JP7334957B2 - 微細気泡分散液の測定方法及び測定システム - Google Patents

微細気泡分散液の測定方法及び測定システム Download PDF

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Description

本発明は、微細気泡分散液の測定方法及び測定システムに関する。より詳しくは、微細気泡を含む微細気泡分散液の特性を測定する測定方法及び測定システムに関する。
近年、微細気泡を含む微細気泡分散液の様々な産業分野への応用研究が進められている。中でも粒径がナノオーダーである微細気泡(以下、「径ナノレベル気泡」ともいう)の分散液中における運動はブラウン運動が主体となるため、水中で長期間(例えば、数年程度)にわたり滞在する特性がある。このため、近年では径ナノレベル気泡が分散した微細気泡分散液に関する研究が広く進められている(例えば、特許文献1参照)。
一般的な微細気泡分散液中における微細気泡の有無は水の白濁によって比較的容易に確認できる。これに対し径ナノレベル気泡の粒径は光の波長と同程度かそれ以下であるため、微細気泡分散液中における径ナノレベル気泡の有無は目視で確認することはできない。
またこのようなナノオーダーの微細物を含む微細物分散液において、ブラウン運動する微細物の濃度や粒径分布等を光学的に測定する技術として、例えば動的光散乱法や粒子軌跡追跡法等が知られている。これら動的光散乱法や粒子軌跡追跡法では、微細物分散液中にレーザー光を照射し、微細物による散乱光を用いることに微細物の濃度や粒径分布等を測定する。
特開2019-103958号公報
ところで微細気泡分散液には、径ナノレベル気泡だけでなくナノオーダーの微細な固体粒子が不純物として含まれている場合がある。しかしながら従来の微細物分散液の測定方法では、分散液に含まれるナノオーダーの微細物を認識することはできるものの、それが径ナノレベル気泡であるのか固体粒子であるのかを識別することはできなかった。
本発明は、分散液中の微細物を微細気泡と固体粒子とに識別しながら微細気泡分散液の特性を適切に測定できる微細気泡分散液の測定方法及び測定システムを提供することを目的とする。
(1)本発明に係る微細気泡分散液の測定方法は、微細気泡分散液である被検液の特性を測定する方法であって、保持装置によって保持される被検液に対し照明光を照射する照射工程と、前記照明光の照射エリア内の被検液に対し時間変動する変動磁場を印加する変動磁場印加工程と、前記照明光の照射によって、被検液に含まれる微細物から生じる散乱光を光検出装置によって検出する散乱光検出工程と、を備え、前記光検出装置によって検出された散乱光の輝度に基づいて微細物を微細気泡と固体粒子とに識別することを特徴とする。
(2)この場合、被検液は2[nm]以上2000[nm]未満の範囲内の粒径の微細気泡を含むことが好ましい。
(3)この場合、前記光検出装置によって取得された微細物の画像において、輝度を所定の閾値と比較することによって微細物を固体粒子と微細気泡とに識別することが好ましい。
(4)この場合、前記散乱光検出工程では、前記変動磁場を印加する前後にわたり前記光検出装置で散乱光を検出することにより、ブラウン運動による微細物の軌跡の画像を取得し、前記測定方法では、前記光検出装置によって取得された画像において、前記変動磁場を印加したときにおける輝度の上昇の有無に基づいて微細物を固体粒子と微細気泡とに識別することが好ましい。
(5)この場合、前記測定方法では、前記光検出装置によって取得された画像において、前記変動磁場を印加したときに輝度が上昇した微細物を固体粒子として特定し、前記変動磁場を印加したときに消滅した微細物を帯電性の微細気泡として特定し、前記変動磁場を印加したときに輝度が上昇しなかった微細物を非帯電性の微細気泡として特定することが好ましい。
(6)この場合、前記測定方法は、前記光検出装置によって取得された画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する固体粒子測定工程をさらに備えることが好ましい。
(7)この場合、前記測定方法は、前記光検出装置によって取得された画像に基づいて、被検液に含まれる非帯電性の微細気泡の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する非帯電性微細気泡測定工程をさらに備えることが好ましい。
(8)この場合、前記散乱光検出工程では、前記変動磁場を印加する前におけるブラウン運動による微細物の軌跡の画像である印加前画像と、前記変動磁場を印加している間におけるブラウン運動による微細物の軌跡の画像である印加中画像と、を取得し、前記測定方法は、前記印加前画像及び前記印加中画像に基づいて、被検液に含まれる帯電性の微細気泡の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する帯電性微細気泡測定工程をさらに備えることが好ましい。
(9)この場合、前記測定方法は、前記保持装置によって被検液を保持させる前に、被検液をプラスに帯電したフィルタを通過させる第1スクリーニング工程をさらに備えることが好ましい。
(10)この場合、前記光検出装置によって取得された微細物の画像において、前記変動磁場を印加したときにおける輝度変化の大きさに基づいて固体粒子の粒径を算出することが好ましい。
(11)この場合、前記測定方法は、前記照明光の照射エリア内の被検液に対し電場を印加する電場印加工程をさらに備え、前記散乱光検出工程では、前記電場を印加している間における電気泳動による微細物の軌跡の画像である電場印加時画像を取得し、前記電場印加時画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の物性を測定することが好ましい。
