JP7329786B2 - スプレー塗布装置および樹脂膜の形成方法 - Google Patents
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Description
図1は、スプレー塗布装置1の概略的構成を示すブロック図である。スプレー塗布装置1は、樹脂を含む原料液を貯蔵する原料液タンク10(第1供給部ともいう)、揮発性溶剤を貯蔵する溶剤タンク20(第2供給部ともいう)、および4流体ノズル2(以下、単に「ノズル2」ともいう。)を備える。また、スプレー塗布装置1は、原料液タンク10からノズル2に供給する原料液の流量を調整する第1流量調整部16、溶剤タンク20からノズル2に供給する揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整部26、圧縮空気をノズル2に供給するポンプ40、およびこれらの動作を制御する制御部30を備える。
原料液タンク10(第1供給部)に貯蔵される原料液に含まれる樹脂は、樹脂膜を形成するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも、水溶性を備え、比較的低粘度であり、高い耐熱性を有する点で、ポリスチレンスルホン酸、水溶性ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸をモノマーとする重合体あるいは共重合体、オキサゾール系ポリマー(例えば、2-エチル-4,5-ジヒドロキシ-オキサゾールをモノマーとする重合体あるいは共重合体)等が挙げられる。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
ノズル2は、原料液タンク10から原料液流量調整部(第1流量調整部ともいう)を介して流体連通する第1流路12、溶剤タンク20から溶剤流量調整部(第2流量調整部ともいう)を介して流体連通する第2流路22、およびポンプ40から空気流量調整部(第3流量調整部ともいう)を介して流体連通する周縁流路42を有する。またノズル2は、原料液を噴出する第1噴出孔14、および揮発性溶剤を噴出する第2噴出孔24を有する。
第1流量調整部16および第2流量調整部26は、いわゆる流量調整弁であってもよく、第1バルブ開度および第2バルブ開度を調整することにより、独立したポンプ(図示せず)で加圧された原料液および揮発性溶剤の流量を調整するように構成されている。また第1流量調整部16および第2流量調整部26を構成する流量調整弁は、温度または圧力を補償する機能を有するものであってもよい。また第1バルブ開度および第2バルブ開度は、好適には、例えばピエゾ素子で構成された第1アクチュエータおよび第2アクチュエータによって自動的に調整することができる。
制御部30は、第1流量調整部16の第1バルブ開度を調整する第1アクチュエータおよび第2流量調整部26の第2バルブ開度を調整する第2アクチュエータ(ともに図示せず)を制御して、ノズル2から噴出される原料液の流量(Fs)および揮発性溶剤の流量(Fv)を制御するように構成されている。また制御部30は、ノズル2の周縁流路42から噴出される高速の気流の流速を調整するようにポンプ40(および圧力レギュレータ44)の動作を制御する。さらに制御部30は、詳細を図示しないが、オペレータが塗布膜の目標膜厚を予め設定したり、原料液および揮発性溶剤の噴出を複数回にわたって繰り返し行うようにプログラムするための入力手段と、塗布膜の実際の膜厚を計測した値を表示したり、ポンプ40の圧力、第1バルブ開度、および第2バルブ開度をオペレータに表示する出力手段とを備える。入力手段は、オペレータが入力する上記以外の情報以外のものを入力することができ、同様に出力手段は、オペレータがスプレー塗布装置1の操作に関して判断するために必要な任意の情報を表示することができる。こうした入力手段および出力手段は、例えば汎用性の高いタッチパネル式のマン・マシン・インターフェイス(MMI)であってもよい。
本実施形態に係る樹脂膜の形成方法は、樹脂を含む原料液、および揮発性溶剤を準備する準備工程と、ノズル2の第1流路に供給される原料液の流量(Fs)を調整する第1流量調整工程と、ノズル2の第2流路に供給される揮発性溶剤の流量(Fv)を調整する第2流量調整工程と、ノズル2の第1流路に供給された原料液およびノズルの第2流路に供給された揮発性溶剤を、ノズル2に対向して配置された基板に向かって噴出することにより、噴霧状の原料液および揮発性溶剤を混合させて基板S上に塗布膜を形成する塗布工程と、を備え、原料液の流量(Fs)および揮発性溶剤の流量(Fv)は、塗布膜の目標膜厚に応じて調整される。このように、本実施形態に係る樹脂膜の形成方法によれば、基板Sに塗布する直前に、原料液および揮発性溶剤を最適な組成比で噴出することにより、塗布膜の品質を安定化できる。
上述のように、ノズル2から噴出される原料液の流量(Fs)および揮発性溶剤の流量(Fv)は、塗布膜の目標膜厚に応じて調整することができる。図2は、基板Sに形成された塗布膜の目標膜厚と、原料液の流量(Fs)に対する揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)との関係を示すグラフである。図3は、基板Sに形成された塗布膜の目標膜厚と、原料液の流量(Fs)と揮発性溶剤の流量(Fv)の合計流量(s=Fv+Fs)との関係を示すグラフである。
なお、塗布膜の目標膜厚とは、予め設定される塗布膜の厚みであって、例えばオペレータがタッチパネルを用いて制御部30に事前に入力した塗布膜の所望の厚みである。
