しかしながら、劇場等に設置される椅子の前方は、人が通行するための通路となっている。このため、支持構造体の前方に突出するようにカップホルダ等の物品収容部を設けると、椅子の前方を通過する歩行者が物品収容部や物品収容部に収容された物品に接触する可能性があり、通行の妨げとなる場合がある。一方で、支持構造体の上部を形成する肘掛部に凹部を設け、この凹部を物品収容部とすることも考えられる。しかしながら、このような場合には、物品収容部の深さ寸法が肘掛部の厚さ寸法を超えることができず、物品収容部の深さ寸法を十分に確保することができない。つまり、肘掛部に凹部を設ける場合には、物品収容部等の機能部を肘掛部の下面よりも下方位置に配置することができない。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、支持構造体に支持された背凭れを有する椅子において、支持構造体の前方に突出させることなくかつ肘掛部の下面よりも下方位置に機能部を配置可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、接地された支持構造体と、上記支持構造体に支持された背凭れとを備える椅子であって、上記支持構造体が、中空とされた中空構造体と、上記中空構造体の上部に接続されると共に上下方向に貫通する貫通孔が設けられた肘掛部と、上記肘掛部よりも下方の上記中空構造体の内部空間に配置されると共に上記貫通孔を介して上方に向けて露出配置された機能部とを有するという構成を採用する。
このような第1の発明によれば、肘掛部の下方に中空構造体の内部空間が形成されており、中空構造体の内部空間に機能部が配置されると共に、この機能部に肘掛部に設けられた貫通孔を介してアクセスすることができる。つまり、本発明によれば、機能部を肘掛部の下面よりも下方位置に配置することができる。したがって、本発明によれば、支持構造体に支持された背凭れを有する椅子において、支持構造体の前方に突出させることなくかつ肘掛部の下面よりも下方位置に機能部を配置することが可能となる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記機能部が、上記貫通孔に連通された収容空間を有する物品収容部であるという構成を採用する。
このような第2の発明によれば、機能部が物品収容部であり、この物品収容部の少なくとも一部が肘掛部の下面よりも下方に配置されることとなる。また、このような物品収容部の収容空間は、肘掛部に設けられた貫通孔に連通されている。このため、本発明によれば、物品収容部の深さ寸法を肘掛部の厚さ寸法よりも大きくすることができ、さらにこのような物品収容部の収容空間に肘掛部に設けられた貫通孔を介して物品の出し入れすることができる。したがって、本発明によれば、物品収容部を肘掛部の前方に突出させる必要がなく、また物品収容部の収容空間の深さ寸法を十分に大きく確保することが可能となる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記物品収容部が、物品を下方から支持可能な物品載置面を有すると共に上記肘掛部よりも下方に位置する底板と、上記底板と上記肘掛部とを接続する立壁部とを有するという構成を採用する。
このような第3の発明によれば、物品収容部が底板と肘掛部とを接続する立壁部を備えている。このため、底板上に載置した物品が底板上から落下をすることを立壁部によって抑止することが可能となる。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記立壁部が、上方から見て、上記収容空間を全周に亘って囲んでいるという構成を採用する。
このような第4の発明によれば、立壁部が上方かから見て底板を全周に亘って囲んでいるため、底板上に載置した物品が底板上から落下することを確実に防止することが可能となる。
第5の発明は、上記第2~第4いずれかの発明において、上記物品収容部が、上記収容空間に露出して配置されると共に配線が接続可能な配線差込部を備えるという構成を採用する。
