JP7319846B2 - 粒子線治療システム - Google Patents

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Description

本発明は、加速器を用いた粒子線治療システムに関する。
シンクロトロンやサイクロトロン等の加速器により荷電粒子を加速して粒子線を形成し、ビーム輸送系およびノズルにより治療対象の近くまで導き、ノズルの先端から治療対象の患部に向かって照射する粒子線治療システムが知られている。粒子線治療システムのシンクロトロンやサイクロトロン等の加速器は、治療室とは離れた部屋に設置され、出射された粒子線は、ビーム輸送系によって治療室まで導かれるのが一般的である。
近年、被検体の近くに回転または回動可能なガントリを配置して、このガントリにノズルを搭載するとともに、サイクロトロンやシンクロサイクロトロン等の比較的小型の加速器を回転ガントリに搭載し回転可能に支持した粒子線治療システムが開示されている(非特許文献1や特許文献1,2)。これらのシステムでは、ガントリを回動させることにより、重要臓器をさけて、所望の方向から治療対象の患部に粒子線を照射することを可能にしている。
具体的には、非特許文献1のシステムでは、ノズルは、円筒状回転機構に搭載される。加速器は、円筒状回転機構とは間隔をあけて配置された加速器用回転機構によって支持される。加速器とノズルとの間には、ブリッジ状のビーム輸送系が固定される。治療対象は、ノズルが搭載された円筒状回転機構の内側に配置される。円筒状回転機構を所望の角度まで回転させることにより、治療対象に対して所望の向きにノズルを配置するとともに、円筒状回転機構の回転に同期させて、加速器用回転機構を回転させることにより、加速器とビーム輸送系とノズルとの位置関係を保っている。これにより、ノズルを回転させた場合であっても、加速器から出射された粒子線をノズルまで導いて、所望の方向から治療対象に照射することができる。
一方、特許文献1,2には、円弧状のガントリにノズルを搭載し、円弧状のガントリの外周側に、大きなアーム状のアウターガントリによって加速器を支持し、ノズルと加速器の出射口とを接続したシステムが開示されている。治療対象は、円弧状のガントリの内側に配置される。円弧状のガントリを回動させてノズルの向きを所望の向きに設定しつつ、円弧状のガントリの回動に追従させてアウターガントリによって加速器を回動させることにより、190度程度の角度範囲内の所望の角度から治療対象に粒子線を照射することができる。特許文献2のシステムに用いられる加速器は、出射するエネルギーレベルを散乱体で変更するシンクロサイクロトロンである。
Jam Timmer, "The ACCEL single room proton therapy facility" PTCOG45, 2006
特開2013-106981号公報 特開2018-200896号公報
非特許文献1の粒子線治療システムは、ノズルを搭載した円筒状回転機構から軸方向の離れた位置に加速器を配置し、加速器用回転機構により加速器を回転させるため、設置面積としては、円筒状回転機構と加速器用回転機構との間隔をあけて設置できる面積が必要である。
一方、特許文献1,2の粒子線治療システムは、円弧状のガントリを用いるため、回転範囲が190度程度に制限され、治療の自由度が制限される。また、加速器を円弧状のガントリの外側で回動させるために、大きなアーム状のアウターガントリを用いており、円弧状のガントリとは別にアーム状のアウターガントリを設置する面積と、アームを回動させる空間を確保する必要がある。
本発明の目的は、設置面積が小さく、かつ、ノズルを360度回転可能な粒子線治療システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の粒子線治療システムは、治療対象を搭載する治療台と、治療対象が内側に配置され、その周囲を回転する回転部と、粒子を加速した粒子線を出射する加速器と、粒子線を治療対象の近傍まで導いて治療対象に向かって照射するノズルとを有する。回転部は、中央に開口を有する環状であり、治療台は、開口内に治療対象を配置するように配置されている。加速器は、回転部に搭載されて、回転部によって支持され、回転部の回転に伴って治療対象の周囲を周回する。ノズルは、粒子線を治療対象に向かって照射する照射口を備え、照射口は、回転部の開口内に配置されている。
本発明によれば、設置面積が小さく、かつ、ノズルを360度回転可能な粒子線治療システムを提供できる。
本発明の実施形態1の粒子線治療システムの斜視図である。 本発明の実施形態1の回転ガントリ120の補強構造を備えた粒子線治療システムの斜視図である。 本発明の実施形態1の粒子線治療システムに搭載される円形加速器の斜視図である。 本発明の実施形態1の円形加速器のA-A’断面図である。 本発明の実施形態1の円形加速器のB-B’断面図である。 本発明の実施形態1の円形加速器の高周波キッカの斜視図である。 本発明の実施形態1の高周波キッカと、出射を所望する最大エネルギーの軌道80と最小エネルギーの軌道81と位置関係を示す説明図である。 本発明の実施形態1の円形加速器の軌道面内における各エネルギーのビーム軌道を示す図である。 (a)~(d)は、本発明の実施形態1の円形加速器の各部の運転制御タイミングシーケンスを示す図である。 本発明の実施形態2を示す粒子線治療システムの示す斜視図である。
