JP7332043B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析装置に関するものである。
質量分析装置においては、真空状態とされた真空室内で試料に対する分析が行われる。真空室は扉により開閉可能となっており、メンテナンスの際などには扉が開かれることにより、真空室が開放される(例えば、下記特許文献1参照)。
図4A~図4Cは、従来の扉102の開閉機構の構成例を示した概略横断面図である。図4Aは、扉102が開状態のときを示している。図4Bは、扉102が開状態から閉状態へと回動される途中の状態を示している。図4Cは、扉102が閉状態のときを示している。この開閉機構では、筐体101に形成された開口111が扉102により開閉可能な構成となっている。扉102は、鉛直方向に延びるヒンジ部103により回動可能に支持されている。
扉102は、閉塞部121と、閉塞部121を保持する保持部122とを有している。ヒンジ部103は、保持部122の一端部を回動可能に支持している。閉塞部121は、そのヒンジ部103側の端部、及び、ヒンジ部103側とは反対側の端部のそれぞれにおいて、保持部122に対してビス123で固定されている。これにより、閉塞部121は、その表面全体が保持部122に対して常に密着した状態で固定されている。
閉塞部121は、保持部122側とは反対側の面にOリング124を備えている。図4Aに示す開状態から扉102を閉状態へと回動させていくと、図4Bに示すように、まず、ヒンジ部103側においてOリング124が開口111の周縁部に接触する。この状態では、Oリング124の反発力に起因して、ヒンジ部103側とは反対側においてOリング124が開口111の周縁部から離間している。
特開2003-346703号公報
図4Bの状態で、筐体101内に形成された真空室110を真空状態にしようとした場合には、Oリング124と開口111の周縁部との間に形成された隙間104から真空室110内に空気が侵入するため、真空室110を真空状態にすることが困難である。そのため、Oリング124の反発力に抗して扉102に外力を加え、図4Cに示すような状態にした後、真空室110の真空引きを行う必要がある。扉102に外力を加える手段としては、例えばネジ(図示せず)などが用いられる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、真空室に連通する開口をより簡単な作業で閉塞することができる質量分析装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、筐体と、扉と、ヒンジ部とを備える質量分析装置である。前記筐体は、分析時に真空状態とされる真空室が内部に形成され、前記真空室に連通する開口を有する。前記扉は、前記開口を開閉する。前記ヒンジ部は、前記扉を開状態と閉状態との間で回動可能に支持するように構成されている。前記扉は、閉状態で前記開口を閉塞する閉塞部と、前記閉塞部を保持し、前記ヒンジ部に連結された保持部とを有する。前記閉塞部は、前記ヒンジ部側とは反対側において前記保持部に連結され、前記ヒンジ部側においては前記保持部に対して離間可能に構成されている。前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触する前に、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触するように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、扉を開状態から閉状態へと回動させることにより、ヒンジ部側とは反対側において閉塞部を開口の周縁部に接触させることができる。その後、ヒンジ部側において閉塞部を保持部から離間させて開口に近づけるだけで、ヒンジ部側において閉塞部を開口の周縁部に密着させることができる。したがって、真空室に連通する開口をより簡単な作業で閉塞することができる。
