以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の下部構造を適用した車体の模式図である。本発明の実施形態に係る車両は、駆動源として車両前側に配置されたエンジン及び駆動モータを有し、エンジン及び駆動モータの少なくとも一方からの動力を車両後側に配置された駆動輪としての後輪に伝達するフロントエンジン・リアドライブのハイブリッド車両である。
図1に示すように、前記ハイブリッド車両の車体1は、駆動源2としてのエンジン3と、エンジン3に連結された変速機としての自動変速機4と、エンジン3と自動変速機4との間に配置された駆動源2としてのモータ(駆動モータ)5と、自動変速機4に連結されて駆動源2からの動力を後輪6に伝達するプロペラシャフト7と、プロペラシャフト7に連結されて駆動源2からの動力を左右の後輪6に伝達する差動装置8とを有している。
プロペラシャフト7は、車室の床面を形成するフロアパネル10の下方に車両前後方向に延びている。フロアパネル10の車幅方向中央側にトンネル部11が設けられている。プロペラシャフト7は、トンネル部11の内側に配置されている。プロペラシャフト7の前端部は、自在継手15を介して自動変速機4に連結され、プロペラシャフト7の後端部は、自在継手16を介して差動装置8に連結されている。
車体1では、正面衝突時に駆動源2に車体前方から衝撃荷重が作用すると、プロペラシャフト7を通じて差動装置8に衝撃荷重が入力される。差動装置8に衝撃荷重が入力されると、差動装置8の車体1に対する支持が解除され、差動装置8の車両前側が車軸9を支点として下側へ回動される。差動装置8の車両前側が下側へ回動されるとき、プロペラシャフト7の車両後側が下側に移動して変形し、駆動源2が車体後方へ移動されて衝撃吸収性が高められている。
車体1は、エンジン3から車両前後方向に延びる排気管17を備えている。排気管17は、トンネル部11の下方ではプロペラシャフト7の下方に配設される。排気管17の上流側に、排気系部品としてエンジン3の排気を浄化する触媒を備えた触媒装置18が配設され、排気管17の下流側に、排気系部品としてエンジン3の排気を大気に放出する音を低減するサイレンサ19が配設されている。
車体1は、エンジン3に供給する燃料を貯蔵する燃料タンク20と、モータ5に供給する電力を貯蔵するバッテリ30とを備えている。モータ5は、後輪6に動力を伝達すると共に車両減速時にプロペラシャフト7により回転駆動されて回生発電を行い、発電した電力をバッテリ30に供給するようになっている。
バッテリ30は、プロペラシャフト7の車幅方向両側に離間して配置される第1バッテリユニット31及び第2バッテリユニット32を備えて一体化したバッテリパック33として形成されている。第1及び第2バッテリユニット31,32はそれぞれ、モータ5に供給する電力を貯蔵する複数のバッテリモジュールを接続してユニット化して形成されている。バッテリモジュールは、複数のバッテリセルから構成され、バッテリセルは、例えばリチウムイオンバッテリである。
燃料タンク20と第1及び第2バッテリユニット31,32とは、フロアパネル10の下方に配置され、燃料タンク20は、第1及び第2バッテリユニット31,32より車両後側に第1及び第2バッテリユニット31,32より高くなるように配置されている。
第1及び第2バッテリユニット31,32近傍に、バッテリ30に関連するバッテリ関連電気部品が配置されている。バッテリ関連電気部品として、第1及び第2バッテリユニット31,32に電気的に接続されるインバータ41、DC/DCコンバータ42、ジャンクションボックス43などの高電圧部品などが配置されている。高電圧部品及び後述する高電圧ハーネスは、交流30V、直流60Vを超える電圧が印加されるものをいうものとする。
インバータ41は、バッテリ30に貯蔵された直流電力を交流電力に変換してモータ5に供給すると共に車両減速時にモータ5で発電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ30を充電する。DC/DCコンバータ42は、バッテリ30に貯蔵された300ボルドなどの高電圧の直流電力を12ボルトなどの低電圧の直流電力に変換して補機などに供給する。
ジャンクションボックス43は、第1及び第2バッテリユニット31,32より車両前側に配置される前側ジャンクションボックス43aと、第1及び第2バッテリユニット31,32より車両後側に配置される後側ジャンクションボックス43bとを備えている。
