JP7323803B2 - 溶鋼の取鍋精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼の取鍋精錬方法に関する。
線材や軌条鋼などの鋼材に用いられる鋼種では、硬質なAl介在物が残存していると、製造される鋼材の破断や割れの起点となり、鋼材品質を低下させる。そのため、Al介在物をなるべく残存させないように操業が行われており、介在物中のAl濃度を低減しておくことが重要となる。
介在物の組成制御は、二次精錬にて行われる。特に、取鍋の底部からガスを吹き込んで溶鋼を攪拌しながら、溶鋼表面上に存在するスラグ層中に通電電極を浸漬させて通電加熱する方法によって、介在物の組織制御が行われることが多い。これは、通電加熱によって溶融したスラグが溶鋼と反応し、ガス吹き込み攪拌により、溶鋼と介在物とを反応させて、介在物組成を制御することができるためである。
ただし、上記のような鋼種では、介在物中のAl濃度を低減するために、溶鋼に溶解しているAl濃度を極力低減させておくものの、その他の成分の調整用に用いられる合金中に不可避的に含まれるAl分や、前チャージの取鍋に付着した地金中のAl分などの混入分が存在する。特に、これらAl分の混入箇所ではAl濃度が局所的に高くなり、Alが生成してしまう。Alは、Oとの親和力が強く、一度生成したAlは、その他の成分に変化し難いのが難点である。
そこで、製造される鋼材の介在物に起因する品質低下を防止するために、従来、各種の技術が提案されている。
例えば以下の特許文献1では、高強度鋼線用鋼を取鍋精錬する際に、フラックス中のCaO含有量を30~55%、SiO含有量を3.0%以下、MgO含有量を0.1~0.95%として、スラグ量を14~21kg/tとする方法が開示されている。
また、以下の特許文献2では、ソーワイヤー鋼を精錬する処理において、スラグの組成を、CaO/SiO=0.5~1.2、Al=5~15%、MgO=2~15%とし、スラグの原単位を5~15kg/tonとし、溶鋼の攪拌量を40~60kJ/tonとするとともに、sol.Alの濃度を2ppmとする方法が開示されている。
また、以下の特許文献3では、鋼線材の精錬処理を行うにあたり、スラグの組成を、CaO/SiO=0.5~1.5、Al=3~25%、MgO=3~25%とし、取鍋ガス攪拌、減圧槽内取鍋ガス攪拌、取鍋内電磁誘導攪拌、還流式脱ガスの少なくとも何れかを実施し、それぞれの攪拌動力密度と精錬時間から算出する指標を、特定の範囲内とする方法が開示されている。
特開2010-242178号公報 特開2014- 47399号公報 特開2008-150683号公報
上記特許文献1に開示の方法は、取鍋に混入するMgO量を制限し、介在物中のMgO濃度を低減する方法であり、付随してAl濃度が0.00030%以下という極めて低い濃度まで下がった場合に、介在物中のAl濃度が低減されるという方法である。そのため、より高いAl濃度での介在物中のAl濃度の低減は、困難である。
また、上記特許文献2に開示の方法は、Al介在物の個数を低減させる方法であって、介在物中のAl濃度の低減は、困難である。
また、上記特許文献3には、介在物を軟質化するという記載は存在するものの、介在物中のAl濃度の低減効果については不明である。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、取鍋底部からガスを吹き込み攪拌しながら通電加熱を伴う取鍋精錬を行う際に、介在物中のAl濃度をより確実に低位に制御することが可能な、溶鋼の取鍋精錬方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、取鍋底部に設けるガス吹き込み用プラグの数及び配置位置と、ガス吹き込み用プラグから吹き込まれるガスの流量と、を適切に制御することで、介在物中のAl濃度をより確実に低位に制御可能であるとの知見を得ることができた。
かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]取鍋内の溶鋼表面にスラグ層を形成し、電極を前記スラグ層に浸漬させて通電する溶鋼の取鍋精錬方法であって、前記スラグ層に浸漬される前記電極は、2本又は3本であり、前記取鍋の底面には、前記取鍋内に保持された前記溶鋼を攪拌する攪拌用ガスを吹き込むガス吹き込み用プラグが2か所に配置されており、溶鋼中のAl濃度が0.0050質量%以下の溶鋼を精錬する際に、取鍋精錬時のスラグの組成が、CaO≧20質量%、SiO≧20質量%、Al≦15質量%であり、かつ、以下の式(1)の関係を満足し、前記取鍋の上方から平面視したときに、前記溶鋼表面での前記2本もしくは3本の電極全てに外接し、かつ、直径が最小となる円を、電極外接円としたときに、前記電極外接円の半径をr[m]、前記電極外接円の中心位置をCと表記し、2つの前記ガス吹き込み用プラグの一方をAプラグと称し、他方をBプラグと称したときに、前記取鍋の底面の半径をR[m]、前記取鍋の底面の中心位置をC、前記取鍋の底面における前記Aプラグ及び前記Bプラグの中心位置を、それぞれC、Cと表記し、C-C間の距離をLOA[m]、C-C間の距離をLOB[m]、C-C-Cがなす角度をθ[度]としたときに、前記Aプラグ及び前記Bプラグの配置位置は、以下の式(2)~式(4)を満足し、前記Aプラグ及び前記Bプラグのそれぞれから吹き込まれるガスの流量を、それぞれQ、Q[NL/t/min]としたときに、当該Q及びQの設定値が、以下の式(5)~式(7)を満足する、溶鋼の取鍋精錬方法。
(CaOの質量%)/(SiOの質量%)=0.5~1.9 ・・・(1)
r<LOA≦0.9×R ・・・(2)
r<LOB≦0.9×R ・・・(3)
120°≦θ≦180° ・・・(4)
0.6≦Q≦4.5 ・・・(5)
0.6≦Q≦4.5 ・・・(6)
0.67≦Q/Q≦1.50 ・・・(7)
[2]前記スラグ層の厚みは、100~250mmである、[1]に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
以上説明したように本発明によれば、取鍋底部からガスを吹き込み攪拌しながら通電加熱を伴う取鍋精錬を行う際に、介在物中のAl濃度をより確実に低位に制御することが可能である。
本発明の実施形態に係る取鍋精錬設備を取鍋の深さ方向に切断した際の断面を模式的に示した断面図である。 同実施形態に係る取鍋精錬設備を取鍋の深さ方向に切断した際の断面を模式的に示した断面図である。 同実施形態に係る取鍋精錬設備を溶鋼高さH+dの位置で水平方向に切断した際の断面を模式的に示した断面図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。 同実施形態に係る取鍋精錬方法を説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<取鍋精錬設備について>
まず、図1~図2Bを参照しながら、本実施形態に係る溶鋼の取鍋精錬方法(以下、単に、「取鍋精錬方法」ともいう。)に用いられる取鍋精錬設備について説明する。なお、以下では、便宜的に、図1~図2Bに示した座標系を用いて説明を行うものとする。また、図1及び図2Aでは、2つのガス吹込み用プラグのyz平面への投影位置を破線で示しており、図2Bでは、図の視認性を高めるために、スラグ層に対応する部分への網掛けを伴う図示を省略している。
本実施形態に係る取鍋精錬方法で用いられる取鍋精錬設備は、図1に模式的に示したように、所定の容量の取鍋10を少なくとも有している。かかる取鍋10の大きさ(容量)については、特に限定されるものではなく、公知の各種の取鍋を用いることが可能である。
また、取鍋10の底面には、ガス吹き込み用プラグの一例としてのポーラスプラグ20A、20B(以下、まとめて「ポーラスプラグ20」ということがある。)が設けられている。かかるポーラスプラグ20は、取鍋10の内部に保持される溶鋼中に所定の不活性ガスを吹き込んで、溶鋼11を攪拌するためのガス吐出口として用いられる。かかるポーラスプラグ20については、以下で詳述するようなガス流量を実現することが可能なものであれば、公知の各種のポーラスプラグを使用することが可能である。
なお、本実施形態では、例えば図1に示したように、取鍋10の形状を模式化して示しているが、取鍋の詳細な構造についても、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る取鍋精錬方法に用いられる取鍋10は、二次精錬が終了した後の溶鋼を外部に取り出すための溶鋼取り出し口を有していてもよいし、その他の構造物が設けられていてもよい。
かかる取鍋10の内部には、C、Si、Al、Mn、P、S等を成分として含有する溶鋼11が保持されており、溶鋼11の表面(z軸正方向側の表面)には、CaO、SiO、Al、FeOなどを含むスラグ層13が浮いた状態で存在している。また、スラグ層13には、取鍋精錬工程で添加される各種のフラックス(造滓剤)が存在していてもよい。かかるスラグ層13は、フラックス層と呼ばれることもある。
