JP7325247B2 - 発信機の点検方法及び点検治具 - Google Patents

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Description

本発明は、発信機の点検方法及び点検治具に関する。
従来、発信機が取り付けられる例えば高速道路のトンネルに設置される消火栓装置は、開放自在な消火栓扉を備えた筐体内に、ノズル付きホースとバルブ類を収納し、また、開閉自在な消火器扉を備えた消火器収納部に例えば2本の消火器を収納し、更に、通報装置扉が設けられ、ここに赤色表示灯、発信機、及び応答ランプを設けている。
通報装置扉の赤色表示灯は常時点灯し、消火栓装置の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機を押して押し釦スイッチをオン操作すると、発信信号が監視室の防災盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災盤から送られて、応答ランプを点灯するようにしている。
消火栓装置に設けられた発信機は、火災を通報する押し釦式通報装置として機能し、発信機が火災を通報するための機能を正常に備えているかは、定期的な点検によって確かめる必要があり、実際には押し釦を押してスイッチをオンすることで防災盤等に通報すること、及び通報を受信した防災盤では、火災の表示、火災区画の表示に加え、例えばトンネル内では情報板に火災表示や進入禁止等の表示を行う制御信号の送信を行うこと等を点検している。
また、発信機には誤って押さないこと、またいたずらを防止するため、樹脂製の保護板を取り付けることが義務づけられている。また保護板は、押したときに割れてしまう再利用不能なタイプと、押したときに外れ、再度装着できる脱着可能なタイプ(以下「再利用可能タイプ」という)の2種類が存在する。
特開2011-060580号公報 特開2016-018219号公報
ところで、保護板が再利用不能タイプの発信機は、点検する度に保護板を新品に交換することになるが、再利用可能タイプの発信機にあっては、保護板を押した後に保護板を保持しているリング状の枠部材を取外し、発信機内に脱落した保護板を取り出し、改めてリング状の枠部材に保護板を装着した後、これを本体の取付穴に取り付け直す作業が必要となり、手間が掛かる煩雑な作業が避けられないという問題がある。
このような点検に伴い保護板の交換や保護板を取り付け直す作業は他の作業も並行して行うため安全を考慮して手袋を付けて行うことになる。保護板の取付け直し作業には、その都度手袋を外して行わないと不要な時間が掛かり効率性を損ない、手袋装着のままでは作業の細かさから効率性を損ない、一方、手袋未装着のままでは安全性が損なわれることに繋がる。即ち、いずれの場合でも、効率性又は安全性を損なうため、特にトンネルのように通行止めの時間を極力短縮して、利用の利便性を継続的に維持する要請に応えるためには、枠部材に対する保護板の取付け直しする作業を見直して点検を効率化するという観点からの問題の解決が望まれる。
この問題を解決するため特許文献2の発信機にあっては、押し釦スイッチの前に、枠部材と保護板で構成された操作構造を配置した外扉を設け、点検時には外扉を開いて発信機の押し釦スイッチを操作できるようにし、保持枠に対する保護板の取付け直しを不要としているが、押し釦スイッチの操作構造を配置した外扉を新たに設けなければならないことから、構造が複雑化してコストアップになるという問題がある。
また、保護板が再利用可能な発信機にあっては、20N(ニュートン)の力で保護板を押したときは作動せず、20Nを超え80N以下で保護板を押したときに作動することが規格上要求されているが、保護板を押し外すという機械的部分の点検については省略されており、厳密な意味での総合的点検、つまり実際の火災発生時を想定した一連の動作確認まではできていないという課題が残っている。
本発明は、保護板を押し外すという機械的部分の点検を含む発信機の押し釦操作を可能として点検の効率化を図る発信機の点検方法、発信機操作構造及び点検治具を提供することを目的とする。
(第1発明:発信機の点検方法)
本願の第1発明は、押圧操作により枠部との係合が解除されると共に発信機操作部を操作する保護板を備えた発信機の点検方法であって、
保護板を点検治具と当接させて保持するとともに、点検治具を介して保護板を押圧操作することにより枠部との係合を解除するとともに発信機操作部を操作する、
ことを特徴とする。
(第2発明:点検治具)
本願の第2発明は、押圧操作により枠部との係合が解除されると共に発信機操作部に接触して操作する保護板を備えた発信機の点検治具であって、
点検治具は点検操作により、保護板と当接して保持するとともに、保護板を押圧して枠部との係合を解除すると共に発信機操作部を操作する、
ことを特徴とする。
(点検治具の構成)
点検治具は、
発信機の外側に係合して点検操作を受け付ける操作受け部と、
点検操作により保護板に当接して保持する保護板保持部と、
操作受け部に対し保護板保持部を点検操作で連動するように、操作受け部と保護板保持部を備えるロッド部材と、
を備える。
(再係合に対応した保護板保持力)
点検治具の保護板保持部は、枠部との係合が解除された保護板を枠部に再係合させるために必要な所定の力を上回る保持力を有する。
(保持力開放)
点検治具の保護板保持部は、保護板への保持力を開放する保持力開放部を備える。
(押し外し力の測定部)
点検治具は、点検操作における保護板への押圧力を測定して表示する押し外し力測定部を備える。
(第1発明:発信機の点検方法による効果)
本願の第1発明は、押圧操作により枠部との係合が解除されると共に発信機操作部を操作する保護板を備えた発信機の点検方法であって、保護板を点検治具と当接させて保持するとともに、点検治具を介して保護板を押圧操作することにより枠部との係合を解除するとともに発信機操作部を操作するようにしたため、実際に利用者が発信機の保護板を押圧操作して枠部との係合を解除することで発信機操作部を操作するという実際の動作と同様な機械的な点検ができ、人の操作によって押圧操作が可能であることを確認できる。