前側及び後側ジャンクションボックス43a,43bはそれぞれ、ハーネスどうしを接続、分岐、中継する際に用いる端子や端末を保護するための所謂接続箱であって、高電圧リレー及びヒューズなどを有している。前側及び後側ジャンクションボックス43a,43bは、第1及び第2バッテリユニット31,32に電気的に接続されている。
第1及び第2バッテリユニット31,32は、高電圧ハーネスであるバッテリハーネスによって電気的に接続されている。第1及び第2バッテリユニット31,32とバッテリ関連電気部品41,42,43とについても、高電圧ハーネスであるバッテリハーネスによって電気的に接続されている。第1及び第2バッテリユニット31,32は、ジャンクションボックス43などのバッテリ関連電気部品を兼用して使用している。
第1及び第2バッテリユニット31,32近傍に、第1及び第2バッテリユニット31,32を制御するバッテリ制御ユニット44が配置されている。バッテリ制御ユニット44は、第1及び第2バッテリユニット31,32及びバッテリ関連電気部品41,42,43などにハーネスによって電気的に接続されている。
次に、本発明の実施形態に係る車両の下部構造について、図2から図9を参照しながら具体的に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る車両の下部構造を適用した車体の上面図、図3は、本発明の実施形態に係る車両の下部構造を適用した車体の下面図である。図4は、図2のY4-Y4線に沿った車体の断面図、図5は、図2のY5-Y5線に沿った車体の断面図、図6は、図2のY6-Y6線に沿った車体の断面図、図7は、図2のY7-Y7線に沿った車体の断面図である。
図2に示すように、車体1は、車体下部に、フロアパネル10と、フロアパネル10の車幅方向両端部にそれぞれ結合されて車両前後方向に直線状に延びる左右のサイドシル21と、フロアパネル10の上面側において左右のサイドシル21間に架設されて車幅方向に延びる第1クロスメンバ22及び第2クロスメンバ23とを備えている。
フロアパネル10には、車幅方向中央側に車両前後方向に延びると共に上側に膨出するトンネル部11が形成されている。トンネル部11は、図6に示すように、上面部11aと両側の側面部11bとを備えて下方が開放されている。図5に示すように、フロアパネル10の前端部は、ダッシュパネル24に連結されている。ダッシュパネル24は、車室25の車両前側を区画して車体上下方向に延びている。
フロアパネル10は、フロアパネル10の後側部分に、フロアパネル10の前側部分より高く形成されたキックアップ部12を有している。キックアップ部12は、後部座席26の下方に設けられている。キックアップ部12は、フロアパネル10の前側部分から上側に延びてから車両後側に略水平方向に延びている。
フロアパネル10の後端部に、具体的にはキックアップ部12の後端部に、キックアップ部12の後端部より高く形成されたリアフロアパネル27が接合されている。リアフロアパネル27は、キックアップ部12の後端部から上側に延びてから車両後側に略水平方向に延びている。
リアフロアパネル27の下面側に、左右のリアフレーム14の前端部間に架設されて車幅方向に延びる第3クロスメンバ28が取り付けられている。第3クロスメンバ28は、断面略ハット状に形成されてリアフロアパネル27に接合されている。
図6に示すように、左右のサイドシル21はそれぞれ、サイドシル21の車体内側を構成するサイドシルインナ21aとサイドシル21の車体外側を構成するサイドシルアウタ21bとが接合されて閉断面状に形成されている。
第1及び第2クロスメンバ22,23は、車両前後方向に離間して配置され、第1クロスメンバ22は、第2クロスメンバ23より車両前側に配置されている。第1及び第2クロスメンバ22,23はそれぞれ、断面略ハット状に形成されてフロアパネル10に接合されている。
第1及び第2クロスメンバ22,23はそれぞれ、トンネル部11によって車幅方向に分断され、分断された第1及び第2クロスメンバ22,23はそれぞれ、車幅方向外端部がサイドシル21に接合され、車幅方向内端部がトンネル部11に接合されている。
フロアパネル10の下面側には、図3に示すように、車幅方向に離間して車両前後方向に延びる左右のフロアフレーム50が配設されている。左右のフロアフレーム50はそれぞれ、左右のサイドシル21より車幅方向内側に配置され、車幅方向にサイドシル21とトンネル部11との間に配置されている。
