形態と同様に、流路プレート15dは、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料で形成されていることが好ましい。
流路プレート15dは、1つのノズル列ごとに、リザーバ42dと、各圧力チャンバー221に対応して設けられた複数の個別流路19dと、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bの組ごとに対応して設けられた連通流路16dと、を備える。
図26に示すように、リザーバ42dは、第1マニホールド部423と第2マニホールド部425とによって構成されている。リザーバ42dは、第1軸方向Xにおいて、第1軸方向Xに沿って配置された複数の圧力チャンバー221が位置する範囲に亘って延びる。第1マニホールド部423は、流路プレート15dを厚み方向である平面視方向に貫通する開口である。第2マニホールド部425は、第1マニホールド部423から流路プレート15dの面内方向における内側に延びる開口である。リザーバ42dのノズルNz側の開口は可撓部材46によって封止されている。
個別流路19dは、圧力チャンバー221ごとに設けられている。個別流路19dは、流路プレート15dを平面視方向である第3軸方向Zに貫通する貫通孔である。個別流路19dは、平面視において矩形状である。個別流路19dにおいて、上流端は第2マニホールド部425に接続され、下流端は圧力チャンバー221に接続されている。
連通流路16dは、流路プレート15dを第3軸方向Zに貫通する貫通孔である。連通流路16dは、一のノズルNzに共通して連通する第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bと連通する。連通流路16dは、平面視において矩形状である。つ図27に示すように、連通流路16dの開口163dは、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bに亘って形成されている。
上記第1実施形態と同様に、隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとは、平面視で第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成され、連通流路16dは平面視で第1仮想線Ln1に実質的に線対称に形成されることが好ましい。また上記第1実施形態と同様に、隣り合う第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバー221bと連通するノズルNzは、平面視で第1仮想線Ln1と重なるように配置されることが好ましい。
上記第5実施形態によれば、上記第1実施形態~第4実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。例えば、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bが一のノズルNzと連通することで、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
F.第6実施形態:
第1実施形態~第5実施形態の液体吐出ヘッド26~26dでは、図7および図8に示すように、第1接続流路198は第2接続流路199よりも短いように構成されている。つまり、第1接続流路198のイナ-タンスITF1は、第2接続流路199のイナ-タンスITF2よりも小さい関係を有する。この関係を有する液体吐出ヘッド26~26dにおける好ましい形態を第6実施形態として説明する。以下では、ノズルプレート20bに連通流路292が形成された第3実施形態の好ましい形態の液体吐出ヘッド26baを例に好ましい形態である第6実施形態を説明する。
図28は、図21に相当する図である。図29は、図20に相当する図である。液体吐出ヘッド26baと第3実施形態の液体吐出ヘッド26bとの違いはノズルNzの形成位置である。液体吐出ヘッド26baのその他の構成については液体吐出ヘッド26bの構成と同様であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。図28に示すように、平面視においてノズルNzは、第2圧力チャンバー221bよりも第1圧力チャンバー221aに近い側に形成されている。これにより、図29に示すように、一のノズルNzから第1圧力チャンバー221aまでの流路長さである第1流路長は、一のノズルNzから第2圧力チャンバー221bまでの流路長さである第2流路長よりも短い。よって、一のノズルNzから第1圧力チャンバー221aまでの第1イナ-タンスITN1は、一のノズルNzから第2圧力チャンバーまでの第2イナ-タンスITN2よりも小さい。圧力チャンバー221a,221bから見て接続流路198,199側のイナータンスITFやノズルNz側のイナータンスITNは、圧力チャンバー221a,221bからノズルNzへのインクの吐出効率に影響する。例えば、接続流路198,199側のイナータンスITFが相対的に大きくなれば加圧された圧力チャンバー221a,221bからノズルNzへと向かう流れの効率、すなわち吐出効率は相対的に大きくなる。一方で、ノズルNz側のイナータンスITNが相対的に大きくなれば加圧された圧力チャンバー221a,221bからの吐出効率は相対的に小さくなる。したがって、第1接続流路198と第2接続流路199との間でのイナータンスの違いは、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間でのノズルNzからの吐出効率のアンバランスの原因となり得る。例えば、接続流路198,199側のイナータンスについてITF1<ITF2となる場合において、ノズルNz側のイナータンスについてITN1=ITN2の関係であると、第2圧力チャンバー221bからの吐出効率が第1圧力チャンバー221aからの吐出効率よりも大きくなる。これにより、圧力チャンバー221a,221b間の吐出効率のアンバランスが生じることになる。このようなアンバランスを補償又は低減するためには、ノズルNz側のイナータンスについてITN1<ITN2の関係とするのが好適である。
上記第6実施形態において、第1流路長を第2流路長よりも短くすることで、第1イナ-タンスITN1を第2イナ-タンスITN2よりも小さくしていた。しかしながら、第1イナ-タンスINT1が第2イナ-タンスITN2よりも小さくなれば、他の構成を採用してもよい。例えば、一のノズルNzから第2圧力チャンバー221bまでの流路のうち、少なくとも一部の流路の流路断面積を、一のノズルNzから第1圧力チャンバー221aまでの流路の断面積よりも小さくすることで、第1イナ-タンスINT1を第2イナ-タンスITN2よりも小さくしてもよい。
G.第7実施形態:
第1実施形態~第5実施形態の液体吐出ヘッド26~26dでは、図7および図8に示すように、第1接続流路198は第2接続流路199よりも短いように構成されている。よって、第1接続流路198と第2接続流路199との流路形状が同じである場合には、第1接続流路198のイナ-タンスITF1は、第2接続流路199のイナ-タンスITF2よりも小さい関係となる。第1接続流路198のイナ-タンスITF1は、第2接続流路199のイナ-タンスITF2よりも小さい関係となった場合には、第1接続流路198と第2接続流路199とにおいて液体の流れやすさに不均衡が生じ得る。以下では、第1接続流路198が第2接続流路199よりも短い場合における好ましい形態を第7実施形態として説明する。以下では、ノズルプレート20bに連通流路292が形成された第3実施形態の好ましい形態の液体吐出ヘッド26bbを例に好ましい形態である第7実施形態を説明する。