すなわち、揮発性溶媒は、ミストが安定して形成されるように原料液を希釈するためのものである。これにより、原料液に含まれる不揮発性溶媒の量を必要以上に増やすことなく安定した塗布が可能となる。
図4は、第1流量調整工程、第2流量調整工程、および塗布工程を複数回(N回、N:自然数)反復して行うことにより樹脂膜を形成するとき、各塗布工程において、ノズル2から噴出される原料液および揮発性溶剤の最適な流量比(r=Fv/Fs)を示すグラフである。
図5に示す樹脂膜の形成方法によれば、1回目からN回目(最後)までの塗布工程の流量比(r=Fv/Fs)が徐々に大きくすることにより、塗布膜の堆積速度(単位時間当たりに形成される塗布膜の厚み)を徐々に小さくする。これにより、塗布回数が後になるにつれて、塗布膜に残存する溶媒の量を低減できる。さらに、塗布工程中の塗布膜の膜厚を測定し、その情報を残りの塗布工程の時間等の塗布条件に反映させることで、塗布膜の全体としての厚みを目標膜厚に高い精度で近づけることが可能となる。
2…4流体ノズル
3…ステージ
10…第1供給部(原料液タンク)
12…第1流路
14…第1噴出孔
16…第1流量調整部
20…第2供給部(溶剤タンク)
22…第2流路
24…第2噴出孔
26…第2流量調整部
30…制御部
40…ポンプ
42…周縁流路
50…ノズルエッジ(衝突焦点)
S…基板
Claims (13)
- 樹脂と、沸点が水と同等あるいは水よりも高い溶剤と、を含む原料液を供給する第1供給部と、
常温で水よりも気化しやすく、前記原料液を希釈できる揮発性溶剤を供給する第2供給部と、
前記第1供給部と流体連通する第1流路、前記第2供給部と流体連通する第2流路、前記原料液を噴出する第1噴出孔、および前記揮発性溶剤を噴出する第2噴出孔を有するノズルと、
前記ノズルに対向して配置され、基板が載置されるステージと、
前記第1噴出孔から前記基板に向けて噴出する前記原料液の流量を調整する第1流量調整部と、
前記第2噴出孔から前記基板に向けて噴出する前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整部と、
前記ノズルから噴出されて前記基板に堆積する前記原料液および前記揮発性溶剤を含む塗布膜の目標膜厚に応じて、前記塗布膜の目標膜厚が大きいほど、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を大きくするように、前記第1流量調整部および前記第2流量調整部の少なくとも一方を制御する制御部と、を備えたスプレー塗布装置。 - 前記制御部は、前記塗布膜の目標膜厚が大きいほど、前記原料液の流量(Fs)と前記揮発性溶剤の流量(Fv)との合計流量(s=Fv+Fs)を大きくする、請求項1に記載のスプレー塗布装置。
- 樹脂と、沸点が水と同等あるいは水よりも高い溶剤と、を含む原料液を供給する第1供給部と、
常温で水よりも気化しやすく、前記原料液を希釈できる揮発性溶剤を供給する第2供給部と、
前記第1供給部と流体連通する第1流路、前記第2供給部と流体連通する第2流路、前記原料液を噴出する第1噴出孔、および前記揮発性溶剤を噴出する第2噴出孔を有するノズルと、
前記ノズルに対向して配置され、基板が載置されるステージと、
前記第1噴出孔から前記基板に向けて噴出する前記原料液の流量を調整する第1流量調整部と、
前記第2噴出孔から前記基板に向けて噴出する前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整部と、
前記第1流量調整部および前記第2流量調整部の少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記原料液および前記揮発性溶剤を前記ノズルから噴出させることにより前記基板上に前記原料液および前記揮発性溶剤を含む塗布膜を形成する塗布工程を複数回(N回、N:自然数)にわたって繰り返し行うように構成され、
最後(N回目)の前記塗布工程において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回(N-1回目)の前記塗布工程における流量比より小さくする、スプレー塗布装置。 - 樹脂と、沸点が水と同等あるいは水よりも高い溶剤と、を含む原料液を供給する第1供給部と、
常温で水よりも気化しやすく、前記原料液を希釈できる揮発性溶剤を供給する第2供給部と、
前記第1供給部と流体連通する第1流路、前記第2供給部と流体連通する第2流路、前記原料液を噴出する第1噴出孔、および前記揮発性溶剤を噴出する第2噴出孔を有するノズルと、
前記ノズルに対向して配置され、基板が載置されるステージと、
前記第1噴出孔から前記基板に向けて噴出する前記原料液の流量を調整する第1流量調整部と、
前記第2噴出孔から前記基板に向けて噴出する前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整部と、
前記第1流量調整部および前記第2流量調整部の少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記原料液および前記揮発性溶剤を前記ノズルから噴出させることにより前記基板上に前記原料液および前記揮発性溶剤を含む塗布膜を形成する塗布工程を複数回(N回、N:自然数)にわたって繰り返し行うように構成され、
2回目以降の前記塗布工程(M回目、2≦M≦N)において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回(M-1回目)の前記塗布工程における流量比(r=Fv/Fs)より大きくすることにより、単位時間当たりに形成される前記塗布膜の厚みを徐々に小さくする、スプレー塗布装置。 - 前記制御部は、
