以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る水素供給システムに用いられる水素供給ユニット10を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、水素供給ユニット10は、水素が充填される燃料充填容器11と、複数の燃料充填容器11が積まれるカートリッジ12とを備えている。
カートリッジ12は、内部に複数の段が縦方向に形成された直方体形状を有しており、各段に複数の燃料充填容器11が横向きで積載されるのである。カートリッジ12には、例えば最大で32本の燃料充填容器11が積載されるが、それに限定されない。また、カートリッジ12は、強度を持たせるため金属製である。なお、カートリッジ12の形状は直方体形状に限定されず、複数の燃料充填容器11を積載できる構造であれば他の形状でもよい。また、カートリッジ12は、各段に複数の燃料充填容器11が横向きで積載される構造に限定されず、内部に複数の段が横方向に形成され、各段に複数の燃料充填容器11が縦向きで積載される構造でもよい。
カートリッジ12の左右側部の下部には、カートリッジ12を移動させる例えば鋼製の車輪13がそれぞれ設けられている。また、カートリッジ12の左右側部の下部には、例えば金属製の側板16がそれぞれ設けられている。車輪13は、カートリッジ12の左右側部の下部それぞれに、前後方向に複数設けられ、側板16は、カートリッジ12の左右側部の下部それぞれに、車輪13間の隙間を埋めるように配置されている。この側板16は、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されるのを防止する。また、カートリッジ12の前部の低い位置および後部の低い位置のそれぞれには、フック14が設けられている。このフック14は、ロープ(図示せず)などが通せるようになっている。なお、実施の形態では、側板16がカートリッジ12の左右側部の下部にそれぞれ設けられている構成としたが、側板16がさらにカートリッジ12の前部および後部の下部にそれぞれ設けられていてもよい。
燃料充填容器11は、燃料ガスを充填するものであり、燃料ガスには水素ガスが用いられている。水素ガスは、燃料充填容器11内で圧縮されて貯蔵される。燃料充填容器11のライナーは、円筒形状の円筒部11aとドーム形状のドーム部11bとを有し、たとえば、アルミニウム合金またはプラスチックなどで構成されている。また、燃料充填容器11のドーム部11bには、燃料ガスを供給または充填するための配管が接続される燃料ガス供給バルブ11cが設けられている。燃料充填容器21には、例えば満タンで約5kgの水素ガスが充填されるが、それに限定されない。
また、燃料充填容器11は、少なくとも円筒部11aの外周にCFRP(炭素繊維強化樹脂)が巻き付けられている。CFRP(炭素繊維強化樹脂)は、燃料充填容器11の所要の耐圧性である機械的強度を向上させるために設けられている。燃料充填容器11を上記の構成とすることで、所要の強度を確保しつつ、従来の燃料ガスを充填する鋼製容器などよりも軽量化することができる。また、燃料充填容器11は、カートリッジ12に例えばベルト(図示せず)でしっかりと固定されている。
図2は、実施の形態1に係る水素供給システムに用いられる陸上搬送手段20を模式的に示す側面図である。図3は、実施の形態1に係る水素供給システムに用いられる搬送台車30を模式的に示す側面図である。図4は、実施の形態1に係る水素供給システムに用いられるリフトトラック40を模式的に示す斜視図である。図5は、実施の形態1に係る水素供給システムに用いられる対象物50を模式的に示す正面図である。図6は、図5とは別の対象物50を模式的に示す正面図である。実施の形態1に係る水素供給システムは、図1~図5に示す、水素供給ユニット10と、荷台20aを有する陸上搬送手段20と、陸上搬送手段20の荷台20aの高さと同じ高さの荷台30aを有する搬送台車30と、昇降可能な昇降手段である荷台40aを有するリフトトラック40と、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物50と、を備え、後述する第一工程~第九工程を順番に繰り返す。
なお、実施の形態1に係る水素供給システムでは、図2に示すように水素供給ユニット10を搬送する陸上搬送手段20としてトラックを用いるが、それに限定されず、トレーラーなどでもよい。また、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物50としては、産業用燃料電池車両などの移動体、あるいは定置式燃料電池である。移動体としては、トラクター、コンバイン、および港湾施設におけるガントリークレーンなどである。実施の形態1に係る水素供給システムでは、図5に示すように対象物50として水素供給位置である水素供給ユニット搭載位置50aが設置面よりも上方に位置するガントリークレーンを用いるが、それに限定されず、図6に示すように対象物50はトラクターなどでもよい。
図7は、実施の形態1に係る水素供給システムの第一工程を示す図である。図8は、実施の形態1に係る水素供給システムの第二工程を示す図である。図9は、実施の形態1に係る水素供給システムの第二工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図10は、実施の形態1に係る水素供給システムの第三工程を示す図である。図11は、実施の形態1に係る水素供給システムの第四工程を示す図である。図12は、実施の形態1に係る水素供給システムの第四工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図13は、実施の形態1に係る水素供給システムの第五工程を示す図である。図14は、実施の形態1に係る水素供給システムの第五工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図15は、実施の形態1に係る水素供給システムの第六工程を示す図である。図16は、実施の形態1に係る水素供給システムの第六工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図17は、実施の形態1に係る水素供給システムの第七工程を示す図である。図18は、実施の形態1に係る水素供給システムの第七工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図19は、実施の形態1に係る水素供給システムの第八工程を示す図である。図20は、実施の形態1に係る水素供給システムの第九工程を示す図である。図21は、実施の形態1に係る水素供給システムの第九工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。
次に、実施の形態1に係る水素供給システムにおいて行われる第一工程~第九工程について、図7~図21を用いて説明する。
図7に示すように、第一工程は、最初に、または後述する第九工程の後、例えば緊締装置を用いて搬送台車30の荷台30aに固定して積まれた充填前(つまり、各燃料充填容器11内が空状態)の水素供給ユニット10bを、水素ステーションなどの水素供給設備200の水素供給が可能な位置まで運び(図7の破線矢印参照)、そこで水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う工程である。なお、水素供給ユニット10bは搬送台車30の荷台30aに固定されているため、第一工程において、水素供給ユニット10bが搬送台車30の荷台30aから落下する恐れがない。