図30は、図21に相当する図である。第7実施形態の液体吐出ヘッド26bbと、第3実施形態の液体吐出ヘッド26bとの違いは、第2接続流路199を構成する第2供給流路224bの下流端223bと、第1接続流路198を構成する第1供給流路224aの下流端223aとの流路断面積の関係である。液体吐出ヘッド26bbのその他の構成については液体吐出ヘッド26bの構成と同様であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。下流端223aの流路幅Waは、下流端223bの流路幅Wbよりも狭い。これにより、下流端223aの流路断面積は、下流端223bの流路断面積よりも小さい。これにより、第2接続流路199の流路長が第1接続流路198の流路長よりも長い場合でもあっても、第2接続流路199のイナ-タンスと第1接続流路198のイナ-タンスとが大きく乖離することを抑制できる。
上記第7実施形態において、第1接続流路198のイナ-タンスと第2接続流路199のイナ-タンスが同程度となるように、流路幅Wa,Wbを設定することが好ましい。また、下流端223a,223bの流路幅Wa,Wbに代えて、第1接続流路198の他の部分の流路断面積を第2接続流路199の流路断面積を小さくしてよい。つまり、第1接続流路198の少なくとも一部分は、第2接続流路199の流路断面積よりも小さくなるように液体吐出ヘッド26bbは構成されてもよい。こうすることで、第2接続流路199のイナ-タンスと第1接続流路198のイナ-タンスとが大きく乖離することを抑制できる。
H.第8実施形態:
上記第1実施形態から第7実施形態の液体吐出装置100は、図10~図12に示すように、一のノズルNzに連通する第1圧力チャンバー221aに対応する第1セグメント電極240aと、一のノズルNzに連通する第2圧力チャンバー221bに対応する第2セグメント電極240bとは、共通の第2リード電極276によって端子123に電気的に接続されていた。しかしながら、第1セグメント電極240aと、第2セグメント電極240bとは、別々の第2リード電極276によって、各端子123に電気的に接続されていてもよい。つまり、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとには、互いに独立した駆動パルスが供給されてもよい。つまり、第1圧力チャンバー221aの液圧を可変させる第1駆動素子としての第1駆動部220aと、第2圧力チャンバー221bの液圧を可変させる第2駆動素子としての第2駆動部220bとは、互いに独立して駆動可能に構成されてもよい。こうすることで、液体吐出ヘッド26~26bbの液体の吐出制御の自由度が向上する。
例えば、図9に示す第1実施形態の液体吐出ヘッド26では、連通流路16の開口163と、第1圧力チャンバー221aおよび第2圧力チャンバーのそれぞれの開口とが接しているため、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間でクロストークが生じやすい。クロストークとは、一の圧力チャンバー221内で発生した圧力変動が、他の圧力チャンバー221に伝播する現象である。よって、液体吐出装置100は、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとの間で生じるクロストークを抑制するように、第1駆動部220aと第2駆動部220bとを独立して駆動させることが好ましい。以下にこの具体例について説明する。
図31は、第8実施形態の具体例である液体吐出装置100gが備える液体吐出ヘッド26gの機能的な構成図である。図32は、第1駆動パルスCOM1と第2駆動パルスCOM2について説明するための図である。第8実施形態の液体吐出装置100gと、第1実施形態から第7実施形態の液体吐出装置100との違いは、第2リード電極276が第1駆動部220aと第2駆動部220bとにそれぞれ対応して別々に設けられている点と、制御ユニット620gが2つの駆動パルスCOM1,COM2を生成できる点である。
図32に示すように、第1駆動パルスCOM1と第2駆動パルスCOM2とは、異なる駆動パルスである。「異なる駆動パルス」とは、少なくとも駆動パルスを構成する収縮成分または膨張成分の傾きや、印加するタイミングや印加を終了する終了タイミングが異なることをいう。また、収縮や膨張は、圧力チャンバー221の状態変化のことである。つまり、収縮とは、圧力チャンバー221を形成する壁を内方に変形させることで、圧力チャンバー221の体積を減少させて圧力チャンバー221を加圧することである。また膨張とは、圧力チャンバー221を形成する壁を外方に変形させることで、圧力チャンバー221の体積を膨張させて圧力チャンバー221を減圧することである。
図32に示すように、第1駆動パルスCOM1は、膨張成分Ea1と、収縮成分Ea2とを有する。膨張成分Ea1が駆動部220に印加されることで、圧力チャンバー221は加圧される。一方で、収縮成分Ea2が駆動部220に印加されることで、圧力チャンバー221は減圧される。また、第2駆動パルスCOM2は、膨張成分Eb1と、収縮成分Eb2とを有する。
図31に示すように、ノズル駆動回路28gは、各駆動部220に対応したスイッチ回路281Aa~Dbを有する。各スイッチ回路281Aa~281Dbには、制御ユニット620gから第1駆動パルスCOM1と第2駆動パルスCOM2とパルス選択信号SIとが供給される。パルス選択信号SIは、第1駆動パルスCOM1と第2駆動パルスCOM2のいずれを駆動部220に印加するかを選択するための信号である。例えば、パルス選択信号SIが第1駆動パルスCOM1を選択するための信号である場合には、スイッチ回路281は、第1駆動パルスCOM1を駆動部220に印加するように回路の動作を制御する。
ノズル駆動回路28gは、第1駆動部220aに第1駆動パルスCOM1を印加し、第2駆動部220bに第2駆動パルスCOM2を印加してもよい。この場合、図32に示すように、ノズル駆動回路28gは、第1圧力チャンバー221aに対応する第1駆動部220aと第2圧力チャンバー221bに対応する第2駆動部220bに対して、加圧成分による振動板210の固有振動が、同位相となるように収縮成分の開始タイミングを同調させることが好ましい。
ここで、駆動パルスCOM1,COM2の各成分や印加タイミングをどうするかは製品仕様や使用する液体吐出ヘッド26の特性に応じて適宜決めればよい事項である。例えば図32に示すように全く異なる形状の駆動パルスCOM1,COM2を用いて、液滴量の多様な階調変化に応用してもよい。また図9に示すような液体吐出ヘッド26の場合、第2領域R2の隔壁222は拘束を受けていないため、隣接する圧力チャンバー221からのクロストーク振動の影響が大きくなりやすいという特徴がある。このような場合は、クロストーク振動との同調条件を利用した駆動パルスCOM1,COM2の設計を行うことで極めて大きな吐出効率を得ることができる場合がある。また、第1実施形態として説明したように、隣接する圧力チャンバー221が全く同じ駆動パルス、印加タイミングで駆動されるような仕様としてもよい。
I.第9実施形態:
図33は、第9実施形態の液体吐出ヘッド26hの分解斜視図である。図34は、一のノズルNzが通るYZ平面で液体吐出ヘッド26hを切断したときの断面図である。図24に示す第5実施形態の液体吐出ヘッド26dと、液体吐出ヘッド26hとの違いは以下の通りである。つまり、図34に示すように、液体吐出ヘッド26hが、第1軸方向Xと交差、本実施形態では直交する第2軸方向Yに並んだ第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとが一の連通流路292hを通じて一のノズルNzと連通している点と、連通流路292hがノズルプレート20hに形成されている点で、液体吐出ヘッド26hと液体吐出ヘッド26dとは異なる。第9実施形態において、第5実施形態と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
