JP7320477B2 - ズリ除去装置およびズリ除去方法 - Google Patents
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Description
装薬孔からのズリの除去は、きゅうれん(かぎ棒)を利用して人力にて行うのが一般的であった。ところが、きゅうれんを利用してズリを装薬孔からかきだす作業には、手間と時間がかかるとともに、切羽接近して作業を行う必要があるため、危険を伴う。
特許文献1には、吸引装置に接続されたパイプを装薬孔に挿入し、孔内のズリを吸引除去する方法が開示されている。特許文献1の除去方法では、パイプに取り込むことができない大きな形状のズリは、パイプの先端に吸着させた状態で、パイプを抜き出すことにより排出する。そのため、大きい形状のズリの排出には手間がかかる。また、パイプなどがズリによって閉塞した場合には、復旧作業に手間と時間がかかる。さらに、パイプの先端部のみからしかズリを除去することができないため、装薬孔の中間部にズリが残存してしまうおそれがあった。
アンカーやロックボルト等の施工においても掘削孔内からのズリの除去作業が行われており、装薬孔と同様の問題点を有していた。
また、本発明のズリ除去装置を利用した掘削孔内のズリ除去方法は、穿孔後の掘削孔に前記スクリュー羽根を挿入するとともに、前記回転力付与手段を駆動させて前記スクリュー羽根を回転させることで、掘削孔内のズリを排出するものである。
かかるズリ除去装置およびズリ除去方法によれば、回転力付与手段によってスクリュー羽根を回転させることで掘削孔からズリを排出することができるため、作業の効率化を図ることができる。また、スクリュー羽根は、先端部のみではなく、全長にわたってズリを取り込むことができるため、掘削孔の中間部にズリが残存することを抑制することができる。
また、前記スクリュー羽根は、螺旋状に加工された帯状部材であるのが望ましい。スクリュー羽根の中心部に軸棒を有していなければ、比較的大きなズリも羽根同士の間に取り込んで、排出することができる。
また、前記回転力付与手段の動力源が圧縮空気であれば、火薬類を使用する現場においても、安全にズリの除去作業を行うことができる。
さらに、前記スクリュー羽根と前記回転力付与手段との間に延長シャフトが介設されていれば、スクリュー羽根を必要以上に長くする必要がなく、また、延長シャフトの長さを調節することで、切羽から離れた位置において作業を行うことが可能となる。
ズリ除去装置1は図1に示すように、スクリュー羽根2と、回転力付与手段3と、延長シャフト4とを備えている。
スクリュー羽根2の基端部(回転力付与手段3側の端部)には、接続部21が一体に形成されている。接続部21は、ステンレス鋼棒からなる。接続部21の先端部はスクリュー羽根2の基端部に固定されていて、接続部21のそれ以外の部分はスクリュー羽根2の基端から後方に突出している(延設されている)。また、接続部21の後端部(基端部)の外面には、ネジ加工が施されていて、回転力付与手段3または延長シャフト4に接続されている。
スクリュー羽根2は、複数のズリRを連続的に孔口へ送りながら、他のズリRを取り込むことが可能である。つまり、スクリュー羽根2を装薬孔Hに一度挿入するだけでも複数のズリRを同時に除去することができるので、効率的にズリ除去作業を行える。
しかも、スクリュー羽根2が螺旋状に加工された帯状部材からなり、スクリュー羽根2の中心部に芯材などが配設されていないため、装薬孔H内に残存する比較的大きなズリRを取り込むことができる。また、スクリュー羽根2の羽根間隔Pが装薬孔Hの内径の1.0~1.5倍であるため、装薬孔H内に残存する比較的大きなズリRを取り込むことができる。すなわち、スクリュー羽根2は、装薬孔H内に残存する形状のズリRであれば、羽根同士の間に取り込んで装薬孔H外へと誘導可能である。
また、スクリュー羽根2がステンレス鋼製であるため、静電気が発生し難く、火薬類の引火に対する安全性に優れている。
本実施形態では、スクリュー羽根2と回転力付与手段3との間に延長シャフト4を介設しているので、切羽Kから十分に離れた位置において安全に作業を行うことができる。
なお、切羽Kから作業員までの距離を大きく確保する場合において、スクリュー羽根2の長さを大きくすると、自重によってスクリュー羽根2がしなるおそれがある。一方、本実施形態のズリ除去装置1は、スクリュー羽根2を一定の長さとし、スクリュー羽根2と回転力付与手段3との間に延長シャフト4を介設しているため、切羽Kから作業員までの距離を大きく確保した場合であっても、回転力付与手段3からスクリュー羽根2までの区間の直線性を維持し(しなることを抑制し)、操作性が低下することを防止できる。
