以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本発明は、口部を有する容器本体とキャップとを有するキャップ付き容器およびその製造方法に関する。
<第1実施形態>
まず、図1~図12を用いて、本発明の第1実施形態に係るキャップ付き容器100について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャップ付き容器100の外蓋3を取り外した図である。図2は、第1実施形態に係るキャップ付き容器100の容器全体を示す外観図である。
本実施形態のキャップ付き容器100は、容器本体1と、キャップ200とを有する。本実施形態では、容器本体1が容器(容器部)となる。
キャップ200は、容器本体1の口部10に上面及び外周側から着脱可能に係合する。キャップ200は、中蓋2と外蓋3(図2参照)の二重構造になっている。なお、キャップ200は、中蓋2と外蓋3以外の他の部品を有する、三重構造以上であってもよい。
なお、図1では、中蓋2の形状の説明のために、外蓋3を取り外して示しているが、キャップ200において、中蓋2と外蓋3とは嵌合して一体化されているため、通常使用時は図2の状態であって、図1の状態は見られないものとする。
図1を参照して、容器本体1において、内容物を収容する収容部の上面である肩部19の上側には、口部10が設けられている。
また、図2では、容器本体1の肩部19の下の収容部(基部、ボトル部、胴部)は、略直方体形状の例を示しているが、収容部において側面と底を有していれば、どのような形状でもよい。例えば、収容部の底部(下面)が肩部19(上面)に対して徐々に広がったり、狭まっていてもよいし、あるいは、収容部は、側面が捩じれていたり、胴部の中央が膨らんでいたり、窪んでいたり等、様々な形状であってもよい。
図1を参照して、口部10は、周壁状の外周側面である外周壁11と、円形状の上壁12(図3A参照)を有している。口部10の外周壁11には、外側に突出する円柱状の突起(凸部、ポッチ)13a,13b,13c(図5(a)参照),13dが設けられている。
なお、本明細書では、容器本体1の口部10に形成される突起13a~13dは円柱形状である例を示しているが、係合に用いられる突起は、外側に突出する形状であって、四角柱や三角柱等の多角柱や、多角柱の多角形の一部が欠いた形状等であってもよい。
また、中蓋2は、周壁21と、上壁22とを有している。上壁22には、上方に起立する環状起立部28が設けられ、環状起立部28には、上方に開口する複数の係止穴29a~29hが形成されている。
また、中蓋2の周壁21の下縁は、円周方向に沿って蛇行した波状パターンを有し、波状パターンは一続きの谷部(えぐられた、切り欠かれた部分)及び山部(残った部分)から構成されている。また、谷部の谷底(上端)には、溝部24が形成されているため、周壁21の下縁は、溝付き波状屈曲縁となっている。
本実施形態では、周壁21の波状屈曲縁では、山部の山頂(下端)MPと山頂MPとの間の繰り返し期間は、円周の1/4となる(図3B、図6(c)参照)ことで、4つの波が繰り返し形成されている。
周壁21の下縁である溝付き波状屈曲縁において、上方にえぐられた形状である谷部V(図6(b)参照)は、傾斜している下縁部である第1の傾斜面23と、該第1の傾斜面23と傾斜角度が交差する第2の傾斜面25で構成されている。
また、第1の傾斜面23は、勾配が緩やかな下側の緩斜面231と、勾配が急な上側の急斜面232とを有している。
本発明の実施形態において、中蓋2の下縁は、溝部24の上縁及び下縁を除くと、第1の傾斜面23と、第2の傾斜面25で構成されて、平坦部は形成されないのが好ましい。そのため、周壁21の下縁の谷部及び山部からなる波形状は、少なくとも2つ以上形成される。
さらに、上方にえぐられた谷部Vの谷底(上端)VB(図6(b)参照)には、第1の傾斜面23の上端から延伸している溝部24が形成されている。
本実施形態では、突起13がスライドして係合する溝である溝部24は、上縁24U、下縁24L、延伸端24Sで囲まれた、U字形状の空間のU溝である。溝部24の上縁24Uは第1の傾斜面23から連続的に延伸しており、U溝である溝部24の下縁24Lは、第2の傾斜面25の上端に対して略横方向に延び出している。即ち、溝部24の下縁24Lと第2の傾斜面25の上端周辺の面で挟まれる部分は、抜け止め片(突出片)26となる。
本構成では、キャップ200を、容器本体1の口部10に載置すると、第1の傾斜面23、又は第2の傾斜面25が口部10の突起13の上部分に接触しながら斜め下方向にスライド移動した後、使用者が回転させることで、溝部24内に突起13をガイドして嵌めこむ。キャップ200の回転の詳細については、図8、図9を用いて後述する。
また、図2を参照して、キャップ200の外蓋3は、有頂円筒形状であって、側壁31と、天井壁32とを有している。
図3A,図3Bは、第1実施形態に係るキャップ付き容器100の分解図である。図3Aは、キャップの上方から見た分解斜視図であり、図3Bは、肩部19の下方から見た分解斜視図である。
図3A,図3Bを参照して、容器本体1の口部10の上壁12の中央には、嵌合孔14が形成されており、嵌合孔14の周りには、環状隆起部15が設けられている。
また、中蓋2の上壁22の下面側には、下方に突出する突起である栓部27が設けられている。
キャップ200を容器本体1の口部10に取り付けると、中蓋2の栓部27が、口部10の嵌合孔14に挿入されることで、打栓構造とより、口部10の嵌合孔14が塞がれる。
さらに、図3Bを参照して、キャップ200の外蓋3の天井壁32の下面には、下方に突出する複数の突起33(33a~33h)(図7(c)参照)が設けられており、図3Aを参照して、中蓋2の上壁22の環状起立部28には、複数の係止穴29(29a~29h)(図6(a)参照)が形成されている。
外蓋3の突起33a~33hが、中蓋2の係止穴29a~29hに挿入されて嵌合することで、キャップ200が口部10に対して回転する際に、中蓋2に対する外蓋3の回転止めとなり、外蓋3と中蓋2とを連動させて回転させることができる。
なお、本例では、突起33a~33hと係止穴29a~29hとを用いて、外蓋3と中蓋2とを連動させる例を示しているが、側面にローレット形状を形成して、外蓋3と中蓋2とを連動させる構成としてもよい。
図4は、第1実施形態に係るキャップ及び容器本体の口部の正面断面図である。図4は、図2のAA断面に相当する。図4では、キャップ200が容器本体1の口部10に取り付けられている状態であって、キャップ200が口部10を覆っている(オーバーキャップしている)状態を示す。
キャップ200では、図4に示すように外蓋3の天井壁32の下面から下方に突出する複数の突起33a~33hと中蓋2の係止穴29a~29hが係合された状態で、組み立てられる。
また、中蓋2の上壁22の下面には下方に突出する栓部27が設けられているため、キャップ200を取りつける際に、この栓部27が、口部10の上壁12の嵌合孔14に挿入されることで、嵌合孔14が打栓されて、キャップ200が容器本体1の口部10に固定される。
なお、図4に示す本実施形態では、嵌合状態において、キャップ200の中蓋2の上壁22の下面22Lと、容器本体1の口部10の上壁12とは接触しない例を示しているが、接触する構成であってもよい。
なお、より密閉性を向上するため、容器本体1の口部10の上方に、別部品であって、上下に移動可能な中栓を設ける構成としてもよい。中栓を用いる実施形態については、外蓋が角筒形状である第3実施形態において詳細説明するが、外蓋が円筒形状の実施形態においても、中栓を適用してもよい。
キャップ200の中蓋2や、容器本体1の口部10は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、又はポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂で構成される。
また、キャップ200の外蓋3は、上記樹脂で構成してもよいし、あるいは、アルミ等の金属を、上記樹脂の周りに覆っていてもよい。
