JP7334268B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイスに関する。
ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂は、耐熱性及び絶縁性等に優れるため、様々な用途に適用されている。上記用途としては特に限定されないが、実装用の半導体デバイスを例に挙げると、絶縁膜や封止材の材料、又は、保護膜としての利用が挙げられる。また、フレキシブル基板のベースフィルムやカバーレイなどとしても用いられている。
例えば上述した用途において、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂は、これらの樹脂自体を含む硬化性樹脂組成物、又は、これらの樹脂の前駆体を含む硬化性樹脂組成物の形態で用いられる。このような硬化性樹脂組成物を、例えば塗布等により基材に適用し、その後、必要に応じて露光、現像、加熱等を行うことにより、硬化した樹脂を基材上に形成することができる。硬化性樹脂組成物は、公知の塗布方法等により適用可能であるため、例えば、適用される硬化性樹脂組成物の形状、大きさ、適用位置等の設計の自由度が高いなど、製造上の適応性に優れるといえる。ポリイミド等が有する高い性能に加え、このような製造上の適応性に優れる観点から、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂又はこれらの前駆体を含む硬化性樹脂組成物の産業上の応用展開がますます期待されている。
例えば、特許文献1には、(A)感光性樹脂:100質量部、(B)感光剤:1~40質量部、(C)銅変色防止剤:0.05~20質量部、及び(D)溶媒を含有する感光性樹脂組成物であって、感光性樹脂組成物中の水分含有量が0.6~10質量%である、感光性樹脂組成物が記載されている。
特開2011-169980号公報
ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールを含む硬化膜は、例えば、上述の絶縁膜、封止材の材料、保護膜、フレキシブル基板のベースフィルム、カバーレイ等の用途に用いられている。
これらの用途において、配線等として用いられる銅等の金属の腐食の抑制に優れた硬化膜が得られる硬化性樹脂組成物の提供が望まれている。
本発明は、隣接する金属の腐食の抑制に優れた硬化膜が得られる硬化性樹脂組成物、上記硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスを提供することを目的とする。
本発明の代表的な実施態様の例を以下に示す。
<1> ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂、
トリアゾール構造を有する化合物、並びに、
溶剤を含み、
組成物のpHが7.0未満である
硬化性樹脂組成物。
<2> 上記トリアゾール構造を有する化合物のジメチルスルホキシド中のpKaが15未満である、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<3> 上記トリアゾール構造を有する化合物が1,2,3-トリアゾール構造を有する化合物を含む、<1>又は<2>に記載の硬化性樹脂組成物。
<4> 上記トリアゾール構造を有する化合物がベンゾトリアゾール構造を有する化合物を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<5> 上記樹脂100質量部に対し、感光剤1~40質量部と、上記トリアゾール構造を有する化合物0.05~20質量部と、上記溶剤50~300質量部とを含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<6> 上記溶剤として、窒素原子を含まない溶剤を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<7> 上記溶剤として、炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<8> 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、<1>~<7>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<9> <1>~<8>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
<10> <9>に記載の硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む積層体。
<11> <1>~<8>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
<12> 上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含む、<11>に記載の硬化膜の製造方法。
<13> 上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程を含む、<11>又は<12>に記載の硬化膜の製造方法。
<14> <9>に記載の硬化膜又は<10>に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
本発明によれば、隣接する金属の腐食の抑制に優れた硬化膜が得られる硬化性樹脂組成物、上記硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスが提供される。
以下、本発明の主要な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、明示した実施形態に限られるものではない。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた露光も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000、TSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。それらの分子量は特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、GPC測定における検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光層がある場合には、基材から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101,325Pa(1気圧)、相対湿度は50%RHである。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(硬化性樹脂組成物)
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂、トリアゾール構造を有する化合物、並びに、溶剤を含み、組成物のpHが7.0未満である。
以下、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を「特定樹脂」ともいう。
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、隣接する金属の腐食の抑制に優れた硬化膜が得られる。
上記効果が得られるメカニズムは不明であるが、下記のように推測される。
ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールを含む硬化膜は、様々なデバイスにおいて、例えば、絶縁膜、封止材の材料、保護膜、フレキシブル基板のベースフィルム、カバーレイ等の用途に用いられている。
このような用途において、デバイス中で配線等として用いられる銅等の金属と、硬化膜とが接する部分における上記金属の腐食が問題となる場合があった。
本発明者らは、このような金属の腐食と、硬化膜の形成に用いられる組成物の酸性度とが関連していることを見出した。
本発明者らは、組成物の酸性度が高い場合、銅等の金属がイオンとして組成物中にマイグレーションし、硬化膜中の成分、又は、硬化膜の外部から供給される水、酸素、若しくはハロゲンなどと反応し、脆弱な銅化合物を形成して、腐食が進行すると推測している。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、トリアゾール構造を有する化合物を含有し、かつ、pHを7未満に調整した組成物を使用することにより、銅等の金属の腐食が著しく抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、トリアゾール構造を有する化合物は解離(例えば、脱プロトン化)すると銅等の金属との密着エネルギーが向上(J. Phys. Chem. C 2015, 119, 11625-11635)するため、上記特定のpHに調整した組成物においてトリアゾール構造を有する化合物を用いることにより、優れた腐食抑制能を有する硬化膜が得られると推測している。
ここで、特にデバイスを高湿下や高温下で長期間使用した場合には、銅等の金属の溶解に起因する金属の腐食が問題となる。
本発明の組成物によれば、特に高温高湿条件下(例えば、150℃、相対湿度90%RHなどの条件下)においても、トリアゾール構造を有する化合物と銅等の金属の腐食抑制能に優れる。
また、本発明の組成物によれば、例えば、硬化膜及び金属が高温条件下に晒された場合であっても、上記金属の腐食抑制効果により、金属と硬化膜との界面における空隙(ボイド)の発生が抑制されると考えられる。
また、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含む組成物においては、pHを7未満とすることにより、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化等が抑制されるため、組成物の液保存安定性に優れると考えられる。
更に、ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールを含む組成物においては、pHを7未満とすることにより、加水分解による主鎖切断(すなわち、分子量低下)が起きにくくなり、組成物の液保存安定性に優れると考えられる。
ここで、特許文献1には、特定樹脂を含む硬化性樹脂組成物において、pHを特定の範囲内とすることについては記載も示唆もない。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
<pH>
本発明の硬化性樹脂組成物のpHは、7.0未満であり、金属腐食抑制性、組成物の保存安定性の観点からは、6.8以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましく、6.2以下であることが更に好ましく、6.0以下であることが特に好ましい。
上記pHの下限は特に限定されないが、2.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、4.0以上であることが更に好ましく、4.5以上であることが特に好ましく、5.0以上であることが最も好ましい。
本発明において、組成物のpHは下記(1)~(4)に記載の方法により測定される。
(1)pH=4、7及び9の標準液を用いて校正した装置(HORIBA社製D-71)を使用する。
(2)上記装置の電極を、3.33mmol/Lの塩化カリウム(KCl)溶液に漬けておく。
(3)組成物を、組成物に含まれている溶剤で希釈して、pHの測定を行う。上記測定は、少なくとも希釈倍率を変更した3点において行う。
(4)上記装置を用いて、上記測定用溶液のpHを測定し、希釈倍率を考慮して希釈前のH量から組成物のpHを算出する。
具体的には、上記(3)において測定された、希釈倍率を変更した3点以上の測定値に対してx= log10(希釈倍率)、 y=各希釈後の溶液のpHとした場合の直線回帰(y=ax+b)を行い、上記切片bを希釈前の組成物のpHとする。
上記直線回帰は最小二乗法により行う。
以下、後述する実施例1におけるpHの算出方法について記載する。
表1に、実施例1において使用した硬化性樹脂組成物において、希釈倍率(質量倍率)を3倍、30倍、300倍とした場合の希釈倍率のlog10(希釈倍率)、及び、各希釈後の溶液のpH(測定値)を記載する。

x=log10(希釈倍率)、y=各希釈後の溶液のpHとした場合の最小二乗法による直線回帰(y=ax+b)を行った結果、y=0.22x+6.0044となる。すなわち、実施例1に記載の組成物のpHは6.0である。
組成物のpHは、例えば、溶剤の選定、酸性樹脂(例えば、酸基を有するポリイミド、酸基を有するポリベンゾオキサゾール、又は、これらの前駆体であって、酸基を有する樹脂)の使用、pH調整剤の使用、トリアゾール構造を有する化合物の含有量の調整等の方法、又は、これらの方法を組み合わせることにより調整される。
<トリアゾール構造を有する化合物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、トリアゾール構造を有する化合物を含む。
以下、トリアゾール構造を有する化合物を「特定化合物」ともいう。
特定化合物におけるトリアゾール構造の数は、1以上であればよく、1~10であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
本発明において、トリアゾール構造とは、窒素原子を3つ含む芳香族5員環構造であり、1,2,3-トリアゾール構造であってもよいし、1,2,4-トリアゾール構造であってもよいが、金属腐食抑制の観点からは、1,2,3-トリアゾール構造であることが好ましい。
1,2,3-トリアゾール構造には、1H-1,2,3トリアゾール構造と2H-1,2,3トリアゾール構造の2種類の互変異性体が存在するが、このいずれであってもよいし、これらの混合物であってもよい。
1H-1,2,3トリアゾール構造としては下記式(T-1)で表される構造が、2H-1,2,3トリアゾール構造としては下記式(T-2)で表される構造が、1,2,4トリアゾール構造としては下記式(T-3)で表される構造が、それぞれ挙げられる。

上記式(T-1)~(T-3)中、#及び*はそれぞれ、水素原子又は他の構造との結合部位を表す。
特定化合物におけるトリアゾール構造としては、式(T-1)、式(T-2)及び式(T-3)のいずれかで表される構造が好ましく、金属腐食抑制の観点からは、上記下記式(T-1)及び式(T-2)のいずれかで表される構造がより好ましい。
〔pKa〕
金属腐食抑制の観点からは、特定化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)中のpKaが、15未満であることが好ましく、8以上15未満であることがより好ましく、10以上15未満であることが更に好ましく、10以上14以下であることが特に好ましい。
ここで、pKaとは、酸の第一解離定数の逆数の対数を表し、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値をpKaとして用いることとする。
〔式(T1-1)~式(T1-3)〕
特定化合物は、下記式(T1-1)~式(T1-3)のいずれかで表される化合物又はこれらの塩を含むことが好ましく、式(T1-1)又は式(T1-2)で表される化合物又はこれらの塩を含むことがより好ましい。

式(T1-1)~式(T1-3)中、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R31及びR32はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、RN1、RN2及びRN3はそれぞれ、水素原子又は1価の置換基を表し、R11、R12、RN1のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、R21、R22、RN2のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、R31、R32、RN3のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよい。
式(T1-1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。
上記炭化水素基としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基がより好ましい。
式(T1-1)中、RN1は水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子が好ましい。
上記1価の置換基としては、上記R11における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
また、式(T1-1)中、R11、R12、RN1のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成する場合、R11及びR12が結合して環構造を形成することが好ましい。
上記環構造としては、脂肪族炭化水素環構造、芳香族炭化水素環構造、脂肪族複素環構造、芳香族複素環構造のいずれであってもよいが、特定化合物のDMSO中のpKaを上述の範囲とする観点からは、芳香族炭化水素環構造が好ましい。
上記脂肪族炭化水素環構造としては、炭素数4~20の脂肪族炭化水素環構造が挙げられる。
上記芳香族炭化水素環構造としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素環構造が挙げられ、ベンゼン環構造が好ましい。
上記脂肪族複素環構造としては、環員数5~20の脂肪族複素環構造が挙げられる。上記脂肪族複素環構造における複素原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
上記芳香族複素環構造としては、環員数5~20の芳香族複素環構造が挙げられる。上記脂肪族複素環構造における複素原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
式(T1-2)中、R21、R22及びRN2はそれぞれ、式(T1-1)中のR11、R12及びRN1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(T1-3)中、R31、R32及びRN3はそれぞれ、式(T1-1)中のR11、R12及びRN1と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、式(T1-1)~式(T1-3)のいずれかで表される化合物の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の公知の無機塩、又は、テトラブチルホスホニウム塩等の公知の有機塩が挙げられる。
〔ベンゾトリアゾール構造〕
特定化合物のDMSO中のpKaを上述の範囲内とする観点からは、特定化合物は、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物を含むことが好ましい。
ベンゾトリアゾール構造とは、上述のトリアゾール構造と、ベンゼン環構造とが縮合環を形成した構造をいう。
特定化合物がベンゾトリアゾール構造を有する場合、特定化合物におけるベンゾトリアゾール構造の数は、1以上であればよく、1~10であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。また、特定化合物がベンゾトリアゾール構造を有する場合、トリアゾール構造としてベンゾトリアゾール構造のみを有していてもよいし、ベンゾトリアゾール構造と、ベンゾトリアゾール構造以外のトリアゾール構造とを有していてもよい。
ベンゾトリアゾール構造には、1H-ベンゾトリアゾール構造と2H-ベンゾトリアゾール構造の2種類の互変異性体が存在するが、このいずれであってもよいし、これらの混合物であってもよい。
1H-ベンゾトリアゾール構造としては下記式(T-4)で表される構造が、2H-ベンゾトリアゾール構造としては下記式(T-5)で表される構造が、それぞれ挙げられる。

上記式(T-4)及び(T-5)中、#及び*はそれぞれ、水素原子又は他の構造との結合部位を表す。
〔式(T1-4)及び式(T1-5)〕
特定化合物がベンゾトリアゾール構造を有する化合物である場合、特定化合物は、下記式(T1-4)及び式(T1-5)のいずれかで表される化合物又はこれらの塩を含むことが好ましい。

式(T1-4)及び式(T1-5)中、R41、R42、R43及びR44はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、RN4及びRN5はそれぞれ、水素原子又は1価の置換基を表し、R41、R42、R43、R44及び、RN4のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、R51、R52、R53、R54及び、RN5のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよい。
式(T1-4)中、R41、R42、R43及びR44はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基が更に好ましく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が特に好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
特定化合物の高温安定性の観点からは、R41、R42、R43及びR44のうち少なくとも1つが1価の置換基であることが好ましい。上記1価の置換基としては、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数1~10のアルキル基が更に好ましく、炭素数1~4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
式(T1-4)中、RN4は水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子が好ましい。
上記1価の置換基としては、上述の式(T1-1)中のR11における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
式(T1-4)中、R41、R42、R43、R44及び、RN4のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよいが、環構造を形成しないことが好ましい。
式(T1-4)中、R41、R42、R43、R44及び、RN4のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成する場合、R41、R42、R43及びR44のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成することが好ましい。
上記環構造としては、上述の式(T1-1)中のR11、R12、RN1のうち少なくとも2つが結合して形成される環構造と同様の環構造が挙げられ、好ましい態様も同様である。
式(T1-5)中、R51、R52、R53、R54及び、RN5はそれぞれ、式(T1-4)中のR41、R42、R43、R44及び、RN4と同義であり、好ましい態様も同様である。
〔具体例〕
トリアゾール構造を有する化合物としては、特に限定されないが、1H-ベンゾトリアゾール、2H-ベンゾトリアゾール、5ーメチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、7-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾオキサゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-メチルベンゾオキサゾール、1-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾオキサゾール、1-アミノベンゾトリアゾール、4,5,6,7-テトラブロモベンゾトリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、トリス(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メタン、これらの化合物の互変異性体等、これらの化合物の塩等が挙げられる。
〔分子量〕
特定化合物の分子量は、69~1,000であることが好ましく、69~500であることがより好ましく、69~200であることが更に好ましい。
〔含有量〕
特定化合物の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましく、3質量%以下が最も好ましい。特定化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<樹脂>
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂(特定樹脂)を含む。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特定樹脂として、ポリイミド又はポリイミド前駆体を含むことが好ましく、ポリイミド前駆体を含むことがより好ましい。
また、特定樹脂はラジカル重合性基を有することが好ましい。
特定樹脂がラジカル重合性基を有する場合、硬化性樹脂組成物は、感光剤として後述の光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、感光剤として後述の光ラジカル重合開始剤を含み、かつ、後述のラジカル架橋剤を含むことがより好ましく、感光剤として後述の光ラジカル重合開始剤を含み、後述のラジカル架橋剤を含み、かつ、後述の増感剤を含むことが更に好ましい。このような硬化性樹脂組成物からは、例えば、ネガ型感光層が形成される。
また、特定樹脂は、酸分解性基等の極性変換基を有していてもよい。
特定樹脂が酸分解性基を有する場合、硬化性樹脂組成物は、感光剤として後述の光酸発生剤を含むことが好ましい。このような硬化性樹脂組成物からは、例えば、化学増幅型であるポジ型感光層又はネガ型感光層が形成される。
〔ポリイミド前駆体〕
本発明で用いるポリイミド前駆体は、その種類等特に定めるものではないが、下記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
式(2)

式(2)中、A及びAは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表し、R111は、2価の有機基を表し、R115は、4価の有機基を表し、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
式(2)におけるA及びAは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表し、酸素原子が好ましい。
式(2)におけるR111は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、直鎖又は分岐の脂肪族基、環状の脂肪族基及び芳香族基を含む基が例示され、炭素数2~20の直鎖又は分岐の脂肪族基、炭素数6~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数6~20の芳香族基を含む基がより好ましい。本発明の特に好ましい実施形態として、-Ar-L-Ar-で表される基であることが例示される。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-CO-、-S-、-SO-又はNHCO-、あるいは、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。これらの好ましい範囲は、上述のとおりである。
111は、ジアミンから誘導されることが好ましい。ポリイミド前駆体の製造に用いられるジアミンとしては、直鎖又は分岐の脂肪族、環状の脂肪族又は芳香族ジアミンなどが挙げられる。ジアミンは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
具体的には、炭素数2~20の直鎖又は分岐の脂肪族基、炭素数6~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、又は、これらの組み合わせからなる基を含むジアミンであることが好ましく、炭素数6~20の芳香族基からなる基を含むジアミンであることがより好ましい。芳香族基の例としては、下記が挙げられる。

式中、Aは、単結合、又は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、-S-、-SO-、NHCO-、又は、これらの組み合わせから選択される基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基、-O-、-C(=O)-、-S-、又は、-SO-から選択される基であることがより好ましく、-CH-、-O-、-S-、-SO-、-C(CF-、又は、-C(CH-であることが更に好ましい。
式中、*は他の構造との結合部位を表す。
ジアミンとしては、具体的には、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン及び1,6-ジアミノヘキサン;1,2-又は1,3-ジアミノシクロペンタン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス-(3-アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルシクロヘキシルメタン及びイソホロンジアミン;m-又はp-フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4,4’-又は3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-及び3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-及び3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-又は3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジアミノパラテルフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)-10-ヒドロアントラセン、3,3’,4,4’-テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテル、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、3,3-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジメチル-3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4-及び2,5-ジアミノクメン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、アセトグアナミン、2,3,5,6-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,7-ジアミノフルオレン、2,5-ジアミノピリジン、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノ安息香酸のエステル、1,5-ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5-ビス(4-アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7-ビス(4-アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、p-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’-ビス(3-アミノ-5-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2’,5,5’,6,6’-ヘキサフルオロトリジン及び4,4’-ジアミノクアテルフェニルから選ばれる少なくとも1種のジアミンが挙げられる。
また、国際公開第2017/038598号の段落0030~0031に記載のジアミン(DA-1)~(DA-18)も好ましい。
また、国際公開第2017/038598号の段落0032~0034に記載の2つ以上のアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミンも好ましく用いられる。
111は、得られる有機膜の柔軟性の観点から、-Ar-L-Ar-で表されることが好ましい。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-CO-、-S-、-SO-又はNHCO-、あるいは、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。Arは、フェニレン基が好ましく、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基、-O-、-CO-、-S-又はSO-が好ましい。ここでの脂肪族炭化水素基は、アルキレン基が好ましい。
また、R111は、i線透過率の観点から、下記式(51)又は式(61)で表される2価の有機基であることが好ましい。特に、i線透過率、入手のし易さの観点から、式(61)で表される2価の有機基であることがより好ましい。
式(51)