ここで、本実施形態において、図1に模式的に示したように、取鍋10の底面の位置を便宜的にz軸方向の原点(z=0)の位置とする。また、溶鋼11の高さHは、図1に模式的に示したように、溶鋼11及びスラグ層13を取鍋10の内部に出鋼して静置した後における、溶鋼11の表面の位置とする。溶鋼11の高さHの具体的な値については、特に限定されるものではなく、用いる取鍋10の容量と、注入される溶鋼11の体積に応じて定まるものとなる。また、用いる取鍋10の底面(z=0)の位置における取鍋10の半径及び中心位置を、それぞれR[m]、Cと表すこととし、ポーラスプラグ20Aの中心位置をC、ポーラスプラグ20Bの中心位置をCと表すこととする。また、スラグ層13の厚みを、d[mm]と表すこととする。
また、図2Bに示したように、取鍋10の底面において、ポーラスプラグ20Aの中心位置をCと表し、ポーラスプラグ20Bの中心位置をCと表すこととする。このときに、ポーラスプラグ20Aの中心位置Cと、取鍋10の中心位置Cと、ポーラスプラグ20Bの中心位置Cと、を用いて規定される角度C-C-Cを、角度θ[度]とする。また、ポーラスプラグ20Aの中心位置Cと、取鍋10の中心位置Cとの間の距離をLOA[m]とし、ポーラスプラグ20Bの中心位置Cと、取鍋10の中心位置Cとの間の距離をLOB[m]とする。
取鍋10内に保持された溶鋼11に対して、本実施形態に係る取鍋精錬方法を適用する場合、2本又は3本の電極が、スラグ層13の内部に浸漬される。図2A及び図2Bでは、3本の電極30A,30B,30C(以下、まとめて「電極30」ということがある。)がスラグ層13の内部に浸漬されている場合を図示しているが、図2A及び図2Bにおいて、電極の本数は、2本であってもよい。
本実施形態に係る取鍋精錬方法に用いられる電極30は、特に限定されるものではなく、公知の各種の素材を用いた電極を用いることが可能であるが、炭素製の電極(カーボン電極)を用いることが簡便である。また、電極30の形状や大きさについても、特に限定されるものではなく、公知の各種の電極を適宜利用することが可能である。
ただし、電極30のスラグ層13への浸漬深さは、溶鋼11に接触しないような深さであることが好ましい。特に電極30にカーボン電極を用いる場合に、電極30が溶鋼11に接触してしまうと、溶鋼11が有している熱により、カーボン電極が溶解してしまう可能性がある。カーボン電極が溶解すると、溶鋼11中に溶解した炭素が混入して、溶鋼11の炭素含有量が変化してしまう可能性がある。また、その他の素材を用いた電極を用いる場合であっても、電極が溶鋼11に接触してしまうと、電極の溶解が発生する可能性がある。そのため、溶鋼11に接触しないような深さまで電極30を浸漬させることで、溶鋼11への不純物の混入を防止することが可能となる。
スラグ層13中に浸漬された電極30に対し、図2Aに示したように電源を設置して、電極30に所定の電力を投入することで、電極30の先端部と溶鋼11との間でアークプラズマが発生し、更に、溶鋼11を介して、発生したアークプラズマ間が通電される。かかるアークプラズマ及び通電によって発生する熱により、スラグが加熱及び溶融され、溶鋼11とスラグ層13との間で各種の精錬反応が進行するようになる。
また、上記のような通電とともに、取鍋の底部に設けられたポーラスプラグ20からアルゴン等の不活性ガスを、以下で詳述するような流量で吐出させることで、溶鋼11中に流れが生じ、かかる溶鋼の流動に乗って、溶融したスラグが溶鋼表面を移動する。これにより、溶鋼表面におけるガス気泡の破泡を防止しながら未溶融状態のスラグの溶融を促進することができ、また、溶融したスラグが溶鋼11の表面の全体を覆うようになる。
更に、電極の直下で加熱溶融されたスラグは、上記のような溶鋼11の流動によって、溶鋼11中に微細な粒子となって巻き込まれた後、取鍋10の底部まで搬送され、その後、溶鋼表面まで浮上するような挙動を示すようになる。このような微細なスラグ粒子の流動により、本実施形態に係る取鍋精錬方法では、介在物中のAlの濃度が低減されるが、その詳細な機構については、以下で改めて説明する。
なお、上記のように、電極30と溶鋼11との間に発生するアークプラズマを用いて、スラグの加熱及び溶融が実現されることから、電極30は、電極30の先端部で発生したアークプラズマが溶鋼11に到達可能な深さまで、スラグ層13中に浸漬されることが好ましい。
<取鍋精錬方法の詳細について>
次に、図2A~図9を参照しながら、本実施形態に係る取鍋精錬方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係る取鍋精錬方法では、図2A及び図2Bに示したように、取鍋10内に存在するスラグ層13に対して、2本又は3本の電極30が浸漬される。なお、以下では、スラグ層13に対して、3本の電極30A,30B,30Cが浸漬される場合を例に挙げて、説明を行うものとする。