(12)この場合、前記測定方法は、被検液に対し前記変動磁場を印加する前に静磁場を印加することにより、被検液中の固体粒子の少なくとも一部を前記照射エリアの外へ移動させる第2スクリーニング工程をさらに備えることが好ましい。
(13)この場合、前記測定方法は、前記第2スクリーニング工程において前記静磁場を印加することによって捕集した常磁性の固体粒子の量を測定する常磁性物質量測定工程をさらに備えることが好ましい。
(14)この場合、前記照明光の光源は、レーザー装置であり、当該レーザー装置は、レーザー光の波長を300[nm]以上700[nm]未満の範囲内に定められた複数の値で切替可能であることが好ましい。
(15)本発明に係る微細気泡分散液の測定システムは、微細気泡分散液である被検液の特性を測定するものであって、被検液を保持する保持装置と、前記保持装置によって保持される被検液に対し照明光を照射する光源と、前記照明光の照射エリア内の被検液に対し時間変動する変動磁場を印加する変動磁場印加装置と、前記照明光の照射によって、被検液に含まれる微細物から生じる散乱光を検出する光検出装置と、前記光検出装置により検出された散乱光の輝度に基づいて微細物を微細気泡と固体粒子とに識別することによって、被検液の特性を測定する測定装置と、を備えることを特徴とする。
(1)本発明に係る微細気泡分散液の測定方法では、保持装置によって保持される被検液に対し照明光を照射するとともに、この照明光の照射エリア内の被検液に対し時間変動する変動磁場を印加し、さらにこの照明光の照射によって被検液に含まれる微細物から生じる散乱光を光検出装置によって検出する。ここで上述のように微細気泡分散液である被検液には、微細気泡の他、微細な固体粒子が含まれている場合がある。このような被検液に対し変動磁場を印加すると、透磁率に偏りがある固体粒子は変動磁場の下で透磁率の重心が中央に存在する真球性粒子に比較して大きな回転性あるいは並進性力学的モーメントが発生し、自転する。これに対し、透磁率の重心が中央に存在する真球性粒子である微細気泡において変動磁場の下で発生する回転性あるいは並進性力学的モーメントは、固体粒子と比較して小さい。加えて透磁率をほとんど有しない微細気泡は、固体粒子と比較して自重が非常に小さいことから、周囲の媒体との粘性抵抗が非常に大きくなるため、ほとんど自転しない。このため変動磁場の作用下にある被検液に照明光を照射したときに、自転する固体粒子による散乱光の輝度は自転しない微細気泡による散乱光の輝度よりも高くなる。そこで本発明に係る測定方法では、光検出装置によって検出された散乱光の輝度に基づいて、被検液中の微細物と固体粒子とを識別する。したがって本発明に係る測定方法によれば、被検液に含まれる微細物を微細気泡と固体粒子とで識別しながら、精度良く被検液の特性を測定することができる。
(2)本発明に係る測定方法は、2[nm]以上2000[nm]未満の範囲内の粒径の径ナノレベル気泡を含む微細気泡分散液を測定対象とする。上述のように既知の測定方法の下では、径ナノレベル気泡とこれと同程度の粒径の固体粒子とを識別することができない。これに対し本発明の測定方法によれば、微細気泡分散液中に径ナノレベル気泡と同程度の粒径の固体粒子が含まれている場合であっても、これら固体粒子と径ナノレベル気泡とを識別しながら、精度良く被検液の特性を測定することができる。
(3)本発明に係る測定方法では、光検出装置によって取得された微細物の画像において、輝度を所定の閾値とで比較することによって微細物を固体粒子と微細気泡とに識別する。これにより、簡易な方法で微細物を固体粒子と微細気泡とに識別することができる。
(4)本発明に係る測定方法において、散乱光検出工程では、変動磁場を印加する前後にわたって散乱光を検出することによってブラウン運動による微細物の軌跡の画像を取得し、さらにこの画像において、変動磁場を印加したときにおける輝度の上昇の有無に基づいて微細物を固体粒子と微細気泡とに識別する。これにより、ブラウン運動による微細物の移動を追跡しながら、それが固体粒子であるか微細気泡であるかを識別することができる。
(5)微細気泡分散液に含まれる微細物は、微細な固体粒子と微細気泡とに分けられ、また微細気泡はプラス又はマイナスに帯電した帯電性の微細気泡と、ほとんど帯電していない非帯電性の微細気泡とに分けられる。また上述のように変動磁場を印加すると、透磁率に偏りがある固体粒子は自転し、帯電性の微細気泡は消滅し、非帯電性の微細気泡は自転しない。これを利用して本発明に係る測定方法では、変動磁場を印加したときに輝度が上昇した微細物を固体粒子として特定し、変動磁場を印加したときに消滅した微細物を帯電性の微細気泡として特定し、変動磁場を印加したときに輝度が上昇しなかった微細物を非帯電性の微細気泡として特定する。これにより、被検液に含まれる微細物を、固体粒子と、帯電性の微細気泡と、非帯電性の微細気泡とに識別しながら、精度良く被検液の特性を測定することができる。
(6)本発明に係る測定方法は、光検出装置によって取得された画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する固体粒子測定工程を備える。これにより、被検液に含まれる固体粒子の濃度や粒径分布を、微細気泡と識別しながら精度良く測定することができる。
(7)本発明に係る測定方法は、光検出装置によって取得された画像に基づいて、被検液に含まれる非帯電性の微細気泡の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する非帯電性微細気泡測定工程を備える。これにより、被検液に含まれる非帯電性の微細気泡の濃度や粒径分布を、固体粒子や帯電性の微細気泡と識別しながら精度良く測定することができる。
