JP7321499B2 - 浴槽用給湯アダプタ - Google Patents

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Description

本発明は、浴槽用給湯アダプタに関し、特に、浴槽水を浴槽から吸引し、洗濯機等で再利用するに好適な浴槽用給湯アダプタに関する。
近年、資源の節約志向に伴い、入浴後の浴槽水を捨てずに再利用することが行われている。
浴槽水を再利用するにあたっては、浴槽壁に取り付けられた浴槽用給湯アダプタを利用し、浴槽内に設けられたノズル部材から浴槽水を吸引し、浴槽外の適所に供給することが行われている。浴槽用給湯アダプタは、湯張りや追い焚きのために浴槽壁に取り付けられているが、このような浴槽用給湯アダプタの戻り配管に分岐管を接続することで、別途のホースや配管を設置することなく、既設の設備を利用して、浴槽水を洗濯機まで送給することができる。
ところで、浴槽水には髪の毛や湯垢などの不純物が含まれており、それらの不純物がノズル部材を通過して吸引ポンプに至ると、ポンプの汚染や破損につながるため好ましくない。そのため、浴槽水に含まれる不純物を除去するために、浴槽水を吸引するノズル部材の入り口にフィルタが接地される。
浴槽水から不純物を除去し濾過するためのフィルタとしては、例えば、特許文献1に示されるような技術が提案されている。(特許文献1)。
特開2004-337253号公報
フィルタには種々の形状や素材が存在するが、スポンジや不織布等によって形成され、ろ過前の浴槽水が流入する流入面と、流入面の法線と略平行又は所定角度をなす法線を有し、流入面から所定距離の経路を確保して浴槽水が流出する流出面と、流入面の法線と略平行又は所定角度をなす法線を有し流出面から所定距離の経路を確保する中間面であって、流入面、流出面及び中間面によってフィルタの形状が画定される中間面とを有するような、流れ方向に厚みを有するフィルタによって汚れ等を除去する場合、流入面から流出面に向かう一方向の流れであるため、流入面近傍に汚れがたまりやすく、流入面における汚れの堆積に伴い徐々に吸引抵抗が増大する。そして、ある時点でフィルタが圧縮され、最終的には流れ方向に潰れてしまう。
このような問題は、流れ方向が一定のフィルタだけでなく、例えば、円周方向から流入し、軸方向から流出するような円筒形状のフィルタや、軸方向から流入し、円周方向から流出するような円筒形状のフィルタ等のように、フィルタ内において流れ方向が変化するフィルタにおいても生じる。
フィルタが潰れると、さらに吸引抵抗が増加し、必要な流量が確保できないなどのトラブルを誘因することになる。また、フィルタが潰れると、フィルタ自体が機能を失い、フィルタの性能を長期にわたって確保できない。
つまり、従来の流れ方向に厚みを有するフィルタによって汚れ等を除去する場合、流入面近傍の領域しかフィルタとしての機能を果たさず、下流側の領域は機能しないという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みて、流れ方向に厚みのあるフィルタを使用する場合であっても、流入面近傍だけでなく、下流側の領域も有効に機能させることが可能であり、性能を長期にわたって確保可能なフィルタを備えた浴槽用給湯アダプタを提供することを目的とする。
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、浴槽壁部に貫通状態で組み付けられる槽内突出部を介して浴槽内に設置され、浴槽内の湯水を吸引して浴槽外に供給するようにしたノズル部材と、ノズル部材に吸引される浴槽水に含まれる不純物をろ過するフィルタ本体と、内部にフィルタ本体を収容し、浴槽水の流入孔と流出孔とが穿設され、流出孔側が前記ノズル部材に接続されるフィルタケースとを有し、フィルタ本体は、ろ過前の浴槽水が流入する流入面と、流入面の法線と略平行又は所定角度をなす法線を有し、流入面から所定距離の経路を確保して浴槽水が流出する流出面と、流入面の法線と略平行又は所定角度をなす法線を有し、流出面から所定距離の経路を確保する中間面であって、流入面、流出面及び中間面によってフィルタ本体の形状が画定される中間面とを有し、フィルタケースは、流入面に対応する第一流入孔、流出面に対応する流出孔、及び、中間面に対応する第二流入孔を備え、第二流入孔の吸引抵抗は、第一流入孔の吸引抵抗よりも大きく設定されている、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、フィルタ本体の中間面に対応する第二流入孔の吸引抵抗が、流入面に対応する第一流入孔の吸引抵抗よりも大きく設定されているため、流入面に汚れが堆積して吸引できなくなった場合に、第二流入孔が圧力逃がし孔として機能することで浴槽水を吸引することができ、厚みのあるフィルタ本体を圧縮させることなく有効に機能させることが可能となる。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、フィルタ本体は、流入面の法線と略平行の法線を有する流出面と、流入面と流出面との間に設けられ所定の高さを有する中間面とを有し、フィルタケースは、第一流入孔を備えフィルタ本体の流入面が接地する第一フィルタ接地部と、フィルタ本体の高さと略同等の高さを有しフィルタ本体の中間面が接地するフィルタ保持枠と、流出孔を備えフィルタ本体の流出面が面する第二フィルタ接地部とを有し、第二流入孔は、フィルタ保持枠のうち、第一フィルタ接地部よりも第二フィルタ接地部に近い位置に形成された複数の孔からなる、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第2の特徴に係る発明によれば、第二流入孔は、フィルタ保持枠のうち、第一フィルタ接地部よりも第二フィルタ接地部に近い位置に形成された複数の孔からなるため、フィルタ本体が圧縮されるに至る前に、第二流入孔を機能させることができ、その結果、フィルタ本体の下流側領域を有効に利用し、厚みのあるフィルタ本体の機能を効果的に発揮することができる。
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、第二流入孔はフィルタ保持枠のうち第二フィルタ接地部に接する位置に形成される、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第3の特徴に係る発明によれば、第二流入孔はフィルタ保持枠のうち第二フィルタ接地部に接する位置に形成されるため、フィルタ本体の最下流領域まで有効に利用し、厚みのあるフィルタ本体の機能を最大限に発揮することが可能な浴槽用循環アダプタを提供することができる。
