本明細書および添付された特許請求の範囲において、単数形の「1つの」および「その」は、特に断らない限り、複数の対象物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において、「または」という用語は、特に断らない限り、「および/または」という意味を有しているものとする。
「約」という語は、一般に、記載される値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)とみなされる数値範囲を指す。多くの場合において、「約」という語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含む。
上下限値による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
以下の記載においては図面を参照するが、異なる図における類似する構成要素には同一の符号が付されている。詳細な説明および図面は例示的実施形態を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。また、図面は必ずしも縮尺どおりではない。例示的実施形態は、本発明の説明のみを意図する。特に断らない限り、例示的実施形態の選択された特徴は、別の実施形態に組み込み可能である。
半導体デバイスは、ウエハ基板を形成することによって製造される。1つまたは複数のウエハ基板、または単にウエハは、製造中、製造前または製造後にウエハキャリア内に収容できる。前面開閉式基板容器は、保管または搬送中にウエハキャリア内のウエハを保護する。例えば、ウエハキャリアは、他の物体との衝突や、ウエハ同士の衝突によってもたらされる損傷からウエハを保護する。例えば、ウエハキャリアは、ウエハキャリアの前面が閉じられた状態において、汚染された空気のウエハキャリア内への侵入を抑制または防止するように構成される。ウエハキャリアは、ある場所から別の場所に人(技術者、操作者等)が運ぶことができる大きさおよび重量を有している。
ウエハキャリアは、例えば、FOUP(前面開閉式一体型ポッド)またはFOSB(前面開閉式シッピングボックス)であるが、これらに限定されない。一般に、FOUPは製造施設内で基板ウエハを搬送するために使用され、FOSBはより長い距離(例えば、製造施設から別の施設への製造施設間)にわたって基板ウエハを搬送するために使用される。例えば、FOUPは、FOUPの前面が開放しているときに、FOUP内への汚染空気の侵入を防止するように構成される。例えば、FOUPは、製造用のプロセスガスや、FOUP内を陽圧化するための濾過されたガス等のガスを選択的にFOUPに入れるように構成される場合もあるが、これに限定されない。
開示する実施形態は、ハンドルを備えたウエハキャリアに関する。ハンドルが備えられているため、ウエハキャリアを安全に運ぶことができる。開示するウエハキャリアでは、他の特徴に加えて、ロック機構を有するハンドルおよびレールを備えていることによって、ハンドルが意図せず外れるリスクが低減され、搬送時のウエハキャリアの屈曲/変形の量が減少するため、ウエハキャリア内の収容物の安全性が好適に向上している。
ロック機構によって、ハンドルがウエハキャリアから意図せず外れることが防止される。ハンドルは、従来の構成で必要とされていた、ウエハキャリアを損傷させるおそれのある力と比較して、ウエハキャリアに加わる力を小さくして好適に取り付けることができる。本開示のハンドルは、一体形成されたハンドルよりも強度の高い構造を有し、かつ、ハンドルを離して洗浄できることからウエハキャリアの清浄度を向上させる。
図1~4に、一実施形態に係るウエハキャリアを示す。図1~4に示すウエハキャリアは、ウエハキャリア1の一実施形態である。図1は、ウエハキャリア1の右側斜視図である。図2は、ウエハキャリア1の左側斜視図である。図3は、ウエハキャリア1の正面図である。図4は、ウエハキャリア1の側面図である。様々な実施形態において、ウエハキャリア1はFOUPである。他の実施形態では、ウエハキャリア1はFOSBである。
ウエハキャリア1は、第1のハンドル100A、第2のハンドル100B(図2)、第1のハンドル100A用の第1のロック機構150A(図4)および第2のハンドル100B用の第2のロック機構150B(図2)を有している。
各ハンドル100A,100Bは、好適には、非破壊的に取り外し可能であるように構成される。ハンドル100A,100Bは同じ構造を有し、左右対称的であることを除いては、同様に着脱できるように構成されている。第1のハンドル100Aおよび第1のロック機構150Aの特徴部には、以下の記載および図面において接尾辞「A」が付され、一方、第2のハンドル100Bおよび第2のロック機構100Bの特徴部には、以下の記載および図面において接尾辞「B」が付されている。特に記載または図示されない限り、ハンドル100Bおよびロック機構150Bは、それぞれ、ハンドル100Aおよびロック機構150Aについて記載または図示されている「A」特徴部に対応する「B」特徴部を備えているものとする。
ウエハキャリア1は、前面ドア7、上部10、右側面部12(図1および4)、左側面部14(図2)、後面部16および下部18を有し、これらは概して側面部10,12,14,16,18と称される。前面ドア7と側面部10,12,14,16,18によって、密閉された内部空間6が形成されている(図3)。ウエハキャリア1は、ウエハキャリア1の前面部8に前面開口部9(図2)を有している。前面ドア7は前面開口部7(図1)を覆い、ウエハキャリア1は、前面ドア7を動かす(例えば、開く、取り外す)ことによってアクセス可能となる。図2および3は、前面ドア7が取り外された(例えば、開かれた)状態のウエハキャリア1を示している。
側面部10,12,14,16,18および前面ドア7は、ウエハキャリア1の外面22を形成している。一実施形態では、側面部10,12,14,16,18は単一の一体構造である。例えば、側面部10,12,14,16,18は、単一の連続した部品として成形されてもよいし、複数の部品を恒久的に接合して成形してもよい。一実施形態では、ウエハキャリア1は、高純度のポリカーボネート等、概して非反応性で封じ込め耐性を有する(例えば、透過性が低い)材料で構成されているが、これに限定されない。
図3に示すように、内部空間6内に複数のウエハ(図示せず)を収容するためのウエハ歯20が、ウエハキャリア1内に設けられている。ウエハは、ウエハ歯20の空間内に挿入され、ウエハキャリア1内において図の紙面に対して垂直方向に積み重ねられる。一実施形態では、ウエハキャリア1は、図示されたウエハ歯20とは異なる、ウエハキャリア1の内部空間6内にウエハを保持する他の周知の構成を有している。前面ドア7は、内部空間6を囲むようにウエハキャリア1の前面開口部9を覆っている。ウエハは、ウエハキャリア1によって内部空間6内で保護されている。前面ドア7は、側面部10,12,14,18に封止されるように構成され、空気がウエハキャリア1の内部空間6に流入して、収容されたウエハを汚染することを防いでいる。
上部10は自動化インターフェース26を有し、下部18はベース24を有している。自動化インターフェース26は、上部操作フランジと称する場合もある。一実施形態では、自動化インターフェース26によって、例えば自動式アーム等の、ウエハキャリア1を移動させる標準的な自動化アタッチメント(図示せず)がウエハキャリア1に接続できるように構成されている。例えば、自動式アームを使用して、異なる製造装置間でウエハキャリア1が移動される。ハンドル100A,100Bは、一般的に自動化アタッチメントのために確保されているウエハキャリア1周囲のスペース内に延在しないように構成される。一実施形態では、ベース24は、ウエハキャリア1を異なる製造装置に接続するために使用される。
一実施形態では、ウエハキャリア1は、1つまたは複数のポート28を有している。例えば、ポート28は、ウエハキャリア1内にガスを供給するための入口(例えば、ポート28が流体源に流体接続しているときに開放される)であってもよいし、ガスの流出を可能とする出口(例えば、パージ孔)であってもよい。例えば、ポート28は、前面ドア7の開放時にウエハキャリア1内を陽圧化させるための入口であってもよく、または、製造工程においてウエハキャリア1を通って1つまたは複数の種類のプロセスガスを循環させるための入口であってもよい。例えば、ベース24は、異なる製造工程において適切な製造装置(図示せず)に接続(配置、取り付け等)され、ポート28を介してウエハキャリア1内に注入されたガスが、ウエハキャリア1を通って循環する。
第1のハンドル100Aは、ウエハキャリア1の一方の側面部12に取り付けられ(図1)、第2のハンドル100Bは、ウエハキャリア1の別の側面部14に取り付けられる(図2)。ハンドル100A,100Bは、人が手でウエハキャリア1を別の場所に運ぶことができるように構成されている。
ウエハキャリア1は、ハンドル100A,100Bが意図せず外れることを防止するように構成されている。ハンドル100A,100Bは、ウエハキャリア1から各ハンドル100A,100Bが意図せず外れることを防止するように構成されたロック機構150A,150B(図2および4)をそれぞれ有している。例えば、搬送中にハンドル100A,100Bがウエハキャリア1から意図せず外れると、ウエハキャリア1が落下し、ウエハキャリア1に保管されているウエハが損傷する可能性がある。
図5は、ハンドル100Aが取り外された状態のウエハキャリア1の右側斜視図である。取り付けられた状態(図1)では、ハンドル100Aは、ウエハキャリア1の側面部12に沿って延びる。