式(51)中、R50~R57は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は1価の有機基であり、R50~R57の少なくとも1つは、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
50~R57の1価の有機基としては、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)の無置換のアルキル基、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)のフッ化アルキル基等が挙げられる。

式(61)中、R58及びR59は、それぞれ独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
式(51)又は(61)の構造を与えるジアミン化合物としては、2,2’-ジメチルベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(フルオロ)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他に以下のジアミンも好適に使用できる。

式(2)におけるR115は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、芳香環を含む4価の有機基が好ましく、下記式(5)又は式(6)で表される基がより好ましい。
式(5)又は式(6)中、*は他の構造との結合部位を表す。
式(5)

式(5)中、R112は、単結合、又は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、及びNHCO-、ならびに、これらの組み合わせから選択される基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基、-O-、-CO-、-S-及びSO-から選択される基であることがより好ましく、-CH-、-C(CF-、-C(CH-、-O-、-CO-、-S-及びSO-からなる群から選択される2価の基であることが更に好ましい。
式(6)
115は、具体的には、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物は、下記式(O)で表されることが好ましい。
式(O)

式(O)中、R115は、4価の有機基を表す。R115の好ましい範囲は式(2)におけるR115と同義であり、好ましい範囲も同様である。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ジフェニルヘキサフルオロプロパン-3,3,4,4-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ならびに、これらの炭素数1~6のアルキル及び炭素数1~6のアルコキシ誘導体が挙げられる。
また、国際公開第2017/038598号の段落0038に記載のテトラカルボン酸二無水物(DAA-1)~(DAA-5)も好ましい例として挙げられる。
111とR115の少なくとも一方がOH基を有することも好ましい。より具体的には、R111として、ビスアミノフェノール誘導体の残基が挙げられる。
113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R113及びR114の少なくとも一方が重合性基を含むことが好ましく、両方が重合性基を含むことがより好ましい。重合性基としては、熱、ラジカル等の作用により、架橋反応することが可能な基であって、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の具体例としては、エチレン性不飽和結合を有する基、アルコキシメチル基、ヒドロキシメチル基、アシルオキシメチル基、エポキシ基、オキセタニル基、ベンゾオキサゾリル基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アミノ基が挙げられる。ポリイミド前駆体等が有するラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、下記式(III)で表される基などが挙げられ、下記式(III)で表される基が好ましい。
式(III)において、R200は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
式(III)において、R201は、炭素数2~12のアルキレン基、-CHCH(OH)CH-又はポリアルキレンオキシ基を表す。
好適なR201の例は、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、-CHCH(OH)CH-、ポリアルキレンオキシ基が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、-CHCH(OH)CH-、ポリアルキレンオキシ基がより好ましく、有機膜において式(1)又は式(2)を満たしやすくする観点からは、ポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基が2以上直接結合した基をいう。ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
上記アルキレン基の炭素数(アルキレン基が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む)は、2以上であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~6であることがより好ましく、2~5であることが更に好ましく、2~4であることが一層好ましく、2又は3であることが特に好ましく、2であることが最も好ましい。
また、上記アルキレン基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、ポリアルキレンオキシ基に含まれるアルキレンオキシ基の数(ポリアルキレンオキシ基の繰り返し数)は、2~20が好ましく、2~10がより好ましく、2~6が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、溶剤溶解性及び耐溶剤性の観点からは、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、ポリトリメチレンオキシ基、ポリテトラメチレンオキシ基、又は、複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基が好ましく、ポリエチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基がより好ましく、ポリエチレンオキシ基が更に好ましい。上記複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるエチレンオキシ基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。1価の有機基としては、アリール基を構成する炭素の1つ、2つ又は3つに、好ましくは1つに酸性基を結合している、芳香族基及びアラルキル基などが挙げられる。具体的には、酸性基を有する炭素数6~20の芳香族基、酸性基を有する炭素数7~25のアラルキル基が挙げられる。より具体的には、酸性基を有するフェニル基及び酸性基を有するベンジル基が挙げられる。酸性基は、OH基が好ましい。
113又はR114が、水素原子、2-ヒドロキシベンジル、3-ヒドロキシベンジル及び4-ヒドロキシベンジルであることもより好ましい。
有機溶剤への溶解度の観点からは、R113又はR114は、1価の有機基であることが好ましい。1価の有機基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、芳香族基を含むことが好ましく、芳香族基で置換されたアルキル基がより好ましい。
アルキル基の炭素数は1~30が好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルヘキシル基2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ基、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基、及び2-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基が挙げられる。環状のアルキル基は、単環の環状のアルキル基であってもよく、多環の環状のアルキル基であってもよい。単環の環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環の環状のアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。中でも、高感度化との両立の観点から、シクロヘキシル基が最も好ましい。また、芳香族基で置換されたアルキル基としては、後述する芳香族基で置換された直鎖アルキル基が好ましい。
芳香族基としては、具体的には、置換又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。ベンゼン環が最も好ましい。
式(2)において、R113が水素原子である場合、又は、R114が水素原子である場合、ポリイミド前駆体はエチレン性不飽和結合を有する3級アミン化合物と対塩を形成していてもよい。このようなエチレン性不飽和結合を有する3級アミン化合物の例としては、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリレートが挙げられる。
113及びR114の少なくとも一方が、酸分解性基等の極性変換基であってもよい。酸分解性基としては、酸の作用で分解して、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基等のアルカリ可溶性基を生じるものであれば特に限定されないが、アセタール基、ケタール基、シリル基、シリルエーテル基、第三級アルキルエステル基等が好ましく、露光感度の観点からは、アセタール基がより好ましい。
酸分解性基の具体例としては、tert-ブトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、トリメチルシリル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、トリメチルシリルエーテル基などが挙げられる。露光感度の観点からは、エトキシエチル基、又は、テトラヒドロフラニル基が好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、構造単位中にフッ素原子を有することも好ましい。ポリイミド前駆体中のフッ素原子含有量は、10質量%以上が好ましく、また、20質量%以下が好ましい。
また、基板との密着性を向上させる目的で、ポリイミド前駆体は、シロキサン構造を有する脂肪族基と共重合していてもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p-アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
式(2)で表される繰り返し単位は、式(2-A)で表される繰り返し単位であることが好ましい。すなわち、本発明で用いるポリイミド前駆体等の少なくとも1種が、式(2-A)で表される繰り返し単位を有する前駆体であることが好ましい。このような構造とすることにより、露光ラチチュードの幅をより広げることが可能になる。
式(2-A)

式(2-A)中、A及びAは、酸素原子を表し、R111及びR112は、それぞれ独立に、2価の有機基を表し、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R113及びR114の少なくとも一方は、重合性基を含む基であり、両方が重合性基であることが好ましい。
、A、R111、R113及びR114は、それぞれ独立に、式(2)におけるA、A、R111、R113及びR114と同義であり、好ましい範囲も同様である。
112は、式(5)におけるR112と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリイミド前駆体は、式(2)で表される繰り返し構造単位を1種含んでいてもよいが、2種以上で含んでいてもよい。また、式(2)で表される繰り返し単位の構造異性体を含んでいてもよい。また、ポリイミド前駆体は、上記式(2)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位をも含んでよいことはいうまでもない。
本発明におけるポリイミド前駆体の一実施形態として、全繰り返し単位の50モル%以上、更には70モル%以上、特に90モル%以上が式(2)で表される繰り返し単位であるポリイミド前駆体が例示される。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは18,000~30,000であり、より好ましくは20,000~27,000であり、更に好ましくは22,000~25,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは7,200~14,000であり、より好ましくは8,000~12,000であり、更に好ましくは9,200~11,200である。
上記ポリイミド前駆体の分子量の分散度は、2.5以上が好ましく、2.7以上がより好ましく、2.8以上であることが更に好ましい。ポリイミド前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.8以下が更に好ましく、3.2以下が一層好ましく、3.1以下がより一層好ましく、3.0以下が更に一層好ましく、2.95以下が特に好ましい。
本明細書において、分子量の分散度とは、重量平均分子量/数平均分子量により算出される値である。
〔ポリイミド〕
本発明に用いられるポリイミドは、アルカリ可溶性ポリイミドであってもよく、有機溶剤を主成分とする現像液に対して可溶なポリイミドであってもよい。
本明細書において、アルカリ可溶性ポリイミドとは、100gの2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液に対し、23℃で0.1g以上溶解するポリイミドをいい、パターン形成性の観点からは、0.5g以上溶解するポリイミドであることが好ましく、1.0g以上溶解するポリイミドであることが更に好ましい。上記溶解量の上限は特に限定されないが、100g以下であることが好ましい。
また、ポリイミドは、得られる有機膜の膜強度及び絶縁性の観点からは、複数個のイミド構造を主鎖に有するポリイミドであることが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖をいい、「側鎖」とはそれ以外の結合鎖をいう。
-フッ素原子-
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ素原子は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にフッ化アルキル基として含まれることがより好ましい。
ポリイミドの全質量に対するフッ素原子の量は、1~50mol/gであることが好ましく、5~30mol/gであることがより好ましい。
-ケイ素原子-
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、ケイ素原子を有することが好ましい。
ケイ素原子は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に後述する有機変性(ポリ)シロキサン構造として含まれることがより好ましい。
また、上記ケイ素原子又は上記有機変性(ポリ)シロキサン構造はポリイミドの側鎖に含まれていてもよいが、ポリイミドの主鎖に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するケイ素原子の量は、0.01~5mol/gであることが好ましく、0.05~1mol/gであることがより好ましい。
-エチレン性不飽和結合-
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を主鎖末端に有していてもよいし、側鎖に有していてもよいが、側鎖に有することが好ましい。
上記エチレン性不飽和結合は、ラジカル重合性を有することが好ましい。
エチレン性不飽和結合は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
これらの中でも、エチレン性不飽和結合は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基等の芳香環に直接結合した、置換されていてもよいビニル基を有する基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロイルオキシ基、下記式(IV)で表される基などが挙げられる。
式(IV)中、R20は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。
式(IV)中、R21は、炭素数2~12のアルキレン基、-O-CHCH(OH)CH-、-C(=O)O-、-O(C=O)NH-、炭素数2~30の(ポリ)アルキレンオキシ基(アルキレン基の炭素数は2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2又は3が特に好ましい;繰り返し数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、又はこれらを2以上組み合わせた基を表す。
これらの中でも、R21は下記式(R1)~式(R3)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(R1)で表される基であることがより好ましい。

式(R1)~(R3)中、Lは単結合、又は、炭素数2~12のアルキレン基、炭素数2~30の(ポリ)アルキレンオキシ基若しくはこれらを2以上結合した基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、*は他の構造との結合部位を表し、●は式(III)中のR201が結合する酸素原子との結合部位を表す。
式(R1)~(R3)中、Lにおける炭素数2~12のアルキレン基、又は、炭素数2~30の(ポリ)アルキレンオキシ基の好ましい態様は、上述のR21における、炭素数2~12のアルキレン基、又は、炭素数2~30の(ポリ)アルキレンオキシ基の好ましい態様と同様である。
式(R1)中、Xは酸素原子であることが好ましい。
式(R1)~(R3)中、*は式(IV)中の*と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(R1)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、イソシアナト基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2-イソシアナトエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R2)で表される構造は、例えば、カルボキシ基を有するポリイミドと、ヒドロキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R3)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、グリシジル基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、グリシジルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
ポリアルキレンオキシ基としては、溶剤溶解性及び耐溶剤性の観点からは、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、ポリトリメチレンオキシ基、ポリテトラメチレンオキシ基、又は、複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基が好ましく、ポリエチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基がより好ましく、ポリエチレンオキシ基が更に好ましい。上記複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるエチレンオキシ基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
式(IV)中、*は他の構造との結合部位を表し、ポリイミドの主鎖との結合部位であることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合の量は、0.05~10mol/gであることが好ましく、0.1~5mol/gであることがより好ましい。
また、製造適性の観点では、ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合の量は、0.0001~0.1mol/gであることが好ましく、0.0005~0.05mol/gであることがより好ましい。
-エチレン性不飽和結合以外の架橋性基-
ポリイミドは、エチレン性不飽和結合以外の架橋性基を有していてもよい。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基としては、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、メトキシメチル基等のアルコキシメチル基、メチロール基等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合以外の架橋性基の量は、0.05~10mol/gであることが好ましく、0.1~5mol/gであることがより好ましい。
また、製造適性の観点では、ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合以外の架橋性基の量は、0.0001~0.1mol/gであることが好ましく、0.001~0.05mol/gであることがより好ましい。
-極性変換基-
ポリイミドは、酸分解性基等の極性変換基を有していてもよい。ポリイミドにおける酸分解性基は、上述の式(2)におけるR113及びR114において説明した酸分解性基と同様であり、好ましい態様も同様である。
-酸価-
ポリイミドがアルカリ現像に供される場合、現像性を向上する観点からは、ポリイミドの酸価は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、70mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
また、上記酸価は500mgKOH/g以下であることが好ましく、400mgKOH/g以下であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
また、ポリイミドが有機溶剤を主成分とする現像液を用いた現像(例えば、後述する「溶剤現像」)に供される場合、ポリイミドの酸価は、2~35mgKOH/gが好ましく、3~30mgKOH/gがより好ましく、5~20mgKOH/gが更に好ましい。
上記酸価は、公知の方法により測定され、例えば、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される。
また、ポリイミドに含まれる酸基としては、保存安定性及び現像性の両立の観点から、pKaが0~10である酸基が好ましく、3~8である酸基がより好ましい。
pKaとは、酸から水素イオンが放出される解離反応を考え、その平衡定数Kaをその負の常用対数pKaによって表したものである。
このような酸基として、ポリイミドは、カルボキシ基、及び、フェノール性ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を含むことがより好ましい。
-フェノール性ヒドロキシ基-
アルカリ現像液による現像速度を適切なものとする観点からは、ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。
ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を主鎖末端に有してもよいし、側鎖に有してもよい。
フェノール性ヒドロキシ基は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するフェノール性ヒドロキシ基の量は、0.1~30mol/gであることが好ましく、1~20mol/gであることがより好ましい。
本発明で用いるポリイミドとしては、イミド環を有する高分子化合物であれば、特に限定はないが、下記式(4)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、式(4)で表される繰り返し単位を含み、重合性基を有する化合物であることがより好ましい。
式(4)

式(4)中、R131は、2価の有機基を表し、R132は、4価の有機基を表す。
重合性基を有する場合、重合性基は、R131及びR132の少なくとも一方に位置していてもよいし、下記式(4-1)又は式(4-2)に示すようにポリイミドの末端に位置していてもよい。
式(4-1)

式(4-1)中、R133は重合性基であり、他の基は式(4)と同義である。
式(4-2)

134及びR135の少なくとも一方は重合性基であり、重合性基でない場合は有機基であり、他の基は式(4)と同義である。
重合性基は、上記のポリイミド前駆体等が有している重合性基で述べた重合性基と同義である。
131は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、式(2)におけるR111と同様のものが例示され、好ましい範囲も同様である。
また、R131としては、ジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基が挙げられる。ジアミンとしては、脂肪族、環式脂肪族又は芳香族ジアミンなどが挙げられる。
具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR111の例が挙げられる。
131は、少なくとも2つのアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミン残基であることが、焼成時における反りの発生をより効果的に抑制する点で好ましい。より好ましくは、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか又は両方を一分子中にあわせて2つ以上含むジアミン残基であり、更に好ましくは芳香環を含まないジアミン残基である。
エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか又は両方を一分子中にあわせて2つ以上含むジアミンとしては、ジェファーミン(登録商標)KH-511、ED-600、ED-900、ED-2003、EDR-148、EDR-176、D-200、D-400、D-2000、D-4000(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)、1-(2-(2-(2-アミノプロポキシ)エトキシ)プロポキシ)プロパン-2-アミン、1-(1-(1-(2-アミノプロポキシ)プロパン-2-イル)オキシ)プロパン-2-アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
132は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、式(2)におけるR115と同様のものが例示され、好ましい範囲も同様である。
例えば、R115として例示される4価の有機基の4つの結合子が、上記式(4)中の4つの-C(=O)-の部分と結合して縮合環を形成する。
また、R132は、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR115の例が挙げられる。有機膜の強度の観点から、R132は1~4つの芳香環を有する芳香族ジアミン残基であることが好ましい。
131とR132の少なくとも一方にOH基を有することも好ましい。より具体的には、R131として、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、上記の(DA-1)~(DA-18)が好ましい例として挙げられ、R132として、上記の(DAA-1)~(DAA-5)がより好ましい例として挙げられる。
また、ポリイミドは、構造単位中にフッ素原子を有することも好ましい。ポリイミド中のフッ素原子の含有量は10質量%以上が好ましく、また、20質量%以下が好ましい。
また、基板との密着性を向上させる目的で、ポリイミドは、シロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p-アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
また、組成物の保存安定性を向上させるため、ポリイミドは主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。これらのうち、モノアミンを用いることがより好ましく、モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2-エチニルアニリン、3-エチニルアニリン、4-エチニルアニリン、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
-イミド化率(閉環率)-
ポリイミドのイミド化率(「閉環率」ともいう)は、得られる有機膜の膜強度、絶縁性等の観点からは、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
上記イミド化率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記イミド化率は、例えば下記方法により測定される。
ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造由来の吸収ピークである1377cm-1付近のピーク強度P1を求める。次に、そのポリイミドを350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm-1付近のピーク強度P2を求める。得られたピーク強度P1、P2を用い、下記式に基づいて、ポリイミドのイミド化率を求めることができる。
イミド化率(%)=(ピーク強度P1/ピーク強度P2)×100
ポリイミドは、すべてが1種のR131又はR132を含む上記式(4)の繰り返し構造単位を含んでいてもよく、2つ以上の異なる種類のR131又はR132を含む上記式(4)の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、ポリイミドは、上記式(4)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位をも含んでいてもよい。
ポリイミドは、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物又はモノ酸クロリド化合物又はモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを、既知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法、又は、途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する方法、更には、完全イミド化したポリマーと、そのポリイミド前駆体をブレンドする事によって、一部イミド構造を導入する方法を利用して合成することができる。
ポリイミドの市販品としては、Durimide(登録商標)284(富士フイルム(株)製)、Matrimide5218(HUNTSMAN(株)製)が例示される。
ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、4,000~100,000が挙げられ、5,000~70,000が好ましく、8,000~50,000がより好ましく、10,000~30,000が更に好ましい。重量平均分子量を5,000以上とすることにより、硬化後の膜の耐折れ性を向上させることができる。機械特性に優れた有機膜を得るため、重量平均分子量は、20,000以上が特に好ましい。また、ポリイミドを2種以上含有する場合、少なくとも1種のポリイミドの重量平均分子量が上記範囲であることが好ましい。
〔ポリベンゾオキサゾール前駆体〕
本発明で用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、その構造等について特に定めるものではないが、好ましくは下記式(3)で表される繰り返し単位を含む。
式(3)

