JP7319931B2 - キトサン部分分解物の安定化方法、キトサン部分分解物の保存方法および食品用保存剤 - Google Patents

キトサン部分分解物の安定化方法、キトサン部分分解物の保存方法および食品用保存剤 Download PDF

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Description

本発明は、キトサン部分分解物の安定化方法、キトサン部分分解物の保存方法および安定化されたキトサン部分分解物を有効成分とする食品用保存剤に関する。
キトサン部分分解物(「キトサン軽度分解物」、「キトサン分解物」と称することがある。)は、キトサンを酵素、酸、熱、酸化剤などにより処理することにより得られ、細菌の生育および増殖を抑制することが知られている。前記キトサン部分分解物は、様々な用途に用いられている。
例えば、漬物製品の保存性を向上し、その商品寿命を延長するための技術として、キトサンおよび/またはキトサン軽度分解物を有機酸および/またはそのアルカリ金属塩と併用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、浴室や洗面所など湿気の多いところに発生しやすい黒カビに対する技術として、水溶性キチンおよび/またはその誘導体や、酸および/または酵素を用いてキトサンを分解して得られたキトヘキサオースおよび/またはその誘導体を有効成分とする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、細菌、特に乳酸菌の増殖を抑制する静菌効果が得られ、しかも、食品の風味を損なわない食品保存剤などの技術として、キトサン分解物1質量部に対して、フェルラ酸0.01~10質量部と、グリシンおよびアラニンの少なくとも一方1~200質量部とを配合する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
前記キトサン部分分解物の原料となるキトサンは、キチンの脱アセチル化物であり、甲殻類の殻から調製したり、微生物から調製したりすることができることが知られている。前記甲殻類の殻から調製する方法としては、例えば、甲殻類の殻を室温で塩酸処理して調製したキチンを濃アルカリ溶液と加熱して調製する方法が知られている。また、前記微生物から調製する方法としては、例えば、微生物を培養し、菌体を破壊し、キトサンを抽出することにより、アセチル基が均一に分布した部分アセチル化キトサンを製造する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特公平06-016696号公報 特開2008-162933号公報 特開2011-092018号公報 特開2000-253895号公報
本発明者らは、キトサン部分分解物について検討をしたところ、粉体で保存した場合でもキトサン部分分解物の静菌活性が低下してしまい、安定的にキトサン部分分解物を保存することが困難であるという問題があることを見出した。
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、常温ないし高温でキトサン部分分解物を保存しても、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能なキトサン部分分解物の安定化方法および保存方法、並びに安定化されたキトサン部分分解物を有効成分とする食品用保存剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させることにより、常温ないし高温でキトサン部分分解物を保存しても、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能であることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させることを含むことを特徴とするキトサン部分分解物の安定化方法である。
<2> キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとの質量比が、4:1~1:10の範囲である前記<1>に記載の方法である。
<3> シクロデキストリンとトレハロースを併用する前記<1>または<2>に記載の方法である。
<4> シクロデキストリンとトレハロースの質量比が10:1~1:10の範囲である前記<3>に記載の方法である。
<5> キトサン部分分解物が微生物由来である前記<1>~<4>のいずれかに記載の方法である。
<6> キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させることを含むことを特徴とするキトサン部分分解物の保存方法である。
<7> キトサン部分分解物が固体の形態である前記<6>に記載の方法である。
<8> キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとを含有し、安定化されたキトサン部分分解物を有効成分とすることを特徴とする食品用保存剤である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、常温ないし高温でキトサン部分分解物を保存しても、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能なキトサン部分分解物の安定化方法および保存方法、並びに安定化されたキトサン部分分解物を有効成分とする食品用保存剤を提供することができる。
本発明のキトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法は、いずれもキトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させること(以下、「共存工程」と称することがある。)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。そのため、以下では、キトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法について、まとめて説明する。
(キトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法)
本発明のキトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法は、共存工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<共存工程>
