JP7326524B2 - 管接続部の離脱防止構造 - Google Patents
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継ぎ輪の両管支持部の内周面には、両管部の外周面との間を密封するシール材が装着されたシール部が設けられている。
一方の前記管部には、これに外装支持されている前記継ぎ輪の管軸芯方向の一端側の管支持部に固定連結される連結部と、前記継ぎ輪の一端側の管支持部に対する前記挿口の離脱移動に連れて前記挿口の外周面との間での抜止め抵抗が増大する抜止部とを備えた分割構造の補強固定手段が設けられている点にある。
また、一方の管部の挿口と継ぎ輪との間においては、挿口に設けた分割構造の補強固定手段の連結部が継ぎ輪の一端側の管支持部に固定連結されている。さらに、補強固定手段の抜止部は、継ぎ輪の一端側の管支持部に対する挿口の離脱移動に連れて当該挿口の外周面との間での抜止め抵抗が増大するので、全体として、一方の管部の挿口と継ぎ輪の一端側の管支持部とが補強固定手段を介して一体的に強固に固定連結される。
これにより、挿口と受口とが離脱しても、継ぎ輪の他端側の管支持部に対する受口の抜け出し移動、及び継ぎ輪の一端側の管支持部に対する挿口の抜け出し移動をそれぞれ強固に阻止することができる。
このとき、継ぎ輪の離脱阻止部が受口の外周面のテーパー部分に当接すると、分割構造の継ぎ輪の分割面を押し開く力が発生する。しかし、本発明では、継ぎ輪の離脱阻止部がシール部よりも継ぎ輪の管軸芯方向中央側に偏位した部位に形成されているため、その偏位代の分だけ押し開き力が小さくなり、継ぎ輪の分割面の押し開きに伴うシール部の密封性低下による流体の漏洩発生を抑制することができる。
図1、図2は、流体の輸送配管系統に用いられる管接続部の離脱防止構造を示す。この管接続部の離脱防止構造では、一方の管部の一例である流体管1の挿口1Aと他方の管部の一例である流体管2の受口2Aとが嵌合接続部20で接続され、この嵌合接続部20を密封状態で囲繞する分割構造の継ぎ輪30は、両流体管1,2に亘って外装されている。
また、継ぎ輪30と他方の流体管2の受口2A側との管軸芯方向で相対向する部位には、他方の流体管2の受口2Aと継ぎ輪30との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段40が設けられている。
さらに、本実施形態の流体管1,2は、流体の一例である上水を輸送するための水道管を構成するダクタイル鋳鉄管であるが、その他の鋳鉄管や鋼管等を使用することができ、
流体としても、上水以外に工業用水やガス等を挙げることができる。
シール部35は、図2、図3に示すように、両分割継ぎ輪ケース30A,30Bの分割面の各々に形成された環状のシール保持溝36に、環状のガスケット等の第2シール部材37を装着して構成されている。両第2シール部材37は、両分割継ぎ輪ケース30A,30Bの管周方向両端部においては管径方向から互いに水密状態で接触し、継ぎ輪30の両管支持部30d,30eにおいては、両流体管1,2の外周面1a,2cに管周方向に沿って水密状態で接触する。
この離脱阻止部41は、他端側の管支持部30eの内周面において管周方向シール溝部分36aの管軸芯方向両側に位置する区画壁30gの内径よりも小径に形成されている。換言すれば、離脱阻止部41の内周面は、管周方向シール溝部分36aの両側に位置する区画壁30gの内周面よりも径方向内方側に突出形成されているとともに、離脱阻止部41は一方の区画壁30gと一体形成され、離脱阻止部41の当接面41aからシール部35までの管軸芯方向の厚みも大となる補強構造に構成されている。
また、離脱阻止部41の当接面41aは、受口2Aの外周面2cのテーパー状当接部位2dの傾斜角度と同一又は略同一の傾斜角度に形成されている。
これにより、図4に示すように、初期組付け状態で、のT頭ボルト23の先端位置又は継ぎ輪30の一端側の側壁部30bの内面から最大離脱移動状態にあるT頭ボルト23の先端位置までの距離Lが最大離脱移動距離となり、最大離脱移動状態では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとが抜け出した離脱状態にある。
図3に示すように、継ぎ輪30の離脱阻止部41の当接面41aからシール部35の管周方向シール溝部分36aまでの距離L1に相当する厚み寸法が、継ぎ輪30の一端側の管支持部30dにおける管周方向シール溝部分36aの区画壁30hの管軸芯方向での厚み寸法よりも大に構成されているので、受口2Aの外周面2cに当接する離脱阻止部41を頑丈に構成することができる。