[取鍋精錬方法が適用される溶鋼及びスラグについて]
まず、本実施形態に係る取鍋精錬方法が適用される溶鋼及びスラグについて説明する。本実施形態に係る取鍋精錬方法が適用される溶鋼11は、Al濃度が0.0050質量%(50ppm)以下である溶鋼とする。溶鋼11中のAl濃度を0.0050質量%以下とすることで、溶鋼中でAlが生成することを抑制することができる。一方、溶鋼11中のAl濃度が0.0050質量%を超える場合には、取鍋10内の溶鋼11の全体でAlが生成されてしまい、本実施形態に係る取鍋精錬方法を適用したとしても、介在物中のAl濃度を低位に制御することができない。溶鋼11中のAl濃度は、低ければ低いほどよく、その下限値は、特に規定するものではない。
なお、溶鋼11中のAl以外の成分については、特に規定するものではないが、その他に、0.1~1.5質量%程度のC、0.1~1.2質量%程度のSi、0.1~1.5質量%程度のMn、0.03質量%以下のP、0.03質量%以下のS等が含有され、残部がFe及び不純物であることが多い。本実施形態に係る取鍋精錬方法の効果を得るためには、上記のような成分の範囲で十分である。このような成分を有する溶鋼11の一例として、例えば、Siキルド鋼を挙げることができる。
また、本実施形態に係る取鍋精錬方法が適用される、Al濃度が0.0050質量%以下の溶鋼に対しては、CaOが20質量%以上、及び、SiOが20質量%以上含有される、CaO及びSiOを主成分とするスラグとすることが行われている。取鍋精錬の際のスラグ(本実施形態では、フラックス投入後であっても、スラグと称する。)をこのような成分とすることで、取鍋精錬時の溶鋼を大気から遮断し、溶鋼の酸化を防止する、他の精錬の目的を達成する等の効果が発現するようになる。なお、本実施形態に係る取鍋精錬方法は、CaO及びSiOの濃度が20質量%未満であるスラグにおいても効果を奏するものであるが、CaO及びSiOの濃度が20質量%以上となる場合に、その効果が顕著なものとなる。
ここで、本実施形態に係るスラグは、CaO及びSiOの濃度が上記のような濃度となっていることに加えて、(CaOの質量%)/(SiOの質量%)で表されるスラグの塩基度が、以下の式(1)で表される条件を満足している。
(CaOの質量%)/(SiOの質量%)=0.5~1.9 ・・・(1)
スラグの塩基度が上記式(1)で表される条件を満足することで、かかるスラグは、粘度が低く、かつ、液相率が高いスラグとなり、取鍋精錬方法の操業性を向上させることができる。
スラグの塩基度が0.5未満である場合には、スラグの融点が上昇する一方で、溶鋼11の温度は大幅な変動がないために、スラグの粘度が大きくなり、溶鋼11中に巻き込まれにくくなる。その結果、本実施形態に係る取鍋精錬方法の効果を発現させることができない。スラグの塩基度は、好ましくは0.6以上である。一方、スラグの塩基度が1.9を超える場合には、スラグの液相率が低下してスラグの滓化率が悪くなり、通電加熱を行っても溶融性が低下して、溶鋼11中に巻き込まれにくくなる。その結果、本実施形態に係る取鍋精錬方法の効果を発現させることができない。スラグの塩基度は、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.5以下である。
また、本実施形態に係るスラグは、Alの濃度が15質量%以下である。スラグ中のAlの濃度が15質量%を超えると、溶鋼11中に巻き込まれたスラグの粒子と溶鋼とが反応し、局所的にAl濃度を高め、Alの生成を引き起こすためである。Alの濃度を15質量%以下とすることで、溶鋼流により溶鋼11中に巻き込まれたスラグの粒子そのものがAl源となることを、防止することができる。スラグ中のAlの濃度は、低ければ低いほどよく、その下限値は特に規定するものではない。スラグ中のAlの濃度は、好ましくは14質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下である。
なお、スラグ中には、上記の成分に加えて、0.3~3.0質量%程度のFeOが含有されていることが多く、更にその他の成分が含有されていてもよい。ただし、本実施形態に係る取鍋精錬方法の効果を得るためには、上記のような成分の範囲で十分であり、詳細な濃度を規定するものではない。
[電極外接円について]