(8)本発明に係る測定方法において、散乱光検出工程では、変動磁場を印加する前におけるブラウン運動による微細物の軌跡の画像である印加前画像と、変動磁場を印加している間におけるブラウン運動による微細物の軌跡の画像である印加中画像と、を取得する。また本発明に係る測定方法は、印加前画像及び印加中画像に基づいて、被検液に含まれる帯電性の微細気泡の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する帯電性微細気泡測定工程を備える。これにより、被検液に含まれる帯電性の微細気泡の濃度や粒径分布を、固体粒子や非帯電性の微細気泡と識別しながら精度良く測定することができる。
(9)本願出願人による特許文献1によれば、微細気泡分散液に含まれる微細物のうち特にプラスに帯電した微細気泡には、植物の成長を促進させる効果があることが検証されている。これに対し本発明に係る測定方法では、保持装置に被検液を保持させる前に、被検液をプラスに帯電したフィルタを通過させる。これより、被検液に含まれる帯電性の微細気泡のうち、マイナスに帯電した微細気泡を予め除くことができるので、被検液に含まれるプラスに帯電した微細気泡の濃度や粒径分布を精度良く測定することができる。
(10)変動磁場を印加したときにおける固体粒子の回転数は、散乱光の輝度変化の大きさと相関がある。また変動磁場を印加したときにおける固体粒子の回転数は、固体粒子の粒径とも相関がある。そこで本発明では、以上のような散乱光の輝度変化の大きさと固体粒子の粒径との相関関係を利用し、光検出装置によって取得された微細物の画像において、変動磁場を印加したときにおける輝度変化の大きさに基づいて固体粒子の粒径を算出する。これにより固体粒子の粒径を簡易な方法で測定することができる。
(11)本発明に係る測定方法では、照明光の照射エリア内の被検液に対し電場を印加している間における電気泳動による微細物の軌跡の画像である電場印加時画像を取得し、この電場印加時画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の物性を測定する。これにより、固体粒子の電気的な物性を測定することができる。
(12)本発明に係る測定方法は、被検液に対し変動磁場を印加する前に静磁場を印加することにより、被検液中の固体粒子の少なくとも一部を照明光の照射エリアの外へ移動させる。これにより被検液に含まれる無数の固体粒子のうち常磁性のものを照射エリアの外へ移動させることができるので、測定精度をさらに向上できる。
(13)本発明に係る測定方法では、上述のように静磁場を印加することによって常磁性の固体粒子を照射エリアの外へ移動させ、これにより捕集した常磁性の固体粒子の量を測定する。これにより被検液に含まれる常磁性の固体粒子の量を簡易な方法で測定することができる。
(14)変動磁場を印加したときにおける固体粒子の回転数は、固体粒子の物性や形状、及び媒体の粘性等に応じて変化する。また散乱光の輝度は、固体粒子の回転数や照射光の波長によって変化する。このため照射光の波長を固定すると、散乱光の輝度の上昇が不十分になったり飽和したりする場合がある。これに対し本発明では、照射光の光源として、300[nm]以上700[nm]未満の範囲内の複数の値でレーザー光の波長を切替可能なレーザー装置を用いる。これにより、散乱光の輝度の上昇が不十分であったり飽和したりすることにより、輝度変化の大きさを適切に測定できない場合には、これに応じてレーザー光の波長を切り替えることにより、散乱光の輝度変化を適切に測定することができる。
(15)本発明に係る微細気泡分散液の測定システムは、被検液を保持する保持装置と、この保持装置によって保持される被検液に対し照明光を照射する光源と、この照明光の照射エリア内の被検液に対し時間変動する変動磁場を印加する変動磁場印加装置と、照明光の照射によって、被検液に含まれる微細物から生じる散乱光を検出する光検出装置と、光検出装置により検出された散乱光の輝度に基づいて微細物を微細気泡と固体粒子とに識別することによって、被検液の特性を測定する測定装置と、を備える。これにより、上記(1)に係る発明と同様の理由により、被検液に含まれる微細物を微細気泡と固体粒子とで識別しながら、精度良く被検液の特性を測定することができる。
本発明の第1実施形態に係る微細気泡分散液の測定システムの構成を模式的に示す図である。 保持装置の他の例を示す図である。 保持装置の他の例を示す図である。 保持装置の他の例を示す図である。 ダブルコイルタイプのコイルパッドの斜視図である。 微細気泡分散液の特性を測定する測定方法の具体的な手順を示すフローチャートである。 測定装置において微細物の濃度及び粒径分布を算出する手順を示すフローチャートである。 レーザー光の散乱光をデジタルマイクロスコープで検出することによって得られる微細物の画像の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る測定システムの一部の構成を模式的に示す図である。 微細気泡分散液の特性を測定する測定方法の具体的な手順を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る測定システムの一部の構成を模式的に示す図である。 固体粒子の粒径算出マップの一例を示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る微細気泡分散液の測定方法が適用された測定システム1の構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