前記共存工程は、キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させる工程である。
-キトサン部分分解物-
前記キトサン部分分解物は、キトサンを酵素、酸、熱、酸化剤などにより処理し、分解することで得ることができ、細菌の生育および増殖を抑制することが知られている。
前記キトサン部分分解物の重量平均分子量としては、静菌活性を有する限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、500~50万が挙げられるが、5,000~10万の範囲が好ましい。
前記キトサン部分分解物の由来としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、微生物、菌類、軟体動物、甲殻類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、入手のしやすさの観点では甲殻類由来であることが好ましく、食物アレルギーなどの観点では、菌類、軟体動物、微生物由来であることが好ましい。
前記キトサン部分分解物は、市販品を適宜使用してもよいし、公知の方法によりキトサンから調製したものを使用してもよい。
前記キトサンからキトサン部分分解物を調製する方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、キトサンを酵素、酸、熱、酸化剤などの公知の手段により分解する方法などが挙げられる。
前記酵素としては、キトサンを分解する活性を有している酵素であれば、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、キトサナーゼなどが挙げられる。なお、前記酵素は、夾雑活性としてキトサンを分解する活性を有するものを使用することもできる。前記酵素処理の温度や時間などの条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
-シクロデキストリンおよび/またはトレハロース-
前記シクロデキストリンと前記トレハロースは、いずれか一方を用いてもよいし、両方を用いてもよいが、キトサン部分分解物の安定性がより優れる点で、両者を併用することが好ましい。
前記シクロデキストリンの種類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、キトサン部分分解物の安定性がより優れる点で、α-シクロデキストリンが好ましい。
前記シクロデキストリンおよびトレハロースは、市販品を適宜使用することができる。
前記シクロデキストリンと、前記トレハロースとの質量比としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、10:1~1:10の範囲であることが好ましい。前記好ましい範囲内であると、キトサン部分分解物の安定性がより優れる点で、有利である。
前記キトサン部分分解物と、前記シクロデキストリンおよび/またはトレハロースの合計量との質量比としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、4:1~1:10の範囲であることが好ましく、2:1~10の範囲であることがより好ましく、2:1.5~5の範囲であることが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、キトサン部分分解物の安定性がより優れる点で、有利である。
前記共存工程では、キトサン部分分解物、並びにシクロデキストリンおよび/またはトレハロース以外のその他の成分が存在していてもよい。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、乾燥工程で賦形剤として使用可能な成分、具体的にはブドウ糖、乳糖等の糖類、コーンスターチ等の澱粉類、グァーガム、タラガム、アラビアガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギナン、ペクチン、ローカストビーンガム等の増粘多糖類、カゼインナトリウム、乳清タンパク等のタンパク質、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース誘導体などが挙げられる。
前記その他の成分の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
-共存-
前記キトサン部分分解物と、前記シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとを共存させる方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、水などの液体中に、キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースと、必要に応じてその他の成分とを含有させ液体の形態で共存させる方法、キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースと、必要に応じてその他の成分を含有する液体を乾燥し、固体の形態で共存させる方法などが挙げられる。
前記液体中のキトサン部分分解物、シクロデキストリンおよび/またはトレハロース、必要に応じてその他の成分の量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記液体の乾燥方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、生成する粒子1つ1つの中でキトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとが共存する点で、噴霧乾燥が好ましい。
前記共存工程で得られるキトサン部分分解物の形態としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、キトサン部分分解物の安定性がより優れる点で、固体の形態が好ましく、粉末または顆粒状がより好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、キトサンを分解し、キトサン部分分解物を調製するキトサン部分分解物調製工程などが挙げられる。
(食品用保存剤)
本発明の食品用保存剤は、キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<キトサン部分分解物>