本実施形態に係る取鍋精錬方法では、例えば図2Bに模式的に示したように、2本又は3本の電極30の浸漬位置に基づき規定される電極外接円35に着目する。この電極外接円35は、スラグ層13の表面(z=H+dの面)を取鍋10の上方(z軸方向正方向側)から平面視したときに、全ての電極30の位置に外接し、かつ、直径が最小となる円である。
本実施形態に係る取鍋精錬方法において、電極外接円35の中心位置Cは、取鍋底部での取鍋の半径をR[m]としたときに、底面における取鍋10の中心位置C(より正確には、底面における中心位置Cを投影した位置)から0.1×Rまでの領域内に位置することが好ましく、通常は、この要件に基づいて電極と取鍋の位置関係が設定されている。図2Bでは、電極外接円35の中心位置Cが取鍋10の中心軸上に存在する場合を図示している。電極外接円35の中心位置Cが上記の領域内に位置することで、取鍋10内に存在するスラグ層13を、伝熱の偏りが生じることを抑制しながら、より均等に加熱することが可能となる。
また、電極外接円35内における各電極30A,30B,30Cの位置については、特に限定されるものではないが、電極外接円35の中心位置Cに対して、なるべく均等に配置されていることが好ましい。
[ポーラスプラグ20A、20Bについて]
本実施形態に係る取鍋精錬方法では、以下で詳述するように、ポーラスプラグ20A,20Bが特定の位置に設けられており、かつ、各ポーラスプラグ20A,20Bから吹き込まれるガスの流量が特定の関係を満足するように設定される。これにより、図3に模式的に示したように、電極の直下で加熱溶融されたスラグは、取鍋底部から吹き込まれるガスによる溶鋼流動によって、溶鋼10中に微細な粒子となって巻き込まれた後、取鍋10の底面まで搬送され、更に、溶鋼表面まで浮上するような挙動を示すようになる。その間に、巻き込まれたスラグがAl介在物と接触することで、溶鋼11の内部にて局所的に生成したAl介在物を、Al介在物とCaO-SiO系介在物の複合介在物へと変化させる。これにより、介在物中のAl濃度を低位に制限することが可能となる。
また、図4に模式的に示したように、各ポーラスプラグ20A,20Bの位置及びガス流量が特定の関係を満足することで、発生する溶鋼流の大部分が電極外接円35の内部に位置する領域で衝突するようになり、電極直下及びその近傍の、高温状態となったスラグを溶鋼11中に巻き込むことが可能となる。その結果、Al介在物とスラグとの反応性を所望の状態に保持することが可能となる。
これにより、鋼材中に硬質なAl介在物が単独で存在することを抑制し、軟質なCaO-SiO系介在物を併存させ、更には、Al介在物をCaO-SiO系介在物で被覆させることが可能となる。その結果、Al介在物が鋼材の破断や割れの起点となることを、抑制することが可能となる。
以下、上記のような効果を発現させるためのポーラスプラグ20A,20Bの各種条件について、詳細に説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、ポーラスプラグ20Aのことを「Aプラグ」と称することとし、ポーラスプラグ20Bのことを「Bプラグ」と称することとする。
本実施形態に係る取鍋精錬方法では、ポーラスプラグ20A,20Bは、以下の式(2)~式(4)を満足するように配置され、各ポーラスプラグ20A,20Bから吹き込まれる攪拌用ガスの流量Q,Qは、以下の式(5)~式(7)を満足する。
r<LOA≦0.9×R ・・・(2)
r<LOB≦0.9×R ・・・(3)
120°≦θ≦180° ・・・(4)
0.6≦Q≦4.5 ・・・(5)
0.6≦Q≦4.5 ・・・(6)
0.67≦Q/Q≦1.50 ・・・(7)
上記式(2)及び式(3)並びに図2Bからも明らかなように、Aプラグ(ポーラスプラグ20A)及びBプラグ(ポーラスプラグ20B)は、電極外接円35の外側と、取鍋10の壁面から取鍋半径R×0.1の距離だけ離した位置までの間に配置される。また、式(4)に示したように、角度θが120°以上180°以下となることで、AプラグとBプラグとは、取鍋10を半割りにした際に、互いに異なる側に位置するようになる。これは、上記式(5)~式(7)に示したように、各ポーラスプラグから吹き込まれるガスの流量が概ね均等であるために、各ポーラスプラグから吹き込んだガスによって形成される溶鋼流の衝突する位置を電極外接円35の内側とするためである。
Aプラグ又はBプラグの一方が電極外接円35の内側に設置された場合には、図5に模式的に示したように、溶鋼流の衝突位置の大部分が、相対的に低い温度の微細化しづらいスラグが存在している電極外接円35の外側に位置する傾向が強くなってしまう。その結果、微細スラグ粒子の巻き込みが困難となる。