本実施形態では、キャップ200の装着状態において、中蓋2は、口部10の上壁12の一部と、外周壁11から突出する突起13a~13dと接触することによって、支持されている。
図5は、第1実施形態に係る容器本体1の口部10の説明図である。図5の容器本体1の口部10周辺において、(a)は平面図であって、(b)は正面図である。
図5(a)の平面図に示すように、容器本体1の口部10の外周壁11には、等間隔に離間した、4方向に外側に突出する突起13a,13b,13c,13dが設けられている。
また、図5(b)に示す正面図では、容器本体1の肩部19の上の部分を示しているが、容器本体1において、図2に示すように、肩部19の下には、内容物を収容する部分である収容部が設けられている。
本例では、図5で示した容器本体1の口部10には、嵌合孔14が形成された上壁12が設けられ、中蓋2に設けられた栓部27が嵌合孔14に挿入されることで、キャップを閉める際に、打栓する構造を示しているが、本発明の容器本体1の口部10は、上面を有さず開口した構成であってもよく、この場合は、キャップを閉めることで、口部の開口部を閉鎖する。さらに、後述の図31、図32A、図32Bで示すように、容器本体側の口部の上側に、ディスペンサーや口紅用スリーブ等を設け、キャップによって口部とともにこれらを覆う構成であってもよい。
図6は、第1実施形態に係るキャップ200の中蓋2の説明図である。図6において、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
図6(a)の平面図に示すように、中蓋2の上壁22の上面22U側には、8つの係止穴29a~29hが形成されている。なお、本実施形態では、係止穴29a~29hは、上壁22の厚さ方向の途中まで形成されており、上下方向に貫通されていない例を示しているが、係止穴29a~29hは、上壁22において上下方向に貫通していてもよい。
図6(b)、図6(c)に示すように、中蓋2の周壁21の下縁は、一続きの上に凹んだ谷部V及び下方に伸びる山部Mから構成される4つの波形状を有し、谷部Vの谷底である上端VBに溝部24が形成された溝付き波状屈曲縁である。
図6(c)に示すように、周壁21の下縁である溝付き波状屈曲縁の山部Mの山頂(下端)MPは、等間隔に4つ設けられている。即ち、山頂(下端)MP,MP間を繰り返し単位として、同じ溝付き谷部の形状が、円周方向において、4回繰り返されている。
本実施形態では、図6(b)に示す溝付き谷部は、横方向から見て、鉤状に形成された溝部24を波の頂点とした、複数の水鳥の頭部分を連続させたような形状であるケルビン・ヘルムホルツ波に似た形状である。第1の傾斜面23は、右上がりの傾斜であって、第2の傾斜面25は、図11に示す下側金型8を下方向に移動させたときにアンダーカットにならない左上がりの傾斜であれば、傾斜面23,25の傾斜角度は同じであっても異なってもよい。
さらに、図6(b)に示すように、第1の傾斜面23は、傾斜が緩やかな緩斜面231と、緩斜面231の上端から連続しており、緩斜面231よりも勾配が急な急斜面232とを有している。溝部24の上縁24Uは、急斜面232の上端から、急斜面232とは異なる角度に延伸しており、本実施形態では、溝部24は略水平方向に延伸している。
なお、本例では第1の傾斜面23が、異なる勾配の2つの斜面231,232から成る例を説明したが、第1の傾斜面23は、1つの勾配の斜面であってもよいし、あるいは、湾曲していてもよい。
また、図6(b)に示すように、第2の傾斜面25の円周方向の長さは、溝部24の円周方向の長さよりも長い。よって、第2の傾斜面25の下端付近の面を上縁として、抜け止め片26を形成することができる。詳しくは、図11、図12で示すような金型を利用して、第2の傾斜面25が延伸する範囲内で、第2の傾斜面25の上側に抜け止め片26を形成して溝部24を形成することができる。
図6では、中蓋2の周壁21の下縁の上方にえぐられた溝付き谷部Vは、容器本体1側の口部10の突起13と同数設けられている例を示しているが、溝付き谷部Vの数は、口部10の突起13よりも多くてもよい。その場合は中蓋2の、溝付き谷部Vの数は、突起13の数の倍数分、設ける。例えば、図5で示す口部10の突起13a~13dは、4個なので、溝付き谷部Vの数は、8個、12個、16個…等設けてもよい。
また、図6(b)に示すように、右上がりの傾斜である第1の傾斜面23の急斜面232の上端から連続して、溝部24は略右方向に延伸している。これは、一般的にキャップは時計回りで締まる、反時計回りで開くように設定されているため、その構成に適応するためである。
また、本構成では、4つの溝付き谷部Vが形成され、溝部24は、山部の下端MP,MP間の溝付き谷部Vの各繰り返し周期の、1/6~4/9程度の区間に設定される。
図6(b)の中蓋2の溝部24を除いた谷部及び山部からなる波形状については、図11の下側金型8を用いて形成され、溝部24は、図11の側面金型7の突起を用いて形成される。そのため、中蓋2の円周方向における溝部24の延伸長については、図11の側面金型7の移動方向に投影可能な範囲である、山頂MPから第2の傾斜面25を通る抜け止め片26の先端26Pまでの範囲、即ち、図6(c)の第2の傾斜面25の部分よりも短ければ自由に設定できる。
詳しくは、図6(b)の溝部24の延伸端24Sの位置については、図11の金型構造であれば右側の山頂(下端)MPの位置まで設定可能である。そのため、周壁21において、溝部24が存在している範囲に相当する角度は、15°~40°程度になる。よって、開蓋の際に周壁21の周方向における溝部24を移動させるための図6(c)に示す回転角度θ1は、15°~40°程度になる。
また、容器本体1の口部10の突起13の数に応じて、中蓋2の溝付き谷部Vの数も変化する。例えば、本例のように、突起13の数と溝付き谷部Vの数が同数である構成であって、突起13の数が変化した場合、溝部24を本構成と同じ長さにすることで4つ設ける場合と同様の回転角度にすることもできるし、あるいは4つ設ける場合よりも溝部24を長くしたり、短くしたりすることで、キャップ200の開蓋の際の係合及び係合解除の回転角度を調整することも出来る。
なお、図6(b)、図6(c)では、第1の傾斜面23を、第2の傾斜面25よりも傾斜を緩く、長く延伸している例を示しているが、第1の傾斜面23と第2の傾斜面25の傾斜角度を変更することで、円周方向の4分割された部分における、第1の傾斜面23と第2の傾斜面25の長さの割合を変更することもできる。第2の傾斜面25の円周方向の長さに応じて、溝部24の長さも調整することができる。
図7は、第1実施形態に係るキャップ200の外蓋3の説明図である。図7において、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
図7(c)の底面図に示すように、外蓋3の天井壁32の下面32Lには、8つの突起33a~33hが設けられている。この突起33a~33hは、中蓋2の上壁22の係止穴29a~29hと同数設けられており、キャップ200を組み立てる際に、中蓋2の係止穴29a~29hに挿入して嵌合される。この嵌合により、キャップ200において、外蓋3と中蓋2とが一体的に回転する。
なお、図6、図7では、外蓋3の天井壁32の下面32Lに突起33a~33hを設け、中蓋2の上壁22に係止穴29a~29hを設けた例を説明したが、孔と突起の配置は逆であってもよい。即ち、中蓋2と外蓋3との回転止め機能を実現するために、外蓋3の天井壁32の下面32Lに係止穴を形成し、中蓋2の上壁22に突起を設けてもよい。
さらに、中蓋2と外蓋3との回転止め機能を、ローレット形状によって実現してもよい。詳しくは、中蓋2の周壁21の外周、及び外蓋3の側壁31の内周の少なくとも一部を、平溝、凸凹、綾目状等のローレット形状にして、互いに係合させ、回転方向の摩擦力を増加させることで、中蓋2に対して外蓋3が回転しないようにして、一緒に回転させる。
(キャップの動き)
図8は、本発明における口部10に対するキャップ200の回転を示す正面図である。詳しくは、図8において、(a)は、中蓋2の下縁の第1の傾斜面23が突起13aに対してスライドしている状態を示す図、(b)は第1の傾斜面23と溝部24の境界に突起13aが到達した状態を示す図、(c)は突起13aが溝部24に嵌合している状態を示す図である。