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、第二フィルタ接地部からフィルタ本体の流出面に向けて突出し、第二流入孔に対向する向きに延出する複数の接地面リブをさらに備える、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第4の特徴に係る発明によれば、第二流入孔に対向する向きに延出する複数のリブを第二フィルタ接地部に備えるため、隣接するリブとリブの間に、フィルタ本体の流出面を一辺とする流路を形成することができ、第二流入孔から流入した浴槽水が当該流路を流通する間に、フィルタ本体の流出面で不純物を除去することができる。
また、第二流入孔から流入した浴槽水に対して整流効果を与えるため、第二流入孔から流入してすぐに流出面に至るようなショートパスを防止できるとともに、仮に流出面の手前側が閉塞に至った場合であっても、接地面リブによって形成される流路に沿って奥側まで湯水が流通するため、フィルタ本体の奥側領域を有効に利用することが可能となる。
第5の特徴に係る発明は、第4の特徴に係る発明であって、複数の接地面リブは、第二流入孔が形成される部位に対応する位置に設けられ、それぞれの接地面リブにおける第二流入孔開口側端部における第二流入孔に対向する向きの断面積は、それぞれの第二流入孔の開口面積よりも小さく設定される、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第5の特徴に係る発明によれば、第二流入孔が形成される部位に対応する位置に接地面リブを備え、それぞれの接地面リブにおける第二流入孔に対向する向きの断面積が、それぞれの第二流入孔の開口面積よりも小さく設定されているため、第二流入孔と接地面リブとの間に形成される隙間部分の距離を長く確保することができ、第二流入孔の詰まりを防止することができるとともに、接地面リブの第二流入孔側の端部が、第二流入孔に流入する湯水の抵抗としても機能するため、確実に、第二流入孔の吸引抵抗を第一流入孔の吸引抵抗よりも大きく設定できるようになる。
第6の特徴に係る発明は、第5の特徴に係る発明であって、フィルタケースは、第一フィルタ接地部及びフィルタ保持枠を備える平面視略矩形状の第一フィルタケースと、第一フィルタケースと係合可能に構成され、第二フィルタ接地部を有する平面視略矩形状の第二フィルタケースとからなり、フィルタ保持枠は、第二流入孔が形成される流入孔壁と、流入孔壁に対向する対向壁と、流入孔壁と対向壁との間に形成される二つの側壁とによって形成され、側壁の内面に、フィルタ本体の中間面に向けて突出し第二流入孔に対向する向きに延出するスライド突起が設けられ、第二フィルタ接地部の両端部から、外面にスライド突起に係合可能な係合溝が形成されるスライド片が突出して設けられ、流入孔壁には、スライド片を挿通可能な挿通孔が設けられ、挿通孔からスライド片を挿通させ、スライド突起と係合溝が係合することで第一フィルタケースと第二フィルタケースとが係合されるよう構成され、接地面リブは、第二流入孔が設けられる部位に相当する前端縁から徐々に高さが漸減する略三角形状に設けられ、接地面リブと第二流入孔との間に、第二流入孔に対向する向きから見て所定の隙間が形成されるよう、接地面リブと第二流入孔の形状が設定される、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第6の特徴に係る発明によれば、接地面リブは、第二流入孔が設けられる部位に相当する前端縁から徐々に高さが漸減する略三角形状を呈するため、第一フィルタケースを第二フィルタケースに対してスライドさせ接続する際、接地面リブがフィルタ本体に引っかかることなく、スムーズに接続することが可能となる。また、接地面リブと第二流入孔との間に背面から見て所定の隙間が形成されるよう、接地面リブと第二流入孔の形状が設定されているため、接地面リブを第二流入孔にスムーズに挿入することができる。
第7の特徴に係る発明は、第1から第6のいずれかの特徴に係る発明であって、流出孔は第一流入孔よりも断面積が小さい多数の細孔群によって構成される、浴槽用給湯アダプタを提供する。
第7の特徴に係る発明によれば、流出孔が第一流入孔よりも断面積が小さい多数の細孔群によって構成されているため、流出孔に第二のフィルタとしての機能を持たせることができ、フィルタ本体で捕捉できなかった不純物を、下流のノズル部材に到達させないよう捕捉することができる。
本発明によれば、流れ方向に厚みのあるフィルタを使用する場合であっても、流入面近傍だけでなく、下流側の領域も有効に機能させることが可能であり、性能を長期にわたって確保可能なフィルタを備えた浴槽用給湯アダプタを提供できる。
図1は、本実施形態に係る浴槽用給湯アダプタ1の斜視図である。 図2は、本実施形態に係る浴槽用給湯アダプタ1の側面図である。 図3は、本実施形態に係る浴槽用給湯アダプタ1の側面断面図である。 図4は、本実施形態に係る浴槽用給湯アダプタ1を斜め後方から見た図である。 図5Aは、本実施形態に係る流路仕切部材40の斜視図である。 図5Bは、本実施形態に係る流路仕切部材40の正面図である。 図5Cは、図5BのA-A断面図である。 図6Aは、本実施形態に係る第一ノズル部材60の分解斜視図である。 図6Bは、本実施形態に係る第一ノズル部材60を分解して斜め後方から見た図。 図6Cは、本実施形態に係る第一ノズル部材60を構成する第一ノズル本体60bの正面図である。 図6Dは、本実施形態に係る第一ノズル部材60を構成する第一ノズル本体60bの底面図である。 図7Aは、本実施形態に係る第二ノズル部材70の分解斜視図である。 図7Bは、本実施形態に係る第二ノズル部材70を分解して斜め後方から見た図である。 図7Cは、本実施形態に係る第二ノズル部材70を構成する第二ノズル本体70bの正面図。 図7Dは、本実施形態に係る第二ノズル部材70を構成する第二ノズル本体70bの底面図である。 図8Aは、本実施形態に係るフィルタ部材80の分解斜視図である。 図8Bは、本実施形態に係るフィルタ部材80の斜視図である。 図8Cは、本実施形態に係るフィルタ部材80の背面図である。 図8Dは、本実施形態に係るフィルタ部材80の平面図である。 図8Eは、本実施形態に係るフィルタ部材80において、第一フィルタケース110に第二フィルタケース120を組み込んでいる状況を示す斜め下方から見た図である。 図8Fは、本実施形態に係るフィルタ部材80を構成する第二フィルタケース120を斜め下方から見た図である。
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
[浴槽用給湯アダプタ1の全体構成]
まず、図1~図4を用いて、本実施形態に係る浴槽用給湯アダプタ1の全体構成を説明する。図1は、本実施形態に係る浴槽用給湯アダプタ1の斜視図を、図2は浴槽用給湯アダプタ1の側面図を、図3は浴槽用給湯アダプタ1の側面断面図を、図4は浴槽用給湯アダプタ1を斜め後方から見た図を示す。
