以下、図面を参照しながら、受診予約支援装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る受診予約支援システムS1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、受診予約支援システムS1は、受診予約支援装置100と、端末装置200とを含む。受診予約支援装置100と端末装置200とは、インターネット等のネットワーク300で接続している。
また、受診予約支援装置100は、院内LAN(Local Area Network)等のネットワーク310を介して電子カルテ保管装置400と接続している。なお、受診予約支援システムS1は、電子カルテ保管装置400を含むものとしても良い。
電子カルテ保管装置400は、例えば、病院等で導入されている電子カルテシステムの一部として設置され、電子カルテシステムによって生成された診療データを保管する。電子カルテ保管装置400は、例えば、DB(Database)サーバ等のコンピュータ機器によって実現され、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の記憶回路にバイタルデータを記憶させる。
端末装置200は、例えば、患者の所有するスマートフォン、またはタブレット端末等である。端末装置200は、ネットワーク300に接続可能なインタフェースと、タッチパネル等の入力装置と、フラッシュメモリ等の記憶装置(記憶回路)と、ディスプレイと、プロセッサ等の制御装置(処理回路)とを備える。なお、図1には1台の端末装置200を記載したが、受診予約支援システムS1に含まれる端末装置200の数は限定されるものではない。
端末装置200の制御装置は、受診予約支援装置100から送信された問診画面、または、送信された情報に基づいて生成された問診画面を、ディスプレイに表示する。
問診画面は、患者の問診情報を入力可能な画面である。
問診情報は、問診結果を示す情報であり、例えば、患者の自覚症状、自覚症状の開始時期、および患者の属性情報を含む。
自覚症状は、例えば、発熱、腹痛、頭痛、発疹、嘔吐、悪寒、めまい等であるが、これらに限定されるものではない。
患者の属性情報は、年齢、性別、または既往歴等である。既往歴は、患者が過去に罹患した傷病または各種のアレルギーに関する情報である。なお、これらの項目は一例であり、問診情報は、さらに他の情報を含むものであっても良い。
また、端末装置200の制御装置は、問診画面に入力された問診情報を、ネットワーク300を介して受診予約支援装置100に送信する。
受診予約支援装置100は、例えば、病院等の医療機関に設置されたサーバ装置またはPC(Personal Computer)であり、NW(network)インタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。
NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、受診予約支援装置100と端末装置200との間で行われる各種データの伝送および通信を制御する。NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶回路120は、処理回路150で使用される各種の情報を予め記憶する。本実施形態においては、記憶回路120は、疾病情報と、診療ガイドラインと、予約情報と、地域内感染対策情報と、診断可能時期情報と、を記憶する。また、記憶回路120は、各種のプログラムを記憶する。
疾病情報は、例えば、病名と、該病名が流行性感染症であるか否かと、自覚症状の内容と、潜伏期間と、該病名と併発する可能性のある合併症とが対応付けられた情報である。なお、疾病情報は、さらに他の情報を含むものとしても良い。
本実施形態においては、流行性感染症は、人から人へと感染する感染症とする。例えば、流行性感染症は、インフルエンザ(流行性感冒)、水疱瘡、手足口病、麻疹、風疹、ウイルス性胃腸炎、または結核等であるが、これらに限定されるものではない。ウイルス性胃腸炎は、例えばノロウイルスによる感染を対象とするが、他のウイルスによって生じる胃腸炎も含む。また、人から人への感染経路の種類は特に限定されるものではないが、例えば、空気感染、飛沫感染、接触感染、経口感染等である。流行性感染症は、流行性疾患ともいう。
診療ガイドラインは、患者の属性に応じた疾病ごとの治療方針を定めたガイドラインである。診療ガイドラインは、公的機関や学会等が定めたものであっても良いし、医療機関が独自に策定したものでも良い。診療ガイドラインは、例えば、病名と、自覚症状と、該病名に罹患した患者の年齢、性別、または既往症等ごとの医療機関による経過観察または対症療法の要否、および対症療法の内容が対応付けられている。なお、診療ガイドラインは、さらに他の情報を含むものとしても良い。
予約情報は、患者の診察予約用の時間枠(予約枠)と、当該予約枠に予約済みの患者の識別情報と、予約枠が流行性感染症の患者用の専用予約枠か否かを示すフラグとが対応付けられた情報である。流行性感染症の詳細については、後述する。
地域内感染対策情報は、地域内の他の医療機関の感染対策設備の有無を示す情報である。地域内感染対策情報は、例えば、受診予約支援装置100が設置された医療機関と同一の地域内に存在する他の複数の医療機関の識別情報と、複数の医療機関の各々における感染対策設備の有無とを対応付けた情報である。また、地域内感染対策情報では、さらに、他複数の医療機関の各々における流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況を、複数の医療機関の識別情報に対応付けられていても良い。また、本実施形態における地域とは、例えば、受診予約支援装置100が設けられた医療機関と同一の市区町村の範囲とするが、これに限定されるものではない。例えば、複数の市区町村を1つの地位置として取り扱っても良いし、1つの市区町村を複数の地域に分割して取り扱っても良い。
診断可能時期情報は、複数の病名の各々に対して、該病名に対応する診断可能時期が紐付けられた情報である。
図2は、本実施形態に係る診断可能時期情報1201の一例を示す図である。