また、点検治具を使用して発信機の保護板を押圧操作することで、枠部との係合を解除して内部の発信機操作部(押し釦スイッチ)の操作による点検ができ、これにより火災信号が監視室の防災盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災盤から送られて、応答ランプが点灯したら正常動作を確認し、正常動作を確認したら、保護板を保持した枠部材を取付穴に嵌め入れて取り付けるという一連の試験が可能となる。
また、点検治具を発信機の保護板に当接させて保持することで、保護板を押圧操作して枠部との係合を解除しても発信機内に保護板が脱落せず、点検治具に枠部との係合が解除された保護板を保持した状態で、発信機から枠部を取り外すとともに点検治具により保護板を取り外すことで、枠部に保護板を再係合させる際に保護板を発信機内から取り出す手間を無くすことができる。例えば、安全性を損なわないために手袋を付けて行う場合にも、比較的狭い発信機内に手を入れなくて済むようになるため、手袋をつけたまま点検作業を進めることが可能となり、安全性を損なうことなしに点検作業が効率化され、特にトンネルの発信機点検では通行止めの時間を極力短縮して、利用の利便性を継続的に維持することができる。
(第2発明:点検治具の効果)
本願の第2発明は、押圧操作により枠部との係合が解除されると共に発信機操作部に接触して操作する保護板を備えた発信機の点検治具であって、点検治具は点検操作により、保護板と当接して保持するとともに、保護板を押圧して枠部との係合を解除すると共に発信機操作部を操作するようにしたため、前述した発信機の点検方法と同様の効果が得られる。
(点検治具の構成による効果)
また、点検治具は、発信機外側に係合して点検操作を受け付ける操作受け部と、点検操作により保護板に当接して保持する保護板保持部と、操作受け部に対し保護板保持部を点検操作で連動するように、操作受け部と保護板保持部を備えるロッド部材とを設けたため、操作受け部と保護板保持部が連動する用に備えたロッド部材を押し込むことで、保護板が枠部から押し外されて保護板保持部に保持され、保護板を押し外しても内部に落下して残ることがなく、この状態でロッド部材を更に押し込むことで、保護板保持部に保持され保護板により発信機操作部を操作することができる。
(再係合に対応した保護板保持力の効果)
また、点検治具の保護板保持部は、枠部との係合が解除された保護板を枠部に再係合させるために必要な所定の力を上回る保持力を有するようにしたため、枠部に保持している保護板の引外し力は80N以下であることから、保護板保持部の保持力を80Nを超える保持力とすることで、点検治具の押圧操作により枠部から押し外して点検治具の保護板保持部に保持している保護板を、押圧方向とは逆方向に移動して枠部に再係合することができ、押し外した保護板を枠部へ戻して再係合する作業を手袋をつけたまま進めることが可能となる。
(保持力開放の効果)
また、点検治具の保護板保持部は、保護板への保持力を開放する保持力開放部を備えたため、点検治具の押圧操作により枠部との係合が解除されて保護板保持部に保持している保護板を発信機から外部に取り出したときに、保持力開放部により保護板保持部による保護板の保持力を開放し、保護板を簡単に点検治具から外すことができる。
(押し外し力の測定部による効果)
また、点検治具は、点検操作における保護板への押圧力を測定して表示する押し外し力測定部を備えため、点検冶具を使用して保護板を押し外すときの操作力を知ることができ、20Nの力で保護板を押したときは作動せず、20Nを超え80N以下で保護板を押したときに作動するという規格上の条件を、設置環境下でも維持されていることを、正確に確認することができる。
本発明が適用されるトンネル消火栓装置を示した説明図 図1の発信機の部分を取り出して発信機操作構造を示した説明図 図2の枠部材を取り出して示した説明図 図3の保護板を取り出して示した説明図 点検治具の第1実施形態を示した説明図 第1実施形態の取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図 図6に続く取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図 図7に続く取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図 発信機操作構造に対する取付け治具の係合状態を裏面側から示した説明図 点検治具の第2実施形態を示した説明図 第2実施形態の取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図 押し外し力測定部を備えた点検治具の第3実施形態を示した説明図 点検治具の第4実施形態を示した説明図 図13の押し外し力測定部を取り出して調整動作を示した説明図 保護板に対する吸盤の吸着領域を示した説明図 第4実施形態の点検治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図 図16に続く点検治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図
[本実施形態の基本的な概念]
図1は本発明が適用される発信機を取り付けたトンネル消火栓装置を示した説明図、図2は図1の発信機の部分を取り出して発信機操作構造を示した説明図である。
本発明による発信機の点検方法及び点検治具の実施形態の基本的な概念は、例えば、トンネル内に設置される消火栓装置10に設けられた発信機26の点検方法であって、発信機26は押圧操作により枠部材30との係合が解除されると共に発信機操作部として機能する押し釦スイッチ100を操作する保護板32を備えており、保護板32を点検治具48と当接させて保持するとともに、点検治具48を介して保護板32を押圧操作することにより枠部材30との係合を解除するとともに押し釦スイッチ100を操作するようにしたものである。