式(3)中、R121は、2価の有機基を表し、R122は、4価の有機基を表し、R123及びR124は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
式(3)において、R123及びR124は、それぞれ、式(2)におけるR113と同義であり、好ましい範囲も同様である。すなわち、少なくとも一方は、重合性基であることが好ましい。
式(3)において、R121は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を含む基が好ましい。脂肪族基としては、直鎖の脂肪族基が好ましい。R121は、ジカルボン酸残基が好ましい。ジカルボン酸残基は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
ジカルボン酸残基としては、脂肪族基を含むジカルボン酸及び芳香族基を含むジカルボン酸残基が好ましく、芳香族基を含むジカルボン酸残基がより好ましい。
脂肪族基を含むジカルボン酸としては、直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基を含むジカルボン酸が好ましく、直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基と2つの-COOHからなるジカルボン酸がより好ましい。直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基の炭素数は、2~30であることが好ましく、2~25であることがより好ましく、3~20であることが更に好ましく、4~15であることが一層好ましく、5~10であることが特に好ましい。直鎖の脂肪族基はアルキレン基であることが好ましい。
直鎖の脂肪族基を含むジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ-n-ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2-ジメチルスクシン酸、2,3-ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6-テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9-ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸、更に下記式で表されるジカルボン酸等が挙げられる。

(式中、Zは炭素数1~6の炭化水素基であり、nは1~6の整数である。)
芳香族基を含むジカルボン酸としては、以下の芳香族基を有するジカルボン酸が好ましく、以下の芳香族基と2つの-COOHのみからなるジカルボン酸がより好ましい。

式中、Aは-CH-、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NHCO-、-C(CF-、及び、-C(CH-からなる群から選択される2価の基を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
芳香族基を含むジカルボン酸の具体例としては、4,4’-カルボニル二安息香酸及び4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、テレフタル酸が挙げられる。
式(3)において、R122は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、上記式(2)におけるR115と同義であり、好ましい範囲も同様である。
122は、また、ビスアミノフェノール誘導体由来の基であることが好ましく、ビスアミノフェノール誘導体由来の基としては、例えば、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ジアミノ-2,5-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジアミノ-2,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジアミノ-4,6-ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらのビスアミノフェノールは、単独にて、あるいは混合して使用してもよい。
ビスアミノフェノール誘導体のうち、下記芳香族基を有するビスアミノフェノール誘導体が好ましい。

式中、Xは、-O-、-S-、-C(CF-、-CH-、-SO-、-NHCO-を表し、*及び#はそれぞれ、他の構造との結合部位を表す。Rは水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子又は炭化水素基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましい。また、R122は、上記式により表される構造であることも好ましい。R122が、上記式により表される構造である場合、計4つの*及び#のうち、いずれか2つが式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であり、かつ、別の2つが式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であることが好ましく、2つの*が式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であり、かつ、2つの#が式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であるか、又は、2つの*が式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であり、かつ、2つの#が式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であることがより好ましく、2つの*が式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であり、かつ、2つの#が式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であることが更に好ましい。
式(A-s)中、Rは、水素原子、アルキレン、置換アルキレン、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NHCO-、単結合、又は下記式(A-sc)の群から選ばれる有機基である。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、環状のアルキル基のいずれかであり、同一でも異なってもよい。Rは水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、環状のアルキル基のいずれかであり、同一でも異なってもよい。

(式(A-sc)中、*は上記式(A-s)で示されるビスアミノフェノール誘導体のアミノフェノール基の芳香環に結合することを示す。)
上記式(A-s)中、フェノール性水酸基のオルソ位、すなわち、Rにも置換基を有することが、アミド結合のカルボニル炭素と水酸基の距離をより接近させると考えられ、低温で硬化した際に高環化率になる効果が更に高まる点で、特に好ましい。
また、上記式(A-s)中、Rがアルキル基であり、かつRがアルキル基であることが、i線に対する高透明性と低温で硬化した際に高環化率であるという効果を維持することができ、好ましい。
また、上記式(A-s)中、Rがアルキレン又は置換アルキレンであることが、更に好ましい。Rに係るアルキレン及び置換アルキレンの具体的な例としては、炭素数1~8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等が挙げられるが、その中でも-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-が、i線に対する高透明性と低温で硬化した際の高環化率であるという効果を維持しながら、溶剤に対して十分な溶解性を持つ、バランスに優れるポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることができる点で、より好ましい。
上記式(A-s)で示されるビスアミノフェノール誘導体の製造方法としては、例えば、特開2013-256506号公報の段落番号0085~0094及び実施例1(段落番号0189~0190)を参考にすることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記式(A-s)で示されるビスアミノフェノール誘導体の構造の具体例としては、特開2013-256506号公報の段落番号0070~0080に記載のものが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。もちろん、これらに限定されるものではないことは言うまでもない。
ポリベンゾオキサゾール前駆体は上記式(3)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位も含んでよい。
閉環に伴う反りの発生を抑制できる点で、下記式(SL)で表されるジアミン残基を他の種類の繰り返し構造単位として含むことが好ましい。

式(SL)中、Zは、a構造とb構造を有し、R1sは、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であり、R2sは炭素数1~10の炭化水素基であり、R3s、R4s、R5s、R6sのうち少なくとも1つは芳香族基で、残りは水素原子又は炭素数1~30の有機基で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。a構造及びb構造の重合は、ブロック重合でもランダム重合でもよい。Z部分のモル%は、a構造は5~95モル%、b構造は95~5モル%であり、a+bは100モル%である。
式(SL)において、好ましいZとしては、b構造中のR5s及びR6sがフェニル基であるものが挙げられる。また、式(SL)で示される構造の分子量は、400~4,000であることが好ましく、500~3,000がより好ましい。上記分子量を上記範囲とすることで、より効果的に、ポリベンゾオキサゾール前駆体の脱水閉環後の弾性率を下げ、反りを抑制できる効果と溶剤溶解性を向上させる効果を両立することができる。
他の種類の繰り返し構造単位として式(SL)で表されるジアミン残基を含む場合、更に、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基を繰り返し構造単位として含むことも好ましい。このようなテトラカルボン酸残基の例としては、式(2)中のR115の例が挙げられる。
ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、後述する組成物に用いる場合、好ましくは18,000~30,000であり、より好ましくは20,000~29,000であり、更に好ましくは22,000~28,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは7,200~14,000であり、より好ましくは8,000~12,000であり、更に好ましくは9,200~11,200である。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量の分散度は、1.4以上であることが好ましく、1.5以上がより好ましく、1.6以上であることが更に好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、2.6以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.4以下が更に好ましく、2.3以下が一層好ましく、2.2以下がより一層好ましい。
〔ポリベンゾオキサゾール〕
ポリベンゾオキサゾールとしては、ベンゾオキサゾール環を有する高分子化合物であれば、特に限定はないが、下記式(X)で表される化合物であることが好ましく、下記式(X)で表される化合物であって、重合性基を有する化合物であることがより好ましい。上記重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましい。また、下記式(X)で表される化合物であって、酸分解性基等の極性変換基を有する化合物であってもよい。

式(X)中、R133は、2価の有機基を表し、R134は、4価の有機基を表す。
重合性基又は酸分解性基等の極性変換基を有する場合、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基は、R133及びR134の少なくとも一方に位置していてもよいし、下記式(X-1)又は式(X-2)に示すようにポリベンゾオキサゾールの末端に位置していてもよい。
式(X-1)

式(X-1)中、R135及びR136の少なくとも一方は、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基であり、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基でない場合は有機基であり、他の基は式(X)と同義である。
式(X-2)

式(X-2)中、R137は重合性基又は酸分解性基等の極性変換基であり、他は置換基であり、他の基は式(X)と同義である。
重合性基又は酸分解性基等の極性変換基は、上記のポリイミド前駆体等が有している重合性基で述べた重合性基と同義である。
133は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、脂肪族又は芳香族基が挙げられる。具体的な例としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の式(3)中のR121の例が挙げられる。また、その好ましい例はR121と同様である。
134は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の式(3)中のR122の例が挙げられる。また、その好ましい例はR122と同様である。
例えば、R122として例示される4価の有機基の4つの結合子が、上記式(X)中の窒素原子、酸素原子と結合して縮合環を形成する。例えば、R134が、下記有機基である場合、下記構造を形成する。
ポリベンゾオキサゾールはオキサゾール化率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。オキサゾール化率が85%以上であることにより、加熱によりオキサゾール化される時に起こる閉環に基づく膜収縮が小さくなり、反りの発生をより効果的に抑えることができる。
ポリベンゾオキサゾールは、すべてが1種のR131又はR132を含む上記式(X)の繰り返し構造単位を含んでいてもよく、2つ以上の異なる種類のR131又はR132を含む上記式(X)の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、ポリベンゾオキサゾールは、上記式(X)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位も含んでいてもよい。
ポリベンゾオキサゾールは、例えば、ビスアミノフェノール誘導体と、R133を含むジカルボン酸又は上記ジカルボン酸の、ジカルボン酸ジクロライド及びジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応させて、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得、これを既知のオキサゾール化反応法を用いてオキサゾール化させることで得られる。
なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
ポリベンゾオキサゾールの重量平均分子量(Mw)は、5,000~70,000が好ましく、8,000~50,000がより好ましく、10,000~30,000が更に好ましい。重量平均分子量を5,000以上とすることにより、硬化後の膜の耐折れ性を向上させることができる。機械特性に優れた有機膜を得るため、重量平均分子量は、20,000以上が特に好ましい。また、ポリベンゾオキサゾールを2種以上含有する場合、少なくとも1種のポリベンゾオキサゾールの重量平均分子量が上記範囲であることが好ましい。
〔ポリイミド前駆体等の製造方法〕
ポリイミド前駆体等は、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応させて得られる。好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体を、塩化チオニル等のハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させて得られる。
また、上記ハロゲン化剤を用いず、非ハロゲン系触媒を用いて合成することも好ましい。上記非ハロゲン系触媒としては、ハロゲン原子を含まない公知のアミド化触媒を特に制限なく使用することが可能であるが、例えば、ボロキシン化合物、N-ヒドロキシ化合物、3級アミン、リン酸エステル、アミン塩、ウレア化合物等、カルボジイミド化合物が挙げられる。上記カルボジイミド化合物としては、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’-ジシクロへキシルカルボジイミド等が挙げられる。
ポリイミド前駆体等の製造方法では、反応に際し、有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
有機溶剤としては、原料に応じて適宜定めることができるが、ピリジン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、N-メチルピロリドン及びN-エチルピロリドンが例示される。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を合成してから、熱イミド化、化学イミド化(例えば、触媒を作用させることによる環化反応の促進)等の方法により環化させて製造してもよいし、直接、ポリイミドを合成してもよい。
-末端封止剤-
ポリイミド前駆体等の製造方法に際し、保存安定性をより向上させるため、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で、ポリイミド前駆体等の末端を封止することが好ましい。末端封止剤としては、モノアミンを用いることがより好ましく、モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2-エチニルアニリン、3-エチニルアニリン、4-エチニルアニリン、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
-固体析出-
ポリイミド前駆体等の製造に際し、固体を析出する工程を含んでいてもよい。具体的には、反応液中のポリイミド前駆体等を、水中に沈殿させ、テトラヒドロフラン等のポリイミド前駆体等が可溶な溶剤に溶解させることによって、固体析出することができる。
その後、ポリイミド前駆体等を乾燥して、粉末状のポリイミド前駆体等を得ることができる。
〔含有量〕
本発明の組成物における特定樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが一層好ましい。また、本発明の組成物における樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましく、97質量%以下であることが一層好ましく、95質量%以下であることがより一層好ましい。
本発明の組成物は、特定樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の樹脂>
本発明の樹脂組成物は、上述した特定樹脂と、特定樹脂とは異なる他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ともいう)とを含んでもよい。
他の樹脂としては、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、シロキサン構造を含む樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
例えば、アクリル樹脂を更に加えることにより、塗布性に優れた組成物が得られ、また、耐溶剤性に優れたパターン(硬化膜)が得られる。
例えば、後述する重合性化合物に代えて、又は、後述する重合性化合物に加えて、重量平均分子量が20,000以下の重合性基価の高いアクリル系樹脂を組成物に添加することにより、組成物の塗布性、パターン(硬化膜)の耐溶剤性等を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが一層好ましく、5質量%以上であることがより一層好ましく、10質量%以上であることが更に一層好ましい。
また、本発明の樹脂組成物における、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることがより一層好ましい。
また、本発明の樹脂組成物の好ましい一態様として、他の樹脂の含有量が低含有量である態様とすることもできる。上記態様において、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
本発明の樹脂組成物は、他の樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<溶剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤を含む。溶剤としては、公知の溶剤を任意に使用できる。溶剤は有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類などの化合物が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗布時の塗布欠陥を抑制する、保存安定性を向上する等の観点からは、溶剤の全質量に対する水の含有量が5質量%以下であることが好ましい。
上記水の含有量は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
また、上記水の含有量は、0質量%としてもよい。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸へキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等が好適なものとして挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が好適なものとして挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、3-メチルシクロヘキサノン、レボグルコセノン、ジヒドロレボグルコセノン等が好適なものとして挙げられる。
芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等が好適なものとして挙げられる。
スルホキシド類として、例えば、ジメチルスルホキシドが好適なものとして挙げられる。
アミド類として、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-ホルミルモルホリン、N-アセチルモルホリン等が好適なものとして挙げられる。
ウレア類として、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が好適なものとして挙げられる。
アルコール類として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n-アミルアルコール、メチルアミルアルコール、および、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
溶剤は、塗布面性状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。
本発明では、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される1種の溶剤、又は、2種以上で構成される混合溶剤が好ましい。ジメチルスルホキシドとγ-ブチロラクトンとの併用が特に好ましい。また、N-メチル-2-ピロリドンと乳酸エチル、N-メチル-2-ピロリドンと乳酸エチル、ジアセトンアルコールと乳酸エチル、シクロペンタノンとγ-ブチロラクトン、の組み合わせも好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤として、窒素原子を含まない溶剤を含むことが好ましい。窒素原子を含まない溶剤中では、特定化合物の解離(脱プロトン)が起こりやすいため、組成物を基材に適用した際の特定化合物と金属との密着エネルギーが増大しやすく、腐食抑制能が優れやすいと考えられる。
窒素原子を有しない溶剤としては、上述のエステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、及び、スルホキシド類が挙げられる。これらの中でも、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、3-メトキシブチルアセテート(3-MBA)、メチル-3-メトキシプロピオネート(MMP)、エチルピルべート(ピルビン酸エチル、EP)、2-エトキシエチルアセテート(EA)、n-ブチルアセテート(BA)、又は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)が好ましく挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が、窒素原子を含まない溶剤を含む場合、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤の全質量に対する窒素原子を含まない溶剤の含有量は、10~100質量%であることが好ましく、20~100質量%であることがより好ましく、50~100質量%であることが更に好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、N-メチルピロリドン等の窒素原子を含む溶剤を実質的に含まない態様とすることもできる。上記態様においては、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤の全質量に対する窒素原子を含む溶剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。上記含有量の最小値は、0質量%であってもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤として、炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤を含むことも好ましい。
炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤は、溶剤を構成する原子として炭素原子、酸素原子及び水素原子から選ばれた原子のみを含む溶剤であり、炭素原子及び水素原子のみを含む溶剤であってもよいが、炭素原子、酸素原子及び水素原子を含む溶剤であることが好ましい。
炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤としては、上述のエステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの中でも、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、3-メトキシブチルアセテート(3-MBA)、メチル-3-メトキシプロピオネート(MMP)、エチルピルべート(ピルビン酸エチル、EP)、2-エトキシエチルアセテート(EA)、n-ブチルアセテート(BA)、又は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)が好ましく挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が、炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤を含む場合、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤の全質量に対する炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤の含有量は、10~100質量%であることが好ましく、20~100質量%であることがより好ましく、50~100質量%であることが更に好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、炭素原子、酸素原子及び水素原子以外の原子を含む溶剤を実質的に含まない態様とすることもできる。上記態様においては、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤の全質量に対する炭素原子、酸素原子及び水素原子以外の原子を含む溶剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。上記含有量の最小値は、0質量%であってもよい。
溶剤の含有量は、塗布性の観点から、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分濃度が5~80質量%になる量とすることが好ましく、5~75質量%となる量にすることがより好ましく、10~70質量%となる量にすることが更に好ましく、40~70質量%となるようにすることが一層好ましい。溶剤含有量は、所望の厚さと塗布方法によって調節すればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。溶剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<pH調整剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、pH調整剤を更に含んでもよい。
pH調整剤としては、酸性化合物又は塩基性化合物が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が、酸性化合物、及び、塩基性化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一方を含むことにより、組成物又は硬化膜の外界から酸や塩基が入ってきた場合であっても、これらの化合物による緩衝作用により、組成物又は硬化膜のpHが7未満に保たれやすくなり、金属腐食抑制性及び組成物の液保存安定性が向上しやすくなると考えられる。
〔酸性化合物〕
酸性化合物としては、カルボキシ基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、特に限定されないが、後述するカルボキシ基を有するシランカップリング剤、又は、ポリアミノカルボン酸化合物又はその塩が好ましい。
ポリアミノカルボン酸化合物又はその塩としては、特に限定されないが、エチレンジアミン四酢酸、トランス-1,2シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、又は、これらのアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、上記緩衝作用を得る観点からは、上記カルボキシ基を有する化合物のカルボキシ基の、DMSO中のpKaは、4~20であることが好ましく、6~18であることがより好ましく、6~15であることが更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対する上記酸性化合物の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~8質量%であることがより好ましく、0.5~6質量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔塩基性化合物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、pH調整剤として、塩基性化合物を含むことも好ましい。
塩基性化合物には、上述のトリアゾール構造を有する化合物は含まれないものとする。
金属腐食抑制性及び保存安定性の観点から、塩基性化合物は、後述の熱酸発生剤、光酸発生剤、又は、マイグレーション抑制剤等に該当する化合物であってもよいが、これらに該当しない化合物であることが好ましい。
本発明において、塩基性化合物とは、硬化性樹脂組成物中で塩基性を呈する化合物であれば特に限定されないが、共役酸のDMSO中のpKaが1.0~7.0であることが好ましく、1.5~7.0であることがより好ましく、2.0~7.0であることが更に好ましい。
また、塩基性化合物としては、芳香族アミン構造及びアルコール性水酸基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の構造を含む化合物が好ましく、芳香族アミン構造及びアルコール性水酸基を含む化合物がより好ましい。
本明細書において、芳香族アミン構造とは、芳香環にアミノ基又は置換アミノ基が直接結合した構造をいい、芳香環に置換アミノ基が結合した構造であることが好ましく、芳香環に二置換アミノ基が結合した構造であることがより好ましい。上記置換アミノ基又は二置換アミノ基における置換基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい炭化水素基が好ましく、アルコール性水酸基を置換基として少なくとも有する炭化水素基が好ましい。上記炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、1~8のアルキル基がより好ましく、1~4のアルキル基が更に好ましい。二置換アミノ基における置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
芳香族アミン構造としては、下記式(A-1)により表される構造が好ましく挙げられる。