質量分析装置の構成例を示した概略図である。 扉の周辺の構成について説明するための概略側面図であり、扉が開かれた状態を示している。 扉の開閉動作について説明するための概略横断面図であり、シール部材が開口の周縁部に接触する前の状態を示している。 扉の開閉動作について説明するための概略横断面図であり、シール部材におけるヒンジ部側とは反対側が開口の周縁部に接触した状態を示している。 扉の開閉動作について説明するための概略横断面図であり、シール部材におけるヒンジ部側とは反対側が開口の周縁部に対して圧縮された状態を示している。 扉の開閉動作について説明するための概略横断面図であり、シール部材全体が開口の周縁部に対して圧縮された状態を示している。 従来の扉の開閉機構の構成例を示した概略横断面図であり、扉が開状態のときを示している。 従来の扉の開閉機構の構成例を示した概略横断面図であり、扉が開状態から閉状態へと回動される途中の状態を示している。 従来の扉の開閉機構の構成例を示した概略横断面図であり、扉が閉状態のときを示している。
1.質量分析装置の全体構成
図1は、質量分析装置1の構成例を示した概略図である。図1に示す質量分析装置1は、ガスクロマトグラフィーにより分離された試料中の成分に対して質量分析を行うガスクロマトグラフ質量分析装置である。この質量分析装置1は、ガスクロマトグラフ部2及び質量分析部3を備えている。
ガスクロマトグラフ部2は、カラム(図示せず)を備えている。分析中は、試料とともにキャリアガスがカラムに導入され、カラムを通過する過程で試料中の各成分が分離される。カラムで分離された試料中の各成分は、質量分析部3に順次供給される。キャリアガスは、例えば窒素ガス又はヘリウムガスなどの不活性ガスであるが、これに限らず、水素ガスなどの他のガスであってもよい。
質量分析部3は、中空状の筐体300を備えている。筐体300の内部には、イオン化室31、第1真空室32及び第2真空室33が形成されている。質量分析部3には、真空ポンプ(図示せず)が備えられている。分析時には、真空ポンプの駆動により、イオン化室31、第1真空室32及び第2真空室33を真空状態にすることができる。イオン化室31、第1真空室32及び第2真空室33は、それぞれが互いに連通した真空室30であり、この順序に従って段階的に真空度が高くなるように構成されている。
イオン化室31には、ガスクロマトグラフ部2から各試料成分とともにキャリアガスが供給される。各試料成分は、イオン化室31内においてイオン化される。イオン化の方法としては、EI(Electron Ionization:電子イオン化法)、PCI(Positive Chemical Ionization:正化学イオン化法)、NCI(Negative Chemical Ionization:負化学イオン化法)などを例示することができるが、これらに限られるものではない。
第1真空室32は、開口321を介して、イオン化室31に連通している。イオン化室31で生成されたイオンは、開口321を介して第1真空室32に導入される。第1真空室32に導入されたイオンは、イオンガイド322により収束され、第2真空室33へと流入する。
第2真空室33には、例えば四重極フィルタ331及び検出器332が設けられている。第1真空室32から第2真空室33に流入するイオンは、四重極フィルタ331により質量電荷比に応じて分離され、特定の質量電荷比を有するイオンのみが四重極フィルタ331を通過する。四重極フィルタ331を通過したイオンは、検出器332に入射する。検出器332では、到達したイオン数に応じた電流が検出信号として出力される。
質量分析部3には、真空室30を開閉するための扉4が設けられている。この例では、筐体300におけるイオン化室31を区画する壁面301の一部に、扉4が開閉可能に取り付けられている。ただし、例えば第1真空室32又は第2真空室33などのイオン化室31以外の真空室30を区画する壁面に扉4が設けられていてもよい。
以下では、筐体300における扉4側を前方、扉4側とは反対側を後方として説明する。扉4が取り付けられる壁面301は、鉛直方向に対して傾斜している。具体的には、壁面301の下部が上部よりも前方に位置することにより、壁面301が鉛直方向よりも上側を向くように傾斜している。鉛直方向に対する壁面301の傾斜角度は、例えば0°よりも大きく、かつ90°以下の範囲内で、任意に設定することができる。これにより、扉4を閉じた状態では、扉4の自重が筐体300の壁面301に対して作用するように構成されている。
2.扉の周辺の構成
図2は、扉4の周辺の構成について説明するための概略側面図であり、扉4が開かれた状態を示している。図2に示すように、扉4は、内部に真空室30が形成された筐体300に対して開閉可能に取り付けられている。具体的には、1つ又は複数のヒンジ部5を介して、扉4と筐体300とが連結されている。扉4は、ヒンジ部5を中心に回動することにより開閉可能である。この例では、ヒンジ部5により、鉛直方向に対して傾斜した軸線Lを中心に扉4が回動可能に支持されている。軸線Lは、上側が筐体300側(後方)に近づく方向に傾斜している。
