JP7325353B2 - 衝撃吸収機構 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に加わる衝突荷重を軽減するための衝撃吸収機構に関する。
特許文献1には、車両の側面衝突時の衝撃吸収機構として、木材を一対の拘束部材で挟み付けたものが記載されている。この衝撃吸収機構は、車両の側面衝突時に木材が圧縮されて潰れることにより衝撃を吸収するが、この際拘束部材で木材を拘束しておくことにより、衝突時の木材の割裂等を防止して木材による衝撃吸収効果を確保する。
特開2019-89484号公報
特許文献1では、木材を拘束部材により拘束しつつ衝突時の木材のスムーズな変形を可能とするため、木材を貫通して拘束部材同士を連結するボルトなどの連結部を木材の長手方向の中間部位に設けている。しかしながら、特許文献1の構成では、この連結部の部品やその組付けにコストがかかるという課題があった。
本発明は前述した問題点に鑑みてなされたものであり、低コストで好適に衝撃吸収を行うことのできる衝撃吸収機構を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するための第1の発明は、車両に加わる衝突荷重を軽減するための車両の衝撃吸収機構であって、木材からなる衝撃吸収部と、前記衝突荷重の荷重入力方向と直交する第1の方向において前記衝撃吸収部を内側に挟み込むように配置される拘束部を有する拘束材と、を具備し、前記拘束部の荷重入力側の端部に、前記衝撃吸収部から荷重入力側に突出する突起部が設けられ、前記突起部の荷重入力側の先端が、前記拘束部よりも外側に位置し、前記拘束材は金属製であり、前記突起部は、前記拘束材を折り曲げたものであることを特徴とする衝撃吸収機構である。
本発明の衝撃吸収機構では、衝突物が突起部の荷重入力側の先端に最初に接触することにより、衝撃吸収部に向かう方向の曲げモーメントが拘束部に発生し、拘束部によって衝撃吸収部の木材を好適に拘束してその圧縮による衝撃吸収効果を確保できる。そのため、前記した連結部を省略または低減できて低コストとなる。また、上記の曲げモーメントにより拘束部の面外曲げを抑制し、拘束部の荷重入力方向の座屈を誘導することで高い衝撃吸収効果が得られる。
また、前記拘束材は金属製であり、前記突起部は、前記拘束材を折り曲げたものであるため、拘束材に突起部を容易に形成できる。
第2の発明は、車両に加わる衝突荷重を軽減するための車両の衝撃吸収機構であって、木材からなる衝撃吸収部と、前記衝突荷重の荷重入力方向と直交する第1の方向において前記衝撃吸収部を内側に挟み込むように配置される拘束部を有する拘束材と、を具備し、前記拘束部の荷重入力側の端部に、前記衝撃吸収部から荷重入力側に突出する突起部が設けられ、前記突起部の荷重入力側の先端が、前記拘束部よりも外側に位置し、前記拘束材は樹脂製であり、前記衝撃吸収部の全面を被覆することを特徴とする衝撃吸収機構である。前記拘束材は、例えば前記突起部も含めて一体成形される。
これにより、衝撃吸収機構を容易に製作することができる。
第3の発明は、車両に加わる衝突荷重を軽減するための車両の衝撃吸収機構であって、木材からなる衝撃吸収部と、前記衝突荷重の荷重入力方向と直交する第1の方向において前記衝撃吸収部を内側に挟み込むように配置される拘束部を有する拘束材と、を具備し、前記拘束部の荷重入力側の端部に、前記衝撃吸収部から荷重入力側に突出する突起部が設けられ、前記突起部の荷重入力側の先端が、前記拘束部よりも外側に位置し、前記突起部の荷重入力側の先端と、前記拘束部の前記第1の方向の中心との間の前記第1の方向の距離は、前記拘束部の前記第1の方向の厚さ以上であることを特徴とする衝撃吸収機構である
これにより、突起部の先端の拘束部からのオフセットを大きくし、拘束部に大きな曲げモーメントを発生させることができる。