このため、実際に利用者が発信機26の保護板32を押圧操作して枠部材30との係合を解除することで押し釦スイッチ100(発信機操作部)を操作するという機械的な点検ができ、20Nの力で保護板32を押したときは作動せず、20Nを超え80N以下で保護板32を押したときに作動するという規格上の条件を、設置環境下でも維持されていることを確認できる。
また、点検治具48を発信機26の保護板32に当接させると、点検治具48に保護板32が保持され、保護板32を押圧操作して枠部材30との係合を解除して保護板を介して内部の押し釦スイッチ100(発信機操作部)を操作しても発信機26内に保護板32が脱落せず、点検治具に枠部との係合が解除された保護板を保持した状態で、発信機から枠部を取り外すとともに点検治具により保護板を取り外すことで、枠部に保護板を再係合させる際に保護板を発信機内から取り出す手間を無くすことができる。例えば、安全性を損なわないために手袋を付けて行う場合にも、比較的狭い発信機内に手を入れなくて済むようになるため、手袋をつけたまま点検作業を進めることが可能となり、安全性を損なうことなしに点検作業が効率化され、特にトンネルの発信機点検では通行止めの時間を極力短縮して、利用の利便性を継続的に維持することができる。以下詳細に説明する。
[消火栓装置の発信機]
図1に示すように、例えばトンネルに設置される消火栓装置10は、前面に化粧板14を装着しており、筐体12に対し必要な機器及び部材を組付けた後にトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
化粧板14の右側下部には消火栓扉16が配置され、上部には保守扉18が配置され、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。消火栓扉16は、ハンドルを手前に引いてロックを外すことで下側の軸を中心に前方に開閉することができる。保守扉18は、上側の軸を中心に上向きに開閉自在であり、点検時等に消火栓扉16を開いて内側のロックを外すこと等で開くことができる。
化粧板14の左側には消火器扉20が設けられ、消火器扉20に対応した筐体12の内部に例えば2本の消火器を収納している。消火器扉20はハンドルを手前に引くとラッチあるいはマグネットが外れ、左側を軸として前方に開くことができる。また、消火器扉20の下側には覗き窓22が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
消火栓扉16と消火器扉20の間には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯25、発信機26、及び応答ランプ28が設けられている。発信機26は後の説明で明らかにする本発明による発信機操作構造を備える。
赤色表示灯25は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機26の保護板を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の防災盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災盤から送られて、応答ランプ28が点灯する。
また、消火栓装置10の点検時には、発信機26の保護板を保持したまま枠部材を点検治具により通報装置扉24から取外し、内蔵している押し釦スイッチをオンし、これに伴い応答信号が防災盤から送られて、応答ランプ28を点灯することで正常に動作することを確認する発信機26の点検行う。
[発信機]
図2は図1の発信機の部分を取り出して発信機操作構造を示した説明図であり、図2(A)に正面を示し、図2(B)に縦断面を示し、図2(C)に冶具治具係合部の詳細を拡大断面で示す。また、図3は図2の枠部材を取り出して示した説明図であり、図3(A)に正面を示し、図3(B)に側面を示し、図3(C)に裏側から見た斜視図を示す。更に、図4は図3の保護板を取り出して示した説明図であり、図4(A)に正面を示し、図4(B)に側面を示し、図4(C)に正面から見た斜視図を示し、図4(D)に裏側から見た斜視図を示す。
(発信機保持構造)
図2に示すように、装置本体として機能する通報装置扉24の取付穴34には、発信機26が取り付けられている。発信機26の操作構造は枠部として機能する枠部材30と透明な円板を用いた保護板32で構成される。保護板32の表面には「強く押す」の文字が刻設されている。
枠部材30に保持された保護板32の背後には発信機操作部として機能する押し釦スイッチ100が配置される。押し釦スイッチ100は前方にスイッチカバー103で覆われたスイッチノブ102が設けられ、またスイッチ本体には防水カバー104が設けられ、防水カバー104を通して信号線106が引き出されている。
発信機26を操作する場合には、保護板32を指先で強く押すと、枠部材30から保護板32が外れて押し込まれ、取付穴34の内部に配置している押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンし、火災信号が受信機に送信される。
(枠部材)
図3に示すように、枠部材30は、中央に操作穴36を形成したリング状の部材であり、枠部材30の裏面の上下左右の4箇所には取付アーム部38が延在され、図2(B)に示すように、取付アーム部38が取付穴34に嵌合して発信機26を通報装置扉24に固定している。
また、枠部材30の裏面の取付アーム部38の間となる4箇所にはストッパ部40が起立され、取付穴34に対する取付アーム部38の嵌め込み位置を決めている。
また、枠部材30の裏面には3か所に分かれて保護板保持部42が円弧状に起立されており、ここに裏側から保護板32を嵌め入れることで、図2に示したように、枠部材30に保護板32が保持される。ここで、枠部材30による保護板32の保持力は、前方から保護板32を指で押したときに、20N~80Nの力で外れるように保持力を設定している。
また、枠部材30に形成した操作穴36の内周上側には矩形に切り欠かれた保護板32の位置決め溝45が形成されと共にマーカ45aが表示されている。
(保護板)