図5に示すように、ウエハキャリア1には、側面部12に沿って突出部30A,40Aおよびレール50A,60Aが設けられている。突出部30A,40Aはウエハキャリア1の外面22から突出している。ハンドル100Aは、突出部30A,40Aおよびレール50A,60Aを介してウエハキャリア1に固定される。図2に示すように、突出部30B,40Bおよびレール50B,60Bも、第2のハンドル100Bをウエハキャリア1に固定するために、ウエハキャリア1の反対側の側面部14に沿って設けられている。
突出部30A,40Aによって開口部32A,42Aが形成されている。開口部32Aは、突出部30Aによって画定され、ウエハキャリア1の外面22と突出部30Aの延在部34Aとの間に位置している。開口部42Aは、突出部40Aによって画定され、ウエハキャリア1の外面22と突出部40Aの延在部44Aとの間に位置している。各開口部32A,42Aは、ウエハキャリア1の側面部12に沿って、ウエハキャリア1の前面部8から後面部16に向かって延びる。
図6A~6Cに、一実施形態によるハンドル100Aを示す。図6Aは、ハンドル100Aの側面図である。図6Bは、ハンドル100Aの正面図である。例えば、図4および図6Bは、ハンドル100Aを同じ視点から見た図である。図6Cは、ハンドル100Aの背面図である。
ハンドル100Aは、第1の端部112Aおよび第2の端部114Aを有する本体110Aを備えている。本体110Aの第1の端部112Aと第2の端部114Aとの間にはグリップ部120Aが配置されている。図6Aに示すように、グリップ部120Aは、本体110Aの第1の端部112Aに近い第1の端部122Aと、本体110Aの第2の端部114Aに近い第2の端部124Aとを有している。
ハンドル100Aがウエハキャリア1の外面22に取り付けられた状態において、ハンドル100Aは、人がハンドル100Aのグリップ部120Aを把持してウエハキャリア1を運搬できるように構成されている。グリップ部120Aは、ハンドル100Aが側面部12に取り付けられた状態で、握りやすく、扱いやすいように構成されている。例えば、図1および3に示すように、グリップ部120Aは、側面部12から離間しており、人がグリップ部120Aを把持するのに十分なスペースを形成する方向に延びている。図6A~6Cに示すように、グリップ部120Aは、ハンドル100Aの本体110Aの一部分を形成している。
一実施形態では、グリップ部120Aは、カラーインジケータ126A(図6B)を有している。例えば、カラーインジケータによって、ウエハキャリア1の内容物を示すことができる(例えば、ウエハキャリア1内のウエハの特定の種類や、ウエハキャリア1内のウエハの現在の製造段階等)。一実施形態では、カラーインジケータ126Aは、洗浄が困難な面(亀裂、溝等)が形成されることを避けるためにハンドル100Aの本体110Aと一体に形成されているが、ハンドル100A,100Bが取り外し可能であるため、ウエハキャリア1に別のカラーインジケータが必要になった場合には、ハンドル100A,100Bを交換できる。例えば、このような実施形態におけるカラーインジケータ126Aは、本体110A自体の着色によって、または本体110Aと一体的に形成されている着色された部分によって構成される。
ハンドル100Aは、第1の挿入可能部材130Aおよび第2の挿入可能部材140Aも有している。図6Aに示すように、第1の挿入可能部材130Aは、第1の端部112Aとグリップ部120Aとの間に配置されている。一実施形態においては、第1の挿入可能部材130Aは、グリップ部120Aの端部122A、第1の端部112A、または第1の端部112Aとグリップ部120Aとの間に配置される。挿入可能部材130Aは、タブ132Aと、前面134Aと、前面134Aの反対側の背面136Aとを有している。タブ132Aは、挿入可能部材130Aの前面134A側にあり、挿入可能部材130Aの前面134Aから離れる方向に延びている。挿入可能部材130Aは、本体110Aの反対側にある端部138A(図6Bおよび8C)を有している。一実施形態では、タブ132Aは、挿入可能部材130Aの前面134Aにおいて本体110Aよりも端部138Aに近い位置に配置されている。例えば、タブ132Aは、前面134A上に配置され、端部138Aに沿って延びる。
図6Aに示すように、第2の挿入可能部材140Aは、グリップ部120Aと第2の端部114Aとの間に配置される。一実施形態では、第2の挿入可能部材140Aは、グリップ部120Aの端部124A、第2の端部114A、または第2の端部114Aとグリップ部120Aとの間に配置される。第1の挿入可能部材130Aと同様に、第2の挿入可能部材140Aも、タブ142A、前面144Aおよび背面146Aを有している。一実施形態では、第1の挿入可能部材130Aおよび第2の挿入可能部材140Aの一方または両方が、本体110Aと一体に形成される(例えば、単一の連続した部品として形成される)。例えば、成形(射出成形等)されたハンドル100Aは、単一の部品として形成された本体110Aおよび挿入可能部材130Aを少なくとも有している。このような実施形態では、挿入可能部材130Aは、以下に説明するように、ハンドル100Aの着脱を可能にするために、本体110Aに対して所望の量の可撓性を有するように形成される。
一実施形態では、挿入可能部材130A,140Aは、グリップ部120Aとは異なる本体110Aの部分に沿って配置されている(すなわち、グリップ部120Aに沿って配置されていない)。これによって、グリップ部120Aを把持するためのスペースが確保され、グリップ部120Aを扱う人が、挿入可能部材130A,140Aのいずれかに意図せず接触することを抑制できる。例えば、意図しない接触により、挿入可能部材130A,140Aの損傷または緩みが発生する可能性がある。
ハンドル100Aは、第1の突起170Aおよび第2の突起180Aも有している。第1の突起170Aは、本体110Aの第1の端部112Aに配置されている。図4に示すように、第1の突起170Aは、ウエハキャリア1を側面から見たときに、ウエハキャリア1の上部10の外面22と同じ高さに位置するか、外面22の下に位置するように構成される。例えば、第1の突起170Aは、ウエハキャリア1の上部10の外面22より上に延在しないように構成される。このため、自動化インターフェース26に対する取り付け時や取り付け後に、標準的な自動化アタッチメントが動作するスペースに突起170Aが干渉することがない。第2の突起180Aは、本体110Aの第2の端部114Aに配置されている。第1の突起170Aは、ウエハキャリア1の第1のレール50Aと係合するように構成される。第2の突起180Aは、ウエハキャリア1の第2のレール60Aと係合するように構成される。
図1は、ウエハキャリア1の外面22に取り付けられたハンドル100Aを示し、図5は、取り外された状態のハンドル100Aを示している。図1と図5との比較から分かるように、ハンドル100Aは、(図5に示すように)外されたハンドル100Aをウエハキャリア1に対して第1の方向D1に移動させて取り付けられる。一実施形態では、第1の方向D1は、FOUPの後面部16から前面部8に向かう方向である。例えば、第1の方向D1は、ウエハキャリア1の側面部12に概して平行である。ハンドル100Aがウエハキャリア1に対して第1の方向D1に動かされると、各挿入可能部材130A,140Aが対応する開口部32A,42Aに挿入され、各突起170A,180Aが対応するレール50A,60Aと係合する。挿入された挿入可能部材130A,140Aおよび係合した突起170A,180Aによって、ハンドル100Aがウエハキャリア1に固定される。取り付けられたハンドル100Aを取り外す際には、(図4に示すように)第1の方向D1と反対の方向D2にハンドル100Aを動かす。装着されたハンドル100Aの取り外しについては、詳細を後述する。
挿入可能部材130Aは、本体110Aに対して屈曲するように構成されている(すなわち、本体110Aに対して曲がるように構成されている)。より具体的には、挿入可能部材130Aは、挿入可能部材130Aが本体110Aから延びる方向である方向D1に垂直な方向(例えば、図6Bの紙面に対して出入りする方向)に屈曲するように構成される。一実施形態では、この可撓性構造を有していることによって、挿入可能部材130Aが、ウエハキャリア1の外面22に対して近付く方向および離れる方向に(繰り返して)屈曲できるように構成されている。一実施形態では、挿入可能部材130Aが開口部32Aに挿入されるときには、タブ132Aが突出部30Aに接触することによって挿入可能部材130Aがウエハキャリア1の外面22に向かって屈曲されるため、挿入可能部材130Aが開口部32Aに嵌入される。例えば、挿入可能部材130Aの屈曲によって、挿入可能部材130Aの開口部32Aへの挿入が可能となる。このように、挿入可能部材130Aが開口部32Aまで移動されて挿入されると、タブ132Aが突出部30Aに接触することによって、挿入可能部材130Aに圧力が加わり、挿入可能部材130Aがウエハキャリア1の外面22に向かって屈曲される。
タブ132Aが開口部32Aを通り過ぎると、タブ132Aは、ウエハキャリア1の外面22から離れるように屈曲する。具体的には、屈曲した挿入可能部材130Aの張力によって、ウエハキャリア1の外面22から離れる方向にタブ132Aが屈曲される。タブ132Aの屈曲によって、タブ132Aが係合状態になる。係合状態のタブ132Aは、開口部32A内に挿入可能部材130Aを保持する。より具体的には、係合状態にあるタブ134Aは、挿入可能部材130Aが開口部32Aから外れることを防止する。タブ132Aは、ハンドル100Aが挿入方向D1とは反対の方向D2に移動した(例えば、引っ張られた)ときに、突出部30Aの前側外面36A(図4)に接触することによって挿入可能部材130Aの離脱を防止する。例えば、タブ132Aは、突出部30Aの前側外面36Aに引っ掛けられている。図4に示すように、前側外面36Aは、ハンドル100Aの本体110Aとは反対の方向(例えば、方向D1)を向いている。