前記突起部は、前記荷重入力方向および前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って、前記衝撃吸収部の当該第2の方向の全長に亘って形成されることが望ましい。
これにより、衝突物の衝突位置や衝突物の大小等に関わらず、前記した曲げモーメントによる効果を得ることができる。
本発明によれば、低コストで好適に衝撃吸収を行うことのできる衝撃吸収機構を提供できる。
衝撃吸収機構5の配置を示す概略図。 衝撃吸収機構5を示す図。 衝撃吸収機構5を示す図。 衝撃吸収機構5による衝撃吸収について説明する図。 衝撃吸収機構5’による衝撃吸収について説明する図。 衝撃吸収機構5a、5b、5cを示す図。 衝撃吸収機構6を示す図。 衝撃吸収機構6による衝撃吸収について説明する図。 衝撃吸収機構6aを示す図。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の実施形態に係る車両1の衝撃吸収機構5の配置を示す概略図である。衝撃吸収機構5は車両1の衝突時に車両1に加わる衝撃を吸収して衝突荷重を軽減するためのものである。車両1の種類は特に限定されない。
衝撃吸収機構5は、車両1の側部の金属製のボディ3に沿って車両前後方向に配置される。車両前後方向は図1の上下方向に対応する。図1の左右方向は車両幅方向であり、車両前後方向と平面において直交する。
図2、3は衝撃吸収機構5を示す図である。図2は衝撃吸収機構5の斜視断面図である。図3(a)は衝撃吸収機構5を上方から見た図であり、図3(b)は図3(a)の線B-Bによる鉛直断面を示したものである。
図2、3に示すように、衝撃吸収機構5は、衝撃吸収部7、拘束材9等を有する略直方体状の部材であり、長手方向を車両前後方向(図2の奥行方向、図3(a)の上下方向、図3(b)の紙面法線方向に対応する)として車両1のボディ3に面接触するように固定される。固定手法は特に限定されない。例えば、衝撃吸収機構5の前後のそれぞれに図示しない取付板を設け、この取付板をボルトによりボディ3に締結することができる。
本実施形態では、車両1の側面衝突時、車両1の側方から車両1に向かって図2、3の矢印に示すように衝突荷重Aが入力されるものとし、以下この方向を荷重入力方向という。車両1の側面衝突時には、この荷重入力方向に衝撃吸収機構5が潰れることで衝撃が吸収される。衝撃吸収機構5は、前記のように長手方向を車両前後方向としてボディ3に固定することで、衝撃吸収機構5の長手方向の広い範囲で荷重Aを受け止めることが可能となる。以下、衝撃吸収機構5について、衝突荷重Aが入力される側(図2、3の右側に対応する)を荷重入力側、ボディ3側(図2、3の左側に対応する)を固定側ということがある。
衝撃吸収部7は略直方体の形状を有する柱状部材であり、木材により構成される。衝撃吸収部7は長手方向を車両前後方向として配置され、当該長手方向は荷重入力方向と直交する。衝撃吸収部7の鉛直断面は長方形状であり、当該断面のサイズは求められる衝撃吸収性能に応じて適宜設定されるが、図2、3の例では高さよりも荷重入力方向の長さ(以下、幅という)の方が大きい。
なお、衝撃吸収部7の木材の年輪の軸心方向(木材の繊維方向)は、荷重入力方向に対応することが望ましい。これにより、衝突時に木材が年輪の軸心方向に圧縮しつつ潰れることで、その衝撃を良好に吸収することができる。ただし、木材の配置はこれに限らない。
拘束材9は、拘束部91と突起部92を有する板状部材90を衝撃吸収部7の上面と下面に一対配置して構成される。
拘束部91は、鉛直方向(荷重入力方向と直交する第1の方向)において衝撃吸収部7を内側に挟み込むように、衝撃吸収部7の上面と下面に配置される。