式(A-1)中、*はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基との結合部位を表し、*のうち少なくとも1つは置換基との結合部位を表す。
式(A-1)中、*はいずれも置換基との結合部位を表すことが好ましい。
また、式(A-1)中、ベンゼン環は、本発明の効果が得られる範囲内において公知の置換基又は縮合環を有していてもよい。
本明細書において、アルコール性水酸基とは、芳香環の環員ではない炭素原子に直接結合したヒドロキシ基をいい、脂肪族炭化水素基に含まれる炭素原子に直接結合したヒドロキシ基であることが好ましい。
本発明における塩基性化合物がアルコール性水酸基を有する場合、塩基性化合物はアルコール性水酸基を有するアミン化合物であることが好ましく、塩基性化合物を有する芳香族アミン化合物であることがより好ましい。
また、上記アミン化合物は、第三級アミン化合物であることが好ましく、第三級芳香族アミン化合物であることがより好ましい。
芳香族アミン構造及びアルコール性水酸基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の構造を含む化合物としては、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N-メチルアセトアニリド、3‘,4’-ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族アミン構造及びアルコール性水酸基を含む化合物として、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、又は、N-フェニルエタノールアミンが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対する上記塩基性化合物の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~8質量%であることがより好ましく、0.5~6質量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、塩基性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤として、カルボキシ基を有するシランカップリング剤を有することが好ましい。
上記カルボキシ基を有するシランカップリング剤は、上述の酸性化合物に該当する。
〔カルボキシ基を有するシランカップリング剤〕
カルボキシ基を有するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基と、カルボキシ基とを有する化合物が好ましく、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基と、カルボキシ基とを有する化合物がより好ましく、トリアルコキシシリル基と、カルボキシ基とを有する化合物が更に好ましい。
上記モノアルコキシシリル基、上記ジアルコキシシリル基又は上記トリアルコキシシリル基におけるアルコキシ基は特に限定されないが、炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
カルボキシ基を有するシランカップリング剤におけるカルボキシ基の数は、1以上であればよいが、1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
1gのカルボキシ基を有するシランカップリング剤における、カルボキシ基のモル量(mmol/g)は、3.12~12.5mmol/gであることが好ましく、3.12~6.25mmol/gであることがより好ましい。
カルボキシ基を有するシランカップリング剤の具体例としては、下記化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。

上記式中、Rはメチル基又はエチル基を表す。
カルボキシ基を有するシランカップリング剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、0.2質量%~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることが更に好ましい。
また、カルボキシ基を有するシランカップリング剤の含有量は、硬化性樹脂組成物に含まれる上記塩基性化合物の全質量に対して、5~80質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、カルボキシ基を有するシランカップリング剤を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。カルボキシ基を有するシランカップリング剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔他のシランカップリング剤〕
基材との密着性等の観点からは、本発明の硬化性樹脂組成物は、カルボキシ基を有しない、他のシランカップリング剤を含んでもよい。
他のシランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、ビニル基、アリル基、メタクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イミダゾール構造等の含窒素芳香族複素環基、アルキルアミド基等を有するシランカップリング剤が挙げられる。
また、他のシランカップリング剤として、国際公開第2015/199219号の段落0167に記載の化合物、特開2014-191002号公報の段落0062~0073に記載の化合物、国際公開第2011/080992号の段落0063~0071に記載の化合物、特開2014-191252号公報の段落0060~0061に記載の化合物、特開2014-041264号公報の段落0045~0052に記載の化合物、国際公開第2014/097594号の段落0055に記載の化合物のうち、カルボキシ基を有しない化合物が挙げられる。また、特開2011-128358号公報の段落0050~0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物が他のシランカップリング剤を含む場合、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、0.2質量%~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、他のシランカップリング剤を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。他のシランカップリング剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<他の樹脂>
本発明の組成物は、上述した特定樹脂以外に、特定樹脂とは異なる、他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ともいう。)を更に含んでもよい。
他の樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリアミドイミド前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、シロキサン構造を含む樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
例えば、アクリル樹脂を更に加えることにより、塗布性に優れた組成物が得られ、また、耐溶剤性に優れた有機膜が得られる。
例えば、後述する重合性化合物に代えて、又は、後述する重合性化合物に加えて、重量平均分子量が20,000以下の重合性基価の高いアクリル系樹脂を組成物に添加することにより、組成物の塗布性、有機膜の耐溶剤性等を向上させることができる。
本発明の組成物が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが一層好ましく、5質量%以上であることがより一層好ましく、10質量%以上であることが更に一層好ましい。
また、本発明の組成物における、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることがより一層好ましい。
また、本発明の組成物の好ましい一態様として、他の樹脂の含有量が低含有量である態様とすることもできる。上記態様において、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
本発明の組成物は、他の樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<感光剤>
本発明の組成物は、感光剤を含む。
感光剤としては、光重合開始剤が好ましい。
〔光重合開始剤〕
本発明の組成物は、感光剤として、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
有機膜において、上述の式(1)及び式(2)よりなる群から選ばれた少なくとも1つの式を満たしやすくする観点からは、本発明の組成物は、光ラジカル重合開始剤として、後述する金属元素含有化合物を含むことが好ましい。すなわち、本発明において、後述する金属元素含有化合物の中で、ラジカル重合開始能を有するものを、光ラジカル重合開始剤として用いることが可能である。
ここで、ラジカル重合開始能を有するとは、ラジカル重合を開始させることのできるフリーラジカルを発生させることができることを意味する。例えば、ラジカル重合性モノマーとバインダーポリマーと金属元素含有化合物とを含む組成物に対して、金属元素含有化合物が光を吸収する波長域であって、ラジカル重合性モノマーが光を吸収しない波長域の光を照射した時に、ラジカル重合性モノマーの消失の有無を確認することにより重合開始能の有無を確認することができる。消失の有無を確認するには、ラジカル重合性モノマーやバインダーポリマーの種類に応じて適宜の方法を選択できるが、例えばIR測定(赤外分光測定)又はHPLC測定(高速液体クロマトグラフィ)により確認すればよい。
本発明の組成物が、ラジカル重合開始能を有する金属元素含有化合物等を含む場合、本発明の組成物が、上記金属元素含有化合物以外のラジカル重合開始剤を実質的に含まないことも好ましい。上記金属元素含有化合物以外のラジカル重合開始剤を実質的に含まないとは、本発明の組成物において、上記金属元素含有化合物以外の他のラジカル重合開始剤の含有量が、上記金属元素含有化合物の全質量に対し、5質量%以下であることをいい、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%が更に好ましい。
また、本発明の組成物が、ラジカル重合開始能を有する金属元素含有化合物等を含む場合、本発明の組成物が、上記金属元素含有化合物と、他の光ラジカル重合開始剤とを含むことも好ましい。
本発明の組成物において、金属元素含有化合物と、他の光ラジカル重合開始剤とを含む場合、金属元素含有化合物と、他の光ラジカル重合開始剤の合計含有量に対する、金属元素含有化合物の含有量は、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。
また、上記他の光ラジカル重合開始剤としては、後述のオキシム化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、約300~800nm(好ましくは330~500nm)の範囲内で少なくとも約50L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶剤を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン構造を有する化合物、オキサジアゾール構造を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182、国際公開第2015/199219号の段落0138~0151の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ケトン化合物としては、例えば、特開2015-087611号公報の段落0087に記載の化合物が例示され、この内容は本明細書に組み込まれる。市販品では、カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製)も好適に用いられる。
本発明の一実施態様において、光ラジカル重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10-291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤を用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE 184(IRGACUREは登録商標)、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IRGACURE-2959、IRGACURE 127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の波長光源に吸収極大波長がマッチングされた特開2009-191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE-819やIRGACURE-TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
メタロセン化合物としては、IRGACURE-784、IRGACURE-784EG(いずれもBASF社製)などが例示される。メタロセン化合物には、後述の金属元素含有化合物であって、ラジカル重合開始能を有する化合物が含まれる。
光ラジカル重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物を用いることにより、露光ラチチュードをより効果的に向上させることが可能になる。オキシム化合物は、露光ラチチュード(露光マージン)が広く、かつ、光硬化促進剤としても働くため、特に好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物を用いることができる。
好ましいオキシム化合物としては、例えば、下記の構造の化合物や、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。本発明の組成物においては、特に光ラジカル重合開始剤としてオキシム化合物(オキシム系の光重合開始剤)を用いることが好ましい。オキシム系の光重合開始剤は、分子内に >C=N-O-C(=O)- の連結基を有する。
市販品ではIRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02、IRGACURE OXE 03、IRGACURE OXE 04(以上、BASF社製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光ラジカル重合開始剤2)も好適に用いられる。また、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831及びアデカアークルズNCI-930((株)ADEKA製)も用いることができる。また、DFI-091(ダイトーケミックス(株)製)を用いることができる。また、下記の構造のオキシム化合物を用いることもできる。
光重合開始剤としては、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物、特許06636081号に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
また、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることも可能である。そのようなオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載されている化合物、特表2014-500852号公報の段落0345に記載されている化合物24、36~40、特開2013-164471号公報の段落0101に記載されている化合物(C-3)などが挙げられる。
最も好ましいオキシム化合物としては、特開2007-269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009-191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3-アリール置換クマリン化合物よりなる群から選択される化合物が好ましい。
更に好ましい光ラジカル重合開始剤は、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が一層好ましく、メタロセン化合物又はオキシム化合物を用いるのがより一層好ましく、オキシム化合物が更に一層好ましい。
また、光ラジカル重合開始剤は、ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’-テトラアルキル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等の芳香環と縮環したキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体などを用いることもできる。また、下記式(I)で表される化合物を用いることもできる。
式(I)中、RI00は、炭素数1~20のアルキル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2~20のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、フェニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、ハロゲン原子、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素数2~12のアルケニル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2~18のアルキル基及び炭素数1~4のアルキル基の少なくとも1つで置換されたフェニル基、又はビフェニルであり、RI01は、式(II)で表される基であるか、RI00と同じ基であり、RI02~RI04は各々独立に炭素数1~12のアルキル、炭素数1~12のアルコキシ基又はハロゲンである。
式中、RI05~RI07は、上記式(I)のRI02~RI04と同じである。
また、光ラジカル重合開始剤は、国際公開第2015/125469号の段落0048~0055に記載の化合物を用いることもできる。
光重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは0.5~15質量%であり、一層好ましくは1.0~10質量%である。光重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
〔光酸発生剤〕
また、本発明の組成物は、感光剤として、光酸発生剤を含むことも好ましい。
光酸発生剤を含有することで、例えば、組成物層の露光部に酸が発生して、上記露光部の現像液(例えば、アルカリ水溶液)に対する溶解性が増大し、露光部が現像液により除去されるポジ型のパターンを得ることができる。
また、組成物が、光酸発生剤と、後述するラジカル重合性化合物以外の重合性化合物とを含有することにより、例えば、露光部に発生した酸により上記重合性化合物の架橋反応が促進され、露光部が非露光部よりも現像液により除去されにくくなる態様とすることもできる。このような態様によれば、ネガ型のパターンを得ることができる。
光酸発生剤としては、露光により酸を発生するものであれば特に限定されるものではないが、キノンジアジド化合物、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o-ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合及びスルホンアミド結合の少なくとも一方により結合したものなどが挙げられる。本発明においては、例えば、これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。
本発明において、キノンジアジドは5-ナフトキノンジアジドスルホニル基、4-ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光する波長によって4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4-ナフトキノンジアジドスルホニル基、5-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよいし、4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよい。
上記ナフトキノンジアジド化合物は、フェノール性ヒドロキシ基を有する化合物と、キノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって合成可能であり、公知の方法により合成することができる。これらのナフトキノンジアジド化合物を使用することで解像度、感度、残膜率がより向上する。
上記ナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸又は1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸、これらの化合物の塩又はエステル化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物、又は、スルホネート化合物としては、特開2008-013646号公報の段落0064~0122に記載の化合物等が挙げられる。
光酸発生剤は、オキシムスルホネート基を含む化合物(以下、単に「オキシムスルホネート化合物」ともいう)であることも好ましい。
オキシムスルホネート化合物は、オキシムスルホネート基を有していれば特に制限はないが、下記式(OS-1)、後述する式(OS-103)、式(OS-104)、又は、式(OS-105)で表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
式(OS-1)中、Xは、アルキル基、アルコキシル基、又は、ハロゲン原子を表す。Xが複数存在する場合は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記Xにおけるアルキル基及びアルコキシル基は、置換基を有していてもよい。上記Xにおけるアルキル基としては、炭素数1~4の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。上記Xにおけるアルコキシル基としては、炭素数1~4の直鎖状又は分岐状アルコキシル基が好ましい。上記Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
式(OS-1)中、m3は、0~3の整数を表し、0又は1が好ましい。m3が2又は3であるとき、複数のXは同一でも異なっていてもよい。
式(OS-1)中、R34は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルコキシル基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基であることが好ましい。Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルコキシル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基を表す。
式(OS-1)中、m3が3であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルト位であり、R34が炭素数1~10の直鎖状アルキル基、7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニルメチル基、又は、p-トリル基である化合物が特に好ましい。
式(OS-1)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0064~0068、特開2015-194674号公報の段落番号0158~0167に記載された以下の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、複数存在する場合のあるRs2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、複数存在する場合のあるRs6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XsはO又はSを表し、nsは1又は2を表し、msは0~6の整数を表す。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs1で表されるアルキル基(炭素数1~30が好ましい)、アリール基(炭素数6~30が好ましい)又はヘテロアリール基(炭素数4~30が好ましい)は、置換基Tを有していてもよい。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs2は、水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましい)又はアリール基(炭素数6~30が好ましい)であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。化合物中に2以上存在する場合のあるRs2のうち、1つ又は2つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。Rs2で表されるアルキル基又はアリール基は、置換基Tを有していてもよい。
式(OS-103)、式(OS-104)、又は、式(OS-105)中、XsはO又はSを表し、Oであることが好ましい。上記式(OS-103)~(OS-105)において、Xsを環員として含む環は、5員環又は6員環である。
式(OS-103)~式(OS-105)中、nsは1又は2を表し、XsがOである場合、nsは1であることが好ましく、また、XsがSである場合、nsは2であることが好ましい。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs6で表されるアルキル基(炭素数1~30が好ましい)及びアルキルオキシ基(炭素数1~30が好ましい)は、置換基を有していてもよい。
式(OS-103)~式(OS-105)中、msは0~6の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、上記式(OS-103)で表される化合物は、下記式(OS-106)、式(OS-110)又は式(OS-111)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS-104)で表される化合物は、下記式(OS-107)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS-105)で表される化合物は、下記式(OS-108)又は式(OS-109)で表される化合物であることが特に好ましい。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rt7は、水素原子又は臭素原子を表し、Rt8は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、Rt9は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、Rt2は水素原子又はメチル基を表す。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt7は、水素原子又は臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt8は、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
t2は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、いずれか一方であっても、混合物であってもよい。
上記式(OS-103)~式(OS-105)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0088~0095、特開2015-194674号公報の段落番号0168~0194に記載の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
オキシムスルホネート基を少なくとも1つを含むオキシムスルホネート化合物の好適な他の態様としては、下記式(OS-101)、式(OS-102)で表される化合物が挙げられる。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Ru9は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Ru9がシアノ基又はアリール基である態様がより好ましく、Ru9がシアノ基、フェニル基又はナフチル基である態様が更に好ましい。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Ru2aは、アルキル基又はアリール基を表す。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Xuは、-O-、-S-、-NH-、-NRu5-、-CH-、-CRu6H-又はCRu6u7-を表し、Ru5~Ru7はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Ru1~Ru4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基又はアリール基を表す。Ru1~Ru4のうちの2つがそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。このとき、環が縮環してベンゼン環ともに縮合環を形成していてもよい。Ru1~Ru4としては、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が好ましく、また、Ru1~Ru4のうちの少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様も好ましい。中でも、Ru1~Ru4がいずれも水素原子である態様が好ましい。上記した置換基は、いずれも、更に置換基を有していてもよい。
上記式(OS-101)で表される化合物は、式(OS-102)で表される化合物であることがより好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E,Z等)についてはそれぞれ、いずれか一方であっても、混合物であってもよい。
式(OS-101)で表される化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0102~0106、特開2015-194674号公報の段落番号0195~0207に記載の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記化合物の中でも、b-9、b-16、b-31、b-33が好ましい。
その他、光酸発生剤としては市販品を使用してもよい。市販品としては、WPAG-145、WPAG-149、WPAG-170、WPAG-199、WPAG-336、WPAG-367、WPAG-370、WPAG-443、WPAG-469、WPAG-638、WPAG-699(いずれも富士フイルム和光純薬(株)製)、Omnicat 250、Omnicat 270(いずれもIGM Resins B.V.社製)、Irgacure 250、Irgacure 270、Irgacure 290(いずれもBASF社製)、MBZ-101(みどり化学(株)製)等が挙げられる。
また、下記構造式で表される化合物も好ましい例として挙げられる。
光酸発生剤としては、有機ハロゲン化化合物も適用できる。有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46-4605号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特開昭61-169835号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)などに記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S-トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs-トリアジン環に結合したs-トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6-トリス(モノクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2―n-プロピル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(α,α,β-トリクロロエチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3,4-エポキシフェニル)-4、6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔1-(p-メトキシフェニル)-2,4-ブタジエニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-スチリル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-i-プロピルオキシスチリル)-4、6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-ナトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニルチオ-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ベンジルチオ-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジブロモメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ビス(トリブロモメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
光酸発生剤としては、有機ホウ酸塩化合物も適用できる。有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62-143044号、特開昭62-150242号、特開平9-188685号、特開平9-188686号、特開平9-188710号、特開2000-131837、特開2002-107916、特許第2764769号、特願2000-310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech'98.Proceeding April 19-22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6-157623号公報、特開平6-175564号公報、特開平6-175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6-175554号公報、特開平6-175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9-188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6-348011号公報、特開平7-128785号公報、特開平7-140589号公報、特開平7-306527号公報、特開平7-292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
光酸発生剤としては、ジスルホン化合物も適用できる。ジスルホン化合物としては、特開昭61-166544号、特願2001-132318公報等に記載されている化合物およびジアゾジスルホン化合物が挙げられる。
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4-365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2-150848号、特開平2-296514号に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
オニウム塩としては、下記一般式(RI-I)~(RI-III)で表されるオニウム塩が挙げられる。

式(RI-I)中、Ar11は置換基を1~6有していても良い炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルケニル基、炭素数1~12のアルキニル基、炭素数1~12のアリール基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキルアミノ基、炭素数1~12のジアルキルアミノ基、炭素数1~12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1~12のチオアルキル基、炭素数1~12のチオアリール基が挙げられる。Z11は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。式(RI-II)中、Ar21、Ar22は各々独立に置換基を1~6有していても良い炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルケニル基、炭素数1~12のアルキニル基、炭素数1~12のアリール基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキルアミノ基、炭素数1~12のジアルキルアミノ基、炭素数1~12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1~12のチオアルキル基、炭素数1~12のチオアリール基が挙げられる。Z21 は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。式(RI-III)中、R31、R32、R33は各々独立に置換基を1~6有していても良い炭素数20以下のアリール基又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、好ましくは反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。好ましい置換基としては炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルケニル基、炭素数1~12のアルキニル基、炭素数1~12のアリール基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキルアミノ基、炭素数1~12のジアルキルアミノ基、炭素数1~12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1~12のチオアルキル基、炭素数1~12のチオアリール基が挙げられる。Z31は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
具体例としては、以下のものが挙げられる。



