JP7325034B2 - 鋳造用砂型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造用砂型の製造方法及び鋳造用中子に関する。
従来、鋳造用砂型の製造では、製品と略同形状の木製などの模型を作製し、この模型を定盤に置いて枠で囲い、模型の周囲に砂を押し込んで固め、模型を取り出すことで砂型を分割して製造していた。また、ロウで製作した模型を砂の中から燃焼あるいは溶融して除去するロストワックス法などでも砂型が製造されていた。しかし、模型を砂に転写して砂型を作製する方法では、インペラ等の複雑な形状を再現することが難しく砂型の精度に改善の余地があり、また模型や模型の保管場所が必要となり工数や製造コストでも改善の余地があった。
この改善策として、製品の形状データに基づき数値制御加工機械によって直接砂ブロックを加工する鋳造用砂型の製造方法や、積層造形法(3Dプリンタ)による鋳造用砂型の製造方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)。
特開2003-19542号公報 特許第3114159号公報 特開2002-316299号公報 特開平11-239843号公報
特許文献1の鋳造用砂型の製造方法では、鋳型用粉末と熱硬化性樹脂を混合した後加熱してブロック材を形成し、このブロック材を切削工具で切削してキャビティを形成し、鋳造用砂型を製造する。
特許文献2の鋳造用砂型の製造方法では、粉粒体としての砂を、圧縮強度が20~80kg/cm(略196~784N/cm)となるように圧縮するとともに、粘結材の水ガラスによってガスにより硬化させ、又はフラン樹脂の酸による硬化反応を利用することで硬化させて、砂ブロックを得る。さらに、CAM(Computer Aided Manufacturing)を用いて、3次元的な鋳型の形状を基に加工機械の駆動プログラムを作製して加工機械の駆動を制御し、機械支持部に2又は3方向に移動自在に設けられたマシンヘッドのエンドミル等で砂ブロックを加工して鋳造用砂型を製造する。
特許文献3の鋳造用砂型の製造方法では、粉粒体を固化剤で固化させたブロックを切削加工して型を製造している。固化剤に使用する粘結剤は、炭酸ガス硬化用アルカリフェノール樹脂とエポキシ化合物との混合物である。ブロックは、切削加工する際は0.3MPa以上2MPa未満(30N/cm以上200N/cm未満)の圧縮強度であり、型として使用する際は加熱処理により2MPa以上、好ましくは8MPa以上30MPa以下(800N/cm以上3000N/cm未満)の圧縮強度である。このブロックを自動制御加工機により切削加工し型を製造する。
特許文献4の鋳造用砂型の製造方法では、内部に3枚の翼の形状に沿ったキャビティが形成された中子を積層造形法(3Dプリンタ)により製造している。
ところで、鋳物にはインペラのような複雑形状の物があり、このような複雑形状に応じたキャビティを有する鋳造用砂型が求められている。仮に、砂ブロックを加工機械の加工工具で直接加工する場合には、加工時に砂ブロックが崩れず且つ加工面を精度良く仕上げる必要がある。さらには、複雑形状のキャビティを有する鋳造用砂型において加工工数が低減できれば好ましい。
しかし、特許文献1の鋳造用砂型の製造方法では、ブロック材は、鋳型用粉末に熱硬化性樹脂を混合して加熱するため、加熱する工数がかかる。さらに、加工工具をブロック材の上方から垂直に進入させているため、アンダーカットを有する複雑な形状のキャビティを製造できない。
特許文献2の鋳造用砂型の製造方法では、粘結材に水ガラスやフラン樹脂を使用しており、水ガラスやフラン樹脂を使用した砂ブロックでは内部の奥まで均一に固化することが難しく、加工時に砂ブロックの内部の奥まで崩れない強度を得るために、圧縮強度を大きくする必要があり、特許文献1の技術では圧縮強度を20kg/cm(略196N/cm)以上にしており砂ブロック造型に手間がかかる。さらに、加工時は、機械支持部に2又は3方向に移動自在に設けられたマシンヘッドのエンドミル等で砂ブロックを加工するので、アンダーカットを有する複雑な形状のキャビティを製造できない。
特許文献3の鋳造用砂型の製造方法では、粘結剤は、炭酸ガス硬化用アルカリフェノール樹脂とエポキシ化合物との混合物を使用している。しかし、炭酸ガス硬化用アルカリフェノール樹脂では、炭酸ガス硬化のため炭酸ガスを別途用意する必要があり製造コストが高くなる。また、加工時の圧縮強度でそのまま使えず、鋳造の使用時には加熱処理して圧縮強度を高くする必要があり、手間がかかる。さらに、自動制御加工機は、工具がブロックの上方から鉛直方向に延びているだけであり、アンダーカットを有する複雑な形状のキャビティを製造できない。
特許文献4の鋳造用砂型の製造方法では、積層造形法(3Dプリンタ)によって中子を製造するので複雑な形状のキャビティを形成できる。しかし、一般的に同じ大きさの鋳型を作製する場合、砂ブロックを切削加工すると2~3時間の工数で済むものが、積層造形法(3Dプリンタ)を使用すると約一日の工数がかかるため、積層造形法では加工工数が大きく製造コストが高くなる。積層造形法では造形範囲が小さいため、大型の中子やおも型を製造するには大きさの制約があり、分割して製造せざるを得ない場合がある。さらに、3枚の翼の形状に沿ったキャビティが形成された大型の中子を3分割して製造する必要があり、中子の組付けに手間がかかる上、分割することで中子全体としての精度が低下する虞がある。
