JP7330794B2 - 回転伝達装置 - Google Patents

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Description

この発明は、回転の伝達と遮断の切り換えに用いられる回転伝達装置に関する。
入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断とを行う回転伝達装置として、2方向クラッチを有し、その2方向クラッチの係合および解除を電磁クラッチにより制御するようにしたものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載された回転伝達装置は、2方向クラッチとして、出力軸の軸端部に設けられた外輪と、入力軸の軸端部に設けられ、外輪の径方向内側に配置される内輪と、入力軸に回転自在かつ軸方向移動自在に支持される制御保持器および回転保持器を有し、外輪の内周と内輪の外周との間に、制御保持器の柱部と回転保持器の柱部を周方向で交互に配置し、隣接する柱部どうし間に形成されたポケットに組み込んだ一対のローラ(係合子)を、コイルばね(弾性部材)で互いに離反する方向に付勢して、外輪の内周に形成された円筒面と内輪の外周に形成されたカム面とに係合する位置にスタンバイさせ、内輪が一方向に回転すると、一対のローラの一方が外輪の円筒面と内輪のカム面に係合した状態で内輪の回転を外輪に伝達するものを採用している。
そして、入力軸上に設けた電磁クラッチの電磁コイル(電磁石)に対する通電により、入力軸に固定されたロータと対向する位置で制御保持器に連結されたアーマチュアに磁気吸引力を付与して、アーマチュアおよび制御保持器を軸方向に移動させ、その制御保持器の円板部と回転保持器の円板部の対向面間に設けられたトルクカム(運動変換機構)の作用により、ポケットの周方向幅が小さくなる方向に制御保持器と回転保持器とを相対回転させて、各保持器の柱部で一対のローラを係合解除位置(係合が解除された中立位置)まで移動させ、内輪から外輪への回転伝達を遮断するようにしている。
また、電磁クラッチの電磁コイルに対する通電を解除すると、コイルばねがローラを介して制御保持器および回転保持器の柱部を押圧することにより、制御保持器と回転保持器とがポケットの周方向幅が大きくなる方向に相対回転して、一対のローラが円筒面およびカム面に係合するスタンバイ状態が保持される。
特開2014-25483号公報
ところで、上記のような回転伝達装置は、電磁クラッチの電磁コイルに通電しているときには、2方向クラッチの制御保持器と回転保持器がそれぞれの柱部で各ローラを係合解除位置(外輪との間に隙間が生じる位置)に保持する状態となり、これによって内輪から外輪への回転伝達が遮断されて入力軸が空転するようにしているが、振動等によって外部から瞬間的あるいは動的にラジアル荷重が負荷されると、電磁コイルへの通電中(空転中)でも入力軸の回転が出力軸に伝達されてしまう場合があった。
すなわち、電磁コイルへの通電中にラジアル荷重が負荷されたとき、図10(a)に示すように、そのラジアル荷重Pが小さければ、外輪71の内周の円筒面72と内輪73の外周のカム面74との間の楔形空間に組み込まれた一対のローラ75(片方のみ図示)が、制御保持器および回転保持器の柱部76(片方のみ図示)によってコイルばね77の弾性力に抗して楔形空間の広大側へ押し出され、外輪71と接触しない状態で(係合解除位置で)保持されるので、内輪73および入力軸(図示省略)はスムーズに空転する。しかし、図10(b)に示すように、ラジアル荷重Pが大きくなると、弾性変形の大きくなった外輪71の一部がローラ75に接触して、ローラ75が外輪71との摩擦力(以下、「引き摺り力」と称する。)を受ける状態となり、内輪73および入力軸が引き摺り力の抵抗を受けながら空転するようになる。そして、図10(c)に示すように、ラジアル荷重Pがさらに大きくなって、ローラ75に作用する引き摺り力が、制御保持器および回転保持器がローラ75を係合解除位置に保持する力(以下、「ローラ保持力」と称する。)を上回ると、一対のローラ75のうち、回転方向の後側のローラ75が相対的に楔形空間の狭小側へ移動し、外輪71の円筒面72および内輪73のカム面74と意図せず係合してしまう現象(以下、「ミスロック」と称する。)が発生して、外輪71および出力軸(図示省略)に回転が伝達されるようになる。