図8および図9に示すように、第二工程は、第一工程の後、充填後(つまり、各燃料充填容器11内が水素ガスで満たされた状態)の水素供給ユニット10aが積まれた搬送台車30を陸上搬送手段20の荷台20aの隣まで移動させ(図8の破線矢印参照)、搬送台車30の荷台30aに積まれている水素供給ユニット10aの固定を解除して陸上搬送手段20の荷台20aに積み(図9の破線矢印参照)、水素供給ユニット10aを陸上搬送手段20の荷台20aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、搬送台車30の荷台30aの高さと陸上搬送手段20の荷台20aの高さとが同じになっており、図9の破線矢印のように水素供給ユニット10aを搬送台車30の荷台30aから陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、陸上搬送手段20の荷台20aに積むことができる。さらに、カートリッジ12の下部には鋼製の車輪13が設けられているため(図1参照)、陸上搬送手段20の荷台20aに積んだ後も、水素供給ユニット10aを前後に移動させることができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10aを搬送台車30の荷台30aから陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、陸上搬送手段20の荷台20aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第二工程において、水素供給ユニット10aに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10aには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10aを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10aが破損する恐れもない。なお、搬送台車30の荷台30aの高さと陸上搬送手段20の荷台20aの高さとは、厳密に同じでなくてもよく、水素供給ユニット10aを搬送台車30から陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
なお、陸上搬送手段20の荷台20aに複数の水素供給ユニット10を積むことが可能な場合、水素供給ユニット10を積むことが可能な数だけ第二工程を繰り返し、陸上搬送手段20の荷台20aに充填後の水素供給ユニット10aを積めるだけ積む。そうすることで、水素供給設備200と対象物50との往復回数を減らすことができ、陸上搬送手段20の移動距離を短縮することができる。
図10に示すように、第三工程は、第二工程の後、陸上搬送手段20で水素供給ユニット10aを、水素供給を受ける対象物50の近く(例えば数メートル内)まで運ぶ工程(図10の破線矢印参照)である。なお、水素供給ユニット10aは陸上搬送手段20の荷台20aに固定されているため、第三工程において、水素供給ユニット10aが陸上搬送手段20の荷台20aから落下する恐れがない。
図11および図12に示すように、第四工程は、第三工程の後、リフトトラック40を対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aの隣まで移動させ(図11の破線矢印参照)、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積み(図12の破線矢印参照)、水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、リフトトラック40の荷台40aの高さが対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さになるように調節されているため、図12の破線矢印のように水素供給ユニット10bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aからリフトトラック40の荷台40aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、リフトトラック40の荷台40aに積むことができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aからリフトトラック40の荷台40aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、リフトトラック40の荷台40aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第四工程において、水素供給ユニット10bに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10bには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10bを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10bが破損する恐れもない。なお、リフトトラック40の荷台40aの高さは、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと厳密に同じ高さでなくてもよく、水素供給ユニット10bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aからリフトトラック40の荷台40aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
図13および図14に示すように、第五工程は、第四工程の後、リフトトラック40を陸上搬送手段20の荷台20aの隣まで移動させ(図13の破線矢印参照)、陸上搬送手段20の荷台20aの高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積まれていた水素供給ユニット10bの固定を解除して陸上搬送手段20の荷台20aに積み(図14の破線矢印参照)、水素供給ユニット10bを陸上搬送手段20の荷台20aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、リフトトラック40の荷台40aの高さが陸上搬送手段20の荷台20aの高さと同じになるように調節されているため、図14の破線矢印のように水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aから陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、陸上搬送手段20の荷台20aに積むことができる。さらに、カートリッジ12の下部には鋼製の車輪13が設けられているため(図1参照)、陸上搬送手段20の荷台20aに積んだ後も、水素供給ユニット10bを前後に移動させることができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aから陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、陸上搬送手段20の荷台20aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第五工程において、水素供給ユニット10bに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10bには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10bを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10bが破損する恐れもない。なお、リフトトラック40の荷台40aの高さは、陸上搬送手段20の荷台20aと厳密に同じ高さでなくてもよく、水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aから陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