本実施形態では、キャップ200を、図8(a)に示す中蓋2の位置に容器本体1の口部10に載置すると、重力により、図8(a)⇒(b)に示すように、第1の傾斜面23が突起13a(13a~13d)に対してスライドすることで、キャップ200が降下する。
ここで、第1の傾斜面23は右上がりの傾斜であるため、中蓋2が、突起13aに沿って第1の傾斜面23がスライドしながら降下する際は、キャップ200は、口部10に対して時計回りに回転する。
本実施形態では、キャップ200は、重力によって自動的に時計回りに回転しながら降下するため、図8(b)に示す第1の傾斜面23と溝部24の境界である谷底である上端VBに突起13aが到達した状態になったら、使用者は、キャップ200を時計回りに回転させることにより、キャップ200の状態を、図8(b)の状態から図8(c)の状態に移行させて、突起13aを溝部24に嵌合させる。
詳しくは、溝部24が第1の傾斜面23の上端から右方向に延伸し、溝部24の始点が溝付き谷部Vの谷底VB、終点が延伸端24Sであるため、キャップ200を時計回りに回転させることで、突起13aと接触する位置が、溝部24の始点から終点に移行して、突起13aを溝部24に嵌合させ、キャップ200が締まる。
本発明の実施形態では、図8(b)から図8(c)の状態へ移行させると、口部10の突起13aが、溝部24の延伸端24Sと接触することで、閉まり切った官能を得られる。例えば、締まりきった官能の一例として、それ以上押せないという触感に加えて、カチッと音が鳴ってもよい。
一方、キャップ200を取り外す場合は、使用者がキャップ200を反時計回りに回転させることで、中蓋2を、図8(c)⇒図8(b)の位置に移動させ、さらに突起13aが図8(b)の位置を通過して、突起13aの上端が、略水平方向に延伸する溝部24の上縁24Uから角度のきつい急斜面232に接触するとキャップ200を上向きに持ち上げて、取り外すことができる。
このように、溝部24の上縁24Uと連結している斜面である急斜面232を、急な角度にすることにより、使用者がキャップ200を外す際にキャップ200が浮き上がってくるような感触を作り出すことができる。
したがって、本構成において、キャップ200を取り外す際は、溝部24の横方向の長さに相当するわずかな回転のみで、係合状態を解除できるため、開蓋するために必要な回転角度を図6(c)のθ1に示すように、小さく設定でき、より少ない動作で、より早く使用することが可能になる。
図9は、第1実施形態における口部10に対するキャップ200の回転を示す正面図である。
本実施形態では、上述のように中蓋2の周壁21の下縁の、上方にえぐられた谷部は、2方向の傾斜面23,25を含んで構成されている。
そのため、キャップ200を、容器本体1の口部10において、図9(a)に示す中蓋2の位置に載置すると、重力により、図9(a)⇒(b)に示すように、第2の傾斜面25が突起13aに対してスライドすることで、キャップ200が降下する。
ここで、第2の傾斜面25は左上がりの傾斜であるため、中蓋2が、突起13aに沿って第2の傾斜面25がスライドしながら降下する際は、キャップ200は、口部10に対して時計回りに回転する。
キャップ200は、重力によって自動的に口部10に対して時計回りに回転しながら降下するため、図9(b)に示すように、第2の傾斜面25の上端を超えて、第1の傾斜面23と溝部24の境界に突起13aが到達した状態になったら、図8(b)同様に、使用者は、キャップ200を時計回りに回転させる。これにより、キャップ200の状態を、図9(b)の状態から図9(c)の状態に移行させて、口部10の突起13aを、中蓋2の溝部24に嵌合させて、キャップ200の装着を嵌合する。
ここで、本発明の実施形態では、中蓋2の下縁は、溝部24の上縁及び下縁を除くと、平坦部は形成されないため、キャップ200を口部10上に向きを考慮せずに適当に載置した場合、口部10の突起13aは、第1の傾斜面23、第2の傾斜面25、又は或いは谷底である上端VBのいずれかに接触する。そのため、キャップ200は、突起13aに沿った重力による自動回転降下を開始する、或いはキャップ200のスライドの最も下の位置である上端VBと突起13aとが接触する位置に留まらせることができる。
このように、本構成において、キャップ200を装着する場合は、キャップ200を口部10の任意の位置に載せ、第1の傾斜面23又は第2の傾斜面25に沿った重力による自動回転降下が終了したら、使用者は、キャップ200を、溝部24の長さに相当するわずかに回転させるのみで、係合状態に移行させることができる。
そのため、螺旋状のネジ溝のキャップと比較して、使用者がキャップ200を閉蓋するために必要な回転角度を小さく設定でき、より早く係合させて、使用者の手間を削減することが可能になる。
なお、本実施形態では、容器本体1の口部10及びキャップ200のそれぞれの部材について、口部10及び中蓋2のいずれもすべて樹脂で形成することを前提として、キャップ200が、自重によりスライドする構成について説明した。
しかし、例えば、中蓋2の栓部27又は、容器本体1の口部10の嵌合孔14の内壁14Iの少なくともどちらか一方を、密着して弾性変形するゴム等の素材で少なくとも一部が密着する嵌合サイズで構成することで、キャップ200を装着する際、栓部27は内壁14Iに密着した状態で進入し、密着状態で停止するため、嵌合状態における気密を達成させてもよい。
この気密構成の場合は、栓部27は内壁14Iとの接触部分において、気密ではない構成よりも大きい抵抗が生じるため、キャップ200取付けの際は、載置後、使用者がキャップ200を上から押すことによって、図8(a)⇒図8(b)、又は図9(a)⇒図9(b)の状態に移動させる。また、キャップ200の取り外しの際は、抵抗の少ない樹脂同士の接触よりも強い力で使用者がキャップ200を回転させて、突起13aが第1の傾斜面23の急斜面232と緩斜面231との境界に達した時点周辺で、図8(b)の状態からキャップ200を口部10から気密が解除されて、取り外すことができる。
また、図6で示した中蓋2の構成では、口部10との係合において、栓部27と嵌合孔14によって、気密に近い構造、あるいは栓部27又は嵌合孔14周辺にゴムを用いた気密構造で係合する例を説明したが、口部が開口しており、キャップの嵌めることで中蓋によって開口部を塞ぐ構成であっても、キャップと口部の係合に本発明を適用することができる。その場合は、キャップは、打栓構造による気密による抵抗を受けないため、閉蓋時は自重によりキャップをスライドさせ、開蓋時は、軽い力でキャップと口部との係合を解除することができる。
(溝部変形例)
図10A~図10Fは、本発明の中蓋2の溝部24の変形例を示す図である。上記例では、図6(b)に示すように中蓋2の周壁21において、横方向に延伸するU字状の溝部24について説明してきた。しかし、溝部24の形状は上記の構成に限られない。
図10Aは、上記の実施形態における直線状のU字状の溝部24を示す図である。本構成では、溝部24は、上縁24Uと、下縁24Lと、延伸端24Sによって囲まれた、横方向(略水平方向)に直線している直線延伸部241を有している。図6(a)に示すように、抜け止め片26の上辺261が、溝部24の下縁24Lを規定している。
本構成では、図6(c)で示したように、抜け止め片26の上辺261が、中蓋2の周壁21の周方向に沿って延伸している。
図10Bは、起点に段差を有する溝部24Aを示す図である。本構成では、溝部24Aは、抜け止め片26Aの上辺261Aの先端(頂点)が上方に突出するように凸部262が構成されていることで、直線延伸部241Aの起点部分が、上方に凹んでいる凹部242となっている。
溝部24Aの下縁に上方に凹む凹部242が設けられていることで、口部10の突起13a~13dは、抜け止め片26Aの凸部262を乗り越えて嵌合するため、着脱の際の乗り越え際にクリック感の手ごたえを与えることができるとともに、容器100の転倒時などの、外側からの衝撃時における抜け止めの効果をさらに高めることができる。