そこで、この発明は、2方向クラッチと電磁クラッチを用いて回転の伝達と遮断とを行う回転伝達装置において、空転中のラジアル荷重の負荷による2方向クラッチのミスロックを防止することを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明の発明者らは、前述のような構成の回転伝達装置に対し、その電磁クラッチの電磁コイルに通電して入力軸を空転させた状態でラジアル荷重を変化させ、そのときの出力軸に作用する空転トルク(引き摺り力によるトルク)の挙動を調査する実験を行った。この実験の結果を図11に示す。
図11から、ラジアル荷重がある下限値以下では出力軸に空転トルクは作用せず(図10(a)の状態)、その下限値よりもラジアル荷重が大きくなると、ラジアル荷重の増加に対してほぼ線形に空転トルクも増加していき(図10(b)の状態)、ラジアル荷重がある上限値に達すると、図10(c)の状態となって2方向クラッチのミスロックが生じ、出力軸に回転が伝達されるようになる(出力軸には一定の回転トルクが作用するようになる)ことがわかる。なお、このとき、入力軸に作用するトルクも同時に測定したが、その挙動も図11と同様の傾向を示すことが確認された。
上記の知見から、発明者らは、2方向クラッチのミスロックを防止するには、空転トルクが増加傾向となったときに、電磁クラッチの電磁コイルへの通電量(電流値)を増加させてローラ保持力を大きくすればよいという着想を得るに至った。
すなわち、この発明は、入力軸と、その入力軸と同軸上に配置された出力軸と、前記入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断とを行なう2方向クラッチと、前記入力軸上に設けられて2方向クラッチの係合および解除を制御する電磁クラッチを有し、前記2方向クラッチが、前記出力軸の軸端部に設けられた外輪と、前記入力軸の軸端部に設けられ、前記外輪の径方向内側に配置される内輪と、前記入力軸に回転自在かつ軸方向移動自在に支持される制御保持器および回転保持器を有し、前記外輪の内周と内輪の外周との間に、前記制御保持器および回転保持器のそれぞれに設けられた柱部を周方向に交互に配置し、隣接する柱部どうしの間に形成されたポケットに、一対の係合子と、その一対の係合子を互いに離反する方向に付勢して、前記外輪の内周および内輪の外周に係合する位置にスタンバイさせる弾性部材を組み込んだものであり、前記電磁クラッチが、前記制御保持器に連結されたアーマチュアと、前記入力軸に固定されてアーマチュアと軸方向で対向するロータと、前記ロータに対向配置された電磁石を有し、前記電磁石に対する通電により制御保持器を軸方向に移動させ、その制御保持器の軸方向移動を運動変換機構によって前記ポケットの周方向幅が小さくなる方向の制御保持器と回転保持器の相対回転運動に変換して、前記一対の係合子を係合解除させるものである回転伝達装置において、前記入力軸と出力軸の少なくとも一方にトルク検出手段を設け、前記電磁クラッチの電磁石への通電中に、前記トルク検出手段で検出されるトルクの値の増減に連動して、前記電磁石に対する通電量を増減させる制御を行うことにより、空転中にラジアル荷重が負荷される場合でも、そのラジアル荷重によってローラが受ける引き摺り力を上回るローラ保持力を付与して各ローラを係合解除位置に保持し、2方向クラッチのミスロックを防止できるようにしたものである。
ここで、前記トルク検出手段としては、ねじり検知方式のトルクメータを採用することができる。また、前記トルクメータのねじり検知手段は、ひずみゲージを用いることができる。
この発明の回転伝達装置は、上述したように、電磁クラッチの電磁石に通電して入力軸を空転させているときに、入力軸と出力軸の少なくとも一方に設けたトルク検出手段で検出したトルクの値の増減に連動して、電磁石に対する通電量を増減させるようにしたものであるから、大きなラジアル荷重が負荷される場合でも、それに対応するローラ保持力を付与して2方向クラッチのミスロックを防止することができる。また、ラジアル荷重が小さい場合は電磁石への通電量も少なくなるので、必要以上に電力消費量が増加するおそれもない。
この発明の実施形態の回転伝達装置の正面断面図 図1のII-II線に沿った断面図 図2に対応してローラの係合状態を示す断面図 図1のIV-IV線に沿った断面図 図4のV-V線に沿った断面図 図1のVI-VI線に沿った断面図 (a)は図6のVII-VII線に沿った断面図、(b)は(a)に対応してトルクカムの動作を説明する断面図 (a)、(b)はそれぞれ電磁石への通電中にラジアル荷重が負荷されたときの動作の説明図であり、(a)は制御実施時の模式的断面図、(b)は制御を行わない場合の模式的断面図 実施形態の回転伝達装置の使用状態の概念図 (a)~(c)はそれぞれ2方向クラッチのミスロックの発生メカニズムの説明図 電磁石通電中のラジアル荷重と空転トルクの関係を示すグラフ