診断可能時期は、例えば、患者が複数の病名の各々に罹患している場合に患者の検査結果が陽性になる時期である。例えば、インフルエンザの場合は、「発症からn時間後」等と定義される。発症は、例えば自覚症状の開始の時点とする。なお、診断可能時期の定義はこれに限定されるものではなく、例えば、病名によっては「感染時期からn2時間後」等と定義されても良い。感染時期は、自覚症状の開始時期から該病名の潜伏期間分、過去に遡った時期とする。また、例えば、花粉症や喘息のように、自覚症状が出た後にいつ検査または診察をしても病名の診断が可能な疾病については、診断可能時期は「常時」となる。なお、図2に示す診断可能時期情報1201の内容は一例であり、これに限定されるものではない。
図1に戻り、入力インタフェース130は、例えば、マウスやキーボード等であり、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。また、受診予約支援装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
ディスプレイ140は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。
処理回路150は、記憶回路120からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。本実施形態の処理回路150は、取得機能151と、受付機能152と、予約枠設定機能153と、第1の推定機能154と、第2の推定機能155と、決定機能156と、特定機能157と、出力機能158とを備える。取得機能151は、取得部の一例である。受付機能152は、受付部の一例である。予約枠設定機能153は、予約枠設定部の一例である。第1の推定機能154は、第1の推定部の一例である。第2の推定機能155は、第2の推定部の一例である。決定機能156は、決定部の一例である。特定機能157は、特定部の一例である。出力機能158は、出力部の一例である。
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である取得機能151と、受付機能152と、予約枠設定機能153と、第1の推定機能154と、第2の推定機能155と、決定機能156と、特定機能157と、出力機能158とは、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記憶されている。処理回路150は、各プログラムを記憶回路120から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては、単一の処理回路150にて、取得機能151、受付機能152、予約枠設定機能153、第1の推定機能154、第2の推定機能155、決定機能156、特定機能157、および出力機能158の各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても良い。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
取得機能151は、ネットワーク300およびNWインタフェース110を介して、端末装置200から、問診情報を取得する。取得機能151は、取得した問診情報を第1の推定機能154、第2の推定機能155、および決定機能156に送信する。
また、取得機能151は、患者が医療機関を受診した後に、電子カルテ保管装置400から、医療機関において医師に診断された患者の診断病名を取得する。また、取得機能151は、取得した診断病名を、予約枠設定機能153に送出する。
また、取得機能151は、受診予約支援装置100が設置された医療機関における感染対策設備の稼働状況、および、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況を外部装置から取得する。取得機能151は、取得した感染対策設備の稼働状況、および、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況を、決定機能156に送出する。
受付機能152は、入力インタフェース130から、医師、看護師、または医療機関の事務員等による流行性感染症の流行に関する情報を受け付ける。
流行性感染症の流行に関する情報は、例えば、現在流行中または流行が予想される流行性感染症の病名、および流行性感染症の流行の度合である。流行性感染症の流行の度合は、例えば、現在の感染者数または予測される感染者数の多さに応じたレベルによって表されるものとする。流行性感染症の流行は、例えば、受診予約支援装置100が設置された医療機関がある地域における流行でも良いし、全国規模の流行であっても良い。受付機能152は、受け付けた流行性感染症に関する情報を、予約枠設定機能153に送出する。
予約枠設定機能153は、流行性感染症の流行の度合に応じて、流行性感染症に罹患した患者用の1または複数の専用予約枠を設定する。当該専用予約枠は、本実施形態における第1の専用予約枠の一例である。
例えば、インフルエンザが流行している場合には、予約枠設定機能153は、インフルエンザの流行の度合に応じて、インフルエンザ専用予約枠の数および時間帯を決定する。
また、予約枠設定機能153は、流行の度合が高いほど、多くの予約枠を、当該流行性感染症の専用予約枠に設定する。また、複数の流行性感染症が流行している場合には、予約枠設定機能153は、流行性感染症ごとに専用予約枠を設定しても良いし、複数の流行性感染症の共通の専用予約枠を設定しても良い。
予約枠設定機能153は、設定した専用予約枠を、記憶回路120に保存する。例えば、予約枠設定機能153は、記憶回路120に記憶された予約情報に含まれる予約枠のうち、専用予約枠に決定した予約枠について、専用予約枠か否かを示すフラグを“1”に変更する。以下、流行性感染症の専用予約枠以外の予約枠を、一般の予約枠という。
また、予約枠設定機能153は、流行性感染症の専用予約枠と一般の予約枠との間には、所定の時間以上の換気時間を設ける。例えば、予約枠設定機能153は、流行性感染症の専用予約枠と一般の予約枠との間の1または複数の空き予約枠を、使用不可に設定することにより、換気時間を確保しても良い。また、予約枠設定機能153は、流行性感染症の専用予約枠に、一般の予約枠とは異なる診察室を割当てても良い。流行性感染症の専用予約枠に割当てられる診察室は、例えば、流行性感染症の患者用の通路等流行性感染症用に隔離された診察室、空調等の排気または換気設備が設けられた診察室、流行性感染症用に隔離された診察室、または流行性感染症の患者用の出入り口に近い診察室、流行性感染症の患者用の通路に面した診察室等であっても良い。