連結部52は、一端側の管支持部30dの外周面に形成された径方向外方に開口する環状の係合凹部53と、当該係合凹部53に対して管径方向外方側から係脱自在に係合される係合突起54から構成されている。そのうち、係合突起54は、両分割挟持部材51の管周方向の複数個所から管軸芯方向に沿って一体的に突出形成されている。
耐震補強金具50を流体管1の挿口1Aに取付ける場合には、図1、図2に示すように、両分割挟持部材51に一体形成されている係合突起54を、一端側の管支持部30dの係合凹部53に対して管径方向外方側から係合し、この状態で両分割挟持部材51のフランジ部51A同士をボルト48・ナット49で締め付け連結する。
爪部材57の外面及び爪収納部56の天井面は、両分割挟持部材51の爪収納部56と挿口1Aの外周面1aに喰い込む状態で爪収納部56内に収納されている爪部材57との管軸芯方向での相対離脱移動に伴って、爪部材57を径方向内方側に食い込み移動させる傾斜面に構成されている。
これにより、図4に示すように、挿口1Aと受口2Aとが離脱しても、継ぎ輪30の他端側の管支持部30eに対する受口2Aの抜け出し移動、及び継ぎ輪30の一端側の管支持部30dに対する挿口1Aの抜け出し移動をそれぞれ強固に阻止することができる。
〔第2実施形態〕
図5に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20が、T形のメカニカル継手から構成されている。このT形のメカニカル継手は、受口2Aの内周面に形成した径方向内方に開口する円環状のシール保持溝60に、嵌合接続される挿口1Aの外周面1aとの間で水密状態に圧縮されるゴム輪等の第3シール部材61を装着して構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
図6に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20が、T形のメカニカル継手から構成されている。この管接続部の離脱防止構造において、他方の流体管2の受口2Aと継ぎ輪30との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段40の改良を示す。この実施形態においても、継ぎ輪30の管軸芯方向の他端側の管支持部30eの内周面側で、且つ、当該管支持部30eの内周面に形成されたシール保持溝36の管周方向シール溝部分36a及びそれに装着された第2シール部材37の管周方向シール部分37aよりも継ぎ輪30の管軸芯方向中央側に偏位した部位に、受口2Aの外周面2cのテーパー状当接部位2dと管軸芯方向から当接可能な円環状の当接面41aを備えた離脱阻止部41が形成されている。
離脱阻止部41の当接面41a及び弾性シール材43を保持する第2シール保持溝44は、継ぎ輪30の他端側の側壁部30cの内周面に形成され、他端側の側壁部30cの管軸芯方向の厚みは、継ぎ輪30の一端側の側壁部30bの管軸芯方向の厚み(第1実施形態の図2、第2実施形態の図5参照)よりも大に構成されている。
尚、その他の構成は、第2実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
図7に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20がK形のメカニカル継手から構成されている。この管接続部の離脱防止構造において、他方の流体管2の受口2Aと継ぎ輪30との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段40の改良を示す。
この実施形態の離脱移動阻止手段40は、嵌合接続部20を構成するK形のメカニカル継手の構成部材のうち、管周方向に所定間隔を置いて配置される複数の金属製のT頭ボルト23が、受口2A側に固定される当接部材45に兼用構成され、各T頭ボルト23の頭部23Aの偏平な頂面23aは、当接部材45の当接面45aに構成されている。
この側壁部30cの内面に形成された当接面46と、各T頭ボルト23の頭部23Aの頂面23aをもって構成される当接部材45の当接面45aの各々は、管軸芯に対して直交する直交面に形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
