JP7324170B2 - シリコーン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
下記一般式(1)で示されるエポキシ含有オルガノポリシロキサンと、
アクリル酸またはメタクリル酸とを、遷移金属ルイス酸存在下で反応させて上記一般式(2-a)または(2-b)で表されるシリコーン化合物を得る工程を含むことを特徴とし、前記遷移金属ルイス酸が、チタンテトラアルコキシド、ハロゲン化チタン、ジルコニウムテトラアルコキシド、及びハロゲン化ジルコニウムから選ばれ、該遷移金属ルイス酸の量が、前記一般式(1)で表される化合物、メタクリル酸、及びアクリル酸の合計100質量部に対して0.05質量部~3質量部であり、
前記シロキサニル基Aが、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル基、及びジメチル(トリメチルシロキシ)シリル基からなる群から選ばれる基である、前記製造方法を提供する。
アクリル酸またはメタクリル酸とを、遷移金属ルイス酸存在下で反応させて上記一般式(2-a)または(2-b)で表されるシリコーン化合物を得る工程を含むことを特徴とする。以下、より詳細に説明する。
本発明の製造方法は、上記エポキシ含有オルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応を遷移金属ルイス酸の存在下で行うことを特徴とする。これにより、反応工程において、不純物である上記シリル化体の生成を抑制することができる。
遷移金属としては周期表第4族遷移金属が好ましく、特にはチタンおよびジルコニウムが好ましい。本発明の製造方法では、これらの遷移金属元素を含むルイス酸を用いることができる。遷移金属ルイス酸として、好ましくは遷移金属の炭素数1~20のアルコキシド、またはハロゲン化物であることが好ましい。遷移金属ルイス酸は、単独で使用してもよく、また複数種を併用しても良い。より好ましい遷移金属ルイス酸としては、チタンテトラアルコキシド、ハロゲン化チタン、ジルコニウムテトラアルコキシド、又はハロゲン化ジルコニウムである。
上記エポキシ含有オルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル酸の反応には、溶媒を使用しても使用しなくてもよい。ポットイールドおよび反応速度の観点から、無溶剤で行うことが望ましい。溶媒を使用する場合は、後に減圧条件下で加熱留去(減圧ストリップ)できるような溶媒が好ましく、例えばヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエンなどが挙げられる。反応時の温度は、70℃~110℃が好ましく、特に80~100℃が好ましい。本温度範囲よりも低い温度で反応を行うと反応速度が遅く、原料の大半を消費するのに長時間を要するために生産性に劣り、好ましくない。また本温度範囲よりも高い温度で反応を行うと、原料であるメタクリル酸およびアクリル酸、あるいは生成物や不純物であるシリル化体が熱重合を起こす可能性があるため、好ましくない。
上記エポキシ含有オルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル酸の反応後、前記遷移金属ルイス酸触媒の除去や、目的物である前記シリコーンモノマー組成物の高純度化のための後処理を行っても良い。後処理とは、例えば過剰の原料を除去するための液液分離工程を含む。液液分離に使用する溶媒は、前記シリコーンモノマー組成物が溶解する溶媒と、前記シリコーンモノマー組成物が難溶、あるいは不溶であるような組み合わせであれば任意に選択できるが、分離性や、後の濃縮工程での加熱の際に前記シリコーンモノマー組成物の熱重合を防ぐ観点から比較的低沸点の溶媒が好ましく、例えばヘキサン/水、エチルシクロヘキサン/水、トルエン/水などの組み合わせが好ましい。また水には分離性や精製効率を高めることを目的とし、無機塩を添加してもよい。好ましい無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられるが、なかでも塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムがより好ましい。
下記実施例においてガスクロマトグラフィー(GC)分析による測定は下記に示す条件によって行った。
測定装置:アジレント社製ガスクロマトグラフ7890A
カラム:アジレントJ&W HP-5MS(長さ30m、内系0.25mm、膜厚0.25μm)
昇温条件:50℃(2分ホールド)→10℃/分で昇温→300℃(10分ホールド)昇温時間25分、トータル37分
注入口温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム
圧力:83.09kPa(定圧)
カラム流量:1.0mL/分
スプリット比:50
注入量:1μL(ヘキサンに0.5重量%にて溶解して注入)
検出器:FID
検出器温度:350℃
チタンテトラエトキシドを用いた製造方法