筐体300の壁面301には、筐体300内のメンテナンス時などに作業者が手又は工具を挿入するための開口302が形成されている。開口302は、例えば横幅及び縦幅がそれぞれ10~20cm程度の正方形状に形成されているが、このような形状に限られるものではない。
開口302は、真空室30に連通しており、扉4により開閉される。扉4は、開口302が開放された開状態(図2に示す状態)と、開口302が扉4により閉塞された閉状態との間で、ヒンジ部5により回動可能に支持されている。扉4におけるヒンジ部5側とは反対側の端部は、開状態において開口302から離間し、閉状態において開口302に近接する。
扉4は、閉塞部41及び保持部42を備えている。閉塞部41は、開口302よりも大きい平面形状を有する板状の部材であり、閉状態で開口302を閉塞する。閉塞部41は、例えばアルミニウムなどを含む材料により、10~20mm程度の厚みで形成することができるが、これに限られるものではない。
閉塞部41には、閉状態で真空室30側となる面(内面411)に、シール部材43が設けられている。シール部材43は、筐体300の開口302よりも大きい環状のOリングにより構成されている。扉4が閉状態のときには、筐体300における開口302の周縁部にシール部材43が接触する。
この例では、閉塞部41が矩形状に形成されている。シール部材43は、矩形の環状に形成されており、その外周が閉塞部41の外周よりも小さい。筐体300の開口302は、シール部材43の内周よりも小さい矩形状に形成されている。ただし、開口302は、矩形状に限らず、円形状などの他の形状であってもよい。また、閉塞部41及びシール部材43についても、開口302の形状に合わせて任意の形状を採用することができる。
保持部42は、閉塞部41を保持している。具体的には、閉塞部41におけるシール部材43側とは反対側の面(外面)に、保持部42が当接した状態で取り付けられている。保持部42は、例えば閉塞部41よりも薄い板状の部材により形成されている。保持部42は、例えばステンレス鋼などを含む材料により、1~2mm程度の厚みで形成することができるが、これに限られるものではない。保持部42は、閉塞部41よりも外側に張り出すように形成された張出部421を有している。ヒンジ部5は、保持部42の張出部421に連結されている。
扉4を開状態から閉状態へと回動させたときには、位置決め機構6により、閉塞部41が開口302に対して位置決めされる。位置決め機構6には、例えば凸部61及び凹部62が含まれる。凸部61は、筐体300における開口302の周縁部に形成されている。凹部62は、閉塞部41の内面411におけるシール部材43よりも外側の領域に形成されている。
より具体的には、凸部61は、開口302の周縁部におけるヒンジ部5側とは反対側の端部に形成されている。凹部62は、閉塞部41の内面411におけるヒンジ部5側とは反対側の端部に形成されている。凹部62の内径は、凸部61の外径よりも若干大きい。扉4を開状態から閉状態へと回動させたときには、凸部61が凹部62内に挿入されることにより、ヒンジ部5側とは反対側において閉塞部41が位置決めされ、開口302に対して閉塞部41が常に一定の位置で閉状態となる。
ヒンジ部5は、スペーサ7を介して筐体300に取り付けられている。スペーサ7は、筐体300とヒンジ部5との距離を調整するための板状の部材である。スペーサ7の厚みを適切に設定することにより、扉4を開状態から閉状態へと回動させたときに、ヒンジ部5側においてシール部材43が開口302の周縁部に接触する前に、ヒンジ部5側とは反対側においてシール部材43を開口302の周縁部に接触させることができる。
3.扉の開閉動作
図3A~図3Dは、扉4の開閉動作について説明するための概略横断面図である。図3Aは、シール部材43が開口302の周縁部に接触する前の状態を示している。図3Bは、シール部材43におけるヒンジ部5側とは反対側が開口302の周縁部に接触した状態を示している。図3Cは、シール部材43におけるヒンジ部5側とは反対側が開口302の周縁部に対して圧縮された状態を示している。図3Dは、シール部材43全体が開口302の周縁部に対して圧縮された状態を示している。
