JP7330609B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的の一つは、ライン圧の変動を抑制できる自動変速機の油圧制御装置を提供することにある。
図1は、実施形態1の車両の概略構成図である。
車両は、動力源としてエンジン1を備え、エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、自動変速機としての無段変速機(以下、単に「変速機4」という。)、第2ギヤ列5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には、駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
図2は、実施形態1のコントローラ25で実行されるモータ目標回転数算出処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、ライン圧センサ29からライン圧(アシストポンプ吐出油路35の油圧)を読み込む。
ステップS2では、温度センサ30から作動油の油温を読み込む。
ステップS3では、変速機4の目標変速速度を読み込む。
ステップS4では、ライン圧等から目標変速速度を達成するための作動油の必要流量を算出する。
ステップS5では、変速機入力回転数センサ27から変速機4の入力回転数を読み込む。
ステップS6では、変速機4の入力回転数からメインポンプ9の吐出量を算出する。
ステップS8では、目標吐出量を達成するためのモータ目標回転数を算出する。
ステップS9では、モータ目標回転数の下限を制限するための規制回転数を設定する。規制回転数は、アシストポンプ11の吐出圧(アシストポンプ吐出圧)における脈動の振幅下限がライン圧を超えるような電動モータ12の回転数(≒アシストポンプの回転数)とする。つまり、規制回転数は、ライン圧が高いほど、より高い値に設定される。また、規制回転数は、作動油の油温が高いほど、より高い値に設定する。
ステップS10では、モータ目標回転数が規制回転数よりも低いかを判定する。YESの場合はステップS11へ進み、NOの場合はリターンへ移行する。
ステップS11では、モータ目標回転数を規制回転数とし、リターンへ移行する。
自動変速機の油圧制御装置において、ベルト式無段変速機の目標変速速度を実現する作動油の必要流量に対し、エンジンにより駆動されるメインポンプの吐出量が不足する場合、電動モータにより駆動されるアシストポンプを並列運転して流量不足を補う技術が知られている。アシストポンプ吐出油路には、逆止弁が設けられており、アシストポンプ吐出圧がライン圧を超えると、逆止弁が開弁し、アシストポンプが吐出した作動油はライン圧吐出液路へ供給される。従来設けられていたフローコントロールバルブを廃止し、メインポンプを小型化することにより、メインポンプの駆動トルクを低減できる。
(1) エンジン1により駆動され、変速機4の作動油を吐出するメインポンプ9と、電動モータ12により駆動され、変速機4の作動油を吐出するアシストポンプ11と、アシストポンプ吐出油路35上に設けられ、作動油の逆流を防止するチェック弁36と、メインポンプ9およびアシストポンプ11を並列運転する際、アシストポンプ11を規制回転数以上の回転数で駆動するコントローラ25と、を備える。
よって、アシストポンプ11の脈動に伴うチェック弁36の開閉頻度を低減できるため、ライン圧の変動を抑制できる。
よって、油温にかかわらず、アシストポンプ11の脈動によるチェック弁36の開閉頻度を低減できると共に、アシストポンプ回転数の制限に伴う消費電力および燃費への影響を抑えられる。
よって、ライン圧にかかわらず、アシストポンプ11の脈動によるチェック弁36の開閉頻度を低減できると共に、アシストポンプ回転数の制限に伴う消費電力および燃費への影響を抑えられる。
よって、アシストポンプ11の脈動によりチェック弁36が開閉する領域を短時間で通過できるため、脈動の影響を最小限に抑えられる。
実施形態2の基本的な構成は実施形態1と同じであるため、実施形態1と相違する部分のみ説明する。
図7は、実施形態2のコントローラ25で実行されるモータ目標回転数補正処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、図2に示したモータ目標回転数算出処理と並列し、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS21では、電動モータ12に設けられたレゾルバ(不図示)からモータ回転数、すなわちアシストポンプ回転数を読み込む。
ステップS22では、アシストポンプ回転数からアシストポンプ11の脈動周波数を算出する。脈動周波数は、(回転数)×(回転当たりの吐出ポートが開く回数)から求められる。
ステップS24では、アシストポンプ11の脈動周波数をカットオフ周波数とするバンドパスフィルタを用いて、ライン圧をバンドパスフィルタ演算し、ライン圧からアシストポンプ11の脈動周波数と同一の周波数成分を抽出する。
ステップS25では、抽出したライン圧の脈動周波数の振幅を算出する。
ステップS26では、振幅が所定値以上であるかを判定する。YESの場合はステップS27へ進み、NOの場合はリターンへ移行する。所定値は、チェック弁36が開閉状態であると判断できるライン圧の変動の振幅の最小値とする。
ステップS27では、アシストポンプ回転数を所定回転数だけ高めるアシストポンプ回転上昇指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS28では、規制回転数を現在のモータ回転数に更新する。更新した規制回転数は、次回のモータ目標回転数算出処理から用いられる。
(5) コントローラ25は、メインポンプ9から吐出される作動油の油圧にアシストポンプ11の脈動周波数と同一周波数の変動が発生した場合には、アシストポンプ回転数を上昇させる。
よって、経時劣化やオイル交換等によって作動油の特性が変化した場合であっても、ライン圧の変動を抑制できると共に、モータ目標回転数の制限に伴う消費電力および燃費への影響を抑えられる。
よって、経時劣化やオイル交換等によって作動油の特性が変化した場合であっても、適正な規制回転数を設定でき、過大または過少なアシストポンプ回転数が設定されるのを抑制できる。
実施形態3の基本的な構成は実施形態2と同じであるため、実施形態2と相違する部分のみ説明する。
実施形態3では、ライン圧センサ29を廃止した点、図2に示したモータ目標回転数算出処理におけるステップS1の処理、および図7に示したモータ目標回転数補正処理におけるステップS23の処理が実施形態2と相違する。