測定システム1は、流体である媒体中に微細気泡が分散した微細気泡分散液を被検液とし、この被検液の特性(例えば、被検液中に分散する微細気泡の粒径分布や個数濃度等)を測定する際に用いられるものである。以下では、2[nm]以上2000[nm]未満の範囲内の粒径の微細気泡や固体粒子等が媒体中に分散したナノバブル分散液を被検液とした場合について説明する。また以下では、微細気泡や固体粒子を総称して微細物ともいう。また媒体は、純水やNaCl溶液等が用いられるが、本発明はこれに限るものではない。また以下で説明する測定システム1では、媒体を、無機物イオンが存在しない精製水とした場合、特に精度良く微細物の粒径等を算出できるが、本発明はこれに限るものではない。媒体は、微細気泡が分散する流体であればどのようなものでもよい。
測定システム1は、被検液を保持する保持装置としてのマイクロキャピラリー2と、マイクロキャピラリー2内の被検液に対し照明光としてのレーザー光Lを照射する光源としてのレーザー装置3と、レーザー光Lの照射エリアA内の被検液に対し変動磁場を印加する変動磁場印加装置5と、レーザー光Lの照射によって被検液に含まれる微細物から生じる散乱光Sを検出する光検出装置としてのデジタルマイクロスコープ6と、デジタルマイクロスコープ6によって得られた画像データに基づいて被検液の特性を測定するコンピュータである測定装置7と、被検液に含まれる不純物等を濾別するフィルタ装置8と、を備える。
以下では、被検液を保持する保持装置として、図1に示すようなマイクロメートルレベルの管路が形成されマイクロキャピラリー2を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。被検液を保持する保持装置としては、マイクロキャピラリー2のように毛細管現象を利用して被検液を保持できるものであればよく、例えば、マイクロメートルレベルの幅の溝が形成されたレール板21(図2A参照)、マイクロメートルレベルの間隔を空けて積層されたガラス板の対22(図2B参照)、及びマイクロメートルレベルの間隔で配置されたポリマー並行糸23(図2C参照)等を用いてもよい。
レーザー装置3は、例えば、300[nm]以上700[nm]未満の範囲内の波長のレーザー光Lを発生し、これをマイクロキャピラリー2の毛細管内に定められた照射エリアAへ照射する。なおこのレーザー装置3は、レーザー光Lの波長を300[nm]以上700[nm]未満の範囲内に定められた2以上の複数の値で切替可能なものを用いることが好ましい。以下では、光源としてレーザー装置3を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。光源は、例えば発光ダイオードを用いてもよい。
変動磁場印加装置5は、オペレータが把持して操作可能なコイルパッド51と、このコイルパッド51から所定の設定周期の下で時間変動する変動磁場を発生させる本体52と、を備える。この変動磁場印加装置5では、変動磁場の周期及び磁束密度を所定の範囲内で設定可能となっている。したがって変動磁場印加装置5では、変動磁場の周期を無限大に設定することにより、静磁場を発生させることも可能となっている。以下では、変動磁場印加装置5を用いることによって、マイクロキャピラリー2内のうちレーザー光Lの照射エリアA内に変動磁場と静磁場との両方を選択的に印加する場合について説明するが、本発明はこれに限らない。特に静磁場を発生させる手段としては、変動磁場印加装置5とは別に予め準備しておいた磁石を用いてもよい。
また以下では、変動磁場を発生させる変動磁場印加装置5として、MRS1000(The Magstim Company Ltd.,U.K.)を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。変動磁場は、図示しないアクチュエータを用いることによって磁石をマイクロキャピラリー2内の照射エリアAに対し接近させたり離隔させたりしても印加することが可能である。
また図1には、1つの円環状のコイルを備えるシングルコイルタイプのコイルパッド51を用いた場合を示すが、本発明はこれに限らない。このコイルパッド51に替えて、図3に示すように、2つの円環状のコイル511,512を備えるダブルコイルタイプのコイルパッド51Aを用いてもよい。これらコイル511,512は、やや傾斜している。このため、ダブルコイルタイプのコイルパッド51Aによれば、シングルコイルタイプのコイルパッド51よりも磁束の収束性を向上できるので、照射エリアAにおける磁束密度を選択的に集中可能である。
デジタルマイクロスコープ6は、レーザー光Lの照射によって、マイクロキャピラリー2の照射エリアA内の被検液に含まれる微細物から生じる散乱光Sの光路に設けられた光学系(図示せず)や、この光学系を介して入射する散乱光Sを受光し、その輝度を電気信号に変換することによって画像データを生成する撮像装置(図示せず)等を組み合わせることによって構成される。撮像装置には、例えばCCDやCMOS等のイメージセンサが用いられる。デジタルマイクロスコープ6によって得られた画像データは、測定装置7へ送信される。
測定装置7は、デジタルマイクロスコープ6によって得られた微細物の画像データを数値的に処理することによって、被検液の特性(被検液中に分散する微細気泡や固体粒子等の微細物の粒径分布や個数濃度等)を測定するためのプログラムがインストールされたコンピュータである。この測定装置7によって、被検液の特性を測定する具体的な手順については、後に図5や図6等を参照することによって説明する。