図10Cは、途中に段差を有する溝部24Bを示す図である。本構成では、溝部24Bは、抜け止め片26Bの上辺261Bの途中部分が上方に突出するように凸部263が構成されていることで、直線延伸部241Bの下縁途中の部分に、上方に凹んでいる凹部243が形成されている。
溝部24Bの下縁に上方に凹む凹部243が設けられていることで、口部10の突起13は、抜け止め片26Bの凸部263を乗り越えて嵌合するため、容器100の転倒時などの、外側からの衝撃時における抜け止めの効果をさらに高めることができる。
なお、図10Aでは、略水平方向に延伸する溝部24について説明したが、図10Bや、図10Cのように、溝部24A,24Bの下縁の一部が凹んで、口部10の突起13が乗り越える部分が設けられている場合は、溝部24A,24Bの延伸方向は、第1の傾斜面23の急斜面232よりも急勾配ではなく、少なくとも起点部分が急斜面232及び第2の傾斜面25とは異なる傾斜角度であれば、図10Dのように湾曲していたり、図10Aに示すように水平であったり、図10Eに示すように屈曲していたり等、どの角度であってもよい。
図10Dは、湾曲している溝部24Cを示す図である。本構成では、溝部24Cは、抜け止め片26Cの上辺の一部が凸状に湾曲する凸状湾曲部264が構成されていることで、溝部24Cの下縁に上に凹んだ湾曲した形状である湾曲部245が形成されている。
溝部24Cの下縁が上に湾曲した湾曲部245であるため、口部10の突起13は、湾曲(凸状湾曲部264)を乗り越えて嵌合し、容器100の転倒時などの、外側からの衝撃時における抜け止めの効果をさらに高めることができる。
図10Eは、屈曲している溝部24Dを示す図である。本構成では、抜け止め片26Dの上辺の一部が凸状に屈曲するように構成されていることで、少なくとも溝部24Dの上縁が逆V状に屈曲している。このように、抜け止め片26Dに折れ曲がって構成されていることで、溝部24Dの下縁が上に凸に折れ曲がった形状となっている。即ち、溝部24Dにおける直線部246,247は異なる方向に延伸している。
溝部24Dが上に折れ曲がった形状であって、溝部24Dの折れ曲がりの一部が、右下がりの形状であることで、横方向の力だけでは、開けづらくなり、容器100の転倒時などの、外側からの衝撃時における抜け止めの効果をさらに高めることができる。
上述の図10A~図10Dでは、溝部24の上縁24Uに対して、溝部24の上縁24Uにつなぐ斜面である急斜面232を、急な角度にすることにより、また図10Eでは溝部24Dと急斜面232とが異なる角度に折れ曲がることにより、使用者がキャップ200を外す際にキャップ200が浮き上がってくるような感触を作り出すことができる。
図10Fは、急斜面232と同一方向に延伸している溝部24Eを示す図である。本構成では、溝部24Eの上縁24UEは、第1の傾斜面23の急斜面232から直線状に連続して同一方向に延伸しているため、キャップ200を閉じる際、重力により中蓋2が突起13に沿ってスライドすると、使用者が回転させることなく、自重により、自動的に突起13を溝部24Eへガイドすることができる。
なお、図10Fの形状では、自動的にキャップ200は締まるが、中蓋2は、外側からの衝撃のうち、下からの衝撃で開蓋することが想定されるため、例えば、図10Bや図10Cに示す例のように、抜け止め片26の上縁であって、溝部24Eの下縁部24LEの根元や途中部分に、凹凸を設けることで、抜け止めの効果を得ると好適である。
<製造工程>
図11は、第1実施形態に係るキャップ200の中蓋2の製造時の金型を示す上面斜視図であり、図12は、第1実施形態に係るキャップ200の中蓋2の製造時の金型を示す下面斜視図である。
第1実施形態に係る中蓋2は、上側金型9、側面金型7、下側金型8に挟まれた状態で、樹脂によって射出成形される。本実施形態では、側面金型7は、4分割された側面金型7a,7b,7c,7dによって構成されており、中蓋2における周壁21の外周面と溝部24を形成する。
上側金型9は、中蓋2における上壁22の上面を形成するため、図11に示す中蓋2の上面の環状起立部28における複数の係止穴29a~19hを形成するように、下面9Uに、図12に示す円環状のリング溝91が形成され、リング溝91の天井面から下方向に垂下する、複数の突起92a~92hが設けられている。
下側金型8は、中蓋2における周壁21の溝部以外と、上壁22の下面と突起状の栓部27を形成する。図11及び図12を参照して、下側金型8の外周面8Sには、中蓋2の溝付き波状屈曲縁を形成するための、4つの連続した山型の形状の段差である左上がりの傾斜部81a,81b,81c(不図示),81d(不図示)及び右上がりの傾斜部82a,82b,82c(不図示),82d(不図示)が形成されている。そのため、下側金型8の外周面8Sでは、中蓋2の溝付き波状屈曲縁における、山部Mの山頂(下端)MPに対応する谷底部VB8を有し、谷部Vの谷底(上端)VBに対応する山頂部MP8を有している。
また、下側金型8の上面8Uの中央部には、孔部83が形成されている。孔部83に樹脂が入り込むことで、中蓋2の上壁22の中央から垂下する栓部27を形成する。
ここで、下側金型8は、中蓋2を樹脂成形後、金型を外す際に下側に抜くため、下側金型8のみでは、抜け止め片26を形成できない。
そこで、本実施形態では、中蓋2の周壁21で、溝部24を規定する抜け止め片26を形成するために、図11及び図12を参照して、各側面金型7c,7dの内周部71c,71dには、下側金型8の山型の上端(頂点)の位置と合致する位置に凸部72c,72dが形成されている。なお、図11、12では視認できないが、側面金型7a,7bにおいても、下側金型8の山型の上端の位置と合致する位置に凸部72a,72bが形成されている。このように、4つの側面金型7a,7b,7c,7dにそれぞれひとつずつ、凸部72a,72b,72c,72dが設けられている。
このように、側面金型7は、下側金型8の上端(頂点)の位置と合致する位置から上方及び側方に広がった凸部72a,72b,72c,72dを設けた、4つ割りの金型で形成されていることで、下側金型8だけでは形成できない、溝部24を規定する抜け止め片26を含む、中蓋2の周壁21の溝付き波状屈曲縁である下縁を、樹脂で形成することができる。また、4つの側面金型7a,7b,7c,7dには、中蓋2の周壁21の段差を形成するための段差部73a,73b,73c,73dが設けられている。
なお、本例では、中蓋2の溝部24を除いた波状屈曲縁において、急斜面232と、第2の傾斜面25の延長線C2(図10A参照)とが交差する上端VBの下の部分まで、下側金型8によって形成する例を示したが、図11に示す下側金型8を下方向に移動させたときにアンダーカットにならないように設定すれば、下側金型8を用いて形成する周壁21の下縁の波状屈曲縁の領域を変更してもよい。
例えば、下側金型8を下方向に移動させたときにアンダーカットにならない境界まで下側金型8によって形成する設定として、抜け止め片26の先端26Pから上側に垂直に延伸する線である図10Aの線C1の位置から左の部分と、第2の傾斜面25から下の部分、即ち、溝部24以外の全ての部分を、下側金型8によって形成してもよい。
あるいは、図10Aに示す、線C2、線C3、線C4を、下側金型8で形成する部分と、側面金型7で形成する部分との境界に設定してもよい。
ここで、従来例の容器本体の口部側に傾斜辺を有する構成を樹脂で成形する場合は、容器本体のための口部の内側や、肩部、ボトル本体等の上下及び横方向に対応する金型に加えて、これらの傾斜辺用の下及び横方向から挟み込む金型が必要になるため、多くの金型、あるいは、複雑な金型が必要になり、樹脂成形のための金型が高価になる。
これに対して、本発明では、中蓋2の下縁部に、スライド係合機構である、傾斜面23,25や、溝部24を規定するための抜け止め片26を有する、溝付き波状屈曲縁を形成するため、図11、図12に示すように、上下及び横方向全周から挟み込む金型を用いて、樹脂成形する。そのため、本発明の中蓋の樹脂成形では、必要な金型の数を減らし、金型を簡素化することが出来、口部側に傾斜辺を成形する従来例よりも、安価に製造できる。