本発明は、以上の点に鑑み、平面視で2方向以上のアンダーカットを有する複雑形状のキャビティが形成された大型の鋳造用砂型を、短時間で一体的に精度良くできる技術を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明の鋳造用砂型の製造方法は、
型枠内に粘結材と混錬した鋳物砂を充填し、
圧縮強度が15~50(N/cm)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm)の少なくともいずれか一方を満たすように前記型枠内の前記鋳物砂をプレスして固化させることで砂ブロックを形成する砂ブロック形成工程と、
形状データに基づいて棒状の除去工具をコンピュータ制御により操作する数値制御加工機械を用いて、前記砂ブロックの平面視にて前記除去工具を少なくとも2方向以上から進入させて前記砂ブロックを除去加工することでアンダーカットを有するキャビティが形成された鋳造用砂型の中子又はおも型を製造する除去加工工程と、を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、砂ブロック形成工程では、砂ブロックは、圧縮強度が15~50(N/cm2)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm3)の少なくともいずれか一方を満たすように形成されているので、圧縮強度及びかさ密度が除去加工に適した範囲となり、除去工具による除去加工によっても崩れることなく、加工面の精度を向上させることができる。さらに、型枠内の鋳物砂をプレスするだけで砂ブロックが形成されるので、短時間で砂ブロックを形成することができる。さらに圧縮強度が15~50(N/cm2)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm3)の少なくともいずれか一方を満たす砂ブロックとすることで、鋳物砂のプレスが低圧で済むので、砂ブロックの造型を容易にできる。さらに、砂ブロックの圧縮強度が比較的小さいので加工時の除去工具に加わる負荷を低減することができる。
さらに、除去加工工程では、数値制御加工機械を用いて、砂ブロックの平面視にて除去工具を少なくとも2方向以上から進入させて砂ブロックを除去加工することでアンダーカットを有するキャビティが形成されるので、単なるアンダーカットではなく、複雑形状のキャビティを有する中子又はおも型を製造することができる。さらに、砂ブロックを除去工具で除去加工するので、積層造形法(3Dプリンタ)に比較して、短時間で所望の中子やおも型を製造することができる。また、大型の中子やおも型は崩れやすく扱い難いため、仮に積層造形法(3Dプリンタ)で砂型を製造すると熱硬化性樹脂により粘着された砂自体で型全体の形状を保つ必要があることや、造形範囲の制約から、大型の中子やおも型を製造することは難しい。この点、本発明では、砂ブロックが型枠で押さえられているので大型の中子やおも型であっても型枠が周囲を支持するので、容易に型全体の形状を保つことができ、加えて加工範囲が積層造形法よりも大きいことから、大型の中子やおも型であっても製造することができる。
[2]また、本発明の鋳造用砂型の製造方法において、
前記除去加工工程は、前記砂ブロックの平面視にて異なる方向に連続すると共に、前記砂ブロックの垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続する前記アンダーカットを形成することが好ましい。
かかる構成によれば、平面視で複数方向に連続すると共に垂直方向の複数方向の傾きが連続するアンダーカットを有する、3次元的にひねりのある複雑な形状のキャビティが形成された中子又はおも型を製造することができる。
[3]また、本発明の鋳造用砂型の製造方法において、
前記除去加工工程は、前記キャビティの平面視にて渦巻き状で且つ高さ方向にねじれているインペラ形状に形成すると共に、前記インペラ形状の全ての羽根を平面視にて一つの前記砂ブロックに形成することが好ましい。
かかる構成によれば、渦巻き状で複雑なねじれのあるインペラ形状の全ての羽根を含む大型の中子であっても製造することができる。
[4]また、本発明の鋳造用砂型の製造方法において、
前記混錬工程では、
前記除去加工工程では、前記数値制御加工機械は4軸以上のマシニングセンタを使用していることを特徴とするが好ましい。
かかる構成によれば、4軸以上のマシニングセンタであれば砂ブロックが設置されるテーブルを回転させるなどして、3次元的な複雑な形状のキャビティであっても製造することができる。
[5]また、本発明の鋳造用砂型の製造方法において、
シャンク幅又は直径Dに対する突出し量Lの比(L/D)が5~50である前記除去工具で前記砂ブロックを深掘する除去加工を含むことが好ましい。
かかる構成によれば、除去工具はシャンク幅又は直径Dに対する突出し量Lの比(L/D)が5~50であっても被加工物が過度に圧縮されていない砂ブロックであるので、除去工具がびびることなく砂ブロックに除去加工で深堀することができる。さらに、(L/D)が5~50となる長尺の除去工具の先端部分で、砂ブロックの表面付近を加工する場合であっても、被加工物が過度に圧縮されていない砂ブロックであるので、除去工具がびびることなく砂ブロックの表面付近を浅く除去加工することができる。このように、本発明では、1本の除去工具で深く加工することも浅く加工することも可能となる。