光酸発生剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~20質量%であることがより好ましく、2~15質量%であることが更に好ましい。光酸発生剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光酸発生剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物が感光剤を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、特定樹脂100質量部に対し、上記感光剤1~40質量部と、上記特定化合物0.05~20質量部と、上記溶剤50~300質量部とを含むことが好ましい。
上記感光剤の含有量は、特定樹脂100質量部に対し1~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることが特に好ましい。
上記特定化合物の含有量は、特定樹脂100質量部に対し、0.1~15質量部であることが好ましく、0.2~10質量部であることがより好ましく、0.5~8質量部であることが特に好ましい。
上記溶剤の含有量は、特定樹脂100質量部に対し、70~250質量部であることが好ましく、80~230質量部であることがより好ましく、100~200質量部であることが特に好ましい。
<熱重合開始剤>
本発明の組成物は、熱重合開始剤を含んでもよく、特に熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、後述する加熱工程において、樹脂及び重合性化合物の重合反応を進行させることもできるので、より耐溶剤性を向上できる。
熱ラジカル重合開始剤として、具体的には、特開2008-063554号公報の段落0074~0118に記載されている化合物が挙げられる。
熱重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは5~15質量%である。熱重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。熱重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱酸発生剤>
本発明の組成物は、熱酸発生剤を含んでもよい。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の架橋反応を促進させる効果がある。
熱酸発生剤の熱分解開始温度は、50℃~270℃が好ましく、50℃~250℃がより好ましい。また、組成物を基板に塗布した後の乾燥(プリベーク:約70~140℃)時には酸を発生せず、その後の露光、現像でパターニングした後の最終加熱(キュア:約100~400℃)時に酸を発生するものを熱酸発生剤として選択すると、現像時の感度低下を抑制できるため好ましい。
熱分解開始温度は、熱酸発生剤を耐圧カプセル中5℃/分で500℃まで加熱した場合に、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度として求められる。
熱分解開始温度を測定する際に用いられる機器としては、Q2000(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
熱酸発生剤から発生する酸は強酸が好ましく、例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、あるいはトリフルオロメタンスルホン酸などのハロアルキルスルホン酸などが好ましい。このような熱酸発生剤の例としては、特開2013-072935号公報の段落0055に記載のものが挙げられる。
中でも、有機膜中の残留が少なく有機膜物性を低下させにくいという観点から、炭素数1~4のアルキルスルホン酸や炭素数1~4のハロアルキルスルホン酸を発生するものがより好ましく、メタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、メタンスルホン酸(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)ジメチルスルホニウム、メタンスルホン酸ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、メタンスルホン酸ベンジル(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)メチルスルホニウム、メタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)メチル((2-メチルフェニル)メチル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)ジメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジル(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)メチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)メチル((2-メチルフェニル)メチル)スルホニウム、3-(5-(((プロピルスルホニル)オキシ)イミノ)チオフェン-2(5H)-イリデン)-2-(o-トリル)プロパンニトリル、2,2-ビス(3-(メタンスルホニルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが、熱酸発生剤として好ましい。
また、特開2013-167742号公報の段落0059に記載の化合物も熱酸発生剤として好ましい。
熱酸発生剤の含有量は、特定樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。0.01質量部以上含有することで、架橋反応が促進されるため、有機膜の機械特性及び耐溶剤性をより向上させることができる。また、有機膜の電気絶縁性の観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
<オニウム塩>
本発明の硬化性樹脂組成物は、オニウム塩を更に含んでもよい。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物が特定樹脂としてポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含む場合、オニウム塩を含むことが好ましい。
オニウム塩の種類等は特に定めるものではないが、アンモニウム塩、イミニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましく挙げられる。
これらの中でも、熱安定性が高い観点からはアンモニウム塩又はイミニウム塩が好ましく、ポリマーとの相溶性の観点からはスルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましい。
また、オニウム塩はオニウム構造を有するカチオンとアニオンとの塩であり、上記カチオンとアニオンとは、共有結合を介して結合していてもよいし、共有結合を介して結合していなくてもよい。
すなわち、オニウム塩は、同一の分子構造内に、カチオン部と、アニオン部と、を有する分子内塩であってもよいし、それぞれ別分子であるカチオン分子と、アニオン分子と、がイオン結合した分子間塩であってもよいが、分子間塩であることが好ましい。また、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記カチオン部又はカチオン分子と、上記アニオン部又はアニオン分子と、はイオン結合により結合されていてもよいし、解離していてもよい。
オニウム塩におけるカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルアンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオンがより好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩は、後述する熱塩基発生剤であってもよい。
熱塩基発生剤とは、加熱により塩基を発生する化合物をいい、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生する化合物等が挙げられる。
〔アンモニウム塩〕
本発明において、アンモニウム塩とは、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。
-アンモニウムカチオン-
アンモニウムカチオンとしては、第四級アンモニウムカチオンが好ましい。
また、アンモニウムカチオンとしては、下記式(101)で表されるカチオンが好ましい。

式(101)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、R~Rの少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成してもよい。
式(101)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましい。R~Rは置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
~Rの少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成する場合、上記環はヘテロ原子を含んでもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素原子が挙げられる。
アンモニウムカチオンは、下記式(Y1-1)及び(Y1-2)のいずれかで表されることが好ましい。
式(Y1-1)及び(Y1-2)において、R101は、n価の有機基を表し、Rは式(101)におけるRと同義であり、Ar101及びAr102はそれぞれ独立に、アリール基を表し、nは、1以上の整数を表す。
式(Y1-1)において、R101は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又は、これらが結合した構造からn個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン又はナフタレンからn個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
式(Y1-1)において、nは1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Y1-2)において、Ar101及びAr102はそれぞれ独立に、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基がより好ましい。
-アニオン-
アンモニウム塩におけるアニオンとしては、カルボン酸アニオン、フェノールアニオン、リン酸アニオン及び硫酸アニオンから選ばれる1種が好ましく、塩の安定性と熱分解性を両立させられるという理由からカルボン酸アニオンがより好ましい。すなわち、アンモニウム塩は、アンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンとの塩がより好ましい。
カルボン酸アニオンは、2個以上のカルボキシ基を持つ2価以上のカルボン酸のアニオンが好ましく、2価のカルボン酸のアニオンがより好ましい。この態様によれば、硬化性樹脂組成物の安定性、硬化性及び現像性をより向上できる。特に、2価のカルボン酸のアニオンを用いることで、硬化性樹脂組成物の安定性、硬化性及び現像性を更に向上できる。
カルボン酸アニオンは、下記式(X1)で表されることが好ましい。

式(X1)において、EWGは、電子求引性基を表す。
本実施形態において電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σmが正の値を示すものを意味する。ここでσmは、都野雄甫総説、有機合成化学協会誌第23巻第8号(1965)p.631-642に詳しく説明されている。なお、本実施形態における電子求引性基は、上記文献に記載された置換基に限定されるものではない。
σmが正の値を示す置換基の例としては、CF基(σm=0.43)、CFC(=O)基(σm=0.63)、HC≡C基(σm=0.21)、CH=CH基(σm=0.06)、Ac基(σm=0.38)、MeOC(=O)基(σm=0.37)、MeC(=O)CH=CH基(σm=0.21)、PhC(=O)基(σm=0.34)、HNC(=O)CH基(σm=0.06)などが挙げられる。なお、Meはメチル基を表し、Acはアセチル基を表し、Phはフェニル基を表す(以下、同じ)。
EWGは、下記式(EWG-1)~(EWG-6)で表される基であることが好ましい。

式(EWG-1)~(EWG-6)中、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、Arは芳香族基を表す。
本発明において、カルボン酸アニオンは、下記式(XA)で表されることが好ましい。

式(XA)において、L10は、単結合、又は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、-NR-及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる2価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
カルボン酸アニオンの具体例としては、マレイン酸アニオン、フタル酸アニオン、N-フェニルイミノ二酢酸アニオン及びシュウ酸アニオンが挙げられる。
複素環ポリマー含有前駆体の環化が低温で行われやすく、また、硬化性樹脂組成物の保存安定性が向上しやすい観点から、本発明におけるオニウム塩は、カチオンとしてアンモニウムカチオンを含み、上記オニウム塩がアニオンとして、共役酸のpKa(pKaH)が2.5以下であるアニオンを含むことが好ましく、1.8以下であるアニオンを含むことがより好ましい。
上記pKaの下限は特に限定されないが、発生する塩基が中和されにくく、複素環ポリマー含有前駆体などの環化効率を良好にするという観点からは、-3以上であることが好ましく、-2以上であることがより好ましい。
上記pKaとしては、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値を用いることとする。
アンモニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔イミニウム塩〕
本発明において、イミニウム塩とは、イミニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-イミニウムカチオン-
イミニウムカチオンとしては、ピリジニウムカチオンが好ましい。
また、イミニウムカチオンとしては、下記式(102)で表されるカチオンも好ましい。
式(102)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、Rは炭化水素基を表し、R~Rの少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成してもよい。
式(102)中、R及びRは上述の式(101)におけるR~Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(102)中、RはR及びRの少なくとも1つと結合して環を形成することが好ましい。上記環はヘテロ原子を含んでもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素原子が挙げられる。また、上記環としてはピリジン環が好ましい。
イミニウムカチオンは、下記式(Y1-3)~(Y1-5)のいずれかで表されるものであることが好ましい。