図3Aに示すように、閉塞部41の内面411が開口302の周縁部に対して平行になるまで扉4を閉じたときには、まだシール部材43が開口302の周縁部に接触しない。これは、上述したスペーサ7で筐体300に対するヒンジ部5の位置を調整したことによるものである。ただし、スペーサ7を用いることなく筐体300に対するヒンジ部5の位置を調整することも可能である。
図3Aの状態では、上述した位置決め機構6により、閉塞部41が開口302に対して位置決めされる。この状態から、もう少し扉4を閉状態へと回動させた場合には、図3Bに示すように、シール部材43におけるヒンジ部5側の端部(第1端部431)よりも先に、ヒンジ部5側とは反対側の端部(第2端部432)が開口302の周縁部に接触する。この状態ではシール部材43の第1端部431が開口302の周縁部に接触していないが、もう少し扉4を閉状態へと回動させてシール部材43の第2端部432を圧縮させれば、図3Cに示すように、シール部材43の第1端部431も開口302の周縁部に接触する。
図3Cの状態では、シール部材43の全周が開口302の周縁部に接触している。したがって、この状態で真空ポンプを駆動させれば、真空室30の真空引きを行うことができる。このとき、閉塞部41が保持部42に対して完全に固定された状態であれば、閉塞部41の内面411が開口302の周縁部に対して平行にはならず、シール部材43の第1端部431が十分に圧縮されないまま、シール部材43の第2端部432側のみが圧縮された状態となる。
このようなシール部材43の不均一な圧縮状態を防止するために、本実施形態では、閉塞部41が、ヒンジ部5側とは反対側において保持部42に連結され、ヒンジ部5側においては保持部42に対して離間可能に構成されている。具体的には、閉塞部41が、ヒンジ部5側とは反対側の端部においてのみ保持部42に固定されている。
この例では、ビスなどの連結具44が、ヒンジ部5側とは反対側において閉塞部41と保持部42を連結しているが、ヒンジ部5側において閉塞部41と保持部42は連結されていない。したがって、閉塞部41のヒンジ部5側の端部を筐体300に近づける方向に力が加わった場合には、連結具44を中心に閉塞部41が筐体300側に回動し、図3Dに示すように、閉塞部41の外面412と保持部42との間に隙間Sが形成される。このとき、保持部42は、閉塞部41の回動に伴って連結具44の近傍で撓むこととなる。隙間Sは、例えば1~2mm程度であるが、これに限られるものではない。
なお、「ヒンジ部5側とは反対側」とは、閉塞部41から見てヒンジ部5側とは反対側を意味しており、例えば、仮に閉塞部41が保持部42に対して離間しないように構成されている場合に、閉塞部41がヒンジ部5を中心に回動したときに開口302の周縁部に最初に接触する箇所を含む領域である。一方、「ヒンジ部5側」とは、閉塞部41から見てヒンジ部5側を意味しており、例えば、上記ヒンジ部5側とは反対側の領域よりもヒンジ部5に近い領域であって、閉塞部41が保持部42から離間したときに開口302の周縁部に接触する箇所を含む領域である。例えば、閉塞部41の横方向(図3A~図3Dの左右方向)における中心に対して、左側が「ヒンジ部5側」、右側が「ヒンジ部5側とは反対側」であってもよい。
本実施形態では、図2に示すようにヒンジ部5の軸線Lが傾斜しているため、図3Cの状態から、閉塞部41の自重により、閉塞部41が連結具44を中心に筐体300側に回動する。その結果、図3Dに示すようにシール部材43の全体(第1端部431及び第2端部432)が圧縮されて開口302の周縁部に密着し、閉塞部41の内面411が開口302の周縁部に対して平行になる。
4.変形例
位置決め機構6は、筐体300に設けられた凸部61と、閉塞部41に設けられた凹部62とを含む構成に限られるものではない。例えば、凸部61が閉塞部41に設けられ、凹部62が筐体300に設けられた構成であってもよい。また、凸部61又は凹部62が、扉4における閉塞部41以外の部分(例えば保持部42)に設けられていてもよい。さらに、凸部61及び凹部62に限らず、例えば磁石などの他の部材を用いて扉4を位置決めするような構成であってもよい。
シール部材43は、扉4の閉塞部41に設けられた構成に限らず、開口302の周縁部に設けられた構成であってもよい。この場合、扉4を開状態から閉状態へと回動させたときに、ヒンジ部5側において閉塞部41が開口302の周縁部に設けられたシール部材43に接触する前に、ヒンジ部5側とは反対側において閉塞部41が前記シール部材43に接触するような構成であってもよい。