2回目以降の前記塗布工程(M回目、2≦M≦N)において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回の前記塗布工程(M-1回目)における流量比(r=Fv/Fs)より大きくすることにより、単位時間当たりに形成される前記塗布膜の厚みを徐々に小さくし、
最後(N回目)の前記塗布工程において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回(N-1回目)の前記塗布工程における流量比(r=Fv/Fs)より小さくする、請求項3に記載のスプレー塗布装置。 - 前記第1流量調整部は、第1バルブ開度を調整することにより前記原料液の流量を調整する第1流量調整バルブを含み、
前記第2流量調整部は、第2バルブ開度を調整することにより前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整バルブを含み、
制御部は、前記第1バルブ開度を調整する第1アクチュエータおよび前記第2バルブ開度を調整する第2アクチュエータを制御する、請求項1~5のいずれか1項に記載のスプレー塗布装置。 - 前記樹脂が水溶性樹脂である、請求項1~6のいずれか1項に記載のスプレー塗布装置。
- 樹脂と、沸点が水と同等あるいは水よりも高い溶剤と、を含む原料液、および常温で水よりも気化しやすい揮発性溶剤を準備する準備工程と、
ノズルの第1流路に供給される前記原料液の流量を調整する第1流量調整工程と、
前記ノズルの第2流路に供給される前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整工程と、
前記ノズルの前記第1流路に供給された前記原料液および前記ノズルの前記第2流路に供給された前記揮発性溶剤を、前記ノズルに対向して配置された基板に向かって噴出することにより、前記原料液および前記揮発性溶剤を混合させて基板上に塗布膜を形成する塗布工程と、を備え、
前記原料液の流量および前記揮発性溶剤の流量は、前記塗布膜の目標膜厚に応じて、前記塗布膜の目標膜厚が大きいほど、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を大きくするように調整される、樹脂膜の形成方法。 - 前記塗布膜の目標膜厚が大きいほど、前記原料液の流量(Fs)と前記揮発性溶剤の流量(Fv)との合計流量(s=Fv+Fs)を大きくする、請求項8に記載の樹脂膜の形成方法。
- 樹脂と、沸点が水と同等あるいは水よりも高い溶剤と、を含む原料液、および常温で水よりも気化しやすい揮発性溶剤を準備する準備工程と、
ノズルの第1流路に供給される前記原料液の流量を調整する第1流量調整工程と、
前記ノズルの第2流路に供給される前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整工程と、
前記ノズルの前記第1流路に供給された前記原料液および前記ノズルの前記第2流路に供給された前記揮発性溶剤を、前記ノズルに対向して配置された基板に向かって噴出することにより、前記原料液および前記揮発性溶剤を混合させて基板上に塗布膜を形成する塗布工程と、を備え、
前記第1流量調整工程、前記第2流量調整工程、および前記塗布工程は、複数回(N回、N:自然数)反復して行われ、
最後(N回目)の前記塗布工程において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回(N-1回目)の前記塗布工程における流量比より小さくする、樹脂膜の形成方法。 - 樹脂と、沸点が水と同等あるいは水よりも高い溶剤と、を含む原料液、および常温で水よりも気化しやすい揮発性溶剤を準備する準備工程と、
ノズルの第1流路に供給される前記原料液の流量を調整する第1流量調整工程と、
前記ノズルの第2流路に供給される前記揮発性溶剤の流量を調整する第2流量調整工程と、
前記ノズルの前記第1流路に供給された前記原料液および前記ノズルの前記第2流路に供給された前記揮発性溶剤を、前記ノズルに対向して配置された基板に向かって噴出することにより、前記原料液および前記揮発性溶剤を混合させて基板上に塗布膜を形成する塗布工程と、を備え、
前記第1流量調整工程、前記第2流量調整工程、および前記塗布工程は、複数回(N回、N:自然数)反復して行われ、
2回目以降の前記塗布工程(M回目、2≦M≦N)において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回(M-1回目)の前記塗布工程における流量比(r=Fv/Fs)より大きくすることにより、単位時間当たりに形成される前記塗布膜の厚みを徐々に小さくする、樹脂膜の形成方法。 - 2回目以降の前記塗布工程(M回目、2≦M≦N)において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回の前記塗布工程(M-1回目)における流量比(r=Fv/Fs)より大きくすることにより、単位時間当たりに形成される前記塗布膜の厚みを徐々に小さくし、
最後(N回目)の前記塗布工程において、前記原料液の流量(Fs)に対する前記揮発性溶剤の流量(Fv)の流量比(r=Fv/Fs)を、前回(N-1回目)の前記塗布工程における流量比(r=Fv/Fs)より小さくする、
請求項10に記載の樹脂膜の形成方法。 - 前記樹脂が水溶性樹脂である、請求項8~12のいずれか一項に記載の樹脂膜の形成方法。
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