拘束部91は、これらの面を荷重入力側の端部から固定側の端部まで覆うように、衝撃吸収部7の長手方向(荷重入力方向および上記第1の方向と直交する第2の方向)の全長に亘って設けられる。衝撃吸収部7の上下面の拘束部91は、衝撃吸収部7の長手方向の両端部のみで、図示しない結束手段により衝撃吸収部7を挟んで結束される。結束手段は特に限定されない。
前記したように、衝撃吸収部7の鉛直断面は長方形状であり高さよりも幅が大きいため、衝撃吸収部7の上面と下面は衝撃吸収部7の面のうち面積が最も大きい面であり、拘束部91がこれらの面を覆うように配置されることで衝撃吸収部7が好適に拘束される。拘束部91は、衝撃吸収部7の木材を拘束しその割裂を防いで木材による衝撃吸収効果を確保しつつ、また衝突時に自ら座屈することにより更なる衝撃吸収効果を得る機能を有する。
突起部92は、拘束部91の荷重入力側の端部において、衝撃吸収部7から荷重入力側に突出するように設けられる。突起部92の荷重入力側の先端a(図3(b)参照)は、拘束部91よりも外側に位置する。外側とは、鉛直方向(第1の方向)において衝撃吸収部7から離れる側を指し、図3(b)の衝撃吸収部7の上側と下側に対応する。
突起部92は、衝撃吸収部7の長手方向(第2の方向)に沿って、衝撃吸収部7の当該長手方向の全長に亘って形成される。突起部92は、例えば拘束材9の板状部材90を折り曲げることにより形成できる。
ここで、突起部92の荷重入力側の先端aは、衝突時に衝突物が最初に接触する位置であり、以下この位置を着力位置ということがある。着力位置aと拘束部91の鉛直方向(第1の方向)の中心cとの間の鉛直方向の距離d1は、拘束部91の鉛直方向の厚さt以上となるように定める。
拘束材9は金属製の剛なものとする。本実施形態では、拘束材9を構成する金属材料を衝撃吸収部7を構成する木材よりも荷重入力方向の圧縮に対し剛なものとするか、または、部材形状を含んだ観点として、拘束材9を衝撃吸収部7よりも荷重入力方向の圧縮に対して剛とする。前者の比較については、例えば金属材料の圧縮時の弾性係数(ヤング率)をインストロン万能試験機を用いた圧縮試験によって得て、JIS Z2101(木材の試験方法)に規定された圧縮試験により求めた木材の弾性係数(ヤング係数)と比較すればよい。後者の比較については、例えば拘束材9と衝撃吸収部7のそれぞれについて、インストロン万能試験機を用いた全断面に対する同一の圧縮試験を別々に行い、圧縮力と歪みの関係から弾性域における剛性を得てこれらを比較に用いればよい。
図4(a)は、衝突時、鉛直柱等の衝突物2が上記の着力位置aに接触した状態を図3(b)と同様の断面で示す図であり、図4(b)は衝突荷重Aにより変形した衝撃吸収機構5を同じく図3(b)と同様の断面で示す図である。
本実施形態では、衝突時、まず図4(a)に示すように、突起部92の着力位置aに接触した衝突物2から衝突荷重Aが入力され、これにより衝撃吸収部7に向かう方向の曲げモーメントMが拘束部91に発生し、衝撃吸収部7が拘束部91によって好適に拘束される。
衝突物2が衝撃吸収部7の荷重入力側の端面bに達すると、その後は図4(b)に示すように衝撃吸収部7の木材が拘束部91によって拘束されつつ荷重入力方向に圧縮されて潰れる。また、拘束部91自体も荷重入力方向に座屈する。
図4(c)は、上記の衝突過程における衝撃吸収機構5の変位と荷重の関係を、縦軸を荷重、横軸を衝撃吸収機構5の変位として模式的に示した図である。荷重は衝撃吸収機構5が衝突時に受ける荷重であり、衝撃吸収機構5が潰れることで吸収される荷重である。衝撃吸収機構5の変位は、衝撃吸収部7の木材の圧縮による荷重入力方向の縮み量である。
図4(c)において、衝撃吸収機構5の衝撃吸収効果は変位による荷重の積分値で表される。衝撃吸収機構5の衝撃吸収効果は大きく衝撃吸収部7の木材の圧縮によるもの、拘束部91の面外変形によるもの、拘束部91の座屈によるものに分けることができ、図中の符号15、17、19はそれぞれの現象による衝撃吸収効果を示したものである。