図15および図16に示すように、第六工程は、第五工程の後、リフトトラック40を陸上搬送手段20の荷台20aの隣の充填後の水素供給ユニット10aが積まれている位置まで移動させ(図15の破線矢印参照)、陸上搬送手段20の荷台20aに積まれている充填後の水素供給ユニット10aの固定を解除して陸上搬送手段20の荷台20aの高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積み(図16の破線矢印参照)、水素供給ユニット10aをリフトトラック40の荷台40aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、リフトトラック40の荷台40aの高さが陸上搬送手段20の荷台20aと同じ高さになるように調節されているため、図16の破線矢印のように水素供給ユニット10aを陸上搬送手段20の荷台20aからリフトトラック40の荷台40aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、リフトトラック40の荷台40aに積むことができる。また、図16の破線矢印のように荷台20aの中央にある水素供給ユニット10bを水素供給ユニット10aがあった荷台20aの前方に移動させてもよい。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10aを陸上搬送手段20の荷台20aからリフトトラック40の荷台40aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、リフトトラック40の荷台40aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第六工程において、水素供給ユニット10aに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10aには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10aを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10aが破損する恐れもない。なお、リフトトラック40の荷台40aの高さは、陸上搬送手段20の荷台20aと厳密に同じ高さでなくてもよく、水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aから陸上搬送手段20の荷台20aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
図17および図18に示すように、第七工程は、第六工程の後、リフトトラック40を対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aの隣まで移動させ(図17の破線矢印参照)、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積まれている水素供給ユニット10aの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積み(図18の破線矢印参照)、水素供給ユニット10aを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。充填後の水素供給ユニット10aを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに固定することで、対象物50に水素を供給することができる。ここで、リフトトラック40の荷台40aの高さが対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さになるように調節されているため、図18の破線矢印のように水素供給ユニット10aをリフトトラック40の荷台40aから対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積むことができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10aをリフトトラック40の荷台40aから対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第七工程において、水素供給ユニット10aに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10aには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10aを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10aが破損する恐れもない。なお、リフトトラック40の荷台40aの高さは、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと厳密に同じ高さでなくてもよく、水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aから対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
なお、陸上搬送手段20の荷台20aに複数の水素供給ユニット10を積むことが可能な場合、水素供給ユニット10を積むことが可能な数だけ第三工程~第七工程を繰り返し、陸上搬送手段20の荷台20aに使用済み水素供給ユニット10bを積めるだけ積む。そうすることで、水素供給設備200と対象物50との往復回数を減らすことができ、陸上搬送手段20の移動距離を短縮することができる。
図19に示すように、第八工程は、第七工程の後、陸上搬送手段20で充填前の水素供給ユニット10bを水素供給設備200の近く(例えば数メートル内)まで運ぶ(図19の破線矢印参照)工程である。なお、水素供給ユニット10bは陸上搬送手段20の荷台20aに固定されているため、第八工程において、水素供給ユニット10bが陸上搬送手段20の荷台20aから落下する恐れがない。
図20および図21に示すように、第九工程は、第八工程の後、搬送台車30を陸上搬送手段20の荷台20aの隣まで移動させ(図20の破線矢印参照)、陸上搬送手段20の荷台20aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して搬送台車30の荷台30aに積み(図21の破線矢印参照)、水素供給ユニット10bを搬送台車30の荷台30aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、陸上搬送手段20の荷台20aの高さと搬送台車30の荷台30aの高さとが同じになっており、図21の破線矢印のように水素供給ユニット10bを陸上搬送手段20の荷台20aから搬送台車30の荷台30aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、搬送台車30の荷台30aに積むことができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10bを陸上搬送手段20の荷台20aから搬送台車30の荷台30aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、搬送台車30の荷台30aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第九工程において、水素供給ユニット10bに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10bには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10bを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10bが破損する恐れもない。なお、陸上搬送手段20の荷台20aの高さと搬送台車30の荷台30aの高さとは、厳密に同じでなくてもよく、水素供給ユニット10bを陸上搬送手段20の荷台20aから搬送台車30の荷台30aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