[6]また、内部に製品部分を鋳造するためのキャビティを有する鋳造用中子において、
前記キャビティは、圧縮強度が15~50(N/cm)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm)の少なくともいずれか一方を満たす砂ブロックに形成され、
前記砂ブロックの平面視にて異なる方向に連続すると共に、前記砂ブロックの垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続するアンダーカットを有することが好ましい。
かかる構成によれば、圧縮強度が15~50(N/cm)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm)の少なくともいずれか一方を満たす砂ブロックに形成されたキャビティであるので、溶湯を流し込んでも崩れることがなく、鋳物を製造することができる。さらに、鋳造用中子は、砂ブロックの平面視にて異なる方向に連続すると共に、砂ブロックの垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続するアンダーカットであるので、ひねりのある複雑な形状の鋳物であっても、精度の高い鋳物とすることができる。
[7]また、前記キャビティは、前記砂ブロックに複数形成され、
前記キャビティの形状は、前記砂ブロックの平面視にて渦巻き状で且つ高さ方向にねじれているインペラの羽根の形状であり、
複数の前記キャビティの全てが平面視にて一つの前記砂ブロックに形成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、インペラの3次元的にねじれた複数の羽根の形状のキャビティを1つの砂ブロックに形成するので、従来技術のように分割することで中子全体としての精度が低下する虞がなく、複雑形状のキャビティが形成された大型の鋳物を精度高く製造することができる。
本発明に係る鋳造用砂型の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 図2Aは砂ブロック形成工程のうち型ばらし工程を模式的に示す図である。図2Bは砂ブロック形成工程のうち粉砕工程を模式的に示す図である。図2Cは砂ブロック形成工程のうち再生処理工程を模式的に示す図である。図2Dは砂ブロック形成工程のうち別態様の再生処理工程を模式的に示す図である。図2Eは鋳仕上げ工程により得た製品を示す図である。 図3Aは砂ブロック形成工程のうち混錬工程を模式的に示す図である。図3Bは砂ブロック形成工程のうち押し固め工程を模式的に示す図である。 図4Aは比較例の砂ブロックの断面を模式的に示す要部拡大図である。図4Bは実施形態の砂ブロックの断面を模式的に示す要部拡大図である。 図5Aは本発明に係る鋳造用砂型で鋳造された鋳物の使用例を示す図である。図5Bは鋳造用砂型から取り出された直後の鋳物の一例を示す図である。 図6Aは除去加工工程のうち形状データ作製工程から加工パス作製工程までを模式的に示す図である。図6Bは除去加工工程のうち砂ブロックセット工程から除去加工工程までを模式的に示す図である。 図7Aは数値制御加工機械の要部拡大図である。図7Bはクローズドインペラ用の中子の除去加工を説明する図である。図7Cは砂ブロックのアンダーカットを除去加工する状態の説明図である。 図8Aはクローズドインペラ用の中子の平面図である。図8Bはクローズドインペラ用の中子の垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続するアンダーカットの説明図である。 図9Aはクローズドインペラ用の中子の加工位置を示す平面図である。図9Bは図9Aの各加工位置における除去工具の垂直方向に対する傾き角の説明図である。 図10Aはクローズドインペラ用の中子の斜視図である。図10Bはクローズドインペラ用のおも型の斜視図である。図10Cはクローズドインペラ用のおも型に中子をセットした状態の斜視図である。 図11Aは鋳造工程のうち型合わせ工程から注湯工程までを模式的に示す図である。図11Bは図11Aの鋳造用砂型の別態様を説明する図である。
(実施形態)
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1のフローチャートでは、図2~図11を適宜参照するものとする。図1に示すように、本発明に係る鋳造用砂型1の製造方法は大きく分けて、砂ブロック形成工程、除去加工工程および鋳造工程の上位レベルの工程で構成されている。
砂ブロック形成工程(砂ブロックの製造方法)は、鋳造用砂型1をリサイクルする場合、鋳造用砂型1をばらして鋳物10を取り出す型ばらし工程と、鋳物砂2を粉砕する粉砕工程と、粉砕された鋳物砂2を再生処理する再生処理工程と、再生処理された鋳物砂2に粘結材3を混錬する混錬工程と、混錬された鋳物砂2を押し固めて固化させ砂ブロック4を得る押し固め工程とを備えている。型ばらし工程で取り出した鋳物10は、仕上げ加工を施す鋳仕上げ工程を得て製品となる。
なお、実施形態では、砂ブロック形成工程において鋳物砂2をリサイクルするところから含めたが、これに限定されず、鋳造用砂型1を全て新規の鋳物砂2から製造する場合は、混錬工程から始め、次に押し固め工程を行うものとする。