本実施形態の衝撃吸収機構5を用いた場合、衝突初期には、衝撃吸収部7の木材の圧縮による大きな衝撃吸収効果15が得られる。なお、衝突初期には拘束部91の面外曲げによっても衝撃が吸収されるが、その衝撃吸収効果17は小さい。その後、衝突過程が進むにつれて木材の圧縮による衝撃吸収効果15は徐々に低下する一方、前記した拘束部91の座屈が生じることにより大きな衝撃吸収効果19が得られる。
一方、図5(a)の衝撃吸収機構5’に示すように、拘束材9’に突起部92が設けられない場合、前記した曲げモーメントMが拘束部91に発生しないため、衝突物2の衝突時に拘束部91が衝撃吸収部7から大きく剥がれて面外曲げが優越する。
図5(b)は、図5(a)の衝撃吸収機構5’について、図4(c)と同様に衝突過程における衝撃吸収機構5’の変位と荷重の関係を示したものである。
この場合も、衝突初期には前記と同様、衝撃吸収部7の木材の圧縮による衝撃吸収効果15と拘束部91の面外曲げによる衝撃吸収効果17が生じ、木材の圧縮による衝撃吸収効果15は衝突過程の進行とともに低下する。ただし、この例では前記した曲げモーメントMが拘束部91に発生しないため、拘束部91は衝突過程の進行とともに専ら面外曲げによって衝撃吸収部7の外側に剥がれてゆき、衝突過程が進んでも拘束部91の荷重入力方向の座屈による大きな衝撃吸収効果19が得られない。結果、全体としての衝撃吸収効果は衝撃吸収機構5に比べて低下する。
なお、着力位置aと衝撃吸収部7の荷重入力側の端面bとの間の荷重入力方向の距離d2(図3(b)参照)は、拘束部91に十分な曲げモーメントMが発生した後に衝撃吸収部7の木材の圧縮が開始される程度に大きくすることが望ましい。距離d2が小さいと、拘束部91に十分な曲げモーメントMが発生しないまま衝撃吸収部7の木材の圧縮が開始され、木材の割裂等によって拘束部91が外側に押し出されて剥がれてしまう恐れがある。また、拘束部91の座屈時の節は不定形に発生するが、予め拘束部91の所定位置に1または複数の孔を形成しておき、孔によって座屈時の節を所望の位置に制御することもできる。
以上説明したように、本実施形態の衝撃吸収機構5では、衝突物2が突起部92の荷重入力側の先端a(着力位置a)に最初に接触することにより、衝撃吸収部7に向かう方向の曲げモーメントMが拘束部91に発生し、拘束部91によって衝撃吸収部7の木材を好適に拘束してその圧縮による衝撃吸収効果を確保できる。そのため、前記した連結部を省略または低減できて低コストとなり、軽量化も達成できる。また、上記の曲げモーメントMによって拘束部91の面外曲げを抑制し、拘束部91の荷重入力方向の座屈を誘導することで高い衝撃吸収効果が得られる。
また本実施形態では拘束材9を金属製とし、拘束材9を折り曲げることにより突起部92を容易に形成できる。また前記の距離d1(図3(b)参照)を拘束部91の厚さt以上とすることで、着力位置aの拘束部91からのオフセットを大きくし、拘束部91に大きな曲げモーメントMを発生させることができる。
また突起部92は、衝撃吸収部7の長手方向(第2の方向)に沿って、衝撃吸収部7の当該長手方向の全長に亘って形成されるので、衝突物2の衝突位置や衝突物2の大小等に関わらず、上記した曲げモーメントMによる効果を得ることができる。
しかしながら、本発明は以上の実施形態に限らない。例えば拘束材9の形状は図3等で示したものに限らず様々に定めることができる。例えば図3(b)に示す拘束材9の突起部92は衝撃吸収部7の斜め外側へと直線状に突出しているが、図6(a)の衝撃吸収機構5aの拘束材9aに示すように、板状部材90aを湾曲させて曲線状の突起部92aを形成することもできる。ただし、図3等のように突起部92を折り曲げて形成するほうが加工の工程を少なくでき、加工時のスプリングバックを小さくできる利点がある。