フロアフレーム50は、図7に示すように、下面部50aと両側の側面部50bと両側のフランジ部50cとを備えて断面略ハット状に形成されている。フロアフレーム50は、両側のフランジ部50cがフロアパネル10に接合されてフロアパネル10と協働して閉断面状に形成されている。
左右のフロアフレーム50の前端部は、車両前側に車幅方向に離間して配設されて車両前後方向に略直線状に延びる左右のフロントフレーム13にそれぞれ連結されている。左右のフロントフレーム13はそれぞれ、閉断面状に形成されてダッシュパネル24から車両前側に延びている。
左右のフロアフレーム50の後端部は、車両後側に車幅方向に離間して配設されて車両前後方向に略直線状に延びる左右のリアフレーム14にそれぞれ連結されている。左右のリアフレーム14は、断面略ハット状に形成されてリアフロアパネル27の下面側に取り付けられ、リアフロアパネル27と協働して閉断面状に形成されている。
左右のフロアフレーム50はそれぞれ、車両前側から車両後側に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜する前傾斜部51と、前傾斜部51から車両後側に直線状に延びて車幅方向外側に拡幅された拡幅部52と、拡幅部52から車両後側に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜する後傾斜部53とを有している。左右のフロアフレーム50は、車両前側及び車両後側に比して車両前後方向中央側が車幅方向外側に拡幅され、左右の拡幅部52間が前傾斜部51間及び後傾斜部53間より車幅方向に大きく形成されている。
フロアパネル10の下面側には、図6に示すように、トンネル部11の車幅方向両側に車幅方向に離間して配設されて車両前後方向に延びる左右のトンネル補強部材54が接合されている。トンネル補強部材54は、フロアパネル10の下面側に接合されてフロアパネル10と協働して閉断面状に形成されている。
フロアパネル10の上面側には、図2に示すように、フロアフレーム50の前傾斜部51に沿って車両前後方向に延びる左右のフロア補強部材56が接合されている。フロア補強部材56は、フロアパネル10と協働して閉断面状に形成されている。フロア補強部材56の前端部は、ダッシュパネル24に接合され、フロア補強部材56の後端部は、第1クロスメンバ22に接合されている。フロアパネル10、フロアフレーム50、トンネル補強部材54などの車体構成部材は、例えば鋼板をプレス成形して形成されている。
フロアパネル10の下方には、自動変速機4とプロペラシャフト7とが車幅方向中央側に配置されている。図4に示すように、自動変速機4とプロペラシャフト7とは、トンネル部11内に配置されて車体1に支持されている。図3に示すように、自動変速機4は、左右のフロアフレーム50の前傾斜部51間に配置され、プロペラシャフト7は、左右のフロアフレーム50の拡幅部52間及び後傾斜部53間に配置されている。
フロアパネル10の下方には、左右のフロアフレーム50の後傾斜部53間に燃料タンク20が配設されている。燃料タンク20は、フロアパネル10のキックアップ部12の下方に配置され、フロアパネル10の前側部分より高くなるように配置されている。
図5に示すように、燃料タンク20の上面部20aは、フロアパネル10の前側部分より上側に配置され、燃料タンク20の下面部20bは、フロアパネル10の前側部分より下側に配置されている。燃料タンク20は、車幅方向両側に亘って延びると共に車両前後方向に延びるように形成され、内部に燃料が貯留される中空空間が形成されている。
燃料タンク20は、下面部20bの車幅方向中央側に、図4に示すように、プロペラシャフト7との干渉を回避するように上側に断面略半円状に窪む凹部20cを有している。燃料タンク20は、図3に示すように、燃料タンク20を固定する左右の固定ベルト57によって下側から支持されて車体1に固定されている。固定ベルト57の前端部は、フロアフレーム50の拡幅部52に取り付けられたタンク取付部材58に締結ボルトを用いて固定され、固定ベルト57の後端部は、第3クロスメンバ28の車幅方向中央側に取り付けられたタンク取付部材59に締結ボルトを用いて固定されている。
フロアパネル10の下方には、エンジン3から延びる排気管17と触媒装置18とが配置されている。排気管17と触媒装置18とは、フロアパネル10に支持されている。触媒装置18は、左右のフロアフレーム50の前傾斜部51間に配設され、車幅方向一方側である車両右側のフロアフレーム50の前傾斜部51と自動変速機4との間に配置されている。