図34に示すように、ケース部材40dの第2軸方向Yに間隔を開けて並んだ2つの導入孔44のうち、一方は、第1共通液室440daと第1リザーバ42daと第1個別流路19daを介して第1圧力チャンバー221aに接続された第1導入孔44haとして機能する。また2つの導入孔44のうち、他方は、第2共通液室440dbと第2リザーバ42dbと第2個別流路19dbとを介して第2圧力チャンバー221bに接続された第2導入孔44hbとして機能する。
ヘッド本体11hの流路プレート15hには、各圧力チャンバー221と、対応する連通流路292hとを接続する中間接続流路16hが形成されている。中間接続流路16hは、流路プレート15hを平面視方向に貫通する孔である。一のノズルNzに連通する第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bの液体は、対応する中間接続流路16hを通って連通流路292hで合流する。
図33に示すように、連通流路292hは、第2面22に形成されている。連通流路292hは、第2面22から第1面21側に向かって延びる開口である。連通流路292hは、第2軸方向Yに沿って延びる。第2軸方向Yにおいて、ノズルNzは、連通流路292hの中央部分に形成されている。ノズルプレート20hは、複数のノズルNzを有する。複数のノズルNzは、第1軸方向Xに沿って並んだ1列のノズル列LNzを形成する。本実施形態におけるノズルピッチPNは、第1実施形態~第8実施形態の液体吐出ヘッド26~26gのピッチの半分であり、300dpiとなるピッチである。平面視において、連通流路292hは矩形状であり、ノズルNzは円形状である。
また、本実施形態の液体吐出ヘッド26hは、採用可能な範囲において、上記第1実施形態から第8実施形態の液体吐出ヘッド26~26gの開示内容を採用してもよい。例えば、平面視において、連通流路292hは、接続されたノズルNzよりも大きい領域に形成されていてもよい。つまり、平面視において、連通流路292hの輪郭の内側にノズルNzが配置されている。また、連通流路292hの深さ寸法Dpbは、ノズルNzの深さ寸法Dpa以上であってもよい。また、深さ寸法Dpbは、深さ寸法Dpaの2倍以下であってもよい。本実施形態において、ノズルNzの深さ寸法Dpaは、25μm以上40μm以下であり、連通流路292の深さ寸法Dpbは、30μm以上70μm以下である。
上記第9実施形態によれば、2つのチャンバー列のうち、一方の第1圧力チャンバー221aと、他方の第2圧力チャンバー221bとが連通流路292hを通じて一のノズルNzと連通する。こうすることで、上記第1実施形態と同様に、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。また、第9実施形態によれば、上記第1実施形態~第9実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。
J.第10実施形態:
図35は、第10実施形態の液体吐出ヘッド26iの分解斜視図である。図36は、一のノズルNzが通るYZ平面で液体吐出ヘッド26iを切断したときの断面図である。図33に示す第9実施形態の液体吐出ヘッド26hと、液体吐出ヘッド26iとの違いは以下の通りである。つまり、図35に示すように、液体吐出ヘッド26iの連通流路16iは、流路プレート15iに形成されている点と、ノズルプレート20iには連通流路292hが形成されていない点である。第10実施形態のその他の構成については、第9実施形態と同様の構成であるので、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
図36に示すように、ヘッド本体11iの連通流路16iは、一のノズルNzに連通する第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとに接続されている。本実施形態では、平面視で、連通流路16iの一部は、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bと重なるように形成されている。ノズルプレート20iは一列のノズル列LNzを形成する。また、本実施形態の液体吐出ヘッド26iは、採用可能な範囲において、上記第1実施形態から第9実施形態の液体吐出ヘッド26~26hで用いた構成を採用してもよい。例えば、第2軸方向Yに隣り合う第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとは、平面視で第1仮想線に実質的に線対称に形成され、連通流路16iは平面視で第1仮想線に実質的に線対称に形成されることが好ましい。本実施形態における第1仮想線は、平面視でノズル列LNzを表す線と同じである。
上記第10実施形態によれば、2つのチャンバー列のうち、一方の第1圧力チャンバー221aと、他方の第2圧力チャンバー221bとが連通流路292hを通じて一のノズルNzと連通する。こうすることで、上記第1実施形態と同様に、個々の圧力チャンバー221の体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。また、第9実施形態によれば、上記第1実施形態~第10実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。
K.第11実施形態:
図37は、第9実施形態および第10実施形態の液体吐出ヘッド26h,26iの好ましい形態を説明するための図である。第9実施形態および第10実施形態の液体吐出ヘッド26h,26iの電気配線の一例を示す図である。駆動素子1100jは、液体吐出ヘッド26h,26iに用いることができる。駆動素子1100jは、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとを有する。
第1セグメント電極240aは、平面視で、第1圧力チャンバー221aと重なり第2圧力チャンバー221bとは重ならないように形成されている。また第2セグメント電極240bは、平面視で、第2圧力チャンバー221bと重なり第1圧力チャンバー221aとは重ならないように形成されている。本実施形態において、第1セグメント電極240aおよび第2セグメント電極240bは、第2軸方向Yに間隔を開けて配置されている。また、第1セグメント電極240aおよび第2セグメント電極240bは、図12に示す第1実施形態と同様に、下地層を形成する。第2リード電極276は、第2軸方向Yに沿って延びる。第2リード電極276の一端部は、開口部257において第1セグメント電極240aに接続されている。第2リード電極276の他端部は、開口部257において第2セグメント電極240bに接続されている。以上のように、一のノズルNzに対応して設けられた第1セグメント電極240aおよび第2セグメント電極240bは、共通する一の第2リード電極276に接続されている。
第1軸方向Xに並んだ複数の第2リード電極276はそれぞれ、対応する端子123に電気的に接続されることで、選択された駆動パルスCOMが第1セグメント電極240aおよび第2セグメント電極240bに印加される。
本実施形態において、採用可能な範囲において、上記第1実施形態から第10実施形態の開示内容を採用してもよい。例えば、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとは、平面視で、第1仮想線Ln1Jに実質的に線対称に形成されていてもよい。第1仮想線Ln1Jは、第1軸方向Xに平行な線である。