以下、図面を用いて本発明の一実施形態について説明する。尚、下記はあくまでも実施形態に過ぎず、発明の内容を下記具体的態様に限定する趣旨ではない。発明自体は、下記実施形態以外にも種々の形態に変形させることが可能である。
<<実施形態1>>
本発明の実施形態1の粒子線治療システムについて説明する。本実施形態の粒子線治療システムの構成を図1に示す。
図1のように、本実施形態の粒子線治療システムは、治療対象(患者)を搭載する治療台201と、治療対象の周囲を回転する回転部118と、高エネルギーの粒子線を出射する加速器と、粒子線を治療対象の近傍まで導いて治療対象に向かって照射するノズル193とを備えている。回転部118は、中央に開口を有する環状である。治療台201は、回転部118の開口内に治療対象を配置するように配置されている。
なお、粒子線の粒子は、ハドロンや荷電粒子であればよく、例えば、陽子、中性子、各種の原子核(He、C、Ne、Si、Ar等)を加速器39により加速して粒子線とすることができる。
なお、以下の実施形態において、粒子線を粒子ビームまたは単にビームとも呼ぶ。
加速器39は、回転部118に搭載されて、回転部118によって支持されている。これにより、加速器39は、回転部118の回転に伴って、治療対象の周囲を周回する。
ノズル193は、粒子線を治療台201上の治療対象に向かって照射する照射口193aを備え、照射口193aは、回転部118の開口内に配置されている。
このように、本実施形態の粒子線治療システムは、加速器39とノズル193の両方を一つの環状の回転部118に搭載する構成である。よって、一つの回転部の設置面積が確保できれば粒子線治療システムを設置することが可能である。また、一つの回転部を360度回転させることにより、ノズルと加速器39を360度回動させることができる。これにより、設置面積が小さく、ノズルを所望の角度まで360度回動させて、所望の方向から患者に対して粒子線を照射可能な粒子線治療システムを提供できる。
以下、さらに詳しく、実施形態1の粒子線治療システムについて説明する。図1の粒子線治療システムは、上述した回転部118、加速器39、ノズル193および治療台121の他に、高エネルギービーム輸送系85、スキャニング電磁石192、およびこれらを制御する制御装置191を備えている。
加速器39は、外形が円柱状であり、荷電粒子をらせん状の軌道に沿って加速する加速器である。以下、加速器39を円形加速器とも呼ぶ。円形加速器39の構造については、後で詳しく説明する。
回転部118は、筒状部材116と、筒状部材116の軸方向の両端に、周方向に沿ってそれぞれ配置された円環状のガイドレール112とを含む。回転部118は、図1の例では、中心軸117を水平方向に向けて配置されている。円形加速器39は、筒状部材116の外周面に加速器取付台114を介して搭載されている。
回転部118の下部には、回転部118の外周面の一部に接して、回転部118を支持するとともに、回転部118を回転駆動する支持台110が備えられている。回転部118と支持台110は、回転ガントリ120を構成している。
支持台110には、回転部118のガイドレール112と接する位置に複数のホイール111が備えられている。ホイール111には、不図示の回転駆動機構と、ブレーキ・保持機構が取り付けられている。回転駆動機構は、ホイール111を回転駆動すると、ホイール111は、ガイドレール112との間の摩擦力によりガイドレール112と密着して回転する。これにより、筒状部材116は、円形加速器39とノズル193を搭載した状態で回転する。また、ブレーキ・保持機構は、ホイール111の回転を停止させ、その位置で保持する。これにより、ホイール111は、回転部118を、任意の角度まで回転させることができるとともに、その角度で保持することもできるため、回転部118に搭載されたノズル193を所望の角度まで回動させながら粒子線を患者に対して照射することも可能であるし、ノズル193をその角度で停止させた状態で粒子線を患者に対して照射することもできる。
筒状部材116の回転軸117を挟んで円形加速器39と対称の位置には、カウンターウェイト115が固定されている。支持台110は、回転部118が回転した場合に、円形加速器39およびカウンターウェイト115と干渉しないようにその形状および配置が設計されている。
円形加速器39は、ビーム周回軌道面の法線方向84、すなわち、円柱状の円形加速器39の円柱の中心軸84が、回転部118の回転軸117と平行になるように、回転部118に搭載されている。円形加速器39の外形は、ビーム周回軌道面の法線方向84の長さ(厚さ)が、ビーム周回軌道面の径方向の幅よりも小さく、扁平な形状をしているため、ビーム周回軌道面の法線方向84と回転部118の回転軸117が平行となるように搭載することにより、回転部118の厚さ(回転軸117方向の厚さ)を小さく設計することができる。また、このような配置とすることにより、円形加速器39の円柱の中心軸方向(厚み方向)のほぼ中央に配置されている粒子線の出射口(貫通孔)46を、筒状部材116の回転軸117方向の厚さの中央に位置させることが可能になるため、ノズル193およびビーム輸送系85を筒状部材116の径方向に沿って配置すればよく、筒状部材116の厚み方向の外側にはみ出すようにビーム輸送系85を引き回す必要がないため、配置が容易になる。