式(Y1-3)~(Y1-5)において、R101は、n価の有機基を表し、Rは式(102)におけるRと同義であり、Rは式(102)におけるRと同義であり、n及びmは、1以上の整数を表す。
式(Y1-3)において、R101は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又は、これらが結合した構造からn個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン又はナフタレンからn個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
式(Y1-3)において、nは1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Y1-5)において、mは0~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
イミニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔スルホニウム塩〕
本発明において、スルホニウム塩とは、スルホニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-スルホニウムカチオン-
スルホニウムカチオンとしては、第三級スルホニウムカチオンが好ましく、トリアリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
また、スルホニウムカチオンとしては、下記式(103)で表されるカチオンが好ましい。
式(103)中、R~R10はそれぞれ独立に炭化水素基を表す。
~R10はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
~R10は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又は、アルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
~R10は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
スルホニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔ヨードニウム塩〕
本発明において、ヨードニウム塩とは、ヨードニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-ヨードニウムカチオン-
ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオンが好ましい。
また、ヨードニウムカチオンとしては、下記式(104)で表されるカチオンが好ましい。
式(104)中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭化水素基を表す。
11及びR12はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
11及びR12は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又はアルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
11及びR12は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
ヨードニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔ホスホニウム塩〕
本発明において、ホスホニウム塩とは、ホスホニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-ホスホニウムカチオン-
ホスホニウムカチオンとしては、第四級ホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルホスホニウムカチオン、トリアリールモノアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
また、ホスホニウムカチオンとしては、下記式(105)で表されるカチオンが好ましい。
式(105)中、R13~R16はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。
13~R16はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
13~R16は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又はアルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
13~R16は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
ホスホニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の硬化性樹脂組成物がオニウム塩を含む場合、オニウム塩の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1~50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、0.85質量%以上が更に好ましく、1質量%以上が一層好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が一層好ましく、5質量%以下であってもよく、4質量%以下であってもよい。
オニウム塩は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱塩基発生剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱塩基発生剤を更に含んでもよい。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物が特定樹脂としてポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含む場合、熱塩基発生剤を含むことが好ましい。
他の熱塩基発生剤は、上述のオニウム塩に該当する化合物であってもよいし、上述のオニウム塩以外の熱塩基発生剤であってもよい。
上述のオニウム塩以外の熱塩基発生剤としては、ノニオン系熱塩基発生剤が挙げられる。
ノニオン系熱塩基発生剤としては、式(B1)又は式(B2)で表される化合物が挙げられる。
式(B1)及び式(B2)中、Rb、Rb及びRbはそれぞれ独立に、第3級アミン構造を有しない有機基、ハロゲン原子又は水素原子である。ただし、Rb及びRbが同時に水素原子となることはない。また、Rb、Rb及びRbはいずれもカルボキシ基を有することはない。なお、本明細書で第三級アミン構造とは、3価の窒素原子の3つの結合手がいずれも炭化水素系の炭素原子と共有結合している構造を指す。したがって、結合した炭素原子がカルボニル基をなす炭素原子の場合、つまり窒素原子とともにアミド基を形成する場合はこの限りではない。
式(B1)、(B2)中、Rb、Rb及びRbは、これらのうち少なくとも1つが環状構造を含むことが好ましく、少なくとも2つが環状構造を含むことがより好ましい。環状構造としては、単環及び縮合環のいずれであってもよく、単環又は単環が2つ縮合した縮合環が好ましい。単環は、5員環又は6員環が好ましく、6員環が好ましい。単環は、シクロヘキサン環及びベンゼン環が好ましく、シクロヘキサン環がより好ましい。
より具体的にRb及びRbは、水素原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、又はアリールアルキル基(炭素数7~25が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であることが好ましい。これらの基は、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。RbとRbとは互いに結合して環を形成していてもよい。形成される環としては、4~7員の含窒素複素環が好ましい。Rb及びRbは特に、置換基を有してもよい直鎖、分岐、又は環状のアルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)であることが好ましく、置換基を有してもよいシクロアルキル基(炭素数3~24が好ましく、3~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)であることがより好ましく、置換基を有してもよいシクロヘキシル基が更に好ましい。
Rbとしては、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)、アリールアルケニル基(炭素数8~24が好ましく、8~20がより好ましく、8~16が更に好ましい)、アルコキシル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、又はアリールアルキルオキシ基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)が挙げられる。中でも、シクロアルキル基(炭素数3~24が好ましく、3~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリールアルケニル基、アリールアルキルオキシ基が好ましい。Rbには更に本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。
式(B1)で表される化合物は、下記式(B1-1)又は下記式(B1-2)で表される化合物であることが好ましい。
式中、Rb11及びRb12、並びに、Rb31及びRb32は、それぞれ、式(B1)におけるRb及びRbと同じである。
Rb13はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。中でも、Rb13はアリールアルキル基が好ましい。
Rb33及びRb34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~8がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であり、水素原子が好ましい。
Rb35は、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~10がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、アリール基が好ましい。
式(B1-1)で表される化合物は、式(B1-1a)で表される化合物もまた好ましい。
Rb11及びRb12は式(B1-1)におけるRb11及びRb12と同義である。
Rb15及びRb16は水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
Rb17はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~10がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、中でもアリール基が好ましい。
ノニオン系熱塩基発生剤の分子量は、800以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましい。下限としては、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、300以上であることが更に好ましい。
上述のオニウム塩のうち、熱塩基発生剤である化合物の具体例、又は、上述のオニウム塩以外の熱塩基発生剤の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
他の熱塩基発生剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1~50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。熱塩基発生剤は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<架橋剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤としては、ラジカル架橋剤、又は、他の架橋剤が挙げられる。
<ラジカル架橋剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル架橋剤を更に含むことが好ましい。
ラジカル架橋剤は、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を含む基が好ましい。上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。
これらの中でも、上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性の観点からは、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
ラジカル架橋剤は、エチレン性不飽和結合を1個以上有する化合物であればよいが、2以上有する化合物であることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を2個有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を2個有する化合物であることが好ましい。
また、得られるパターン(硬化膜)の膜強度の観点からは、本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル架橋剤として、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物を含むことが好ましい。上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を3~15個有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を3~10個有する化合物がより好ましく、3~6個有する化合物が更に好ましい。
また、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を3個以上有する化合物であることが好ましく、3~15個有する化合物であることがより好ましく、3~10個有する化合物であることが更に好ましく、3~6個有する化合物であることが特に好ましい。
また、得られるパターン(硬化膜)の膜強度の観点からは、本発明の硬化性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物と、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物とを含むことも好ましい。
ラジカル架橋剤の分子量は、2,000以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、900以下が更に好ましい。ラジカル架橋剤の分子量の下限は、100以上が好ましい。
ラジカル架橋剤の具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシ基やアミノ基、スルファニル基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲノ基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0113~0122の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、ラジカル架橋剤は、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後、(メタ)アクリレート化した化合物、特公昭48-041708号公報、特公昭50-006034号公報、特開昭51-037193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48-064183号、特公昭49-043191号、特公昭52-030490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。また、特開2008-292970号公報の段落0254~0257に記載の化合物も好適である。また、多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、上述以外の好ましいラジカル架橋剤として、特開2010-160418号公報、特開2010-129825号公報、特許第4364216号公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物や、カルド樹脂も使用することが可能である。
更に、その他の例としては、特公昭46-043946号公報、特公平01-040337号公報、特公平01-040336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平02-025493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、特開昭61-022048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含む化合物を用いることもできる。更に日本接着協会誌 vol.20、No.7、300~308ページ(1984年)に光重合性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
上記のほか、特開2015-034964号公報の段落0048~0051に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0087~0131に記載の化合物も好ましく用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開平10-062986号公報において式(1)及び式(2)としてその具体例と共に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、ラジカル架橋剤として用いることができる。
更に、特開2015-187211号公報の段落0104~0131に記載の化合物もラジカル架橋剤として用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ラジカル架橋剤としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D-320;日本化薬(株)製、A-TMMT:新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A-DPH;新中村化学工業社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール残基又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
ラジカル架橋剤の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR-494、エチレンオキシ鎖を4個有する2官能メタクリレートであるサートマー社製のSR-209、231、239、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA-60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA-330、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(日本製紙社製)、NKエステルM-40G、NKエステル4G、NKエステルM-9300、NKエステルA-9300、UA-7200(新中村化学工業社製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社化学社製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)などが挙げられる。
ラジカル架橋剤としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載のエチレンオキサイド系構造を有するウレタン化合物類も好適である。更に、ラジカル架橋剤として、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する化合物を用いることもできる。
ラジカル架橋剤は、カルボキシ基、リン酸基等の酸基を有するラジカル架橋剤であってもよい。酸基を有するラジカル架橋剤は、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル架橋剤がより好ましい。特に好ましくは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル架橋剤において、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである化合物である。市販品としては、例えば、東亞合成(株)製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M-510、M-520などが挙げられる。
酸基を有するラジカル架橋剤の好ましい酸価は、0.1~40mgKOH/gであり、特に好ましくは5~30mgKOH/gである。ラジカル架橋剤の酸価が上記範囲であれば、製造上の取扱性に優れ、更には、現像性に優れる。また、重合性が良好である。一方、アルカリ現像する場合の現像速度の観点では、酸基を有するラジカル架橋剤の好ましい酸価は、0.1~300mgKOH/gであり、特に好ましくは1~100mgKOH/gである。上記酸価は、JIS K 0070:1992の記載に準拠して測定される。
本発明の硬化性樹脂組成物は、パターンの解像性と膜の伸縮性の観点から、2官能のメタアクリレート又はアクリレートを用いることが好ましい。具体的な化合物としては、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、PEG200ジアクリレート、PEG200ジメタクリレート、PEG600ジアクリレート、PEG600ジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジメタクリレート、2-ヒドロキシー3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸変性ジメタクリレート、その他ウレタン結合を有する2官能アクリレート、ウレタン結合を有する2官能メタクリレートを使用することができる。これらは必要に応じ、2種以上を混合し使用することができる。なお、例えばPEG200ジアクリレートとは、ポリエチレングリコールジアクリレートであって、ポリエチレングリコール鎖の式量が200程度のものをいう。
また、パターン(硬化膜)の弾性率制御に伴う反り抑制の観点から、ラジカル架橋剤として、単官能ラジカル架橋剤を好ましく用いることができる。単官能ラジカル架橋剤としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等のN-ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物類等が好ましく用いられる。単官能ラジカル架橋剤としては、露光前の揮発を抑制するため、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。
ラジカル架橋剤を含有する場合、その含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0質量%超60質量%以下であることが好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
ラジカル架橋剤は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を併用する場合にはその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<他の架橋剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したラジカル架橋剤とは異なる、他の架橋剤を含むことが好ましい。
本発明において、他の架橋剤とは、上述したラジカル架橋剤以外の架橋剤をいい、上述の感光剤の感光により、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が促進される基を分子内に複数個有する化合物であることが好ましく、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が酸又は塩基の作用によって促進される基を分子内に複数個有する化合物が好ましい。
上記酸又は塩基は、第一領域露光工程、第二領域露光工程等の露光工程において、感光剤である光酸発生剤又は光塩基発生剤から発生する酸又は塩基であることが好ましい。
他の架橋剤としては、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物が好ましく、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が窒素原子に直接結合した構造を有する化合物がより好ましい。
他の架橋剤としては、例えば、メラミン、グリコールウリル、尿素、アルキレン尿素、ベンゾグアナミンなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドとアルコールを反応させ、上記アミノ基の水素原子をメチロール基又はアルコキシメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。これらの化合物の製造方法は特に限定されず、上記方法により製造された化合物と同様の構造を有する化合物であればよい。また、これらの化合物のメチロール基同士が自己縮合してなるオリゴマーであってもよい。
上記のアミノ基含有化合物として、メラミンを用いた架橋剤をメラミン系架橋剤、グリコールウリル、尿素又はアルキレン尿素を用いた架橋剤を尿素系架橋剤、アルキレン尿素を用いた架橋剤をアルキレン尿素系架橋剤、ベンゾグアナミンを用いた架橋剤をベンゾグアナミン系架橋剤という。
これらの中でも、本発明の硬化性樹脂組成物は、尿素系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、後述するグリコールウリル系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
メラミン系架橋剤の具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミンなどが挙げられる。
尿素系架橋剤の具体例としては、例えばモノヒドロキシメチル化グリコールウリル、ジヒドロキシメチル化グリコールウリル、トリヒドロキシメチル化グリコールウリル、テトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノメトキシメチル化グリコールウリル,ジメトキシメチル化グリコールウリル、トリメトキシメチル化グリコールウリル、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノメトキシメチル化グリコールウリル、ジメトキシメチル化グリコールウリル、トリメトキシメチル化グリコールウリル、テトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノプロポキシメチル化グリコールウリル、ジプロポキシメチル化グリコールウリル、トリプロポキシメチル化グリコールウリル、テトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノブトキシメチル化グリコールウリル、ジブトキシメチル化グリコールウリル、トリブトキシメチル化グリコールウリル、又は、テトラブトキシメチル化グリコールウリルなどのグリコールウリル系架橋剤;
ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等の尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化エチレン尿素又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノメトキシメチル化エチレン尿素、ジメトキシメチル化エチレン尿素、モノエトキシメチル化エチレン尿素、ジエトキシメチル化エチレン尿素、モノプロポキシメチル化エチレン尿素、ジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノブトキシメチル化エチレン尿素、又は、ジブトキシメチル化エチレン尿素などのエチレン尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化プロピレン尿素、ジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノメトキシメチル化プロピレン尿素、ジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノジエトキシメチル化プロピレン尿素、ジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノプロポキシメチル化プロピレン尿素、ジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノブトキシメチル化プロピレン尿素、又は、ジブトキシメチル化プロピレン尿素などのプロピレン尿素系架橋剤、
1,3-ジ(メトキシメチル)4,5-ジヒドロキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ジ(メトキシメチル)-4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
ベンゾグアナミン系架橋剤の具体例としては、例えばモノヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、トリヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、モノメトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジメトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、モノメトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジメトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラエトキシメチル化ベンゾグアナミン、モノプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、ジプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、トリプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、モノブトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジブトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリブトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミンなどが挙げられる。
その他、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物としては、芳香環(好ましくはベンゼン環)にメチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が直接結合した化合物も好適に用いられる。
このような化合物の具体例としては、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’,4’’-エチリデントリス[2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール]、5,5’-[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ビス[2‐ヒドロキシ‐1,3‐ベンゼンジメタノール]、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジオール等が挙げられる。
他の架橋剤としては市販品を用いてもよく、好適な市販品としては、46DMOC、46DMOEP(以上、旭有機材工業社製)、DML-PC、DML-PEP、DML-OC、DML-OEP、DML-34X、DML-PTBP、DML-PCHP、DML-OCHP、DML-PFP、DML-PSBP、DML-POP、DML-MBOC、DML-MBPC、DML-MTrisPC、DML-BisOC-Z、DML-BisOCHP-Z、DML-BPC、DMLBisOC-P、DMOM-PC、DMOM-PTBP、DMOM-MBPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、本州化学工業社製)、ニカラック(登録商標、以下同様)MX-290、ニカラックMX-280、ニカラックMX-270、ニカラックMX-279、ニカラックMW-100LM、ニカラックMX-750LM(以上、三和ケミカル社製)などが挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、他の架橋剤として、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及び、ベンゾオキサジン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことも好ましい。
〔エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)〕
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、硬化性樹脂組成物の低温硬化及び反りの抑制に効果的である。
エポキシ化合物は、ポリエチレンオキサイド基を含有することが好ましい。これにより、より弾性率が低下し、また反りを抑制することができる。ポリエチレンオキサイド基は、エチレンオキサイドの繰返し単位数が2以上のものを意味し、繰返し単位数が2~15であることが好ましい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のアルキレングリコール型エポキシ樹脂又は多価アルコール炭化水素型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリメチル(グリシジロキシプロピル)シロキサン等のエポキシ基含有シリコーンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、エピクロン(登録商標)850-S、エピクロン(登録商標)HP-4032、エピクロン(登録商標)HP-7200、エピクロン(登録商標)HP-820、エピクロン(登録商標)HP-4700、エピクロン(登録商標)EXA-4710、エピクロン(登録商標)HP-4770、エピクロン(登録商標)EXA-859CRP、エピクロン(登録商標)EXA-1514、エピクロン(登録商標)EXA-4880、エピクロン(登録商標)EXA-4850-150、エピクロンEXA-4850-1000、エピクロン(登録商標)EXA-4816、エピクロン(登録商標)EXA-4822、エピクロン(登録商標)EXA-830LVP、エピクロン(登録商標)EXA-8183、エピクロン(登録商標)EXA-8169、エピクロン(登録商標)N-660、エピクロン(登録商標)N-665-EXP-S、エピクロン(登録商標)N-740、リカレジン(登録商標)BEO-20E(以上商品名、DIC(株)製)、リカレジン(登録商標)BEO-60E、リカレジン(登録商標)HBE-100、リカレジン(登録商標)DME-100、リカレジン(登録商標)L-200(商品名、新日本理化(株))、EP-4003S、EP-4000S、EP-4088S、EP-3950S(以上商品名、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177(以上商品名、(株)ダイセル製)、NC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3000-FH-75M、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000-L、XD-1000、NC-7000L、NC-7300L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN-201、BREN-S、BREN-10S(以上商品名、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
〔オキセタン化合物(オキセタニル基を有する化合物)〕
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4-ベンゼンジカルボン酸-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成(株)製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT-121、OXT-221、OXT-191、OXT-223)が好適に使用することができ、これらは単独で、又は2種以上混合してもよい。
〔ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサゾリル基を有する化合物)〕
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応のため、硬化時に脱ガスが発生せず、更に熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
ベンゾオキサジン化合物の好ましい例としては、B-a型ベンゾオキサジン、B-m型ベンゾオキサジン、P-d型ベンゾオキサジン、F-a型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業社製)、ポリヒドロキシスチレン樹脂のベンゾオキサジン付加物、フェノールノボラック型ジヒドロベンゾオキサジン化合物が挙げられる。これらは単独で用いるか、又は2種以上混合してもよい。
他の架橋剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~20質量%であることがより好ましく、0.5~15質量%であることが更に好ましく、1.0~10質量%であることが特に好ましい。他の架橋剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。他の架橋剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<マイグレーション抑制剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にマイグレーション抑制剤を含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが硬化性樹脂組成物層内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
本発明において、上述のトリアゾール構造を有する化合物は、マイグレーション抑制剤には該当しないものとする。
マイグレーション抑制剤としては、特に制限はないが、複素環(ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、2H-ピラン環及び6H-ピラン環、トリアジン環)を有する化合物、チオ尿素類及びスルファニル基を有する化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体系化合物、ヒドラジド誘導体系化合物が挙げられる。特に、1H-テトラゾール、5-フェニルテトラゾール等のテトラゾール系化合物が好ましく使用できる。
又はハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉するイオントラップ剤を使用することもできる。
その他のマイグレーション抑制剤としては、特開2013-015701号公報の段落0094に記載の防錆剤、特開2009-283711号公報の段落0073~0076に記載の化合物、特開2011-059656号公報の段落0052に記載の化合物、特開2012-194520号公報の段落0114、0116及び0118に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0166に記載の化合物などを使用することができる。
マイグレーション抑制剤の具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
硬化性樹脂組成物がマイグレーション抑制剤を有する場合、マイグレーション抑制剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01~5.0質量%であることが好ましく、0.05~2.0質量%であることがより好ましく、0.1~1.0質量%であることが更に好ましい。
マイグレーション抑制剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。マイグレーション抑制剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<重合禁止剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、o-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、p-tert-ブチルカテコール、1,4-ベンゾキノン、ジフェニル-p-ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N-ニトロソジフェニルアミン、N-フェニルナフチルアミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、N-ニトロソ-N-(1-ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-tert-ブチル)フェニルメタン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、4‐ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル、フェノチアジン、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、ジブチルジチオカーバネート銅(II)、ニトロベンゼン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩などが好適に用いられる。また、特開2015-127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、及び、国際公開第2015/125469号の段落0031~0046に記載の化合物を用いることもできる。
また、下記化合物を用いることができる(Meはメチル基である)。
本発明の硬化性樹脂組成物が重合禁止剤を有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01~20.0質量%が挙げられ、0.01~5質量%であることが好ましく、0.02~3質量%であることがより好ましく、0.05~2.5質量%であることが更に好ましい。
重合禁止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。重合禁止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<金属接着性改良剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含んでいることが好ましい。金属接着性改良剤としては、シランカップリング剤、アルミニウム系接着助剤、チタン系接着助剤、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物、リン酸誘導体化合物、βケトエステル化合物、アミノ化合物等などが挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、国際公開第2015/199219号の段落0167に記載の化合物、特開2014-191002号公報の段落0062~0073に記載の化合物、国際公開第2011/080992号の段落0063~0071に記載の化合物、特開2014-191252号公報の段落0060~0061に記載の化合物、特開2014-041264号公報の段落0045~0052に記載の化合物、国際公開第2014/097594号の段落0055に記載の化合物が挙げられる。また、特開2011-128358号公報の段落0050~0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。また、シランカップリング剤は、下記化合物を用いることも好ましい。以下の式中、Etはエチル基を表す。

他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレー、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔アルミニウム系接着助剤〕
アルミニウム系接着助剤としては、例えば、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。
金属接着性改良剤としては、特開2014-186186号公報の段落0046~0049に記載の化合物、特開2013-072935号公報の段落0032~0043に記載のスルフィド系化合物を用いることもできる。
金属接着性改良剤の含有量は複素環含有ポリマー前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~15質量部の範囲であり、更に好ましくは0.5~5質量部の範囲である。上記下限値以上とすることで硬化工程後の硬化膜と金属層との接着性が良好となり、上記上限値以下とすることで硬化工程後の硬化膜の耐熱性、機械特性が良好となる。金属接着性改良剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。2種以上用いる場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲で、必要に応じて、各種の添加物、例えば、増感剤、連鎖移動剤、界面活性剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は硬化性樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
〔増感剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
増感剤としては、増感色素を用いてもよい。
増感色素の詳細については、特開2016-027357号公報の段落0161~0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の硬化性樹脂組成物が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01~20質量%であることが好ましく、0.1~15質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることが更に好ましい。増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔連鎖移動剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683-684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、及びGeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物を好ましく用いることができる。
また、連鎖移動剤は、国際公開第2015/199219号の段落0152~0153に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が連鎖移動剤を有する場合、連鎖移動剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。連鎖移動剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。連鎖移動剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。下記式中、主鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の含有量(モル%)を、側鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の繰り返し数をそれぞれ表す。