上記第11実施形態によれば、第1実施形態~第10実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。例えば、ノズル駆動回路28により近い位置である第2リード電極276によって、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bへの電気信号の配線を共通化できる。これにより、駆動素子1100jにおいて、ノズル駆動回路28から第1セグメント電極240aまでの配線インピーダンスと、ノズル駆動回路28から第2セグメント電極240bまでの配線インピーダンスとのバラツキを低減できる。
L.第12実施形態:
上記第1実施形態~第11実施形態では、例えば図10に示すように、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとは、共通する一の第2リード電極276に接続されていた。しかしながら、一のノズルNzに対応して設けられた第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bとに共通する駆動パルスCOMを供給する電気配線の接続態様についてはこれに限定されるものでない。以下に第2リード電極276を共通して用いることに代えて用いることができる電気配線の接続態様の例を説明する。
図38は、第12実施形態を説明するための図である。図38は、第1実施形態の図10に相当する図であり、第1実施形態の駆動素子1100と異なる点は、組を形成する第2リード電極276kaと第2リード電極276kbとが一の端子123kに電気的に接続されている点である。その他の構成については第1実施形態と同様であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
第2リード電極である第1個別リード電極276kaは、開口部257において、第1圧力チャンバー221aに対応した第1セグメント電極240aに接続されている。第1個別リード電極276kaは、第1駆動部220aの第1セグメント電極240aから引き出されている。第2リード電極である第2個別リード電極276kbは、開口部257において、第2圧力チャンバー221bに対応した第2セグメント電極240bに接続されている。第2個別リード電極276kbは、第2駆動部220bの第2セグメント電極240bから引き出されている。一組の第1個別リード電極276kaと第2個別リード電極276kbとは、第2軸方向Yに沿って平行に延びている。一組の第1個別リード電極276kaと第2個別リード電極276kbとは、一の端子123kに共通して接続されている。本実施形態では、回路基板29の一の端子123kは、平面視で第1個別リード電極276kaと第2個別リード電極276kbとに重なって接続されている。
一の端子123kの第1軸方向Xの最大幅W123は、ノズル列のノズルピッチPNの50%以上80%以下であることが好ましい。こうすることで、一の端子123k内を流れる電流のバラツキを低減できる。またこうすることで、隣り合う2つの端子123k間の間隔を十分に確保し易くなるので、短絡の発生を抑制できる。
上記のごとく、ノズル駆動回路28により近い位置である端子123kによって、第1セグメント電極240aと第2セグメント電極240bへの電気信号の配線を共通化できる。これにより、駆動素子1100kにおいて、ノズル駆動回路28から第1セグメント電極240aまでの配線インピーダンスと、ノズル駆動回路28から第2セグメント電極240bまでの配線インピーダンスとのバラツキを低減できる。よって、第1圧力チャンバー221aと第2圧力チャンバー221bとから、より均等に液体をノズルに供給できるので、ノズルNzの吐出特性がばらつく可能性を低減できる。
上記第12実施形態は、第1実施形態の駆動素子1100の他の形態として説明したが、図37に示す駆動素子1100jの他の形態としても適用できる。以下の図39を用いて、駆動素子1100jの他の形態を説明する。図39は、第12実施形態の別の態様を説明するための図である。図39は、図37に相当する図である。駆動素子1100kaにおいて、第2リード電極276は、第1セグメント電極240aに接続された第1個別リード電極276kaaと、第2セグメント電極240bに接続され、第1個別リード電極276kaaとは間隔を開けて形成された第2個別リード電極276kbaとを含んでもよい。第1個別リード電極276kaaと第2個別リード電極276kbaとは、共通する一の端子123kaによって接続される。また、駆動素子1100kと同様に、一の端子123kaの第1軸方向Xの最大幅Wは、ノズル列のノズルピッチPNの50%以上80%以下であることが好ましい。
M.第13実施形態:
上記各実施形態において、第1リザーバ42a,42daおよび第2リザーバ42b,42dbは、液体供給源である液体容器14から連通流路16,16c,16d,16i,292,292hへと液体を供給する供給リザーバであったが、これに限定されるものではない。図40は、第13実施形態の液体吐出装置100jを説明するための図である。上記の液体吐出装置100,100gとの違いは、液体容器14から液体吐出ヘッド26へと液体を供給する供給流路811に加え、液体吐出ヘッド26から液体容器14へと液体を回収するための回収流路812を有する点である。供給流路811は、第1リザーバ42a,42daに連通する図4などに示す第1導入孔44a,44haに接続される。回収流路812は、第2リザーバ42b,42dbに連通する図4などに示す第2導入孔44b,44hbに接続される。つまり、第1リザーバ42a,42daは、連通流路16,16c,16d,16i,292,292hへと液体を供給する供給リザーバとして機能する。また第2リザーバ42b,42dbは、連通流路16,16c,16d,16i,292,292hから液体を回収する回収リザーバとして機能する。流動機構615は、制御ユニット620によって制御されることで、液体を液体吐出ヘッド26内を通過させて移動させる。本実施形態では、流動機構615は、供給流路811と回収流路812とを介して液体容器14と液体吐出ヘッド26との間で液体を循環させる。以上のように、例えば、供給流路811や回収流路812や流動機構615が、第1リザーバ42aに液体を供給すると共に第2リザーバ42bから液体を回収する機構に相当する。
N.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、本開示は以下の形態として実施できる。
形態:液体吐出ヘッドであって、液体を吐出するノズルが形成された第1面と、前記ノズルと連通する連通流路が形成された、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するノズルプレートと、前記ノズルと連通する複数の圧力チャンバーが形成されたチャンバープレートと、を備え、前記チャンバープレートは、前記ノズルプレートの前記第2面側に配置され、前記複数の圧力チャンバーのうちの第1圧力チャンバーおよび第2圧力チャンバーは、一の前記連通流路を通じて前記ノズルと連通し、前記ノズルプレートは、単一部材である、液体吐出ヘッド。この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーがノズルと連通することで、圧力チャンバーの体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
(1-1)本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルが形成された第1面と、前記ノズルと連通する連通流路が形成された、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するノズルプレートと、前記ノズルと連通する複数の圧力チャンバーが形成されたチャンバープレートと、を備え、前記チャンバープレートは、前記ノズルプレートの前記第2面側に配置され、前記複数の圧力チャンバーのうちの第1圧力チャンバーおよび第2圧力チャンバーは、一の前記連通流路を通じて前記ノズルと連通する。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーがノズルと連通することで、圧力チャンバーの体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