以上のように、実施の形態1に係る水素供給システムでは、第一工程~第九工程において、水素供給ユニット10に吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10には側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10を搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10が破損する恐れもない。さらに、水素供給ユニット10を陸上搬送手段20の荷台20a、搬送台車30の荷台30a、リフトトラック40の荷台40a、および対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積む際に例えば緊締装置を用いて固定するため、それらから搬送中に水素供給ユニット10が落下する恐れがない。そのため、実施の形態1に係る水素供給システムでは、水素供給ユニット10の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
図22は、実施の形態1に係る水素供給システムに用いられる水素供給ユニット10の燃料充填容器11を示す外観図である。図23は、図22において衝撃監視表示部15が変色した状態の燃料充填容器11を示す外観図である。
図22および図23に示されるように、燃料充填容器11には、燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変化する衝撃監視表示部15が取り付けられている。ここでは、衝撃監視表示部15は、燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変色する。変色箇所は、衝撃監視表示部15内の中央部15aのみである。変色箇所は、図23のハッチングで示されている。なお、衝撃監視表示部15は、燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変化すれば変色以外の膨らむなどの手法でもよい。
衝撃監視表示部15は、文字、図形又はそれらの組み合わせなどの表示によって製造元を表す製造元表示部15bを含んでいる。衝撃監視表示部15は、燃料充填容器11に取り付けられた状態で上からコーティングが施されている。
以上のように、燃料充填容器11には、燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変化する衝撃監視表示部15が取り付けられている。この構成によれば、衝撃監視表示部15が燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変化するので、燃料充填容器11が落下の衝撃を受けた状態が容易に見分けられる。つまり、水素供給ユニット10を構成する燃料充填容器11の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
また、衝撃監視表示部15は、燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変色する。この構成によれば、衝撃監視表示部15が燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変色するので、燃料充填容器11が落下の衝撃を受けた状態が容易に見分けられる。
また、衝撃監視表示部15は、製造元を表す製造元表示部15bを含み、燃料充填容器11に取り付けられた状態で上からコーティングが施されている。この構成によれば、衝撃監視表示部15が製造元を表す製造元表示部15bを含むので、衝撃監視表示部15が正規なものであることが容易に見分けられる。また、衝撃監視表示部15が燃料充填容器11に取り付けられた状態で上からコーティングが施されているので、衝撃監視表示部15が第三者に剥され難く、衝撃監視表示部15が虚偽のものに取り替え難い。
以上、実施の形態1に係る水素供給システムは、水素が充填される複数の燃料充填容器11、複数の燃料充填容器11が積まれるカートリッジ12、および、カートリッジ12の下部に設けられ、フォークリフトの爪の挿入を防止する側板16を有する水素供給ユニット10と、荷台20a、60a、70aを有する陸上搬送手段20、60、70と、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物50、51と、昇降可能な昇降手段と、を備え、陸上搬送手段20、60、70および昇降手段を用いて、水素供給ユニット10を陸上搬送手段20、60、70あるいは昇降手段に固定した状態で搬送し、水素供給設備200で充填前の水素供給ユニット10に水素ガスの充填を行う工程と、充填後の水素供給ユニット10から対象物50、51に水素を供給する工程と、を繰り返し行うものである。
また、実施の形態1に係る水素供給システムは、陸上搬送手段20の荷台20aと同じ高さの荷台30aを有する搬送台車30と、昇降手段として昇降可能な荷台40aを有するリフトトラック40と、を備え、対象物50は、水素供給位置である水素供給ユニット搭載位置50aが設置面よりも上方に位置するものであり、搬送台車30の荷台30aに固定されて積まれた充填前の水素供給ユニット10bを水素供給設備200まで運び、水素供給設備200で充填前の水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う第一工程と、第一工程の後、充填後の水素供給ユニット10aが積まれた搬送台車30を陸上搬送手段20の荷台20aの隣まで移動させ、搬送台車30の荷台30aに積まれている水素供給ユニット10aの固定を解除して陸上搬送手段20の荷台20aに積み、充填後の水素供給ユニット10aを陸上搬送手段20の荷台20aに固定する第二工程と、第二工程の後、陸上搬送手段20で充填後の水素供給ユニット10aを、対象物50の近くまで運ぶ第三工程と、第三工程の後、リフトトラック40を対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aの隣まで移動させ、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積み、充填前の水素供給ユニット10bをリフトトラック40の荷台40aに固定する第四工程と、第四工程の後、リフトトラック40を陸上搬送手段20の荷台20aの隣まで移動させ、陸上搬送手段20の荷台20aと同じ高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して陸上搬送手段20の荷台20aに積み、充填前の水素供給ユニット10bを陸上搬送手段20の荷台20aに固定する第五工程と、第五工程の後、リフトトラック40を陸上搬送手段20の荷台20aの隣の充填後の水素供給ユニット10aが積まれている位置まで移動させ、陸上搬送手段20の荷台20aに積まれている充填後の水素供給ユニット10aの固定を解除して陸上搬送手段20の荷台20aと同じ高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積み、充填後の水素供給ユニット10aをリフトトラック40の荷台40aに固定する第六工程と、第六工程の後、リフトトラック40