除去加工工程は、鋳物10の形状データ10aを作製する形状データ作製工程と、形状データ10aから鋳造用砂型1の型形状を加工するための除去工具43の加工経路等を作製する加工パス作製工程と、数値制御加工機械40に砂ブロック4をセットする砂ブロックセット工程と、数値制御加工機械40で砂ブロック4を除去加工して鋳造用砂型1を得る除去加工工程とを備えている。
鋳造工程は、鋳造用砂型1の上型1a、下型1b及び中子7等を合わせる型合わせ工程と、金属材料を溶解して溶湯を得る溶解工程と、溶湯を鋳造用砂型1に流し込む注湯工程とを備えている。
次に上位レベルとしての砂ブロック形成工程を詳しく説明する。図2Aに示すように、型ばらし工程では、上下の型枠20の鋳物砂2中から鋳物10を取り出とともに、型枠20から鋳物砂2を外してばらばらにする。取り出した鋳物10に振動等を加えることで鋳物砂2を落としてもよい。
図2Bに示すように、粉砕工程では、ばらした鋳物砂2はある程度の大きさの塊になっている部分があるので、この鋳物砂2を粉砕機21で元の粒状に近くなるまで粉砕する。
図2Cに示すように、再生処理工程では、粉砕した鋳物砂2を再生装置22aに投入し、再生装置22aを回転させて遠心力で鋳物砂2を飛ばし再生装置22aの周壁にぶつけて、鋳物砂2に付いた粘結材3を砕いて落とす。このように、乾式の再生装置22aを使用するので、湿式のように鋳物砂2を水洗いすることなく、鋳物砂2のリサイクルを容易に行うことができる。さらに細かく砕いた鋳物砂2から粘結材3を吸塵機24で吸引し、粘結材3が除去された鋳物砂2を得る。
図2Dは、図2Cの別態様を示し、再生処理工程では、粉砕した鋳物砂2を再生装置22に投入し、バーナー23で加熱して鋳物砂2に付いた粘結材3を炭化させる。さらに加熱した後の鋳物砂2から炭化した粘結材3を吸塵機24で吸引し、粘結材3が除去された鋳物砂2を得る。
一方、図2Eに示すように、鋳仕上げ工程では、型ばらし工程で取り出された鋳物10に対して、バリ取り、グラインダー掛け、仕上げ加工、ショットブラストなどを必要に応じて施し、鋳物10の最終的な製品を得る。
図3Aに示すように、混錬工程では、鋳物砂2として、人工セラミック砂である粒度分布の平均粒度が所定の値の大粒2aと、平均粒度が大粒2aの所定の値よりも小さい小粒2bとの、平均粒度の異なる複数種類の鋳物砂2を混錬機25に投入する。さらに、水溶性のエステル硬化用アルカリフェノール樹脂を含む粘結材3を混錬機25に投入し、鋳物砂2と粘結材3とを混錬する。具体的には、粘結材3は、エステル硬化用アルカリフェノール樹脂およびアルカリフェノール樹脂用硬化剤からなる。
このとき、鋳物砂2の全体に対する混合比率は約97.5wt%であり、粘結材3の全体に対する混合比率は約2.5wt%である。詳細には、粘結材3の2.5wt%の構成は、水でうすめたエステル硬化用アルカリフェノール樹脂の混合比率が約2.0wt%、アルカリフェノール樹脂用硬化剤の混合比率が約0.5wt%とすることが好ましい。エステル硬化用アルカリフェノール樹脂そのものの混合比率は約1%であるが、混合比率が1%であると全体に行き渡りにくい。そこで、水溶性のエステル硬化用アルカリフェノール樹脂を使用することで、水でうすめて全体に容易に行き渡らせることができる。
また、鋳物砂2において、大粒2aと小粒2bとの比率は、大粒2a:小粒2b=70:30とすることが好ましい。この比率にすることで、鋳物砂2のリサイクル時の再生率を全体として91%と高い値にすることができる。
なお、上記の鋳物砂2および粘結材3の混合比率に近ければ好ましいが、上記混合比率は、一例であり、鋳物砂2の混合比率を80%~70%、粘結材3の混合比率を20%~30%、全体として100%となるようにしてもよい。さらには、これらの混合比率に限定されるものではない。また、実施形態では、エステル硬化用アルカリフェノール樹脂を水溶性としたがこれに限定されず、水溶性ではないエステル硬化用アルカリフェノール樹脂を使用しても差し支えない。
図3Bに示すように、押し固め工程では、定盤28の上に型枠20を置き、型枠20内に粘結材3と混錬した鋳物砂2を充填する。圧縮機26を用いて、型枠20内の鋳物砂2を押し固める。このとき、混錬された鋳物砂2と水溶性のエステル硬化用アルカリフェノール樹脂からなる粘結材3とを、プレスしながら加振装置27で振動を与えて固化させる。
鋳物砂2と水溶性のエステル硬化用アルカリフェノール樹脂からなる粘結材3とを押し固めて、圧縮強度が15~50(N/cm2)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm)の少なくともいずれか一方を満たすように型枠20内の鋳物砂2の全体をプレスして固化させることで所定形状の砂ブロック4を形成する。エステル硬化用アルカリフェノール樹脂を含む粘結材3による砂ブロック4とすることで、砂ブロック4全体に粘り強さを持たせ、靭性を向上させることができる。このため、砂ブロック4が撓むことがあっても壊れることがなく、砂ブロック4を容易に扱うことができる。
次に砂ブロック4の断面の構成を模式的に誇張して説明する。図4Aは、図4Bに対する比較例の砂ブロック4の構成であり、鋳物砂2は、人工セラミック砂で自然の砂に比較して丸みを帯びており、粒度分布の平均粒度が所定の値の大粒2aと、平均粒度が大粒2aの所定の値よりも小さい小粒2bとからなる。押し固め工程では、加振装置27による振動を与えていないため、大粒2aと小粒2bと乱れて配列されている。