一方、Aプラグ及びBプラグの双方が電極外接円35の内側に設置された場合には、図6に模式的に示したように、ポーラスプラグ20から吹き込まれたガスの気泡によりスラグが押し退けられることで形成される溶鋼露出面が過大となる。その結果、通電加熱される電極外接円35の内側に位置するスラグの量が減少して、溶鋼11への微細スラグ粒子の巻き込み量を確保することが困難となる。
Aプラグ又はBプラグの少なくとも何れか一方が、取鍋10の壁面から0.1×R未満の位置に設置された場合には、Bプラグから吹き込まれるガスの気泡が浮上する際に、取鍋10の壁面に接触し、この影響で気泡の浮上位置に乱れが生じてしまう。その結果、図7に模式的に示したように、溶鋼流の衝突位置の大部分が、相対的に低い温度の微細化しづらいスラグが存在している電極外接円35の外側に位置するようになってしまい、微細スラグ粒子の巻き込みが困難となる。
角度θが120°未満となる場合には、図8に模式的に示したように、溶鋼流の衝突位置が電極外接円35の外側となる傾向が強くなる。その結果、微細スラグ粒子の巻き込みが困難となる。
また、ガス流量Q,Qが、上記式(5)~式(7)の関係を満足することで、溶鋼流の流れの強さが適切なものとなり、かつ、溶鋼流の衝突位置の大部分が、電極外接円35の内側に位置するようになる。その結果、通電加熱によってスラグが溶融することで生成する微細スラグ粒子が、適切な量で溶鋼流に巻き込まれるようになる。その結果、Al介在物と微細スラグ粒子とが適切に反応して、介在物中のAl濃度を低減することが可能となる。
Aプラグ及びBプラグから吹き込まれるガスの流量Q、Qが、0.6NL/t/min未満である場合には、ガス流量が少なすぎて溶鋼流が発達せず、微細スラグ粒子の巻き込みが不十分となる。Aプラグ及びBプラグからのガス流量Q、Qは、0.9NL/t/min以上であることが好ましく、1.2NL/t/min以上であることがより好ましい。一方、ガス流量Q、Qが4.5NL/t/minを超える場合には、スラグを巻き込む量が多くなりすぎてスラグの飛散が生じる可能性が高まる他、本発明の効果も飽和する。Aプラグ及びBプラグからのガス流量Q、Qは、4.0NL/t/min以下であることが好ましく、3.5NL/t/min以下であることがより好ましい。
また、Aプラグのガス流量Qに対するBプラグのガス流量Qの比率(Q/Q)が0.67未満となる場合、又は、1.50超となる場合には、図9に模式的に示したように、各ポーラスプラグ20から吹き込まれたガスによって形成される溶鋼流の衝突位置が、電極外接円35の外側となる傾向が強くなる。その結果、微細スラグ粒子の巻き込みが生じにくくなる。流量比(Q/Q)の値は、0.75以上であることが好ましい。また、流量比(Q/Q)の値は、1.33以下であることが好ましい。
[スラグ層13の厚み]
本実施形態に係る取鍋精錬方法において、図1に模式的に示したスラグ層13の厚みdは、100mm以上であることが好ましい。ここで、スラグ層13の厚みdは、溶鋼11及びスラグ層13を取鍋10の内部に出鋼して静置し、必要に応じてフラックスを添加した後、通電及び不活性ガスの吹き込み前におけるスラグ層13の厚みとする。
スラグ層13の厚みdを100mm以上とすることで、電極外接円35の内部に位置するスラグの量がより一層充実し、微細スラグ粒子の巻き込み量をより安定化させることができる。一方、取鍋10からスラグがあふれて精錬処理を阻害しないようにするために、スラグ層13の厚みは、250mm以下とすることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る溶鋼の取鍋精錬方法によれば、特定の組成を満足する溶鋼と、特定の組成を満足するスラグについて精錬処理を施すに際して、特定の位置に2つのポーラスプラグを配置し、かつ、特定の流量でガスを吹き込むようにする。これにより、電極直下又はその近傍の高温領域において、スラグの微細粒子を溶鋼に巻き込ませた後に取鍋底部へ当該スラグ粒子を供給して、Al介在物と接触させることが可能となる。その結果、介在物の所定の変質効果が得られ、課題解決につなげることができる。
以上、本実施形態に係る溶鋼の取鍋精錬方法について、詳細に説明した。
以下では、本発明例及び比較例を示しながら、本発明に係る溶鋼の取鍋精錬方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す本発明例は、本発明に係る溶鋼の取鍋精錬方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る溶鋼の取鍋精錬方法が下記に示す例に限定されるものではない。