扉4は、鉛直方向に対して前後方向に傾斜した軸線Lを中心に回動可能な構成に限られるものではない。例えば、扉4の上端部又は下端部において水平方向に延びる軸線を中心に、扉4が回動可能な構成などであってもよい。
閉塞部41は、保持部42が弾性変形することにより保持部42に対して離間可能な構成に限られるものではない。例えば、閉塞部41が、ヒンジ部5側とは反対側において別のヒンジ部(図示せず)を介して保持部42に連結された構成などであっても、ヒンジ部5側において閉塞部41を保持部42に対して離間させることが可能である。
閉塞部41は、保持部42に対して、自重により筐体300側に回動可能な構成に限られるものではない。例えば磁石を用いることにより生じる磁力などのように、重力以外の力を用いて、閉塞部41におけるヒンジ部5側の端部を保持部42から離間させ、当該端部を筐体300に近づけることができるような構成であってもよい。あるいは、閉塞部41のヒンジ部5側の端部を筐体300に近づける方向に向かって、ユーザが力を加えることにより、当該端部を保持部42から離間させてもよい。
5.態様
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る質量分析装置は、
分析時に真空状態とされる真空室が内部に形成され、前記真空室に連通する開口を有する筐体と、
前記開口を開閉するための扉と、
前記扉を開状態と閉状態との間で回動可能に支持するように構成されたヒンジ部とを備え、
前記扉は、閉状態で前記開口を閉塞する閉塞部と、前記閉塞部を保持し、前記ヒンジ部に連結された保持部とを有し、
前記閉塞部は、前記ヒンジ部側とは反対側において前記保持部に連結され、前記ヒンジ部側においては前記保持部に対して離間可能に構成されており、
前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触する前に、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触するように構成されていてもよい。
第1項に記載の質量分析装置によれば、扉を開状態から閉状態へと回動させることにより、ヒンジ部側とは反対側において閉塞部を開口の周縁部に接触させることができる。その後、ヒンジ部側において閉塞部を保持部から離間させて開口に近づけるだけで、ヒンジ部側において閉塞部を開口の周縁部に密着させることができる。したがって、真空室に連通する開口をより簡単な作業で閉塞することができる。
(第2項)第1項に記載の質量分析装置において、
前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触した後、前記閉塞部の自重により、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に密着するように構成されていてもよい。
第2項に記載の質量分析装置によれば、閉塞部の自重により、ヒンジ部側において閉塞部を保持部から離間させて開口に近づけ、ヒンジ部側において閉塞部を開口の周縁部に自動的に密着させることができる。したがって、追加の構成を設けることなく、真空室に連通する開口をより簡単な作業で閉塞することができる。
(第3項)第2項に記載の質量分析装置において、
前記ヒンジ部は、上側が前記筐体側に近づく方向に傾斜した軸線を中心に、前記扉を回動可能に支持するように構成されていてもよい。
第3項に記載の質量分析装置によれば、軸線を中心にして、閉塞部を自重により円滑に保持部から離間させて開口に近づけ、ヒンジ部側において閉塞部を開口の周縁部に自動的に密着させることができる。
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の質量分析装置において、
前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触した後、前記保持部が撓むことにより、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に密着するように構成されていてもよい。
第4項に記載の質量分析装置によれば、保持部の弾性変形を利用して、ヒンジ部側において閉塞部が保持部に対して離間可能な構成を実現することができる。