図4に示すように、保護板32は透明な合成樹脂で作られた円板部材であり、円板部材の背後に、上側に開いた円筒状のガイドカバー部44を一体に形成し、押し込みを受けて枠部材30から外れた保護板32を押し釦スイッチをオンする位置に案内移動できるようにしている。
また、保護板32の外周の一部には矩形の位置決め部46が形成されると共にマーカ46aが表示されている。保護板32を枠部材30に保持する場合には、図2(A)に示すように、マーカ45a,46aが向かいように位置決めすることで、枠部材30に対し保護板32の押し圧力を、バランス良く受ける正しい位置に保持させることができる。
(操作構造の治具係合部)
図2(A)に示すように、枠部材30に保護板32を裏側から嵌め入れてマーカ45a,46aで位置決めされる正しい位置に保持させると、枠部材30の内周上部に切欠き形成した位置決め溝45の中に、スリット状の開口を持つ治具係合部35が形成される。
即ち、図2(C)の拡大断面に示すように、枠部材30の裏側に保護板32を嵌め入れて保持すると、枠部材30の上部裏側に形成した位置決め溝45に枠部材30の上部の位置決め部46が位置し、その間に、枠部材30に設けた操作穴36の内周面に開口した治具係合部35が形成される。
[点検治具の第1実施形態]
(点検治具の構造)
図5は点検治具の第1実施形態を示した説明図であり、図5(A)に側面を示し、図5(B)に正面を示し、図5(C)に取手部を取り出して示す。
図5に示すように、点検治具48は、点検時に、図2に示した枠部材30から保護板32を押し外して保持したまま枠部材30と共に通報装置扉24の取付穴34から取外すために使用する。
点検治具48は、冶具本体として側面視断面であるa-a’断面がアーチ状となる取手部50を備える。取手部50の先端となる図示の上側に、幅を狭めた舌状の治具側係合部52を屈曲して延在し、また、取手部50の後端側となる図示の下側に、取手部50と同じ幅で屈曲した押圧突起部54を形成している。アーチ状の取手部50は円弧部と円弧部の一端側に接続する先端側平面部50aと他端側に接続される後端側平面部50bとからなる。
このように取手部50、治具側係合部52及び押圧突起部54で構成される点検治具48は、例えばステンレス製のプレート部材を打ち抜きした後の板金加工により作られる。
取手部50の先端側の治具側係合部52は、図2(A)に示した枠部材30の位置決め溝45に形成された冶具係合部35に係合可能な横幅と奥行をもち、先端側を丸くして嵌め込み易くしている。
取手部50の後端側の押圧突起部54は、先端の治具側係合部52を図2に示した枠部材30の冶具係合部35に係合したときに、冶具係合部35とは反対側の枠部材30の表面に押し当てられ、枠部材30に取手部50が取り付けられたと同じ状態を作り出す。
アーチ状の取手部50は点検治具48を使用する点検員が手袋をはめた状態で指をかけて持つことを可能とするものであり、取手部の高さとなるアーチ状の取手部50の円弧部の半径Rは、電気機器の絶縁試験等に使用するJIS規格で定められた試験指(テストフィンガー)の直径である例えば12mmに、点検員が使用する手袋の厚さを加えた値に基づき設定されるものであり、例えばR=15mm~30mmの範囲の値とすれば良い。
また、取手部50の横幅は、10mm~30mmの範囲の値とすればよく、手袋をはめた指で扱う場合には、例えば20mm程度のある程度の幅を持つことが扱い易い。
また、先端の治具側係合部52は枠部材30の中の治具係合部35に係合し、押圧突起部54は枠部材52の表面に押圧されることから、治具側係合部52の底面に対し押圧突起部54の底面は所定の寸法差ΔLだけ高くなる位置に形成している。
更に、取手部50の例えば治具側係合部52に近い位置にはストラップ穴56が形成され、ここにストラップを通して使用することで、点検時に取外し冶具48を落としたり、紛失することが無いようにする。
なお、取手部50は円弧状に限定されず、例えば、矩形状としても良い。取手部の高さとなる取手部50を矩形状とした場合の高さHは、円弧状とした場合の半径Rと同様に、所定の試験指(テストフィンガー)の直径である例えば12mmに、点検員が使用する手袋の厚さを加えた値に基づき設定される、例えばH=15mm~30mmの範囲の値とする。
また、矩形以外の適宜の形態をとってよく、取手部に内接する円の直径φ’=15mm~30mmの範囲の値とするような形態であれば手袋をはめた指で扱う効果を奏することができる。
点検治具48の取手部50には保護板押し外し部60を設ける。保護板押し外し部60は、取手部50の中央の円弧部に形成した通し穴68にロッド(ロッド部材)62を押込み自在に設けており、ロッド62の図示で左端となる後端には操作受け部として機能する押込み釦64を設け、ロッド62の図示で右端となる先端には保護板保持部として機能する円板状のマグネット66を設けている。
取手部50の通し穴68から取り出されたロッド62の後端側(押し外し釦64側)にはストッパ65を設け、ロッド62の押し込み量を規制している。ここで、ストッパ65は、押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンできるようにロッド62の押し込み量を規制している。またロッド62の取手部50の通し穴68から取り出されたロッド62の先端側(マグネット66側)には抜止め67を設けている。
(発信機の点検作業)
図6は第1実施形態の取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図、図7は図6に続く取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図、図8は図7に続く取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図である。
発信機26の点検を行う場合には、まず図6(A)に示すように、点検治具48の先端の治具側係合部52を通報装置扉24に配置している発信機26における枠部材30の治具係合部35、即ち図2(A)に示した枠部材30の上側の位置決め溝45の奥に形成されている治具係合部35に、矢印Aに示すように向けて近付け、図6(B)に示すように、治具係合部35に矢印Bに示すように押込むことで、治具側係合部52を治具係合部35に係合する。