以下、本発明の取鍋精錬による介在物中のAl濃度の制御方法の有効性について検証した際の検証方法と、その結果を示す。
まず、転炉で脱炭処理を行った80~90tの溶鋼を、取鍋内に出鋼し、Siキルド鋼とした。かかるSiキルド鋼のAl濃度は、以下の表1に示した通りであり、また、C濃度は、0.6~1.1質量%の範囲内、Si濃度は、0.2~0.9質量%の範囲内、Mn濃度は、0.4~0.8質量%の範囲内、P濃度は、0.03質量%以下、S濃度は、0.03質量%以下の概ね一定値であり、残部はFe及び不純物であった。この時、CaO、SiO、Al、FeOなどからなる転炉スラグが、約500kg流出した。その後、CaO、SiO、Alを含む媒溶剤をスラグ厚みが80~250mmになるよう添加した。なお、溶鋼表面位置(z=D)における取鍋内径は、2.4mであった。なお、スラグ中のCaO濃度は、20~40質量%の範囲内であり、SiO濃度は、20~45質量%の範囲内であり、Al濃度は、以下の表1に示した通りであった。また、FeO濃度は、0.5~2.0質量%の範囲内であった。
その後、取鍋を、通電加熱処理を行う処理位置に移送した。処理位置への移送後、容器蓋を取り付け、電極外接円の直径が1.06mとなる通電用の電極3本を、図2Bに模式的に示した位置関係となるように、溶鋼表面上に存在するスラグ層中に下降し、取鍋底部のポーラスプラグから不活性ガス(Ar)を導入して攪拌しながら、通電による加熱処理を開始した。ここで、かかる加熱処理に際して、溶鋼単位量あたりの投入電力は、40~100kW/tの範囲で変化可能であったが、スラグの加熱条件を同一とするため70kW/tとし、通電時間は、35分間とした。また、比較例として、通電を行わなかった場合も行った。
なお、本実施例において、取鍋底部での取鍋の半径R[m]は、1.2であり、溶鋼11の表面における電極外接円35の中心は、溶鋼11の表面における取鍋10の中心位置Cから0~0.1×R[m]の領域内に位置している。
通電後、鉄製サンプラーを用いて溶鋼サンプル及びスラグサンプルを採取し、溶鋼サンプルから溶鋼成分と介在物組成を分析するとともに、スラグサンプルからスラグ成分を分析した。なお、介在物組成は、1サンプルから無作為に10個の介在物を走査型電子顕微鏡(SEM)付属のEDS(エネルギー分散型X線分析装置)にて種々組成を定量分析し、その平均組成とした。
下記表1に示す発明例及び比較例について、介在物中のAl濃度を用いて評価した。評価基準は、以下の通りである。
評点A:Al濃度が25質量%以下
B:Al濃度が25質量%超50質量%以下
C:Al濃度が50質量%超
得られた結果を、以下の表1にまとめて示した。なお、表中の下線を引いたパラメータが本願発明の範囲から外れていることを示す。
Figure 0007323803000001
上記表1に示したように、試験条件が本発明の範囲内であるNo.1~15の評価は、評点B以上であった。特に、スラグ厚みがそれぞれ100mm、250mmとなったNo.14、15の介在物中Al濃度評価は、評点Aであった。
一方、試験条件が本発明の範囲から外れたNo.16~27の介在物中Al濃度評価は、評点Cであった。以下は、それぞれの条件における介在物中Al濃度が高かった理由である。
No.16は、溶鋼中Al濃度が高く、取鍋内溶鋼全域でAlが生成する条件であった。このため、Al濃度の高い介在物が多く存在し、評点Cとなった。
No.17は、スラグの塩基度(CaO)/(SiO)が低いために粘度が高くなり、スラグの巻き込みが抑制されて、局所的に生成したAl介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.18は、スラグの塩基度(CaO)/(SiO)が高いために液相率が下がり、スラグの巻き込みが抑制され、局所的に生成したAl介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.19は、スラグ中のAl濃度が高く、巻き込まれたスラグ自体がAlを溶鋼に供給した。このため、Al濃度の高い介在物が多く存在し、評点Cとなった。