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載の質量分析装置において、
前記閉塞部は、閉状態で前記開口の周縁部に接触するシール部材を有し、
前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側において前記シール部材が前記開口の周縁部に接触する前に、前記ヒンジ部側とは反対側において前記シール部材が前記開口の周縁部に接触するように構成されていてもよい。
第5項に記載の質量分析装置によれば、扉を開状態から閉状態へと回動させることにより、ヒンジ部側とは反対側においてシール部材を開口の周縁部に接触させることができる。その後、ヒンジ部側において閉塞部を保持部から離間させて開口に近づけるだけで、ヒンジ部側においてシール部材を開口の周縁部に密着させることができる。したがって、真空室に連通する開口をより簡単な作業でシール部材により閉塞することができる。
(第6項)第1項~第5項のいずれか一項に記載の質量分析装置において、
前記扉を開状態から閉状態へと回動させたときに前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部を位置決めする位置決め機構をさらに備えていてもよい。
第6項に記載の質量分析装置によれば、扉を開状態から閉状態へと回動させたときに、開口に対して閉塞部が常に一定の位置で閉状態となるため、真空室を確実に密閉して真空状態とすることができる。
1 質量分析装置
4 扉
5 ヒンジ部
6 位置決め機構
30 真空室
41 閉塞部
42 保持部
43 シール部材
300 筐体
302 開口
L 軸線

Claims (6)

  1. 分析時に真空状態とされる真空室が内部に形成され、前記真空室に連通する開口を有する筐体と、
    前記筐体における前記真空室を区画する壁面の一部に開閉可能に取り付けられ、前記壁面に形成された前記筐体内に作業者が手又は工具を挿入するための前記開口を開閉するための扉と、
    前記扉を開状態と閉状態との間で回動可能に支持するように構成されたヒンジ部とを備え、
    前記扉は、閉状態で前記開口を閉塞する閉塞部と、前記閉塞部を保持し、前記ヒンジ部に連結された保持部とを有し、
    前記閉塞部は、前記ヒンジ部側とは反対側において前記保持部に連結され、前記ヒンジ部側においては前記保持部に対して離間可能に構成されており、
    前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触する前に、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触するように構成されている、質量分析装置。
  2. 前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触した後、前記閉塞部の自重により、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に密着するように構成されている、請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 前記ヒンジ部は、上側が前記筐体側に近づく方向に傾斜した軸線を中心に、前記扉を回動可能に支持するように構成されている、請求項2に記載の質量分析装置。
  4. 前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に接触した後、前記保持部が撓むことにより、前記ヒンジ部側において前記閉塞部が前記開口の周縁部に密着するように構成されている、請求項1に記載の質量分析装置。
  5. 前記閉塞部は、閉状態で前記開口の周縁部に接触するシール部材を有し、
    前記扉を開状態から閉状態へと回動させた場合には、前記ヒンジ部側において前記シール部材が前記開口の周縁部に接触する前に、前記ヒンジ部側とは反対側において前記シール部材が前記開口の周縁部に接触するように構成されている、請求項1に記載の質量分析装置。
  6. 前記扉を開状態から閉状態へと回動させたときに前記ヒンジ部側とは反対側において前記閉塞部を位置決めする位置決め機構をさらに備える、請求項1に記載の質量分析装置。
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