ジムロート冷却器、温度計を備えた2L3ツ口フラスコに、下記式(7)で示される化合物を1009g(3.0mol)、チタンテトラエトキシド5.6gを加え、空気中にて60℃に加熱した。その後メタクリル酸(重合禁止剤として250ppmのハイドロキノンモノメチルエーテルを含む)516g(6.0mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、その後空気中にて95℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーにより、式(7)で示される化合物のピークが1面積%以下になるまで約48時間反応を続け、その後反応液を室温まで冷却した。得られた溶液にヘキサンを750g加え、1800gの脱イオン水にて4回洗浄を行った。その後1Mの水酸化ナトリウム溶液1800gで6回洗浄し、次いで5質量%の塩化ナトリウム水溶液1800gで3回洗浄した。上層である有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。その後固体を濾紙濾過し、1940gの淡黄色透明液体(反応液)を得た。この反応液に対して64mgのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加し、乾燥空気を吹き込みながら50℃、10Torrの条件で溶媒を減圧ストリップにより除去したところ、1195gの淡黄色透明液体が得られた。この液体について、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、下記式(18-a)で表される化合物および下記式(18-b)で表される化合物を主として含んでいる溶液(シリコーン組成物)であることを確認した。
チタンテトラn-ブトキシドを用いた製造方法
ジムロート冷却器、温度計を備えた2L3ツ口フラスコに、上記式(7)で示される化合物を1009g(3.0mol)、チタンテトラn-ブトキシド5.6gを加え、空気中にて60℃に加熱した。その後メタクリル酸(重合禁止剤として250ppmのハイドロキノンモノメチルエーテルを含む)516g(6.0mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、その後空気中にて95℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーにより、式(7)で示される化合物のピークが1面積%以下になるまで約55時間反応を続け、その後反応液を室温まで冷却した。得られた溶液にヘキサンを750g加え、1800gの脱イオン水にて4回洗浄を行った。その後1Mの水酸化ナトリウム溶液1800gで6回洗浄し、次いで5質量%の塩化ナトリウム水溶液1800gで3回洗浄した。上層である有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。その後固体を濾紙濾過し、1940gの淡黄色透明液体(反応液)を得た。この反応液に対して64mgのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加し、乾燥空気を吹き込みながら50℃、10Torrの条件で溶媒を減圧ストリップにより除去したところ、1195gの淡黄色透明液体が得られた。この液体について、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、上記式(18-a)で表される化合物および上記式(18-b)で表される化合物を主として含んでいる溶液(シリコーン組成物)であることを確認した。
チタンテトラt-ブトキシドを用いた製造方法
ジムロート冷却器、温度計を備えた2L3ツ口フラスコに、上記式(7)で示される化合物を1009g(3.0mol)、チタンテトラt-ブトキシド5.6gを加え、空気中にて60℃に加熱した。その後メタクリル酸(重合禁止剤として250ppmのハイドロキノンモノメチルエーテルを含む)516g(6.0mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、その後空気中にて95℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーにより、式(7)で示される化合物のピークが1面積%以下になるまで約60時間反応を続け、その後反応液を室温まで冷却した。得られた溶液にヘキサンを750g加え、1800gの脱イオン水にて4回洗浄を行った。その後1Mの水酸化ナトリウム溶液1800gで6回洗浄し、次いで5質量%の塩化ナトリウム水溶液1800gで3回洗浄した。上層である有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。その後固体を濾紙濾過し、1940gの淡黄色透明液体(反応液)を得た。この反応液に対して64mgのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加し、乾燥空気を吹き込みながら50℃、10Torrの条件で溶媒を減圧ストリップにより除去したところ、1195gの淡黄色透明液体が得られた。この液体について、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、上記式(18-a)で表される化合物および上記式(18-b)で表される化合物を主として含んでいる溶液(シリコーン組成物)であることを確認した。
チタンテトラキス(2-エチルヘキシルオキシド)を用いた製造方法
ジムロート冷却器、温度計を備えた2L3ツ口フラスコに、上記式(7)で示される化合物を1009g(3.0mol)、チタンテトラキス(2-エチルヘキシルオキシド)11.2gを加え、空気中にて60℃に加熱した。その後メタクリル酸(重合禁止剤として250ppmのハイドロキノンモノメチルエーテルを含む)516g(6.0mol)を、滴下漏斗を用いて滴下し、その後空気中にて95℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーにより、式(7)で示される化合物のピークが1面積%以下になるまで約80時間反応を続け、その後反応液を室温まで冷却した。得られた溶液にヘキサンを750g加え、1800gの脱イオン水にて4回洗浄を行った。その後1Mの水酸化ナトリウム溶液1800gで6回洗浄し、次いで5質量%の塩化ナトリウム水溶液1800gで3回洗浄した。上層である有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。その後固体を濾紙濾過し、1940gの淡黄色透明液体(反応液)を得た。この反応液に対して64mgのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加し、乾燥空気を吹き込みながら50℃、10Torrの条件で溶媒を減圧ストリップにより除去したところ、1195gの淡黄色透明液体が得られた。この液体について、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、上記式(18-a)で表される化合物および上記式(18-b)で表される化合物を主として含んでいる溶液(シリコーン組成物)であることを確認した。