高エネルギービーム輸送系85は、円形加速器39の粒子線の出射口(貫通孔)46に、ビーム出射経路47(図3参照)に沿うように接続され、出射された粒子線をノズル193まで輸送する。高エネルギービーム輸送系85は、加速器取付台114および筒状部材116を貫通するように配置される。本実施形態では、高エネルギービーム輸送系85は、図1に示すように、回転部118の径方向に沿って配置されている。
また、回転部118の筒状部材116の開口内には、その中心軸117と同軸であって、筒状部材116の回転に同期して治療対象の周囲を回転する筒状の移動床203が配置されている。ノズル193は、筒状部材116によって支持され、ノズル193の照射口は、移動床203よりも治療台201側の空間に突出している。移動床203は、図示していない回転駆動部により、回転部118と同期して回転及び停止する。これにより、ノズル193は、回転部118の回転に同期して回転し、治療台201上に横たわる患者の患部めがけてビームを照射することができる。
高エネルギービーム輸送系85の外周には、スキャニング電磁石192が取り付けられている。スキャニング電磁石192は、筒状部材116によって支持されている。スキャニング電磁石192は、高エネルギービーム輸送系85の中が輸送されている途中の粒子線に変調磁場を印加することにより、ノズル193から出射される粒子線を走査する。これにより、患者の患部に対して、粒子線を走査しながら照射することができる。なお、スキャニング電磁石192は、円形加速器39の内部空間に設置することもできる。この内部空間に設置するセプタム電磁石(後述)に、スキャニング電磁石の機能を兼ねさせることも可能である。
また、高エネルギービーム輸送系85の途中に、ビーム収束用の四極電磁石を配置してもよい。その場合、高速励磁可能な四極電磁石を用いことにより、円形加速器39の出射する粒子線のエネルギー変更が高速に行われる場合であっても、それに対応して粒子線を収束させることができる。
なお、本実施形態ではガイドレール112は2つとしたが、回転部118の支持強度を増すためにさらに多数用いても良い。また、ガイドレール112の内周側に、例えば図2に示すようなトラス構造の補強部材113を設置してもよい。
<円形加速器39>
次に、円形加速器39の構造について説明する。
実施形態1では、円形加速器39として、出射する粒子線のエネルギーを変更可能な構造のものを用いる。
具体的には、円形加速器39は、入射した荷電粒子を、一定強度の主磁場中で時間的に周波数変調された高周波電場を電極から粒子に印加することによって粒子を加速し、軌道半径を増加させながららせん状の軌道に沿って周回させる構造である。また、軌道を周回中の粒子に対して、加速のための高周波電場とは周波数の異なる高周波電場を高周波キッカから印加することにより、径方向外周側に偏向させて出射させる。高周波キッカに印加する電圧の強さや高周波の振幅、位相、周波数のいずれかを制御することにより、出射する粒子線のビームを制御することができる。
特に、本実施形態で以下説明する円形加速器39は、らせん状の軌道を偏心させた構造であり、高周波キッカを、らせん状の軌道のうちの出射させたいエネルギー範囲の最大エネルギーの軌道と最小エネルギーの軌道とを挟むように配置した構造である。これにより、加速したビームが所望のエネルギー(所望の軌道半径)に達するまで高周波電場を印加して加速し、高周波キッカから高周波電場を印加することにより、所望のエネルギーの粒子を径方向外側に偏向させて出射させることができる。
ここでは、円形加速器39は、水素イオンのイオンビームを加速して70~235MeVの陽子線を出射する例について説明する。
円形加速器39の外観を図3に、断面構成を図4および図5に示す。円形加速器39は、直径よりも厚さのサイズが小さい円柱状の主電磁石40によってその外殻を形成されている。主電磁石40は、真空引きされた空間51が設けられており、内部空間51がビーム周回軌道面が形成されるビーム加速領域となる。主電磁石40は、ビーム周回軌道面付近を挟んでその法線方向84(中心軸)に2分割可能である。
主電磁石40の一方の端面にはイオン源53が設置されており、低エネルギー輸送系54を通してイオンビームが円形加速器39内部に入射される。
この時本実施形態では、出射される粒子線のエネルギーを70Mev~235Mevまで大きく変更可能にするため、らせん状のビーム軌道を偏心させる。そのため、イオン源53は、図4に示したように、円形加速器の中心軸84よりも、ビーム出射経路入口82に近い位置(イオン入射点)52に向かってイオンビームを入射するように配置されている。
イオン源53としては、ECRイオン源などを適用できる。なお、イオン源は、主電磁石40内部の空間51内に配置しても良く、その場合はPIG型イオン源などが適用できる。
主電磁石40は、図5のように、主磁極38、ヨーク41および主コイル42を備えている。ヨーク41には、加速されたビームを取り出すビーム用貫通口46、内部のコイル導体を外部に引き出すためのコイル用貫通孔48、真空引き用貫通孔49、高周波加速空胴10を配置するための高周波系用貫通口50が、一対の磁極40の接続面上に設けられている。