(1-2)上記形態であって、前記連通流路は、平面視で前記ノズルよりも大きい領域に形成されていてもよい。
この形態によれば、平面視で連通流路をノズルよりも大きい領域に形成できる。
(1-3)上記形態であって、前記連通流路は、平面視で、前記第1圧力チャンバーおよび前記第2圧力チャンバーは少なくとも一部が重なるように形成されていてもよい。
この形態によれば、液体吐出ヘッドが水平方向に大型化することを抑制できる。
(1-4)上記形態であって、前記連通流路の深さ寸法は、前記ノズルの深さ寸法以上であってもよい。
この形態によれば、連通流路の深さ寸法をノズルの深さ寸法以上とすることで、連通流路のイナ-タンスが大きくなることを抑制できる。
(1-5)上記形態であって、前記連通流路の深さ寸法は、前記ノズルの深さ寸法の2倍以下であってもよい。
この形態によれば、連通流路を、エッチングなどによって形成する際の製造時間が長くなることを抑制できる。またこの形態によれば、連通流路の深さ寸法の製造バラツキの程度を小さくできるので、各ノズルNzからの液体の吐出量にバラツキが生じる可能性を低減できる。
(1-6)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、平面視で第1仮想線に実質的に線対称に形成され、前記連通流路は、平面視で前記第1仮想線に実質的に線対称に形成されていてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーから連通流路へと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバーから連通流路へと伝達される圧力波との大きさの偏りを抑制できる。これにより、第1圧力チャンバーから連通流路に流入する液体の量と、第2圧力チャンバーから連通流路に流入する液体の量に偏りが生じることを抑制できる。
(1-7)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーおよび前記第2圧力チャンバーと連通する前記ノズルは、平面視で前記第1仮想線と重なるように配置されていてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーからノズルへと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバーからノズルへと伝達される圧力波との大きさの偏りをさらに抑制できる。これにより、第1圧力チャンバーからノズルに流入する液体の量と、第2圧力チャンバーからノズルに流入する液体の量に偏りが生じることをさらに抑制できる。
(1-8)上記形態であって、さらに、前記ノズルプレートと前記チャンバープレートとの間に配置された中間プレートを備え、前記中間プレートは、平面視方向に貫通する第1貫通孔および第2貫通孔を有し、前記第1圧力チャンバーは、前記第1貫通孔を介して前記連通流路と連通し、前記第2圧力チャンバーは、前記第2貫通孔を介して前記連通流路と連通してもよい。
この形態によれば、第1貫通孔と第2貫通孔とを有する中間プレートを介して第1圧力チャンバーおよび第2圧力チャンバーを連通流路に連通させることができる。
(1-9)上記形態であって、さらに、前記複数の圧力チャンバーに共通して連通する第1リザーバおよび第2リザーバを備え、前記第1圧力チャンバーは前記第1リザーバに接続され、前記第2圧力チャンバーは前記第2リザーバに接続されてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを異なるリザーバに接続できる。
(1-10)上記形態であって、前記第1リザーバは、前記連通流路へと前記液体を供給する供給リザーバであり、前記第2リザーバは、前記連通流路から前記液体を回収する回収リザーバであってもよい。
この形態によれば、第1リザーバを連通流路に液体を供給する供給リザーバとして機能させ、第2リザーバを連通流路から液体を回収する回収リザーバとして機能させることができる。
(1-11)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記第1リザーバに前記液体を供給すると共に前記第2リザーバから前記液体を回収する機構と、を備える、液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、第1リザーバに液体を供給すると共に第2リザーバから液体を回収できる。
(1-12)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる機構と、を備える液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、媒体を液体吐出ヘッドに対して相対的に移動できる。
(2-1)本開示の他の一形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、複数の圧力チャンバーが第1面側に並んで設けられたチャンバープレートと、前記チャンバープレートの前記第1面と接合される第2面であって、前記圧力チャンバーを前記ノズルに連通させるための連通流路の開口が形成された第2面を有する、流路プレートと、を備え、前記複数の圧力チャンバーのうち、隣り合う第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとの間の隔壁の第1領域は、前記流路プレートの前記第2面に接合されることで拘束され、前記隔壁の第2領域は、平面視において、一の前記連通流路の前記開口と重なっている。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーがノズルと連通することで、圧力チャンバーの体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。またこの形態によれば、連通流路の開口を隔壁の第2領域と重なるように形成することで、連通流路のイナ-タンスを小さくできる。つまり、連通流路の開口を隔壁の第2領域と重なるように形成することで、連通流路の流路断面積をより大きくできる。これにより、連通流路のイナ-タンスを小さくできるので、圧力チャンバーから連通流路を介してノズルへと液体を円滑に流通させることができる。よって、ノズルからの液体の吐出効率を向上できる。
(2-2)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、第1軸方向に沿って隣り合い、前記隔壁は、前記第1軸方向に直交する第2軸方向に沿って延びており、前記第2領域の前記第2軸方向の長さは、前記第1領域の前記第2軸方向の長さの半分以下であってもよい。
ここで、第2領域の第2軸方向の長さが第1領域の第2軸方向の長さの半分よりも大きくなると、相対的に第1領域が小さくなり、圧力チャンバーのコンプライアンス上昇による吐出効率低下の影響が著しくなる場合がある。この形態によれば、第2領域の第2軸方向の長さを第1領域の第2軸方向の長さの半分以下とすることで、ノズルからの液体の吐出効率をより向上できる。
(2-3)上記形態であって、前記第2領域の前記第2軸方向の長さは、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーのそれぞれの前記第1軸方向の幅以上であってもよい。
この形態によれば、ノズルからの液体の吐出効率をより一層向上できる。