前記キトサン部分分解物は、安定化されたキトサン部分分解物であり、前記食品用保存剤の有効成分である。上記したように、キトサン部分分解物は、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存することにより、その静菌活性が安定化される。
前記キトサン部分分解物は、上記した(キトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法)の項目に記載したものと同様にして調製することができる。
前記キトサン部分分解物の食品用保存剤における含有量としては、特に制限はなく、その使用量などに応じて適宜選択することができる。
<シクロデキストリンおよび/またはトレハロース>
前記シクロデキストリンおよび/またはトレハロースは、上記した(キトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法)の項目に記載したものと同様である。
前記シクロデキストリンおよび/またはトレハロースの食品用保存剤における含有量としては、特に制限はなく、キトサン部分分解物の量などに応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
前記食品用保存剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、その他の成分としては、それ自体、静菌作用を有する成分、例えば酢酸、クエン酸等の有機酸およびその塩、グリシン、アラニン等のアミノ酸類、フェルラ酸、グリセリン脂肪酸エステル、エタノール、リゾチーム、カラシ抽出物、ホコッシ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、チャ抽出物、カンゾウ油性抽出物、ユッカ抽出物、ローズマリー抽出物等の植物抽出物が挙げられる。また、上記した(キトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法)の項目に記載したその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の食品用保存剤における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記食品用保存剤の形態としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、固体の形態が好ましく、粉末または顆粒状がより好ましい。
前記食品用保存剤の使用量および使用方法としては、特に制限はなく、対象とする食品に応じて適宜選択することができる。
前記食品用保存剤は、他の食品用保存剤と組み合わせて使用することもできる。
<食品>
前記食品としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、惣菜、肉製品、魚介類製品、サラダ等の加工食品、漬物類、味噌などが挙げられる。
本発明のキトサン部分分解物の安定化方法およびキトサン部分分解物の保存方法によれば、常温ないし高温でキトサン部分分解物を保存しても、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能である。また、本発明の食品用保存剤は、安定化されたキトサン部分分解物を有効成分として含むので、長期間保存した場合であっても静菌活性が低下することなく、優れた静菌活性を有する。
本発明において、「安定化されたキトサン部分分解物」とは、保存開始時と保存後のキトサン部分分解物の静菌活性が、同等であることをいう
より具体的には、室温(約25℃)で保存した場合に少なくとも保存開始3か月間後の静菌活性が保存開始時の静菌活性と同等であることをいう。なお、室温(25℃)での保存期間3か月は35℃の加速条件下では2か月間に相当し、40℃の加速条件下では保存期間1か月間に相当する。
上記したように、本発明によれば、キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させることにより、常温でキトサン部分分解物を長期間保存しても、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存することができるので、本発明は、キトサン部分分解物を安定化させるために用いられるキトサン部分分解物安定化剤であって、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースを含有することを特徴とするキトサン部分分解物安定化剤にも関する。
以下、試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(試験例1:キトサン部分分解物の安定性の検討)
<キトサン部分分解物の調製>
-キトサン部分分解物含有液の調製-
キトサン(セティ社製、キトグリーン(微生物由来キトサン))86gと、プロテアーゼ(新日本化学工業株式会社製、スミチームLP50D)8gと、水790gとを混合した後、醸造酢116gを加えて混合し、次いで、40℃で20時間酵素反応を行った。
粘度が30mPa・s以下に低下していることを確認し、酵素反応を終了とした(キトサン部分分解物の重量平均分子量は、約2万)。
その後、温度75~80℃まで昇温し、達温後10分間保持した。
-粉末化-
前記キトサン部分分解物含有液0.5Lを以下の条件で噴霧乾燥を行い、粉末化した。
〔噴霧乾燥条件〕
・ 装置 : ヤマト科学株式会社製、スプレードライヤADL311S
・ ブロワー : 0.500
・ 流速 : 目盛2(およそ4.6mL/分間)
・ 入口温度 : 185℃
・ 出口温度 : 80~86℃
<保存試験>
得られた粉末状のキトサン部分分解物をポリ包材に入れ、25℃、30℃、35℃または40℃で5か月間保存し、保存開始時および保存1か月間ごとに以下の最小発育阻止濃度(MIC)評価による静菌活性能試験(塗抹法)を行った。結果を下記の表1に示す。
〔静菌活性能試験〕
SCD培地(pH5.8)中に、キトサン部分分解物を50ppm、100ppmまたは150ppmとなるように培地を調製した。
前記培地に、10cfu/gに希釈した乳酸菌(L. mesenteroides)をディスポスティックで植菌した。
30℃で24時間培養後、コロニーの発育の有無を目視にて確認した。
Figure 0007319931000001
表1の結果から、キトサン部分分解物は粉体で保存した場合でも、保存中に静菌活性が低下してしまうことが判明した。
(試験例2:キトサン部分分解物の安定性向上の検討-1)
<キトサン部分分解物の調製>
-キトサン部分分解物含有液の調製-
試験例1と同様にして、キトサン部分分解物含有液を調製した。