また、界面活性剤は、国際公開第2015/199219号の段落0159~0165に記載の化合物を用いることもできる。
フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落0050~0090および段落0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン(株)製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー(株)製)等が挙げられる。
炭化水素系界面活性剤としては、例えば、パイオニンA-76、ニューカルゲンFS-3PG、パイオニンB-709、パイオニンB-811-N、パイオニンD-1004、パイオニンD-3104、パイオニンD-3605、パイオニンD-6112、パイオニンD-2104-D、パイオニンD-212、パイオニンD-931、パイオニンD-941、パイオニンD-951、パイオニンE-5310、パイオニンP-1050-B、パイオニンP-1028-P、パイオニンP-4050-T等(以上、竹本油脂社製)、などが挙げられる。
ノニオン型界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
カチオン型界面活性剤として具体的には、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.77、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン型界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)製)、サンデットBL(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が界面活性剤を有する場合、界面活性剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。界面活性剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔高級脂肪酸誘導体〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で硬化性樹脂組成物の表面に偏在させてもよい。
また、高級脂肪酸誘導体は、国際公開第2015/199219号の段落0155に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が高級脂肪酸誘導体を有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1~10質量%であることが好ましい。高級脂肪酸誘導体は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔熱重合開始剤〕
本発明の樹脂組成物は、熱重合開始剤を含んでもよく、特に熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって樹脂及び重合性化合物の重合反応を進行させることもできるので、より耐溶剤性を向上できる。
熱ラジカル重合開始剤として、具体的には、特開2008-063554号公報の段落0074~0118に記載されている化合物が挙げられる。
熱重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは0.5~15質量%である。熱重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。熱重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
〔無機粒子〕
本発明の樹脂組成物は、無機粒子を含んでもよい。無機粒子として、具体的には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、ガラス等を含むことができる。
上記無機粒子の平均粒子径としては、0.01~2.0μmが好ましく、0.02~1.5μmがより好ましく、0.03~1.0μmがさらに好ましく、0.04~0.5μmが特に好ましい。
上記無機粒子の平均粒子径を多量に含有させることによって、上記硬化膜の機械特性が劣化することがある。また、上記無機粒子の平均粒子径が2.0μmを超えると、露光光の散乱によって解像度が低下することがある。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を使用することができる。
サリシレート系紫外線吸収剤の例としては、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサリシレートなどが挙げられ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例としては、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-アミル-5’-イソブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-プロピルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
置換アクリロニトリル系紫外線吸収剤の例としては、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。さらに、トリアジン系紫外線吸収剤の例としては、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのモノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロピルオキシフェニル)-6-(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジンなどのトリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物等が挙げられる。
本発明においては、上記各種の紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
〔有機チタン化合物〕
本実施形態の樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。樹脂組成物が有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる樹脂層を形成できる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機基が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体例を、以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性がよく、良好な硬化パターンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレート化合物がより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物としては、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、及びビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合、その配合量は、環化樹脂の前駆体100質量部に対し、0.05~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~2質量部である。配合量が0.05質量部以上である場合、得られる硬化パターンに良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合、組成物の保存安定性に優れる。
〔酸化防止剤〕
本発明の組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。添加剤として酸化防止剤を含有することで、硬化後の膜の伸度特性や、金属材料との密着性を向上させることができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023~0048に記載された化合物を使用することもできる。また、本発明の組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。好ましい酸化防止剤の例としては、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-t-ブチルフェノールおよび一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3)中、Rは水素原子または炭素数2以上のアルキル基を表し、Rは炭素数2以上のアルキレン基を表す。Rは、炭素数2以上のアルキレン基、O原子、およびN原子のうち少なくともいずれかを含む1~4価の有機基を示す。kは1~4の整数を示す。
一般式(3)で表される化合物は、樹脂の脂肪族基やフェノール性水酸基の酸化劣化を抑制する。また、金属材料への防錆作用により、金属酸化を抑制することができる。
樹脂と金属材料に同時に作用できるため、kは2~4の整数がより好ましい。R7としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アリール基、アリールエーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、複素環基、-O-、-NH-、-NHNH-、それらを組み合わせたものなどが挙げられ、さらに置換基を有していてもよい。この中でも、現像液への溶解性や金属密着性の点から、アルキルエーテル、-NH-を有することが好ましく、樹脂との相互作用と金属錯形成による金属密着性の点から-NH-がより好ましい。
下記一般式(3)で表される化合物は、例としては以下のものが挙げられるが、下記構造に限らない。
酸化防止剤の添加量は、樹脂に対し、0.1~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。添加量が0.1質量部より少ない場合は、信頼性後の伸度特性や金属材料に対する密着性向上の効果が得られにくく、また10質量部より多い場合は、感光剤との相互作用により、樹脂組成物の感度低下を招く恐れがある。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の含有物質についての制限>
本発明の硬化性樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.6質量%未満が更に好ましい。水分の含有量を維持する方法としては、保管条件における湿度の調整、収容容器の空隙率低減などが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の金属含有量は、絶縁性の観点から、5質量ppm(parts per million)未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、クロム、ニッケルなどが挙げられる。金属を複数含む場合は、これらの金属の合計が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物に意図せずに含まれる金属不純物を低減する方法としては、本発明の硬化性樹脂組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、本発明の硬化性樹脂組成物を構成する原料に対してフィルターろ過を行う、装置内をポリテトラフルオロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体材料としての用途を考慮すると、ハロゲン原子の含有量が、配線腐食性の観点から、500質量ppm未満が好ましく、300質量ppm未満がより好ましく、200質量ppm未満が更に好ましい。中でも、ハロゲンイオンの状態で存在するものは、5質量ppm未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。塩素原子及び臭素原子、又は塩素イオン及び臭素イオンの合計がそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
ハロゲン原子の含有量を調節する方法としては、イオン交換処理などが好ましく挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の収容容器としては従来公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器としては、原材料や硬化性樹脂組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成された多層ボトルや、6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<硬化性樹脂組成物の用途>
本発明の硬化性樹脂組成物は、再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられることが好ましい。
また、その他、半導体デバイスの絶縁膜の形成、又は、ストレスバッファ膜の形成等にも用いることができる。
<硬化性樹脂組成物の調製>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
また、硬化性樹脂組成物中のゴミや微粒子等の異物を除去する目的で、フィルターを用いたろ過を行うことが好ましい。フィルター孔径は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。一方、生産性の観点では、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。フィルターの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルターろ過工程では、複数種のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルターを使用する場合は、孔径又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回ろ過してもよい。複数回ろ過する場合は、循環ろ過であってもよい。また、加圧してろ過を行ってもよい。加圧してろ過を行う場合、加圧する圧力は0.05MPa以上0.3MPa以下が好ましい。一方、生産性の観点では、0.01MPa以上1.0MPa以下が好ましく、0.03MPa以上0.9MPa以下がより好ましく、0.05MPa以上0.7MPa以下が更に好ましい。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行ってもよい。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせてもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
(硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法)
次に、硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法について説明する。
本発明の硬化膜は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる。本発明の硬化膜の膜厚は、例えば、0.5μm以上とすることができ、1μm以上とすることができる。また、上限値としては、100μm以下とすることができ、30μm以下とすることもできる。
本発明の硬化膜を2層以上、更には、3~7層積層して積層体としてもよい。本発明の積層体は、硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む態様が好ましい。例えば、第一の硬化膜、金属層、第二の硬化膜の3つの層がこの順に積層された層構造を少なくとも含む積層体が好ましいものとして挙げられる。上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜は、いずれも本発明の硬化膜であり、例えば、上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜のいずれもが、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる膜である態様が好ましいものとして挙げられる。上記第一の硬化膜の形成に用いられる本発明の硬化性樹脂組成物と、上記第二の硬化膜の形成に用いられる本発明の硬化性樹脂組成物とは、組成が同一の組成物であってもよいし、組成が異なる組成物であってもよい。本発明の積層体における金属層は、再配線層などの金属配線として好ましく用いられる。
本発明の硬化膜の適用可能な分野としては、半導体デバイスの絶縁膜、再配線層用層間絶縁膜、ストレスバッファ膜などが挙げられる。そのほか、封止フィルム、基板材料(フレキシブルプリント基板のベースフィルムやカバーレイ、層間絶縁膜)、又は上記のような実装用途の絶縁膜をエッチングでパターン形成することなどが挙げられる。これらの用途については、例えば、サイエンス&テクノロジー(株)「ポリイミドの高機能化と応用技術」2008年4月、柿本雅明/監修、CMCテクニカルライブラリー「ポリイミド材料の基礎と開発」2011年11月発行、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会/編「最新ポリイミド 基礎と応用」エヌ・ティー・エス,2010年8月等を参照することができる。
また、本発明における硬化膜は、オフセット版面又はスクリーン版面などの版面の製造、成形部品のエッチングへの使用、エレクトロニクス、特に、マイクロエレクトロニクスにおける保護ラッカー及び誘電層の製造などにも用いることもできる。
本発明の硬化膜の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、本発明の硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜を形成する膜形成工程を含むことが好ましい。
本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程、並びに、上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含むことが好ましい。
また、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程、及び、必要に応じて上記現像工程を含み、かつ、上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程を含むことがより好ましい。
具体的には、以下の(a)~(d)の工程を含むことも好ましい。
(a)硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜(硬化性樹脂組成物層)を形成する膜形成工程
(b)膜形成工程の後、膜を露光する露光工程
(c)露光された上記膜を現像する現像工程
(d)現像された上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程
上記加熱工程において加熱することにより、露光で硬化した樹脂層を更に硬化させることができる。この加熱工程で、例えば上述の熱塩基発生剤が分解し、十分な硬化性が得られる。
本発明の好ましい実施形態に係る積層体の製造方法は、本発明の硬化膜の製造方法を含む。本実施形態の積層体の製造方法は、上記の硬化膜の製造方法に従って、硬化膜を形成後、更に、再度、(a)の工程、又は(a)~(c)の工程、又は(a)~(d)の工程を行う。特に、上記各工程を順に、複数回、例えば、2~5回(すなわち、合計で3~6回)行うことが好ましい。このように硬化膜を積層することにより、積層体とすることができる。本発明では特に硬化膜を設けた部分の上又は硬化膜の間、又はその両者に金属層を設けることが好ましい。なお、積層体の製造においては、(a)~(d)の工程をすべて繰り返す必要はなく、上記のとおり、少なくとも(a)、好ましくは(a)~(c)又は(a)~(d)の工程を複数回行うことで硬化膜の積層体を得ることができる。
<膜形成工程(層形成工程)>
本発明の好ましい実施形態に係る製造方法は、硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜(層状)にする、膜形成工程(層形成工程)を含む。
基材の種類は、用途に応じて適宜定めることができるが、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基材、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基材、紙、SOG(Spin On Glass)、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基材、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極板など特に制約されない。
また、これらの基材には表面に密着層や酸化層などの層が設けられていてもよい。本発明では、特に、半導体作製基材が好ましく、シリコン基材、Cu基材およびモールド基材がより好ましい。
また、これらの基材にはヘキサメチルジシラザン(HMDS)等による密着層や酸化層などの層が表面に設けられていてもよい。
また、基材としては、例えば板状の基材(基板)が用いられる。
基材の形状は特に限定されず、円形状であっても矩形状であってもよいが、矩形状であることが好ましい。
基材のサイズとしては、円形状であれば、例えば直径が100~450mmであり、好ましくは200~450mmである。矩形状であれば、例えば短辺の長さが100~1000mmであり、好ましくは200~700mmである。
また、樹脂層の表面や金属層の表面に硬化性樹脂組成物層を形成する場合は、樹脂層や金属層が基材となる。
硬化性樹脂組成物を基材に適用する手段としては、塗布が好ましい。
具体的には、適用する手段としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法、及びインクジェット法などが例示される。硬化性樹脂組成物層の厚さの均一性の観点から、より好ましくはスピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、インクジェット法である。方法に応じて適切な固形分濃度や塗布条件を調整することで、所望の厚さの樹脂層を得ることができる。
また、基材の形状によっても塗布方法を適宜選択でき、ウェハ等の円形基材であればスピンコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましく、矩形基材であればスリットコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましい。スピンコート法の場合は、例えば、500~2,000rpmの回転数で、10秒~1分程度適用することができる。
また感光性樹脂組成物の粘度や設定する膜厚によっては、300~3,500rpmの回転数で、10~180秒適用することも好ましい。また膜厚の均一性を得るために、複数の回転数を組み合わせて塗布することもできる。
また、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基材上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051や、特開2006-047592号公報の段落0096~0108に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
また、基材の端部において余分な膜の除去を行なう工程を行なってもよい。このような工程の例には、エッジビードリンス(EBR)、エアナイフ、バックリンスなどが挙げられる。
また樹脂組成物を基材に塗布する前に基材を種々の溶剤を塗布し、基材の濡れ性を向上させた後に樹脂組成物を塗布するプリウェット工程を採用しても良い。
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、上記膜(硬化性樹脂組成物層)を形成後、膜形成工程(層形成工程)の後に、溶剤を除去するために乾燥する工程を含んでいてもよい。好ましい乾燥温度は50~150℃で、70℃~130℃がより好ましく、90℃~110℃が更に好ましい。乾燥時間としては、30秒~20分が例示され、1分~10分が好ましく、3分~7分がより好ましい。
<露光工程>
本発明の製造方法は、上記膜(硬化性樹脂組成物層)を露光する露光工程を含んでもよい。露光量は、硬化性樹脂組成物を硬化できる限り特に定めるものではないが、例えば、波長365nmでの露光エネルギー換算で100~10,000mJ/cm照射することが好ましく、200~8,000mJ/cm照射することがより好ましい。
露光波長は、190~1,000nmの範囲で適宜定めることができ、240~550nmが好ましい。
露光波長は、光源との関係でいうと、(1)半導体レーザー(波長 830nm、532nm、488nm、405nm etc.)、(2)メタルハライドランプ、(3)高圧水銀灯、g線(波長 436nm)、h線(波長 405nm)、i線(波長 365nm)、ブロード(g,h,i線の3波長)、(4)エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長 193nm)、F2エキシマレーザー(波長 157nm)、(5)極端紫外線;EUV(波長 13.6nm)、(6)電子線、(7)YAGレーザーの第二高調波532nmで、第三高調波355nm、等が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物については、特に高圧水銀灯による露光が好ましく、中でも、i線による露光が好ましい。これにより、特に高い露光感度が得られうる。
また取り扱いと生産性の観点では、高圧水銀灯のブロード(g,h,i線の3波長)光源や半導体レーザー405nmも好適である。
<現像工程>
本発明の製造方法は、露光された膜(硬化性樹脂組成物層)に対して、現像を行う(上記膜を現像する)現像工程を含んでもよい。現像を行うことにより、露光されていない部分(非露光部)が除去される。現像方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、例えばノズルからの現像液の吐出、スプレー噴霧、基材の現像液浸漬などが挙げられ、ノズルからの吐出が好ましく利用される。現像工程には、現像液が連続的に基材に供給され続ける工程、基材上で現像液が略静止状態で保たれる工程、現像液を超音波等で振動させる工程およびそれらを組み合わせた工程などが採用可能である。
現像は現像液を用いて行う。現像液は、露光されていない部分(非露光部)が除去されるのであれば、特に制限なく使用できる。
現像液としては、有機溶剤を含む現像液、又は、アルカリ水溶液を用いることができる。
本発明では、現像液は、ClogP値が-1~5の有機溶剤を含むことが好ましく、ClogP値が0~3の有機溶剤を含むことがより好ましい。ClogP値は、ChemBioDrawにて構造式を入力して計算値として求めることができる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、有機溶剤は、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例:アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等、スルホキシド類としてジメチルスルホキシドが好適に挙げられ、また、それらの有機溶剤の混合物も好適に挙げられる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、本発明では、特にシクロペンタノン、γ-ブチロラクトンが好ましく、シクロペンタノンがより好ましい。また現像液が有機溶剤を含む場合、有機溶剤は1種又は、2種以上を混合して使用することもできる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、現像液は、50質量%以上が有機溶剤であることが好ましく、70質量%以上が有機溶剤であることがより好ましく、90質量%以上が有機溶剤であることが更に好ましい。また、現像液は、100質量%が有機溶剤であってもよい。
現像液は、他の成分を更に含んでもよい。
他の成分としては、例えば、公知の界面活性剤や公知の消泡剤等が挙げられる。
現像液がアルカリ水溶液である場合、アルカリ水溶液が含みうる塩基性化合物としては、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、KOH(水酸化カリウム)、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはTMAHである。現像液における塩基性化合物の含有量は、例えばTMAHを用いる場合、現像液全質量中0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%が更に好ましい。
〔現像液の供給方法〕
現像液の供給方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、基材を現像液に浸漬する方法、基材上にノズルを用いて現像液を供給しパドル現像、または、現像液を連続供給する方法がある。ノズルの種類は特に制限は無く、ストレートノズル、シャワーノズル、スプレーノズル等が挙げられる。
現像液の浸透性、非画像部の除去性、製造上の効率の観点から、現像液をストレートノズルで供給する方法、又はスプレーノズルにて連続供給する方法が好ましく、画像部への現像液の浸透性の観点からは、スプレーノズルで供給する方法がより好ましい。
また、現像液をストレートノズルにて連続供給後、基材をスピンし現像液を基材上から除去し、スピン乾燥後に再度ストレートノズルにて連続供給後、基材をスピンし現像液を基材上から除去する工程を採用してもよく、この工程を複数回繰り返しても良い。
また現像工程における現像液の供給方法としては、現像液が連続的に基材に供給され続ける工程、基材上で現像液が略静止状態で保たれる工程、基材上で現像液を超音波等で振動させる工程及びそれらを組み合わせた工程などが採用可能である。
現像時間としては、5秒~10分間が好ましく、10秒~5分がより好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、通常、10~45℃、好ましくは、20~40℃で行うことができる。
現像液を用いた処理の後、更に、リンスを行ってもよい。また、パターン上に接する現像液が乾燥しきらないうちにリンス液を供給するなどの方法を採用しても良い。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を用いてリンスすることができる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、リンス液としては、PGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、IPA(イソプロパノール)などが挙げられ、好ましくはPGMEAである。また、アルカリ水溶液を含む現像液による現像に対するリンス液としては、水が好ましい。
リンス時間は、10秒~10分間が好ましく、20秒~5分間がより好ましく、5秒~1分が更に好ましい。リンス時のリンス液の温度は、特に定めるものではないが、好ましくは、10~45℃、より好ましくは、18℃~30℃で行うことができる。
リンス液が有機溶剤を含む場合の有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例:アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等、スルホキシド類としてジメチルスルホキシド、並びに、アルコール類として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルイソブチルカルビノール、トリエチレングリコール等、並びに、アミド類として、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が好適に挙げられる。
リンス液が有機溶剤を含む場合、有機溶剤は1種又は、2種以上を混合して使用することができる。本発明では特にシクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、PGMEA、PGMEが好ましく、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、PGMEA、PGMEがより好ましく、シクロヘキサノン、PGMEAがさらに好ましい。
リンス液が有機溶剤を含む場合、リンス液は、50質量%以上が有機溶剤であることが好ましく、70質量%以上が有機溶剤であることがより好ましく、90質量%以上が有機溶剤であることが更に好ましい。また、リンス液は、100質量%が有機溶剤であってもよい。
リンス液は、他の成分を更に含んでもよい。
他の成分としては、例えば、公知の界面活性剤や公知の消泡剤等が挙げられる。
〔リンス液の供給方法〕
リンス液の供給方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、基材をリンス液に浸漬する方法、基材上でのパドル現像、基材にリンス液をシャワーで供給する方法、基材上にストレートノズル等の手段により現像液を連続供給する方法がある。
リンス液の浸透性、非画像部の除去性、製造上の効率の観点から、リンス液をシャワーノズル、ストレートノズル、スプレーノズルなどで供給する方法があり、スプレーノズルにて連続供給する方法が好ましく、画像部へのリンス液の浸透性の観点からは、スプレーノズルで供給する方法がより好ましい。ノズルの種類は特に制限は無く、ストレートノズル、シャワーノズル、スプレーノズル等が挙げられる。
すなわち、リンス工程は、リンス液を上記露光後の膜に対してストレートノズルにより供給、又は、連続供給する工程であることが好ましく、リンス液をスプレーノズルにより供給する工程であることがより好ましい。
またリンス工程におけるリンス液の供給方法としては、リンス液が連続的に基材に供給され続ける工程、基材上でリンス液が略静止状態で保たれる工程、基材上でリンス液を超音波等で振動させる工程及びそれらを組み合わせた工程などが採用可能である。
<加熱工程>
本発明の製造方法は、現像された上記膜を50~450℃で加熱する工程(加熱工程)を含むことが好ましい。
加熱工程は、膜形成工程(層形成工程)、乾燥工程、及び現像工程の後に含まれることが好ましい。加熱工程では、例えば上述の熱塩基発生剤が分解することにより塩基が発生し、特定樹脂である前駆体の環化反応が進行する。また、本発明の硬化性樹脂組成物は特定樹脂である前駆体以外のラジカル重合性化合物を含んでいてもよいが、未反応の特定樹脂である前駆体以外のラジカル重合性化合物の硬化などもこの工程で進行させることができる。加熱工程における層の加熱温度(最高加熱温度)としては、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが更に好ましく、150℃以上であることが一層好ましく、160℃以上であることがより一層好ましく、170℃以上であることが更に一層好ましい。上限としては、500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることが更に好ましく、250℃以下であることが一層好ましく、220℃以下であることがより一層好ましい。
加熱は、加熱開始時の温度から最高加熱温度まで1~12℃/分の昇温速度で行うことが好ましく、2~10℃/分がより好ましく、3~10℃/分が更に好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることにより、生産性を確保しつつ、アミンの過剰な揮発を防止することができ、昇温速度を12℃/分以下とすることにより、硬化膜の残存応力を緩和することができる。加えて、急速加熱可能なオーブンの場合、加熱開始時の温度から最高加熱温度まで1~8℃/秒の昇温速度で行うことが好ましく、2~7℃/秒がより好ましく、3~6℃/秒が更に好ましい。
加熱開始時の温度は、20℃~150℃が好ましく、20℃~130℃がより好ましく、25℃~120℃が更に好ましい。加熱開始時の温度は、最高加熱温度まで加熱する工程を開始する際の温度のことをいう。例えば、硬化性樹脂組成物を基材の上に適用した後、乾燥させる場合、この乾燥後の膜(層)の温度であり、例えば、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤の沸点よりも、30~200℃低い温度から徐々に昇温させることが好ましい。
加熱時間(最高加熱温度での加熱時間)は、10~360分であることが好ましく、20~300分であることがより好ましく、30~240分であることが更に好ましい。
特に多層の積層体を形成する場合、硬化膜の層間の密着性の観点から、加熱温度は180℃~320℃で加熱することが好ましく、180℃~260℃で加熱することがより好ましい。その理由は定かではないが、この温度とすることで、層間の特定樹脂のエチニル基同士が架橋反応を進行しているためと考えられる。
加熱は段階的に行ってもよい。例として、25℃から180℃まで3℃/分で昇温し、180℃にて60分保持し、180℃から200℃まで2℃/分で昇温し、200℃にて120分保持する、といった前処理工程を行ってもよい。前処理工程としての加熱温度は100~200℃が好ましく、110~190℃であることがより好ましく、120~185℃であることが更に好ましい。この前処理工程においては、米国特許第9159547号明細書に記載のように紫外線を照射しながら処理することも好ましい。このような前処理工程により膜の特性を向上させることが可能である。前処理工程は10秒間~2時間程度の短い時間で行うとよく、15秒~30分間がより好ましい。前処理は2段階以上のステップとしてもよく、例えば100~150℃の範囲で前処理工程1を行い、その後に150~200℃の範囲で前処理工程2を行ってもよい。
更に、加熱後冷却してもよく、この場合の冷却速度としては、1~5℃/分であることが好ましい。
加熱工程は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを流す等により、低酸素濃度の雰囲気で行うことが特定樹脂の分解を防ぐ点で好ましい。酸素濃度は、50ppm(体積比)以下が好ましく、20ppm(体積比)以下がより好ましい。
加熱手段としては、特に限定されないが、例えばホットプレート、赤外炉、電熱式オーブン、熱風式オーブンなどが挙げられる。
<金属層形成工程>
本発明の製造方法は、現像後の膜(硬化性樹脂組成物層)の表面に金属層を形成する金属層形成工程を含むことが好ましい。
金属層としては、特に限定なく、既存の金属種を使用することができ、銅、アルミニウム、ニッケル、バナジウム、チタン、クロム、コバルト、金及びタングステンが例示され、銅、アルミニウム、及び、これらの金属を含む合金がより好ましく、銅が更に好ましい。
金属層の形成方法は、特に限定なく、既存の方法を適用することができる。例えば、特開2007-157879号公報、特表2001-521288号公報、特開2004-214501号公報、特開2004-101850号公報に記載された方法を使用することができる。例えば、フォトリソグラフィ、リフトオフ、電解メッキ、無電解メッキ、エッチング、印刷、及びこれらを組み合わせた方法などが考えられる。より具体的には、スパッタリング、フォトリソグラフィ及びエッチングを組み合わせたパターニング方法、フォトリソグラフィと電解メッキを組み合わせたパターニング方法が挙げられる。
金属層の厚さとしては、最も厚肉部で、0.01~100μmが好ましく、0.1~50μmがより好ましく、1~10μmが更により好ましい。
<積層工程>
本発明の製造方法は、更に、積層工程を含むことが好ましい。
積層工程とは、硬化膜(樹脂層)又は金属層の表面に、再度、(a)膜形成工程(層形成工程)、(b)露光工程、(c)現像工程、(d)加熱工程を、この順に行うことを含む一連の工程である。ただし、(a)の膜形成工程のみを繰り返す態様であってもよい。
また、(d)加熱工程は積層の最後又は中間に一括して行う態様としてもよい。すなわち、(a)~(c)の工程を所定の回数繰り返し行い、その後に(d)の加熱をすることで、積層された硬化性樹脂組成物層を一括で硬化する態様としてもよい。また、(c)現像工程の後には(e)金属層形成工程を含んでもよく、このときにも都度(d)の加熱を行っても、所定回数積層させた後に一括して(d)の加熱を行ってもよい。積層工程には、更に、上記乾燥工程や加熱工程等を適宜含んでいてもよいことは言うまでもない。
積層工程後、更に積層工程を行う場合には、上記加熱工程後、上記露光工程後、又は、上記金属層形成工程後に、更に、表面活性化処理工程を行ってもよい。表面活性化処理としては、プラズマ処理が例示される。
上記積層工程は、2~20回行うことが好ましく、2~5回行うことがより好ましく、3~5回行うことが更により好ましい。
また、積層工程における各層は、組成、形状、膜厚等が同一の層であってもよいし、異なる層であってもよい。
例えば、樹脂層/金属層/樹脂層/金属層/樹脂層/金属層のような、樹脂層が2層以上20層以下とする構成が好ましく、3層以上7層以下の構成がより好ましく、3層以上5層以下が更に好ましい。
本発明では特に、金属層を設けた後、更に、上記金属層を覆うように、上記硬化性樹脂組成物の硬化膜(樹脂層)を形成する態様が好ましい。具体的には、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程、(d)加熱工程の順序で繰り返す態様、又は、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程の順序で繰り返し、最後又は中間に一括して(d)加熱工程を設ける態様が挙げられる。硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を積層する積層工程と、金属層形成工程を交互に行うことにより、硬化性樹脂組成物層(樹脂層)と金属層を交互に積層することができる。
(表面活性化処理工程)
本発明の積層体の製造方法は、上記金属層および感光性樹脂組成物層の少なくとも一部を表面活性化処理する、表面活性化処理工程を含んでもよい。
表面活性化処理工程は、通常、金属層形成工程の後に行うが、上記露光現像工程の後、感光性樹脂組成物層に表面活性化処理工程を行ってから、金属層形成工程を行ってもよい。
表面活性化処理は、金属層の少なくとも一部のみに行ってもよいし、露光後の感光性樹脂組成物層の少なくとも一部のみに行ってもよいし、金属層および露光後の感光性樹脂組成物層の両方について、それぞれ、少なくとも一部に行ってもよい。表面活性化処理は、金属層の少なくとも一部について行うことが好ましく、金属層のうち、表面に感光性樹脂組成物層を形成する領域の一部または全部に表面活性化処理を行うことが好ましい。このように、金属層の表面に表面活性化処理を行うことにより、その表面に設けられる樹脂層との密着性を向上させることができる。
また、表面活性化処理は、露光後の感光性樹脂組成物層(樹脂層)の一部または全部についても行うことが好ましい。このように、感光性樹脂組成物層の表面に表面活性化処理を行うことにより、表面活性化処理した表面に設けられる金属層や樹脂層との密着性を向上させることができる。
表面活性化処理としては、具体的には、各種原料ガス(酸素、水素、アルゴン、窒素、窒素/水素混合ガス、アルゴン/酸素混合ガスなど)のプラズマ処理、コロナ放電処理、CF/O、NF/O、SF、NF、NF/Oによるエッチング処理、紫外線(UV)オゾン法による表面処理、塩酸水溶液に浸漬して酸化皮膜を除去した後にアミノ基とチオール基を少なくとも一種有する化合物を含む有機表面処理剤への浸漬処理、ブラシを用いた機械的な粗面化処理から選択され、プラズマ処理が好ましく、特に原料ガスに酸素を用いた酸素プラズマ処理が好ましい。コロナ放電処理の場合、エネルギーは、500~200,000J/mが好ましく、1000~100,000J/mがより好ましく、10,000~50,000J/mが最も好ましい。
本発明は、本発明の硬化膜又は積層体を含む半導体デバイスも開示する。本発明の硬化性樹脂組成物を再配線層用層間絶縁膜の形成に用いた半導体デバイスの具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0213~0218の記載及び図1の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。「部」、「%」は特に述べない限り、質量基準である。
<合成例1:ポリマーA-1の合成>
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ-ブチロラクトン400mlを入れて室温下で撹拌し、撹拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を撹拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ-ブチロラクトン350mlに懸濁したものを撹拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間撹拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間撹拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマーA-1を得た。ポリマーA-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<合成例2:ポリマーB-1の合成>
上記合成例1における4,4’-オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて、3,3’4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーB-1を得た。ポリマーB-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<合成例3:ポリマーA-2の合成>
20.0g(64.5ミリモル)の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(140°Cで12時間乾燥)と、17.12g(131.58ミリモル)の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とを、50mlのN-メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥させた。懸濁液を100℃で3時間加熱した。加熱開始してから数分後に透明な溶液が得られた。反応混合物を室温に冷却し、21.43g(270.9ミリモル)のピリジンおよび90mlのN-メチルピロリドンを加えた。次いで、反応混合物を-10℃に冷却し、温度を-10±4℃に保ちながら16.12g(135.5ミリモル)のSOClを10分かけて加えた。SOClを加えている間、粘度が増加した。50mlのN-メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mlのN-メチルピロリドンに11.75g(58.7ミリモル)の4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを溶解させた溶液を、20~23℃で20分かけて反応混合物に滴下した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体を濾取し、再度4リットルの水に投入してさらに30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下で、45℃で3日間乾燥し、ポリマーA-2を得た。
<合成例4:ポリマーB-2の合成>
合成例3において、20.0g(64.5ミリモル)の4,4’-オキシジフタル酸二無水物に代えて、19.0g(64.5ミリモル)の3,3’4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いた以外は、合成例3に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーB-2を得た。
<合成例5:ポリマーCの合成>
乾燥窒素気流下、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(32.78g(0.0895モル))と、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(1.24g(0.005モル))とを、NMP 100gに溶解させた。この溶液に、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(31.02g(0.10モル))をNMP 30gとともに加えて、20℃で1時間撹拌し、次いで50℃で4時間撹拌した。この撹拌後の溶液に、3-アミノフェノール(1.09g(0.01モル))を加え、50℃で2時間撹拌した後、180℃で5時間撹拌して樹脂溶液を得た。次に、この樹脂溶液を水(3L)に投入して、白色沈殿を生成させた。この白色沈殿を、濾過で集めて水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。この結果、ポリイミドであるポリマーCの粉末が得られた。
<合成例6:ポリマーDの合成>
セパラブルフラスコ中で、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン 183.1g(0.5モル)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc) 640.9g、ピリジン 63.3g(0.8モル)を室温(25℃)で混合撹拌し、均一溶液とした。これに、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド 118.0g(0.4モル)をジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG) 354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15~20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
滴下終了から3時間後、反応液に1,2-シクロヘキシルジカルボン酸無水物 30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2-シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速撹拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量9,000(ポリスチレン換算)の粗ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。
上記で得られた粗ポリベンゾオキサゾール前駆体をγ-ブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーD)を得た。
<合成例7:ポリマーEの合成>
300gのPPA(ポリリン酸)に2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6F-BAPh)50.0g(0.137モル)と2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BIS-B-AF)53.5g(0.137モル)とを加え、窒素気流下で100℃に加熱した後に、約10℃/分の昇温速度で200℃まで加熱して、150分間200℃を維持し、ポリベンゾオキサゾールであるポリマーEを得た。
<合成例8:ポリマーFの合成>
三口フラスコにN-メチルピロリドン123ml、及び、6FDA(東京化成工業株式会社製、製品番号:H0771)54.97g(0.124mol)を加えて40℃で溶解させ、窒素気流下で撹拌しているところに、2,3,5,6-テトラメチルフェニレンジアミンTeMPD(東京化成工業株式会社製、製品番号:T1457)8.13g(0.049mol)、m-フェニレンジアミン(富士フイルム和光純薬(株)製、製品番号:164-01515)6.69g(0.062mol)、3,5-ジアミノ安息香酸DABA(東京化成工業株式会社製、製品番号:D0294)1.971g(0.012mol)のN-メチルピロリドン84.0ml溶液を30分かけて系内を40℃に保ちつつ滴下した。反応液を40℃で2.5時間撹拌した後、ピリジン(和光純薬株式会社製、製品番号:166-22575)2.94g(0.037mol)、無水酢酸(和光純薬株式会社製、製品番号:018-00286)31.58g(0.31mol)をそれぞれ加えて、さらに80℃で3時間撹拌した。その後、反応液にアセトン676.6mLを加え、希釈した。ステンレス容器にメタノール1.15L、アセトン230mLを加えて撹拌しているところに、反応液のアセトン希釈液を滴下した。得られたポリマー結晶を吸引ろ過し、60℃で送風乾燥させて60.1gのポリマーFを得た。
<実施例及び比較例>
各実施例又は比較例において、それぞれ、下記表2~表8に記載の成分のうち、塩基性化合物以外の成分を混合し、硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を得た。
表2~表8に記載の溶剤以外の各成分の欄における数値は、各成分の含有量(質量部)を表す。
また、溶剤の欄における数値は、使用した溶剤の含有量(質量部)を表す。
得られた硬化性樹脂組成物及び比較用組成物を、細孔の幅が0.8μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通して加圧ろ過した。
また、表2~表8中、「-」の記載は該当する成分を組成物が含有していないことを示している。
表2~表8に記載した各成分の詳細は下記の通りである。
〔樹脂〕
・A-1、B-1、A-2、B-2、C~F:上述の合成例で合成したポリマーA-1、ポリマーB-1、ポリマーA-2、ポリマーB-2、ポリマーC~F
〔特定化合物(トリアゾール構造を有する化合物)〕
・G-1:1H-ベンゾトリアゾール(DMSO中のpKa=11.9)
・G-2:5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(DMSO中のpKa=11.9)
・G-3:4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(DMSO中のpKa=11.9)
・G-4:トリルトリアゾール(5-メチルー1H-ベンゾトリアゾールと4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールとの異性体混合物、DMSO中のpKa=11.9)
・G-5:1,2,3-トリアゾール(DMSO中のpKa=13.9)
・G-6:1,2,4-トリアゾール(DMSO中のpKa=14.8)
・G-7:ベンズイミダゾール(DMSO中のpKa=16.4)
・G-8:インドール(DMSO中のpKa=21.0)
・G-9:1H-テトラゾール(DMSO中のpKa=8.2)
G-7、G-8及びG-9はトリアゾール構造を有しない化合物である。
〔重合禁止剤〕
・H-1:p-ベンゾキノン
・H-2:4-メトキシフェノール
・H-3:2-ニトロソ-1-ナフト-ル
〔感光剤又は増感剤〕
・I-1:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
・I-2:NCI 831 (ADEKA社製)
・I-3:Irgacure OXE01 (BASF社製)
・I-4:Irgacure OXE02 (BASF社製)
・I-5:Irgacure 784 (BASF社製)
・I-6:Irgacure 379 (BASF社製)
・I-7:7-ジエチルアミノ-3-エトキシカルボニルクマリン
・I-8:ジアゾナフトキノン
・I-9:Wako WPAG-145(富士フイルム和光純薬(株)製)
〔架橋剤〕
・J-1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
・J-2:ライトエステルBP-6EM(共栄社化学(株)製)
・J-3:ダイセル セロキサイド CEL2081((株)ダイセル製)
・J-4:ヘキサメトキシメチルメラミン
〔密着剤(シランカップリング剤)〕
・K-1:N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸
・K-2:N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]マレアミド酸
・K-3:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
・K-4:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
・K-5:下記式(K-5)で表される構造の化合物。式(K-5)中、Rはエチル基を表す。
〔その他の添加剤〕
・L-1:下記式(L-1)で表される化合物
〔pH調整剤〕
・M-1:N-フェニルジエタノールアミン
・M-2:CyDTA(トランス-1,2シクロヘキサンジアミン四酢酸)
〔熱塩基発生剤〕
・N-1~N-3:下記式(N-1)~式(N-3)で表される構造の化合物。
〔溶剤〕
・S-1:N-メチルピロリドン
・S-2:乳酸エチル
・S-3:γ-ブチロラクトン
・S-4:ジメチルスルホキシド
・S-5:シクロペンタノン
<評価>
〔腐食抑制(高温高湿保持後の銅-樹脂界面のボイド)評価〕
各実施例及び比較例において、それぞれ、各硬化性樹脂組成物又は各比較用組成物を、銅基板上にスピンコート法により層状に適用(塗布)して、硬化性樹脂組成物層を形成した。
各実施例及び比較例において、得られた組成物層を適用した銅基板をホットプレート上で、100℃で4分間乾燥し、銅基板上に厚さ20μmの硬化性樹脂組成物層を形成した。
表2~表8中、「腐食抑制」の「露光条件」の欄に「i」と記載された例においては、m銅基板上の硬化性樹脂組成物層を、i線(波長約365nm)により、400mJ/cmの露光エネルギーで100μm四方の正方形状の非マスク部を有するフォトマスクを使用して露光し、さらに、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、230℃に達した後、3時間の間230℃を維持し、硬化膜が形成された銅基板を得た。
表2~表8中、「腐食抑制」の「露光条件」の欄に「h」と記載された例においては、m銅基板上の硬化性樹脂組成物層を、h線(波長約405nm)により、400mJ/cmの露光エネルギーで100μm四方の正方形状の非マスク部を有するフォトマスクを使用して露光し、さらに、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、230℃に達した後、3時間の間230℃を維持し、硬化膜が形成された銅基板を得た。
表2~表8中、「腐食抑制」の「露光条件」の欄に「b」と記載された例においては、m銅基板上の硬化性樹脂組成物層を、ブロードバンド光(高圧水銀灯)により、400mJ/cmの露光エネルギーで100μm四方の正方形状の非マスク部を有するフォトマスクを使用して露光し、さらに、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、230℃に達した後、3時間の間230℃を維持し、硬化膜が形成された銅基板を得た。
表2~表8中、「腐食抑制」の「露光条件」の欄に「-」と記載された例においては、銅基板上の硬化性樹脂組成物層を露光せずに窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、230℃に達した後、3時間の間230℃を維持し、硬化膜が形成された銅基板を得た。
上記硬化膜が形成された銅基板を、恒温槽(ESPEC STH-120)を用いて、空気中、150℃、相対湿度90%の条件で500時間加熱した。
続いて、基板における銅層(銅基板)と硬化膜との積層体部分を割断し、さらに上記断面をイオンミリング装置(ArBlade5000、日立ハイテクノロジーズ社製)にて表面処理を行った。
得られた銅層(Cu層)と硬化膜との積層体断面を、FE-SEM(S-4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって真横から観察し、Cu層の表面に占めるボイドの面積比率を算出した。すなわち、SEM像のボイドである部分とCu層の部分とに目視にて分離した。ボイドの部分の面積を、Cu層全体の面積で割ることで、ボイドの面積比率を算出した。
上記面積比率から、下記評価基準に従って評価を行い、評価結果を表2~表8の「腐食抑制」の欄に記載した。上記ボイドの面積比率が小さいほど、金属の腐食が抑制されているといえる。
-評価基準-
A:上記面積比率が5%以下であった。
B:上記面積比率が5%を超え、15%以下であった。
C:上記面積比率が15%を超えた。
〔液保存安定性評価〕
-経時前膜厚の測定-
各実施例及び比較例において、それぞれ、硬化性樹脂組成物又は比較用組成物をスピンコート法でシリコンウェハ上に適用して硬化性樹脂組成物層を形成した。得られた硬化性樹脂組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に約15μmの均一な厚さの硬化性樹脂組成物層を得た。上記シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層の膜厚を測定し、この値を経時前膜厚とした。膜厚は、エリプソメーター(Foothill社製KT-22)で塗布面10点において膜厚測定を実施し、その算術平均値として求めた。
-経時後膜厚の測定-
各実施例及び比較例において、それぞれ、硬化性樹脂組成物又は比較用組成物をガラス容器に入れて密閉し、25℃、遮光の環境下に14日間静置した後、経時前膜厚を求めたときと同じ回転数を用いて、硬化性樹脂組成物又は比較用組成物をスピンコート法でシリコンウェハ上に適用して硬化性樹脂組成物層を形成した。得られた硬化性樹脂組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に均一な厚さの硬化性樹脂組成物層を得た。得られた硬化性樹脂組成物層の膜厚を上記経時前膜厚の測定方法における膜厚の測定方法と同様の方法によって測定し、この値を経時後膜厚とした。
-膜厚変化率-
以下の式により、膜厚変化率を算出した。
膜厚変化率 (%) = |経時前膜厚-経時後膜厚|/経時前膜厚×100
算出された膜厚変化率を下記評価基準に従って評価し、評価結果を表2~表8の「保存安定性評価」の欄に記載した。上記膜厚変化率が小さいほど、硬化性樹脂組成物は保存安定性に優れるといえる。
-評価基準-
A:上記膜厚変化率が10%未満であった。
B:上記膜厚変化率が10%以上15%未満であった。
C:上記膜厚変化率が15%以上であった。
以上の結果から、本発明に係る、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた、少なくとも1種の樹脂、トリアゾール構造を有する化合物、並びに、溶剤を含み、組成物のpHが7.0未満である硬化性樹脂組成物によれば、隣接する金属の腐食の抑制に優れた硬化膜が得られることがわかる。
比較例1~2に係る比較用組成物は、トリアゾール構造を有する化合物を含むが、pHが7.0以上である。この比較例1~2に係る比較用組成物は、硬化膜が隣接する金属の腐食の抑制及び液保存安定性に劣ることがわかる。
比較例3~4に係る比較用組成物は、トリアゾール構造を有する化合物を含まず、かつ、pHが7.0以上である。この比較例1~2に係る比較用組成物は、硬化膜が隣接する金属の腐食の抑制及び液保存安定性に劣ることがわかる。
比較例5に係る比較用組成物は、pHが7.0未満であるが、トリアゾール構造を有する化合物を含まない。この比較例5に係る比較用組成物は、硬化膜が隣接する金属の腐食の抑制に劣ることがわかる。
<実施例101>
実施例1において使用した硬化性樹脂組成物を、表面に銅薄層が形成された樹脂基材の銅薄層の表面にスピンコート法により層状に適用して、100℃で5分間乾燥し、膜厚20μmの硬化性樹脂組成物層を形成した後、ステッパー((株)ニコン製、NSR1505 i6)を用いて露光した。露光はマスク(パターンが1:1ラインアンドスペースであり、線幅が10μmであるバイナリマスク)を介して、波長365nmの光を照射して行った。露光の後、シクロペンタノンで30秒間現像し、PGMEAで20秒間リンスし、層のパターンを得た。
次いで、230℃で3時間加熱し、再配線層用層間絶縁膜を形成した。この再配線層用層間絶縁膜は、絶縁性に優れていた。
また、これらの再配線層用層間絶縁膜を使用して半導体デバイスを製造したところ、問題なく動作することを確認した。