主コイル42は、円環状であり、リターンヨーク41の内壁に沿って設置されている。主コイル42は、超電導コイルであり、コイル周囲にはクライオスタット60が設置されている。なお、主コイル42は、常伝導コイルを用いてもよい。主コイル42の内側には主磁極38が設置されており、主磁極38の表面に設置されるトリムコイル(図示せず)と共に、内部の空間51においてらせん状にイオンビームを周回させ、取出すのに適した磁場分布を形成する。
高周波加速空胴10は、λ/2共振型空胴であり、ディー電極12、ダミーディー電極13、外導体15、内導体14、外導体15、入力カプラ20および回転コンデンサ30を備えて構成される。ディー電極12は、略D字型の中空電極であり、内導体14と接続されている。ダミーディー電極13は、外導体15と接続されている。ディー電極12とダミーディー電極13との間には、空隙11が設けられている。入力カプラ20には、高周波電源25の出力する高周波を、内導体14に対して供給する。ダミーディー電極13はアース電位である。これにより、空隙11に、イオンビームを加速するための高周波加速電場を形成することができる。ディー電極12とダミーディー電極は、加速用の空隙11がイオンビームの入射点52を通るようにその形状が定められている。
また、回転コンデンサ30は、内導体14に接続された固定電極32と、外導体15に接続され、固定電極32と向かい合うように配置された回転電極33と、モータ31とを含む。モータ31により外導体15を回転させることにより、固定電極32と回転電極33との対向する面積が変化し、高周波加速空胴10の共振周波数が変わる。これにより、空隙11に印加される高周波電場の周波数が変調され、らせん状の軌道を周回するイオンビームを加速することができる。図4に示した加速間隙11の形状は、ハーモニクス数1の場合を示している。間隙11の形状は、イオンビームの軌道形状に応じて形成される。
本実施形態の加速器39においては、主電磁石40の形成する主磁場が、軌道の半径方向外周側に行くにつれ、磁場の値が小さくなり、また、設計された軌道に沿う方向(周方向)について磁場は一定となるように設計されている。これにより、設計軌道は円形となり、粒子のエネルギーが高まるにつれその軌道半径・周回時間は増大する。
よって、イオン入射点52に入射したイオンビームは、空隙11に印加されている周波数変調した加速用の電場によって加速され、らせん状のビーム軌道に沿って周回しながら空隙11を通過するたびに加速されてエネルギーが上昇するため、次第に径が大きい軌道を進む。
このとき、イオン入射点52が、中心軸84に対して偏心させているため、らせん状の軌道も、ビーム出射経路入口82側に偏心している。主電磁石40の主磁場は、イオン入射点52を中心に、軌道の半径方向外周側に行くにつれ、磁場の値が小さくなり、また、設計された軌道に沿う方向(周方向)について磁場は一定となるように設計されている。
らせん状の軌道を図8に示す。図8の周回軌道は、最大エネルギー235MeVから磁気剛性率0.04Tmおきに50種類のエネルギーの軌道を実線で示している。図8から明らかなように、軌道は、中心に近い低エネルギー領域ではサイクロトロン同様にイオン入射点52付近を中心に周回しているが、高エネルギー領域では、ビーム出射経路入口82に近い領域(集約領域と呼ぶ)では密に集まっており、内導体14に近い領域(離散領域と呼ぶ)では離散している。このように、軌道が密な集約領域をビーム出射経路入口82の近くに形成することにより、出射エネルギーが可変でありながら、ビーム取出しを容易な加速器39を実現することができる。
なお、図8において、点線は、各軌道の同一の周回位相を結んだ線であり、等周回位相線と呼ぶ。ディー電極12とダミーディー電極13との間に形成される加速間隙11は、等周回位相線に沿って設置する。等周回位相線は、集約領域から周回位相π/20ごとに図8ではプロットされている。
上記のような集約領域を設けたらせん軌道を形成し、しかも軌道周辺での粒子の安定な振動を生じさせるために、磁場強度Bおよび磁場勾配が式(1)を満たすように主電磁石40がは設計されている。
Figure 0007319846000001
ここで、ρは設計軌道の偏向半径、Bは磁場強度、δB/δrは半径方向の磁場勾配を表す。
式(1)によって定義される規格化された磁場勾配nが、0より大かつ1未満となるように主電磁石40の形成する磁場を設計することにより、設計軌道から半径方向に微小にずれた粒子は、設計軌道に戻す方向の復元力を磁場から受ける。また、軌道面に対して鉛直な方向にずれた粒子も、軌道面に戻す方向の復元力を磁場から受ける。
すなわち、粒子のエネルギーが大きくなる(軌道半径が大きくなる)につれて、適切に磁場を小さくしていけば、常に設計軌道からずれた粒子を設計軌道に戻そうとする向きに復元力が働くため、粒子は、設計軌道の近傍を振動(ベータトロン振動)しながら設計軌道に沿って周回する。これにより、安定に粒子ビームを周回・加速させることが可能である。また、加速器39のらせん状の軌道を周回している全エネルギーのビームについて、軌道面内に平行な方向のベータトロン振動数(水平チューン)は、1より小さく、かつ1に近い値に設定される。
