JP7321746B2 - 農作業機自動化用汎用システム - Google Patents

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Description

本発明は、農作業機を自動化するシステムに関する。
近年、リモートセンシング技術が発展し、施肥や病害虫防除を圃場の必要とされる位置に行う技術が実用化されている。また、過去のデータから、所定の場所に散布を行うことも行われている。
そのための自動化システムが農作業機に搭載され、望む場所に散布が行われるように作業指令が農作業機に送られるようになっている。(特許文献1、図8参照)
作業指令は、それぞれの農作業機に搭載されたCAN通信や、他の規格のシリアル通信等決められた通信規格で送られるように設計されているが、例えばCAN通信が採用されている農作業機といえども、具体的な仕様は様々であり、必ず同じ仕様で通信が行われるとは限らない。
例えば、CAN通信が採用されている同じ種類の農作業機でも、大型、中型、あるいは高機能など機種が異なると、異なる通信仕様や作業指令の仕様が採用されることがある。また、同じ製造会社の同じ種類の機種でも、製造年が異なりモデルチェンジが行われると、仕様が変わることがある。さらに、製造メーカーが異なれば、なおさらである。
加えて、農作業機の種類が異なれば、作業指令の内容自体が異なるので、仕様がそれぞれ異なってくる。
農作業機の種類や、機種、型番が異なっても、自動化システムの基本的な機構は変わらず使えるが、通信仕様や作業仕様が異なるものとなったときには、これまでは、その機種、その型番の仕様に合わせたプログラムをその都度自動化システムにインストールし、出荷していた。新たな仕様の製品が販売されると、その都度仕様に適合したプログラムを作成する必要もあった。
これらは、いずれもコストを上昇させる原因となっていた。
2016-202061号公報
本発明は、通信仕様や作業仕様が異なる農作業機にあっても、仕様に合わせたプログラムをインストールする必要なく、仕様に適合できる自動化システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
通信手段を備え、作業指令データを(施肥機等の)農作業機へ送信する自動化システムにおいて、
環境設定ファイルにより設定変更化可能なプログラムを備え、
前記環境設定ファイルには、自動化しようとする前記農作業機で採用されている作業指令のデータフォーマットに対して、通信仕様および作業仕様をパラメータ化した、自動化しようとする前記農作業機の仕様が記述され、
前記環境設定ファイルにより設定変更された前記プログラムにより、前記農作業機の仕様に適合した作業指令データフォーマットで前記農作業機へ送信可能な設定となる自動化システムとすることで、課題を解決した。
なお、実施例では、農作業機の種類、販売会社、機種または製品等に応じ異なる仕様の作業指令データフォーマットがあるときを例にして説明がなされている。
本発明によれば、環境設定ファイルを読み込むだけで、通信仕様や作業仕様が自動化しようとする農作業機の仕様に適合するようになり、自動化システムの汎用性を高めることができるようになった。
本発明の自動化システムの全体構成を示す概念図 空撮写真から施肥マップを作成する工程を説明する概念図 CAN通信で用いられるデータフレームの主要なデータ要素の一例を示した概略図
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔実施例1〕
本実施例は、農作業機が施肥機である実施例である。
図1は、本発明の自動化システムの全体構成を示す概念図である。自動化コントローラ1(自動化システム)は、非常にコンパクトに構成されており、タブレットPCより小さい。農作業機の運転席に付属品(図示していない)を介して設置できるようになっている。
また、中央には、各種設定や作業状況等の各種情報が表示されるディスプレイ11を備えている。
表示内容の切り替え、各種設定は、ディスプレイのソフトキーでなされてよいが、自動化コントローラにハードキー(図示していない)を設けて、表示内容の切り替えや各種設定を行うようにしてもよい。
自動化コントローラ1は、接続端子12を備えており、接続ケーブル16を介して、GPS接続端子13にGPSアンテナ21を備えたGPSレシーバー20を接続できるようになっている。