フロアパネル10の下方に配置される排気管17は、触媒装置18より上流側がフロアフレーム50の前傾斜部51に沿って車両前側に延びてエンジン3に連結され、触媒装置18より下流側が車幅方向内側に延びてから車両後側に略直線状に延びてサイレンサ19に連結されている。
排気管17は、フロアパネル10のトンネル部11の下方ではプロペラシャフト7の下方に車両前後方向に延びている。図6に示すように、フロアパネル10のトンネル部11の下方では、排気管17は、プロペラシャフト7の中心軸7aと排気管17の中心軸17aとが車幅方向に一致する位置に配設されている。
フロアパネル10の下方には、プロペラシャフト7の車幅方向両側に離間して配置される第1及び第2バッテリユニット31,32が配設されている。第1及び第2バッテリユニット31,32はそれぞれ、複数のバッテリモジュールを接続してユニット化した高電圧バッテリとして形成されている。
第1及び第2バッテリユニット31,32は、フロアパネル10のキックアップ部12より車両前側に左右のフロアフレーム50の拡幅部52間に配置されている。第1バッテリユニット31は、車幅方向に車両左側のフロアフレーム50の拡幅部52とプロペラシャフト7との間に配置され、第2バッテリユニット32は、車幅方向に車両右側のフロアフレーム50の拡幅部52とプロペラシャフト7との間に配置されている。第1及び第2バッテリユニット31,32は、バッテリパック33として一体化して形成されて車体1に支持されている。
図8は、バッテリパックの斜視図、図9は、図8のY9-Y9線に沿ったバッテリパックの断面図である。図8及び図9に示すように、バッテリパック33は、プロペラシャフト7の車幅方向両側に離間して配置される第1及び第2バッテリユニット31,32と、第1及び第2バッテリユニット31,32を収容するバッテリカバー60とを有している。
第1及び第2バッテリユニット31,32はそれぞれ、平面視で略矩形状に形成されて略直方体状に形成されている。第1及び第2バッテリユニット31,32は、これに限定されるものではないが、プロペラシャフト7の車幅方向両側に略対称に形成されている。第1及び第2バッテリユニット31,32は、前述したように、フロアフレーム50の拡幅部52間に配置され、フロアフレームが車幅方向外側に拡幅されない場合に比して車幅方向の幅を大きくしてバッテリ容量が大きく形成されている。
バッテリカバー60は、第1バッテリユニット31を収容する第1バッテリ収容部61と、第2バッテリユニット32を収容する第2バッテリ収容部66と、第1バッテリ収容部61及び第2バッテリ収容部66を連結して車幅方向に延びる連結部71とを有している。バッテリカバー60は、例えばアルミニウム材料を用いて形成される。
第1バッテリ収容部61は、略直方体状に形成され、第1バッテリ収容部61の上側を構成する第1上側カバー部材62と第1バッテリ収容部61の下側を構成する第1下側カバー部材63とから構成されている。
第1上側カバー部材62は、略矩形状に形成されて略水平方向に延びる上面部62aと、上面部62aの周縁部から下側に延びる側面部62bと、側面部62bの下端部から外方へ略水平方向に延びるフランジ部62cとを備え、上面部62aが上側に膨出するように形成されている。
第1下側カバー部材63は、略矩形状に形成されて略水平方向に延びる下面部63aと、下面部63aの周縁部から上側に延びる側面部63bと、側面部63bの上端部から外方に略水平方向に延びるフランジ部63cとを備え、下面部63aが下側に膨出するように形成されている。
第1バッテリ収容部61は、フランジ部62cとフランジ部63cとが結合されることにより第1上側カバー部材62と第1下側カバー部材63とが結合されて形成されている。第1バッテリユニット31は、第1下側カバー部材63の下面部63aに取り付けられ、第1上側カバー部材62及び第1下側カバー部材63の内部に収容されている。
第1バッテリ収容部61には、第1バッテリ収容部61の車両前側における車幅方向外側から車両前側に略直方体状に延びる前側延設部64が形成されている。第1上側カバー部材62及び第1下側カバー部材63はそれぞれ、前側延設部64を形成するように車両前側における車幅方向外側から車両前側に延びている。