このような第5の発明によれば、物品収容部の収容空間に露出される配線差込部が設けられている。このため、スマートフォンやタブレット等の携帯端末等を充電等しながら、物品収容部に収容しておくことが可能となる。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記配線差込部に接続されたケーブルと、上記中空構造体の内部空間に配置されると共に上記内部空間にて上記ケーブルを案内する案内ダクトとを備えるという構成を採用する。
このような第6の発明によれば、案内ダクトによって、配線差込部に接続されたケーブルを中空構造体の内部空間内において案内することができる。このため、ケーブルが中空構造体の内部空間内において絡んだりすることを抑止することができる。
第7の発明は、上記第1~第6いずれかの発明において、上記中空構造体の前部に開口が設けられているという構成を採用する。
このような第7の発明によれば、中空構造体の前部が開口されているため、開口を介することで物品を中空構造体の内部空間に対して出し入れすることができる。したがって、本発明によれば、中空構造体の内部空間を物品の収容空間として有効利用することができる。
第8の発明は、上記第1~第7いずれかの発明において、上記背凭れが、上記支持構造体に後方から接続されると共に上記肘掛部よりも上方に延設された背板と、上記背板に支持されると共に、着座者を後方から支持する背当面が前方に向けられた状態で上記支持構造体の側方に配設された背当部材とを有するという構成を採用する。
このような第8の発明によれば、肘掛部の後方が背板によって塞がれている。このため、後方から悪意を有する者が機能部に手を伸ばすことを防止することができる。
本発明によれば、中空とされた中空構造体と、中空構造体の上部に接続されると共に上下方向に貫通する貫通孔が設けられた肘掛部と、肘掛部よりも下方の中空構造体の内部空間に配置されると共に貫通孔を介して上方に向けて露出配置された機能部とを有している。このため、本発明によれば、支持構造体に支持された背凭れを有する椅子において、支持構造体の前方に突出させることなくかつ肘掛部の下面よりも下方位置に機能部を配置することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る椅子の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の椅子1の概略構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態の椅子1を正面側から見た正面図である。なお、以下の説明においては、椅子1の着座者が向く方向を前、着座者の背面側を後、着座者の右手側を右、着座者の左手側を左と称する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の椅子1は、左右方向(水平方向)に離間して配置された支持構造体2と、支持構造体2の間に架設された座3と、座3を支持構造体2に連結する連結機構4と、座3の後方に配置された背凭れ5とを備えている。
支持構造体2は、座3を左右方向から挟み込むように座3の右側と左側との各々に設置されており、各々が椅子1の接地面Sに対して接地されている。以下の説明では、座3の右側に配置された支持構造体2を右側支持構造体6と称し、座3の左側に配置された支持構造体2を左側支持構造体7と称する。
図3は、内部構造を示した右側支持構造体6の分解斜視図である。この図3に示すように、支持強度部材6aと、外装部材6bと、右側肘掛パネル6cとを備えている。支持強度部材6aは、外装部材6b、右側肘掛パネル6cを直接的あるいは間接的に支持する強度部材であり、例えば鉄や鉄を含む金属によって形成されている。この支持強度部材6aは、接地面Sに対して固定されており、ベースプレート6a1と、支柱6a2と、支持プレート6a3とを備えている。