また接続ケーブル16は、農作業機コントローラ接続端子14を備えており、農作業機30に設けられた農作業機コントローラ31に接続でき、自動化コントローラ1からの作業指令を農作業機コントローラ31に送ることができる。
農作業機コントローラ31は、農作業機の走行制御(車速、操向等)を制御するとともに、例えば施肥などの農作業装置の動作を制御する。しかしながら、農作業機コントローラ31は、一つのまとまったコントローラである必要はない。トラクターにけん引された施肥装置のような農作業機においては、トラクター側に農作業機の走行制御(車速、操向等)を制御するコントローラを置き、施肥装置側に農作業装置の動作を制御するコントローラを置いてもよく、通信ができるように相互に接続されている。制御の目的に適したコントローラが複数設けられるのが普通である。
農作業機30側にいくつコントローラが設けられているとしても、接続ケーブル16を用いて農作業機コントローラ接続端子14と接続しさえすれば、自動化コントローラ1が行う制御に必要なすべての農作業機コントローラ31と接続が完了するようになっている。
本実施例では、このような接続を可能とする、CAN(Controller AreaNetwork)通信を用いているが、これに限られるものではない。
自動化コントローラ1には、USB端子15が設けられている。USB端子15を介して、後述する環境設定ファイルや施肥量を決めるための施肥マップ(図2)などの情報が取り込めるようになっている。しかし、これらの情報を取り込むのに、ネットを介して取り込むこともでき、USB端子15は必須なものではない。
図2は、空撮写真40から施肥マップを作成する工程を説明する概念図である。空撮はドローン等で行われ、画像解析がなされる。図2中の空撮写真の薄い部分は、作物の成長が遅れている領域41であり、濃い部分は作物の成長が良好42な部分である。
画像解析により、これらの領域は解析され、画像データ、位置情報、施肥量情報を組み合わせた施肥マップ45(作業マップ)が作成される。施肥マップ45には、位置ごとに異なる作業量(肥料の地面への投入量など)や作業の種類(異なる作業を行う場所、作業をする場所、作業をしない場所の区別)がデータ化されている。
施肥マップ45のデータは、自動化コントローラ1に読み込まれる。
自動化コントローラ1は、接続されたGPSレシーバー20からの情報により、農作業機30の位置・移動速度情報等を取得し、現在位置、予測進路、移動速度を取得する。そして、これらのデータをもとに、施肥量や作業の種類に対応するデータを作業指令として、農作業機コントローラ31に送ることで農作業機30の施肥作業を自動化する。
CAN通信で用いられるデータフレームの主要な構成要素は、図3に示すように、各々のデータフレームを識別するためのID(識別子)フィールド、そのデータフレームが運ぶデータのビット数をあらわすコントロールフィールド、及び、そのデータフレームが運ぶデータの内容であるデータフィールド(可変長)である。
また、この場合、データフィールドのデータ長は、最大64ビット(8バイト)の可変長である。さらに、送られるデータの仕様については、CAN通信のプロトコルで規定されておらず、まかされているので、製造メーカー、機種等に依存した仕様となる。
このため同じCAN通信を利用している農作業機30(施肥機)であっても、製造メーカーごとにデータフォーマットが異なってくるし、同じ製造メーカーの製品であっても、大型、中型、小型、高性能型等の機種ごとにデータフォーマットが異なることがある。また、モデルチェンジに伴いデータフォーマットが変更される場合もある。
そこで、自動化しようとする農作業機30が採用しているデータフォーマットに対して、通信仕様および作業仕様をパラメータ化した環境設定ファイルを作成する。
環境設定ファイルが自動化コントローラ1に読み込まれると、環境設定ファイルにより設定変更可能なプログラムの設定が変更され、自動化しようとする農作業機コントローラ31の仕様に適合するようになる。
ここで、作業仕様とは、自動化しようとする作業機が採用する、作業に関連する仕様をいう。
例えば、行う作業に対応するコマンドID、当該作業で使用される単位、作業が行われる範囲または幅などをいい、施肥機(施肥量:単位mg、単位g:散布範囲:単位m、cm)などをいう。
通信仕様とは、自動化しようとする作業機が採用する、通信上の仕様をいう。
例えば、データのバイト量、データの位置、送信元IDなどをいう。
環境設定ファイルにより設定変更された前記プログラムにより、自動化しようとする農作業機の仕様に適合した作業指令データフォーマットで農作業機へ作業指令を送ることが可能となる。