(2-4)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、第1軸方向に沿って隣り合い、前記隔壁は、前記第1軸方向に直交する第2軸方向に沿って延びており、前記第2領域の前記第2軸方向の長さは、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーのそれぞれの前記第1軸方向の幅以上であってもよい。
この形態によれば、連通流路の流路断面積が小さくなることを抑制できるので、連通流路のイナ-タンスが大きくなることをより抑制できる。よって、ノズルから液体を吐出する吐出効率が大きく低下することを抑制できる。
(2-5)上記形態であって、前記流路プレートの基材と、前記チャンバープレートの基材とは、同じであってもよい。
この形態によれば、チャンバープレートと流路プレートとの線膨張係数を同程度にできるので、熱による反りや熱によるクラック、剥離などの発生を抑制することができる。
(2-6)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、平面視で第1仮想線に実質的に線対称に形成され、前記連通流路は、平面視で前記第1仮想線に実質的に線対称に形成されてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーから連通流路へと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバーから連通流路へと伝達される圧力波との大きさの偏りを抑制できる。これにより、第1圧力チャンバーから連通流路に流入する液体の量と、第2圧力チャンバーから連通流路に流入する液体の量に偏りが生じることを抑制できる。
(2-7)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーおよび前記第2圧力チャンバーと連通する前記ノズルは、平面視で前記第1仮想線と重なるように配置されてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーからノズルへと伝達され圧力波と、第2圧力チャンバーからノズルへと伝達される圧力波との大きさの偏りを抑制できる。これにより、第1圧力チャンバーから連通流路を介してノズルに流入する液体の量と、第2圧力チャンバーから連通流路を介してノズルに流入する液体の量に偏りが生じることを抑制できる。
(2-8)上記形態であって、さらに、前記複数の圧力チャンバーに共通して連通する第1リザーバおよび第2リザーバを備え、前記第1圧力チャンバーは前記第1リザーバに接続され、前記第2圧力チャンバーは前記第2リザーバに接続されてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを異なるリザーバに接続できる。
(2-9)上記形態であって、前記第1リザーバは、前記連通流路へと前記液体を供給する供給リザーバであり、前記第2リザーバは、前記連通流路から前記液体を回収する回収リザーバであってもよい。
この形態によれば、第1リザーバを連通流路に液体を供給する供給リザーバとして機能させ、第2リザーバを連通流路から液体を回収する回収リザーバとして機能させることができる。
(2-10)上記形態であって、さらに、前記圧力チャンバーの液圧を可変させる駆動素子を備え、前記第1圧力チャンバーに対応する前記駆動素子である第1駆動素子と、前記第2圧力チャンバーに対応する前記駆動素子である第2駆動素子とは、互いに独立して駆動可能であってもよい。
この形態によれば、第1駆動素子と第2駆動素子とを互いに独立して駆動させることで、第2領域を通じて第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとの間で生じるクロストークの発生を低減できる。
(2-11)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記第1リザーバに前記液体を供給すると共に前記第2リザーバから前記液体を回収する機構と、を備える、液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、第1リザーバに液体を供給すると共に第2リザーバから液体を回収できる。
(2-12)液体吐出装置であって、上記形態の液体吐出ヘッドと、前記第1駆動素子と前記第2駆動素子とを駆動させる駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第1駆動素子に第1駆動パルスを印加し、前記第2駆動素子に前記第1駆動パルスとは異なる第2駆動パルスを印加してもよい。
この形態によれば、第1駆動素子に第1駆動パルスを印加し、第2駆動素子に第2駆動パルスを印加することで、第2領域を通じて第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとの間で生じるクロストークの発生を低減できる。
(2-13)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる機構と、を備える液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、媒体を液体吐出ヘッドに対して相対的に移動できる。
(3-1)本開示の他の一形態によれば液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、前記ノズルと連通する圧力チャンバーが第1軸方向に沿って複数並んで形成された圧力チャンバー列と、前記複数の圧力チャンバーに共通して連通される第1リザーバおよび第2リザーバと、を備え、前記圧力チャンバー列は、前記第1リザーバと連通される第1圧力チャンバーと、前記第2リザーバと連通される第2圧力チャンバーと、を含み、前記液体吐出ヘッドは、さらに、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとを一の前記ノズルに共通して連通させる連通流路を備える。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーがノズルと連通することで、圧力チャンバーの体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。
(3-2)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーおよび前記第2圧力チャンバーと、前記連通流路と、前記一のノズルとの組は、複数備えられ、各前記組に対応する複数の前記一のノズルは、前記第1軸方向に沿って並んで配置されてノズル列を構成してもよい。
この形態によれば、第1軸方向に沿って並んで配置された複数のノズルから液体を吐出できる。
(3-3)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーから前記一の連通流路を通って前記第2圧力チャンバーへと前記液体が流れる場合において、前記各組の各前記連通流路を流れる前記液体の流れの向きは同じであってもよい。
ここで、液体を第1圧力チャンバーから連通流路を通って第2圧力チャンバーへと流した場合、ノズル近傍の流れに起因して、ノズルから吐出される液体の向きがノズル開口方向に対してズレる場合がある。よって、各連通流路の流れの向きを揃えることで、各ノズルから吐出される液体の向きのバラツキの程度を小さくできる。
(3-4)上記形態であって、前記第1リザーバと前記第2リザーバとは、前記液体の吐出方向に平面視した場合に、少なくとも一部が重なるように設けられていてもよい。
この形態によれば、液体吐出ヘッドが水平方向に大型化することを抑制できる。