ベースプレート6a1は、平面視において、前後方向に長い矩形状の板部材であり、不図示のアンカーボルトによって接地面Sに固定されている。支柱6a2は、ベースプレート6a1の前後方向の中央部から上方に向けて立設された断面矩形状の柱状部材である。この支柱6a2には、連結機構4を介して座3が連結される。つまり、着座した者から受ける荷重は、座3及び連結機構4を介して支持強度部材6aによって受けられる。支持プレート6a3は、平面視において、前後方向に長い矩形状の板部材であり、支柱6a2の上端に接続されている。この支持プレート6a3は、ベースプレート6a1に対して平行となるように表裏面を上下方向に向けて配設されており、右側肘掛パネル6cを下方から支持する。
外装部材6bは、支持強度部材6aに支持されて支持強度部材6aを囲う部材である。本実施形態において、外装部材6bは、支持強度部材6aの前方に配置された前面部6b1と、支持強度部材6aの右側に配置された右側部6b2と、支持強度部材6aの左側に配置された左側部6b3とを備えており、例えば木材によって形成されている。このような外装部材6bは、支持強度部材6aに下方から支持された右側肘掛パネル6cに接続されており、右側肘掛パネル6cを介して支持強度部材6aに支持されている。このように支持された外装部材6bは、前方及び左右両側方から支持強度部材6aを囲っている。
前面部6b1は、表裏面を前後方向に向けて配設される板状の部位であり、右端縁が右側部6b2の前端縁と接続され、左端縁が左側部6b3の前端縁と接続されている。右側部6b2は、表裏面を左右方向に向けて配設される板状の部位であり、前端縁が前面部6b1の右端縁と接続されている。また、右側部6b2は、後端縁が左右方向から見て、上方から下方に向かうに連れて前方に変位するように傾斜されている。左側部6b3は、表裏面を左右方向に向けて配設される板状の部位であり、前端縁が前面部6b1の左端縁と接続されている。この左側部6b3は、支持強度部材6aを挟んで右側部6b2と平行に設置されている。
右側肘掛パネル6cは、着座者が腕を載置可能とされた上面(支持構造体2の上面)を有する部位であり、支持構造体2の上面部を形成している。この右側肘掛パネル6cは、平面視において支持強度部材6aの支持プレート6a3よりも広い面積を有しており、外周部に外装部材6bの上端が下方から接続されている。このような右側肘掛パネル6cの材質は特に限定されるものではないが、例えば外装部材6bと同様に木材を用いることができる。なお、本実施形態において、右側肘掛パネル6cが上下方向の厚さ寸法が小さな板状とされているが、右側肘掛パネル6cの厚さ寸法はより大きく変更可能である。
左側支持構造体7は、中空構造体7aと、左側肘掛パネル7b(肘掛部)と、物品収容部7cと、ケーブル7dと、案内ダクト7eとを備えている。中空構造体7aは、右側板7a1と、左側板7a2と、底部7a3とを有しており、右側板7a1、左側板7a2及び底部7a3によって囲まれた空間が中空とされた部位である。
右側板7a1は、表裏面を左右方向に向けて配設される板状の部位であり、左右方向から見て、後端縁が上方から下方に向かうに連れて前方に変位するように傾斜されている。図5は、背凭れ5の後述する背板5aを省略した椅子1の後方斜視図である。この図に示すように、右側板7a1の後端縁には、案内ダクト7eが収容される溝部7a4が設けられている。また、図6は、右側板7a1の下端を含む拡大斜視図である。この図に示すように、右側板7a1には、溝部7a4の下端部を右側に向けて露出する切欠部7a5が設けられている。この切欠部7a5は、案内ダクト7e内のケーブル7dを左側支持構造体7の外部に引き出すための開口である。
左側板7a2は、表裏面を左右方向に向けて配設される板状の部位であり、左右方向から見て、後端縁が上方から下方に向かうに連れて前方に変位するように傾斜されている。この左側板7a2は、底部7a3を左右方向から挟んで右側板7a1と平行に設置されている。底部7a3は、表裏面を上下方向に向けて配設される板状の部位であり、右側板7a1の下端縁と左側板7a2の下端縁とに接続されている。
なお、右側板7a1と左側板7a2との離間寸法は、右側支持構造体6の右側部6b2と左側部6b3との離間寸法よりも大きくされている。つまり、左側支持構造体7は、左右方向の幅寸法が右側支持構造体6よりも大きく確保されており、右側支持構造体6のような支持強度部材6aを備えなくても、安定して接地面Sに設置することができる。