フィルタ装置8は、所定の内径の無数のフィルタ孔が形成されたフィルタ本体備える。このフィルタ本体のフィルタ孔の内径は、被検液中の微細粒子を通過させかつ被検液中の大きな粒径の固体粒子を捕捉するように調整されている。従って、被検液を予めこのようなフィルタ本体を通過させておくことにより、被検液中に分散する固体粒子のうちフィルタ孔の内径よりも大きな粒径のものを除くことができる。また以下では、被検液中に分散する微細気泡のうち、マイナスに帯電したものもフィルタ本体で捕集できるように、フィルタ本体はプラスに帯電させたものを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。フィルタ本体は、帯電させなくてもよいし、マイナスに帯電させてもよい。
図4は、以上のような測定システム1を用いることによって被検液の特性を測定する測定方法の具体的な手順を示すフローチャートである。
始めにS1では、オペレータは、予め準備しておいた微細気泡分散液を被検液として、この被検液をプラスに帯電したフィルタ本体に通過させる。これにより、被検液に分散する微細物のうち、粒径の大きな固体粒子と、マイナスに帯電した微細気泡とを除いておくことができる。なお被検液とする微細気泡分散液は、予め準備しておいたものを用いてもよいし、図示しない微細気泡発生装置によって製造したものを用いてもよい。
次にS2では、オペレータは、フィルタ本体を通過させた被検液を、毛細管現象を利用してマイクロキャピラリー2内に保持させる。
次にS3では、オペレータは、変動磁場印加装置5を操作し、変動磁場の周期を無限大に設定することによってコイルパッド51から静磁場を発生させるとともに、このコイルパッド51をマイクロキャピラリー2に接近させることにより、マイクロキャピラリー2内の被検液に静磁場を印加する。またS3では、このコイルパッド51をマイクロキャピラリー2の延在方向に沿って走査することにより、マイクロキャピラリー2内の被検液中に分散する固体粒子の一部(特に、常磁性の固体粒子)をレーザー光Lの照射エリアAの外へ移動させる。なおここでは、変動磁場印加装置5を用いて被検液に静磁場を印加する場合について説明したが、静磁場を印加する手段はこれに限らない。例えば、変動磁場印加装置5とは別に準備しておいた磁石を用いることによって、被検液に静磁場を印加してもよい。なお、以上のようにして被検液に静磁場を印加することによって捕集される固体粒子の量は、別途既知の方法によって測定してもよい。
次にS4では、オペレータは、レーザー装置3によるレーザー光Lの照射を開始する。より具体的には、オペレータは、レーザー装置3を操作することによって、レーザー光Lを発生させるとともにこのレーザー光Lを、マイクロキャピラリー2内において予め定められた照射エリアAへ照射する。
次にS5では、オペレータは、デジタルマイクロスコープ6による照射エリアAの動画像の撮影を開始する。
次にS6では、オペレータは、S5において動画像の撮影を開始してから所定時間が経過した後、変動磁場印加装置5を用いることによって所定時間にわたり変動磁場を印加する。ここで変動磁場の周期は例えば0.1[sec]程度であり、かつ変動磁場のコイルパッド51における磁束密度は0.5~2.0[T]程度であるが、本発明はこれに限らない。
次にS7では、オペレータは、変動磁場印加装置5による変動磁場の印加を終了した後、デジタルマイクロスコープ6による動画像の撮影、及びレーザー装置3によるレーザー光Lの照射を終了する。これにより被検液中において分散する複数の微細物のブラウン運動による軌跡の動画像が得られる。なお以下では、デジタルマイクロスコープ6によって、変動磁場の印加の前後にわたる動画像を撮影する場合について説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、被検液中に分散する微細物のブラウン運動による軌跡を追跡できる程度の周期の下で複数枚の静止画像を撮影してもよい。
次にS8では、オペレータは、測定装置7を操作し、デジタルマイクロスコープ6によって取得された微細物の動画像データに基づいて、微細物の濃度及び粒径分布等を算出する。
図5は、測定装置7において微細物の濃度及び粒径分布を算出する手順を示すフローチャートである。被検液には、プラスに帯電した微細気泡、帯電していない微細気泡、及び固体粒子等のナノオーダーの微細物と、が分散しており、従来の動的光散乱法や粒子軌跡追跡法では、このようなナノオーダーの微細物を識別することができない。これに対し測定装置7では、以下で詳細に説明するように、これらプラスに帯電した微細気泡と、帯電していない微細気泡と、固体粒子と、を識別しながら各々の濃度及び粒径分布を算出することが可能となっている。以下では、図5のフローチャートの具体的な手順について説明する前に、図6を参照して測定装置7による測定方法の概要について説明する。
図6は、レーザー光の散乱光をデジタルマイクロスコープ6で検出することによって得られる微細物の画像の一例を示す図である。なお図6には、参考のため微細物の一部を拡大したものを図示する。
図6に示すように、被検液中には、帯電していない微細気泡4aと、帯電した微細気泡4bと、固体粒子4c,4dと、が分散している。また被検液中には、比較的真球に近い形状の固体粒子4cや、真球からは程遠いいびつな形状の固体粒子4d等、様々な形状の固体粒子が分散している。しかしながらこれら微細物4a~4dの粒径はナノオーダーであり、レーザー光の波長と同程度であるかそれ以下であるため、散乱光を検出することによって得られる画像だけでは識別することができない。しかしながら、図6に示すように、被検液に対し変動磁場印加装置5によって所定周期の下で時間変動する変動磁場が印加された時における振る舞いは、各微細物によって異なる。