No.20は、Bプラグが電極外接円内にあり、AプラグとBプラグそれぞれから吹き込まれたガス気泡による溶鋼流の衝突位置が、電極外接円外となる傾向が強く、スラグの巻き込みが発生しなかった。そのため、Al介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.21は、Bプラグが取鍋壁面近傍に設置されており、Bプラグから吹き込まれたガス気泡が浮上する際、取鍋壁面に衝突し、浮上位置が安定せず、所定の溶鋼流動が形成されずなかった。そのため、スラグの巻き込みが発生せず、Al介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.22は、Aプラグ及びBプラグの双方が電極外接円の内側に設置されており、電極外接円内に形成される溶鋼露出面積が広くなることで、通電加熱される外接円内のスラグ量が減り、溶鋼への微細スラグ粒子の巻き込み量を確保する効果が減少した。その結果、局所的に生成したAl介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.23は、角度θが小さく、AプラグとBプラグそれぞれから吹き込まれたガス気泡による溶鋼流の衝突位置が電極外接円外となる傾向が強く、スラグの巻き込みが発生しなかった。そのため、Al介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.24は、Bプラグから吹き込まれたガス流量が小さく、溶鋼流が弱いことで、スラグの巻き込みが発生しなかった。そのため、Al介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.25及びNo.26は、AプラグとBプラグから吹き込まれたガスの流量差が大きく、溶鋼流の衝突位置が電極外接円外となる傾向が強く、スラグの巻き込みが発生しなかった。そのため、Al介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
No.27は、通電加熱を行わなかったため、スラグの溶融が進まず、スラグの巻き込みが抑制され、局所的に生成したAl介在物の改質効果が、殆ど生じなかった。
なお、上記実験において、電極3本のうち1本が折損した場合は、上記発明例に記載しなかったが、当該折損の場合であっても本発明の要件を満足していれば、発明例の結果が得られる傾向であった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 取鍋
11 溶鋼
13 スラグ層
20A,20B ポーラスプラグ
30 電極
35 電極外接円

Claims (2)

  1. 取鍋内の溶鋼表面にスラグ層を形成し、電極を前記スラグ層に浸漬させて通電する溶鋼の取鍋精錬方法であって、
    前記スラグ層に浸漬される前記電極は、2本又は3本であり、
    前記取鍋の底面には、前記取鍋内に保持された前記溶鋼を攪拌する攪拌用ガスを吹き込むガス吹き込み用プラグが2か所に配置されており、
    溶鋼中のAl濃度が0.0050質量%以下の溶鋼を精錬する際に、取鍋精錬時のスラグの組成が、CaO≧20質量%、SiO≧20質量%、Al≦15質量%であり、かつ、以下の式(1)の関係を満足し、

    (CaOの質量%)/(SiOの質量%)=0.5~1.9 ・・・(1)

    前記取鍋の上方から平面視したときに、前記溶鋼表面での前記2本もしくは3本の電極全てに外接し、かつ、直径が最小となる円を、電極外接円としたときに、前記電極外接円の半径をr[m]、前記電極外接円の中心位置をCと表記し、
    2つの前記ガス吹き込み用プラグの一方をAプラグと称し、他方をBプラグと称したときに、前記取鍋の底面の半径をR[m]、前記取鍋の底面の中心位置をC、前記取鍋の底面における前記Aプラグ及び前記Bプラグの中心位置を、それぞれC、Cと表記し、C-C間の距離をLOA[m]、C-C間の距離をLOB[m]、C-C-Cがなす角度をθ[度]としたときに、
    前記Aプラグ及び前記Bプラグの配置位置は、以下の式(2)~式(4)を満足し、

    r<LOA≦0.9×R ・・・(2)
    r<LOB≦0.9×R ・・・(3)
    120°≦θ≦180° ・・・(4)

    前記Aプラグ及び前記Bプラグのそれぞれから吹き込まれるガスの流量を、それぞれQ、Q[NL/t/min]としたときに、
    当該Q及びQの設定値が、以下の式(5)~式(7)を満足する、溶鋼の取鍋精錬方法。

    0.6≦Q≦4.5 ・・・(5)
    0.6≦Q≦4.5 ・・・(6)
    0.67≦Q/Q≦1.50 ・・・(7)
  2. 前記スラグ層の厚みは、100~250mmである、請求項1に記載の溶鋼の取鍋精錬方法。
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