一実施形態において、タブ132Aは非係合状態も有している。タブ132Aは、非係合状態にあるときには、開口部32Aから挿入可能部材130Aを取り外すことができるように構成される。例えば、非係合状態のタブ132Aは、挿入方向D1とは反対の方向D2への、突出部30Aに対する挿入可能部材130Aの移動を可能にする。一実施形態では、ウエハキャリア1は、ハンドル100Aの挿入可能部材130A,140Aの両方のタブ132A,142Aが非係合状態にあるときに、ハンドル100Aが取り外せるように構成される。
挿入可能部材130Aを開口部32Aに挿入するハンドル100Aの動き(例えば、第1の方向D1への動き)によって、第1の突起170Aも第1のレール50Aに対して動かされ、第2の突起180Aも第2のレール60Aに対して動かされる。より具体的には、ハンドル100Aの上記の動きによって、第1の突起170Aが第1のレール50Aと係合し、第2の突起180Aが第2のレール60Aと係合する。各突起170A,180Aと対応するレール50A,60Aとの係合によって、ハンドル100Aの、ウエハキャリア1から離れる方向(例えば、図3の方向D3)への移動が防止されるように構成されている。例えば、突起170A,180Aが対応するレール50A,60Aと係合することによって、ウエハキャリア1の角部に引張力が分散されるため、ウエハキャリア1の側面部12からハンドル100Aを引き離す力が緩和され、側面部12の外側への撓曲が抑制される。
挿入可能部材140Aおよびタブ142Aは、挿入可能部材130Aおよびタブ132Aと同様の方法で、ウエハキャリア1の対応する突出部40Aおよび開口部42Aに挿入される。一実施形態では、ハンドル100Aは、ハンドル100Aの第1の方向D1への一回の移動によって、挿入可能部材130A,140Aが挿入されて突起170A,180Aが係合するように構成される。一実施形態では、ハンドル100Aは、ハンドル100Aが第1の方向D1に一回移動することによって、挿入可能部材130A,140Aの挿入と、タブ132A,142Aの係合状態への移行と、突起170A,180Aの係合が行われるように構成される。
図7は、一実施形態によるロック機構150Aの斜視図である。ロック機構150Aは、ハンドル100Aがウエハキャリア1から意図せずに外れることを防ぐように構成されている。例えば、ロック状態にあるときのロック機構150Aは、挿入可能部材130A,140Aとの意図しない接触や、ハンドル100Aにかかる力(例えば、満載時のウエハキャリア1の重量、ウエハキャリアの揺れ)によって、タブ132Aが係合状態から外れないように構成される。
ロック機構150Aは、前端152A、後端154A、接触面156Aおよび可撓性拡張部160Aを有している。ロック機構150Aは、前端152Aから後端154Aまで延びる長さLを有する。接触面156Aは、ロック機構150Aの前端152Aと可撓性拡張部160Aとの間に配置されている。一実施形態では、ロック機構150Aの厚みT1は、前端152Aと可撓性拡張部160Aとの間においては、接触面156Aで最大となっている。ロック機構150Aの厚みT1は、その長さLに垂直である。
図4に示すように、ロック機構150Aは、ハンドル100Aの本体110Aのガイド部116Aに保持されている。ロック機構150Aは、本体110Aにスライド可能に取り付けられるように、ガイド部116A内に保持されている。例えば、ガイド部116Aは、ロック機構150Aの第1の方向D1への移動を可能としながら、第1の方向D1に垂直な方向(例えば、図3の方向D3や方向D4)へのロック機構150Aの移動を防止する。一実施形態では、ロック機構150Aは、上規制部164Aおよび下規制部166Aを有している(図7)。ロック機構150Aは、ガイド部116Aおよび2つの規制部164A,166Aによって、ハンドル100Aの本体110Aにスライド可能に取り付けられている。上規制部164Aはガイド部116Aの上方に配置され(例えば、図4の紙面から出る方向において、ガイド部116Aは上規制部164Aよりも外面22に近い)、下規制部166Aはガイド部116Aの下方に配置される(例えば、図4において、下規制部166Aはガイド部116Aよりも外面22に近い)。例えば、ハンドル100Aを横から見た場合(図6A等)、ガイド部116Aは、上規制部164Aと下規制部166Aとの間に配置される。一実施形態では、1つの上規制部164Aおよび1つの下規制部166Aが、ロック機構150Aの各側部に沿って設けられる。
一実施形態では、規制部166Aのうちの1つが曲げられる(例えば幅Wの方向に曲げられる)ように形成されており、ロック機構150Aは、ハンドル100Aとは別に形成されてから、ガイド部116Aとスナップ係合するように構成されている。規制部164A,166Aは、ガイド部116Aにスナップ係合したロック機構150Aの離脱を防ぐように構成される。別の実施形態では、ハンドル100Aは、ロック機構150Aが本体110Aと一体をなしてガイド部116A内に収まるように形成(成形等)され、ロック機構150Aを本体110Aに接続している部分が破壊されることによって、ロック機構150Aが、本体110A対してスライド可能に取り付けられるように構成されている。
ハンドル100Aの本体110Aは、貫通穴118Aおよび保持空間119Aを有している。一実施形態では、保持空間119Aは、ハンドル100Aが取り付けられたときにウエハキャリア1の側面部12の外面22に対向する本体110Aの後面部102A(図6A)に設けられている。例えば、ハンドル100Aがウエハキャリア1の側面部12に取り付けられると、保持空間119Aは、本体110Aとウエハキャリア1の側面部12の外面22との間に配置される。貫通穴118Aは、保持空間119Aに接続している。貫通穴118Aは、ハンドル100Aの本体110Aの端部112Aと端部114Aとの間において、挿入可能部材130Aの近傍に位置している。保持空間119Aは、貫通穴118Aと挿入可能部材130Aとの間に配置されている。ロック機構150Aは、貫通穴118Aを通って保持空間119A内に延びるように構成される。
図6Aおよび6Cに示すように、保持空間119Aは、ハンドル100Aの後面部102Aに沿って開口している。しかしながら、一実施形態においては、保持空間119Aは、ハンドル100Aの後面部102Aに沿って囲まれている。例えば、このような実施形態では、本体110Aには貫通穴が形成され、貫通穴内において保持空間119Aが占める体積が大きくなる。
図8Aは、図3のVIII-VIII線に沿ったウエハキャリア1の断面図である。図8Bは、図8Aの領域Bの拡大図である。図8Cは、図8Aの領域Cの拡大図である。図示を明瞭にして比較を容易にするために、図8Bでは領域Bを反転および回転して示しており、図8Cでは領域Cを図8Aから回転して示している。
ロック機構150Aは、ロック状態とロック解除状態とを有する。ハンドル100A,100Bは、ロック機構150A,150Bをそれぞれ有している(図1および2)。図8Aおよび8Cに、ロック状態にある第1のハンドル100Aのロック機構150Aを示す。図8Aおよび8Bに、ロック解除状態にある第2のハンドル100Bのロック機構150Bを示す。図8Bのロック機構150Bは、第1の方向D1に移動することにより、ロック解除状態からロック状態(図8Cのロック機構150Aの状態)に移動する。図8Cのロック機構150Aは、可撓性拡張部160Aに力を加えてからロック機構150Aを反対方向D2に動かすことによって、ロック状態からロック解除状態(図8Bのロック機構150Aの状態)に移動される。
ロック機構150Aは、挿入可能部材130Aに対して移動可能であるように構成される。例えば、詳細は後述するが、ロック機構150Aは選択的に移動可能であり、外力が作用するまでは、ロック状態にあるロック機構150Aの移動は可撓性拡張部160Aによって規制される。
図8Bでは、ロック機構150Bはロック解除状態にある。ロック機構150Bがロック解除状態にあるときには、タブ132Bが係合状態から移動できる。例えば、ロック機構150Bは、タブ132Bが係合状態から移動できる量の挿入可能部材130Bの屈曲を可能とするように構成されている。ロック機構150Bの接触面156Bは、ロック解除状態にあるときでも、挿入可能部材130Bの背面136Bに接触している。別の実施形態では、ロック解除状態では、接触面156Bは挿入可能部材130Bに接触しない。ロック機構150Bがロック解除状態にあるときには、挿入可能部材130Bが突出部30Bから離れるように屈曲することができるため、タブ132Bを突出部30Bから外すことができる。一実施形態では、可撓性部材160Bが保持空間119Bの外側に配置されているときに、ロック機構150Bがロック状態にある。ロック機構150Bは、方向D1に移動し、可撓性部材160Bが保持空間119Bに配置されると、ロック状態に移行する。