<第2実施形態>
図13A,図13Bは、本発明の第2実施形態に係るキャップの中蓋2αを示す図であって、図13Aは上面斜視図で、図13Bは下面斜視図である。
上記の第1実施形態の中蓋2の周壁21の下縁では、4つの波形状の、上方にえぐられた谷部の谷底(上端)VBのすべてにおいて、溝部24が設けられていた。しかし、溝部24は、上方にえぐられた谷部の上端VBのうち、少なくとも2つの上端に形成されていればよい。
本実施形態では、中蓋2αの周壁21αの下縁は、下方に垂れ下がる山部を挟んで、上方にえぐられた溝付き谷部Vと、溝無し谷部Vαとが、交互に設けられている。溝部24が設けられていない溝無し谷部Vαの上部は、横方向から見て、ノコギリ波に類似した波形状であり、傾斜した第1の傾斜面23αと、ほぼ垂直に延伸する突き当たり面20と、短い第2の傾斜面25αを含んで構成でされている。
さらに、図13Bに示すように、第1の傾斜面23αは、傾斜が緩やかな緩斜面231と、該緩斜面231の上端から連続しており、該緩斜面231よりも勾配が急な急斜面232と、該急斜面232の上端から延伸上端VBαまで延伸する上端緩斜面233とを有している。
溝部24が形成された溝付き谷部Vは、上記同様に、溝部24の上縁24Uは、急斜面232の上端から、急斜面232とは異なる角度に延伸しており、本実施形態では、略水平方向に延伸している。
溝部24が形成されない溝なし谷部Vαの延伸上端VBαでは、第1の傾斜面23αが、溝付き谷部Vの谷底VBに相当する位置から、溝部24が形成される谷部の上端VBよりも溝部24の上縁の分、長く延伸し、その延伸上端VBαから垂下しているため、抜け止め片26が設けられていない。
本実施形態では、容器本体1の口部10の突起13a,13b,13c,13dのうちのいずれか2つが、2つの溝部24が係合した際に、容器本体1の口部10の他の2つの突起13は、第1の傾斜面23αの延伸上端VBαから垂下する線分である突き当たり面20の上端周辺に突き当たる。
なお、図13A,図13Bにおいて、突き当たり面20は、上端からは、ほぼ垂直に延伸している例を示しているが、突き当たり面20の延伸方向は、垂直ではなく、傾斜していてもよい。
なお、本実施形態では、突き当たり面20の下端MPαの下方に、さらに第2の傾斜面25αが設けられている例を示したが、山部Mと谷部Vとの間隔が狭い場合は、突き当たり面20の下端MPαの下に第2の傾斜面25αを設けなくてもよい。
<第2実施形態の製造工程>
図14は、第2実施形態に係るキャップの中蓋2αの製造時の金型を示す上面斜視図であり、図15は、第2実施形態に係るキャップの中蓋2αの製造時の金型を示す下面斜視図である。
第2実施形態に係るキャップの中蓋2αに対応する、横方向全周から挟み込む側面金型7αは、2つ割りの側面金型7e,7fで構成される。上側金型9は、第1実施形態と同様の構成である。
第1実施形態では、中蓋2の周壁21の下縁の上方にえぐられた谷部の谷底(上端)VBのすべてに溝部24を形成するため溝部24と同数に分割した、4つの側面金型7a,7b,7c,7dが必要であった。しかし、中蓋において、嵌合のための溝部は少なくとも、180°離れて2つ設けられていれば、嵌合機能が実現できる。
本実施形態において、下側金型8αは、上面8Uは同等の形状であって、側面の外周面8Sαの、鉤状の溝部24を有する溝付き谷部Vに対応する段状の部分は、図11、図12と同様の傾斜部81,82からなる山状形状である。また、第2実施形態と異なる、溝部24が設けられない溝無し谷部Vαに対応する部分は、傾斜辺81α、82α及び上下方向に延伸する直立辺84が設けられている。
このように、第2実施形態の構成では、中蓋2αのえぐられた谷部V,Vαの4つの上端のうち2つの上端のみに溝部24を設けるため、抜け止め片26を形成するための側面金型7αの分割数は、2つで済む。
図6の一続きの谷部V及び山部Mから構成される4つの波形状の部分については図11の下側金型8で構成されており、図6の溝部24の部分については図11の側面金型7の移動方向に投影可能な範囲であれば自由に設定できる。よって、図6(b)の溝部24の延伸端24Sの位置については、図11の金型構造であれば右MP点の位置まで、図14であれば端から製品の肉厚分を引いたところまで設定可能である。
よって、本実施形態では、側面金型7e,7fが2分割のため、金型の数をさらに減少させることが出来、スライド係合機能を有する中蓋の製造全体の金型を安価にするとともに、金型を抜く際の手間をさらに減らすことができる。
<第3実施形態>
図16は、本発明の第3実施形態に係るキャップ付き容器100βの外蓋5を取り外した図であり、図17は、第3実施形態に係るキャップ付き容器100βの容器全体を示す外観図である。
本実施形態では、第1実施形態と比較して、図17に示すようにキャップ200βの外蓋5が角型である点が異なる。また、図16に示すように、キャップ200βの中蓋4には、下側に下端筒部(外周筒部)481と、外側が四角形状に張り出した下端フランジ482とが設けられている。
図18A,図18Bは、第3実施形態に係るキャップ付き容器100βの分解図であって、図18Aはキャップ200βの上方から見た分解斜視図、図18Bは肩部19の下方から見た分解斜視図である。
本実施形態では、容器部300において、容器本体1βに、中栓6が装着されている。中栓6は、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE(Linear Low Density Polyethylene))や低密度ポリエチレン(LDPE(Low Density Polyethylene))やポリプロピレン(PP(Polypropylene))などであって、容器本体1βよりもやわらかい素材で構成されている。中栓6は、口部10βの上端に対して嵌め込まれている。
本実施形態では、図18(b)に示すように外蓋5は、二重リング形状であって、天井壁52の下面から下方へ延伸し、側壁51の内側に設けられている環状形状の突起で内周リングである蓋内筒53が設けられている。また、外蓋5の蓋内筒53の下端は段差531,532を有する形状であり、中蓋4の下端当接部48の上端に密着して係合する。
また、図18に示す嵌合状態において、キャップ200βの中蓋4の下端当接部48は、口部10βの側面の下端大径部17の外周面17Oと接触している。そのため、中蓋4は、中栓6の上壁62と、口部10βの下端大径部17の2箇所で上下方向に支持されるため、例えば弾性部材である中栓6が上下に移動した場合であっても、下端大径部17との係合により、中蓋4を、口部10βに対して適切な位置で係合させることができる。
中蓋4の下端フランジ482の外側面482Oは、有頂角筒状の外蓋5の側壁51の内面と当接して嵌合しているため、四角状の枠で係合していることで、回転止めとなり、外蓋5と中蓋4とが連動して回転できる。
図19は、第3実施形態に係るキャップ及び容器本体の口部の正面断面図である。図19に示すように、中栓6の外周壁61の内側面61Iと内筒64の外側面64Oが、容器本体1βの口部10βの上端小径部16を挟み込んで嵌め合されていることで、中栓6が、容器本体1βの口部10βに対して密封装着される。
中栓6は容器本体1βよりも柔らかい樹脂であるLLDPE,LDPE,PP等で形成されるため、中蓋4の突起である栓部47が、中栓6の嵌合孔63に挿入される際の打栓や、中蓋4の上壁42の下面42Lとの密閉性を向上させるように構成することもできる。
また、本実施形態では、中蓋4の上端に外側に張り出す上端張り出し部49(図25A参照)が設けられていない代わりに、外蓋5に垂下筒状壁である蓋内筒53が設けられている。
本実施形態は、キャップ200βにおいて、中蓋4の周壁41の外周面41Oは、外蓋5の蓋内筒53の内周面53Iと、接触して係合している。
また、本実施形態では、中蓋4の側面の下部の下端当接部48における、下端筒部(外周筒部)は2段形状である。下端筒部では、上部が薄肉部483であり、下部が厚肉状の厚肉部481である。