前側ジャンクションボックス43aは、略直方体状に形成されると共に偏平状に形成されている。前側ジャンクションボックス43aは、上下方向の高さが車両前後方向の長さより小さくなるように横置き式に配置される。前側ジャンクションボックス43aは、第1バッテリユニット31の車両前側において前側延設部64を構成する第1下側カバー部材63の下面部63aに取り付けられて第1上側カバー部材62及び第1下側カバー部材63の内部に収容されている。
第1バッテリ収容部61には、図3に示すように、第1バッテリユニット31より車両後側に第1上側カバー部材62の上面部62aに第1開口部62dが形成されている。第1開口部62dは、略矩形状に形成され、車両前後方向に比して車幅方向に長い長穴形状に形成されている。第1開口部62dには、後側ジャンクションボックス43b及びバッテリハーネスなどが挿通される。
第2バッテリ収容部66は、略直方体状に形成され、第2バッテリ収容部66の上側を構成する第2上側カバー部材67と第2バッテリ収容部66の下側を構成する第2下側カバー部材68とから構成されている。
第2上側カバー部材67は、略矩形状に形成されて略水平方向に延びる上面部67aと、上面部67aの周縁部から下側に延びる側面部67bと、側面部67bの下端部から外方へ略水平方向に延びるフランジ部67cとを備え、上面部67aが上側に膨出するように形成されている。
第2下側カバー部材68は、略矩形状に形成されて略水平方向に延びる下面部68aと、下面部68aの周縁部から上側に延びる側面部68bと、側面部68bの上端部から外方に略水平方向に延びるフランジ部68cとを備え、下面部68aが下側に膨出するように形成されている。
第2バッテリ収容部66は、フランジ部67cとフランジ部68cとが結合されることにより第2上側カバー部材67と第2下側カバー部材68とが結合されて形成されている。第2バッテリユニット32は、第2下側カバー部材68の下面部68aに取り付けられ、第2上側カバー部材67及び第2下側カバー部材68の内部に収容されている。
第2バッテリ収容部66には、図3に示すように、第2バッテリユニット32より車両後側に第2上側カバー部材67の上面部67aに第2開口部67dが形成されている。第2開口部67dは、略矩形状に形成され、車両前後方向に比して車幅方向に長い長穴形状に形成されている。第2開口部67dには、バッテリ制御ユニット44及びバッテリハーネスなどが挿通される。
連結部71は、車両前後方向及び上下方向に比して車幅方向に長く延びる略直方体状に形成されている。連結部71は、第1バッテリ収容部61及び第2バッテリ収容部66の車両後側を連結している。連結部71は、第1及び第2バッテリ収容部61,66より車両前後方向の長さが小さく形成されている。
連結部71は、第1及び第2バッテリ収容部61,66より高く第1及び第2バッテリ収容部61,66を連結して車幅方向に延びると共に燃料タンク20の車両前側に隣接して配置される。連結部71は、図9に示すように、連結部71の車両前側を構成する前側カバー部材72と連結部71の車両後側を構成する後側カバー部材73とから構成されている。
前側カバー部材72は、第1及び第2バッテリ収容部61,66の上面部62a,67aに取り付けられる下面部72aと、下面部72aから上側に延びる周壁部72bとを備えている。前側カバー部材72の下面部72aには、図3に示すように、車幅方向両側に第1バッテリ収容部61の第1開口部62d及び第2バッテリ収容部66の第2開口部67dに対応して第1開口部72c及び第2開口部72dが形成されている。
前側カバー部材72の第1及び第2開口部72c,72dは、第1及び第2バッテリ収容部61,66の第1及び第2開口部62d,67dと略同形状に形成されている。前側カバー部材72の第1及び第2開口部72c,72dは、略矩形状に形成され、車両前後方向に比して車幅方向に長い長穴形状に形成されている。第1開口部72cには、後側ジャンクションボックス43b及びバッテリハーネスなどが挿通され、第2開口部72dには、バッテリ制御ユニット44及びバッテリハーネスなどが挿通される。
前側カバー部材72の周壁部72bは、下面部72aから上側に延びて連結部71の車両前側及び車幅方向両側を構成している。周壁部72bには、車両後側に後側カバー部材73との合わせ面72eが形成されている。前側カバー部材72の合わせ面72eは、車幅方向全体に亘って車両後側に向かうにつれて車両下側に傾斜して形成されている。