上述の主電磁石40の主磁場分布は、主コイル42およびトリムコイルに所定の励磁電流を流すことにより形成される。主磁極38の形状は、軌道面に対して対称な形状であり、軌道面上においては軌道面に垂直な方向の磁場成分のみを持つ。
本発明の円形加速器39は、主磁場が弱収束磁場であるため、AVFサイクロトロンにおけるHillおよびValley磁場に由来する制約を受けることなく主磁場を高めることができるので、ビーム軌道の偏向半径を小さくすることが可能である。これにより、円形加速器39の直径を小さくすることができ、小型化することができる。
続いて、円形加速器39内に備えられた粒子線を出射させるための構造について説明する。粒子線を出射させるために、円形加速器39内には、高周波キッカ70、ピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45、セプタム電磁石43、上流側コイル34および下流側コイル35が配置されている。
高周波キッカ70は、図6および図7に示すように、接地電極71と高圧電極72を備え、両電極71,72は、集約領域において、出射を所望する最大エネルギーの軌道80から最小エネルギーの軌道81までの範囲の複数の軌道を挟むように対向して設置されている。また、接地電極71と高圧電極72は、軌道面内において、軌道と直交する方向に高周波電場が作用するように、すなわち、軌道を通過する粒子の軌道面内方向のベータトロン振動の振幅を増大させる方向の電場を印加することができるように、その形状が定められている。
接地電極71には、図6に示すような金属製の突起部73を取り付けてもよい。突起部73を取り付けることにより、接地電極71と高圧電極72との間に生じる高周波電場を集中させることが可能になる。
接地電極71および高圧電極72共に粒子ビームが通過する中心平面付近に、粒子の通過孔を有する。この通過孔は、高周波キッカ70による粒子ビームのベータトロン振動の振幅増大を考慮して、ビームが電極71,72に衝突しない程度の大きさに設計されている。また、高圧電極72は、高周波電圧が印加されるため絶縁して支持する。
高周波キッカ70は、ビーム出射経路入口82の近辺に配置することが望ましいが、別の場所に配置してもよい。
セプタム電磁石43は、図4に示すように、ビーム出射経路入口82の下流側に置き、ビームを出射する時にパルス励磁する構成とする。セプタム電磁石43は、1台のみではなく、複数台に分割して設置してもよい。
ピーラ磁場領域44と、リジェネレータ磁場領域45は、出射させたいエネルギー範囲の最大エネルギー軌道80の外周側であって、ビーム出射経路入口82を挟んで対称な方位角領域にそれぞれ配置されている。ただし、ビーム進行方向に対して上流側にピーラ磁場領域44、および、下流側にリジェネレータ領域45を配置する。
ピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45は、所望の多重極磁場が形成された領域である。ピーラ磁場領域44には、径方向外周側に向かって主磁場を弱める方向の磁場勾配が形成されている。これに対し、リジェネレータ磁場領域45には、径方向外周側に向かって主磁場を強める方向の磁場勾配が形成されている。これらの磁場は、磁性体製の複数の磁極片かコイル、あるいはその両者を非磁性材によって固定することにより形成されている。
高周波キッカ70により高周波磁場が印加されることにより、軌道面内でベータトロン振幅が増大したビームは、外周側に位置するピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45に到達する。
ピーラ磁場領域44に到達したビームは、軌道面の外周側に偏向される。一方、リジェネレータ磁場領域45に到達したビームは、軌道面内周側に偏向され、軌道に戻って再び周回する。これにより、ピーラ磁場領域44によって外周側に偏向され、リジェネレータ磁場領域45によって軌道面の内周側に偏向され、軌道に戻って周回する動作を複数回繰り返すうちに、ビームの軌道面の外周側への偏向幅が次第に大きくなり、さらに外側に配置されているセプタム電磁石43に入る。セプタム電磁石43によって軌道面外周側にさらに偏向されたビームは、ヨーク41のビーム用貫通孔(出射口)46を通って、円形加速器39の外に出射される。出射された粒子ビームは、ビーム用貫通孔(出射口)46に接続された高エネルギービーム輸送系47を通って、ノズル193から出射される。
よって、所望のエネルギー(半径)の軌道に到達したビームに対して、高周波キッカ70から高周波磁場を印加することにより、所望のエネルギーの粒子線を出射させることができる。
なお、ピーラ磁場領域44としては、別途コイルや磁石を配置せず、磁極端部の主磁場が減少する領域を利用することもできる。
ピーラ磁場領域44と、リジェネレータ磁場領域45の多重極磁場には、少なくとも4極磁場成分が含まれるように構成する。ただし、4極以上の多極磁場、あるいは2極磁場が含まれていてもよい。