ここで、第1実施形態の点検治具48に設けた保護板押し外し部60の保護板保持部として機能するマグネット66に対応して、発信機操作部の保護板32の裏面(内側面)には磁性材として円形のマグネットシート69が設けられている。
続いて図7(C)に示すように、点検治具48の治具側係合部52を枠部材30の治具係合部35に係合した状態で、点検治具48の下側の押圧突起部54を枠部材30の下側表面に押し当てるようにする。
図9は図7(C)に示す点検治具48の枠部材30に対する係合状態を、枠部材30の裏面側から示しており、点検治具48の治具側係合部52が枠部材30の裏側の治具係合部35に入って係合した状態となっている。これにより図6(B)に示すように、発信機26の前に取手部50が取り付けられた状態となるように点検治具48が係合される。なお、取手部50に設けた保護板押し外し部60は図示を省略している。
続いて、図7(C)に示すように、保護板押し外し部60の押し外し釦64を軽く押し込んでロッド62を前進させて先端のマグネット66を保護板32に接触させると、保護板32の裏面(内側面)に設けたマグネットシート69がマグネット66に保護板32を介して磁気吸着され、保護板32が保持される。
続いて、図7(D)に示すように、押込み釦64を矢印Cのように強く押し込むと、ロッド62はストッパ65が取手部50に当接する位置まで押し込まれ、枠部材30に保持されていた保護板32がロッド62の押圧力を受けて押し外され、押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンするとともにロッド62の先端のマグネット66による磁気吸着で保持される。
このため、実際に利用者が発信機26を操作したことに相当する保護板32の押し外しを行なって機械的な点検ができ、通常の操作力で保護板32を押し外すことができれば、20Nの力で保護板32を押したときは作動せず、20Nを超え80N以下で保護板32を押したときに作動するという規格上の件が維持されていると推定することができる。
続いて、点検員は取手部50に指を掛けた状態で上側を手前に引く操作を行うと、取付穴34に係合している上側の取付アーム部38が変形して取付穴34側から外れ、これに伴い下側の取付アーム部38も取付穴34側から外れ、図8(E)に示すように、通報装置扉24の取付穴34から枠部材30を、保護板押し外し部60で押し外して保持した保護板32と共に、前方に矢印Dに示すように引き出して取外すことができる。
保護板32による押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンすることにより、発信信号が受信機に送信され、受信機側が正常に動作すると、図1に示した応答ランプ28が点灯し、正常に動作したことが確認できる。
このように点検作業が終了したならば、点検治具48に設けた保護板引外し部60のマグネット66に保持している保護板32を外して枠部材30に嵌め戻し、保護板32を嵌め戻した枠部材30を取付穴34に押し込むことで、点検前の配置状態に簡単に戻すことができる。
[点検治具の第2実施形態]
(点検治具の構造)
図10は点検治具の第2実施形態を示した説明図であり、図10(A)に側面を示し、図10(B)に正面を示し、図10(C)に吸盤部分を取り出して示す。
図10に示すように、本実施形態は、図6に示した第1実施形態の点検治具48における保護板保持部として機能するマグネット66を、吸盤70に置き替えたことを特徴とし、他の構成は第1実施形態と同じになる。
即ち、本実施形態は、点検治具48の取手部50に押込み自在に設けたロッド62の先端に、保護板保持部として機能する吸盤70を設けている。吸盤70は、先端側に開いた円錐形状であり、先端面外周にリング状の接触面70aを形成しており、軟質プラスチック、ゴム等の軟質弾性材料で形成されている。
吸盤70は発信機操作部に設けられた保護板32に押し当てることで、吸盤70内の空気を押出しながら接触面70aで保護板32に密着し、吸盤70内の真空度が高まることで(外部に比べ内部圧力が下がることで)保護板32が大気圧により吸盤70に押し付けられて吸着する。
また、吸盤70の外側円錐面に吸着開放部72を設け、吸盤70による保護板32の吸着を開放可能とする。吸着開放部72は、図10(C)に示すように、吸盤70の外側円錐面に円筒形の弁ボディ74を一体に設け、弁ホディ74に設けた細い通し穴に紐77を備えた針弁76を突き刺しており、紐77で連結して脱落紛失を防いでいる。
吸盤70に保護板32を吸着した状態で、吸着開放部72の針弁76を抜くと、吸盤70の内部が外気に連通して大気圧に戻り、吸着が解除されて保護版32が外れる。なお、吸着開放部72は弁ホディ74と針弁76を用いた構造に限定されず、開放操作で吸盤70の内部を外部に連通させる任意の構造でよい。
(発信機の点検作業)
図11は第2実施形態の取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図である。
発信機26の点検を行う場合には、まず図11(A)に示すように、点検治具48の先端の治具側係合部52を通報装置扉24に配置している発信機26における枠部材30の治具係合部35に押込むことで、治具側係合部52を治具係合部35に係合し、点検治具48の下側の押圧突起部54を枠部材30の下側表面に押し当てるようにする。
この状態で保護板押し外し部60の押し外し釦64を押し込んでロッド62を前進させ、先端の吸盤70を保護板32に押し当てて吸着する。
続いて、図11(B)に示すように、押込み釦64を強く押し込むと、ロッド62はストッパ65が取手部50に当接する位置まで押し込まれ、枠部材30に保持されていた保護板32がロッド62の押圧力を受けて押外され、押外された保護板32は押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンするとともにロッド62の先端の吸盤70による吸着で保持されている。