図4Bは押し固め工程で加振装置27による振動を与えた砂ブロック4の構成である。鋳物砂2は、比較例同様、大粒2aと小粒2bとからなる。鋳物砂2の大粒2aと小粒2bとは、押し固め工程で振動を与えられることで、規則的に整列するように配列されている。このため、図4Aの砂ブロック4に比較して図4Bの砂ブロック4は、除去加工時の加工面5(図7C参照)の加工精度を向上させ、表面粗さを小さくして加工面5をきれいに仕上げることができる。
また、鋳物砂2は、球状のセラミック人工砂であり、大粒2aの平均粒度は150~212(μm)で、混合比が60~50%であり、小粒2bの平均粒度は75~106(μm)で、混合比が40~50%であり、合わせて100%とすることがより好ましい。このような構成とすることで、鋳造用砂型1(図11A参照)のリサイクル性や通気性を確保したうえで、塗型なしで表面の精度がよい鋳物10(図5B参照)を得ることができる。
なお、鋳物砂2は、球状のセラミック人工砂に限定されず、角張った部分を有するセラミック人工砂や、自然砂、さらには、けい砂、クロマイト砂、ジルコン砂など、砂ブロック4に使用できれば、他の一般的な鋳物砂2であっても差し支えない。また、大粒2aと小粒2bの平均粒度は、上記の値に限定されず、他の平均粒度の砂粒であってもよく、混合比率も上記の値に限定されるものではなく、上記以外の範囲に適宜変更しても差し支えない。
次に砂ブロック4の上記以外の作用効果について説明する。以上に述べたように、混錬された鋳物砂2と粘結材3とを単にプレスするだけでなく、振動を与えながらプレスするので、砂ブロック4内全体において、密度のむらをなくすことができる。さらに、鋳物砂2は、人工セラミック砂であるので、自然の砂に比較して砂粒の大きさのむらを低減するとともに砂粒の形状が丸型となり、砂粒2a、2bを均一に配列することができる。さらに、粘結材3のエステル硬化用アルカリフェノール樹脂は水溶性であるので、鋳物砂2と混錬させ易く且つ廃棄時の除去も容易にできる。
さらに、平均粒度が大粒2aの所定の値よりも小さい小粒2bは、軽いためリサイクルの再生処理工程時に吸引除去され易いが、平均粒度が所定の値の大粒2aを混ぜることでリサイクル率を向上させることができる。さらに、平均粒度が所定の値の大粒2aを混ぜることで、鋳造用砂型1の通気性を向上させることができる。さらに、平均粒度が大粒2aの所定の値よりも小さい小粒2bを混ぜることで、加工面5の精度を向上させることができる。すなわち、リサイクル性や通気路の確保をしたうえで、除去加工後の加工精度を向上させることができる。
さらに、鋳物砂2を再生利用して砂ブロック4を形成するには、新規に平均粒度の小さい小粒2bの鋳物砂2を加え、平均粒度の大きい大粒2aの鋳物砂2は、再生利用のものを使用する。こうすることで、ばらし工程の後、粘結材3を吸塵機24のエアーの吸い込みで除去する際に、小粒2bの鋳物砂2が粘結材3と一緒に除去されるが、平均粒度の小さい小粒2bの鋳物砂2を加えることで、大粒2aのほとんどをリサイクルすることができる。
なお、実施形態は、押し固め工程で、鋳物砂2に加振装置27により振動を与えた砂ブロック4に限定されず、図4Aの比較例に示した鋳物砂2に加振装置27により振動を与えていない砂ブロック4も含むものとする。ただし、押し固め工程で、鋳物砂2に加振装置27により振動を与えた砂ブロック4の方が、砂ブロック4内全体で鋳物砂2の粒2a、2bを均一にし、密度のむらをなくす効果は大きい。
次に本発明の鋳造用砂型1による鋳物10の製品例について説明する。図5Aに示すように、鋳物10は、いわゆるクローズドインペラである。クローズドインペラ10は、ウォーターポンプ15等に使用され、羽根11が主板12と側板13との間に挟まれており、回転軸14を中心に回転させて側板13の開口から入った水を主板12の遠心力及び羽根11の案内により外径方向に吐出するものである。
図5B、図11Aに示すように、鋳造用砂型1から外した直後のクローズドインペラ10は、溶湯62が湯道で固まりクローズドインペラ10に着いた状態である。クローズドインペラ10の羽根11は、平面視で渦巻状であり、且つ、中心から外径に向かってねじれた3次元的に複雑な形状である。
次に上位レベルとしての除去加工工程について詳しく説明する。図6Aに示すように、形状データ作製工程では、コンピュータ31により製品となる鋳物10(図5参照)の形状データ(不図示)を作製する。2次元図面の場合であっても、製品となる鋳物10が立体形状である場合は、3次元CADによる形状データを作製する。さらに、製品となる鋳物10の形状データを基にして3次元CAD上で鋳造用砂型1(図11参照)の設計を行う。このとき、鋳造用砂型1の分割方法、形状によっては中子形状、溶湯の湯道などの鋳造方案の検討も行い設計する。例えば、鋳物10がクローズドインペラのように複雑な形状の場合、鋳造用砂型1の中子7(図8参照)の形状データ10aを作製する。
加工パス作製工程では、鋳造用砂型1のCADの形状データを基に、CAMソフトを使用しモニタ32で加工範囲4aにおける除去工具43aの経路などの動かし方を検討し、数値制御加工機械40(図6B参照)の動作プログラム(例えば、いわゆるGコード)を作製する。CAMソフトへの入力データは、例えば、除去工具43aの種類、回転数、送り速度、切削量、経路(加工パス)などであり、最終的な加工形状データ33をモニタ32で確認する。