また、予約枠設定機能153は、流行性感染症の専用予約枠と、流行性感染症の専用予約枠との間にも、所定の時間以上の換気時間を設けても良い。これは、問診情報に基づいて流行性感染症と推定された患者のうち、実際には流行性感染症に感染していない患者がいた場合に、当該患者に他の患者から流行性感染症が感染する確率を低減させるためである。
また、予約枠設定機能153は、取得機能151が取得した診断病名が、流行性感染症である場合に、当該病名の診断を受けた患者の診察に使用された診察室を、当該患者の診察の終了から所定の時間使用しないように診療予約を変更する。
例えば、患者事前に端末装置200から問診情報を入力していない場合、一般の予約枠で医療機関を受診してしまう場合がある。このため、本実施形態の予約枠設定機能153は、例えば、流行性感染症であると診断された患者が診察を受けた予約枠が、流行性感染症の専用予約枠ではなかった場合に、当該患者の診察の終了から所定の時間使用しないように診療予約を変更する。
なお、予約枠設定機能153は、流行性感染症の専用予約枠であったか否かに関わらず、流行性感染症の診断を受けた患者の診察に使用された診察室を、当該患者の診察の終了から所定の時間使用しないように診療予約を変更しても良い。
第1の推定機能154は、問診情報に基づいて患者の病名を推定する。例えば、第1の推定機能154は、記憶回路120に記憶された疾病情報から、問診情報に含まれる自覚症状に対応付けられた病名を検索し、検索結果として得られた病名を、患者の病名として推定する。なお、患者の病名を推定する手法はこれに限定されるものではない。以下、本実施形態においては、第1の推定機能154によって推定された病名を、「推定病名」という。第1の推定機能154は、第2の推定機能155と、決定機能156とに推定病名を送出する。
また、第2の推定機能155は、推定病名に基づいて、患者の診断可能時期を推定する。より詳細には、第2の推定機能155は、推定病名と、記憶回路120に記憶された診断可能時期情報1201と、問診情報に含まれる自覚症状の開始時期とに基づいて、患者の診断可能時期を推定する。例えば、推定病名がインフルエンザである場合、第2の推定機能155は、診断可能時期情報1201から、インフルエンザの診断可能時期を取得する。また、インフルエンザの診断可能時期のように、自覚症状の開始時期を基準として診断可能時期が変化する場合は、第2の推定機能155は、自覚症状の開始時期と診断可能時期情報1201とに基づいて、診断可能時期の日時を算出する。また、第2の推定機能155は、推定病名の診断可能時期が診断可能時期情報1201に登録されていない場合、当該推定病名は常時診断可能な疾病であると推定しても良い。また、第2の推定機能155は、推定病名が流行性感染症でない場合には、診断可能時期情報1201の登録の有無に関わらず、当該推定病名は常時診断可能な疾病であると推定しても良い。
本実施形態においては、第2の推定機能155は、全ての推定病名に対して診断可能時期を推定しているが、第2の推定機能155は、推定病名が流行性感染症である場合にのみ、診断可能時期を推定しても良い。第2の推定機能155は、推定した診断可能時期を決定機能156に送出する。
決定機能156は、推定された病名および診断可能時期に応じて患者が医療機関を受診する受診タイミングを決定する。より詳細には、決定機能156は、受診タイミングを、診断可能時期以降にする。
具体的には、決定機能156は、推定病名が流行性感染症である場合に、患者の受診タイミングを、診断可能時期以降の1または複数の流行性感染症の専用予約枠のいずれかに決定する。例えば、決定機能156は、推定病名が流行性感染症である場合に、診断可能時期以降の流行性感染症の専用予約枠の空予約枠のうち、現在時刻から最も近い空き予約枠を、患者の受診タイミングとして決定する。
例えば、実際には患者がインフルエンザ等に罹患している場合でも、診断可能時期よりも前の時期においては、検査結果が陰性になる場合がある。このような時期に患者が医療機関を受診しても、医師は病名を確定できないため、患者は、時間をおいて再受診することになる場合がある。このため、決定機能156は、受診タイミングを、診断可能時期以降にすることで、不要な来院回数を低減する。なお、決定機能156は、推定病名が流行性感染症である場合に限り受診タイミングを診断可能時期以降にするものとしても良い。あるいは、決定機能156は、推定病名が流行性感染症以外の場合にも、受診タイミングを、診断可能時期以降にしても良い。
また、例えば、診断可能時期よりも前の時期であっても、抵抗力の低い高齢者または幼児の場合、あるいは、患者が他の疾病に罹患している場合は、医療機関に早期に受診し、医療機関による経過観察または対症療法を実施する方が良い場合がある。
そこで、決定機能156は、例えば、記憶回路120に記憶された診療ガイドラインと、推定病名と、問診情報に含まれる患者の属性情報と、自覚症状とに基づいて、患者が早期の受診を要するか否かを判定する。例えば、決定機能156は、患者の推定病名、自覚症状、年齢、性別、既往症で、診療ガイドラインを検索し、医療機関による経過観察または対症療法を要するという検索結果が得られた場合に、患者が早期の受診を要すると判定する。
決定機能156は、患者が早期の受診を要すると判定した場合は、診断可能時期に関わらず、受診タイミングを決定する。例えば、決定機能156は、流行性感染症の専用予約枠のうち、現在時刻から最も近い空き予約枠を、受診タイミングとして決定する。また、決定機能156は、既に埋まっている流行性感染症の専用予約枠のうち、緊急性の低い患者の予約を他の予約枠に移動し、移動によって空いた予約枠に、早期の受診を要すると判定された患者の予約を登録しても良い。
決定機能156は、患者の予約枠として選択した流行性感染症の専用予約枠、または一般の予約枠を、受診タイミングとして、出力機能158に送出する。なお、上述の早期の受診の要否の判定基準は一例であり、これに限定されるものではない。
また、決定機能156は、推定病名、自覚症状、患者の年齢、性別、または既往歴に基づいて、患者の受診を推奨するか否かを判定する。例えば、推定病名が、投薬や手術等の治療が可能な疾病である場合には、決定機能156は、受診を推奨すると判定する。また、例えば、流行性感染症の中には、麻疹のように、特効薬等の有効な治療法がなく、患者の自然治癒によって回復する疾病がある。このような流行性感染症であると推定される場合、決定機能156は、受診を推奨しないと判定する。