このため、実際に利用者が発信機26を操作したことに相当する保護板32の押し外しを行なって機械的な点検ができる。
続いて、点検員は取手部50に指を掛けた状態で上側を手前に引く操作を行うと、取付穴34に係合している上側の取付アーム部38が変形して取付穴34側から外れ、これに伴い下側の取付アーム部38も取付穴34側から外れ、通報装置扉24の取付穴34から枠部材30を、保護板押し外し部60で押し外して保持した保護板32と共に引き出して取外すことができる。
保護板32による押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンすることにより、発信信号が受信機に送信され、受信機側が正常に動作すると、図1に示した応答ランプ28が点灯し、正常に動作したことが確認できる。
このように点検作業が終了したならば、点検治具48に設けた保護板押し外し部60の吸盤70に設けた吸着開放部72の針弁76を抜くことで吸着を解除して保護板32を外し、外した保護板32を枠部材30に嵌め戻し、保護板32を嵌め戻した枠部材30を取付穴34に押し込むことで、点検前の配置状態に簡単に戻すことができる。
[点検治具の第3実施形態]
図12は点検治具の第3実施形態を示した説明図であり、保護板の押し外し力を測定する押し外し力測定部を設けたことを特徴とする。
図12(A)は図5に示した第1実施形態の点検治具48に押し外し力測定部80を設けている。押し外し力測定部80は点検治具48の保護板押し外し部60に設けたロッド62に加わる押し外し力を検知して表示計82に表示するプッシュプルゲージが使用され、表示計82は例えば0N~200Nのレンジを持っている。
図12(B)は図10に示した第2実施形態の点検治具48に、保護板押し外し部60のロッド62に加わる押し外し力を検知するプッシュプルゲージを用いた押し外し力測定部80を設けており、同様に、ロッド62に加わる押し外し力を測定して0N~200Nのレンジを持つ表示計82に表示するようしている。
このような押し外し力測定部80を備えた点検治具48を使用して発信機26の点検を行うことで、保護板32を押外すときの力を測定することができ、20Nの力で保護板32を押したときは作動せず(押し外しができず)、20Nを超え80N以下で保護板32を押したときに作動する(押し外しができる)という規格上の条件が維持されているか否かを正確に確認できる。
なお、押し外し力測定部80はプッシュプルゲージに限定されず、ロッド62による保護板32を押外す力を検知して表示するものであれば、適宜の測定機構や測定器で良く、任意である。
[点検治具の第4実施形態]
図13は点検治具の第4実施形態を示した説明図であり、図13(A)に側面を示し、図13(B)に正面を示し、図13(C)に図13(A)のb-b’視断面を示す。
(点検治具の構造)
図13に示す本実施形態の点検治具48は、図10に示した第2実施形態の点検治具48における保護板保持部として同様に吸盤70を使用しているが、吸盤70による保護板の吸着力を可変する吸着力調整部86を設けたことを特徴とする。本実施形態による吸盤70の吸着力調整部86は保護板32を吸着した状態でハンドル94の操作により吸着力を強くしたり弱くしたりすることができる。それ以外の構造は図10に示した第2実施形態と同じになる。
このように吸盤70の吸着力を可変できることで、吸盤70で保護板32を吸着したときに吸着力を十分に高い値に調整し、枠部材30から保護板32を押し外したときに吸盤70で確実に保護板32を保持し、保護板32の押圧操作で押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオンしたのちに、枠部材30から押し外した保護板32を吸盤70に保持したまま枠部材30に嵌め戻す作業を可能とする。
図13に示すように、点検治具48の取手部50に押込み自在に設けたロッド62の先端側には吸着力調整部86を介して吸盤70を設けている。なお、吸盤70は吸着力を可変できることから図10に示した第2実施形態の吸盤70に比べサイズの大きな吸盤としている。
吸着力調整部86は、ロッド62の先端に開口したネジ穴92が設けられ、ネジ穴92に吸盤70の後部に起立したネジ軸88を螺合している。ネジ穴92の外側に一体にハンドル94が形成され、ハンドル94によりロッド62を回転可能としている。
吸着力調整部86には吸盤70及びハンドル94の外側を覆って図示で右側に開いた略門型の支持枠90が設けられ、支持枠90は通し穴96の部分でロッド62と、回転自在で且つ軸方向の相対的な動きを規制するように嵌め合わされている。
初期状態において、支持枠90の脚部90aの先端位置に対し、吸盤70の接触面70aが微小な所定間隔Δx、例えばΔx=1mm程度飛び出した位置となるように位置決めされている。これにより押し外し釦64を押し込むと、まず吸盤70の接触面70aが保護板32に接触し、続いて所定間隔ΔSの動きで支持枠90の脚部90aの先端が保護板32当り、吸盤70が所定間隔Δxだけ押し潰されることで、初期的な保護板32の吸着を可能とする。
(吸盤と吸着力の関係)
図14は図13の押圧力調整部を取り出して調整動作を示した説明図であり、図14(A)は吸着初期状態を示し、図14(B)は吸着力を増加させた状態を示す。
図14(A)に示す吸着初期状態では、吸盤70の受ける図13に示した所定間隔Δxの変位による内部容積Q1への減少に伴う内部圧力P1への減少による外部の大気圧P0との圧力差ΔP(=P0-P1)と吸着面積に基づく力を受けて保護板32が吸盤70に吸着されている。
吸着力調整部86は、吸盤70を固定した状態でハンドル94を右に回すと、ネジ穴92の右回転によりネジ軸88をネジ穴92の方向(図示左方向)に移動して吸盤70を引き広げ、容積を増加して内部圧力を低下させることで(真空度を高めることで)吸着力を高めることができる。
また、吸盤70を固定した状態でハンドル94を左に回すと、ネジ穴92の左回転によりネジ軸88をネジ穴92とは反対方向(図示右方向)に移動して吸盤70を押し戻し、容積を減少して内部圧力を増加させることで(真空度を弱めることで)吸着力を下げることができる。