これらの図に示すように、本実施形態の浴槽用給湯アダプタは、浴槽の側壁(壁部)Wに貫通状態に取り付けられるアダプタ本体Pと、アダプタ本体Pに取り付けられるノズル部材50とによって構成される。なお、本明細書の説明においては、浴槽用給湯アダプタの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図2および図3の左側)を「前側」または「正面側」とし、浴槽に対して外側(図2および図3の右側)を「後側」「裏面側」または「背面側」として説明する。
アダプタ本体Pは、槽外取付部材10と、管路部材20と、雄ねじ部材30と、流路仕切部材40とを備えている。
〔槽外取付部材10〕
槽外取付部材10は、前面側が開放され、かつ後面側が閉塞された円筒形状の外筒部12と、その外筒部12の内部に同軸心上に配置される円筒形状の内筒部11と、外筒部12の前端外周に設けられた平板リング状の外フランジ部13とを備えている。外筒部12の後端部における上下両側には槽内流入口10aおよび槽外流出口10bが設けられており、流槽内入口10aが内筒部11の内部に連通接続されるとともに、槽外流出口10bが内筒部11および外筒部12間の環状部に連通接続されている。内筒部11の内部は、後述する内側流路10Aの一部を構成するものであり、内筒部11および外筒部12間の環状空間は、後述する外側流路10Bの一部を構成するものである。
なお外筒部12の内周面には雄ねじ部材30をねじ込んで固定するための雌ねじが刻設されている。
〔管路部材20〕
管路部材20には、その後部に往き管接続口20aおよび戻り管接続口20bが設けられている。さらに管路部材20には、一端側が槽外取付部材10の槽内流入口10aに連通接続され、かつ他端側が往き管接続口20aに連通接続された往き管路21aが設けられるとともに、一端側が槽外取付部材10の槽外流出口10bに連通接続され、かつ他端側が戻り管接続口20bに連通接続された戻り管路21bが設けられている。
さらに管路部材20における戻り管路21bには分岐管路21cが設けられるとともに、その分岐管路21cには残り湯取出口20cが設けられている。
また管路部材20における往き管路21aと戻り管路21bとの間には逆止弁22aが設けられている。この逆止弁22aは、戻り管路21b側から往き管路21a側に流動する湯水の流れは許容し、かつその逆方向の流れを制止するように構成されている。
さらに管路部材20における戻り管路21bには、分岐管路21cよりも戻り管接続口20b側寄りの位置に逆止弁22bが設けられている。この逆止弁22bは、戻り管路21b内を槽外取付部材10の槽外流出口10b側から戻り管接続口21b側に流動する湯水の流れは許容し、かつその逆方向の流れを制止するように構成されている。
また分岐管路21cには逆止弁22cが設けられている。この逆止弁22cは、戻り管路21b側から残り湯取出口20c側に流動する湯水の流れは許容し、かつその逆方向の流れを制止するように構成されている。
〔雄ねじ部材30〕
雄ねじ部材30は、前後両端が開放された円筒体の前端外周に平板リング状の中フランジ部31が一体に形成された鍔付き円筒形状に形成されている。中フランジ部31の外周側面には、後述する流路仕切部材40を接続するための側面視L字状の接続溝32が形成される。
また、雄ねじ部材30の外周側面には、上記槽外取付部材10における外筒部12の雌ねじに対応して雄ねじが刻設されている。
そして、槽外取付部材10と雄ねじ部材30とが分離された状態で、浴槽に穿設された取付孔に対し、管路部材20付きの槽外取付部材10の外フランジ部13が浴槽の外壁側から取付孔の周縁部に沿うように配置され、雄ねじ部材3の中フランジ部31が、浴槽の内壁側から取付孔の周縁部に圧接されるように配置され、雄ねじ部材30の外周側面に刻設された雄ねじを外筒部12の雌ねじにねじ込むことにより、槽外取付部材10と雄ねじ部30が固定される。これにより両部材10、30の外フランジ部13及び中フランジ部31によって浴槽側壁Wにおける取付孔周縁部が挟持されて、管路部材20付きの槽外取付部材10と雄ねじ部材30とが浴槽側壁Wに組み付けられる。
〔流路仕切部材40〕
次に、図3及び図5を用いて、流路仕切部材40について説明する。図5Aは斜視図、図5Bは正面図、図5Cは図5BのA-A断面図である。
流路仕切部材40は、軸心方向(前後方向)に延びる前後両端が開放された細長い円筒形状の細円筒部41と、前端が開放し底部が細円筒部41に接続され、軸心方向(前後方向)に延びる有底円筒形状の太円筒部42と、太円筒部42の前端部外周に設けられた略円盤状の槽内突出部43とを有している。太円筒部42の径は細円筒部41の径よりも大きく設定されている。
細円筒部41は、後述するように槽外取付部材10の内筒部11に接続されるものであり、細円筒部41の内部と、細円筒部41に連通する槽外取付部材10における内筒部11の内部とによって、内側流路10Aが形成される。さらに細円筒部41は、後述するように雄ねじ部材30の内部に配置されるものであり、細円筒部41および雄ねじ部材30間の環状空間と、それに連通する槽外取付部材10における内筒部11および外筒部12間の環状空間とによって、外側流路10Bが形成される。
太円筒部42は、後述するようにノズル部材50の第一ノズル本体60の後壁に形成される外側突出部61に接続可能に構成されるとともに、円筒形状の部位における外径が雄ねじ部材30の内径と略同一に設定され、雄ねじ部材30の内部に挿入可能に構成される。太円筒部42の底面における中央部には、細円筒部41の内部と連通する円形の吐出口44が形成される。
また、吐出口44の周囲には、円周方向に複数の細長孔が穿設されており、この複数の細長孔によって吸引口45が構成される。
そして、吐出口44と吸引口45の間には、太円筒部42の底面から前方に向けて、内側が細円筒部41の内部と連通する円筒形状の前方突出部46が形成される。前方突出部46の内径は、後述するノズル部材50の第一ノズル本体60bの後壁に形成される内側突出部62の外径と略同一に設定されており、内側突出部62が前方突出部46内に挿入されることにより、内側突出部62の内部と細円筒部41の内部とが連通するように構成されている。なお、前方突出部46の前端は、後述する槽内突出部43が形成される位置よりも後方に位置するように設定される。
槽内突出部43は太円筒部42の前端部外周に設けられる略円盤状の部材であり、槽内突出部43の外側端部には、円盤状の面からそれぞれ前方及び後方に突出する前方フランジ部47f及び後方フランジ部47bからなる円筒状の組付フランジ部47が形成される。