以下、図1乃至図9に基づき、この発明の実施形態を説明する。この実施形態の回転伝達装置の基本的な構成は、前述した従来のものと同じである。すなわち、この回転伝達装置は、図1に示すように、入力軸1と、その入力軸1と同軸上に配置された出力軸2と、その両軸1、2の軸端部を覆う円筒状のハウジング3と、そのハウジング3内に組み込まれて入力軸1から出力軸2への回転の伝達と遮断とを行なう2方向クラッチ10およびその2方向クラッチ10の係合、解除を制御する電磁クラッチ50とからなる。
2方向クラッチ10は、図1および図2に示すように、出力軸2の軸端部に設けられた外輪11の内周に円筒面12を形成し、入力軸1の軸端部に設けられた内輪13の外周に複数のカム面14(傾斜面14a、14b)を周方向に等間隔に形成して、各カム面14と円筒面12との間に一対の係合子としてのローラ15と弾性部材としてのコイルばね20を組み込み、そのローラ15を保持器16(制御保持器16Aおよび回転保持器16B)で保持している。そして、その内輪13が一方向に回転すると、一対のローラ15の一方が円筒面12およびカム面14に係合した状態で内輪13の回転を外輪11に伝達し、内輪13の他方向への回転時には、他方のローラ15が円筒面12およびカム面14に係合した状態で内輪13の回転を外輪11に伝達するようにしている。
ここで、外輪11は、出力軸2と一体に形成されており、その一端側(閉塞端側)の内周に設けられた小径の凹部17に、入力軸1の軸端部を回転自在に支持する軸受18が組み込まれている。そして、出力軸2の外輪11と隣接する部位が、軸受4を介してハウジング3の一端に形成された小径の軸受筒5に回転自在に支持されている。また、その軸受筒5の内周には、軸受4よりも軸方向外側で出力軸2とハウジング3との間をシールする密封シール6が圧入されている。
一方、内輪13は入力軸1と一体に形成されている。その内輪13のカム面14は、相反する方向に傾斜する一対の傾斜面14a、14bからなり、各傾斜面14a、14bと外輪11の円筒面12との間に周方向の一側または他側で狭小となる楔形空間が形成されている。また、内輪13の一対の傾斜面14a、14bの間には内輪13の接線方向に向く平坦なばね支持面19が設けられ、そのばね支持面19によってコイルばね20が支持されている。
コイルばね20は、一対のローラ15の間に配置されて、各ローラ15を互いに離反する方向に付勢している。これにより、各ローラ15は、円筒面12およびカム面14に係合するスタンバイ位置(図3に示す位置)に配置され、そのスタンバイ位置と円筒面12およびカム面14との係合が解除される係合解除位置(図2に示す位置)との間で周方向に移動可能とされている。そして、入力軸1に固定されたばねホルダ45の外周側に形成されたばね保持片47によって、外周側への移動が規制された状態で一対のローラ15の間に保持されている(図4、図5参照)。
保持器16は制御保持器16Aと回転保持器16Bとからなる。そのうちの制御保持器16Aは、環状の円板部21の片面にカム面14と同数の柱部22を周方向に等間隔に設けて、隣接する柱部22どうしの間に円弧状の長孔23を形成し(図6参照)、外周には柱部22と反対向きに筒部24を設けた構成とされている。一方、回転保持器16Bは、環状の円板部25の片面にカム面14と同数の柱部26を周方向に等間隔に設けた構成とされている。
制御保持器16Aと回転保持器16Bは、制御保持器16Aの長孔23内に回転保持器16Bの柱部26が挿入されて、それぞれの柱部22、26が周方向に交互に並ぶ組み合わせとされている。そして、その組み合わせ状態でそれぞれの柱部22、26の先端部が外輪11と内輪13との間に配置され、それぞれの円板部21、25が入力軸1の外周に嵌合された支持リング28と外輪11との間に位置する組込みとされている。
上記のような各保持器16A、16Bの組込みによって、図2に示すように、制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26との間に、内輪13のカム面14と径方向で対向するポケット27が形成され、各ポケット27に一対のローラ15およびコイルばね20が組み込まれている。