図8Cでは、タブ132Aは係合状態にあり、ロック機構150Aはロック状態にある。例えば、図8Cのタブ132Aは、ハンドル100Aが方向D2に動かされる(例えば、引っ張られる)ときに、突出部30Aの前側外面38Aに接触するように配置されており、これによって、挿入可能部材130Aが開口部32Aから外れることが防止される。ロック機構150Aは、ロック状態にあるときにはタブ132Aを係合状態に維持するように構成される。タブ132Aは、挿入可能部材130Aから第1の方向D3に延びており、反対方向D4に移動することによって係合状態から移動される。ロック状態にあるロック機構150Aの位置によって、タブ132Aが係合状態から移動することが防止されている。ロック状態にあるロック機構150Aの接触面156Aの位置によって、挿入可能部材130Aの屈曲が抑制され、タブ132Aが反対方向D4に移動することが抑制されている。例えば、ロック状態にあるロック機構150Aの接触面156Aの位置によって、タブ132Aが係合状態から外れることが防止されている。一実施形態では、ロック機構150Aの接触面156Aは、ロック機構150Aがロック状態にあるときに挿入可能部材130Aに接触している。ロック機構150Aの接触によって、挿入可能部材130Aの屈曲が防止される。一実施形態では、ロック機構150Aは、挿入可能部材130Aに接触することなく、タブ132Aを係合状態に維持する。例えば、タブ132Aを係合状態から移動させるためには、挿入可能部材130Aの最低限の量の屈曲が必要である。ロック状態にあるロック機構150Aの接触面156Aは、挿入可能部材130Aがこの最低限の量まで屈曲することを防止する。
ロック機構150Aは、開口部32A内に入り、タブ132Aの背面136Aに沿って延びる。挿入可能部材130Aは、ロック機構150Aの接触面156Aと突出部30Aの内面38Aとの間に配置されている。ロック機構150Aの厚みT1によって、挿入可能部材130Aの屈曲が規制され、タブ132Aが係合状態に維持されている。図8Cに示すロック機構150Aの厚みT1によって、挿入可能部材130Aの屈曲およびタブ132Aの移動が阻止される。厚みT1は、挿入可能部材130Aがハンドル100Aの本体110Aから開口部32Aに延びる方向D1に対して垂直に延びる。
可撓性拡張部160Aは、外力F1によって屈曲可能に構成されている(例えば、ロック機構150Aの残りの部分に対して曲がることができる)。例えば、外力F1は、ロック機構150Aを動かしたい人によって加えられる。保持空間119Aは、意図しない接触によって可撓性拡張部160Aに外力F1が加わることを防止する。可撓性拡張部160Aの位置によって、第1の方向D1とは反対の方向D2へのロック機構150Aの動きが防止されている。
可撓性拡張部160Aは、外力F1によって曲げられない限り、ロック状態からのロック機構150Aの動きを規制するように構成されており、ロック機構150Aは、選択的に移動可能である。ロック機構150Aは、方向D1に移動することにより、ロック解除状態からロック状態に移行する。ロック機構150Aが第1の方向D1に動くときには、可撓性拡張部160Aが貫通穴118Aを通って保持空間119A内に移動する。一実施形態では、ロック機構150Aは、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aに配置されると、ロック状態に入る。
貫通穴118Aに対する保持空間119Aの大きさは、可撓性拡張部160Aが少なくとも部分的に屈曲状態から元の形状に戻ることができる大きさに設定されている。保持空間119A内に位置している(すなわち、外力F1が加えられていない)可撓性拡張部160Aの通常の形状は、方向D2から見て、貫通穴118Aと整合していない(例えば、一致していない、収まっていない)。この非整合によって、可撓性拡張部160Aが貫通穴118Aに嵌入することが防止され、ロック機構150Aが方向D2に移動して、ロック位置から移動することが防止される。このように、保持空間119A内の可撓性拡張部160Aの位置によって、ロック機構150Aがロック状態に維持されている。外力F1によって可撓性拡張部160Aが屈曲され、可撓性拡張部160Aが方向D2において貫通穴119Aと整合すると、可撓性拡張部160Aが貫通穴118Aに嵌入できるようになる。このようにして、ロック機構150Aは、外力F1を可撓性拡張部160Aに加え、ロック機構150Aを方向D2に移動させることにより、ロック状態からロック解除状態に移動可能であり、これによって、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aから貫通穴118A内に移動する。一実施形態では、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aの外側に配置されたときに、ロック機構150Aがロック解除状態に入る。一実施形態においては、可撓性拡張部160Aが貫通穴118Aおよび保持空間119Aの両方の外側に配置されたときに、ロック機構150Aがロック解除状態に入る。
一実施形態では、第2の方向D2における貫通穴118Aに対する可撓性拡張部160Aの非整合は、ロック機構150Aの幅Wに起因している。図7に示すように、ロック機構150Aは、可撓性拡張部160Aによって画定される幅Wを有している。一実施形態では、可撓性拡張部160Aは、外力F1によって屈曲されることによって、ロック機構150Aの幅Wが変更される(例えば、狭くなる)ように構成されている。例えば、可撓性拡張部160Aが外力F1によって屈曲されると、ロック機構は幅W1を有する。一実施形態では、外力F1によって、可撓性拡張部160Aが圧縮されてロック機構150Aの幅Wが狭くなる。可撓性拡張部160Aは、恒久的に変形することなく圧縮可能に構成されている。
図6Bに示すように、貫通穴118Aは幅W2を有し、保持空間119Aは幅W3を有している。保持空間119Aの幅W3は、貫通穴118Aの幅W2よりも大きい。ロック機構150Aがロック解除位置(図8Bのロック機構150Bの位置)からロック位置(図8Cのロック機構150Aの位置)に移動されると、可撓性拡張部160Aは、貫通穴118Aから保持空間119A内に移動する。保持空間119Aが(貫通穴118Aの幅W2と比較して)広い幅W3を有しているため、可撓性拡張部160Aは、保持空間119A内において少なくとも部分的に屈曲状態から元の形状に戻ることができる。可撓性拡張部160Aのこの非屈曲により、ロック機構150Aの幅W(例えば、可撓性拡張部160Aの幅)は、貫通穴118Aの幅W2よりも大きくなる。したがって、ロック状態(すなわち、外力F1が加えられていない状態)のロック機構150Aの通常の幅Wは、貫通穴118Aの幅W2よりも大きい。外力F1によって可撓性拡張部160Aが屈曲されると、ロック機構150Aの幅W1は、貫通穴118Aの幅W2以下になる。このように、可撓性拡張部160Aを屈曲させてロック機構150Aの幅Wを狭くしてから、ロック機構150Aを第2の方向D2に移動させることによって、ロック機構150Aがロック解除状態からロック状態に移動する。
このように、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aに配置されると、可撓性拡張部160Aの形状によって、ロック機構150Aがロック状態に維持されている。例えば、ロック機構150Aが第1の方向D1に移動することによってロック解除状態からロック状態に移動すると、保持空間119A内に位置する可撓性拡張部160Aの形状によって、ロック機構150Aが反対の方向D2に移動することが防止される。一実施形態では、ロック機構150Aをロック状態に維持する可撓性拡張部160Aの形状は、上記のように、ロック機構150Aの幅Wである。
可撓性拡張部160Aは、屈曲することによって、ロック機構150Aをロック解除状態からロック状態に移動可能とする。一実施形態では、貫通穴118Aおよび可撓性拡張部160Aの一方または両方が、ロック機構150Aを第1の方向D1に動かす力によって、可撓性拡張部160Aの屈曲および貫通穴118A内の通過も達成されるように構成される。例えば、ロック解除状態のロック機構150Aがロック解除位置にあるときに互いに向き合う貫通穴118Aの1つまたは複数の面および可撓性拡張部160Aの面が、傾斜している。
ロック機構150Aの上面158Aは、挿入可能部材130Aに対して概して平坦である。しかしながら、一実施形態では、ロック機構150Aが凹形状の上面158Aを有しており、ロック機構150Aの長さLは、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aに配置されたときに、接触面156Aが開口部32Aの外側に位置するように設定されている。上面158Aの凸形状は、タブ132Aが係合状態から非係合状態に移動可能な程度に挿入可能部材130Aが屈曲できるように構成されている。このような実施形態では、ロック機構150Aは、第1の方向D1とは反対の方向D2に移動することによって、ロック状態からロック解除状態に移動することができる。ロック機構150Aは、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aに配置されているときはロック解除状態となり、可撓性拡張部160Aが保持空間119Aの外側に配置されているときはロック状態になる。このような実施形態では、可撓性拡張部160Aは、方向D2への移動に関する点を除いては上記と同様に構成され、ロック状態にあるときは、ロック機構150Aの方向D1への移動を規制するように構成される。例えば、このような実施形態における可撓性拡張部160Aは、方向D2ではなく方向D1であること以外は上記と同様に、貫通穴118Aへの挿入が防止される。