ただし、特効薬等の有効な治療法がない流行性感染症であっても、抵抗力の低い高齢者または幼児の場合、患者が他の疾病に罹患している場合、または、合併症を起こしている場合などには緊急性を要する場合もある。このため、決定機能156は、患者の年齢、性別、既往症に基づいて、当該患者が高齢者または幼児であるか否か、および、当該患者が他の疾病に罹患しているか否かを判断し、当該患者が高齢者または幼児である場合、または当該患者が他の疾病に罹患している場合には、特効薬等の有効な治療法がない流行性感染症であっても、受診を推奨すると判定する。また、決定機能156は、例えば、記憶回路120に記憶された疾病情報と、推定病名と、問診情報に含まれる自覚症状とに基づいて、患者が合併症を起こしているか否かを判定する。決定機能156は、患者が合併症を起こしていると判定した場合は、特効薬等の有効な治療法がない流行性感染症であっても、受診を推奨すると判定する。
決定機能156は、受診を推奨しないと判定した場合には、受診を推奨しないと判定したことを、出力機能158に通知する。なお、上述の受診を推奨の有無の判定基準は一例であり、これに限定されるものではない。
また、決定機能156は、推定病名が流行性感染症である場合に、医療機関における感染対策設備の稼働状況、または、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況に応じて、医療機関における患者の受け入れ可否を判定する。感染対策設備は、例えば、空調等の排気または換気設備、流行性感染症用に隔離された診察室、流行性感染症の患者用の出入り口、流行性感染症の患者用の通路等である。また、流行性感染症の診療に用いられる消耗品は、例えば、インフルエンザの検査キット等である。これらはあくまで一例であり、感染対策設備、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品は、これらに限定されるものではない。
決定機能156は、例えば、感染対策設備を備えていない場合、感染対策設備が稼働していない場合、または、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫が不足している場合に、患者の受け入れが不可であると判定する。決定機能156は、患者の受け入れが不可であると判定した場合に、患者の受け入れを不可と判定したことを、特定機能157に通知する。
特定機能157は、患者の受け入れが不可であると判定された場合に、患者を受け入れ可能な他の医療機関を特定する。例えば、特定機能157は、記憶回路120に記憶された地域内感染対策情報に基づいて、感染対策設備を備えた他の医療機関を特定する。特定機能157は、特定した他の医療機関を、出力機能158に送出する。
出力機能158は、決定機能156によって決定された受診タイミングを出力する。例えば、出力機能158は、決定機能156によって決定された流行性感染症の専用予約枠、または一般の予約枠を、NWインタフェース110およびネットワーク300を介して、端末装置200に出力する。
また、出力機能158は、決定機能156によって受診を推奨しないと判定された場合には、自宅療養を推奨する通知を、端末装置200に出力する。
また、出力機能158は、決定機能156によって患者の受け入れが不可であると判定された場合には、特定機能157によって特定された患者を受け入れ可能な他の医療機関を、端末装置200に出力する。
また、出力機能158は、端末装置200から受診予約のアクセスがあった場合に、問診画面を端末装置200に出力する。
次に、以上のように構成された受診予約支援装置100で実行される処理の流れについて説明する。
図3は、本実施形態に係る受診予約支援装置100で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、端末装置200から、受診予約のアクセスがあった場合に開始する。また、このフローチャートの処理の開始前に、予約枠設定機能153によって、流行性感染症の専用予約枠が設定済みであるものとする。
まず、出力機能158は、NWインタフェース110およびネットワーク300を介して、問診画面を端末装置200に出力する(S1)。
次に、取得機能151は、問診画面に入力された問診情報を、ネットワーク300およびNWインタフェース110を介して、端末装置200から取得する(S2)。取得機能151は、取得した問診情報を第1の推定機能154および決定機能156に送信する。
次に、第1の推定機能154は、問診情報に基づいて患者の病名を推定する(S3)。第1の推定機能154は、第2の推定機能155に推定病名を送出する。また、第1の推定機能154は、推定病名が流行性感染症ではない場合には、推定病名と、当該推定病名が流行性感染症ではないことを、決定機能156に送出する。また、第1の推定機能154は、推定病名が流行性感染症である場合には、推定病名と、当該推定病名が流行性感染症であることを、決定機能156に送出する。
次に、第2の推定機能155は、診断可能時期情報1201と、推定病名とに基づいて、患者の診断可能時期を推定する(S4)。第2の推定機能155は、推定した診断可能時期を決定機能156に送出する。
そして、決定機能156は、第1の推定機能154から取得した情報に基づいて、推定病名が流行性感染症であるか否かを判断する(S5)。
決定機能156は、推定病名が流行性感染症ではないと判断した場合には(S5“No”)、一般の予約枠のうちの空き予約枠のいずれかを、患者の受診タイミングとして選択する(S6)。一例として、決定機能156は、一般の予約枠の空き予約枠のうち、診断可能時期以降の空き予約枠を、患者の受診タイミングとして選択する。また、決定機能156は、一般の予約枠の空き予約枠のうち、現在時刻から最も近い空き予約枠を、患者の受診タイミングとして選択しても良い。決定機能156は、患者の予約枠として選択した一般の予約枠を、受診タイミングとして、出力機能158に送出する。
出力機能158は、選択された予約枠を、受診タイミングとして、NWインタフェース110およびネットワーク300を介して、端末装置200に出力する(S7)。端末装置200の制御装置は、受診予約支援装置100から受信した予約枠をディスプレイに表示することにより、患者に対して受診タイミングを通知する。
また、決定機能156は、推定病名が流行性感染症であると判断した場合には(S5“Yes”)、推定病名、問診情報に含まれる自覚症状、患者の年齢、性別、既往歴、および診療ガイドラインに基づいて、患者の受診を推奨するか否かを判定する(S7)。