以下で、具体的な環境設定ファイルについて説明する。
(農作業機の機種と通信手段)
・機種 ブロードキャスタ(肥料散布機)
・通信手段 CAN通信(パケットサイズ=8バイト)
(農作業機が要求するデータ)
(1) 送信元ID
(2) データの種類ID(例えば、データが散布量のコマンドであることを示すID)
(3) 単位時間当たりの肥料散布量
(農作業機が要求するデータの機種ごとの仕様の相違の例)
[機種Aの仕様]
(1) 送信元ID・・・・・・・10
機種Aでは、送信元IDが「10」として割り当てられている。
(2) データの種類ID・・・・50
機種Aでは、データの種類が散布量(散布量コマンド)であることを示すIDとして、50が割り当てられている。
(3) 単位時間当たりの散布量に関する機種Aの仕様
a 散布量単位 g/s(秒)
b パケットの0バイトから記載
c 2バイトデータ
[機種Bの仕様]
(1) 送信元ID・・・・・・・12
(2) データの種類ID・・・・52
(3) 単位時間当たりの散布量に関する機種Bの仕様
a 散布量単位 mg/s(秒)
b パケットの4バイトから記載
c 4バイトデータ
(環境設定ファイル作成のルール)
環境設定ファイルが自動化コントローラ1に読み込まれることで、設定を変更するために、データフォーマットをパラメータ化した環境設定ファイルの作成ルールを制定する。
以下に、ルールの一態様を示す。
データの種類を以下の内容で命名し、代入には「=」を用いる。
”送信元ID”
”散布量コマンドID”:自動化しようとする農作業機が、散布量コマンドに割り当てているコマンド番号を代入する。
”散布量単位” :mg/s単位を基本とする倍数でパラメータ化する。例えば、mg/sであれば1を、g/sであれば1000を代入する。
”散布量データ位置” :散布量のパケット内の先頭位置(0~7)を代入する。
”散布量データサイズ”:散布量データのバイト数を代入する。
以上のルールで機種Aの仕様から環境設定ファイル作成すると次のようになる。
”送信元ID”=10
”データの種類ID”=50
”散布量単位”=1000
”散布量データ位置”=0
”散布量データサイズ”=2
以上のルールで機種Bの仕様から環境設定ファイル作成すると次のようになる。
”送信元ID”=12
”データの種類ID”=52
”散布量単位”=1
”散布量データ位置”=4
”散布量データサイズ”=4
自動化コントローラ1に機種Aの環境設定ファイルを読み込ませ、機種Aに50000mg/sの散布量を指令する場合、次のようなデータが作られ、機種Aの農作業機コントローラ31に送られる。なお、データ内容は16進数である。
(機種Aからのデータ内容例 16進数)
送信元ID=0x0A
コマンドID=0x32
DATA0:0x32
DATA1:0x00
DATA2:0x00
DATA3:0x00
DATA4:0x00
DATA5:0x00
DATA6:0x00
DATA7:0x00
DATA0には、パケットの0バイトから記載という使用のため、DATA0に施肥量50000mg/sが入力されることとなる。そして、50000mg/s→機種Aは単位g/sであるから50 g/s(16進数で32)が入力される。機種Aの仕様に適合したデータフォーマットで農作業機コントローラ31に送られる。
送信元ID情報とコマンド情報IDは、CAN通信時のデータフレームのIDフィールド(図3参照)に組み込まれる。
同様に、自動化コントローラ1に機種Bの環境設定ファイルを読み込ませ、機種Bに50000mg/sの散布量を指令する場合、次のようなデータが作られ、機種Bの農作業機コントローラ31に送られる。
(機種Bからのデータ内容例 16進数)
送信元ID=0x0C
コマンドID=0x34
DATA0:0x00
DATA1:0x00
DATA2:0x00
DATA3:0x00
DATA4:0x50(50000は16進数でC350)
DATA5:0xC3
DATA6:0x00
DATA7:0x00
環境設定ファイルは、一般的にプレーンテキスト形式で記述され、エディターで簡単に作成・編集ができる。機種等に適合したプログラムを作成し、自動化コントローラ1にインストールするのに比較してはるかに簡単に、機種に適合した自動化コントローラ1とすることができる。
なお、通信方式としてCANを中心に説明してきたが、他の通信方式にも本発明が適用可能なことはいうまでもない。
〔実施例2〕