図4および8Cに示すように、ハンドル100Aが取り外し方向D2に引っ張られると、係合状態のタブ132Aが突出部30Aの前側外面38Aに接触して、挿入可能部材130Aが開口部32Aから外れることを防止するように構成されている。しかしながら、一実施形態では、ノッチ(図示せず)が開口部32Aに設けられており、タブ132Aは、当該ノッチと係合することによって挿入可能部材130Aが外れることを防止するように構成される。例えば、ノッチは、突出部30Aの内面38Aまたはウエハキャリア1の外面22に設けることができる。このような実施形態では、挿入可能部材130Aは、開口部32A内を部分的にのみ延びる。このような実施形態では、ロック状態にあるときのロック機構150Aの一部分が、突出部30Aと挿入可能部材130Aとの間に配置される。一実施形態では、タブ132Aは、挿入可能部材130Aから、ウエハキャリア1の外面22から離れる方向とは異なる方向(例えば、図8Cの方向D3とは異なる方向)に延びている。例えば、一実施形態におけるタブ132Aは、挿入可能部材130Aからウエハキャリア1の外面22に向かって(例えば、方向D4に)延び、またはウエハキャリア1の外面22から離れる方向に対して垂直な方向(例えば、図9の方向D5)に延びる。
前述したように、挿入可能部材130Aは、開口部32Aに挿入されると、タブ132Aを自動的に係合状態に屈曲させるように構成されている。しかしながら、一実施形態では、挿入可能部材130Aが、タブ132Aを係合状態に屈曲させるようには構成されていない。一実施形態では、ロック機構150Aが、挿入可能部材130Aを屈曲させることによって、タブ132Aを係合位置に屈曲させる。例えば、タブ132Aは、挿入可能部材130Aの前面134A上に位置し、挿入可能部材は、タブ132Aを係合状態に屈曲させるために、第2の方向D2に屈曲する必要がある。ロック機構150Aは、ロック状態に移動するときに、挿入可能部材130Aを第2の方向D2に押して、タブ132Aを係合状態に屈曲させるように構成される。
図9は、ウエハキャリア1の一部を示す、図4のIX-IX線に沿った断面図である。ハンドル100Aの第1の突起170Aは、ウエハキャリア1の第1のレール50Aと係合する。より具体的には、第1の突起170Aは、第1のレール50Aと噛合するように構成されている。
突起170Aは、第1の部分172Aと、第1の部分172Aに直接接続している第2の部分174Aとを有している。第1の部分172Aは、ハンドル100Aの本体110Aから第1の方向D4に延び、第2の部分174Aは、第1の部分172Aから異なる方向D5に延びる。第1の部分172Aの方向D4は、本体110Aの第1の端部112Aと同一平面をなしていない。一実施形態においては、第1のレール50Aは、ウエハキャリア1の側面部12の外面22から離れる方向に延びている。第1のレール50Aは、内面52Aおよびスロット54Aを有している。スロット54Aは、内面52Aによって画定されている。突起170Aは、レール50Aのスロット54A内を延びている。レール50Aの内面52Aと突起170Aの第2の部分174Aとの接触によって、取り付けられたハンドル100Aの、ウエハキャリア1の外面22から離れる方向への移動(例えば方向D3の移動)が防止される。第2のレール60Aおよび第2の突起180Aは、突起レール180Aがハンドル100Aの第2の端部114Aに沿って反転して配置されている点以外は、第1のレール50Aおよび第1の突起180Aについての説明と同様の構造および係合状態を有する。
図3に示すように、ウエハ歯20は、ウエハキャリア1の側面部12,14に取り付けられている。ハンドル100Aを(例えば、方向D3に)引っ張る力によって、側面部12が外向きに撓む可能性があり、その結果、ウエハ歯20の形状に影響が及び、ウエハ歯20内のウエハが損傷するおそれがある。例えば、レール50A,60Aおよび突起170A,180Aは、ハンドル100Aをウエハキャリア1の外面22に取り付けるための、剛性の高い接点(例えば、角部またはその近傍の接点)として機能する。このような剛性の高い接点によって、ハンドル100Aからウエハキャリア1の角部に引張力を分散させることができ、側面部12の外向きの撓みの抑制が可能となる。
第1のレール50Aによって画定されるスロット54Aは、図9において上方(すなわち、方向D5)を向いている。しかしながら、一実施形態では、第1のレール50Aおよび第2の部分174Aの方向は逆であってもよい。例えば、このような実施形態では、スロット54Aは下方(すなわち、方向D5の反対側)を向く。一実施形態では、第2のレール60Aおよび第2の突起180Aも同様に変更される。
ウエハキャリア1のハンドル100Aは、2つの挿入可能部材130A,140A、2つのレール170A,180Aおよび1つのロック機構150Aを有している。しかしながら、一実施形態におけるハンドル100Aは、異なる数の挿入可能部材130A,140A、レール170A,180Aおよびロック機構150Aを有している。一実施形態では、ハンドル100Aは、挿入可能部材130A,140Aのうちの片方または両方を有する。一実施形態では、ハンドル100Aが、1つまたは複数のレール170A,180Aを有している。このような実施形態では、ウエハキャリア1は、対応する数の突出部30A,40Bおよびレール50A,60Aを有する。一実施形態では、ウエハキャリア1は、ハンドル100A用のロック機構150Aを複数有している。例えば、一実施形態におけるウエハキャリア1においては、ハンドル100Aの挿入可能部材130A,140Aのそれぞれが、ロック機構を有している。
図1~9に示す上記のハンドル100A,100Bおよびロック機構150A,150Bは、ウエハキャリア1用である。しかしながら、ハンドル100A,100B、ロック機構150A,150Bおよび突出部30A,30Bは、ウエハキャリア1について図示および記載された方法と同様の方法で、前面開閉式シッピングボックス(FOSB)等の他の種類のウエハキャリアに適用可能である。一実施形態では、前面開閉式シッピングボックス(FOSB)は、少なくとも突出部30A,30B、ハンドル100A,100Bおよびハンドル100A,30B用のロック機構150A,150Bを有している。
図10~12に、別の実施形態によるロック機構350Aを示す。図10は、FOUP300の一部分の斜視図である。図11は、ロック機構350Aの前面斜視図である。図12は、ロック機構350Aの背面斜視図である。
FOUP300は、図1~5のウエハキャリア1と同様のハンドル100A,100Bを有している。したがって、FOUP300は、ウエハキャリア1の第2のハンドル100B用に、ロック機構350Aと同様の第2のロック機構も有している。
図10に、ロック位置にあるロック機構350Aを示す。ロック機構350Aは、ロック解除位置にあるときは、ハンドル100Aおよびウエハキャリア1から分離されており、ロック機構をハンドル350Aに連結することによってロック位置に配置される。ロック機構350Aは、ロック状態とロック解除状態とを有する。ロック機構350Aは、ハンドル100Aに連結されることによって、ロック解除状態からロック状態に移行する。ロック状態にあるロック機構350Aは、挿入可能部材130Aのタブ138Aを係合状態に維持する。タブ132Aは、図10ではロック機構350Aによって隠されているため、図10には符号が示されていない。より具体的には、ロック状態のロック機構350Aは、タブ138Aが移動して係合状態から外れることを防止するように構成される。ロック機構350Aは、ハンドル350Aとの連結から外されることによって、ロック状態からロック解除状態に移行する。
図11および12に示すように、ロック機構350Aは、前端352A、後端354A、内面366Aおよび長さL2を有している。ロック機構350Aは、概して凹状の形状を有する。ロック機構350Aは、前端352Aに配置された第1のタブ356Aと、後端354Aに配置された第2のタブ357Aとを有している。第1のタブ356Aおよび第2のタブ357Aは同様の構造を有している。第1のタブ356Aおよび第2のタブ357Aは、それぞれロック機構350Aの内面366Aから延びている。一実施形態では、第1のタブ356Aおよび第2のタブ357Aは、内面366Aから、ロック機構350Aの長さL2に平行な方向に延びている。ロック機構350Aは、第1のタブ356Aおよび第2のタブ357Aによってハンドル100Aに連結される。
ロック機構350Aがロック状態にあるとき、第1のタブ356Aは、挿入可能部材130Aの背面136A(図6Cに示す)に接触し、第2のタブ357Aは、ハンドル100Aの貫通穴118Aに挿入される。例えば、ロック状態にあるとき、第1のタブ356Aは、挿入可能部材130Aの端部138Aに引っ掛けられ、第2のタブ357Aは、貫通穴118Aに引っ掛けられている。一実施形態では、タブ357Aに対応する貫通穴118Aは、止まり穴であってもよい。ハンドル100Aに連結されると、第1のタブ356Aは、挿入可能部材130Aの背面136Aを押す。このようにロック状態のロック機構350Aによって挿入可能部材130Aに圧力が加わることによって、挿入可能部材130Aがウエハキャリア1の外面22に向かって屈曲することが阻止され、タブ132Aが係合状態から移動することが防止される。その結果、ロック機構350Aによって、タブ132Aの係合状態が維持されている。