組付フランジ部47の後方フランジ部47bの内径は、雄ねじ部材30の中フランジ部31の外径と略同一に設定されており、後方フランジ部47bにおける内周側面には、雄ねじ部材30の接続溝32に係合する係合突起48が設けられている。係合突起48は後方フランジ部47bの内周側面において適宜の間隔をおいて複数形成される。
また、槽内突出部43の組付フランジ部47における前方フランジ部47fの外周側面には、後に詳述するノズル部材50を固定するための固定溝49が形成されている。固定溝49は側面視L字状に形成されており、前方フランジ部47fの外周側面において周方向に適宜の間隔をおいて複数形成される。この固定溝49は、軸心方向に沿って前後方向に延び、かつ前端が前方に向けて開口する軸方向溝と、軸方向溝の後端に一端が連通し、かつ周方向に沿って延びる周方向溝とを備えている。
なお本実施形態において、浴槽用給湯アダプタ1およびアダプタ本体Pの軸心方向は前後方向に相当し、後述するノズル部材50の軸心方向は上下方向(垂直方向)に相当する。
流路仕切部材40をこのように構成することにより、図5Cに示すように、流路仕切部材40における細円筒部41が雄ねじ部材30に前方から挿入されて槽外取付部材10の内筒部11に連通接続され、その状態で、流路仕切部材40における後方フランジ部47bの内周側面に形成された係合突起48と、雄ねじ部材30の中フランジ部31の外周側面に形成された接続溝32とによって、雄ねじ部材30と流路仕切部材40が着脱自在に取り付けられる。
こうして流路仕切部材40を雄ねじ部材30および槽外取付部材10に組み付けた状態では、太円筒部42における吸引口45が外側流路10B内に連通されるとともに、吐出口44が内側流路10Aに連通される。
この構成のアダプタ本体Pにおいて、管路部材20の往き管接続口20aは、図示しない室外給湯機の給湯口に往き管25aを介して連結され、戻り管接続口20bは、室外給湯機の吸引口に戻り管25bを介して連結されている。さらに残り湯取出口20cには、洗濯機の吸引ポンプに残り湯取出管25cを介して連結されている。
そして追い焚き時の戻り側回路においては、給湯機による吸引作用によって戻り管25b、戻り管路21b、外側流路10Bおよび吸引口45が負圧に設定される。その吸引力によって湯水が吸引口45から外側流路10Bに導入されて、槽外取付部材10の槽外流出口10bから管路部材20の戻り管路21b内に導入されて、逆止弁22b、戻り管接続口20bおよび戻り管25bを介して給湯機に戻される。一方、往き側の回路においては、給湯機から供給される湯水が往き管25aを通って管路部材20の往き管接続口20aから往き管路21a内に導入され、さらにその湯水は槽外取付部材10の槽内流入口10aから内側流路10Aに導入されて、太円筒部42の吐出口44から吐出される。
また浴槽内の残り湯を取り出す際には、洗濯機の吸引ポンプによって残り湯取出管25c内が負圧となりその吸引力によって、湯水が太円筒部42の吸引口45から外側流路10Bに導入されて、槽外取付部材10の槽外流出口10bから管路部材20の戻り流路21b内に導入された後、逆止弁22cを通って分岐管20cに導入される。さらにその湯水は残り湯取出管25cを通って洗濯機に供給されて洗濯水として利用される。
なお本実施形態において、湯はり時にはダブル搬送によって湯水が供給される。すなわち給湯機から湯水が往き管25aおよび戻り管25bの双方に供給され、往き管25a側の湯水は管路部材20の往き管接続口20aを介して往き管路21a内に導入される。その一方、戻り管25b側の湯水は管路部材20の戻り管接続口20bから導入され、逆止弁22aを通って往き管路21aに導入されて、上記往き管25aからの湯水と合流する。こうして合流した湯水は往き管路21aを通って、槽外取付部材10の槽内流入口10aから内側流路10Aに導入されて、太円筒部42の吐出口44から吐出される。
〔ノズル部材50〕
次に、本実施形態におけるノズル部材50について図6~図7を用いて説明する。ノズル部材50は、アダプタ本体Pの槽内突出部43に接続される略ボックス型の部材であって、浴槽水を槽外に導出する機能及び給湯機からの温水を浴槽内に導入する機能を有する部材である。ノズル部材50は、第一ノズル部材60と、延長ノズルとしての機能を有する第二ノズル部材70とからなる。ノズル部材50の下方には、フィルタ部材80が接続されている。
〔第一ノズル部材60〕
図6を用いて、第一ノズル部材60について説明する。図6Aは第一ノズル部材60の分解斜視図を、図6Bは第一ノズル部材60を分解して斜め後方から見た図を、図6Cは第一ノズル部材60を構成する第一ノズル本体60bの正面図を、図6Dは同底面図を示す。
第一ノズル部材60は、前方に向けて緩やかな湾曲状に形成された第一カバー部材60cと、前方が第一カバー部材60cに覆われ下端が開放される下向きの第一ノズル本体60bとによって、水平断面が扁平矩形状の略ボックス型の形状を呈するよう構成される。
流路仕切部材40が組付けられた際に組付フランジ部47の前方フランジ部47fと対面する第一ノズル本体60bの後壁には、内部に流路が形成される略円筒形状で、流路仕切部材40の前方突出部46に挿入される内側突出部62と、内側突出部62の外側に同心円状に設けられ、内側突出部62との間に環状の流路を形成するものであり、流路仕切部材40の太円筒部42に挿入される略円筒形状の外側突出部61が形成される。また、第一ノズル本体60bの下端には、下方に突出する水平断面略矩形枠状の部材である第一下端開口枠部63が形成されている。
さらに、外側突出部61の外側には、流路仕切部材40の組付フランジ部47が挿入可能となるよう後方に突出する略円筒形状の周側壁部64が形成される。
周側壁部64の内周面には、組付フランジ部47の外周側面に形成された固定溝49に係合される複数の固定突起65が周方向に適宜の間隔をおいて形成される。前述の通り、固定溝49は、軸心方向に沿って前後方向に延び、かつ前端が前方に向けて開口する軸方向溝と、軸方向溝の後端に一端が連通し、かつ周方向に沿って延びる周方向溝とによって側面視略L字状に形成されているため、軸方向溝の開口に固定突起65の位置をあわせ、流路仕切部材40に対して第一ノズル部材60を押し込むことで、固定突起65を軸方向溝の後端まで挿入することができる。その状態で第一ノズル部材60を軸心周りに捻回操作することにより、固定突起65を周方向溝に沿って移動させ、第一ノズル部材60を流路仕切部材40に対して固定する。
このように、第一ノズル部材60に形成された固定突起65が固定溝49を構成する周方向溝に係合することで、前後方向の移動が規制され、第一ノズル部材60を流路仕切部材40に対して固定することができる。
また、周側壁部64には、内側流路10Aから第一ノズル部材60に流入する戻り湯を浴槽内に吐出するための吐出用開口66が形成される。吐出用開口66が形成される位置は、鉛直下方から所定の角度を有する位置に設定され、斜め下方に湯水が吐出されるように構成される。