を対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aの隣まで移動させ、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節したリフトトラック40の荷台40aに積まれている充填後の水素供給ユニット10aの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積み、充填後の水素供給ユニット10aを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに固定する第七工程と、第七工程の後、陸上搬送手段20で充填前の水素供給ユニット10bを水素供給設備200の近くまで運ぶ第八工程と、第八工程の後、搬送台車30を陸上搬送手段20の荷台20aの隣まで移動させ、陸上搬送手段20の荷台20aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して搬送台車30の荷台30aに積み、充填前の水素供給ユニット10bを搬送台車30の荷台30aに固定する第九工程と、を繰り返し行うものである。
実施の形態1に係る水素供給システムによれば、上記の各工程を行う際に、水素供給ユニット10に吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10には側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10を搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10が破損する恐れもない。さらに、水素供給ユニット10を陸上搬送手段20の荷台20a、搬送台車30の荷台30a、リフトトラック40の荷台40a、および対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積む際に例えば緊締装置を用いて固定するため、搬送中にそれらから水素供給ユニット10が落下する恐れがない。そのため、実施の形態1に係る水素供給システムでは、水素供給ユニット10の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
また、実施の形態1に係る水素供給システムにおいて、燃料充填容器11には、燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変化する衝撃監視表示部15が取り付けられている。
実施の形態1に係る水素供給システムによれば、衝撃監視表示部15が燃料充填容器11に対しての所定値以上の衝撃によって変化するので、燃料充填容器11が落下の衝撃を受けた状態が容易に見分けられる。つまり、水素供給ユニット10を構成する燃料充填容器11の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
図24は、実施の形態2に係る水素供給システムに用いられる陸上搬送手段60を模式的に示す側面図である。実施の形態2に係る水素供給システムは、図1に示す、水素供給ユニット10と、図24に示す、荷台60aを有し、荷台60aの中に昇降可能な昇降手段であるリフト60bが複数搭載された陸上搬送手段60と、図5に示す、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物50と、を備え、後述する第一工程~第四工程を順番に繰り返す。なお、図24では、陸上搬送手段60の荷台60aにリフト60bが2台搭載されているが、それに限定されず、3台以上搭載されていてもよい。
なお、実施の形態2に係る水素供給システムでは、図24に示すように水素供給ユニット10を搬送する陸上搬送手段60としてトラックを用いるが、それに限定されず、荷台に昇降可能なリフトが搭載されたものであれば実施の形態1で説明した他のものでもよい。また、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物50としては、図5に示すように水素供給位置である水素供給ユニット搭載位置50aが設置面よりも上方に位置するガントリークレーンを用いるが、それに限定されず、実施の形態1で説明した他のものでもよい。
図25は、実施の形態2に係る水素供給システムの第一工程を示す図である。図26は、実施の形態2に係る水素供給システムの第二工程を示す図である。図27は、実施の形態2に係る水素供給システムの第三工程を示す図である。図28は、実施の形態2に係る水素供給システムの第三工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図29は、実施の形態2に係る水素供給システムの第四工程を示す図である。図30は、実施の形態2に係る水素供給システムの第四工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。
次に、実施の形態2に係る水素供給システムにおいて行われる第一工程~第四工程について、図25~図30を用いて説明する。
図25に示すように、第一工程は、最初に、または後述する第四工程の後、例えば緊締装置を用いて陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに固定して積まれた充填前(つまり、各燃料充填容器11内が空状態)の水素供給ユニット10bを、水素ステーションなどの水素供給設備200の水素供給が可能な位置まで運び(図25の破線矢印参照)、そこで水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う工程である。なお、水素供給ユニット10bは陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに固定されているため、第一工程において、水素供給ユニット10bが陸上搬送手段60の荷台60aから落下する恐れがない。
図26に示すように、第二工程は、第一工程の後、陸上搬送手段60で水素供給ユニット10aを、水素供給を受ける対象物50の隣まで運ぶ工程(図26の破線矢印参照)である。なお、水素供給ユニット10aは陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに固定されているため、第二工程において、水素供給ユニット10aが陸上搬送手段60の荷台60aから落下する恐れがない。
図27および図28に示すように、第三工程は、第二工程の後、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節したリフト60bに積み(図27および図28の破線矢印参照)、水素供給ユニット10bをリフト60bに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bの高さが対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さになるように調節されているため、図27および図28の破線矢印のように水素供給ユニット10bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aから陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに積むことができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aから陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第三工程において、水素供給ユニット10bに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10bには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10bを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10bが破損する恐れもない。なお、陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bの高さは、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと厳密に同じ高さでなくてもよく、水素供給ユニット搭載位置50aから陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