ジルコニウムテトラエトキシドを用いた製造方法
ジムロート冷却器、温度計を備えた2L3ツ口フラスコに、上記式(7)で示される化合物を1009g(3.0mol)、ジルコニウムテトラエトキシド11.2gを加え、空気中にて60℃に加熱した。その後メタクリル酸(重合禁止剤として250ppmのハイドロキノンモノメチルエーテルを含む)516g(6.0mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、その後空気中にて95℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーにより、式(7)で示される化合物のピークが1面積%以下になるまで約100時間反応を続け、その後反応液を室温まで冷却した。得られた溶液にヘキサンを750g加え、1800gの脱イオン水にて4回洗浄を行った。その後1Mの水酸化ナトリウム溶液1800gで6回洗浄し、次いで5質量%の塩化ナトリウム水溶液1800gで3回洗浄した。上層である有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。その後固体を濾紙濾過し、1940gの淡黄色透明液体(反応液)を得た。この反応液に対して64mgのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加し、乾燥空気を吹き込みながら50℃、10Torrの条件で溶媒を減圧ストリップにより除去したところ、1195gの淡黄色透明液体が得られた。この液体について、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、上記式(18-a)で表される化合物および上記式(18-b)で表される化合物を主として含んでいる溶液(シリコーン組成物)であることを確認した。
メタクリル酸ナトリウムを用いた製造方法
ジムロート冷却器、温度計を備えた2L3ツ口フラスコに、上記式(7)で示される化合物を1009g(3.0mol)、メタクリル酸(重合禁止剤として250ppmのハイドロキノンモノメチルエーテルを含む)516g(6.0mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、メタクリル酸ナトリウム53.5g(0.5mol)を加え、空気中にて95℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーにより、式(7)で示される化合物のピークが1面積%以下になるまで約24時間反応を続け、その後反応液を室温まで冷却した。得られた溶液にヘキサンを750g加え、1800gの脱イオン水にて4回洗浄を行った。その後1Mの水酸化ナトリウム溶液1800gで6回洗浄し、次いで5質量%の塩化ナトリウム水溶液1800gで3回洗浄した。上層である有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。その後固体を濾紙濾過し、1900gの淡黄色透明液体(反応液)を得た。この反応液に対して64mgのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加し、乾燥空気を吹き込みながら50℃、10Torrの条件で溶媒を減圧ストリップにより除去したところ、1155gの淡黄色透明液体が得られた。この液体について、ガスクロマトグラフィーで測定したところ、上記式(18-a)で表される化合物および上記式(18-b)で表される化合物を主として含んでいる溶液(シリコーン組成物)であることを確認した。
Claims (3)
- 下記一般式(2-a)又は式(2-b)で表されるシリコーン化合物の少なくとも一つを含み、下記一般式(3-a)および(3-b)で表される化合物の含有量が全シリコーン化合物の合計量に対して1質量%以下であるシリコーン組成物の製造方法であって、
下記一般式(1)で示されるエポキシ含有オルガノポリシロキサンと、
アクリル酸またはメタクリル酸とを、遷移金属ルイス酸存在下で反応させて上記一般式(2-a)または(2-b)で表されるシリコーン化合物を得る工程を含むことを特徴とし、前記遷移金属ルイス酸が、チタンテトラアルコキシド、ハロゲン化チタン、ジルコニウムテトラアルコキシド、及びハロゲン化ジルコニウムから選ばれ、該遷移金属ルイス酸の量が、前記一般式(1)で表される化合物、メタクリル酸、及びアクリル酸の合計100質量部に対して0.05質量部~3質量部である、前記製造方法。 - 前記一般式(1)で表される化合物1モルに対する、前記メタクリル酸及びアクリル酸のモル比が1.05~5である、請求項1記載の製造方法。
- 前記一般式(3-a)又は(3-b)で表される化合物の含有量がガスクロマトグラフで測定され、該ガスクロマトグラフにより得られる、全シリコーン化合物を示すピークの合計面積に対する、前記式(3-a)で表される化合物を示すピーク及び式(3-b)で表される化合物を示すピークの合計面積の比率が1%以下である、請求項1または2記載の製造方法。
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