例えば、推定病名が、特効薬等の有効な治療法がなく、患者の自然治癒によって回復する流行性感染症である場合であって、患者が高齢者または幼児ではなく、他の疾病に罹患しておらず、合併症を起こしてもいない場合には、決定機能156は、受診を推奨しないと判定する(S8“No”)。この場合、決定機能156は、受診を推奨しないと判定したことを、出力機能158に通知する。
そして、出力機能158は、自宅療養を推奨する通知を、端末装置200に出力する(S9)。また、出力機能158は、病状が変化した場合には医療機関を受診すること等の注意事項を、合わせて出力しても良い。
また、決定機能156は、受診を推奨すると判定した場合(S8“Yes”)、医療機関における感染対策設備の稼働状況、または、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況に応じて、医療機関における患者の受け入れ可否を判定する(S10)。
決定機能156は、患者の受け入れが不可であると判定した場合は(S10“No”)、患者の受け入れを不可と判定したことを、特定機能157に通知する。この場合、特定機能157は、患者を受け入れ可能な他の医療機関を特定する(S11)。特定機能157は、特定した他の医療機関を、出力機能158に送出する。
そして、出力機能158は、特定機能157によって特定された患者を受け入れ可能な他の医療機関を、端末装置200に出力する(S12)。なお、出力機能158は、患者を受け入れ可能な他の医療機関の名称および連絡先を出力するものとしても良いし、患者を受け入れ可能な他の医療機関のWebサイト等の予約受付画面のリンクを出力するものとしても良い。
また、決定機能156は、患者の受け入れが可能であると判定した場合は(S10“Yes”)、早期の受診の要否を判定する(S13)。
例えば、患者が抵抗力の低い高齢者または幼児の場合、患者が他の疾病に罹患している場合、あるいは、患者が合併症を起こしている場合等においては、決定機能156は、患者が早期の受診を要すると判定する(S13“Yes”)。この場合、決定機能156は、診断可能時期に関わらず、流行性感染症の専用予約枠の空き予約枠のうち、現在時刻から最も近い予約枠を、受診タイミングとして選択する(S14)。決定機能156は、選択した予約枠を出力機能158に送出する。
また、決定機能156は、患者が早期の受診を要さないと判定した場合(S13“No”)、流行性感染症の専用予約枠の空き予約枠のうち、診断可能時期以降の予約枠を、受診タイミングとして選択する(S15)。決定機能156は、選択した予約枠を出力機能158に送出する。
出力機能158は、選択された予約枠を、受診タイミングとして、端末装置200に出力する(S16)。端末装置200の制御装置は、受診予約支援装置100から受信した予約枠をディスプレイに表示することにより、患者に対して受診タイミングを通知する。ここで、このフローチャートの処理は終了する。
このように、本実施形態の受診予約支援装置100は、患者の問診結果を示す問診情報を取得し、当該問診情報に基づいて推定した推定病名と、当該推定病名に基づいて推定した診断可能時期とに応じて患者の受診タイミングを決定し、決定した受診タイミングを出力する。このため、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、患者に対して推定病名および診断可能時期に即した適切な受診タイミングを案内することにより、患者が適切なタイミングで医療機関を受診することを支援することができる。
また、より具体的には、本実施形態の受診予約支援装置100は、推定病名と、複数の病名の各々に対して該病名に対応する診断可能時期が紐付けられた診断可能時期情報1201とに基づいて、診断可能時期を推定する。このため、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、患者の診断可能時期を容易に特定することができる。
また、本実施形態の受診予約支援装置100は、診断可能時期情報1201と、問診情報に含まれる自覚症状の開始時期と、推定病名とに基づいて、患者の前記診断可能時期を推定し、当該患者の受診タイミングを、診断可能時期以降にする。例えば、実際には患者がインフルエンザ等の流行性感染症に罹患している場合でも、診断可能時期よりも前の時期においては、検査結果が陰性になる場合がある。このような時期に患者が医療機関を受診しても、医師は病名を確定できないため、患者は時間をおいて再受診することになる場合がある。これに対して、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、患者が診断可能時期になってから医療機関を受診するように受診タイミングを設定することで、不要な受診回数を低減し、患者の負担を低減することができる。
また、本実施形態の受診予約支援装置100は、流行性感染症の流行の度合に応じて、流行性感染症に罹患した患者用の専用予約枠を設定し、患者の推定病名が流行性感染症である場合に、患者の受診タイミングを、診断可能時期以降の専用予約枠のいずれかに決定する。このため、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、医療機関内における流行性感染症以外の患者への流行性感染症の感染を低減することができる。また、流行性感染症は時期に応じて患者数の増減の幅が大きいが、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、流行性感染症の流行の度合に応じて流行性感染症に罹患した患者用の専用予約枠を設定することで、流行性感染症の患者数の増減に対応することができる。
また、本実施形態の受診予約支援装置100は、患者の診断病名が流行性感染症である場合に、当該患者の診察に使用された診察室を、当該患者の診察の終了から所定の時間使用しないように診療予約を変更する。本実施形態の受診予約支援装置100によれば、流行性感染症に感染した患者の使用した診察室を所定の時間換気するまで他の患者の診察に使用しないため、医療機関内における流行性感染症以外の患者への流行性感染症の感染をさらに低減することができる。
また、本実施形態の受診予約支援装置100は、推定病名と、自覚症状と、患者の性別、年齢、または既往歴とに基づいて、患者の受診を推奨するか否かを判定し、患者の受診を推奨しないと判断した場合には、自宅療養を推奨する通知を出力する。例えば、流行性感染症の中には、麻疹のように、特効薬等の有効な治療法がなく、患者の自然治癒によって回復する疾病がある。患者がこのような流行性感染症に罹患している場合、医療機関を受診するために外出することで却って患者の負担となる可能性や、周囲の人に感染を拡大する可能性がある。これに対して、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、患者の受診を推奨しないと判断した場合には、自宅療養を推奨する通知を出力することで、患者の病状に応じて患者の負担の低減、およぶ感染拡大の低減をすることができる。