(3-5)上記形態であって、さらに、前記第1圧力チャンバーと前記第1リザーバとを接続する第1接続流路と、前記第2圧力チャンバーと前記第2リザーバとを接続する第2接続流路と、を備え、前記第1接続流路の流路長さは、前記第2接続流路の流路長さよりも短くてもよい。
この形態によれば、第1接続流路が第2接続流路よりも短い液体吐出ヘッドを提供できる。
(3-6)上記形態であって、前記一のノズルから前記第1圧力チャンバーまでの流路長さは、前記一のノズルから前記第2圧力チャンバーまでの流路長さよりも短くてもよい。
ここで、圧力チャンバーから見て接続流路側のイナータンスやノズル側のイナータンスは、圧力チャンバーからノズルへの液体の吐出効率に影響する。例えば、接続流路側のイナータンスが相対的に大きくなれば加圧された圧力チャンバーからノズルへと向かう流れの効率、すなわち吐出効率は相対的に大きくなる。一方で、ノズル側のイナータンスが相対的に大きくなれば、加圧された圧力チャンバーからの吐出効率は相対的に小さくなる。したがって、第1接続流路と第2接続流路との間でのイナータンスの違いは、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとの間でのノズルからの吐出効率のアンバランスの原因となり得る。このようなアンバランスを補償又は低減するためには、上記形態のごとく、一のノズルから第1圧力チャンバーまでの流路長さを、一のノズルから第2圧力チャンバーまでの流路長さよりも短くすることでイナ-タンスを調整することが好ましい。
(3-7)上記形態であって、前記一のノズルと前記第1圧力チャンバーとの間の第1イナ-タンスは、前記一のノズルと前記第2圧力チャンバーとの間の第2イナ-タンスよりも小さくてもよい。
ここで、圧力チャンバーから見て接続流路側のイナータンスやノズル側のイナータンスは、圧力チャンバーからノズルへの液体の吐出効率に影響する。例えば、接続流路側のイナータンスが相対的に大きくなれば加圧された圧力チャンバーからノズルへと向かう流れの効率、すなわち吐出効率は相対的に大きくなる。一方で、ノズル側のイナータンスが相対的に大きくなれば、加圧された圧力チャンバーからの吐出効率は相対的に小さくなる。したがって、第1接続流路と第2接続流路との間でのイナータンスの違いは、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとの間でのノズルからの吐出効率のアンバランスの原因となり得る。このようなアンバランスを補償又は低減するためには、上記形態のごとく第1イナ-タンスを第2イナータンスよりも小さくすることが好ましい。
(3-8)上記形態であって、前記第1接続流路の少なくとも一部分の流路断面積は、前記第2接続流路の流路断面積よりも小さくてもよい。
この形態によれば、第2接続流路のイナ-タンスと第1接続流路のイナ-タンスとが大きく乖離することを抑制できる。
(3-9)上記形態であって、前記第1リザーバは、前記連通流路へと前記液体を供給する供給リザーバであり、前記第2リザーバは、前記連通流路から前記液体を回収する回収リザーバであってもよい。
この形態によれば、第1リザーバを連通流路に液体を供給する供給リザーバとして機能させ、第2リザーバを連通流路から液体を回収する回収リザーバとして機能させることができる。
(3-10)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記第1リザーバに前記液体を供給すると共に前記第2リザーバから前記液体を回収する機構と、を備える、液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、第1リザーバに液体を供給すると共に第2リザーバから液体を回収できる。
(3-11)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる機構と、を備える液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、媒体を液体吐出ヘッドに対して相対的に移動できる。
(4-1)本開示の他の一形態によれば液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、複数の圧力チャンバーと、各前記圧力チャンバーに対応して設けられた駆動素子と、前記駆動素子に電気信号を供給するための複数のリード電極と、を有するチャンバープレートと、前記リード電極上で接続される端子を有する回路基板と、を備え、前記複数の圧力チャンバーは、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを含み、前記チャンバープレートは、一の前記ノズルに共通して連通する第1圧力チャンバーおよび第2圧力チャンバーと、前記駆動素子を構成する第1セグメント電極および第2セグメント電極であって、平面視で、前記第1圧力チャンバーと重なり前記第2圧力チャンバーとは重ならないように形成された第1セグメント電極と、平面視で前記第2圧力チャンバーと重なり前記第1圧力チャンバーとは重ならないように形成された第2セグメント電極と、を有し、前記第1セグメント電極および前記第2セグメント電極は、共通する一の前記リード電極に接続されている。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーが一のノズルと連通することで、圧力チャンバーの体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。またこの形態によれば、駆動素子により近い位置であるリード電極によって、第1セグメント電極と第2セグメント電極への電気信号の配線を共通化できる。これにより、駆動素子において、回路基板から第1セグメント電極までの配線インピーダンスと、回路基板から第2セグメント電極までの配線インピーダンスのバラツキを低減できる。よって、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとから、より均等に液体をノズルに供給できるので、ノズルの吐出特性がばらつく可能性を低減できる。
(4-2)上記形態であって、前記第1セグメント電極と前記第2セグメント電極とは、共通の電極層の一部として形成されていてもよい。
この形態によれば、共通の電極層を用いて第1セグメント電極と第2セグメント電極とを形成できる。
(4-3)上記形態であって、前記第1セグメント電極と前記第2セグメント電極とは、平面視で第1仮想線に実質的に線対称に形成され、前記一のリード電極は、前記平面視で前記第1仮想線を跨ぐように形成されていてもよい。
この形態によれば、回路基板から第1セグメント電極までの配線インピーダンスと、回路基板から第2セグメント電極までの配線インピーダンスとのバラツキを低減できる。
(4-4)上記形態であって、前記端子と前記リード電極とは、前記平面視で前記第1仮想線と重なる位置で接続されていてもよい。
この形態によれば、回路基板から第1セグメント電極までの配線インピーダンスと、回路基板から第2セグメント電極までの配線インピーダンスとのバラツキをさらに低減できる。
(4-5)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと、前記第2圧力チャンバーと、前記一のノズルと、前記一のリード電極との組は複数備えられ、各前記組に対応する複数の前記一のノズルは、第1軸方向に沿って並んで配置されてノズル列を構成してもよい。
この形態によれば、各組に対応する複数の一のノズルが第1軸方向に沿って並んで配置できる。
(4-6)上記形態であって、前記一のリード電極の前記第1軸方向の最大幅は、前記ノズル列のノズルピッチの50%以上80%以下であってもよい。
この形態によれば、一のリード電極内を流れる電流のバラツキを低減できる。またこの形態によれば、隣り合う2つのリード電極間の間隔を十分に確保し易くなるので、短絡の発生を抑制できる。