図14(B)はロッド62によるネジ穴90の右回転によりネジ軸88を引き込んで吸盤70を引き広げることで内部容積Q1からQ2への増加させた状態であり、内部容積Q2への増加に伴い内部圧力P1はP2に減少し、真空度が高くなり、その結果、外部大気圧P0との圧力差がΔP1からΔP2に増加し、吸着力が増加する。
図15は保護板に対する吸盤の吸着領域を示した説明図である。図15に示すように、吸盤70の吸着力Fは、保護板32に吸着した吸盤70の大気側に面した吸着領域70bの面積Sに掛かる大気による力に依存している。即ち大気圧は1気圧の場合1cmあたり約0.1MPaの圧力であり、1cmの面積には9.8Nの力が働く。
ここで、吸盤70と保護板32の間(吸盤内部圧力)が仮に真空となっているとすると、吸盤70内側から押す力はゼロとなるので、吸盤70には吸着領域70bの面積Sに比例して大気圧による力が外側から掛かることになる。
保護板32の引外し力は80N以下であるので、ロッド62を押し込んで枠部材30から保護板32を押外すとき、保護板32に80Nまでの引外し力が掛かるが、このときは吸盤70は保護板32に押し付けられることから、吸盤70から取れずに保持される。
一方、枠部材30から押し外した保護板32を、ロッド62を引いて枠部材30に内側から嵌め戻す場合には、保護板32に吸盤70から引き外す方向の力が加わる。このとき吸盤70が保護板32を吸着している力が、枠部材30に保護板32を嵌め戻すに必要な力より大きければ、取外し冶具48の吸盤70に保護板32を保持した状態で、保護板32を枠部材30に嵌め戻すことができる。
例えば保護板32の押し外し力は規定上20N~80Nであるので、吸盤70の吸着領域70aの面積Sを、80Nを超える力を大気から得るように決める。即ち
0.1(MPa/cm)×(S)cm×9.8N=80N
の関係から吸着領域70aの面積Sは
S=8.2cm
となる。
ここで、吸盤70の吸着領域70bを図15に示すように円形とすると、半径r=1.62cmとなり、半径r=1.62cmより大きい吸着領域70aの面積Sを持つ吸盤70とすれば良い。
本実施形態では、保護板32は例えば直径が4cmあるので、吸盤70の吸着力は最大で123N(=2×9.8)となり、吸盤70の大きさを保護板32の大きさに近いサイズにすることで、点検治具48から保護板32を取り外さずに枠部材30に保護板32を嵌め戻すことできる。
例えば、吸盤70の吸着力を80Nするには、吸盤70の吸着領域70bは直径3.24cmとなり、直径4cmの保護板32に対しサイズの小さい吸盤70を使用することができる。
実際には、吸盤70の内部は真空とはならないが、図14(B)に示すように、吸着力調整部86により吸盤70を引き広げて内部容積を増加させることで真空度を十分に高めることができ、枠部材30に保護板32を嵌め戻すに十分な吸着力を確保することができる。
(発信機の点検作業)
図16及び図17は第4実施形態の取付け治具を用いた発信機操作部の取外しの手順を示した説明図である。
発信機26の点検を行う場合には、まず図16(A)に示すように、点検治具48の先端の治具側係合部52を通報装置扉24に配置している発信機26における枠部材30の治具係合部35に押込むことで、治具側係合部52を治具係合部35に係合し、点検治具48の下側の押圧突起部54を枠部材30の下側表面に押し当てるようにする。
この状態で保護板押し外し部60の押し外し釦64を押し込んでロッド62を前進させ、先端の吸盤70を保護板32に押し当て、所定間隔Δxだけ吸盤70を変形することで初期的な吸着状態とする。
続いて、図15(B)に示したように、ハンドル94を右回転して吸盤70の内部容積を増加して内部圧力を下げて真空度を高め、吸着力を例えば80N以上に増加させる。
続いて、図15(B)に示すように、押込み釦64をロッド62のストッパ65が取手部50に当接する位置まで押し込むと、枠部材30に保持されていた保護板32がロッド62の押圧力を受けて押外され、押外された保護板32はロッド62の先端の吸盤70による吸着で保持されている。このため、実際に利用者が発信機26を操作したことに相当する保護板32の押し外しを行なって機械的な点検ができる。
続いて、点検員は取手部50に指を掛けた状態で上側を手前に引く操作を行うと、取付穴34に係合している上側の取付アーム部38が変形して取付穴34側から外れ、これに伴い下側の取付アーム部38も取付穴34側から外れ、図17(C)に示すように、通報装置扉24の取付穴34から枠部材30を、保護板押し外し部60で押し外して保持した保護板32と共に引き出して取外すことができる。
続いて、枠部材30を取外して開放した取付穴34から指を入れ、内部に配置している図2(B)に示した押し釦スイッチ100のスイッチノブ102を押し込んでオン操作すると、火災信号が受信機に送信され、受信機側が正常に動作すると、図1に示した応答ランプ28が点灯し、正常に動作したことが確認できる。
このように点検作業が終了したならば、点検治具48の押し外し釦64に指を掛けてロッド62を強く引くことで、吸盤70に吸着保持している保護板32を枠部材30に嵌め戻す。このとき吸盤70による保護板32の吸着力は、枠部材30に保護板32を嵌め戻すに必要な力を超えていることから、吸盤70から外れることなく吸盤70で保持しながら保護板32を枠部材30に嵌め戻すことができる。
続いて、ハンドル94を左回転して吸盤70の吸着力を下げて保護板32から吸盤70を外して点検治具48を枠部材30から取出し、保護板32を嵌め戻した枠部材30を取付穴34に押し込むことで、点検前の配置状態に簡単に戻すことができる。
このような吸着力調整部86を備えた点検治具48による点検作業では、枠部材30を点検治具48から外すことなく枠部材30に対する保護板32の取外しと再装着を、安全性を損なわないために手袋を付けたままで実施できる。
なお、本実施形態について、図12の第3実施形態と同様に、押し外し力測定部80を設けても良い。また、本実施形態の吸盤70に、図10の第2実施形態と同様に、吸着開放部72を設けても良い。