ロック機構350Aの長さは、その通常の長さL2(すなわち、ロック機構350Aに外力F2、F3が加えられていないときの長さ)よりも長くすることができる。ハンドル100Aに連結されるときおよび取り外されるときの長さは、長さL2よりも大きい。ロック機構350Aは、外力(例えば、力F2、力F3)によって、ロック機構350Aの長さL2が増加できる可撓性を有するように構成されている。一実施形態では、可撓性拡張部353Aが、ロック機構350Aの第1の端部352Aに位置している。外力F2、F3がロック機構350Aに加えられていないときには、拡張可能な拡張部353Aは、その形状を維持し、長さL2を維持している。この拡張可能部353Aの位置によって、ロック機構350Aがハンドル100Aに連結した状態に維持されている。このように、拡張可能部353Aの形状によって、ロック機構350Aがロック状態に維持されている。
ロック機構350Aがロック状態にあるとき、第1の端部352Aまたは第2の端部354Aに沿ってロック機構350Aの内面366Aに外力(例えば、力F2、力F3)を加えることによって、ロック解除状態に移動させる(すなわち、取り外す)ことができる。例えば、外力F2、F3によって、拡張可能な拡張部353Aが拡張され、ロック機構350Aの長さL2が増加する。長さL2が増加することによって、ロック機構350Aをハンドル100Aから取り外すことができる。
図10~12に示されているロック機構350Aの実施形態は、ロック解除状態にあるとき(すなわち、ロック解除状態においてハンドル100Aに連結されていないとき)、ハンドル100Aから分離されている。しかしながら、一実施形態においては、ハンドル100Aおよびロック機構350Aは、単一の一体部品として構成される。このような実施形態では、後端354Aが、ハンドル100Aの本体110Aと一体的に接続している。前端353Aが、挿入可能部材130Aに対して可撓性を有し、その結果、前端353Aは、挿入可能部材130Aから方向D3に引き離せるように構成されている。このため、突出部30Aが前端353Aと挿入可能部材130Aとの間に入ることができ、ハンドル100Aをウエハキャリア1から外すことが可能となる。
ロック機構350Aは、図10~12に示され、FOUP300への適用を意図して説明されている。しかしながら、ハンドル100A、ロック機構350Aおよび突出部30Aは、例えば、前面開閉式シッピングボックス(FOSB)等の他の種類のウエハキャリアに同様に適用可能である。一実施形態においては、ウエハキャリアは、FOUP300について図示および記載された状態と同様に、ハンドル100A、突出部30Aおよびハンドル100A用のロック機構350Aを有している。一実施形態では、ウエハキャリアは、一対の突出部30A,30B、一対のハンドル100A,100Bおよび一対のロック機構350Aを有している。
図13~16に、別の実施形態によるロック機構450Aを示す。図13は、FOUP400の一部分の斜視図である。図14は、ロック機構450Aの前面斜視図である。図15は、ロック機構450Aの背面斜視図である。図16は、図13のXVI-XVI線に沿ったFOUP400の部分断面図である。
FOUP400は、図1~4のウエハキャリア1と同様の取り外し可能なハンドル100A,100Bを有している。したがって、FOUP400は、ウエハキャリア1の第2のハンドル100B用に、ロック機構450Aと同様の第2のロック機構も有している。
ロック機構450Aは、ロック状態とロック解除状態とを有する。図13および16に、ロック状態のロック機構450Aを示す。ロック機構450Aは、開口部32Aに対する挿入可能部材130Aの挿入方向D1とは反対の方向D2で開口部32Aに挿入されることにより、ロック解除状態からロック状態に移行する。ロック機構450Aは、方向D1に移動することにより、ロック状態からロック解除状態に移行する。
図14~16に示すように、ロック機構450Aは、前端452A、後端454A、長さL3、リップ部453A、付勢部材458Aおよび可撓性拡張部460Aを有している。可撓性拡張部460Aは、第1のタブ463Aを備えた第1のアーム462Aと、第2のタブ465Aを備えた第2のアーム464Aとを含む。一実施形態では、ロック機構450Aの長さL3は、挿入可能部材130Aがハンドル100Aの本体110Aから延びる方向に平行に延びている。ロック機構450Aの長さL3は、その厚みT2に垂直である。
ロック機構450Aがロック状態にあるとき、付勢部材458Aは、ウエハキャリア1の外面22に接触し、接触面456Aを挿入可能部材130Aの背面136Aに接触させるように押している。挿入可能部材130Aは、ロック機構450Aの接触面456Aと突出部30Aの内面38Aとの間に挟まれている。付勢部材464Aは、ロック部材450Aの厚みT2が、挿入可能部材130Aの屈曲を防止できる厚みとなるように構成されている。付勢部材464Aは、ロック部材450Aの厚みT2が、挿入可能部材130Aの屈曲を防止できる厚みとなるように構成されている。一実施形態では、付勢部材464Aは、ロック機構450Aが、タブ132Aの係合位置からの移動を可能とする最低限の量まで挿入可能部材を屈曲させない厚みT2を少なくとも有するように構成される。その結果、挿入可能部材130Aのタブ134Aが係合状態から屈曲することが防止される。このようにして、ロック状態にあるロック機構450Aによって、タブ134Aの係合状態が維持されている。
リップ部453Aは、ロック機構450Aの前端452Aに配置されている。リップ部453Aによって、開口部32A内へのロック機構450Aの挿入量が設定されている。リップ部は接触面453Aより上方に延びている。ロック機構450Aがロック状態に移行すると、リップ部453Aは、挿入可能部材130Aの端部138Aに接触し、ロック機構450Aのそれ以上の挿入を防止する。例えば、リップ部453Aは、ロック機構450Aが開口部30A内に完全に挿入されることや、開口部30Aを貫通することを防ぐように構成されている。
タブ463A,465Aは、ロック位置にあり、外力F4がアーム462A,464Aに加えられていないときに、ハンドル100Aの内面121Aに接触する。より具体的には、タブ463A,465Aは、ハンドル100Aの1つまたは複数の内面121Aに引っ掛けられている。例えば、保持空間119Aは、ハンドル100Aの内面121Aによって画定されている。タブ463A,465Aが内面に接触することによって、ロック機構450Aが第1の方向D1に移動することが防止される。可撓性拡張部460Aは、外力F4によってアーム462A,464Aが互いに近づく方向に屈曲可能に構成されており、これによって幅W4が減少し、アーム462A,464Aが対応する内面121から離れるように移動する。例えば、外力F4は、ロック機構450Aをロック解除位置に動かしたい人によって加えられる。
このように、可撓性拡張部460Aのアーム462A,464Aの大きさおよび位置によって、ロック機構がロック位置に維持されている。例えば、タブ463A,465Aに沿った可撓性拡張部460Aの幅W4によって、ロック機構450Aのロック状態からの移動が防止される。
図16に示すように、接触面456Aは、挿入可能部材130Aを方向D3に押すように構成されている。しかしながら、前述したように、一実施形態における挿入可能なタブ132Aは、挿入可能部材130Aから、ウエハキャリア1の外面22から離れる方向とは異なる方向(例えば、方向D3とは異なる方向)に延びるように構成される。このような実施形態では、ロック機構450Aは、挿入可能部材130Aのタブ132Aが係合状態に維持されるように、挿入可能部材130Aを適切な方向に押すように構成される。例えば、ロック機構450Aは、突出部30Aと挿入可能部材130Aの前面134Aとの間を延び、挿入可能部材130Aをウエハキャリア1の外面22に向かって押すように構成してもよいし、方向D1および方向D3に垂直な方向に挿入可能部材130Aを押すように構成してもよい。
ロック機構450Aは、図13~16に示され、FOUP400への適用を意図して説明されている。しかしながら、ハンドル100A、ロック機構450Aおよび突出部30Aは、例えば、前面開閉式シッピングボックス(FOSB)等の他の種類のウエハキャリアに同様に適用可能である。
図17~21に、本開示の別の実施形態による、ウエハキャリア500およびハンドル510の様々な実施形態を示す。
図17は、本開示の別の実施形態による、ハンドル510およびロック機構520A,520Bを備えたウエハキャリア500の側面図である。ウエハキャリア500は、前述したようにFOUPまたはFOSB等であり、上記のウエハキャリア1と同じ特徴を多く備えている。一実施形態では、ウエハキャリア500はFOUPである。ハンドル510は、特に図6A~6Cを参照して前述したハンドル100Aと同じ特徴を多く備えている。簡潔にするために図示は省略するが、ウエハキャリア500は、ハンドル510と同様の特徴を備えた第2のハンドルをウエハキャリア500の反対側の側壁に備えている。
図17に示すように、ハンドル510は、ウエハキャリア504の側壁506に設けられたレール50A,60Aと係合している。レール50A,60Aは、例えば、図5に最も明瞭に示される上記のレール50A,60A等である。ハンドル510は、ハンドル本体512と、ハンドル本体512の上端524に設けられた第1のロック機構520Aと、ハンドル本体512の下端526に設けられた第2のロック機構520Bとを有している。各ロック機構520A,520Bは、ハンドル本体512の上端524および下端526にそれぞれ設けられた縦方向ガイド部530A,530B内に保持されるように構成されており、縦方向ガイド部530A,530内をスライドしてロック解除状態からロック状態に移行する。ロック機構520A,520Bは、保持空間519A,519Bによってロック状態に保持される。図17では、ロック機構520Aがロック解除状態に位置し、ロック機構520Bがロック状態に位置している。