(4-7)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、前記第1軸方向に沿って並んで配置されていてもよい。
この形態によれば、第1軸方向に沿ってならんで配置された第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを形成できる。
(4-8)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、前記第1軸方向に交差する第2軸方向に沿って並んで配置されていてもよい。
この形態によれば、第2軸方向に沿って並んで配置された第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを形成できる。
(4-9)上記形態であって、さらに、前記複数の圧力チャンバーに共通して連通する第1リザーバおよび第2リザーバを備え、前記第1圧力チャンバーと前記第1リザーバとは接続され、前記第2圧力チャンバーと前記第2リザーバとは接続されてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを異なるリザーバに接続できる。
(4-10)上記形態であって、さらに、前記第1圧力チャンバーおよび前記第2圧力チャンバーと、前記一のノズルとを連通させる連通流路を有し、前記第1リザーバは、前記連通流路へと前記液体を供給する供給リザーバであり、前記第2リザーバは、前記連通流路から前記液体を回収する回収リザーバであってもよい。
この形態によれば、第1リザーバを連通流路に液体を供給する供給リザーバとして機能させ、第2リザーバを連通流路から液体を回収する回収リザーバとして機能させることができる。
(4-11)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記第1リザーバに前記液体を供給すると共に前記第2リザーバから前記液体を回収する機構と、を備える、液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、第1リザーバに液体を供給すると共に第2リザーバから液体を回収できる。
(4-12)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる機構と、を備える液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、媒体を液体吐出ヘッドに対して相対的に移動できる。
(5-1)本開示の他の一形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、複数の圧力チャンバーと、各前記圧力チャンバーに対応して設けられた駆動素子と、前記駆動素子に電気信号を供給するための複数のリード電極と、を有するチャンバープレートと、前記リード電極上で接続される端子を有する回路基板と、を備え、前記複数の圧力チャンバーは、一の前記ノズルに共通して連通する第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを含み、前記複数のリード電極は、前記第1圧力チャンバーに対応する前記駆動素子である第1駆動素子から引き出された第1個別リード電極と、前記第2圧力チャンバーに対応する前記駆動素子である第2駆動素子から引き出された第2個別リード電極と、を含み、前記回路基板の一の前記端子は、平面視で前記第1個別リード電極と前記第2個別リード電極に重なって接続される。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーが一のノズルと連通することで、圧力チャンバーの体積が大きくなることを抑制しつつ、より多くの量の液体をノズルから吐出させることが可能となる。またこの形態によれば、駆動素子により近い位置である端子によって、第1セグメント電極と第2セグメント電極への電気信号の配線を共通化できる。これにより、駆動素子において、回路基板から第1セグメント電極までの配線インピーダンスと、回路基板から第2セグメント電極までの配線インピーダンスのバラツキを低減できる。よって、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとから、より均等に液体をノズルに供給できるので、ノズルの吐出特性がばらつく可能性を低減できる。
(5-2)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと、前記第2圧力チャンバーと、前記一のノズルと、前記端子との組は複数備えられ、各前記組に対応する複数の前記一のノズルは、第1軸方向に沿って並んで配置されてノズル列を構成してもよい。
この形態によれば、複数のノズルが第1軸方向に沿って並んで配置されたノズル列を構成できる。
(5-3)上記形態であって、前記端子の前記第1軸方向の最大幅は、前記ノズル列のノズルピッチの50%以上80%以下であってもよい。
この形態によれば、端子内を流れる電流のバラツキを低減できる。またこの形態によれば、隣り合う2つの端子間の間隔を十分に確保し易くなるので、短絡の発生を抑制できる。
(5-4)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、前記第1軸方向に沿って並んで配置されていてもよい。
この形態によれば、第1軸方向に沿って並んで配置された第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーを提供できる。
(5-5)上記形態であって、前記第1圧力チャンバーと前記第2圧力チャンバーとは、前記第1軸方向に交差する第2軸方向に沿って並んで配置されていてもよい。
この形態によれば、第2軸方向に沿って並んで配置された第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーを提供できる。
(5-6)上記形態であって、さらに、前記複数の圧力チャンバーに共通して連通する第1リザーバおよび第2リザーバを備え、前記第1圧力チャンバーと前記第1リザーバとは接続され、前記第2圧力チャンバーと前記第2リザーバとは接続されてもよい。
この形態によれば、第1圧力チャンバーと第2圧力チャンバーとを異なるリザーバに接続できる。
(5-7)上記形態であって、さらに、前記第1圧力チャンバーおよび前記第2圧力チャンバーと、前記一のノズルとを連通させる連通流路を有し、前記第1リザーバは、前記連通流路へと前記液体を供給する供給リザーバであり、前記第2リザーバは、前記連通流路から前記液体を回収する回収リザーバであってもよい。
この形態によれば、第1リザーバを連通流路に液体を供給する供給リザーバとして機能させ、第2リザーバを連通流路から液体を回収する回収リザーバとして機能させることができる。
(5-8)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記第1リザーバに前記液体を供給すると共に前記第2リザーバから前記液体を回収する機構と、を備える、液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、第1リザーバに液体を供給すると共に第2リザーバから液体を回収できる。
(5-9)上記形態の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる機構と、を備える液体吐出装置が提供されてもよい。
この形態によれば、媒体を液体吐出ヘッドに対して相対的に移動できる。
本開示は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体吐出ヘッドや液体吐出装置の製造方法、液体吐出装置の制御方法、制御方法を実行するためのプログラム等の形態で実現することができる。