後側カバー部材73は、上面部73aと、上面部73aから下側に延びる周壁部73bとを備えている。後側カバー部材73の周壁部73bは、上面部73aから下側に延びて連結部71の車両後側及び車幅方向両側を構成している。周壁部73bには、車両前側に前側カバー部材72との合わせ面73cが形成されている。後側カバー部材73の合わせ面73cは、車幅方向全体に亘って車両後側に向かうにつれて車両下側に傾斜して形成されている。
前側カバー部材72は、前側カバー部材72の下面部72aが第1及び第2バッテリ収容部61,66の上面部62a,67aに重ね合わせられて上下方向に延びる複数の締結ボルトBを用いて第1及び第2バッテリ収容部61,66に結合されている。後側カバー部材73は、後側カバー部材73の合わせ面73cが前側カバー部材72の合わせ面72eに合わされて車両前側且つ車両下側に傾斜して延びる複数の締結ボルトBを用いて前側カバー部材72に結合されている。
連結部71は、前側カバー部材72と後側カバー部材73とが結合されて内部に中空空間が形成されている。連結部71は、車幅方向中央部76の下側に上側に窪む凹部76aを有している。連結部71の凹部76aは、車幅方向における第1バッテリ収容部61と第2バッテリ収容部66との間にフロアパネル10のトンネル部11に対応して形成されている。
連結部71の車幅方向中央部76は、凹部76aによって両側の車幅方向外側部77より上下方向長さが短く形成されている。連結部71の車幅方向中央部76は、バッテリパック33に車幅方向外側から衝撃荷重が作用するときに、車幅方向外側から作用する衝撃荷重に対して脆弱な脆弱部76として機能する。
連結部71の車両左側の車幅方向外側部77内に、後側ジャンクションボックス43bが配置されている。後側ジャンクションボックス43bは、偏平状に形成されて、車両前後方向の長さが上下方向の高さより小さくなるように縦置き式に配置されている。
後側ジャンクションボックス43bは、図9に示すように、第1バッテリ収容部61内に設けられた基台63d上に取り付けられ、第1バッテリ収容部61の第1開口部62d及び連結部71の第1開口部72cを通じて連結部71内及び第1バッテリ収容部61内に収容されている。後側ジャンクションボックス43bは、第1及び第2バッテリユニット31,32より高くなるように燃料タンク20の車両前側に隣接して配置される。
連結部71の車両右側の車幅方向外側部77内に、バッテリ制御ユニット44が配置されている。バッテリ制御ユニット44は、偏平状に形成されて、車両前後方向の長さが上下方向の高さより小さくなるように縦置き式に配置されている。
バッテリ制御ユニット44は、後側ジャンクションボックス43bと同様に、第2バッテリ収容部66内に設けられた基台上に取り付けられて第2バッテリ収容部66の第2開口部67d及び連結部71の第2開口部72dを通じて連結部71内及び第2バッテリ収容部66内に収容されている。バッテリ制御ユニット44は、第1及び第2バッテリユニット31,32より高くなるように燃料タンク20の車両前側に隣接して配置される。
連結部71内には、図8に示すように、第1及び第2バッテリユニット31,32を電気的に接続するバッテリハーネス78、並びに後側ジャンクションボックス43b及びバッテリ制御ユニット44を電気的に接続するバッテリハーネス79などのバッテリハーネスが車幅方向中央部76を通じて車幅方向に延びている。
バッテリパック33は、図6に示すように、第1及び第2バッテリ収容部61,66の車幅方向外側の複数の取付部61a,66aが複数の締結ボルトBを用いてフロアフレーム50に固定され、第1及び第2バッテリ収容部61,66の車幅方向内側の複数の取付部61b,66bが複数の締結ボルトBを用いてトンネル補強部材54に固定され、フロアパネル10の下方に燃料タンク20の車両前側に隣接して取り付けられる。
バッテリパック33がフロアパネル10の下方に取り付けられると、第1及び第2バッテリユニット31,32は、プロペラシャフト7の車幅方向両側に離間して配置され、連結部71は、フロアパネル10のキックアップ部12の下方且つプロペラシャフト7の上方に配置され、第1及び第2バッテリユニット31,32を電気的に接続するバッテリハーネス78は、プロペラシャフト7の上方を通るように配設される。
バッテリパック33の連結部71はまた、第1及び第2バッテリ収容部61,66より高くなるように配置され、後部座席26の下方に配置されるフロアパネル10のキックアップ部12の下方において燃料タンク20の車両前側に配置される。