本実施形態では、キャップ200βは、図19に示すように、中蓋4の下端筒部の厚肉部481の上面481U及び薄肉部483の外周面483Oに、外蓋5の蓋内筒53の下端の段差531,532が接触した状態で、係合している。
この構成により、外蓋5の蓋内筒53が、周面状及び下部において、中蓋4の側面である内側の周壁41及び、下端当接部48における外端筒部の厚肉部481の上端の481Uの両方と接触して、係合することで、キャップ200βにおける外蓋5に対する中蓋4の傾きを、防止することができる。
図20は、第3実施形態に係る容器本体1βの口部10βの説明図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
本実施形態の容器本体1βは、図5に示す第1実施形態と比較して、口部10βの上壁12が存在せずに開口しており、その開口の周囲である上端に上端小径部16が設けられ、口部10βの下端には筒状壁11βよりも径が大きい下端大径部17が設けられている点が異なる。
図21は、第3実施形態に係る容器本体1βの口部10βに取り付けられる中栓6の説明図である。図21に示す中栓6において、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
中栓6は、外周壁61と、上壁62と、内筒64とを有しており、上壁62には、上下に貫通する嵌合孔63が形成されている。また、嵌合孔63の周囲には、環状隆起部65が形成されている。
なお、本例では、嵌合孔63が設けられた中栓6を介して、キャップ200と、容器本体1βの口部βとを係合させる例について説明したが、図20の容器本体に対して、中栓を設けずに、キャップ200を直接取りつけてもよい。
図22は、第3実施形態に係るキャップ200βの中蓋4の説明図である。図22の中蓋4において、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図であり、(d)は底面図である。
本実施形態では、図22(b)、図22(c)に示すように、第2実施形態と同様に、溝部44は、上方にえぐられた4つの谷部の上端VBのうち、2箇所に設けられており、他の2つの上端には、突き当たり面40が形成されている。
図22(c)に示すように、周壁41の下縁である溝付き波状屈曲縁の山部の山頂(下端)MP,MPβは、等間隔に交互に2つずつ合わせて4つ設けられている。即ち、山頂(下端)MP,MPβ間を繰り返し単位として、溝付き谷部、及び溝なし谷部の形状が、円周方向において、2つずつ4回繰り返されている。
溝付き谷部V(図24B参照)では、傾斜している下縁部である第1の傾斜面43と、該第1の傾斜面43と傾斜角度が交差する第2の傾斜面45で構成されている。また、第1の傾斜面43は、勾配が緩やかな下側の緩斜面431と、勾配が急な上側の急斜面432とを有している。
また、本実施形態の図22(b)に示す、上方にえぐられた4つの谷部の谷底(上端)のうちの2つの谷底VBに設けられる溝部44は、第1の傾斜面43よりも緩い傾斜で、延伸している構成を示しているが、本実施形態における、突起13がスライドして係合する溝である溝部44は、図10A~図10Fに示した変形例のような形状であってもよい。
また、本例では、4つの谷部のうちの2つの谷部に溝部44が形成されている例を示しているが、第1実施形態と同様に、4つの谷部全てに溝部44が形成されていてもよい。
図23は、第3実施形態に係るキャップ200βの外蓋5の説明図である。図23の外蓋5において、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
本実施形態では、キャップ200βの外蓋5は、側壁51と、天井壁52と、蓋内筒53とを備える、二重筒構造である。
本実施形態においても、上述の図8、図9で説明したように、本構成において、キャップ200βを装着する場合は、キャップ200βを口部10βの任意の位置に載せ、第1の傾斜面43又は第2の傾斜面45に沿った重力による自動回転降下が終了したら、使用者は、キャップ200βを、溝部44の長さに相当するわずかに回転させるのみで、係合状態に移行させることができる。
あるいは、中栓6βの嵌合孔63を、栓部47と密着するように径を小さく構成している場合は、密閉のための抵抗が発生する。そのため、キャップ200βを取りつける際は、使用者がキャップ200βを上に載せることによって図8(a)⇒図8(b)、又は図9(a)⇒図9(b)の状態に移動させた後、キャップ200βを、溝部44の長さに相当するわずかに回転させるのみで、係合状態に移行させる。
なお、本実施形態では、中栓6を含んでいるため、キャップ200βが回転すると、中栓6が中蓋4とともに下降して気密をとるため、閉蓋の際の上からの押圧は不要である。
また、溝部44が傾斜しているため、キャップ200β取り外しの際は、使用者がキャップ200βを開放方向に回転させ、例えば、突起13が第1の傾斜面43と溝部44との境界に達した時点で、中栓6が上昇して、図8(b)の状態からキャップ200を口部10から気密を解除し、取り外すことができる。
そのため、螺旋状のネジ溝のキャップと比較して、使用者がキャップ200βを閉蓋するために必要な回転角度を図22(c)のθ3に示すように、小さく設定でき、より早く係合させて、使用者の手間を削減することが可能になる。
また、本実施形態においても、キャップ200βを取り外す際は、溝部44の長さに相当するわずかな回転のみで、係合状態を解除できるため、開蓋するために必要な回転角度を小さく設定でき、より少ない動作で、より早く使用することが可能になる。
図24A,図24Bは、第3実施形態に係るキャップ200βの中蓋4の透視説明図である。図24Aは、鉤状の溝部44が形成されていない溝無し谷部Vβ周辺を内側から見た図であり、図24Bは鉤状の溝部44が形成された溝付き谷部V周辺を内側から見た図である。なお、図24は透過図により内側から背面を示しているため、外側から見た図とは、左右反対になっている。
本実施形態では、中蓋4の周壁41の下縁は、下方に垂れ下がる山部を挟んで、上方にえぐられた溝付き谷部Vと、溝無し谷部Vβとが、交互に設けられている。図24Aに示す溝無し谷部Vβでは、溝部44は設けられておらず、ノコギリ波に類似した波形状であり、傾斜した第1の傾斜面43βと、ほぼ垂直に延伸する突き当たり面40を含んで構成されている。
なお、第2実施形態では、図13Bに示したように突き当たり面20の下端MPαの下方にさらに第2の傾斜面25αが設けられている例を示したが、本実施形態では、筒の内側の突き当たり面40の下端MPβは、溝付き谷部Vにおける第2の傾斜面45と第1の傾斜面43βとで構成される山部の下端MPと略同じ高さである。そのため、本実施形態では、突き当たり面40が設けられる溝無し谷部Vβでは、第2の傾斜面は設けられておらず、突き当たり部の下端MPβが最下端部となる。なお、本実施形態においても、溝無し谷部において、第2実施形態と同様に、突き当たり面40の下に第2の傾斜面を設けるように構成してもよい。
また、中蓋4の周壁41の下部分は、外側から見て隠れるように構成している。即ち、周壁41の波状屈曲部(スライド片)の下方に突出する部分である下端MP,MPβの周辺が、下端当接部48の内周に連結している。
そのため、本構成の中蓋4は、図14、図15に示したように、上側金型、下側金型と、2つに分割された側面金型によって樹脂成形することができる。
なお、本構成では、下側金型の外周面に段差の深さを調整し、側面金型における内周面の下端に段差を設けることで、中蓋4の側面である小径の周壁41と、周壁41よりも径が大きい下端当接部48とを樹脂成形する。
この際、下側金型の段差の深さと、側面金型の段差の挟みこみの際の厚さを調整することで、周壁41の波状屈曲縁の山頂である下端MP周辺と、下端当接部48の下側筒部の厚肉部481が重なり、重なった部分が一体化して構成されるように成形できる。
そのため、本発明の中蓋の樹脂成形では、必要な金型の数をさらに減らし、金型を簡素化することが出来るため、口部側に傾斜辺を成形する従来例よりも、安価に製造できる。