より具体的には、透磁率に偏りがある固体粒子4c,4dは、変動磁場の下で回転性あるいは並進性力学的モーメントが発生し、自転する。この際、比較的真球に近い形状の固体粒子4cは、いびつな形状の固体粒子4dよりも粘性抵抗が小さいと考えられるため、いびつな形状の固体粒子4dよりも速く回転する。このため、レーザー光を照射しながら変動磁場を印加すると、固体粒子4c,4dによる散乱光の輝度は、変動磁場を印加する前よりも上昇する。またこの際、固体粒子4dは、固体粒子4cよりも速く回転するため、固体粒子4cよりも大きく輝度が上昇する。またこのような輝度の上昇は、固体粒子4c,4dの粒径が大きくなるほど増加すると考えられる。
参考のため下記式(1)には、質量をM[kg]とし半径をr[m]とした球体が、粘性係数μ[N・s/m2]の媒体の中で磁気モーメントm[wb・m]を有する場合において、媒体中に周波数ω[rad/s]で時間変動する磁場H[A/m]が印加された場合における球体の運動方程式を示す。下記式(1)において、t[s]は時間であり、θ[rad]は磁気モーメントmと磁場Hとの成す角である。
Figure 0007334957000001
これに対し帯電していない微細気泡4aは、透磁率をほとんど有さずまた固体粒子と比較して自重が非常に小さいことから、周囲との媒体との粘性抵抗が非常に大きくなるため、変動磁場を印加してもほとんど自転しない。このため、レーザー光を照射しながら変動磁場を印加しても、帯電していない微細気泡4aによる散乱光の輝度はほとんど上昇しない。また帯電している微細気泡4bは、変動磁場を印加すると消滅する。このため、レーザー光を照射しながら変動磁場を印加すると、帯電している微細気泡4bによる散乱光の輝度は0になる。
測定装置7では、以上のように各微細物4a~4dの変動磁場の下での振る舞いはそれぞれ異なることを利用することによって各微細物4a~4dを識別する。
図5のフローチャートの説明に戻り、始めにS11では、測定装置7は、変動磁場を印加する前後にわたるブラウン運動による微細物の軌跡の動画像に基づいて、この動画像内に含まれる複数の微細物を、帯電していない微細気泡と、帯電した微細気泡と、固体粒子と、に識別する。より具体的には、測定装置7は、上記動画像において、変動磁場を印加したときに所定の閾値以上輝度が上昇した微細物を固体粒子として特定し、変動磁場を印加したときに消滅し、輝度が0になった微細物を帯電した微細気泡として特定し、変動磁場を印加したときに所定の閾値以上輝度が上昇しなかった微細物を帯電していない微細気泡として特定する。
なおこのS11において、測定装置7は、変動磁場を印加したときにおける散乱光の輝度の上昇が不十分であったり飽和したりする場合には、これ以降の演算を中止し、レーザー装置3によるレーザー光の波長を変更した後、図4に示す処理を再び行うことが好ましい。
次にS12では、測定装置7は、変動磁場を印加する前のブラウン運動による微細物の軌跡の動画像において、S11において識別した帯電していない微細気泡、帯電した微細気泡、及び固体粒子の個数を計数することにより、被検液中における帯電していない微細気泡の個数濃度Cb0と、帯電した微細気泡の個数濃度Cbcと、固体粒子の個数濃度Csolidとを算出する。
次にS13では、測定装置7は、変動磁場を印加する前のブラウン運動による微細物の軌跡の動画像に基づいて、ブラウン運動による微細物の軌跡を解析することにより、上記S12において計数した各微細物の粒径を、帯電していない微細気泡と、帯電した微細気泡と、固体粒子とに分けて算出する。より具体的には、被検液中に分散した微細物のブラウン運動による速度は、微細物の粒径が大きくなるほど遅くなり、微細物の粒径が小さくなるほど速くなることから、上述のように微細物のブラウン運動による軌跡を解析することにより、各微細物の粒径を算出することができる。
次にS14では、測定装置7は、帯電していない微細気泡と、帯電した微細気泡と、固体粒子とに分けてS13において算出された各微細物の粒径の情報を用いることにより、被検液中に分散した帯電していない微細気泡の粒径分布Db0と、帯電した微細気泡の粒径分布Dbcと、固体粒子の粒径分布Dsolidとを算出する。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る微細気泡分散液の測定方法が適用された測定システム1Aの構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図7は、本実施形態に係る測定システム1Aの一部の構成を模式的に示す図である。測定システム1Aは、上記第1実施形態に係る測定システム1に加え、電気泳動装置9をさらに備える。なお図7では、測定システム1Aのうち、変動磁場印加装置5及び測定装置7の図示を省略する。なお以下では、第1実施形態に係る測定システム1と同じ構成については図示及び詳細な説明を省略する。
電気泳動装置9は、マイクロキャピラリー2を水平に保持する保持具91と、マイクロキャピラリー2の両端側に設けられた一対の電極支持部92,93と、図示しない直流電源と、を備える。保持具91には、柱状である。保持具91の上面911には、マイクロキャピラリー2の延在方向に沿って延びる断面視で円弧状の支持溝912が形成されている。マイクロキャピラリー2は、支持溝912に沿って設けられている。また保持具91の略中央、すなわちレーザー光Lの照射エリアAの近傍には平面視で円形状の切欠き913が形成されている。
電極支持部92,93のうちマイクロキャピラリー2と対向する面には、それぞれ針状の電極92a,93aが設けられている。これら電極92a,93aは、それぞれ直流電源のプラス極及びマイナス極に接続されている。またこれら電極支持部92,93は、マイクロキャピラリー2の延在方向に沿って互いに接近させたり離間させたりすることが可能となっている。電極支持部92,93を互いに接近させると、各々の電極92a,93aはマイクロキャピラリー2の管路2aの両端に挿入される。