次いで、前記キトサン部分分解物含有液0.5Lに、下記に示す素材を43g(キトサン部分分解物と、下記に示す素材との質量比は、5:5)を添加し、溶解させた。
〔素材〕
・ デキストリン(試験例2-1)
・ シクロデキストリン(α-シクロデキストリン)(試験例2-2)
・ トレハロース(試験例2-3)
-粉末化-
上記で調製したキトサン部分分解物含有液を用いた以外は試験例1と同様にして噴霧乾燥を行い、粉末化した。
<保存試験>
保存条件を35℃、8週間とし、静菌活性能試験を保存開始時および2週間ごとに行った以外は、試験例1と同様にして保存試験を行った。結果を下記の表2に示す。
Figure 0007319931000002
表2の結果から、キトサン部分分解物は、シクロデキストリンまたはトレハロースと共存させることで、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能であることが確認された。
(試験例3:キトサン部分分解物の安定性向上の検討-2)
<キトサン部分分解物の調製>
-キトサン部分分解物含有液の調製-
試験例1と同様にして、キトサン部分分解物含有液を調製した。
次いで、前記キトサン部分分解物含有液0.5Lに、下記に示す素材を100.3g(キトサン部分分解物と、下記に示す素材との質量比は、3:7)を添加し、溶解させた。
〔素材〕
・ シクロデキストリン(α-シクロデキストリン)(試験例3-1)
・ トレハロース(試験例3-2)
-粉末化-
上記で調製したキトサン部分分解物含有液を用いた以外は試験例1と同様にして噴霧乾燥を行い、粉末化した。
<保存試験>
保存条件を40℃、90日間とし、静菌活性能試験を保存開始時、2週間ごと(10週間まで)および90日間に行った以外は、試験例1と同様にして保存試験を行った。結果を下記の表3に示す。
Figure 0007319931000003
表3の結果から、キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとの質量比を変えた場合でも、シクロデキストリンまたはトレハロースと共存させることで、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能であることが確認された。
(試験例4:キトサン部分分解物の安定性向上の検討-3)
<キトサン部分分解物の調製>
-キトサン部分分解物含有液の調製-
試験例1と同様にして、キトサン部分分解物含有液を調製した。
次いで、前記キトサン部分分解物含有液0.5Lに、下記に示す素材を下記に示す量で添加し、溶解させた。
〔素材〕
・ 試験例4-1
シクロデキストリン(α-シクロデキストリン) ・・・ 43g
トレハロース ・・・ 57.3g
※ キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよびトレハロースとの質量比は3:7であり、シクロデキストリンとトレハロースとの質量比は3:4である。
・ 試験例4-2
シクロデキストリン(α-シクロデキストリン) ・・・ 14.3g
トレハロース ・・・ 86g
※ キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよびトレハロースとの質量比は3:7であり、シクロデキストリンとトレハロースとの質量比1:6である。
・ 試験例4-3
トレハロース ・・・ 100.3g
※ キトサン部分分解物と、トレハロースとの質量比は3:7である。
-粉末化-
上記で調製したキトサン部分分解物含有液を用いた以外は試験例1と同様にして噴霧乾燥を行い、粉末化した。
<保存試験>
保存条件を40℃、90日間とし、静菌活性能試験を保存開始時、2週間ごと(10週間まで)および90日間に行った以外は、試験例1と同様にして保存試験を行った。結果を下記の表4に示す。
Figure 0007319931000004
表4の結果から、シクロデキストリンとトレハロースを併用した場合でも、キトサン部分分解物の静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能であることが確認された。
(試験例5:キトサンの部分分解の条件の検討)
-キトサン部分分解物含有液の調製-
試験例1のキトサン部分分解物含有液の調製において、酵素反応時間を15時間(試験例5-1)または10時間(試験例5-2)とした以外は、試験例1と同様にしてキトサン部分分解物を製造した。それぞれのキトサン部分分解物の重量平均分子量は、約5万(試験例5-1)、約10万(試験例5-2)であった。
-粉末化-
上記で調製したキトサン部分分解物含有液を用いた以外は試験例1(A)または試験例2-3(B)と同様にして噴霧乾燥を行い、粉末化した。
<保存試験>
保存条件を40℃、90日間とし、静菌活性能試験を保存開始時、2週間ごと(10週間まで)および90日間に行った以外は、試験例1と同様にして保存試験を行った。結果を下記の表5に示す。
Figure 0007319931000005
表5の結果から、キトサン部分分解物の重量平均分子量の違いにより安定性が異なるものの、保存中に静菌活性が低下すること、およびトレハロースの存在によりの静菌活性が低下すること無く安定的に保存可能であることが確認された。

Claims (8)

  1. キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させることを含むことを特徴とするキトサン部分分解物の安定化方法。
  2. キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとの質量比が、4:1~1:10の範囲である請求項1に記載の方法。
  3. シクロデキストリンとトレハロースを併用する請求項1または2に記載の方法。
  4. シクロデキストリンとトレハロースの質量比が10:1~1:10の範囲である請求項3に記載の方法。
  5. キトサン部分分解物が微生物由来である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. キトサン部分分解物をシクロデキストリンおよび/またはトレハロースと共存させることを含むことを特徴とするキトサン部分分解物の保存方法。
  7. キトサン部分分解物が固体の形態である請求項6に記載の方法。
  8. キトサン部分分解物と、シクロデキストリンおよび/またはトレハロースとを含有し、安定化されたキトサン部分分解物を有効成分とすることを特徴とする食品用保存剤。

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