ピーラ磁場領域44およびリジェネレータ磁場領域45には、全ての取出しエネルギー帯で加速安定性を確保するためには、多重極磁場を最大エネルギー軌道80の外周側にのみ形成する必要がある。このため、磁極片やコイルにより生じる磁場のうち、最大エネルギー軌道80の内周側に生じる不要磁場を、別の磁極片あるいはコイルを配置することにより打ち消すことが望ましい。なお、磁極片とコイルを併用する場合は、磁極片を配置するピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45とは異なる空間にコイルを配置してもよい。例えば、図4の配置のように、磁極片をピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45の中に配置するとともに、不要磁場を打ち消すための上流側コイル34と下流側コイルを、ピーラ磁場領域44の上流、および、リジェネレータ磁場領域45の下流にそれぞれ配置する。上流側コイル34と下流側コイル35は共に2極電磁石であり、上流側コイル34は主磁場を弱める向きの磁場を発生させ、下流側コイル35は主磁場を強める向きの磁場を発生させる。
<ビームの加速と出射>
図9に示したタイミングチャートを用いて、加速器39の動作を説明する。図9(a)は、高周波加速空洞10の共振周波数fcavと、高周波キッカ70によりビームに印加される高周波電場の周波数fextと、時刻tとの関係を示すグラフである。図9(b)は、高周波加速空洞10により間隙11に発生する加速電圧Vaccと、高周波キッカ70に印加される高周波キッカ電圧Vextと、時刻tとの関係を示すグラフである。図9(c)は、セプタム電磁石43の励磁電流と、時刻tとの関係を示すグラフである。図9(d)は、入射するイオンビームの電流と、出射する粒子線の電流と、時刻tとの関係を示すグラフである。
図9(a)のように、制御装置191は、加速高周波電源25へ制御信号を出力して、高周波を出力させ、空隙11に加速用の高周波電場の周波数fcavを立ち上げる。これにより、加速器39における一加速周期が開始される。つぎに、図9(d)のように、制御装置191は、イオン源53からイオンビームを空隙11のイオン入射点52に入射させる。イオンビームは、空隙11の加速用高周波電場により捕獲される。時間t1経過後にイオンビームの捕獲が終了すると、捕獲されたビームは、空隙11の高周波電場の電圧Vaccにより加速され、らせん軌道に沿って周回を開始し、周回のたびに空隙11の電圧Vaccによりさらに加速されてエネルギーを増し、外側の半径の大きな軌道を周回していく。
ビームが所望の取出しエネルギー(軌道半径)に達したら、制御装置191は、加速高周波電源25の動作を停止させることにより、空隙11の加速高周波の電圧Vaccを遮断し、そこから時間t2が経過すると加速用高周波電圧VaccがOFF状態となり、ビームの加速が中断される。それと同時に、制御装置191は、高周波キッカ70を動作させ、高周波電圧Vextのビームへの印加を開始する。高周波キッカ70の高周波電圧Vextは、高周波キッカ70が、共振器ではない構造であり、静電容量が適切な値となるように設計されているため、数μs以下の応答で素早く立ち上がる。高周波電圧Vextの周波数fextは、周回しているビームの水平チューンνrの小数部Δνrと、周回周波数frevとの積Δνr×frevと等しくなるように設定する。これにより、軌道面に平行な方向のベータトロン振動の振幅が、共鳴的に増大し続け、ピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45にビームが到達する。
ビームは、ピーラ磁場領域44を通過することにより、外周側にキック(偏向)され、リジェネレータ領域45を通過すると逆に内周側にキックされる。ピーラ磁場領域44、リジェネレータ領域45共に径方向に磁場勾配を有するので、複数回ビームが周回するうちに、キック量が次第に増えていき、ターンセパレーション(ビームが軌道から離れる距離)が増大する。つまり、2νr=2のベータトロン振動の共鳴条件を利用することで、ターンセパレーションを増大させることができる。
ビーム出射経路入口82にはセプタム電磁石43が設置されているため、ビームのターンセパレーションがセプタム電磁石43のコイル厚みを超えると、ビームはセプタム電磁石43内部へと導かれる。制御装置191は、セプタム電磁石43の励磁電流をビームエネルギーに応じた適切な電流値に設定する。これにより、粒子(陽子)ビームは、セプタム電磁石43において十分な偏向し、ビーム出射経路47へ導かれる。これにより、粒子ビームはヨーク41のビーム用貫通孔(出射口)46を通って、円形加速器39の外に出射される。出射された粒子ビームは、高エネルギービーム輸送系85からノズル193を通って、患者に照射される。
図9(c)は、制御装置191が、セプタム電磁石43をパルス励磁した場合の電流値の変化の例を記載している。つまり、制御装置191は、高周波キッカ電圧Vextが立ち上がる前までに、セプタム電磁石43の励磁電流が所定の値となるように励磁電流を供給し、ビーム出射を終えたら励磁電流を立ち下げる。
なお、制御装置191は、高周波キッカ70から高周波電圧Vextの印加を開始した直後は、高周波電圧Vextを出力可能な最大値に設定し、粒子ビームがピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45に到達する直前に高周波電圧Vextを低下させる。これにより、ビームの加速の開始からビーム出射までの時間を短縮できると共に、ビームの出射電流を細かく制御することができる。また、高周波電圧Vextを低下させるかわりに、高周波キッカ周波数fextをスイープするか、あるいは高周波の位相を変えることでも、ビームの出射電流を変えることができる。