図8は、本実施形態に係る測定システム1Aを用いることによって被検液の特性を測定する測定方法の具体的な手順を示すフローチャートである。なお図8のフローチャートにおいて、S11~S12、S14~S16、S18~S19の処理の手順は、それぞれ図4のフローチャートにおけるS1~S8の処理の手順と同じであるので、詳細な説明を省略する。
S12において被検液をマイクロキャピラリー2内に保持させた後、S13では、オペレータは電極支持部92,93を互いに接近させることにより、電極92a,93aをマイクロキャピラリー2の管路2aの両端に挿入する。
S16においてデジタルマイクロスコープ6による照射エリアAの動画像の撮影を開始した後、S17では、オペレータは、電極92a,93aに接続された電源を所定時間にわたりオンにすることにより、電極92a,93aの間の照射エリアAの被検液に対し所定時間にわたり電場を印加する。
S19においてデジタルマイクロスコープ6による動画像の撮影、及びレーザー装置3によるレーザー光Lの照射を終了した後、S20では、オペレータは、測定装置7を操作し、デジタルマイクロスコープ6によって取得された微細物の動画像データに基づいて、微細物の濃度及び粒径分布等を算出する。
ここでデジタルマイクロスコープ6によって得られた動画像データに基づいて、微細物を固体粒子と微細気泡とに識別し、これら固体粒子や微細気泡の個数濃度や粒径分布を算出する手順は、図5に示す手順と同じであるので詳細な説明を省略する。
また本実施形態に係る測定方法によれば、S17において所定時間にわたり電場を印加することにより、電場を印加している間における電気泳動による微細物の軌跡の動画像である電場印加時動画像が取得される。そこでS20では、微細物を固体粒子と微細気泡とに識別するとともに、この電場印加時動画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の泳動速度等を解析することにより、これら固体粒子の電気的な特性を測定する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る微細気泡分散液の測定方法が適用された測定システム1Bの構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図9は、本実施形態に係る測定システム1Bの一部の構成を模式的に示す図である。測定システム1Bは、上記第1実施形態に係る測定システム1に加え、電気泳動装置9Bをさらに備える。なお図9では、測定システム1Bのうち、変動磁場印加装置5及び測定装置7の図示を省略する。なお以下では、第1実施形態に係る測定システム1と同じ構成については図示及び詳細な説明を省略する。
電気泳動装置9Bは、マイクロキャピラリー2の両端側に設けられた一対の電極支持キャップ95,96と、マイクロキャピラリー2を垂直に保持するスタンド(図示せず)と、電源(図示せず)と、を備える。
電極支持キャップ95,96の内部には、それぞれ針状の電極95a,96aが設けられている。したがってこれら電極支持キャップ95,96をマイクロキャピラリー2の両端に篏合させると、各々の電極95a,96aはマイクロキャピラリー2の管路2aの両端に挿入される。
なお、以上のような本実施形態に係る測定システム1Bを用いることによって被検液の特性を測定する測定方法の具体的な手順は、図8のフローチャートに示す手順と同じであるので、詳細な説明を省略する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態では、変動磁場が印加される前後にわたる微細物の動画像に基づいて微細物を帯電していない微細気泡と、帯電した微細気泡と、固体粒子とに識別した後(図5のS11参照)、各微細物の粒径を、変動磁場が印加される前のブラウン運動による軌跡を解析することによって算出したが(図5のS13参照)、各微細物のうち固体粒子の粒径を算出する方法はこれに限らない。
変動磁場を印加したときにおける固体粒子の回転数は、散乱光の輝度変化の大きさと相関がある。また変動磁場を印加したときにおける固体粒子の回転数は、固体粒子の粒径や媒体の粘性等とも相関がある。このため、これら散乱光の輝度変化の大きさと固体粒子の粒径と媒体の粘性との相関関係を利用することにより、散乱光の輝度変化の大きさに基づいて固体粒子の粒径を算出することが可能である。
より具体的には、予め試験を行い、粘性係数が異なる様々な媒体の下で、変動磁場の印加の前後における散乱光の輝度変化の大きさと固体粒子の粒径との相関関係を測定することによって、図10に示すような固体粒子の粒径算出マップを作製しておく。また測定装置7は、変動磁場を印加する前後にわたる微細物の軌跡の動画像に基づいて、固体粒子として特定された微細物による散乱光の輝度変化の大きさを算出し、この輝度変化の大きさと、オペレータによって入力された媒体の粘性係数とに基づいて、図10に示す固体粒子の粒径算出マップを検索することによって固体粒子の粒径を算出するようにしてもよい。
1,1A,1B…測定システム
2…マイクロキャピラリー(保持装置)
3…レーザー装置(光源)
4a…帯電していない微細気泡
4b…帯電した微細気泡
4c,4d…固体粒子
5…変動磁場印加装置
51,51A…コイルパッド
52…本体
6…デジタルマイクロスコープ(光検出装置)
7…測定装置
L…レーザー光
S…散乱光
A…照射エリア

Claims (15)

  1. 微細気泡分散液である被検液の特性を測定する微細気泡分散液の測定方法であって、
    保持装置によって保持される被検液に対し照明光を照射する照射工程と、
    前記照明光の照射エリア内の被検液に対し時間変動する変動磁場を印加する変動磁場印加工程と、
    前記照明光の照射によって、被検液に含まれる微細物から生じる散乱光を光検出装置によって検出する散乱光検出工程と、を備え、