図29および図30に示すように、第四工程は、第三工程の後、陸上搬送手段60の充填後の水素供給ユニット10aが積まれているリフト60bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aの隣まで移動させ、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節した陸上搬送手段60のリフト60bに積まれている水素供給ユニット10aの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積み(図29および図30の破線矢印参照)、水素供給ユニット10aを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。充填後の水素供給ユニット10aを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに固定することで、対象物50に水素を供給することができる。ここで、陸上搬送手段60のリフト60bの高さが対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さになるように調節されているため、図29および図30の破線矢印のように水素供給ユニット10aを陸上搬送手段60のリフト60bから対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積むことができる。さらに、カートリッジ12の下部には鋼製の車輪13が設けられており(図1参照)、リフト60bは高さ調節が可能なため、陸上搬送手段60のリフト60b間で、水素供給ユニット10aを前後にスライドさせて移動させることができる。ここで、上記の「隣」とは、水素供給ユニット10aを陸上搬送手段60のリフト60bから対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることで、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積むことができる距離であり、例えば数十センチ内である。
つまり、第四工程において、水素供給ユニット10aに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10aには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10aを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10aが破損する恐れもない。なお、陸上搬送手段60のリフト60bの高さは、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと厳密に同じ高さでなくてもよく、水素供給ユニット10bを陸上搬送手段60のリフト60bから対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに水平方向にガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
以上のように、実施の形態2に係る水素供給システムでは、第一工程~第四工程において、水素供給ユニット10に吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10には側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10を搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10が破損する恐れもない。さらに、水素供給ユニット10を陸上搬送手段60の荷台60aおよび対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積む際に例えば緊締装置を用いて固定するため、それらから搬送中に水素供給ユニット10が落下する恐れがない。そのため、実施の形態2に係る水素供給システムでは、水素供給ユニット10の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
以上、実施の形態2に係る水素供給システムにおいて、陸上搬送手段60は、昇降手段として荷台60aの中に搭載された昇降可能なリフト60bを有し、対象物50は、水素供給位置である水素供給ユニット搭載位置50aが設置面よりも上方に位置するものであり、陸上搬送手段60の荷台60aに搭載されたリフト60bに固定して積まれた充填前の水素供給ユニット10bを水素供給設備200まで運び、水素供給設備200で充填前の水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う第一工程と、第一工程の後、陸上搬送手段60で充填後の水素供給ユニット10aを、水素供給を受ける対象物50の隣まで運ぶ第二工程と、第二工程の後、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積まれている充填前の水素供給ユニット10bの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節したリフト60bに積み、充填前の水素供給ユニット10bをリフト60bに固定する第三工程と、第三工程の後、陸上搬送手段60の充填後の水素供給ユニット10aが積まれているリフト60bを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aの隣まで移動させ、対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aと同じ高さに調節した陸上搬送手段60のリフト60bに積まれている充填後の水素供給ユニット10aの固定を解除して対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積み、充填後の水素供給ユニット10aを対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに固定する第四工程と、を繰り返し行うものである。
実施の形態2に係る水素供給システムによれば、上記の各工程を行う際に、水素供給ユニット10に吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10には側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10を搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10が破損する恐れもない。さらに、水素供給ユニット10を陸上搬送手段60の荷台60aおよび対象物50の水素供給ユニット搭載位置50aに積む際に例えば緊締装置を用いて固定するため、搬送中にそれらから水素供給ユニット10が落下する恐れがない。そのため、実施の形態2に係る水素供給システムでは、水素供給ユニット10の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
実施の形態3.