実施例1では、ブロードキャスタ(肥料散布機)の機種が違う場合であって、ブロードキャスタ(肥料散布機)に搭載されている自動化コントローラ1に関するものであった。
他の農作業機、例えば、ブームスプレイヤー(薬剤散布機)に取り付ける自動化コントローラは、別途開発する必要があり、開発に時間と労力を要してきた。
実施例2は、異なる農作業機の間で、同じ自動化コントローラ1を使用する実施例である。
A社製ブームススプレイヤーの機種Cが採用しているデータフォーマットに対して、通信仕様および作業仕様をパラメータ化した環境設定ファイルを作成し、当該環境設定ファイルをブロードキャスタ用として開発された自動化コントローラ1に読み込ませれば、ブームスプレイヤー機種C用の自動化コントローラ1とすることも可能となる。
このため、自動化コントローラ(自動化システム)の開発コストを著しく下げることができる。
また、全く異なる農作業機に自動化コントローラ1を搭載できるようになることは、農作業者に新たな自動化コントローラ1の使い方を提供する。
上述したように、自動化コントローラ1は、コンパクトでタブレットPCより小さいものであり、積み替えも容易である。ブロードキャスタに搭載していた自動化コントローラ1をブームスプレイヤーの運転席に積み替えて、ブームスプレイヤーの機種に適合した環境設定ファイルと虫害・病害画像から作られた防除マップを読み込ませることで、ブームスプレイヤーを自動化できる。
自動化する農作業機ごとに自動化システムを購入する必要がなくなる。そして、環境設定ファイルを農作業機や機種ごとにネットからダウンロードできるようにしておけば、農作業者自ら環境設定ファイルを作る必要をなくすこともできる。
ブームスプレイヤー用の環境設定ファイル作成のルールとしては
(1) 送信元ID
(2) データの種類ID
(3) 単位時間当たりの散布量に関する機種Dの仕様
a 散布量単位 ml/s(秒)
b ブームの長さ
c パケットの4バイトから記載
d 4バイトデータ
等が挙げられる。
このような使用態様をする場合、誤った環境設定ファイルが読み込まれると、農作業に支障をきたす。そのため、自動化コントローラ1のディスプレイ11に、農作業機の種類と機種名等が表示されるようにして、農作業者が作業前に確認できるようにすることが好ましい。
環境設定ファイルは、農作業者が新たな農作業機を購入するたびに必要になるため、ネットワーク上に農作業機の種類や、機種等に適合した複数の環境設定ファイルをサーバに記憶させておき、農作業者から要求があったときに、有償または無償で農作業者がダウンロードできるようなネットワークシステムを構築してもよい。
(まとめ)
以上のように、本発明は、環境設定ファイルを読み込ませるだけで、機種の違いにとどまらず、他の種類の農作業機まで自動化できる自動化システムであり、自動化システムの汎用性を著しく高めることができる。
1 自動化コントローラ(自動化システム)
11 ディスプレイ
12 接続端子
13 GPS接続端子
14 農作業機コントローラ接続端子
15 USB端子
16 接続ケーブル
20 GPSレシーバー
21 GPSアンテナ
30 農作業機
31 農作業機コントローラ
40 空撮写真
41 作物の成長の遅れている領域
42 作物の成長が良好な領域
45 施肥マップ
46 多く施肥する領域

Claims (3)

  1. 通信手段を備え、作業指令データを(施肥機等の)農作業機へ送信する自動化システムにおいて、
    環境設定ファイルにより設定変更化可能なプログラムを備え、
    前記環境設定ファイルには、自動化しようとする前記農作業機で採用されている作業指令のデータフォーマットに対して、通信仕様および作業仕様をパラメータ化した、自動化しようとする前記農作業機の仕様が記述され、
    前記環境設定ファイルにより設定変更された前記プログラムにより、前記農作業機の仕様に適合した作業指令データフォーマットで前記農作業機へ送信可能な設定となる自動化システム。
  2. 請求項1の前記自動化システムを備えた農作業機。
  3. 自動化しようとする前記農作業機で採用されている作業指令のデータフォーマットに対して、通信仕様および作業仕様をパラメータ化した、自動化しようとする前記農作業機の仕様を記述した請求項1記載の環境設定ファイルをネットワーク上のサーバに記憶させ、ダウンロード要求があったときに、前記環境設定ファイル要求者に送るネットワークシステム。
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