その他、図6(b)の衝撃吸収機構5bに示すように、衝撃吸収部7の荷重入力側の端面bを、突起部92の折り曲げ位置よりも固定側に位置させることも可能である。また場合によっては、図6(c)の衝撃吸収機構5cの拘束材9cに示すように、板状部材90cをかぎ状に折り曲げて突起部92cを形成してもよい。
図6では、上記の各例について、前記した距離d1、d2、拘束部91の厚さt、着力位置aなども図示している。図6(c)の例では突起部92cの荷重入力側の先端が面状であるが、この場合、距離d1の算出時の着力位置aは例えば当該面の鉛直方向における中心とできる。ただし、突起部92cのように荷重入力側の先端が1点でなく面状であると、衝突時に生じる曲げモーメントMの大きさが衝突物2や衝突形態等に応じて変わり易くなることが考えられ、曲げモーメントMのロバスト性の点では若干劣る。
また、本実施形態では金属製の拘束材9を用いているが、拘束材9を前記したように剛とできればその材料は特に限定されず、例えば樹脂を用いることもできる。なお、樹脂材料の圧縮時の弾性係数(ヤング率)は例えばJIS K7181(プラスチック-圧縮特性の求め方)に規定された圧縮試験によって得ることができる。
以下、本発明の別の例を第2の実施形態として説明する。第2の実施形態は第1の実施形態と異なる点について説明し、同様の構成については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
[第2の実施形態]
図7は本発明の第2の実施形態に係る衝撃吸収機構6を示す図である。図7(a)は衝撃吸収機構6を上方から見た図であり、図7(b)は図7(a)の線C-Cによる鉛直断面を示したものである。
衝撃吸収機構6は、拘束材10が樹脂製であり、衝撃吸収部7の全面を被覆する点で第1の実施形態と主に異なる。拘束材10は例えば繊維強化樹脂などの樹脂を用いて形成され、前記の拘束材9と同様に剛なものとする。
拘束材10は、第1の実施形態と同様、鉛直方向(荷重入力方向と直交する第1の方向)において衝撃吸収部7を内側に挟み込むように、衝撃吸収部7の上面と下面に配置される拘束部101を有する。
また拘束部101の荷重入力側の端部には、衝撃吸収部7から荷重入力側に突出する突起部102も設けられる。突起部102の鉛直断面は略円形となっており、第1の実施形態と同様、突起部102の荷重入力側の先端aすなわち着力位置aは、拘束部101よりも外側に位置する。
また、着力位置aと拘束部101の鉛直方向(第1の方向)の中心cとの間の鉛直方向における距離d1も、第1の実施形態と同様、拘束部101の鉛直方向の厚さt以上となるように定めることができる。
突起部102は、衝撃吸収部7の長手方向(荷重入力方向および上記第1の方向と直交する第2の方向)に沿って、衝撃吸収部7の当該長手方向の全長に亘って設けられる。拘束材10は突起部102を含めて一体成形することができ、例えば衝撃吸収部7の木材を特開2018-89775公報に記載されているように射出成型機(不図示)のキャビティ内に浮かせて配置し、当該キャビティ内に成型材料である樹脂を射出すればよい。これにより衝撃吸収機構6を容易に製作できる。ただし、突起部102以外の部分を一体成形した後、これに突起部102を付加することも可能である。
図8は、衝突時、衝突物2が突起部102の着力位置aに接触した状態を図4(a)と同様に示す図である。本実施形態でも、着力位置aに最初に接触した衝突物2から衝突荷重Aが入力され、衝撃吸収部7に向かう方向の曲げモーメントMが拘束部101に発生することで、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第2の実施形態でも、拘束材10の形状は図7等で示したものに限らず様々に定めることができる。例えば図9の衝撃吸収機構6aの拘束材10aに示すように、突起部102aを衝撃吸収部7の斜め外側に直線状に突出するような形状としてもよい。