また、本実施形態の受診予約支援装置100は、推定病名が流行性感染症である場合に、医療機関における感染対策設備の稼働状況、または、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況に応じて、医療機関における患者の受け入れ可否を判定し、患者の受け入れが不可であると判定した場合には、患者を受け入れ可能な他の医療機関を出力する。このため、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、受け入れ態勢が整っていない状態で流行性感染症の患者が来院することを低減することにより、医療機関内における流行性感染症以外の患者への流行性感染症の感染をさらに低減することができる。
また、本実施形態の受診予約支援装置100によれば、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫が不足している場合に流行性感染症の患者が来院することを低減することにより、患者が一度当該医療機関に受診してから再度他の医療機関を受診するという事態の発生を低減し、患者の負担を低減することができる。例えば、本実施形態の受診予約支援装置100は、医療機関においてインフルエンザの検査キットの在庫が無い場合には、インフルエンザと推定される患者に対して、他の医療機関を受診するように案内することにより、不要な受診回数を低減し、患者の負担を低減することができる。
なお、本実施形態においては、決定機能156は、流行性感染症の専用予約枠のうち、診断可能時期以降の空予約枠であって現在時刻から最も近い空き予約枠を、患者の受診タイミングとして決定するものとしたが、予約枠の決定手法はこれに限定されるものではない。例えば、決定機能156は、診断可能時期以降の空予約枠が複数ある場合に、これら複数の空き予約枠を、複数の受診日時候補として決定しても良い。当該構成を採用した場合は、出力機能158は、複数の受診日時候補を、端末装置200に出力する。
また、本実施形態においては、受付機能152が、医師等によって入力された流行性感染症の流行に関する情報を受け付けるものとしたが、取得機能151が、外部装置等から流行性感染症の流行に関する情報を取得するものとしても良い。
また、決定機能156は、患者の移動手段についても、決定するものとしても良い。例えば、決定機能156は、記憶回路120に記憶された診療ガイドラインと、推定病名と、問診情報に含まれる患者の属性情報と、自覚症状の内容とに基づいて、救急搬送の要否について判定しても良い。また、救急搬送を要すると判定された場合には、出力機能158は、救急車を呼ぶことを推奨する通知を、端末装置200に出力する。あるいは、出力機能158は、消防署に対して救急車の要請を通知する構成を採用しても良い、また、出力機能158は、救急搬送の受け入れが可能な医療機関に対して、当該患者の受け入れを要請する通知を出力しても良い。
また、決定機能156は、患者自身の病状が重症ではない場合であっても、周囲に感染させる可能性が高い場合は、公共交通機関の利用を避けることを推奨すると判定しても良い。この場合、出力機能158は、受診の際の移動手段として公共交通機関の利用を避けることを推奨する通知を、端末装置200に出力する。
なお、決定機能156は、推定病名が流行性感染症である場合に、医療機関における感染対策設備の稼働状況、または、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況に応じて、医療機関における患者の受け入れ可否を判定するとしたが、さらに、流行性感染症の種類に応じて受け入れ可否を判定しても良い。たとえば、国内に症例の少ない流行性感染症や、特に感染力の強い流行性感染症等は、対応可能な医療機関が限られる場合がある。例えば、記憶回路120に、受診予約支援装置100で対応可能な流行性感染症の病名のリストが記憶されていても良い。この場合、決定機能156は、推定病名と当該リストとに基づいて、受け入れ可否を判定しても良い。
また、予約枠設定機能153は、患者の診断病名が流行性感染症である場合に、当該患者の医療費の支払い処理をインターネット決済にすることを決定しても良い。当該構成を採用することで、流行性感染症と診断された患者が会計時に他の患者と接触することを回避することができ、他の患者への感染機会を低減することができる。また、予約枠設定機能153は、受診予約支援装置100が設けられた医療機関がインターネット決済に対応していない場合は、流行性感染症と診断された患者の会計の順番を早めることで、当該患者が他の患者と接触する時間を短縮しても良い。
また、出力機能158は、他の医療機関の受診を案内する通知を出力する際に、インターネット決済が可能な医療機関を優先的に出力するものとしても良い。
なお、本実施形態においては、端末装置200は、患者の所有するスマートフォン、またはタブレット端末等としたが、ラップトップPCまたはデスクトップPC等を端末装置200として採用しても良い。
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、受診予約支援装置100は病院等の医療機関に設けられていたが、この第2の実施形態では、受診予約支援装置は、クラウド上に設けられ、複数の医療機関によって使用される。
図4は、本実施形態に係る受診予約支援システムS2の構成を示すブロック図である。図4に示すように、受診予約支援システムS2は、受診予約支援装置1100と、端末装置200と、医用情報処置装置500a,500b(以下、特に区別しない場合には、単に医用情報処置装置500という)とを含む。
医用情報処置装置500は、病院等の医療機関に設けられたサーバ装置またはPC等であり、ネットワーク300を介して受診予約支援装置1100と接続する。例えば、医用情報処置装置500aは“A病院”に設けられ、医用情報処置装置500bは“B病院”に設けられる。なお、図3には2台の医用情報処置装置500を記載したが、受診予約支援システムS2に含まれる医用情報処置装置500の数は特に限定されるものではない。