高周波キッカ70に引加する高周波電圧Vextまたは周波数fextを制御することで、ビームの出射電流を調整することができ、該高周波電圧を印加停止すればビーム出射を停めることができるので、スキャニング照射で要求されるスポット線量を、1回の出射パルスビームで過不足なく照射することができ、線量率が向上する。また、出射後に加速器内に周回電荷が残存していれば、該高周波電圧を再び印加することでビーム出射を再開できて次のスポット照射に用いることができ、イオン源53より入射された電荷を無駄なく使用できるため、線量率がさらに向上する。
以上のような構成の加速器39を用いることにより、直径の小さな小型な加速器を構成することができる。よって、本実施形態の粒子線治療システムは、回転部118に加速器39を搭載して、回転させることが容易になる。
また、円形加速器39は、エネルギーを変更した粒子線を効率よく出射できるため、ディグレーダを用いることなく高効率に可変エネルギーのビーム取出しができる。よって、ディグレーダを用いる粒子線治療システムと比較して、出射されるビーム電流を増大させることができる。さらに、高エネルギービーム輸送系85にディグレーダの設置スペースが不要となるため、高エネルギービーム輸送系85の長さを短くすることができる。これにより、高エネルギービーム輸送系85を回転部118の径方向のみに配置することも可能になる。
また、円形加速器39は、電気的に取出しエネルギーを変更できるため、ディグレーダを機械的に移動する方式よりもエネルギー切替えに要する時間が短いという利点も有する。例えば、円形加速器39であれば、1加速周期毎に、つまりmsオーダでエネルギーを変更してビーム出射することも可能であるから、ビーム進行方向の高速なビームスキャニングが可能となる。このビーム進行方向のビームスキャニングを、ビーム進行方向と直交する向きのスキャニング機構と組合せて使用すれば、患部形状に合わせたビーム照射制御の高速化が図れるので、より短時間の照射で線量集中性を向上でき、患者スループットを向上させることができる。
さらに、照射時に回転部の回転を停止させず、回転中に連続的に照射し続ける連続回転照射と組み合わせることも可能であり、その場合は、さらに照射時間が短縮され患者スループットが向上する。
なお、本実施形態の加速器39は、らせん軌道を偏心させ、らせん軌道の集約領域において、高周波キッカ70が、出射を所望する最大エネルギーの軌道80から最小エネルギーの軌道81までの軌道を挟むように設置され、所望のエネルギーまで加速されたビームを出射させる構造であったが、本実施形態はこの構成に限られるものではない。例えば、らせん軌道を偏心させないシンプルな同心円軌道としておき、ビームが最大エネルギー軌道(最外周軌道)に達した後にのみ高周波キッカが作用するよう制御してもよい。この場合は、最大エネルギーでのビーム出射しかできないが、高周波キッカに印加する電圧、位相、周波数、パルス幅を制御すれば、出射する粒子線のビーム電流やビームパルス幅は制御できる。ビームエネルギー変更は、加速器外に置く散乱体で実施する。
実施形態1の粒子線治療システムにおいて、円形加速器39は、ビーム周回軌道面と直交する軸84方向の寸法が、ビーム周回軌道面内方向の直径よりも小さくできる。よって、本実施形態1のように、2本の円環状のガイドレール112に挟まれる円筒部材116の領域に、ビーム周回軌道面と直交する軸84が回転部118の回転軸117と平行となるように配置固定すれば、粒子線治療システムの回転部116の回転軸方向の必要寸法を小さくできる。よって、施設面積が小さい粒子線治療システムを実現できる。つまり、360度の回転角度からの照射が可能なコンパクトな治療システムが提供可能となり、治療自由度を確保しつつシステムの低コスト化が図れる。
また、本実施形態の粒子線治療システムは、回転軸118方向の治療台201の前後が大きな解放空間となるので、患者移動が容易となる。また、この空間に診断機器などの周辺機器(MRI(磁気共鳴イメージング)装置、即発γ線検出器など)を設置することも可能であるという利点も有する。
<実施形態2>
本発明の実施形態2に関する粒子線治療システムを説明する。ここでは、実施形態1と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。本実施形態の粒子線治療システムの構成を図10に示す。本実施形態は、円形加速器39か、あるいはシンクロサイクロトロン97を用いる。
シンクロサイクロトロン97は、広く知られているように、単一エネルギーのビームのみが出射される。例えば、陽子であれば最大エネルギー235MeVのビームのみが出射される。そのため、実施形態2では、エネルギーを変更して患者に照射するために、加速器の外にディグレーダ99を設置し、ディグレーダ99にビームを通すことでエネルギーを減少させる。また、ディグレーダ99を通過したビームは、散乱により進行方向と直交する向きに広がるほか、運動量にもばらつきが生じるため、散乱によるビーム拡がりをカットするコリメータ100と、運動量ばらつきを抑制するエネルギースリット101を備えている。