後側ジャンクションボックス43b及びバッテリ制御ユニット44は、フロアパネル10のキックアップ部12の下方に配置され、プロペラシャフト7の車幅方向両側に離間して配置されている。バッテリ制御ユニット44は、車両側面視で後側ジャンクションボックス43bの少なくとも一部と車両前後方向にオーバーラップする位置に配置される。
図5に示すように、バッテリパック33、具体的には第1バッテリ収容部61の車両前側近傍には、バッテリ関連電気部品としてインバータ41及びDC/DCコンバータ42が配置される。インバータ41及びDC/DCコンバータ42はそれぞれ、偏平状に形成されて上下方向の高さが車両前後方向の長さより小さく横置き式に配置される。インバータ41及びDC/DCコンバータ42はそれぞれ、図3に示すように、平面視で略矩形状に形成されている。
インバータ41及びDC/DCコンバータ42はそれぞれ、第1及び第2バッテリユニット31,32より車幅方向の幅が小さく形成されている。DC/DCコンバータ42は、インバータ41より車幅方向の幅が小さく車両前後方向の長さが大きく形成されている。
インバータ41及びDC/DCコンバータ42は、左右のフロアフレーム50の前傾斜部51間に配置され、変速機4と車両左側のフロアフレーム50の前傾斜部51との間に配置されている。インバータ41及びDC/DCコンバータ42は車幅方向内側が車幅方向に略一致して配置されている。
DC/DCコンバータ42は、インバータ41より車両前側に配置されると共にインバータ41の上側に上下方向に重ねて配置されている。インバータ41及びDC/DCコンバータ42はそれぞれ、図5及び図7に示すように、インバータケース41a及びコンバータケース42aに収容された状態で複数の締結ボルトBを用いて直接的に又は間接的にフロアパネル10に取り付けられる。
インバータ41及びDC/DCコンバータ42は、変速機4と車両左側のフロアフレーム50との間に配置され、触媒装置18は、変速機4と車両右側のフロアフレーム50との間に配置されている。インバータ41及びDC/DCコンバータ42と触媒装置18とは、車幅方向の一方側及び他方側に離間して配置され、インバータ41及びDC/DCコンバータ42は、車両側面視で触媒装置18の少なくとも一部と車両前後方向にオーバーラップする位置に配置されている。
インバータ41及びDC/DCコンバータ42は、高電圧ハーネスであるバッテリハーネス80によって第1バッテリユニット31及び前側ジャンクションボックス43aと電気的に接続されている。インバータ41及びDC/DCコンバータ42と第1バッテリユニット31及び前側ジャンクションボックス43aとを電気的に接続するバッテリハーネス80は、第1バッテリ収容部61の前側延設部64より車幅方向内側において前側延設部64に沿って車両前後方向に延びている。
車体1にはまた、図示されていないが、変速機4と車両左側のフロアフレーム50の前傾斜部51との間に車室25内の暖房を行うヒータユニットなどのバッテリ関連電気部品などが備えられている。ヒータユニットは、偏平状に形成されてシート状の電熱線ヒータ、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータによって構成されている。
このようにして構成された車体1では、正面衝突時に車体前方から衝撃荷重が作用する場合、駆動源2に車体前方から衝撃荷重が作用すると、差動装置8の車両前側が下側へ回動されると共にプロペラシャフト7の車両後側が下側に移動して変形し、駆動源2が車体後方へ移動される。
第1及び第2バッテリユニット31,32は、フロアパネル10の下方においてプロペラシャフト7の車幅方向両側に配置されるので、プロペラシャフト7の車両後側が下側に移動して変形される場合においても、プロペラシャフト7が第1及び第2バッテリユニット31,32に接触することを抑制することができる。第1及び第2バッテリユニット31,32を電気的に接続するバッテリハーネス78についても、プロペラシャフト7の上方を通るように配置されるので、プロペラシャフト7がバッテリハーネス78に接触することを抑制することができる。
車体1ではまた、側面衝突時に車幅方向外側から衝撃荷重が作用する場合に、バッテリパック33に車幅方向外側から衝撃荷重が作用すると、バッテリパック33の連結部71に脆弱部76が備えられているので、脆弱部76を潰れ変形させて第1及び第2バッテリ収容部61,66が潰れ変形することを抑制することができる。