内側突出部62の内部に形成される流路と吐出用開口66とは、内側突出部62における第一ノズル本体60の後壁側基端部から後壁に沿って、内側突出部62と外側突出部61との間に形成される環状の流路を貫通し、さらに、外側突出部61と周側壁部64との間に形成される環状空間を貫通するように斜め下方に延伸する吐出流路67によって連通する。
なお、吐出流路67は後壁に沿って、後壁から突出するように形成されるため、流路仕切部材40の組付フランジ部47の前方フランジ部47fには、吐出流路67との干渉を防ぐために、その一部を切り欠いた逃げ部47eが形成されている。
さらに、内側突出部62と外側突出部61との間に形成される環状の流路と第一ノズル部材60の下端に形成される第一下端開口枠部63とは、第一ノズル部材60の第一カバー部材60cと後壁との間において上下方向に形成される第一吸い込み流路68によって連通する。
第一吸い込み流路68は、第一ノズル本体60b内部において水平断面略楕円形状を呈する第一流路形成部材68cによって画定されており、第一ノズル本体60bにおける後壁と両側壁とによって画定される領域は、第一流路形成部材68cによって、内部の流路領域と外部の補強領域とに区画されている。
そして、第一流路形成部材68cと第一ノズル本体60bの両側壁との間の補強領域において、強度を確保するための複数の第一補強リブ69が設けられている。なお、第一下端開口枠部63は、第一吸い込み流路68の下端開口部より下方に形成される。
このように、第一ノズル本体60b内を流路領域と補強領域とに区画し、補強領域において第一補強リブ69で補強を行うため、流路内に圧力損失を誘因するリブを設置することなく、ノズル部材の補強を行うことができる。
また、第一吸い込み流路68内には、後述するフィルタケース100と第一ノズル本体60bとをねじを用いて接続する際に使用するねじ穴68bが設けられる。
以上のように構成されるため、第一ノズル部材60が固定突起65と固定溝49の働きによって流路仕切部材40に組付けられると、内側突出部62は前方突出部46に挿入され、外側突出部61は太円筒部42に挿入される。このとき、内側突出部62の外径は前方突出部46の内径と略同一に設定されており、外側突出部61の外径は太円筒部42の内径と略同一に設定されているため、それぞれが水密状態に連通する。
ここで、外側突出部61及び内側突出部62の先端近傍外周部には図示しない樹脂製のシール部材が取り付けられており、外側突出部61と太円筒部42、及び、内側突出部62と前方突出部46とは、それぞれ、嵌入する状態で接続され、他の流路に浴槽水が流出することなく高い水密状態を保持することができる。
そして、吐出用開口66は、吐出流路67、内側突出部62の内部に形成される流路、吐出口44、細円筒部41の内部に形成される流路、及び、内筒部11の内部に形成される流路を通じて、内側流路10Aに流通可能に連通する。
また、第一下端開口枠部63は、第一吸い込み流路68、内側突出部62と外側突出部61との間に形成される環状の流路、太円筒部42と前方突出部46との間に形成される環状の流路、吸引口45、雄ねじ部材30と細円筒部41との間に形成される環状の流路、及び、内筒部11と外筒部12との間に形成される環状の流路を通じて、外側流路10Bに流通可能に連通する。
〔第二ノズル部材70〕
図7を用いて、第二ノズル部材70について説明する。図7Aは第二ノズル部材70の分解斜視図を、図7Bは第二ノズル部材70を分解して斜め後方から見た図を、図7Cは第二ノズル部材70を構成する第二ノズル本体70bの正面図を、図7Dは同底面図を示す。
第二ノズル部材70は、前方に向けて緩やかな湾曲状に形成された第二カバー部材70cと、前方が第二カバー部材70cに覆われ上下両端が開放される第二ノズル本体70bとによって、水平断面が扁平矩形状の略ボックス型の形状を呈するよう構成される。
第二カバー部材70cと、第二ノズル本体70bの後壁との間には、水平断面略楕円形状を呈する第二吸い込み流路71が、第二流路形成部材71cによって上下方向に画定されている。第二流路形成部材71cの上端部は第二ノズル本体70bの上端から突出しており、第一ノズル本体60bの下方に開口する第一吸い込み流路68の下端に挿入可能となっている。
このとき、第二流路形成部材71cの上端の外径は、第一吸い込み流路68の内径と略同一に設定されており、また、第二流路形成部材71cの上端近傍外周部に樹脂製のシール部材が取り付けられているため、第二流路形成部材71cの上端は、第一吸い込み流路68の下端に嵌入する状態で接続される。
このようにすることで、第二流路形成部材71cの上端部を第一吸い込み流路68の下端に挿入することにより、第一ノズル部材60と第二ノズル部材70を接続することができる。
すなわち、第一ノズル部材60と第二ノズル部材70とを接続するにあたり、固定用の突起や孔をノズル部材表面に形成することが不要となるため、見栄えの良いノズル部材50を形成することができる。
なお、第二吸い込み流路71は、第一吸い込み流路68と同様に、第二ノズル本体70b内部において水平断面略楕円形状を呈する第二流路形成部材71cの内部に画定されており、第二流路形成部材71cと第二ノズル本体70bの両側壁との間には、強度を確保するための複数の第二補強リブ72が設けられている。
つまり、第二吸い込み流路71は、第二ノズル本体70b内部において水平断面略楕円形状を呈する第二流路形成部材71cによって画定されており、第二ノズル本体70bにおける後壁と両側壁とによって画定される領域は、第二流路形成部材71cによって、内部の流路領域と外部の補強領域とに区画されている。
そして、第二流路形成部材71cと第二ノズル本体70bの両側壁との間の補強領域において、強度を確保するための複数の第二補強リブ72が設けられている。
このように、第二ノズル本体70b内を流路領域と補強領域とに区画し、補強領域において二補強リブ72で補強を行うため、流路内に圧力損失を誘因するリブを設置することなく、ノズル部材の補強を行うことができる。
また、第二ノズル本体70bの下端部は、第一ノズル本体60bの下端部と同様に構成されている。すなわち、第二ノズル本体70bの下端には、下方に突出する水平断面略矩形枠状の部材である第二下端開口枠部73が形成されている。第二下端開口枠部73は、第二吸い込み流路71の下端開口部より下方に形成される。
また、第二吸い込み流路71内には、後述するフィルタケース100と第二ノズル本体70bとをねじを用いて接続する際に使用するねじ穴71bが設けられる。
ノズル部材50をこのように構成することで、第一ノズル部材60のみを使用する形態と、第一ノズル部材60に第二ノズル部材70を接続して使用する形態の切り替えが容易となり、設置される浴槽の形状や構造に合わせて、使用形態を切り替えて設置することが容易となる。