以下、実施の形態3について説明するが、実施の形態1および2と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1および2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
図31は、実施の形態3に係る水素供給システムに用いられる陸上搬送手段70を模式的に示す側面図である。図32は、実施の形態3に係る水素供給システムに用いられる対象物51を模式的に示す正面図である。実施の形態3に係る水素供給システムは、図1に示す、水素供給ユニット10と、図31に示す、荷台70aを有し、荷台70aの後部に昇降可能な昇降手段であるリフト70bが搭載された陸上搬送手段70と、図32に示す、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物51と、を備え、後述する第一工程~第四工程を順番に繰り返す。
なお、実施の形態3に係る水素供給システムでは、図31に示すように水素供給ユニット10を搬送する陸上搬送手段70としてトラックを用いるが、それに限定されず、荷台に昇降可能なリフトが搭載されたものであれば実施の形態1で説明した他のものでもよい。また、水素供給ユニット10によって水素供給を受ける対象物51としては、図32に示すように水素供給位置が設置面に位置するものである定置式燃料電池を用いるが、それに限定されず、実施の形態1で説明した他のものでもよい。
図33は、実施の形態3に係る水素供給システムの第一工程を示す図である。図34は、実施の形態3に係る水素供給システムの第二工程を示す図である。図35は、実施の形態3に係る水素供給システムの第三工程を示す図である。図36は、実施の形態3に係る水素供給システムの第三工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。図37は、実施の形態3に係る水素供給システムの第四工程を示す図である。図38は、実施の形態3に係る水素供給システムの第四工程における水素供給ユニット10の移動態様を示す平面図である。
次に、実施の形態3に係る水素供給システムにおいて行われる第一工程~第四工程について、図33~図38を用いて説明する。
図33に示すように、第一工程は、最初に、または後述する第四工程の後、例えば緊締装置を用いて陸上搬送手段70の荷台70aに固定して積まれた充填前(つまり、各燃料充填容器11内が空状態)の水素供給ユニット10bを、水素ステーションなどの水素供給設備200の水素供給が可能な位置まで運び(図33の破線矢印参照)、そこで水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う工程である。ここで、陸上搬送手段70の荷台70aに積まれた水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う際に、リフト70bが邪魔になる場合は、例えばリフト70bを水平となるように移動させる。なお、水素供給ユニット10bは陸上搬送手段70の荷台70aに固定されているため、第一工程において、水素供給ユニット10bが陸上搬送手段70の荷台70aから落下する恐れがない。
図34に示すように、第二工程は、第一工程の後、陸上搬送手段70で水素供給ユニット10aを、水素供給を受ける対象物51の近く(例えば数メートル内)の前方まで運ぶ工程(図34の破線矢印参照)である。なお、水素供給ユニット10aは陸上搬送手段70の荷台70aに固定されているため、第二工程において、水素供給ユニット10aが陸上搬送手段70の荷台70aから落下する恐れがない。
図35および図36に示すように、第三工程は、第二工程の後、陸上搬送手段70の荷台70aに積まれている水素供給ユニット10aの固定を解除し、水素供給ユニット10aを荷台70aの上からリフト70bの上に移動させ(図36の破線矢印参照)、リフト70bの下面を対象物51の設置面まで移動させ、対象物51に水素を供給することが可能な位置(以下、水素供給位置と称する)まで水素供給ユニット10aを移動させる(図35の破線矢印参照)工程である。このように水素供給位置まで水素供給ユニット10aを移動させることで、対象物51に水素を供給することができる。ここで、陸上搬送手段70のリフト70bの下面を対象物51の設置面と同じ位置まで移動させることで、カートリッジ12の下部には鋼製の車輪13が設けられているため(図1参照)、図35および図36の破線矢印のように水素供給ユニット10aを陸上搬送手段70の荷台70aから後方にスライドさせることで、水素供給位置まで移動させることができる。
つまり、第三工程において、水素供給ユニット10aに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10aには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10aを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10aが破損する恐れもない。なお、陸上搬送手段70のリフト70bの下面は、対象物51の設置面と厳密に同じ位置でなくてもよく、水素供給ユニット10bを陸上搬送手段70のリフト70bから対象物51に水素を供給することが可能な位置までガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