この場合も、継ぎ輪30の当接面46と受口2A側の各T頭ボルト23における当接部材45の当接面45aとが管軸芯に対して直交する直交面に形成されている。これにより、継ぎ輪30の当接面46と各T頭ボルト23における当接部材45の当接面45aとが面当たりとなり、離脱力を確実に受け止めて離脱阻止効果を向上することができる。
この場合も、継ぎ輪30の当接面46と受口2A側の各T頭ボルト23における当接部材45Bの当接面45aとが管軸芯に対して直交する直交面に形成されている。これにより、継ぎ輪30の当接面46と各T頭ボルト23における当接部材45Bの当接面45aとが面当たりとなり、離脱力を確実に受け止めて離脱阻止効果を向上することができる。
図9に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20がT形のメカニカル継手から構成されている。この管接続部の離脱防止構造において、他方の流体管2の受口2Aと継ぎ輪30との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段40の改良を示す。
この実施形態の離脱移動阻止手段40では、他方の流体管2の受口2A側に固定される当接部材45の一例で、流体管2の受口2Aに対して管径方向外方から挾持固定される分割構造(当該実施形態では二分割構造)の金属製の当接バンド70が用いられる。この当接バンド70には、受口2Aの接続口側の端面に当接する環状の第1位置決め部70bと、受口2Aの外周面2cのテーパー部分に当接する第2位置決め部70cとが設けられている。 そのため、当接バンド70を受口2Aの外周面に締め付け固定した状態では、第1位置決め部70bと第2位置決め部70cとにより当接バンド70の管軸芯方向での移動が阻止されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第2実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
図10に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20がK形のメカニカル継手から構成されている。この管接続部の離脱防止構造において、他方の流体管2の受口2Aと継ぎ輪30との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段40の改良を示す。
この実施形態の離脱移動阻止手段40は、他方の流体管2の受口2A側に固定される当接部材45の一例で、受口2Aのフランジ部2bに対して管径方向外方から係合された状態で挾持固定される金属製の受口バンド71が用いられる。この受口バンド71の先端面71aが、当接部材45の当接面45aに構成され、継ぎ輪30の管軸芯方向他端側の側壁部30cの内面のうち、受口バンド71の先端面71aをもって構成される当接面45aに対して管軸芯方向で相対向する内面部分が当接面46に構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
図11に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20がK形のメカニカル継手から構成されている。この管接続部の離脱防止構造において、一方の流体管1と継ぎ輪30の管軸芯方向の一端側の管支持部30dとを一体的に固定連結する分割構造の耐震補強金具(補強固定手段の一例)50の改良を示す。
この実施形態の耐震補強金具50では、継ぎ輪30の管軸芯方向の一端側の管支持部30dのうち、それの内周面に形成されたシール保持溝36の管周方向シール溝部分36a及びそれに装着された第2シール部材37の管周方向シール部分37aよりも耐震補強金具50側に位置する端部側に、径方向内方に向かって開口する環状空間を備えた延長管支持部30jが一体形成されている。
図12に示す管接続部の離脱防止構造では、一方の流体管1の挿口1Aと他方の流体管2の受口2Aとの嵌合接続部20がK形のメカニカル継手から構成されている。この管接続部の離脱防止構造において、他方の流体管2の受口2Aと継ぎ輪30との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段40の改良を示す。