〔フィルタ部材80〕
次に、図8を用いて、フィルタ部材80について説明する。図8Aはフィルタ部材80の分解斜視図を、図8Bは斜め下方から見た図を、図8Cは背面図を、図8Dは平面図を、図8Eは第一フィルタケース110に第二フィルタケース120を組み込んでいる状況を示す斜め下方から見た図を、図8Fは第二フィルタケース120を斜め下方から見た図を示す。
フィルタ部材80は、不純物をろ過する機能を備えるフィルタ本体90と、フィルタ本体90を内部に収容し保持する機能を備え、浴槽水の流入孔と流出孔とが穿設され、流出孔側がノズル部材50に接続されるフィルタケース100とによって構成され、フィルタケース100は第一フィルタケース110及び第二フィルタケース120からなる。
フィルタ本体90は、浴槽水が流入する面であり、鉛直方向下方に面する水平断面略矩形状の流入面91と、流入面と所定の間隔を隔てて流入面91に略平行に設けられた水平断面略矩形状の流出面92と、流入面91と流出面92との間に設けられ所定の高さを有する四つの周面93とを有し、流入面91、流出面92及び四つの周面93によって略直方体の形状が画定される、スポンジや不織布等によって構成される。四つの周面93は、本願発明における中間面を構成する。
第一フィルタケース110は、フィルタ本体90の流入面91が接地する第一フィルタ接地部111と、フィルタ本体90の高さと略同等の高さを有しフィルタ本体90の周面93に対向するフィルタ保持枠112とを備え、平面視略矩形状に形成される部材である。
第一フィルタ接地部111はフィルタケース100の底面を画定する部材であり、通常運転時において流入面91に浴槽水を流入させる複数の第一流入孔113が穿設される。
第一流入孔113は、角が面取りされた略長方形状の孔であり、本実施形態においては、左右に並んだ五つの孔が前後二列にわたって配設されている。
保持枠112はフィルタケース100の前後左右の面を画定する部材であり、背面側に位置し周面93に浴槽水を流入させる第二流入孔114が穿設される流入孔壁115と、流入孔壁115に対向し正面側に位置する対向壁116と、流入孔壁115と対向壁116との間に形成される二つの側壁117とによって形成される。
第二フィルタケース120は、第一フィルタケース110と係合可能に構成され、フィルタ本体90の流出面92が接地する第二フィルタ接地部121を有する平面視略矩形状の部材である。
第二フィルタ接地部121はフィルタケース100の天面を画定する部材であり、フィルタ本体90でろ過された浴槽水がノズル部材50に流出する流出孔123を備える。
〔第二流入孔114〕
第二流入孔114は、フィルタ保持枠112のうち、第一フィルタ接地部111よりも第二フィルタ接地部121に近い位置に形成される。好ましくは、第二流入孔114は、図8Eに示すように、フィルタ保持枠112において、第二フィルタ接地部121に接する位置に形成される。第二流入孔114が形成される位置をこのように設定することで、フィルタ本体90の最下流領域まで有効に利用でき、所定の厚みを有するフィルタ本体90が備えるろ過機能を最大限に発揮することができる。
すなわち、開口面積に関する条件を同じに設定すると、第二流入孔114を第二フィルタ接地部121に近い位置に形成するよりも、第一フィルタ接地部111に近い位置に形成する方が、フィルタ本体90を通過する経路が長くなるため、湯水が流通する際の流路抵抗が大きくなる。そのため、第二流入孔114が機能し始めるためには、第一流入孔113近傍に多くの不純物が堆積される必要があり、そのような場合、フィルタ本体90の圧縮に至ってしまうため、厚みのあるフィルタ本体のろ過機能が十分に発揮されなくなってしまう。
本実施形態においては、第二流入孔114は、フィルタ保持枠112のうち、第一フィルタ接地部111よりも第二フィルタ接地部121に近い位置、好ましくは、第二フィルタ接地部121に接する位置に形成されるため、フィルタ本体90が圧縮されるに至る前に、第二流入孔114を機能させることができ、その結果、フィルタ本体90の下流側領域を有効に利用し、厚みのあるフィルタ本体90の機能を効果的に発揮することができる。
なお、図8Aや図8C及び図8Eに示すように、本実施形態においては、第二流入孔114は、流入孔壁115の上端を鋸歯状に切り欠いた端面と、その端面に近接する第二フィルタケース120の第二フィルタ接地部121の後端部との間に形成される複数の略矩形状の孔からなり、一の第二流入孔114の開口面積は、一の第一流入孔113の開口面積よりも小さく設定される。また、すべての第二流入孔114の開口面積の合計値は、すべての第一流入孔113の開口面積の合計値よりも小さく設定される。このようにすることで、第二流入孔114の吸引抵抗を、第一流入孔113の吸引抵抗よりも大きく設定することができ、第一流入孔113から浴槽水を吸引する際の吸引抵抗が所定値を超える場合にのみ、第二流入孔114から浴槽水を吸引する構成とすることができる。
また、本実施形態における第二流入孔114は、浴槽内から見て背面側に位置する流入孔壁115に形成されているため、通常の使用時には使用者から視認されない箇所に位置する。そのため、ノズル部材50やフィルタ部材80の全体の美観を損ねることなく、圧力逃がしの孔を構成することができる。
〔流出孔123〕
図8Eや図8Fに示すように、第二フィルタケース120の第二フィルタ接地面121に形成される流出孔123は、第二フィルタ接地部121の略全面に穿設された多数の略矩形状の細孔群からなり、一つ一つの開口面積を第一流入孔113の開口面積よりも小さくすることで、第二のフィルタとしての機能を有する。すなわち、フィルタケース100に収容されるフィルタ本体90で捕捉できなかった不純物を、下流のノズル部材50に到達させないよう捕捉する機能を有する。
本実施形態に係るフィルタ部材80においては、第一流入孔113に詰まりが発生した際に、フィルタ保持枠112に形成された第二流入孔114から浴槽水が流入するが、その場合、浴槽水がフィルタ本体90を通過する流路が短くなってしまい、十分に不純物を除去しきれない可能性がある。ここで、流出孔123を開口面積の小さな多数の細孔群によって構成することにより、フィルタ本体90を通過した不純物を捕捉することができる。
〔接地面リブ124〕
図8Eや図8Fに示すように、第二フィルタ接地部121の後端部側には、接地されるフィルタ本体90の流出面92に向けて突出し、第二流入孔114に対向する向き(この場合、前後方向)に延出する複数の接地面リブ124を備える。