図37および図38に示すように、第四工程は、第三工程の後、対象物51に水素を供給した後の水素供給ユニット10bを陸上搬送手段70のリフト70bの上まで前方にスライドさせて移動させ(図37の破線矢印参照)、リフト70bの上面を荷台70aの上面まで移動させ、水素供給ユニット10bをリフト70bの上から荷台70aの上に移動させ(図38の破線矢印参照)、水素供給ユニット10bを荷台70aに例えば緊締装置を用いて固定する工程である。ここで、陸上搬送手段70のリフト70bの上面を荷台70aの上面と同じ位置まで移動させることで、カートリッジ12の下部には鋼製の車輪13が設けられているため(図1参照)、図37および図38の破線矢印のように水素供給ユニット10aを水素供給位置から前方にスライドさせることで、陸上搬送手段70の荷台70aまで移動させることができる。
つまり、第四工程において、水素供給ユニット10bに吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10bには側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10bを搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10bが破損する恐れもない。なお、陸上搬送手段70のリフト70bの上面は荷台70aの上面と厳密に同じ位置でなくてもよく、水素供給ユニット10bを陸上搬送手段70のリフト70bの上から荷台70aの上までガイドなどを用いてスライドさせることができる程度の差であれば許容される。
以上のように、実施の形態3に係る水素供給システムでは、第一工程~第四工程において、水素供給ユニット10に吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10には側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10を搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10が破損する恐れもない。さらに、水素供給ユニット10を陸上搬送手段70の荷台70aに積む際に例えば緊締装置を用いて固定するため、それらから搬送中に水素供給ユニット10が落下する恐れがない。そのため、実施の形態3に係る水素供給システムでは、水素供給ユニット10の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。
以上、実施の形態3に係る水素供給システムにおいて、陸上搬送手段70は、昇降手段として荷台70aの後部に搭載された昇降可能なリフト70bを有し、対象物50は、水素供給位置が設置面に位置するものであり、陸上搬送手段70の荷台70aに固定して積まれた充填前の水素供給ユニット10bを水素供給設備200まで運び、水素供給設備200で充填前の水素供給ユニット10bに水素ガスの充填を行う第一工程と、第一工程の後、陸上搬送手段70で充填後の水素供給ユニット10aを、水素供給を受ける対象物51の近くの前方まで運ぶ第二工程と、第二工程の後、陸上搬送手段70の荷台70aに積まれている充填後の水素供給ユニット10aの固定を解除して荷台70aの上からリフト70bの上に移動させ、リフト70bの下面を対象物51の設置面まで移動させ、対象物51に水素を供給することが可能な位置まで充填後の水素供給ユニット10aを移動させる第三工程と、第三工程の後、対象物51に水素を供給した後の充填前の水素供給ユニット10bを陸上搬送手段70のリフト70bの上まで移動させ、リフト70bの上面を荷台70aの上面まで移動させ、充填前の水素供給ユニット10bをリフト70bの上から荷台70aの上に移動させ、充填前の水素供給ユニット10bを荷台70aに固定する第四工程と、を繰り返し行うものである。
実施の形態3に係る水素供給システムによれば、上記の各工程を行う際に、水素供給ユニット10に吊り具を装着してクレーンなどで吊り上げる必要がなく、落下する恐れがない。また、水素供給ユニット10には側板16が設けられており、カートリッジ12の下部にフォークリフトの爪が挿入されることがないため、フォークリフトによる搬送を不可能とし、フォークリフトで水素供給ユニット10を搬送することによる落下の恐れがなく、フォークリフトの爪で水素供給ユニット10が破損する恐れもない。さらに、水素供給ユニット10を陸上搬送手段70の荷台70aに積む際に例えば緊締装置を用いて固定するため、搬送中にそれらから水素供給ユニット10が落下する恐れがない。そのため、実施の形態3に係る水素供給システムでは、水素供給ユニット10の搬送中における粗暴な扱いを回避する安全性対策がなされており、水素供給ユニット10を安全に搬送することができる。