Claims (15)

  1. ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、及びこれらの前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂、
    トリアゾール構造を有する化合物
    溶剤、並びに、
    pH調整剤を含み、
    組成物のpHが7.0未満であり、
    前記pH調整剤が酸性化合物であり、前記酸性化合物がポリアミノカルボン酸化合物又はその塩である
    硬化性樹脂組成物。
  2. 前記ポリアミノカルボン酸化合物又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸、トランス-1,2シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、又は、これらのアミン塩若しくはアンモニウム塩である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記トリアゾール構造を有する化合物のジメチルスルホキシド中のpKaが15未満である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記トリアゾール構造を有する化合物が1,2,3-トリアゾール構造を有する化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記トリアゾール構造を有する化合物がベンゾトリアゾール構造を有する化合物を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記樹脂100質量部に対し、感光剤1~40質量部と、前記トリアゾール構造を有する化合物0.05~20質量部と、前記溶剤50~300質量部とを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記溶剤として、窒素原子を含まない溶剤を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記溶剤として、炭素原子、酸素原子及び水素原子のみから構成される溶剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
  11. 請求項10に記載の硬化膜を2層以上含み、前記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む積層体。
  12. 請求項1~のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
  13. 前記膜を露光する露光工程及び前記膜を現像する現像工程を含む、請求項12に記載の硬化膜の製造方法。
  14. 前記膜を50~450℃で加熱する加熱工程を含む、請求項12又は13に記載の硬化膜の製造方法。
  15. 請求項10に記載の硬化膜又は請求項12に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
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