受診予約支援装置1100は、例えば、クラウド上に設けられたサーバ装置等であり、ネットワーク300を介して端末装置200および医用情報処置装置500と接続する。また、受診予約支援装置1100は、NWインタフェース110と、記憶回路120と、処理回路150とを有する。なお、受診予約支援装置1100は、1台のサーバ装置で構成されなくとも良く、複数のコンピュータによって構成されても良い。また、受診予約支援装置1100を実現する手段はクラウドに限定されるものではなく、他の手段によってネットワーク上に設けられても良い。
本実施形態の記憶回路120は、疾病情報と、診療ガイドラインと、共通予約情報と、感染対策情報と、決済手段情報と、診断可能時期情報1201と、各種のプログラムとを記憶する。
共通予約情報は、医用情報処置装置500を備える複数の医療機関(図1に示す例ではA病院およびB病院)の予約情報である。共通予約情報は、例えば、複数の医療機関の各々の識別情報と、予約枠と、当該予約枠に予約済みの患者の識別情報と、予約枠が流行性感染症の患者用の専用予約枠か否かを示すフラグとが対応付けられた情報である。
本実施形態の感染対策情報は、医用情報処置装置500を備える複数の医療機関の各々の感染対策情報である。例えば、本実施形態の感染対策情報は、複数の医療機関の各々の感染対策設備の稼働状況、および、流行性感染症の診療に用いられる備品または消耗品の在庫状況を示す情報である。
決済手段情報は、医用情報処置装置500を備える複数の医療機関の各々がインターネット決済による医療費の支払いに対応しているか否かを示す情報である。
受診予約支援装置1100の処理回路150は、第1の実施形態と同様に、取得機能151と、受付機能152と、予約枠設定機能153と、第1の推定機能154と、第2の推定機能155と、決定機能1156と、特定機能1157と、出力機能158とを備える。取得機能151と、受付機能152と、予約枠設定機能153と、第1の推定機能154と、第2の推定機能155と、出力機能158とは、第1の実施形態と同様の機能を備える。
また、本実施形態の特定機能1157は、第1の実施形態の機能を備えた上で、推定病名に応じて患者を受け入れ可能な1または複数の医療機関を特定する。例えば、特定機能1157は、推定病名が流行性感染症である場合に、記憶回路120に記憶された感染対策情報に基づいて、流行性感染症に対応可能な医療機関を特定する。
また、本実施形態の決定機能1156は、第1の実施形態の機能を備えた上で、記憶回路120に記憶された共通予約情報に基づいて、流行性感染症の専用予約枠または一般の予約枠を、患者の受診タイミングとして決定する。より詳細には、決定機能1156は、推定病名が流行性感染症である場合には、特定機能1157によって患者を受け入れ可能な医療機関として特定された医療機関の流行性感染症の専用予約枠を、患者の受診タイミングとして決定する。
また、本実施形態の決定機能1156は、推定病名が流行性感染症である場合は、1または複数の医療機関のうち、インターネット決済が可能な医療機関を優先的に患者の受診先として決定する。
次に、以上のように構成された受診予約支援装置1100で実行される処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態に係る受診予約支援装置1100で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。S1の問診画面の出力から、S9の自宅療養を推奨する通知を出力する処理までは、第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態の特定機能1157は、決定機能1156によって受診を推奨すると判定された場合(S8“Yes”)、受け入れ可能な医療機関を特定する(S200)。特定機能1157は、特定した医療機関を、決定機能1156に送出する。
S13の早期の受診の要否の判定の処理は第1の実施形態と同様である。また、本実施形態においては、決定機能1156は、S14およびS15の流行性感染症の専用予約枠を選択する処理において、インターネット決済が可能な医療機関の予約枠を優先的に選択する。S16の出力処理は、第1の実施形態と同様である。ここで、このフローチャートの処理は終了する。
このように、本実施形態の受診予約支援装置1100は、推定病名に応じて患者を受け入れ可能な1または複数の医療機関を特定し、推定病名が流行性感染症である場合は、特定した1または複数の医療機関のうち、インターネット決済が可能な医療機関を優先的に患者の受診先として決定する。このため、本実施形態の受診予約支援装置1100によれば、流行性感染症の患者が会計時に他の患者と接触することを回避することができ、他の患者への感染機会を低減することができる。
(第3の実施形態)
この第3の実施形態では、受診予約支援装置は、流行性感染症と推定される患者の医療機関における移動経路を管理する。
図6は、本実施形態に係る受診予約支援システムS3の構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、受診予約支援システムS2は、受診予約支援装置2100と、端末装置200と、専用端末装置600a~600n(以下、特に区別しない場合には、単に専用端末装置600という)とを含む。なお、専用端末装置600の数は特に限定されるものではない。
専用端末装置600は、例えば、医療機関内で使用可能なタブレット端末等であり、無線通信によって受診予約支援装置2100と接続している。専用端末装置600は、無線通信可能なインタフェースと、タッチパネル等の入力装置と、フラッシュメモリ等の記憶装置(記憶回路)と、ディスプレイと、プロセッサ等の制御装置(処理回路)とを備える。また、専用端末装置600は、例えば、医療機関内に設置された発信装置から位置情報を取得し、取得した位置情報を受診予約支援装置2100に送信する。なお、専用端末装置600は、GPS等によって位置情報を取得しても良い。
専用端末装置600は、例えば、医療機関の受け付けで、医療機関を受診する全ての患者に配布される。配布対象の患者は、流行性感染症と推定される患者に限定されないものとする。なお、医療機関内で端末装置200が使用可能な場合には、端末装置200を有する患者には専用端末装置600が配布されなくとも良い。
受診予約支援装置2100は、NWインタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。本実施形態のNWインタフェース110は、第1の実施形態の機能を備えた上で、専用端末装置600と通信可能であるものとする。なお、受診予約支援装置2100は、専用端末装置600と通信可能な他のインタフェースを備えても良い。