ただし剛性の面では、図7(b)のように突起部102を略円形とすることが望ましい。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、衝撃吸収機構5の配置は第1の実施形態で説明したものに限らず、衝突荷重の入力が想定される車両1の各部において適切な配置で取付けることが可能であり、車両1の内部に設けることも可能である。例えば衝突荷重が車両前後方向に入力されることを想定する場合、車両1の前部や後部に衝撃吸収機構5を固定することができ、衝撃吸収機構5は例えば長手方向を車両幅方向として配置することができる。その他、水平方向に長い衝突物2の存在を想定する場合、衝撃吸収機構5を90°回転して長手方向が鉛直方向となるように配置することも可能である。以上はその他の衝撃吸収機構5a、5b、5c、6、6aにおいても同様である。
1:車両
2:衝突物
3:ボディ
5、5'、5a、5b、5c、6、6a:衝撃吸収機構
7:衝撃吸収部
9、9'、9a、9c、10、10a:拘束材
15、17、19:衝撃吸収効果
90、90a、90c;板状部材
91、101:拘束部
92、92a、92c、102、102a:突起部
A:衝突荷重
M:曲げモーメント

Claims (5)

  1. 車両に加わる衝突荷重を軽減するための車両の衝撃吸収機構であって、
    木材からなる衝撃吸収部と、
    前記衝突荷重の荷重入力方向と直交する第1の方向において前記衝撃吸収部を内側に挟み込むように配置される拘束部を有する拘束材と、
    を具備し、
    前記拘束部の荷重入力側の端部に、前記衝撃吸収部から荷重入力側に突出する突起部が設けられ、
    前記突起部の荷重入力側の先端が、前記拘束部よりも外側に位置し、
    前記拘束材は金属製であり、
    前記突起部は、前記拘束材を折り曲げたものであることを特徴とする衝撃吸収機構。
  2. 車両に加わる衝突荷重を軽減するための車両の衝撃吸収機構であって、
    木材からなる衝撃吸収部と、
    前記衝突荷重の荷重入力方向と直交する第1の方向において前記衝撃吸収部を内側に挟み込むように配置される拘束部を有する拘束材と、
    を具備し、
    前記拘束部の荷重入力側の端部に、前記衝撃吸収部から荷重入力側に突出する突起部が設けられ、
    前記突起部の荷重入力側の先端が、前記拘束部よりも外側に位置し、
    前記拘束材は樹脂製であり、前記衝撃吸収部の全面を被覆することを特徴とする衝撃吸収機構。
  3. 前記拘束材が、前記突起部も含めて一体成形されたものであることを特徴とする請求項記載の衝撃吸収機構。
  4. 車両に加わる衝突荷重を軽減するための車両の衝撃吸収機構であって、
    木材からなる衝撃吸収部と、
    前記衝突荷重の荷重入力方向と直交する第1の方向において前記衝撃吸収部を内側に挟み込むように配置される拘束部を有する拘束材と、
    を具備し、
    前記拘束部の荷重入力側の端部に、前記衝撃吸収部から荷重入力側に突出する突起部が設けられ、
    前記突起部の荷重入力側の先端が、前記拘束部よりも外側に位置し、
    前記突起部の荷重入力側の先端と、前記拘束部の前記第1の方向の中心との間の前記第1の方向の距離は、前記拘束部の前記第1の方向の厚さ以上であることを特徴とする衝撃吸収機構。
  5. 前記突起部は、前記荷重入力方向および前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って、前記衝撃吸収部の当該第2の方向の全長に亘って形成されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の衝撃吸収機構。
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