延長シャフト4の本数または延長シャフト4の長さによってスクリュー羽根2の先端から回転力付与手段3までの距離を調節することが可能なため、装薬孔Hの削孔長(発破進行長)が変化する場合であっても、削孔長に応じて長さを調整することができる。
また、ズリ除去装置1は、簡易な構成なため、メンテナンスが容易である。
また、本実験では、比較例1として芯材の周囲に銅線ブラシが螺旋状に設けられたもの(図3(c)参照)、比較例2として芯材の周囲に真鍮線ブラシが螺旋状に設けられたもの(図3(d)参照)、比較例3として芯材の周囲にプラスチック製のスクリュー羽根2が形成されたもの(図3(e)参照)を使用した。
一方、実施例1,2では、大きめのズリRであっても除去することができた。したがって、本実施形態のズリ除去装置1により、掘削孔からズリRを除去することが可能であることが確認できた。特に実施例1のスクリュー羽根2が最も効率的にズリRを除去することができた。
例えば、前記実施形態では、トンネル施工時に形成する装薬孔HからズリRを除去する場合を例示したが、ズリ除去装置1の使用対象は装薬孔Hに限定されるものではなく、例えば、ロックボルト用の掘削孔やアンカー用の掘削孔等からズリRの除去を行う場合に使用してもよい。
また、スクリュー羽根2の形状寸法は限定されるものではなく、例えば、羽根間隔Pや、芯材の有無等は、適宜決定すればよい。また、スクリュー羽根2を構成する材料はステンレス鋼製に限定されるものではなく、例えばアルミニウム合金製、鋼製、合成樹脂製のものであってもよい。
スクリュー羽根2の長さは適宜決定すればよく、例えば、装薬孔Hの深さより大きくしてもよい。
また、前記実施形態では、回転力付与手段3として、人力で携行可能なハンディタイプのものを使用する場合について説明したが、回転力付与手段3の構成は限定されるものではなく、例えば、重機等であってもよい。すなわち、重機のブームやガイドセルに搭載することも可能である。また、回転力付与手段3の構成(形状等)は限定されるものではない。
また、回転力付与手段3の動力源は圧縮空気に限定されるものではなく、例えば、電動モーター、油圧モータ、エンジンなどを使用してもよい。回転力付与手段3の動力原は、対象とする掘削孔の目的や施工個所の状況などに応じて適宜決定すればよい。
延長シャフト4は、必要に応じて配設すればよく、例えば、掘削孔の孔口近傍において作業を行う場合や、スクリュー羽根がしなることのない強度を有している場合等では、スクリュー羽根2を回転力付与手段3に直接取り付けてもよい。
2 スクリュー羽根
3 回転力付与手段
4 延長シャフト
H 装薬孔(掘削孔)
R ズリ
Claims (6)
- 穿孔後の掘削孔内のズリを除去するためのズリ除去装置であって、
螺旋状に形成されたスクリュー羽根と、
前記スクリュー羽根に軸回りの回転力を付与する回転力付与手段と、を備え、
前記回転力付与手段は、前記スクリュー羽根の基端部に接続される固定部と、前記固定部を介して回転力を付与する本体部と、前記本体部の下部に一体に形成された把持部と、前記把持部の根元に設けられ当該回転力付与手段のオン・オフを制御するトリガーと、を備えていることを特徴とする、ズリ除去装置。 - 前記スクリュー羽根の羽根間隔が、前記掘削孔の内径の1.0~1.5倍の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載のズリ除去装置。
- 前記スクリュー羽根が、螺旋状に加工された帯状部材であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のズリ除去装置。
- 前記回転力付与手段の動力源が、圧縮空気であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のズリ除去装置。
- 前記スクリュー羽根と前記回転力付与手段との間に延長シャフトが介設されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のズリ除去装置。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のズリ除去装置を利用した掘削孔内のズリ除去方法であって、
穿孔後の掘削孔に前記スクリュー羽根を挿入するとともに、前記回転力付与手段を駆動させて、前記スクリュー羽根を回転させることを特徴とする、ズリ除去方法。
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