中空構造体7aは、これらの右側板7a1と、左側板7a2と、底部7a3とによって、上方に向けて開口された内部空間Kを有し、前側から見た形状がU字形状とされている。このような中空構造体7aの内部空間Kを上方から閉じるように、左側肘掛パネル7bが中空構造体7aの上端に接続されている。中空構造体7a及び左側肘掛パネル7bの材質は特に限定されるものではないが、例えば木材を用いることができる。このように中空構造体7aに左側肘掛パネル7bが接続されることによって、中空構造体7aの上部開口が閉じられるため、中空構造体7aと左側肘掛パネル7bとからなる構造体の強度は高いものとなる。座3の左側面は、このような中空構造体7aの右側板7a1に対して、連結機構4を介して回動可能に接続されている。
また、中空構造体7aの前部は開口されている。つまり、中空構造体7aの内部空間Kは、前方に向けて開放されている。このような中空構造体7aの内部空間Kは、前方から荷物の出し入れが可能な荷物の収容空間として利用することが可能となっている。
左側肘掛パネル7bは、着座者が腕を載置可能とされた上面(左側支持構造体7の上面)を有する板状の部位であり、左側支持構造体7の上面部を形成している。なお、本実施形態において、左側肘掛パネル7bが上下方向の厚さ寸法が小さな板状とされているが、左側肘掛パネル7bの厚さ寸法はより大きく変更可能である。このような左側肘掛パネル7bの平面視における中央部には、物品収容部7cを露出するための開口7b1(貫通孔)が設けられている。この開口7b1は、平面視において矩形状とされており、左側肘掛パネル7bを上下方向に貫通して設けられている。
物品収容部7cは、内部が物品の収容空間Kaとされた容器状の部位である。図4は、図2のA-A断面図である。この図に示すように、物品収容部7cは、底板7c1と、立壁部7c2と、電源ソケット7c3(配線差込部)とを備えている。底板7c1は、中空構造体7aの内部空間Kに配置されており、左側肘掛パネル7bの下面よりも下方に配置されている。このような底板7c1は、左側肘掛パネル7bの開口7b1の直下に配置されており、物品収容部7cに収容された物品を下方から支持可能とされている。つまり、底板7c1は、物品を下方から支持可能な物品載置面を有している。立壁部7c2は、底板7c1と左側肘掛パネル7bの下面とを接続する部位である。この立壁部7c2は、上方から見て、収容空間Kaを全周に亘って囲うように設けられている。これらの底板7c1と立壁部7c2で囲われた空間が収容空間Kaとされてり、収容空間Kaが左側肘掛パネル7bの開口7b1と連通されるように、物品収容部7cが左側肘掛パネル7bに固定されている。
電源ソケット7c3は、電源ケーブルを接続可能な差込口を有する機器であり、収容空間Kaに差込口が露出されるように立壁部7c2に固定されている。なお、図1に示すように、本実施形態においては、電源ソケット7c3の差込口がコンセントプラグを差込可能な形状とされている。しかしながら、電源ソケット7c3の差込口をUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを接続可能な形状とすることも可能である。また、複数の差込口が電源ソケット7c3に設けられていても良い。
ケーブル7dは、図5に示すように、電源ソケット7c3に対して接続されており、外部電源から電源ソケット7c3の差込口まで給電するための配線である。このケーブル7dは、不図示の外部電源から引き出されており、切欠部7a5を通じて左側支持構造体7の内部に入り、案内ダクト7eを介して電源ソケット7c3まで引き廻されている。
案内ダクト7eは、左側支持構造体7の右側板7a1に設けられた溝部7a4に収容されており、右側に向けて開放されたC字形状とされている。この案内ダクト7eは、溝部7a4に沿って延設されており、開放された右側が右側板7a1の裏面によって塞がれるように配置されている。このような案内ダクト7eは、上下方向に沿ってケーブル7dを案内している。