図6B、図7Aに示すように、数値制御加工機械40は、第1軸(X軸)となるレール44と、これらのレール44にスライド可能に立つ支柱45と、これらの支柱45に掛け渡され第2軸(Y軸)となる梁部46と、この梁部46にスライド可能に設けられるスライダ47と、このスライダに昇降可能に設けられ第3軸(Z軸)となる昇降機構48と、この昇降機構48に昇降機構48の軸周りに回転可能に設けられ第4軸(回転軸)となる回転機構51と、この回転機構51に揺動可能に設けられ第5軸(揺動軸)となる揺動機構52とを備えている。
さらに、数値制御加工機械40は、レール44間に設けられる台53と、台53に設けられるクランプ機構54と、揺動機構の先端部に設けられるスピンドル41及びチャック42とを備え、チャック42に除去工具43が取付けられている。数値制御加工機械40は、いわゆる5軸加工機である。なお、数値制御加工機械40では、CAMソフト上での除去工具43aに対応する、除去工具43を使用するものとする。
砂ブロックセット工程では、台53に砂ブロック4をセットし、この砂ブロック4の型枠20をクランプ機構54でクランプする。なお、実施形態の砂ブロック4は型枠20を設けたが、これに限定されず、中子などの型形状によっては、砂ブロック4に型枠20を設けずに直接砂ブロック4をクランプ機構54でクランプしてもよい。
図6B~図7Cに示すように、除去工具43は、エンドミルであり、直径Dに対するチャック42端部からの突出し量Lの比(L/D)が5~50である。なお、実施形態では、除去工具43をエンドミルとしたが、これに限定されず、除去工具43は、ドリル、バイト、電着砥石などの少なくとも1つでもよく、砂ブロック4を除去加工できれば、他の棒状の工具であっても差し支えない。バイトの場合は、直径Dではなくシャンク幅Dとする。
除去加工工程では、形状データに基づいて除去工具43をコンピュータ制御により操作する4軸以上の数値制御加工機械40を用いて、砂ブロック4の砂粒を除去工具43で剥がしながら除去加工することによって鋳造用砂型1の一部又は全部を製造する。加工条件は、除去工具43が回転工具の場合、加工速度を1~4(m/sec)、送り速度を1000~9000(mm/分)とすることが好ましい。なお、加工条件は、上記の値に限定されず、砂ブロック4を加工できれば、上記以外の値であってもよい。
なお、実施形態では、数値制御加工機械40を、5軸のマシニングセンタとしたが、これに限定されず、数値制御加工機械40は、4軸以上のマシニングセンタであれば、4軸、6軸のマシニングセンタであってもよい。数値制御加工機械40を、4軸以上とすることで、アンダーカット6がある鋳物10の鋳造用砂型1を製造することができる。さらに、中子を削減して、高精度の鋳造用砂型1を製造することができる。
特に、数値制御加工機械40を5軸のマシニングセンタとすることで、図5Aに示すクローズドインペラ10のような羽根11を有する複雑な形状で大きい立体形状であり、且つ、除去工具43を少なくとも2方向以上から進入させて砂ブロック4を除去加工することで砂ブロック4の平面視にて異なる方向に連続すると共に、砂ブロック4の垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続する羽根11を形成するためのアンダーカット6を有する鋳造用砂型1を製造することができる。
次にクローズドインペラ10(図5参照)用の中子7について説明する。図8Aに示すように、中子7は、クローズドインペラ10の羽根11、主板12の内面、側板13の内面などを形成するものである。羽根11を形成するためのキャビティ70は、中子7にキャビティ70平面視にて、中心部71から外周部72に向かって渦巻き状に3か所に形成されている。3か所のキャビティ3は、全てが平面視にて1つの砂ブロック4に形成されている。
図8A、図8Bに示すように、一つのキャビティ70の断面は、中心部71から外周部72に向かって、断面の位置(1)では垂線方向(軸方向)に対する傾き角が大きく、断面の位置(2)では断面の位置(1)より傾き角が小さくなり、断面の位置(3)では断面の位置(2)より傾き角が小さくなり、断面の位置(4)では断面の位置(3)より傾き角が小さくなる。
このように、中子7のキャビティ70の形状は、砂ブロック4の平面視にて異なる方向に連続すると共に、砂ブロック4の垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続するアンダーカット6を有している。
次に、除去加工工程における、除去工具43の角度について説明する。図9Aに示すように、中子7、キャビティ70は、中子7にキャビティ70の平面視にて、中心部71から外周部72に向かって渦巻き状に3か所に形成されている。
図9A、図9Bに示すように、一つのキャビティ70の断面は、中心部71から外周部72に向かう断面の位置(1)~(4)において、垂線方向(軸方向)対する傾き角は、断面の位置(1)では傾き角がθ1であり、断面の位置(2)では傾き角がθ2であり、断面の位置(3)では傾き角がθ3であり、断面の位置(4)では傾き角がθ4であり、θ1>θ2>θ3>θ4となるように徐々に傾き角を変えている。