また、各保持器16A、16Bの円板部21、25は入力軸1の外周に形成されたスライド案内面29に沿ってスライド(軸方向移動)自在に支持されており、回転保持器16Bの円板部25と入力軸1に嵌合された前記支持リング28との間にはスラスト軸受30が組み込まれている。スラスト軸受30は、回転保持器16Bが電磁クラッチ50側に移動するのを防止する状態で、その回転保持器16Bを回転自在に支持している。
そして、制御保持器16Aの円板部21と回転保持器16Bの円板部25との間には、制御保持器16Aの軸方向の移動を、その制御保持器16Aと回転保持器16Bの相対的な回転運動に変換する運動変換機構としてのトルクカム40が設けられている。
トルクカム40は、図6および図7(a)、(b)に示すように、制御保持器16Aの円板部21と回転保持器16Bの円板部25の互いの対向面に、周方向の中央部で深く両端に至るに従って次第に浅くなる対向一対のカム溝41、42を設け、その対向一対のカム溝41、42の間にボール43を組み込んだ構成としている。カム溝41、42は、ここでは略V字状の溝を示したが、円弧状の溝であってもよい。
そして、図7(b)に示す状態から、制御保持器16Aの円板部21が回転保持器16Bの円板部25に接近する方向に制御保持器16Aが軸方向移動した際に、図7(a)に示すように、ボール43がカム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット27の周方向幅を小さくする方向に相対回転するようになっている。
ここで、図4および図5に示すように、入力軸1には、内輪13の他端側に形成されたホルダ嵌合面44に、前記ばねホルダ45が相対回転不能かつ軸方向移動不能に嵌合されており、そのばねホルダ45の外周に、制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26との間に配置される回り止め片46が複数形成されている。その複数の回り止め片46は、制御保持器16Aと回転保持器16Bとがポケット27の周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、各保持器16A、16Bの柱部22、26を両側縁で受け止めて相対回転量を規制し、一対のローラ15を中立位置に保持するようになっている。このため、コイルばね20は必要以上に収縮することはなく、伸長と収縮が繰り返し行われても疲労によって破損するようなことはない。
一方、電磁クラッチ50は、図1に示すように、制御保持器16Aの筒部24の端面に軸方向で対向するアーマチュア51と、そのアーマチュア51と軸方向で対向するロータ52と、そのロータ52に軸方向で対向する電磁石53とを有している。
アーマチュア51は、支持リング28の外周円筒面54に回転自在かつスライド自在に嵌合されており、その外周部の片面に設けられた連結筒55の内周に制御保持器16Aの筒部24が圧入されて、制御保持器16Aと連結一体化されている。これにより、アーマチュア51は、支持リング28の外周円筒面54と入力軸1の外周のスライド案内面29の軸方向の2箇所でスライド自在の支持とされている。ここで、支持リング28は、入力軸1のスライド案内面29の軸方向他側に形成された段部によって軸方向に位置決めされている。
ロータ52は、入力軸1の外周に嵌合され、支持リング28との間に組み込まれたシム56によって軸方向に位置決めされ、かつ、入力軸1に対して回り止めされている。
電磁石53は、電磁コイル53aと、電磁コイル53aを支持するヨーク53bとからなる。そのヨーク53bは、ハウジング3の他端側(開口側)の内周に嵌合されて、止め輪7によって抜止めされており、軸受57を介して入力軸1と相対的に回転自在とされている。なお、この電磁石53の組込みにより、ハウジング3の開口が閉塞され、ハウジング3内へ異物が侵入しないようになっている。
そして、この回転伝達装置では、入力軸1および出力軸2にトルク検出手段としてのトルクメータ(図示省略)が設けられており、そのトルクメータを用いて後述する制御を実施する点が従来のものと異なっている。なお、トルクメータは、ひずみゲージを用いたねじり検知方式のものであり、この回転伝達装置を車両用操舵装置(ステアリングシステム)に使用する場合には、その車両用操舵装置に従来組み込まれているものを流用することができる。
この回転伝達装置は上記の構成であり、電磁クラッチ50の電磁コイル53aに対する通電を遮断しているときは、図3に示したように、2方向クラッチ10のローラ15は外輪11の円筒面12および内輪13のカム面14に係合する状態にある。このため、入力軸1が一方向に回転すると、その回転は内輪13から一対のローラ15の一方を介して外輪11に伝達され、出力軸2が入力軸1と同方向に回転する。また、入力軸1が逆方向に回転すると、その回転は内輪13から他方のローラ15を介して外輪11および出力軸2に伝達される。