座3は、連結機構4を介して左右方向に隣り合う2つの支持構造体2(右側支持構造体6と左側支持構造体7)の間に架設されている。つまり、座3の左側と右側との各々に支持構造体2が配置されている。このような座3は、利用者が着座可能なように座面を上方に向けた着座姿勢と、座3の前方の空間を広くするように座面を後方に向けた収容姿勢との間にて回動可能に連結機構4に支持されている。
連結機構4は、座3を回動可能に支持構造体2に連結している。この連結機構4は、座3の左右両側に対して各々設けられている。つまり、1つの座3は、2つの連結機構4によって支持構造体2の間に架設されている。また、これらの連結機構4は、座3を収容姿勢に向けて付勢している。このため、座3は、利用者が着座していない状態では、収容姿勢に付勢される。よって、利用者が着座していない場合には、座3の前方に対して広い空間が形成され、椅子1の前方を容易に人が通行可能となる。
背凭れ5は、各々の座3の後方に配置されており、着座者を背面から支持する部材である。この背凭れ5は、例えば図1や図2に示すように、背板5aと背当部材5bとを備えている。背板5aは、図4に示すように上端から下端に向かうに連れて前方に変位するように傾斜されており、左右両方の支持構造体2に後方から接続されることで支持構造体2によって支持されている。この背板5aは、右側支持構造体6の右端から左側支持構造体7の左端に至る幅寸法とされている。
本実施形態の椅子1では、背面側の全域が背板5aで覆われた状態とされている。このため、外装部材6bの内部空間及び中空構造体7aの内部空間Kは、背板5aによって後方から閉塞されている。また、背板5aは、着座者の背中を支持する背当部材5bの上端よりも上端が高い位置に配置されている。つまり、背板5aは、右側肘掛パネル6c及び左側肘掛パネル7bよりも上方に延設されている。このような背板5aによって椅子1の背面の全域が覆われることによって、椅子1の後方側から物品収容部7c等に悪意を持つ他者が手を伸ばすことを防止することができる。
背当部材5bは、背板5aの前面に固定されたクッション性を有する部材であり、着座者の背中が当接されることによって、着座者を後方から支持する。つまり背当部材5bは、着座者を後方から支持する背当面5b1が前方に向けられた状態で支持されている。また、背当部材5bは、左右方向に隣接する支持構造体2同士の離間寸法よりも左右方向の幅寸法が小さく、左右方向に隣接する支持構造体2の間に配置されている。つまり、各々の背当部材5bは、左右方向にて、支持構造体2の側方に配設されている。
以上のような本実施形態の椅子1においては、接地された支持構造体2と、支持構造体2に支持された背凭れ5とを備えている。また、左側支持構造体7が、中空とされた中空構造体7aと、中空構造体7aの上部に接続されると共に上下方向に貫通する開口7b1が設けられた左側肘掛パネル7bと、左側肘掛パネル7bよりも下方の中空構造体7aの内部空間Kに配置されると共に開口7b1を介して上方に向けて露出配置された物品収容部7cとを有している。
このような本実施形態の椅子1によれば、左側肘掛パネル7bの下方に中空構造体7aの内部空間Kが形成されており、中空構造体7aの内部空間Kに物品収容部7cが配置されると共に、この物品収容部7cに左側肘掛パネル7bに設けられた開口7b1を介してアクセスすることができる。つまり、本実施形態の椅子1によれば、物品収容部7cを左側肘掛パネル7bの下面よりも下方位置に配置することができる。したがって、本実施形態の椅子1によれば、左側支持構造体7に支持された背凭れ5を有する椅子1において、左側支持構造体7の前方に突出させることなくかつ左側肘掛パネル7bの下面よりも下方位置に物品収容部7cを配置することが可能となる。
また、本実施形態の椅子1においては、開口7b1に連通された収容空間Kaを有する物品収容部7cを機能部として備えている。このような物品収容部7cの収容空間Kaは、左側肘掛パネル7bに設けられた開口7b1に連通されている。このため、本実施形態の椅子1によれば、物品収容部7cの深さ寸法を左側肘掛パネル7bの厚さ寸法よりも大きくすることができ、さらにこのような物品収容部7cの収容空間Kaに左側肘掛パネル7bに設けられた開口7b1を介して物品の出し入れすることができる。したがって、本実施形態の椅子1によれば、物品収容部7cを左側肘掛パネル7bの前方に突出させる必要がなく、また物品収容部7cの収容空間Kaの深さ寸法を十分に大きく確保することが可能となる。