除去加工工程では、除去工具43が中子7の中心部71から外周部72に向かって、砂ブロック4の平面視にて異なる方向に連続すると共に、砂ブロック4の垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続するように移動し、複雑なアンダーカット6の形状を形成している。このような除去加工を行うことで、キャビティ70を平面視にて渦巻き状で且つ高さ方向にねじれているインペラ形状(インペラの羽根の形状)に形成すると共に、インペラ形状の全ての羽根11(図5参照)を平面視にて一つの砂ブロック4に形成する。
次に中子7とおも型8について説明する。図10Aに示すように、砂ブロック4を除去工具43で除去加工することで中子7を製造する。同様に砂ブロック4を除去工具43で除去加工することで、図10Bに示す、おも型8を製造する。図10Cに示すように、おも型8に中子7をセットすることで鋳造用砂型1を得る。なお、図10Cの鋳造用砂型1は、クローズドインペラ10を2個取りするように形成されている。
次に上位レベルとしての鋳造工程について詳しく説明する。図11Aに示すように、型合わせ工程では、上型1aと下型1bとの間に中子7をセットし、上型1aと下型1bとを位置決めピン(不図示)などで位置決めして合わせて鋳造用砂型1とする。この場合上型1a及び下型1bは、おも型8とも言える。また、型枠20をクランプ部材28でクランプしてもよい。型枠20をクランプすることで、溶湯62を流し込んだ際に上型が浮き上がることを抑制できる。
溶解工程では、金属材料を溶解して溶湯62を得る。注湯工程では、取鍋61から溶湯62を鋳造用砂型1の湯口63に流し込む。溶湯62は鋳造用砂型1のキャビティ70に充填され、冷却することで固化しクローズドインペラ(鋳物)10となる。
次に図11Aの鋳造用砂型1の別態様を説明する。図11Bに示すように、上型1aには、製品を形成するキャビティ70全体に亘って大きく突出する凸部7が形成されている。下型1bには、製品を形成するキャビティ70全体に亘って大きく窪むとともに上型1aの凸部7に嵌る凹部8が形成されている。
上型1aに凸部7を形成し、下型1bに凹部8を形成することで、型合わせ工程において、鋳造用砂型1に位置決めピンを設ける必要がなく、鋳造用砂型1を容易に製造することができる。この効果は、数値制御加工機械40を4軸以上の特に5軸のマシニングセンタとすることで、鋳造用砂型1の分割面(パーティングライン)を自由に決めることができることによるものである。
次に上記以外の作用効果について説明する。砂ブロック形成工程では、砂ブロックは、圧縮強度が15~50(N/cm2)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm3)の少なくともいずれか一方を満たすように形成されているので、圧縮強度及びかさ密度が除去加工に適した範囲となり、除去工具43による除去加工によっても崩れることなく、加工面5の精度を向上させることができる。さらに、型枠20内の鋳物砂をプレスするだけで砂ブロックが形成されるので、短時間で砂ブロック4を形成することができる。さらに圧縮強度が15~50(N/cm2)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm3)の少なくともいずれか一方を満たす砂ブロック4とすることで、鋳物砂2のプレスが低圧で済むので、砂ブロック4の造型を容易にできる。さらに、砂ブロック4の圧縮強度が比較的小さいので加工時の除去工具43に加わる負荷を低減することができる。さらに、除去工具43に加わる負荷を低減することができることから、加工速度及び送り速度を速めることができ、したがって大幅に加工工数を低減して製造コストを低く抑えることができる。
さらに、除去加工工程では、数値制御加工機械40を用いて、砂ブロック4の平面視にて除去工具43を少なくとも2方向以上から進入させて砂ブロック4を除去加工することでアンダーカット6を有するキャビティ70が形成されるので、単なるアンダーカット6ではなく、複雑形状のキャビティ70を有する中子7又はおも型8を製造することができる。
さらに、砂ブロック4を除去工具43で除去加工するので、積層造形法(3Dプリンタ)に比較して、短時間で所望の中子7やおも型8を製造することができる。また、大型の中子7やおも型8は崩れやすく扱い難いところ、仮に積層造形法(3Dプリンタ)で砂型を製造すると熱硬化性樹脂により粘着された砂自体で型全体の形状を保つ必要があることや、造形範囲の制約から、大型の中子7やおも型8を製造することは難しい。また、積層造形法では、型枠20に密着したおも型8を作ることが難しいため、仮に積層造形法でおも型を製造できても、型枠20をクランプして抑えることができず、大型の鋳物10を製造するために大量の溶湯を型に流し込んだ際、上型1aが浮き上がる虞がある。
この点、本発明では、砂ブロック4が型枠20で押さえられているので大型の中子7やおも型8であっても型枠20が周囲を支持するので、容易に型全体の形状を保つことができ、加えて加工範囲が積層造形法よりも大きいことから、大型の中子7やおも型8であっても製造することができる。さらに型枠20をクランプ部材28でクランプすることで、大量の溶湯を型に流し込んでも上型1aを抑えることができ、容易に大型の鋳物10を製造することができる。