第二フィルタ接地部121に接地面リブ124を設けることにより、フィルタ本体90の流出面92を一辺とする流路が形成される。つまり、フィルタ本体90の流出面92に向かって突出する接地面リブ124によってフィルタ本体90が押しのけられるため、隣接する接地面リブ124同士の向かい合う面、第二フィルタ接地部121、及び、フィルタ本体90の流出面92に囲まれる領域が、一つの流路として形成される。そのように形成される流路を湯水が流通する際、流出面92を使用して不純物を除去することができるため、より、フィルタ本体90における下流側領域を有効に活用することができる。
特に、第二流入孔114から湯水が流入し始めると、流路抵抗の少ない手前側(前後方向でみると後側)から流出面92に至るため、第二流入孔114から遠い奥側領域(前後方向で見ると前側)の領域が使用されにくい。本実施形態においては接地面リブ124を設けているため、整流効果によってそのようなショートパスを防止できるとともに、仮に流出面92の手前側が閉塞に至った場合であっても、接地面リブ124によって形成される流路に沿って奥側まで湯水が流通するため、フィルタ本体90の奥側領域を有効に利用することが可能となる。
また、各々の接地面リブ124は、図8Cに示すように、第二流入孔114が形成される部位に対応する位置に配設され、第二フィルタ接地部121の後端縁、つまり、第二流入孔雄開口側端部において、接地面リブ124と第二流入孔114との間に背面から見て所定の隙間が形成されるよう、接地面リブ124と第二流入孔114の形状が設定される。その際、それぞれの前記接地面リブ124の第二流入孔開口側端部における第二流入孔114に対向する向きの断面積は、それぞれの第二流入孔114の開口面積より小さく設定され、各々の接地面リブ124が、第二流入孔114が形成される部位に対応する位置に配設される。
このようにすることで、隙間部分の距離を長く確保することができ、第二流入孔114の詰まりを防止することができる。
また、接地面リブ124の後端縁が、第二流入孔114に流入する湯水の抵抗としても機能するため、確実に、第二流入孔114の吸引抵抗を第一流入孔113の吸引抵抗よりも大きく設定できるようになる。
そして、図8Fに示すように、接地面リブ124は、第二流入孔114が設けられる部位に相当する第二フィルタ接地部121の後端縁において最も高さが高く、後端縁から前方に向けて徐々に高さが漸減する側面視略三角形状に設けられる。
このようにすることで、第一フィルタケース110と第二フィルタケース120とを接続する際、接地面リブ124がフィルタ本体90に引っかかることなく、スムーズに係合することが可能となる。
つまり、後述のように、本実施形態のフィルタケース100においては、第一フィルタケース110と第二フィルタケース120とを接続する際、第二フィルタケース120の前方から第一フィルタケース110をスライドさせることにより、第二フィルタケース120に第一フィルタケース110を接続する。ここで、第二フィルタ接地部121に形成される接地面リブ124において、挿入方向に見てフィルタ本体90に最初に接触する部位が最も高さが低く、そこから徐々に漸増する形状であるため、第二フィルタケース120をスライドさせる際、接地面リブ124がフィルタ本体90に引っかかることがない。
さらに、上述の通り、接地面リブ124と第二流入孔114との間に背面から見て所定の隙間が形成されるよう、接地面リブ124と第二流入孔114の形状が設定されているため、接地面リブ124を第二流入孔114にスムーズに挿入することができる。
〔第一フィルタケース110と第二フィルタケース120の接続構造〕
図8Aに示すように、第一フィルタケース110における二つの側壁117の内面には、フィルタ本体90の周面93に向けて突出し第二流入孔114に対向する向きに延出するスライド突起118が設けられ、両側壁117と流入孔壁115とが接続される角部には、後述するスライド片122を挿通させるための挿通孔119が設けられる。
また、第二フィルタケース120においては、第二フィルタ接地部121の側部両端部から、外面にスライド突起118に係合可能な係合溝125が形成され、内面にフィルタ本体90の側方の周面93と相対する面が形成されるスライド片122が第一フィルタ接地部111に向けて突出して設けられる。また、スライド片122は第二流入孔114に対向する向きに、つまり、スライド突起118と平行となるように延出して設けられる。
上述の通り、第一フィルタケース110の流入孔壁115の端部には、スライド片122を挿通可能な挿通孔119が設けられているため、第二流入孔114に対向する方向に延出するスライド片122を挿通孔119に挿通しつつ第一フィルタケース110を前方から後方に向けてスライド移動させ、さらに、係合溝125にスライド突起118が係合するようスライド移動させることにより、第一フィルタケース110と第二フィルタケース120とを接続することができる。
〔フィルタケース100とノズル部材50との接続構造〕
図8Aや図8Dに示すように、第二フィルタケース120には、ノズル部材50と接続するためのねじを挿通可能なねじ孔部材126が第二フィルタ接地部121から上方に突出して設けられる。ねじ孔部材126には、ねじを挿通可能な孔が穿設されている。
また、図8Aに示すように、第二フィルタ接地部121の縁部において、上方に突出する枠状部127が設けられる。枠状部127は、第一ノズル本体60bの下端部に形成される第一下端開口枠部63、及び、第二ノズル本体70bの下端部に形成される第二下端開口枠部73に対し、下方から嵌入することができるよう構成されている。
したがって、第二フィルタケース120をノズル部材50に装着するには、まず、第二フィルタケース120の枠状部127を、第一ノズル本体60bの第一下端開口枠部63ないしは第二ノズル本体70bの第二下端開口枠部73に嵌入させる。その状態で、ネジ孔部材126に形成される孔からねじを挿入し、第一ノズル本体60bないしは第二ノズル本体70bに形成されるねじ穴に螺合することにより、第二フィルタケース120をノズル部材50に接続することができる。
この状態で、上記で説明した通り、第一フィルタケース110を第二フィルタケース120に接続することで、フィルタケース100とノズル部材50とを接続することができる。
このように、ねじを用いてフィルタケースとノズル部材とを接続する構成としたため、係止用の爪や係止溝等をノズル部材表面に配設する必要がなくなり、美観に優れる浴槽用給湯アダプタを構成することができる。
以上の構成の浴槽用給湯アダプタ1において、浴槽内の湯水(残り湯)を洗濯水として利用する場合には、図示しない洗濯機の吸引ポンプを作動させる。これにより流路仕切部材40の太円筒部42に形成される吸引口45が負圧となってノズル部材50の内部も負圧となり、浴槽内の湯水がノズル部材50の下端に接続されるフィルタ部材80から吸引され、さらにその湯水がノズル部材50の外側突出部61を介して太円筒部42の吸引口45から吸引される。こうして太円筒部42内に吸い込まれた湯水は、既述した通り残り湯取出管25cを通って洗濯機に供給される。