図18A~18Cは、ハンドル510の異なる図である。図18Aは、ロック機構520A,520Bがロック解除状態にあるハンドル510を示している。図18Bは、ロック機構520A,520Bを取り除いて縦方向ガイド部530A,530Bが見える状態になっているハンドル510の正面図である。ロック機構520A,520Bは、縦方向ガイド部530A,530B内に保持されて、ロック解除状態からロック状態へ移行する。図18Cは、ハンドル510の側面図である。上記のハンドル100Aと同様に、ハンドル510は、レール50A,60Aと係合してスライドするように構成された上側突出部580Aおよび下側突出部580Bを有している。上下の突出部580A,580Bは、レール50A,60Aの形状と相補的な形状を有している。いくつかの実施形態では、上側突出部580Aおよび下側突出部580Bは、下方に延びるL字状をなしてガイド部582A,582Bを形成している。このため、レール50A,60A上での上側突出部580Aおよび下側突出部580Bの保持およびスライドを容易に行える。
図19に、ロック機構520Aを単独で示す。図20Aは、ハンドル本体512の上端524に設けられた第1のロック機構520Aの拡大図であり、図20Bは、ハンドル本体512の下端526に設けられた第2のロック機構520Bの拡大図である。図21は、ロック状態のロック機構520Bを示す断面図である。
ロック機構520A,520Bは、ウエハキャリア500からハンドル510が意図せず外れることを防止するように構成されている。ロック機構520A,520Bは、ロック解除状態からロック状態に移行するときに縦方向ガイド部530A,530B内でスライド可能な状態で縦方向ガイド部530A,530Bに保持される(図18Bに最も明瞭に示されている)ように構成される。図20Aに、ロック解除状態のロック機構520Aを示す。図20Bに、ロック状態のロック機構520Bを示す。
図19に示すように、ロック機構520Aは、第1の端部552Aと、第2の端部554Aと、第1の端部552Aと第2の端部554Aとの間に配置された可撓性拡張部560Aとを有している。ロック機構520は、第1の端部552Aに設けられた上規制部564Aおよび下規制部566Aを有している。一実施形態では、1つの上規制部564Aおよび1つの下規制部566Aが、ロック機構520Aの各側部に沿って設けられる。一実施形態では、規制部566Aのうちの1つが屈曲可能(例えば幅Wの方向に屈曲可能)に形成されており、ロック機構530Aは、ハンドル510とは別に形成され、縦方向ガイド部530Aとスナップ係合するように構成されている。上規制部564Aおよび下規制部566Aは、縦方向ガイド部530Aにスナップ係合したロック機構520Aの離脱を防ぐように構成される。
図20Aおよび20Bに明瞭に示すように、ロック機構520A,520Bは、2つの規制部564A,564Bおよび564A,566Bと縦方向ガイド部530A,530Bとの連係によって、ハンドル本体512にスライド可能に取り付けられる。上規制部564A,564Bは、縦方向ガイド部530A,530Bを画定している壁の上面よりも上に位置し、下規制部566A,566Bは、縦方向ガイド部530A,530Bを画定している壁の下面よりも下に位置し、縦方向ガイド部530A,530Bを画定している壁がロック機構520A,520Bの上規制部564A,564Bと下規制部566A,566Bとの間に位置するように、それぞれ配置されている。
可撓性拡張部560Aは、加えられた力に応じて、第1の幅を有する第1の状態から、第1の幅よりも狭い第2の幅を有する第2の状態まで、中心線xに向かって内側に屈曲できるように構成されている。第2の状態にある可撓性拡張部560Aは、ロック機構520Aがロック状態に移行したときに、保持空間519A内に収まることができる。
図20Bおよび21は、ロック状態のロック機構520Bを示す異なる図である。前述したように、ロック機構520Bは、上記のロック機構520Aと同じ特徴を有している。図20Bおよび図21に示すように、可撓性拡張部560Bは、ロック機構520Bがロック状態にあるとき、保持空間519B内に保持される。可撓性拡張部560Bに加えられた力が解除されると、可撓性拡張部は、第2の状態から第1の状態に移行し、可撓性拡張部560Bが保持空間519B内に保持される。ロック機構520Bをロック状態からロック解除状態に移行させるためには、可撓性拡張部560Bに再度力を加えて第2の状態にして、保持空間519の幅よりも可撓性拡張部560Bの幅を狭くすることによって、取り外しが可能となる。
さらに、いくつかの実施形態では、第2の端部554Aが、ロック機構520Aがロック状態にあるときに、レール50Aに設けられた対応する開口部内に受容されて保持される大きさを有している。ロック機構520Bも同様にレール60Aに係合している。いくつかの実施形態では、レール60Aは、ロック機構520Bがロック状態にあるときに、ロック機構520Bの第2の端部を受容して保持する大きさの開口部を備えている。
図22~26に、本開示の別の実施形態による、ウエハキャリア600およびハンドル610を示す。ウエハキャリア600は、上記のウエハキャリア1および500と同じ特徴を多く備えている。ウエハキャリア600は、FOUPまたはFOSB等である。一実施形態では、ウエハキャリア600はFOUPである。
図22に示すウエハキャリア600は、ウエハキャリア600の側壁606に設けられたレール50A,60Aに取り付けられる前の状態で図示されているハンドル610を有している。図23に、ウエハキャリア600の側壁606にハンドル610が取り付けられた状態のウエハキャリア600を示す。簡潔にするために図示は省略するが、ウエハキャリア600は、ハンドル610と同様の特徴を備えた第2のハンドルをウエハキャリア600の反対側の側壁に備えている。
図23に示すように、ハンドル510は、ウエハキャリア600の側壁606に設けられたレール50A,60Aと係合している。レール50A,60Aは、例えば、図5に最も明瞭に示される上記のレール50A,60A等である。ハンドル610は、ハンドル本体612と、ハンドル本体612の上端624に設けられた第1のロック機構520Aと、ハンドル本体612の下端626に設けられた第2のロック機構620Bとを有している。ロック機構520A,520Bは、図19を参照して詳細に説明されている。各ロック機構520A,520Bは、ハンドル本体612の上端624および下端626のそれぞれに設けられた縦方向ガイド部630A,630B内に保持されるように構成されており、縦方向ガイド部630A,630内をスライドしてロック解除状態からロック状態に移行するように構成されている。
図22~26に示す実施形態では、保持空間619Bおよび縦方向溝部630Bは、ハンドル本体612の下端626を通って延びる中心線x2から偏位している。図17~21を参照して前述した実施形態では、保持空間619Bおよび縦方向溝部630Bは、ハンドル本体512の下端526を通って延びる中心線x2を中心に配置されている。ロック機構524Bの第2の端部554Bは、レール60に設けられた開口部と連係するのではなく、ロック機構524Bがロック状態にあるときにレール60Aの端部に当接している。これについては詳細を後述する。いくつかの例では、ハンドル610の上端624に位置する保持空間619Aおよび縦方向溝部630Aも、ハンドル本体の上端524に配置されており、ロック機構524Aがロック状態にあるときに、第2の端部554Aがレール50Aの端部に当接する。
図24A~24Cは、ハンドル610の異なる図である。図24Aは、ロック機構520A,520Bがロック解除状態にあるハンドル610を示している。図24Bは、ロック機構520A,520Bを取り除いて縦方向ガイド部630A,630Bが見える状態になっているハンドル610の正面図である。ロック機構520A,520Bは、縦方向ガイド部630A,630B内に保持されて、ロック解除状態からロック状態へ移行する。図24Cは、ハンドル610の側面図である。上記のハンドル100Aおよび510と同様に、ハンドル610は、レール50A,60Aに沿って係合およびスライドするように構成された上側突出部680Aおよび下側突出部680Bを有している。上下の突出部680A,680Bは、レール50A,60Aの形状と相補的な形状を有している。いくつかの実施形態では、上側突出部680Aおよび下側突出部680Bは、下方に延びるL字状をなしてガイド部682A,682Bを形成している。このため、ハンドル610がウエハキャリア600の側壁606に取り付けられた状態において、レール50A,60A上での上側突出部680Aおよび下側突出部680Bの保持およびスライドを容易に行える。
図25Aおよび25Bは、ロック状態のロック機構520A,520Bを示す拡大図である。ロック機構520A,520Bは、保持空間619A,619Bによってロック状態に保持される。可撓性拡張部560A,560Bに加えられた力が解除されると、可撓性拡張部560,560Bは、第2の状態から第1の状態に移行し、可撓性拡張部560A,560Bが保持空間619A,619Bに保持される。ロック機構520A,520Bをロック状態からロック解除状態に移行させるためには、可撓性拡張部560A,560Bに再度力を加えて第2の状態にして、保持空間619A,619Bの幅よりも可撓性拡張部560A,560Bの幅を狭くすることによって、取り外しが可能となる。
図26は、ハンドル本体612の上端624の部分断面図であり、ロック状態にあり、レール50Aと係合しているロック機構520Aを示している。図26から分かるように、可撓性拡張部560Aは、保持空間619A内に受容されて保持されており、ロック機構520Aの第2の端部554Aは、レール50Aの先端558に当接している。これによって、ハンドル610が意図せずレール50Aに対して後退することが防止される。