一方、2方向クラッチ10の係合状態で電磁クラッチ50の電磁コイル53aに通電すると、アーマチュア51に吸引力が作用し、アーマチュア51が軸方向に移動してロータ52に吸着される。このとき、アーマチュア51と制御保持器16Aとは連結筒55と筒部24の嵌合によって連結一体化されているため、アーマチュア51の軸方向移動に伴って、制御保持器16Aは、その円板部21が回転保持器16Bの円板部25に接近する方向に移動する。
上記の制御保持器16Aと回転保持器16Bの軸方向相対移動により、トルクカム40のボール43がカム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し(図7(b)の状態から図7(a)の状態となり)、制御保持器16Aと回転保持器16Bはポケット27の周方向幅が小さくなる方向に相対回転する。この制御保持器16Aと回転保持器16Bの相対回転により、2方向クラッチ10のローラ15は制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26で押されて互いに接近する方向に移動する。
これにより、図2に示したように、ローラ15が円筒面12およびカム面14に対して係合解除する中立位置に変位し、2方向クラッチ10が係合解除状態とされる。
そして、2方向クラッチ10の係合解除状態において、入力軸1を一方向に回転させると、ばねホルダ45に形成された回り止め片46が制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26の一方を押圧するため、入力軸1とともに制御保持器16Aおよび回転保持器16Bが回転する。
このとき、ラジアル荷重が負荷されていなければ、2方向クラッチ10の各ローラ15は保持器16(制御保持器16Aと回転保持器16B)のローラ保持力によって係合解除位置に保持されているため、入力軸1および内輪13の回転は外輪11および出力軸2に伝達されず入力軸1が空転するが、外部からラジアル荷重が負荷されると、入力軸1の回転が出力軸2に伝達されてしまう場合がある。
すなわち、大きなラジアル荷重が負荷されて、ローラ15に作用する引き摺り力が保持器16のローラ保持力を上回ると、図8(b)に示すように、制御保持器16Aがアーマチュア51と一体にロータ52および回転保持器16Bから離れる方向に移動しながら、回転保持器16Bに対してポケット27が広がる方向に相対回転することにより、回転方向の後側のローラ15が相対的に楔形空間の狭小側へ移動してミスロックが発生する。
そこで、この実施形態では、電磁クラッチ50の電磁コイル53aに通電して入力軸1を空転させているときに、入力軸1および出力軸2に設けたトルクメータで検出したトルクの値の増減に連動して、電磁コイル53aに対する通電量を増減させる制御を行うようにしている。
この制御によれば、電磁コイル53aへの通電中に入力軸1および出力軸2のトルクが増加傾向になったときに電磁コイル53aへの通電量を増加させるので、図8(a)に示すように、ラジアル荷重の負荷によって生じる引き摺り力が大きくなっても、アーマチュア51に対する吸引力を大きくして、引き摺り力を上回るローラ保持力を保持器16に付与することにより、制御保持器16Aと回転保持器16Bとの相対移動を阻止して各ローラ15を係合解除位置に保持し、2方向クラッチ10のミスロックを防止することができる。
また、上記の状態から入力軸1および出力軸2のトルクが減少傾向になったときは、引き摺り力が小さくなっていると考えられるので、それに合わせて電磁コイル53aへの通電量を減少させることにより、引き摺り力を上回るローラ保持力を付与しながら電力消費量を抑えることができる。
ここで、電磁コイル53aへの通電量の変化のさせ方は、トルクメータのトルクの値に応じて徐々に増減させるようにしてもよいし、段階的に変化させる(例えば、トルク値が低いときの通常モードとトルク値が高いときの強保持モードの2段階で切り換える)ようにしてもよい。
そして、この制御により入力軸1が空転している状態において、電磁コイル53aに対する通電を解除すると、アーマチュア51は吸着が解除されて回転自在となり、制御保持器16Aと回転保持器16Bがコイルばね20の押圧によってポケット27の周方向幅が大きくなる方向に相対回転して、各ローラ15が円筒面12およびカム面14に係合するスタンバイ状態(図3の状態)に戻り、一方のローラ15を介して入力軸1の回転が出力軸2に伝達されるようになる。そして、この状態で入力軸1を一旦停止させてその回転方向を切り換えると、他方のローラ15を介して入力軸1の回転が出力軸2に伝達される。