また、本実施形態の椅子1においては、物品収容部7cが、物品を下方から支持可能な物品載置面を有すると共に左側肘掛パネル7bよりも下方に位置する底板7c1と、底板7c1と左側肘掛パネル7bとを接続する立壁部7c2とを有している。このため、底板7c1上に載置した物品が底板7c1上から落下をすることを立壁部7c2によって抑止することが可能となる。
また、本実施形態の椅子1においては、立壁部7c2が、上方から見て、収容空間Kaを全周に亘って囲んでいる。このため、底板7c1上に載置した物品が底板7c1上から落下することを確実に防止することが可能となる。
また、本実施形態の椅子1においては、物品収容部7cが、収容空間Kaに露出して配置されると共に配線が接続可能な電源ソケット7c3を備えている。このため、スマートフォンやタブレット等の携帯端末等を充電等しながら、物品収容部7cに収容しておくことが可能となる。
また、本実施形態の椅子1においては、電源ソケット7c3に接続されたケーブルと、中空構造体7aの内部空間Kに配置されると共に内部空間Kにてケーブルを案内する案内ダクト7eとを備えている。このような本実施形態の椅子1によれば、案内ダクト7eによって、電源ソケット7c3に接続されたケーブル7dを中空構造体7aの内部空間K内において案内することができる。このため、ケーブル7dが中空構造体7aの内部空間K内において絡んだりすることを抑止することができる。
また、本実施形態の椅子1においては、中空構造体7aの前部に開口が設けられている。このため、中空構造体7aの開口を介することで物品を中空構造体7aの内部空間Kに対して出し入れすることができる。したがって、本実施形態の椅子1によれば、中空構造体7aの内部空間Kを物品の収容空間Kaとして有効利用することができる。
また、本実施形態の椅子1においては、背凭れ5が、左側支持構造体7に後方から接続されると共に左側肘掛パネル7bよりも上方に延設された背板5aと、背板5aに支持されると共に、着座者を後方から支持する背当面5b1が前方に向けられた状態で左側支持構造体7の側方に配設された背当部材5bとを有している。このような本実施形態の椅子1によれば、左側肘掛パネル7bの後方が背板5aによって塞がれている。このため、後方から悪意を有する者が物品収容部7cに手を伸ばすことを防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、図7は、上記実施形態の椅子1の第1変形例が備える右側支持構造体6の分解斜視図である。この図に示すように、本第1変形例では、右側肘掛パネル6cに対して上下に貫通する貫通孔6c1が設けられており、この貫通孔6c1から露出するように、外装部材6bの内部空間に物品収容部6dが設けられている。このような変形例においても、中空構造体である外装部材6bの内部空間に物品収容部6dの一部が配置されるため、物品収容部6dの深さ寸法を右側肘掛パネル6cの厚さ寸法を超えて大きく確保することが可能となる。
また、図8は、上記実施形態の椅子1の第2変形例が備える左側支持構造体7の断面図である。この図に示すように、本変形例では物品収容部7cの底板7c1が備えられておらず、電源ソケット7c3が吊下げ支持されている。このような構成を採用する場合であっても、電源ソケット7c3が機能部として中空構造体7aの内部空間Kに配置されるため、内部空間Kを有効利用することが可能である。なお、機能部は、物品収容部7cや電源ソケット7c3に限られるものではない。例えば、傘ホルダや杖ホルダを機能部として、中空構造体7aの内部空間Kに配置するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、座3を1つのみ備える椅子1の構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、支持構造体が3つ以上設けられ、これらの支持構造体の間の各々に座が配置された椅子に本発明を適用することも可能である。