このように、本実施形態に係る車両の下部構造では、フロアパネル10の下方にプロペラシャフト7の車幅方向両側に離間して第1及び第2バッテリユニット31,32が配置され、第1及び第2バッテリユニット31,32を電気的に接続するバッテリハーネス78がフロアパネル10の下方においてプロペラシャフト7の上方を通るように配設される。
これにより、正面衝突時にプロペラシャフト7が下側に移動して変形される場合においても、プロペラシャフト7が第1及び第2バッテリユニット31,32とバッテリハーネス78とに接触することを抑制することができ、衝突時に第1及び第2バッテリユニット31,32とバッテリハーネス78とを保護することができる。バッテリハーネス78は、上下方向にフロアパネル10とプロペラシャフト7との間に配置されるので、バッテリハーネス78に作業者の手が接触し難く、バッテリハーネス78への作業者の接触を抑制することができる。衝突時にバッテリハーネス78が損傷した場合においても、バッテリハーネス78への作業者の接触を抑制することができる。
したがって、フロアパネル10の下方にプロペラシャフト7の車幅方向両側に第1及び第2バッテリユニット31,32が配置される車両について、衝突時に第1及び第2バッテリユニット31,32とバッテリハーネス78とを保護すると共にバッテリハーネス78への作業者の接触を抑制することができる。
また、駆動源2は、駆動モータ5及びエンジン3を有し、プロペラシャフト7の下方に、エンジン3から車両前後方向に延びる排気管17が配設される。これにより、プロペラシャフト7の下方に排気管17が配設されるので、バッテリハーネス78に作業者の手がさらに接触し難く、バッテリハーネス78への作業者の接触を抑制することができる。
また、排気管17は、プロペラシャフト7の中心軸7aと排気管17の中心軸17aとが車幅方向に一致する位置に配設される。これにより、プロペラシャフト7と排気管17とが車幅方向に一致する位置に排気管17が配置されるので、プロペラシャフト7に対して排気管17が車幅方向一方側に配置される場合に比して、バッテリハーネス78に作業者の手が接触し難く、バッテリハーネス78への作業者の接触を有効に抑制することができる。
プロペラシャフト7に対して排気管17が車幅方向一方側に配置される場合、排気管17の車幅方向他方側に配置されるバッテリユニットと排気管17との間の隙間が大きくバッテリハーネス78に作業者の手が接触し易くなる。プロペラシャフト7と排気管17とが車幅方向に一致する位置に排気管を配置することで、バッテリハーネス78への作業者の接触を有効に抑制することができる。
また、バッテリハーネス78は、第1バッテリユニット31を収容する第1バッテリ収容部61及び第2バッテリユニット32を収容する第2バッテリ収容部66を連結して車幅方向に延びる連結部71内に配置される。これにより、バッテリハーネス78は、第1バッテリ収容部61と第2バッテリ収容部66とを連結する連結部71内に配置されるので、バッテリハーネス78を有効に保護することができる。
また、連結部71は、第1バッテリ収容部61及び第2バッテリ収容部66の車両後側を連結して車幅方向に延びる。これにより、第1及び第2バッテリ収容部61,66の車両後側どうしが連結部71によって連結されるので、連結部71を第1及び第2バッテリ収容部61,66の車両後側と車両前後方向にオーバーラップする位置に設けることができる。連結部71に応じてフロアパネル10に上側に突出する段部が形成される場合、段部をフロアパネル10の車両後側に設けることができ、第1及び第2バッテリ収容部61,66の車両前後方向中央側どうしが連結部71によって連結される場合に比して車室空間を有効に利用することができる。
本実施形態では、エンジン3と変速機4との間に駆動モータ5が配置されているが、エンジン3及び変速機4と別に駆動モータを配置してエンジン3及び駆動モータ5の少なくとも一方からの動力を駆動輪6に伝達するようにしてもよい。
本実施形態に係る車両は、エンジン3が車両前側に配置されてエンジン3からの動力を車両後側に配置された駆動輪6に伝達するエンジン縦置き式のハイブリッド車両であるが、エンジン縦置き式の四輪駆動のハイブリッド車両及びフロントエンジン・フロントドライブ車ベースのエンジン横置き式の四輪駆動のハイブリッド車についても同様に適用可能である。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。