さらに、平面視で複数方向に連続すると共に垂直方向の複数方向の傾きが連続するアンダーカット6を有する、3次元的にひねりのある複雑な形状のキャビティ70が形成された中子7又はおも型8を製造することができる。
さらに、渦巻き状で複雑なねじれのあるインペラ形状の全ての羽根11を含む大型の中子7であっても製造することができる。
4軸以上のマシニングセンタであれば砂ブロックが設置されるテーブルを回転させるなどして、3次元的な複雑な形状のキャビティ70であっても製造することができる。なお、5軸以上のマシニングセンタであれば、テーブルの回転も不要となる。
さらに、除去工具43はシャンク幅又は直径Dに対する突出し量Lの比(L/D)が5~50であっても被加工物が過度に圧縮されていない砂ブロック4であるので、除去工具43がびびることなく砂ブロック4に除去加工で深堀することができる。さらに、(L/D)が5~50となる長尺の除去工具43の先端部分で、砂ブロック4の表面付近を加工する場合であっても、被加工物が過度に圧縮されていない砂ブロック4であるので、除去工具がびびることなく砂ブロックの表面付近を浅く除去加工することができる。このように、本発明では、1本の除去工具43で、深く加工することも浅く加工することも可能となる。
さらに、圧縮強度が15~50(N/cm)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm)の少なくともいずれか一方を満たす砂ブロック4に形成されたキャビティ70であるので、溶湯62を流し込んでも崩れることがなく、鋳物10を製造することができる。さらに、鋳造用中子7は、砂ブロック4の平面視にて異なる方向に連続すると共に、砂ブロック4の垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続するアンダーカット6であるので、ひねりのある複雑な形状の鋳物10であっても、精度の高い鋳物とすることができる。
さらに、インペラの3次元的にねじれた複数の羽根11の形状のキャビティ70を1つの砂ブロック4に形成するので、従来技術のように分割することで中子全体としての精度が低下する虞がなく、複雑形状のキャビティ70が形成された大型の鋳物10を精度高く製造することができる。
また、実施形態では、鋳物10をクローズドインペラとしたが、これに限定されず、いわゆるオープンインペラでもよく、さらには、ひねりのあるアンダーカット6を有するキャビティ70であれば、鋳造用砂型1はインペラ用でなくてもよい。
1… 鋳造用砂型
2… 鋳物砂(球状のセラミック人工砂)
3… 粘結材(水溶性のエステル硬化用アルカリフェノール樹脂、アルカリフェノール樹脂用硬化剤)
4… 砂ブロック
6… アンダーカット
7… 中子(鋳造用中子)
8… おも型
10… 鋳物(クローズドインペラ、オープンインペラ、インペラ)
10a… 製品の形状データ
11… 羽根
31… コンピュータ(CAD、CAM)
40… 数値制御加工機械
43… 除去工具(エンドミル、ドリル、バイト、電着砥石)
D… シャンク径又は直径
L… チャック端部からの突出し量
θ1~θ4… 除去工具の傾き角

Claims (5)

  1. 型枠内に粘結材と混錬した鋳物砂を充填し、
    圧縮強度が15~50(N/cm2)、又は、かさ密度が1.0~2.0(g/cm3)の少なくともいずれか一方を満たすように前記型枠内の前記鋳物砂をプレスして固化させることで砂ブロックを形成する砂ブロック形成工程と、
    形状データに基づいて棒状の除去工具をコンピュータ制御により操作する数値制御加工機械を用いて、前記砂ブロックの平面視にて前記除去工具を少なくとも2方向以上から進入させて前記砂ブロックを除去加工することでアンダーカットを有するキャビティが形成された鋳造用砂型の中子又はおも型を製造する除去加工工程と、を含むことを特徴とする鋳造用砂型の製造方法。
  2. 請求項1記載の鋳造用砂型の製造方法であって、
    前記除去加工工程は、前記砂ブロックの平面視にて異なる方向に連続すると共に、前記砂ブロックの垂直方向に対する傾き角が異なる角度で連続する前記アンダーカットを形成することを特徴とする鋳造用砂型の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の鋳造用砂型の製造方法であって、
    前記除去加工工程は、前記キャビティの平面視にて渦巻き状で且つ高さ方向にねじれているインペラ形状に形成すると共に、前記インペラ形状の全ての羽根を平面視にて一つの前記砂ブロックに形成することを特徴とする鋳造用砂型の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1記載の鋳造用砂型の製造方法であって、
    前記除去加工工程では、前記数値制御加工機械は4軸以上のマシニングセンタを使用していることを特徴とする鋳造用砂型の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1記載の鋳造用砂型の製造方法であって、
    シャンク幅又は直径Dに対する突出し量Lの比(L/D)が5~50である前記除去工具で前記砂ブロックを深掘する除去加工を含むことを特徴とする鋳造用砂型の製造方法。
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