この回転伝達装置は、上述したように、入力軸1を空転させているときに大きなラジアル荷重が負荷されても2方向クラッチ10がミスロックを生じることがないので、ラジアル荷重に強く、動的な信頼性の高いものとなっている。また、ラジアル荷重が小さい場合は電磁コイル53aへの通電量も少なくなるので、必要以上に電力消費量が増加するおそれもない。
図9は上述した回転伝達装置の使用状態を概念的に示すものである。すなわち、この使用状態では、駆動モータに連結した入力軸に入力側トルクメータを設け、駆動対象物に連結した出力軸に出力側トルクメータを設けて、入力側トルクメータで検出した入力軸のトルクと出力側トルクメータで検出した出力軸のトルクに基づいて、電磁クラッチ制御装置が回転伝達装置本体に内蔵された電磁クラッチへの通電量を制御するようになっている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、実施形態では入力軸と出力軸の両方に制御用のトルク検出手段としてのトルクメータを設けたが、トルク検出手段は、トルクメータに限らず、入力軸と出力軸の少なくとも一方に設けられていればよい。
1 入力軸
2 出力軸
3 ハウジング
10 2方向クラッチ
11 外輪
12 円筒面
13 内輪
14 カム面
15 ローラ(係合子)
16A 制御保持器
16B 回転保持器
20 コイルばね(弾性部材)
22 柱部(制御保持器側)
26 柱部(回転保持器側)
27 ポケット
40 トルクカム(運動変換機構)
50 電磁クラッチ
51 アーマチュア
52 ロータ
53 電磁石

Claims (3)

  1. 入力軸と、その入力軸と同軸上に配置された出力軸と、前記入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断とを行なう2方向クラッチと、前記入力軸上に設けられて2方向クラッチの係合および解除を制御する電磁クラッチを有し、
    前記2方向クラッチが、前記出力軸の軸端部に設けられた外輪と、前記入力軸の軸端部に設けられ、前記外輪の径方向内側に配置される内輪と、前記入力軸に回転自在かつ軸方向移動自在に支持される制御保持器および回転保持器を有し、前記外輪の内周と内輪の外周との間に、前記制御保持器および回転保持器のそれぞれに設けられた柱部を周方向に交互に配置し、隣接する柱部どうしの間に形成されたポケットに、一対の係合子と、その一対の係合子を互いに離反する方向に付勢して、前記外輪の内周および内輪の外周に係合する位置にスタンバイさせる弾性部材を組み込んだものであり、
    前記電磁クラッチが、前記制御保持器に連結されたアーマチュアと、前記入力軸に固定されてアーマチュアと軸方向で対向するロータと、前記ロータに対向配置された電磁石を有し、前記電磁石に対する通電により制御保持器を軸方向に移動させ、その制御保持器の軸方向移動を運動変換機構によって前記ポケットの周方向幅が小さくなる方向の制御保持器と回転保持器の相対回転運動に変換して、前記一対の係合子を係合解除させるものである回転伝達装置において、
    前記入力軸と出力軸の少なくとも一方にトルク検出手段を設け、
    前記入力軸と出力軸の両方にトルク検出手段を設けた場合は、前記電磁クラッチの電磁石への通電中に、前記入力軸のトルク検出手段と前記出力軸のトルク検出手段の両方で検出されるトルクの値が増加すると、前記電磁石に対する通電量も増加させる一方、トルクの値が減少すると、前記通電量も減少させる制御を行い、
    前記入力軸と出力軸のいずれか一方にトルク検出手段を設けた場合は、前記電磁クラッチの電磁石への通電中に、前記入力軸と出力軸の一方に設けたトルク検出手段で検出されるトルクの値が増加すると、前記電磁石に対する通電量も増加させる一方、トルクの値が減少すると、前記通電量も減少させる制御を行うことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記トルク検出手段がねじり検知方式のトルクメータであることを特徴とする請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記トルクメータのねじり検知手段がひずみゲージであることを特徴とする請求項2に記載の回転伝達装置。
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