[本発明の変形例]
(枠部材の幅)
上記の実施形態に加え、枠部材30の外周面の幅は親指の腹の部分がリングを抑えられる程度の幅、例えば5mm程度の幅とすることが好適である。また、上記の実施形態の通り、取手部50の横幅は、10mm~30mmの範囲の値とし、手袋をはめた指で扱う場合には、例えば20mm程度のある程度の幅とすると、人差し指の第1間接と第2関節を曲げたときの幅となる。上記の構成とすることで、点検治具の取手部に人差し指を挿入しながら親指で枠部材を固定することができ、またフィット感、安定感を得ることが可能となり、片手で枠部材を取外しても枠部材と点検治具の係合を維持することができる。
(治具係合部の配置)
上記の実施形態にあっては、図2(A)に示したように、保護板32の位置決め部46が位置する上部の位置決め溝45の部分に治具係合部35を設けているが、これに限定されず、治具係合部35は枠部材30の内周の下側、右側、又は左側のいずれかに設けても良い。また、治具係合部35は一ケ所に限らず、例えば枠部材30の内周の上下等の複数個所に設けても良い。
また、治具係合部35と治具側係合部52ともに対応する複数箇所に設けても良い。このような構成とするとき、取り外し治具48はばね性を備えるものとし、保護板32を保持した枠部材30を前記取付穴から取外す際は、取り外し治具を変形させたうえで治具係合部35と治具側係合部52が係合する位置に点検治具48を配置し、配置後に変形を解除することで治具係合部35と治具側係合部52を係合させる。
(係合部の構成)
また、治具係合部35と治具側係合部52は係合可能であれば適宜の形態をとってよい。例えば枠部材30にフック状の係合部を治具係合部として一体成型又は取り付けて、治具側係合部で係合させて保護板を保持した枠部材を前記取付穴から取外せるようにしても良い。治具係合部と治具側係合部の係合はまた、磁力による係合であっても良いし、吸着による係合であっても良い。
(治具係合部の構成)
また、治具係合部は治具側係合部の押し込み方向において、例えばテーパ状に形成する又は凸部を形成するなどして押し込む向きに隙間が狭くなるように構成しても良い。上記の構成とすることで、枠部材が装置本体の取付面から離脱する作用が得られる。
(保護板)
上記の実施形態は、保護板32として、押したときに外れて再度装着できる脱着可能なタイプを例にとっているが、これに限定されず、押したときに割れてしまう再利用不能なタイプの保護板を用いた発信機の操作構造についても、同様に適用することができ、保護板を割ることなく、保護板をつけたまま枠部材を取付穴から点検治具により外して押し釦スイッチをオン操作する点検ができる。
(消火栓装置)
また、上記の実施形態は、トンネルに設置される消火栓装置に設けた発信機を例にとるものであったが、これに限定されず、保護板を保持した枠部材を装置本体の取付穴に設けた操作構造の発信機であれば、適宜の装置や機器に設けた発信機に適用することができる。
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。また本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:消火栓装置
24:通報装置扉
26:発信機
28:応答ランプ
30:枠部材
32:保護板
34:取付穴
36:操作穴
38:取付アーム部
38a:アームガイド溝
40:ストッパ部
40a:ストッパガイド溝
42:保護板保持部
44:ガイドカバー部
45:位置決め溝
45a,46a:マーカ
46:位置決め部
48:点検治具
50:取手部
52:治具側係合部
54:押圧突起部
56:ストラップ穴
60:保護板押し外し部
62:ロッド
64:押し外し釦
65:ストッパ
66:マグネット
67:抜止め
68:通し穴
69:マグネットシート
70:吸盤
70a:接触面
70b:吸着領域
72:吸着開放部
74:弁ボディ
76:針弁
80:押し外し力測定部
82:表示部
84:電源スイッチ
86:吸着力調整部
88:ネジ軸
90:支持枠
92:ネジ穴
94:ハンドル
96:通し穴
100:押し釦スイッチ
102:スイッチノブ
103:スイッチカバー
104:防水カバー

Claims (6)

  1. 押圧操作により枠部との係合が解除されると共に発信機操作部を操作する保護板を備えた発信機の点検方法であって、
    前記保護板を点検治具と当接させて保持するとともに、前記点検治具を介して前記保護板を押圧操作することにより枠部との係合を解除するとともに前記発信機操作部を操作する、
    ことを特徴とする発信機の点検方法。
  2. 押圧操作により枠部との係合が解除されると共に発信機操作部に接触して操作する保護板を備えた発信機の点検治具であって、
    前記点検治具は点検操作により、前記保護板と当接して保持するとともに、前記保護板を押圧して前記枠部との係合を解除するとともに前記発信機操作部を操作する、
    ことを特徴とする発信機の点検治具。
  3. 請求項2記載の点検治具に於いて、
    点検操作を受け付ける操作受け部と、
    点検操作により前記保護板に当接して保持する保護板保持部と、
    前記操作受け部に対し前記保護板保持部を点検操作で連動するように、前記操作受け部と前記保護板保持部を備えるロッド部材と、
    を設けたことを特徴とする点検治具。
  4. 請求項3記載の点検治具に於いて、
    前記保護板保持部は、前記枠部との係合が解除された前記保護板を前記枠部に再係合させるために必要な所定の力を上回る保持力を有することを特徴とする点検治具。
  5. 請求項4記載の点検治具に於いて、
    前記保護板保持部は、前記保護板への保持力を開放する保持力開放部を備えることを特徴とする点検治具。
  6. 請求項2記載の点検治具に於いて、点検操作における保護板の押し外し力を測定して表示する押し外し力測定部を設けたことを特徴とする点検治具。
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