    前記光検出装置によって検出された散乱光の輝度に基づいて微細物を微細気泡と固体粒子とに識別することを特徴とする微細気泡分散液の測定方法。
  2. 被検液は2[nm]以上2000[nm]未満の範囲内の粒径の微細気泡を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡分散液の測定方法。
  3. 前記光検出装置によって取得された微細物の画像において、輝度を所定の閾値と比較することによって微細物を固体粒子と微細気泡とに識別することを特徴とする請求項1又は2に記載の微細気泡分散液の測定方法。
  4. 前記散乱光検出工程では、前記変動磁場を印加する前後にわたり前記光検出装置で散乱光を検出することにより、ブラウン運動による微細物の軌跡の画像を取得し、
    前記光検出装置によって取得された画像において、前記変動磁場を印加したときにおける輝度の上昇の有無に基づいて微細物を固体粒子と微細気泡とに識別することを特徴とする請求項1又は2に記載の微細気泡分散液の測定方法。
  5. 前記光検出装置によって取得された画像において、前記変動磁場を印加したときに輝度が上昇した微細物を固体粒子として特定し、前記変動磁場を印加したときに消滅した微細物を帯電性の微細気泡として特定し、前記変動磁場を印加したときに輝度が上昇しなかった微細物を非帯電性の微細気泡として特定することを特徴とする請求項4に記載の微細気泡分散液の測定方法。
  6. 前記光検出装置によって取得された画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する固体粒子測定工程をさらに備えることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  7. 前記光検出装置によって取得された画像に基づいて、被検液に含まれる非帯電性の微細気泡の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する非帯電性微細気泡測定工程をさらに備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  8. 前記散乱光検出工程では、前記変動磁場を印加する前におけるブラウン運動による微細物の軌跡の画像である印加前画像と、前記変動磁場を印加している間におけるブラウン運動による微細物の軌跡の画像である印加中画像と、を取得し、
    前記印加前画像及び前記印加中画像に基づいて、被検液に含まれる帯電性の微細気泡の濃度及び粒径分布の少なくとも何れかを算出する帯電性微細気泡測定工程をさらに備えることを特徴とする請求項4から7の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  9. 前記保持装置によって被検液を保持させる前に、被検液をプラスに帯電したフィルタを通過させる第1スクリーニング工程をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の微細気泡分散液の測定方法。
  10. 前記光検出装置によって取得された微細物の画像において、前記変動磁場を印加したときにおける輝度変化の大きさに基づいて固体粒子の粒径を算出することを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  11. 前記照明光の照射エリア内の被検液に対し電場を印加する電場印加工程をさらに備え、
    前記散乱光検出工程では、前記電場を印加している間における電気泳動による微細物の軌跡の画像である電場印加時画像を取得し、
    前記電場印加時画像に基づいて、被検液に含まれる固体粒子の物性を測定することを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  12. 被検液に対し前記変動磁場を印加する前に静磁場を印加することにより、被検液中の固体粒子の少なくとも一部を前記照射エリアの外へ移動させる第2スクリーニング工程をさらに備えることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  13. 前記第2スクリーニング工程において前記静磁場を印加することによって捕集した常磁性の固体粒子の量を測定する常磁性物質量測定工程をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の微細気泡分散液の測定方法。
  14. 前記照明光の光源は、レーザー装置であり、
    当該レーザー装置は、レーザー光の波長を300[nm]以上700[nm]未満の範囲内に定められた複数の値で切替可能であることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の微細気泡分散液の測定方法。
  15. 微細気泡分散液である被検液の特性を測定する微細気泡分散液の測定システムであって、
    被検液を保持する保持装置と、
    前記保持装置によって保持される被検液に対し照明光を照射する光源と、
    前記照明光の照射エリア内の被検液に対し時間変動する変動磁場を印加する変動磁場印加装置と、
    前記照明光の照射によって、被検液に含まれる微細物から生じる散乱光を検出する光検出装置と、
    前記光検出装置により検出された散乱光の輝度に基づいて微細物を微細気泡と固体粒子とに識別することによって、被検液の特性を測定する測定装置と、を備えることを特徴とする微細気泡分散液の測定システム。

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