この実施形態の離脱移動阻止手段40では、他方の流体管2の受口2A側に固定される当接部材45の一例で、受口2Aの外周面2cにおけるテーパー状外周面部分2eとストレート状外周面部分2fとに渡る屈曲部位に対して管径方向外方から脱着自在に挾持固定可能な分割構造(当該実施形態では二分割構造)の金属製の挾持リング80が用いられる。この挾持リング80には、管周方向で二分割された半円弧状の分割リング80Aが備えられている。この一対の分割リング80Aは、それの管周方向の両端部に設けられた連結片80B同士をボルト81で締め付け連結することにより、受口2Aの屈曲部位に強固に挟持固定される。
挾持リング80の管軸芯方向の一端面80aは、受口2Aの外周面2cにおけるテーパー状外周面部分2eに面当たり状態で当接するテーパー状端面に構成されている。挾持リング80の管軸芯方向の他端面80bは、分割リング80Aの管軸芯方向の他端面及び連結片80Bの管軸芯方向の他端面を含み、且つ、当接部材45の当接面45aに構成されている。継ぎ輪30の管軸芯方向他端側の側壁部30cの内面は、挾持リング80の他端面80bをもって構成される当接面45aに対して管軸芯方向から当接可能な当接面46に構成されている。継ぎ輪30の側壁部30cの内面をもって構成される当接面46と、挾持リング80の他端面80bをもって構成される当接面45aとは、管軸芯に対して直交する直交面に形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
(1)上述の第1実施形態では、図3に示すように、K形のメカニカル継手のT頭ボルト23の先端を、継ぎ輪30の一端側の側壁部30bの内面に当接又は近接させた組付け初期状態において、継ぎ輪30の離脱阻止部41の当接面41aが受口2Aの外周面2cのテーパー状当接部位2dとの間に伸縮代を形成したが、この伸縮代を削減又は少なく構成してもよい。
1A 挿口
2 他方の管部(流体管)
2A 受口
2c 外周面
2e テーパー状外周面部分
2f ストレート状外周面部分
20 嵌合接続部
30 継ぎ輪
30c 側壁部
30d 一端側の管支持部
30e 他端側の管支持部
35 シール部
36 シール保持溝
40 離脱移動阻止手段
41 離脱阻止部
41a 当接面
43 弾性シール材
45 当接部材
45a 当接面
50 補強固定手段(耐震補強金具)
52 連結部
53 係合凹部
54 係合突起
55 抜止部
70 当接バンド(当接部材)
71 受口バンド(当接部材)
80 挾持リング(当接部材)
Claims (3)
- 一方の管部の挿口と他方の管部の受口との嵌合接続部を密封状態で囲繞する分割構造の継ぎ輪が前記両管部に亘って外装され、前記継ぎ輪と他方の前記管部の受口側との管軸芯方向で相対向する部位には、前記受口と前記継ぎ輪との一定以上の相対離脱移動を当接阻止する離脱移動阻止手段が設けられている管接続部の離脱防止構造であって、
前記離脱移動阻止手段は、前記継ぎ輪の管軸芯方向両端の管支持部のうち、他方の管部側となる他端側の前記管支持部の内周面側で、且つ、他方の管部の外周面との間を密封するシール部よりも前記継ぎ輪の管軸芯方向中央側に偏位した部位に形成された前記受口の外周面と当接可能な離脱阻止部から構成され、
前記離脱阻止部の当接位置から前記シール部のシール保持溝までの距離は、前記継ぎ輪の一端側の管支持部の内周面において、一方の前記管部の外周面との間を密封するシール部のシール保持溝の両区画壁のうち、内方側の前記区画壁における管軸芯方向の厚み寸法よりも大に構成されている管接続部の離脱防止構造 - 前記離脱移動阻止手段は、前記継ぎ輪の管軸芯方向両端の管支持部のうち、他方の管部側となる他端側の前記管支持部の内周面側で、且つ、他方の管部の外周面との間を密封するシール部よりも前記継ぎ輪の管軸芯方向中央側に偏位した部位に形成された前記受口の外周面と当接可能な離脱阻止部から構成され、
前記継ぎ輪の他端側の前記管支持部の内周面で、且つ、前記離脱阻止部よりも前記継ぎ輪の管軸芯方向中央側に偏位した部位には、前記離脱阻止部が前記受口の外周面に当接した状態で当該受口の外周面との間を密封する弾性シール材が設けられている請求項1記載の管接続部の離脱防止構造。 - 前記継ぎ輪の管軸芯方向両端の管支持部のうち、他方の管部側となる他端側の前記管支持部の内周面と他方の管部の外周面との間を密封するシール部が設けられ、
前記継ぎ輪の管軸芯方向の他端側の前記管支持部の内周面には、管軸芯方向で2つの凹部が形成され、管軸芯方向外方側の前記凹部は、前記シール部のシール保持溝に構成されている請求項1記載の管接続部の離脱防止構造。
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