図27~30に、本開示の別の実施形態による、ウエハキャリア700およびハンドル710を示す。ウエハキャリア700は、上記のウエハキャリア1、500および600と同じ特徴を多く備えている。ウエハキャリア700は、FOUPまたはFOSB等である。一実施形態では、ウエハキャリア700はFOUPである。
図27に示すウエハキャリア700は、ウエハキャリア700の側壁706に設けられたレール50A,60Aに取り付けられる前の状態で図示されているハンドル710を有している。図28に、ウエハキャリア700の側壁7606にハンドル710が取り付けられた状態のウエハキャリア700を示す。図30に、ハンドル710を単独で示す。簡潔にするために図示は省略するが、ウエハキャリア700は、ハンドル710と同様の特徴を備えた第2のハンドルをウエハキャリア700の反対側の側壁に備えている。
図28および29に示すように、ハンドル710は、ウエハキャリア700の側壁706に設けられたレール50A,60Aと係合している。レール50A,60Aは、例えば、図5に最も明瞭に示される上記のレール50A,60A等である。ハンドル710は、ハンドル本体712と、ハンドル本体712の上端724に設けられた第1のロックアーム720Aと、ハンドル本体712の下端726に設けられた第2のロックアーム720Bとを有している。各ロックアーム720A,720の先端760A,760Bは、各レール50A,50Bの先端758A,758Bと係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、先端760A,760Bは、保持力によってレール50A,60Aの先端758A,758Bと係合するかえし部、掛止部または他の突出部として構成できる(図28および29)。
ロックアーム720A,720Bは可撓性を有しており、ハンドル710がウエハキャリア700に取り付けられるときに、キャリアの側面部から離れるように外側に屈曲されて、レール50A,60Aの各外面750上に乗せることができるように構成されている。レール50A,50Bの先端758A,758Bに到達すると、各可撓性アーム720A,720Bが、ウエハキャリア700の側壁706に向って内側に曲げ戻る。これによって、図29に示すように、各可撓性アーム720A,720Bの先端760A,760Bが各レール50A,50Bの先端758A,758Bと係合して保持される。
態様:各態様1~13は各態様14~23と組み合わせ可能である。
態様1.ウエハキャリア用ハンドルであって、ウエハキャリアがウエハキャリアの外面から延びている突出部を有し、突出部が、ハンドルを取り付けるための開口部を、ウエハキャリアの外面と突出部の延在部との間に画定しており、本体であって、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、本体の第1の端部と第2の端部との間に設けられているとともにハンドルをウエハキャリアに固定するために開口部に挿入されるように構成されている挿入可能部材であって、係合状態において挿入可能部材を開口部内に保持するタブを有している挿入可能部材と、を有する本体と、挿入可能部材に対して、ロック状態とロック解除状態との間を移動可能なロック機構であって、可撓性拡張部を有し、ロック状態において、ロック機構がタブを係合状態に維持するとともに、可撓性拡張部が、ロック機構をロック状態に維持させる位置に配置されるロック機構と、を備えたハンドル。
態様2.ハンドルが、ウエハキャリアに対して取り付けられ、非破壊的に取り外されるように構成されている、態様1に記載のハンドル。
態様3.タブが挿入可能部材の第1の側面に設けられ、ロック状態にあるとき、ロック機構が、第1の側面とは反対側の、挿入可能部材の第2の側面に沿って延びている、態様1または2に記載のハンドル。
態様4.ロック状態にあるとき、ロック機構の厚みによって、タブが係合状態に維持されている、態様1~3のいずれか1つに記載のハンドル。
態様5.ロック機構がロック状態にあるとき、可撓性拡張部の形状によって、ロック機構がロック状態に維持されている、態様1~4のいずれか1つに記載のハンドル。
態様6.可撓性拡張部は、より小さな形状または異なる位置に屈曲可能であり、可撓性拡張部をより小さな形状または異なる位置に屈曲させる外力を受けたときに、ロック機構がロック状態から移動可能となるように構成されている、態様1~5のいずれか1つに記載のハンドル。
態様7.本体が、挿入可能部材の近傍において本体に設けられたガイド部を有し、ロック機構が、ロック機構が本体にスライド可能に取り付けられるようにガイド部によって保持されている、態様1~6のいずれか1つに記載のハンドル。
態様8.挿入可能部材が、ハンドルの端部、第1の端部、またはハンドルのグリップ部と第1の端部との間に配置されている、態様1~7のいずれか1つに記載のハンドル。
態様9.本体の第1の端部から、第1の方向および第2の方向にこの順序で延びる突起をさらに備え、第1の方向は本体から離れる方向であるとともに本体の第1の端部と同一平面に位置しておらず、第2の方向は第1の方向とは異なっており、突起が、ハンドルをウエハキャリアに固定するためにウエハキャリアのレールと係合するように構成されている、態様1~8のいずれか1つに記載のハンドル。
態様10.挿入可能部材が、本体の残りの部分に対して可撓性を有しており、タブは、挿入可能部材が屈曲することによって係合状態に移動可能である、態様1~9のいずれか1つに記載のハンドル。
態様11.ロック機構が本体を貫通している、態様1~10のいずれか1つに記載のハンドル。
態様12.ロック機構が、本体の貫通穴を貫通しており、ロック状態にあるとき、可撓性拡張部によって、ロック機構の幅が、貫通穴の対応する幅よりも大きくされる、態様1~11のいずれか1つに記載のハンドル。
態様13.本体が、本体の第1の端部と第2の端部との間に配置されたグリップ部を有している、態様1~12のいずれか1つに記載のハンドル。
態様14.ウエハキャリアであって、外面と、外面から延びている突出部であって、外面と突出部の延在部との間に開口部を画定している突出部と、開口部を介して外面に取り付けられた、本体を有するハンドルであって、本体が、第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に設けられているとともにハンドルを外面に固定するために開口部内を延びている挿入可能部材であって、係合状態において挿入可能部材を開口部内に保持するタブを有している挿入可能部材と、を有する、ハンドルと、挿入可能部材に対して、ロック状態とロック解除状態との間を移動可能なロック機構であって、可撓性拡張部を有し、ロック状態において、ロック機構がタブを係合状態に維持するとともに、可撓性拡張部が、ロック機構をロック状態に維持させる位置に配置されるロック機構と、を備えた、ウエハキャリア。
態様15.ロック状態にあるとき、ロック機構が挿入可能部材と外面との間を延びており、ロック機構の厚みによって、タブが係合状態に維持されている、態様14に記載のウエハキャリア。
態様16.挿入可能部材が第1の方向に沿って開口部内に延びており、ロック機構の厚みが第1の方向に垂直な第2の方向に延びている、態様14または15に記載のウエハキャリア。
態様17.ロック状態にあるとき、ロック機構が挿入可能部材と外面との間を延びている、態様14~16のいずれか1つに記載のウエハキャリア。
態様18.挿入可能部材が第1の方向に沿って開口部に挿入され、ロック機構が第1の方向に平行な第2の方向に沿ってロック解除状態からロック状態に移動する、態様14~17のいずれか1つに記載のウエハキャリア。
態様19.外面に沿って延びるレールをさらに備え、ハンドルが、本体の第1の端部から、第1の方向および第2の方向にこの順序で延びる突起をさらに有し、第1の方向は本体から離れる方向であるとともに本体の第1の端部と同一平面に位置しておらず、第2の方向は第1の方向とは異なっており、突起が、ハンドルを外面に固定するためにレールと係合する、態様14、15、17および18のいずれか1つに記載のウエハキャリア。
態様20.ハンドルの突起が、挿入可能部材が開口部に挿入される方向と同じ方向に沿って移動されてレールと係合する、態様19に記載のウエハキャリア。
態様21.第1の側面部と、第1の側面部によって画定されている外面と、第1の側面部に沿って延びているハンドルとをさらに備え、突起とレールとの係合によって、ハンドルが第1の側面部に近付く方向または第1の側面部から遠ざかる方向への移動が抑制されている、態様19または20に記載のウエハキャリア。
態様22.レールの内面によって画定されているスロットをさらに備え、突起がスロット内に延びている、態様19~21のいずれか1つに記載のウエハキャリア。
態様23.ウエハキャリアが、前面開閉式一体型ポッドおよび前面開閉式シッピングボックスのうちのいずれか一方である、請求項14~22のいずれか一項に記載のウエハキャリア。
上記のいくつかの例示的な実施形態の説明によって、本明細書に添付される特許請求の範囲内でさらに別の実施形態の作成および使用が可能であることが、当業者に理解される。ここに記載される開示の多くの効果が上記の詳細な説明において記載されている。しかしながら、この開示は、多くの点で例示にすぎない。本開示の範囲を超えることなく、詳細事項、特に形状、寸法および部品の配置に関して変更を加えることができる。開示の範囲は、添付の特許請求の範囲の文言によって定義される。