また、本実施形態では、谷部V,Vβの4つの上端のうちの2つの上端に溝部44が形成されるため、中蓋4を射出成形するための側面金型が2分割となり、金型の数をさらに減少させることが出来、スライド係合機能を有する中蓋の製造全体の金型を安価にするとともに、金型を抜く際の手間をさらに減らすことができる。
<第4実施形態>
次に、図25A,図25Bを用いて、第3実施形態と、外蓋と中蓋の係合構造が異なる第4実施形態について説明する。本実施形態では、第3実施形態と比較して、キャップ200γの中蓋4γの上側に、外側が四角形状に張り出した上端張り出し部49が設けられている点、及び外蓋5γの形状が異なる。
図25A,図25Bは、第4実施形態に係るキャップ付き容器100γの分解図である。図25Aは、キャップ200γの上から見た分解斜視図であり、図25Bは、肩部19の下方から見た分解斜視図である。
容器本体1γの口部10γは、上面を有しない筒状形状であり、口部10γの側面の上端は、他の筒状壁11γよりも径が小さい、上端小径部16となっている。また、口部10γの下端には、筒状壁11γよりも径が大きい下端大径部17が設けられている。
キャップ200は、有頂角筒状の外蓋5γと、略筒状の中蓋4γとで構成される。外蓋5γは側壁51γと、天井壁52とを有しており、第3実施形態の蓋内筒53は設けられていない。また、側壁51γの下端には段差は設けられていない。
中蓋4γは、周壁41γと、上壁42と、上端張り出し部49と、下端当接部48を有している。中蓋4γの側壁は、周壁41γと、下端当接部48の下端筒部481によって構成されている。
また、中蓋4γの周壁41γの下縁は、第1実施形態の周壁21と同様に溝付き波状屈曲縁となっており、4つの波形状が形成されている。
周壁41γの下縁である溝付き波状屈曲縁において、上方にえぐられた形状である谷部Vは、傾斜している下縁部である第1の傾斜面43と、第1の傾斜面43の傾斜方向と交差する方向に傾斜している第2の傾斜面45で構成されている。そして、上方にえぐられた谷部Vの谷底(上端)VBには、第1の傾斜面43の上端から、第1の傾斜面43とは異なる角度に延伸している上縁44U(図22(b)参照)と、下縁44Lと、延伸方向の端部である延伸端44Sによって規定される、溝部44が形成されている。
溝部44の上縁44Uは第1の傾斜面43から連続的に延伸しており、溝部44の下縁44Lは、第2の傾斜面45の上端に対して略横方向に延び出している。また、溝部44の下縁44Lと第2の傾斜面45で挟まれる部分は、抜け止め片46となる。
上端張り出し部49、及び下端フランジ482の外枠は四角形状であって、上端張り出し部49、及び下端フランジ482の外側面が、角筒状の外蓋5γの内側に嵌めこまれることで嵌合し、キャップ200γ回転時に、外蓋5γと、中蓋4γとの間の回転ずれを防止し、一緒に回転する。
本構成の中蓋4γは、図11、図12に示したように、上側金型、下側金型と、4つに分割された側面金型によって樹脂成形することができる。
なお、本構成では、下側金型の外周面に段差の深さを調整し、側面金型における内周面の下端に段差を設けることで、中蓋4γの側面である小径の周壁41と、周壁41よりも径が大きい下端当接部48γとを樹脂成形する。
この際、下側金型の段差の深さと、側面金型の段差の挟みこみの際の厚さを調整することで、周壁41の波状屈曲縁の山頂である下端MP周辺と、下端当接部48の下側筒部の厚肉部481が重なり、重なった部分が一体化して構成されるように成形できる。
なお、本実施形態では、全ての谷部(4つ)の上端に、溝部が形成された例を示しているが、この構成においても、溝部は2つの谷部に形成されていてもよい。
上記第1~第4の実施形態において、中蓋の下端の波状屈曲縁において、4つの谷部を形成する構成について説明したが、谷部の数は4つでなくてもよい。
<第5実施形態>
図26は、本発明の第5実施形態に係るキャップ付き容器の外蓋を取り外した図であり、図27は、第5実施形態に係るキャップ付き容器100δの容器全体を示す外観図である。
本実施形態では、第3実施形態と比較して、図26に示すように中蓋4δの下端の波状屈曲縁での一続きの谷部及び山部から構成される波形状が2つであり、その2つの谷部の頂点に溝部が形成されている点が異なる。さらに図27に示すように、外蓋5δの上面52δの形状が正方形ではなく長方形である点、及び、外蓋5δの側壁51δの外側面は、容器本体1αの肩部19の下の収容部の側壁の外側面と略同一線状に位置している点が異なる。
また、図26を参照して、中蓋4δの下側フランジ482δには、補強リブ484が対角線方向に延伸するように、筒状の周壁41γを挟んで左右に2つ設けられている。下端筒部481δにおける短辺方向の面には、外側面が平坦な平坦部485が設けられている。
図28は、第5実施形態に係るキャップ付き容器100δの分解図であって、下方から見た斜視図である。
図28に示すように、中蓋4δの円周方向における波状屈曲縁での谷部(波形状)が2つであるため、谷部が4つ形成される第3~第4実施形態の波形状よりも、本実施形態の波形状の第1の傾斜面43δ及び第2の傾斜面45δの傾斜が緩やかにすることが可能である。
なお、本実施形態においても、中蓋4δの内側の周壁の下縁は、溝部44δの上縁44Uδ(図30参照)及び下縁44Lδを除くと、第1の傾斜面43δ又は第2の傾斜面45δで構成されており、波状屈曲縁には平坦部は形成されないのが好ましい。
図29は、第5実施形態に係る容器本体1δの口部1δの説明図である。図29の容器本体1δの口部1δ周辺において、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
本実施形態では、容器本体1δの口部10δに、長辺方向に突出する2つの突起13e,13fが設けられている。
図30は、第5実施形態に係るキャップ200δの中蓋4δの説明図である。図30の中蓋4δにおいて、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図であり、(d)は底面図である。
本実施形態では、2つの一続きの谷部及び山部から構成される波形状が形成されているため、第1~第4実施形態よりも1つの谷部が長い範囲に延伸しており、1つの谷部が約180°である。また、その2つの谷部の2つともに溝部44δが形成されている。
本実施形態では、中蓋4δは180°の回転対称であり、外蓋5δとの係合の際の判別のために、中蓋4δの周壁41δの上端41Pδが湾曲した例を示しているが、上端41Pδは、直線状であってもよい。
本実施形態においても、図9と同様に、キャップ200δを載置すると、長く延伸している傾斜面43δ又は45δに沿ってスライド移動するため、使用者がキャップ200δを閉蓋するために必要な回転角度は、第1~第4実施形態とほとんど変わらず、溝部44δに対応している長さのみに設定できる。そのため、本実施形態においても、キャップ200δを口部10δに対して早く係合させて、使用者の手間を削減することが可能になる。
あるいは、本実施形態において、係合状態をより安定させるために、第1~第4実施形態よりも長く、溝部44δの円周方向の長さを延伸してもよい。
本実施形態では、中蓋4δは、2つの谷部の谷底である上端に2つの溝部が形成された溝付き波状屈曲縁を有しているため、中蓋4δを射出成形するための側面金型が2分割となり、金型の数をさらに減少させることが出来、スライド係合機能を有する中蓋の製造全体の金型を安価にするとともに、金型を抜く際の手間をさらに減らすことができる。
なお、本例では、角筒形の外蓋5δに対応した、2つの谷部を含む波状屈曲縁を有する中蓋4δについて説明したが、第1、第2実施形態のように、円筒形の外蓋3に対しても2つの谷部を含む波状屈曲縁を有する中蓋を形成してもよい。その場合は、縦、横が判別できるように外蓋にマーク等の目印を記載すると好適である。
上記の第1~第5実施形態では、キャップを容器本体へ取りつける際に、栓部が打栓することで、気密を達成可能な構成としていたが、気密を達成しないキャップと容器口部との係合構成に対して、本発明のスライド係合を適用してもよい。
<他の容器への適用1>
図31は、本発明のキャップ付き容器を、ディスペンサーに適用する図である。