そして、フィルタ部材80の底面に設けられるフィルタ本体90の流入面91に不純物が堆積して吸引抵抗が所定値よりも増加した場合、フィルタ部材80の背面に設けられる第二流入孔114が圧力逃がし孔として機能し、第二流入孔114から浴槽水が流入することとなり、フィルタ本体90によるろ過機能を維持しつつ、フィルタ本体90が圧縮され機能を失うことを防止することができる。
このとき、第二流入孔114は、フィルタ保持枠112において、第一フィルタ接地部111よりも第二フィルタ接地部121に近い位置、すなわち、流入面91と流出面92の間における下流側に設けられているため、厚みのあるフィルタ本体90の下流側の領域を有効に活用することができる。
なお本発明は、槽内突出部の前面に吸引口を有する浴槽用給湯アダプタであれば、どのようなアダプタにも適用することができ例えば、無極性のアダプタであっても、有極性のアダプタであっても適用できるとともに、逆止弁付きのアダプタであっても、弁無しタイプのアダプタであっても適用することができる。
また、フィルタ本体として、流入面の法線と略平行の法線を有する流出面を備えたものを実施形態として説明したが、これに限ったものではなく、流入面の法線と略平行の法線を有する中間面と、流入面と中間面との間に設けられ所定の高さを有する流出面とを有するフィルタ本体に対し、本発明の技術を適用することができる。その際、フィルタ本体の中間面が面するフィルタ保持枠において、流出面が接地する第二フィルタ接地部と接する位置に第二流入孔を形成することができ、さらに、第二接地面における第二流入孔が形成される位置に対応する部位に、接地面リブを配設することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換しても良い。
この発明の浴槽用給湯アダプタは、浴槽内の残り湯を洗濯水等として利用する際の残り湯利用設備等に適用することができる。
1 浴槽用給湯アダプタ
10 槽外取付部材
20 管路部材
30 雄ねじ部材
40 流路仕切部材
50 ノズル部材
60 第一ノズル部材
70 第二ノズル部材
80 フィルタ部材
90 フィルタ本体
91 流入面
92 流出面
93 周面
100 フィルタケース
110 第一フィルタケース
113 第一流入孔
114 第二流入孔
120 第二フィルタケース
123 流出孔
124 接地面リブ

Claims (7)

  1. 浴槽壁部に貫通状態で組み付けられる槽内突出部を介して浴槽内に設置され、浴槽内の湯水を吸引して浴槽外に供給するようにしたノズル部材と、
    前記ノズル部材に吸引される浴槽水に含まれる不純物をろ過するフィルタ本体と、
    内部に前記フィルタ本体を収容し、浴槽水の流入孔と流出孔とが穿設され、前記流出孔側が前記ノズル部材に接続されるフィルタケースとを有し、
    前記フィルタ本体は、
    ろ過前の浴槽水が流入する流入面と、
    前記流入面の法線と略平行又は所定角度をなす法線を有し、前記流入面から所定距離の経路を確保して浴槽水が流出する流出面と、
    前記流入面と前記流出面との間に設けられ所定の高さを有する中間面であって、前記流入面、前記流出面及び当該中間面によって当該フィルタ本体の形状が画定される中間面とを有し、
    前記フィルタケースは、前記流入面に対応する第一流入孔、前記流出面に対応する流出孔、及び、前記中間面に対応する第二流入孔を備え、
    前記第二流入孔の吸引抵抗は、前記第一流入孔の吸引抵抗よりも大きく設定されていることを特徴とする浴槽用給湯アダプタ。
  2. 前記フィルタ本体は、前記流入面の法線と略平行の法線を有する流出面と、前記流入面と前記流出面との間に設けられ所定の高さを有する中間面とを有し、
    前記フィルタケースは、前記第一流入孔を備え前記フィルタ本体の前記流入面が接地する第一フィルタ接地部と、前記フィルタ本体の高さと略同等の高さを有し前記フィルタ本体の前記中間面が接地するフィルタ保持枠と、前記流出孔を備え前記フィルタ本体の前記流出面が面する第二フィルタ接地部とを有し、
    前記第二流入孔は、前記フィルタ保持枠のうち、前記第一フィルタ接地部よりも前記第二フィルタ接地部に近い位置に形成された複数の孔からなる、請求項1に記載の浴槽用給湯アダプタ。
  3. 前記第二流入孔は前記フィルタ保持枠のうち前記第二フィルタ接地部に接する位置に形成される、請求項2に記載の浴槽用給湯アダプタ。
  4. 前記第二フィルタ接地部から前記フィルタ本体の前記流出面に向けて突出し、前記第二流入孔に対向する向きに延出する複数の接地面リブをさらに備える、請求項3に記載の浴槽用給湯アダプタ。
  5. 前記複数の接地面リブは、前記第二流入孔が形成される部位に対応する位置に設けられ、
    それぞれの前記接地面リブの第二流入孔開口側端部における前記第二流入孔に対向する向きの断面積は、それぞれの前記第二流入孔の開口面積よりも小さく設定される、請求項4に記載の浴槽用給湯アダプタ。
  6. 前記フィルタケースは、
    前記第一フィルタ接地部及び前記フィルタ保持枠を備える平面視略矩形状の第一フィルタケースと、
    前記第一フィルタケースと係合可能に構成され、前記第二フィルタ接地部を有する平面視略矩形状の第二フィルタケースとからなり、
    前記フィルタ保持枠は、前記第二流入孔が形成される流入孔壁と、前記流入孔壁に対向する対向壁と、前記流入孔壁と前記対向壁との間に形成される二つの側壁とによって形成され、
    前記側壁の内面に、前記フィルタ本体の前記中間面に向けて突出し前記第二流入孔に対向する向きに延出するスライド突起が設けられ、
    前記第二フィルタ接地部の両端部から、外面に前記スライド突起に係合可能な係合溝が形成されるスライド片が突出して設けられ、
    前記流入孔壁には、前記スライド片を挿通可能な挿通孔が設けられ、
    前記挿通孔から前記スライド片を挿通させ、前記スライド突起と前記係合溝が係合することで前記第一フィルタケースと前記第二フィルタケースとが係合されるよう構成され、
    前記接地面リブは、前記第二流入孔が設けられる部位に相当する前端縁から徐々に高さが漸減する略三角形状に設けられ、
    前記接地面リブと前記第二流入孔との間に、前記第二流入孔に対向する向きから見て所定の隙間が形成されるよう、前記接地面リブと前記第二流入孔の形状が設定される、請求項5に記載の浴槽用給湯アダプタ。
  7. 前記流出孔は前記第一流入孔よりも断面積が小さい多数の細孔群によって構成される、請求項1~6のいずれかに記載の浴槽用給湯アダプタ。
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