ステップS1およびステップS23では、電動モータ12の電流値からライン圧を推定する。電動モータ12はライン圧から反作用を受けるため、電動モータ12の電流値からライン圧を推定可能である。
(7) コントローラ25は、電動モータ12の電流にアシストポンプ11の脈動周波数と同一周波数の変動が発生した場合には、アシストポンプ回転数を上昇させる。
よって、経時劣化やオイル交換等によって作動油の特性が変化した場合であっても、ライン圧の変動を抑制できると共に、モータ目標回転数の制限に伴う消費電力および燃費への影響を抑えられる。また、ライン圧センサが不要であるため、コスト低減を図れる。
よって、経時劣化やオイル交換等によって作動油の特性が変化した場合であっても、適正な規制回転数を設定でき、過大または過少なアシストポンプ回転数が設定されるのを抑制できる。
実施形態4の基本的な構成は実施形態2と同じであるため、実施形態2と相違する部分のみ説明する。
実施形態4では、図2に示したモータ目標回転数算出処理におけるステップS1の処理、および図7に示したモータ目標回転数補正処理におけるステップS23の処理が実施形態2と相違する。
ステップS1およびステップS23では、アシストポンプ回転数からライン圧を推定する。電動モータ12はライン圧から反作用を受けるため、アシストポンプ回転数からライン圧を推定可能である。
(9) コントローラ25は、アシストポンプ回転数にアシストポンプ11の脈動周波数と同一周波数の変動が発生した場合には、アシストポンプ回転数を上昇させる。
よって、経時劣化やオイル交換等によって作動油の特性が変化した場合であっても、ライン圧の変動を抑制できると共に、モータ目標回転数の制限に伴う消費電力および燃費への影響を抑えられる。また、ライン圧センサが不要であるため、コスト低減を図れる。
よって、経時劣化やオイル交換等によって作動油の特性が変化した場合であっても、適正な規制回転数を設定でき、過大または過少なアシストポンプ回転数が設定されるのを抑制できる。
以上、本発明を実施するための形態を実施形態に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、自動変速機は有段変速機でもよい。
ライン圧の変動の振幅が収束している状態からアシストポンプ回転数を徐々に低下させて行き、ライン圧の変動の振幅が発生したときアシストポンプ回転数よりも僅かに高いアシストポンプ回転数を記憶し、記憶したアシストポンプ回転数で規制回転数を再設定してもよい。
4 無段変速機(自動変速機)
9 メインポンプ
11 アシストポンプ
12 電動モータ
25 コントローラ
34 ライン圧吐出油路
35 アシストポンプ吐出油路
36 チェック弁(逆止弁)
Claims (10)
- 車両の動力源により駆動され、自動変速機の作動油を吐出するメインポンプと、
電動モータにより駆動され、前記自動変速機の作動油を吐出するアシストポンプと、
前記アシストポンプの吐出油路上に設けられ、作動油の逆流を防止する逆止弁と、
前記メインポンプおよび前記アシストポンプを並列運転する際、前記自動変速機の目標変速速度に応じた前記アシストポンプの目標回転数を算出すると共に、前記アシストポンプの吐出圧における脈動の振幅下限が前記メインポンプの吐出圧であるライン圧を超えるような前記アシストポンプの回転数である規制回転数を算出し、前記目標回転数が前記規制回転数よりも小さい場合、前記規制回転数に前記目標回転数を置き換えることにより、前記アシストポンプを前記規制回転数以上の回転数で駆動するコントローラと、
を備える自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、作動油の油温が高いほど、前記規制回転数を高い値に設定する自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項1または2に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記メインポンプから吐出される作動油の油圧が高いほど、前記規制回転数を高い値に設定する自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記メインポンプから吐出される作動油の油圧に前記アシストポンプの脈動周波数と同一周波数の変動が発生した場合には、前記アシストポンプの回転数を上昇させる自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項4に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記アシストポンプの回転数上昇によって前記ライン圧の変動が許容範囲に収束したときの前記アシストポンプの回転数を記憶し、この記憶した回転数を新たな規制回転数として再設定する自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記電動モータの電流に前記アシストポンプの脈動周波数と同一周波数の変動が発生した場合には、前記アシストポンプの回転数を上昇させる自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項6に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記アシストポンプの回転数上昇によって前記電動モータの電流の変動が許容範囲に収束したときの前記アシストポンプの回転数を記憶し、この記憶した回転数を新たな規制回転数として再設定する自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記アシストポンプの回転数に前記アシストポンプの脈動周波数と同一周波数の変動が発生した場合には、前記アシストポンプの回転数を上昇させる自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項8に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記アシストポンプの回転数上昇によって前記アシストポンプの回転数の変動が許容範囲に収束したときの前記アシストポンプの回転数を記憶し、この記憶した回転数を新たな規制回転数として再設定する自動変速機の油圧制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置であって、
前記コントローラは、前記アシストポンプの起動時、前記アシストポンプの回転数が前記規制回転数に到達するまでの回転数上昇率を、前記アシストポンプの回転数が前記規制回転数に到達した後の回転数上昇率よりも高くする自動変速機の油圧制御装置。
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