受診予約支援装置1100の処理回路150は、第1の実施形態と同様に、取得機能2151と、受付機能152と、予約枠設定機能153と、第1の推定機能154と、第2の推定機能155と、決定機能2156と、特定機能1157と、出力機能2158とを備える。受付機能152と、予約枠設定機能153と、第1の推定機能154と、第2の推定機能155と、特定機能1157とは、第1の実施形態と同様の機能を備える。
また、本実施形態の取得機能2151は、第1の実施形態の機能を備えた上で、専用端末装置600から、専用端末装置600の位置情報を取得する。取得機能2151は、取得した位置情報を決定機能2156に送出する。
また、本実施形態の決定機能2156は、第1の実施形態の機能を備えた上で、推定病名に応じて、患者の医療機関内の移動経路を決定する。例えば、決定機能2156は、推定病名が流行性感染症である場合に、医療機関における感染対策設備の稼働状況(つまり、空調等の排気または換気設備、流行性感染症用に隔離された診察室、流行性感染症の患者用の出入り口、流行性感染症の患者用の通路等)と、他の患者の位置情報とに応じて、当該患者の移動経路を決定する。
例えば、決定機能2156は、推定病名が流行性感染症の患者が、流行性感染症の患者用の出入り口から医療機関に入り、流行性感染症の患者用の通路を通って流行性感染症用に隔離された診察室に入室するように、移動経路を決定する。また、例えば、決定機能2156は、各患者が有する専用端末装置600の位置情報に基づいて、推定病名が流行性感染症ではない患者がいる位置を回避するように、推定病名が流行性感染症の患者の移動経路を決定しても良い。上述の移動経路は一例であり、これらに限定されるものではない。決定機能2156は、決定した移動経路を出力機能2158に送出する。
出力機能2158は、決定された移動経路を、当該患者が有する専用端末装置600または端末装置200に出力する。出力機能2158は、当該患者が有する専用端末装置600の現在位置を示す位置情報を、移動経路と共に専用端末装置600または端末装置200に出力しても良い。
専用端末装置600または端末装置200の制御装置は、受診予約支援装置2100から受信した移動経路をディスプレイに表示することにより、患者が当該移動経路を使用するように誘導する。また、出力機能2158が位置情報を専用端末装置600または端末装置200に出力した場合には、専用端末装置600または端末装置200の制御装置は、当該患者が有する専用端末装置600の現在位置を、移動経路と共にディスプレイに表示しても良い。
このように、本実施形態の受診予約支援装置2100によれば、推定病名に応じて患者の医療機関内の移動経路を決定し、当該移動経路を出力することにより、流行性感染症が患者間で感染する機会を低減することができる。
なお、本実施形態では、推定病名が流行性感染症の患者の移動経路を管理していたが、決定機能2156は、推定病名が流行性感染症の患者がいる位置を回避するように、推定病名が流行性感染症ではない患者の移動経路を決定しても良い。
(変形例)
上述の各実施形態では、予約枠設定機能153は、流行性感染症の専用予約枠を設定していたが、専用予約枠の種類はこれに限定されるものではない。
本変形例においては、予約枠設定機能153は、流行性感染症の流行の度合に応じて、流行性感染症以外の疾病に罹患した患者用の1または複数の専用予約枠を設定する。当該予約枠は、第2の専用予約枠の一例である。
例えば、花粉症等の重症度の低い疾病(軽度の疾病)のために受診した患者が、医療機関内で流行性感染症の患者と接触することによって流行性感染症に感染する場合がある。このため、予約枠設定機能153は、流行性感染症が流行している場合に、重症度の低い疾病の専用予約枠を設定しても良い。また、専用予約枠の対象となる疾病が季節性である場合に、予約枠設定機能153は、当該疾病の流行度合に応じて、専用予約枠の数を増減させても良い。
また、予約枠設定機能153は、流行性感染症が流行している場合に、流行性感染症に罹患した場合に重症化する可能性が高い疾病に罹患している患者の専用予約枠を設定しても良い。例えば、喘息または肺炎に罹患している患者がインフルエンザに感染すると重症化する可能性が高いため、予約枠設定機能153は、これらの疾病の患者の専用予約枠を設定しても良い。なお、流行性感染症に罹患した場合に重症化する可能性が高い疾病は上述の例に限定されるものではなく、例えば、免疫機能が低下する症状を伴う疾病等も含まれるものとする。
また、流行性感染症の流行の度合が高い場合には、予約枠設定機能153は、重症度の低い疾病や流行性感染症に罹患した場合に重症化する可能性が高い疾病に限らず、流行性感染症以外の疾病全般用の専用予約枠を設定しても良い。
予約枠設定機能153は、設定した専用予約枠を記憶回路120に保存する。
また、本変形例の決定機能156は、推定病名が流行性感染症以外の疾病である場合に、患者の受診タイミングを、1または複数の第2の専用予約枠のいずれかに決定する。また、決定機能156は、専用予約枠の対象の疾病が定められている場合には、推定病名が当該疾病である場合に、患者の受診タイミングを、1または複数の第2の専用予約枠のいずれかに決定する。
本変形例の受診予約支援装置100によれば、流行性感染症の流行の度合に応じて、流行性感染症以外の疾病に罹患した患者用の1または複数の専用予約枠を設定することにより、流行性感染症以外の患者が、医療機関内で流行性感染症の患者に接触する機会を低減することにより、流行性感染症の感染の拡大を低減することができる。
また、本変形例の受診予約支援装置100によれば、重症度の低い疾病の患者の専用予約枠を設けることにより、重症度の低い疾病ために受診した患者が、流行性感染症の患者と接触する機会を低減することができる。
また、本変形例の受診予約支援装置100によれば、流行性感染症に罹患した場合に重症化する可能性が高い疾病の患者の専用予約枠を設けることにより、流行性感染症に罹患した場合に重症化する可能性が高い疾病の患者への流行性感染症の感染を低減することができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、患者が適切なタイミングで医療機関を受診することを支援することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。