本例では、キャップ200Aの中蓋2Aを縦長であることで、キャップはディスペンサー部Dをまるごと覆うような構成である。本構成の容器本体1Aであるディスペンサー容器において、ディスペンサー部Dの下側に口部10Aが設けられ、口部10Aの外周に突起13a~13dが設けられている。
ディスペンサーは、ディスペンサー内部で気密が達成されることが多く、誤動作等を防ぐためのキャップであるため、本構成ではキャップは気密を前提としていない。
よって、ディスペンサーDに対して中蓋2Aを含むキャップ200A(不図示)は軽く閉じればよいため、キャップを閉蓋する際は、図9に示すように、キャップを載置すると自重により、傾斜面に沿ってスライド移動し、溝に対応する長さ分のみ回転させて、キャップ200Aと口部10Aとを嵌合させる。
一方キャップを開蓋する際は、密閉を解除する必要がないため、溝に対応する長さ分のみ回転させて、持ち上げることで開けることができる。そのため、使用者がキャップ200Aを閉蓋するために必要な回転角度を小さく設定でき、より早く係合させて、使用者の手間を削減することが可能になる。
なお、図31では外蓋を省略しているが、中蓋2Aの下端に形成されたギザギザ形状である溝付き波状屈曲縁構造を見えなくするため、中蓋2Aの外側に外蓋を設けると好適である。外側に被せる外蓋は、第1、2実施形態のように円筒形であっても、第3~第5実施形態のように角筒形であってもよく、外蓋を角筒形にする場合は、中蓋4、4γ、4δのいずれかの形状を、ディスペンサー容器の中蓋として適用させると好適である。
<他の容器への適用2>
図32A,図32Bは本発明のキャップ付き容器を、棒状化粧体の繰出容器に適用する図である。図32Aはキャップを開いた状態の繰出容器のスリーブ周辺の外観説明図であり、図32Bはキャップを閉じた状態のスリーブ周辺の断面図である。
容器本体である繰出容器1Bに収容可能な棒状化粧体とは、例えば、口紅、リップクリーム、美容スティック、部分用チーク等、棒状に形成された化粧品である。本例では、棒状化粧体が口紅である例を説明する。
図32(b)に示すように、繰出容器1Bでは、把持部19Bの内部に、口紅Lを保持する口紅ホルダーHが設けられ、口紅ホルダーLの外側であって把持部19Bの内側にはスリーブSが設けられている。この繰出容器1Bでは、把持部19B及び口部10Bに対して、スリーブSが相対的に回転することで、口紅LがスリーブSに対して上下移動する。
本構成では、容器本体である繰出容器1Bにおいて、スリーブ部Sの下側に口部10Bが設けられ、口部10Bの外周に突起13a~13dが設けられている。
中蓋2Bは、繰出容器1BのスリーブS及び口部10Bの外側を覆うように被せられる。図32(b)に示すように、中蓋2Bの上端付近が、狭くなってスリーブSに近づく構成になることで、キャップ200Bを被せると密閉構造となる。
なお、気密は必要としない棒状化粧体の繰出容器のキャップを構成する場合は、図31のように、ストレート型の中蓋であってもよい。
また、図32Bに示すように、本例のキャップ200Bでは、中蓋2Bの下端に形成された溝付き波状屈曲縁構造を見えなくするため、中蓋2Bの外側に円筒形の外蓋3Bを設けられている。外側に被せる外蓋3Bは、第3~第5実施形態のように角筒形であってもよく、外蓋を角筒形にする場合は、中蓋4、4γ、4δのいずれかを繰出容器の中蓋として適用させてもよい。
<第6実施形態>
図33A,図33Bは、本発明の第6実施形態に係るキャップ付き容器の説明図であって、図33Aは、第6実施形態に係るキャップ400の断面斜視図あり、図33Bは第6実施形態に係る容器本体の口部の正面斜視図。
本構成では、第5実施形態における溝付き波状屈曲縁(スライド部)と突起との係合構成が、口部とキャップ(中蓋)で逆に設けられている。
図33Aを参照して、キャップ400の周壁410の内周面には、内側に突出する複数の突起413e,413fが設けられている。
なお、図33Aでは、キャップ400に形成される係合に用いられる突起413は円柱形状である例を示しているが、係合に用いられる突起は、外側に突出する形状であって、四角柱や三角柱等の多角柱や、多角柱の多角形の一部が欠いた形状等であってもよい。
上記第1~第5実施形態では、中蓋と外蓋とを二重構造にしてキャップを構成する例を説明したが、図33A,図33Bのように、溝付き波状屈曲縁を有するスロープ片を容器本体の口部730側に形成する場合は、キャップ400の下端は平坦に形成できるため外蓋を設けなくてもよい。
一方、図33Bを参照して、容器本体700の口部730において、周壁710の外周側にスロープ片720が取りつけられている。詳しくは、スロープ片720は、一続きの谷部及び山部から構成される2つ以上の波形状を含み、谷部の谷底VBである下端に溝部が形成された溝付き波状屈曲縁を有している。スロープ片720は、口部730の周壁710の外周面に対して、一定の厚さで外側に膨らんだ厚肉部となっている。
本実施形態において、図33Bに示すように、下方にえぐられた谷部は、第1の傾斜面723と、該第1の傾斜面723と傾斜角度が交差する第2の傾斜面725とで構成されている。溝部724は、谷部の谷底VBで、第1の傾斜面723の下端から連続して延伸している。
第1の傾斜面723は、山頂MPから延伸する緩傾斜面722と、該緩斜面722の下端から連続しており、該緩斜面722よりも勾配が急な急斜面721とを有している。
また、口部730の周壁710の外周側のスロープ片720の上縁の溝付き波状屈曲縁での波形状の下方にえぐられた谷部の下端VB周辺において、溝部724の上縁と、第2の傾斜面725の下端付近の面で挟まれる部分は、突出片726となっている。
また、第2の傾斜面725の円周方向の長さは、溝部724が延伸する円周方向の長さよりも長い。この構成により、第2の傾斜面725の下端付近の面を上縁として、突出片726を設けて溝部724を形成することができるため、製造工程において金型を容易に取り外すことができる。
また、図33Bでは、溝部724の下縁部は、略水平に延伸している例を示しているが、本実施形態においても、図10で示すように、溝部724の下縁部は、急斜面721よりも勾配が緩やかに傾斜していてもよいし、あるいは、溝部724の下縁部は急斜面721と交差するように傾斜していてもよい。
また、図では示していないが、突出片726の下縁(溝部724の上縁)には、溝部724に口部の突起413e,413fを嵌め込んだ際の抜け止め部となる凹凸が設けられていると好適である。
本実施形態では、上記構成により、キャップ400を容器本体700の口部730に載置すると、第1の傾斜面723又は第2の傾斜面725が、キャップ400の突起413e,413fの下部分に接触しながら、キャップ400が斜め下方向にスライド移動した後、溝部424内に突起713e,713fをガイドして嵌めこむことができる。
本実施形態においても、キャップ400を載置すると傾斜面に沿ってキャップ400がスライド移動するため、使用者がキャップ400を閉蓋するために必要な回転角度を、溝部724に相当する分と小さく設定でき、より早く係合させて、使用者の手間を削減することが可能になる。
また、本構成では気密を前提としていないため、キャップ400の取り外しの際は、キャップ400を溝部724に相当する分回転させて、持ち上げることで取り外すことができる。そのため、使用者がキャップ400を閉蓋するために必要な回転角度を小さく設定でき、より早く係合させて、使用者の手間を削減することが可能になる。
なお、口部730のスロープ片720に溝付き波状屈曲縁を形成する場合は、金型は容器本体の他の部位と一緒に形成されるため、金型の数を増加させないように、溝部は2つであると好適である。なお、第2実施形態、第3実施形態のように、突き当たり面を形成する場合であれば、谷部の数は4つ以上であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2018年11月7日に日本国特許庁に出願された特願2018-209359号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018-209359号の全内容を本出願に援用する。