具体的には、図10に示すように、回転部118の円筒部材116に加速器97、ディグレーダ99、コリメータ100、エネルギースリット101を周方向に順に配置する。これらを通過する粒子線を、直管状のエネルギー輸送系185a、185b、185cを用いてノズル193まで導くため、コリメータ100とエネルギースリット101との間、エネルギースリット101とノズルの間に、偏向電磁石97、98を配置し、高エネルギービーム輸送系85を構成している。高エネルギービーム輸送系185a、185bは、筒状部材116の外周に配置されている。そして、偏向電磁石98により変更した粒子線を、筒状部材116の径方向に配置した高エネルギービーム輸送系185cによってノズル193まで導いている。スキャニング電磁石192は、高エネルギービーム輸送系185cの外周に配置している。
このような構造のシステムにすることにより、シンクロサイクロトロン97を加速器として使用した場合であっても、回転部118に搭載することができ、加速器97よりも外周側に大きく張り出すことなく、ディグレーダ99等の高エネルギービーム輸送系85を配置することができる。よって、実施形態2の粒子線治療システムは、実施形態1のシステムと同一の施設面積を実現できる。
なお、高エネルギービーム輸送系85には、図示しないが、ビーム収束用の四極電磁石を適切に配置するものとし、偏向電磁石97,98の数は必要に応じて増減してもよい。
本実施形態1,2では、治療対象として患者(人)とする例について説明したが、動物や細胞や植物等の生体であってもよい。また、治療目的以外の目的で、生体や物体に粒子線を照射する場合であっても本実施形態のシステムを用いることができる。
11…加速間隙
12…ディー電極
13…ダミーディー電極
14…内導体
15…外導体
20…入力カプラ
25…加速高周波電源
30…回転コンデンサ
31…モータ
32…固定電極
33…回転電極
34…上流側コイル
35…下流側コイル
39…円形加速器
40…主電磁石
41…ヨーク
42…主コイル
43…セプタム電磁石
44…ピーラ磁場領域
45…リジェネレータ磁場領域
46…ビーム用貫通孔(出射口)
47…ビーム出射経路
48…コイル用貫通孔
49…真空引き用貫通孔
50…高周波系用貫通孔
52…イオン入射点
53…イオン源
54…低エネルギービーム輸送系
70…高周波キッカ
80…最大エネルギー軌道
81…最低出射エネルギー軌道
82…ビーム出射経路入口
83…ビーム周回軌道面
84…法線
85…高エネルギービーム輸送系
97、98…偏向電磁石
99…ディグレーダ
100…コリメータ
101…エネルギースリット
110…支持台
111…ホイール
112…ガイドレール
113…補強部材
114…加速器取付台
115…カウンターウェイト
116…側面部材
117…回転軸
191…制御装置
193…ノズル
193…スキャニング電磁石
201…治療台
202…床面
203…可動床

Claims (10)

  1. 治療対象を搭載する治療台と、前記治療対象が内側に配置され、その周囲を回転する円筒状の回転部と、軌道半径を増加させながららせん状の軌道に沿って荷電粒子を周回させることにより加速した粒子線を出射する円形加速器と、前記円形加速器から出射された前記粒子線を前記治療対象の近傍まで導いて前記治療対象に向かって照射するビーム輸送系およびノズルとを有し、
    前記治療台は、前記円筒状の回転部内に前記治療対象を配置するように配置され、
    前記円形加速器は、外形が円柱であり、前記円柱の外周面の、中心軸方向の中央に前記粒子線の出射口を有し、
    前記円形加速器は、当該円形加速器内に入射される前記荷電粒子の入射点が、前記円柱の中心軸よりもビーム出射経路入口側に偏心しており、前記軌道が密な集約領域を前記ビーム出射経路入口の近くに形成し、前記集約領域の所望のエネルギーの軌道上の荷電粒子を前記ビーム出射経路入口からビーム出射経路に導いて、前記出射口を通して前記円形加速器の外へ出射可能であり、
    前記円形加速器は、前記円筒状の回転部の外周面に、前記円形加速器の円柱の中心軸を前記円筒状の回転部の中心軸と平行に向けて搭載され、前記回転部の回転に伴って、前記治療対象の周囲を周回し、
    前記円形加速器の前記出射口には、前記粒子線の前記ビーム出射経路に沿って前記ビーム輸送系が接続され、前記ビーム輸送系の先端には、前記粒子線を前記治療対象に向かって照射するノズルが接続され、
    前記ビーム輸送系は、前記円筒状の回転部の径方向に沿ってのみ配置されている
    ことを特徴とする粒子線治療システム。
  2. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、前記回転部の回転角度は、360度であることを特徴とする粒子線治療システム。
  3. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、前記円形加速器の出射口は、前記円筒状の回転部の回転軸方向の厚さの中央に位置することを特徴とする粒子線治療システム。
  4. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、前記円筒状の回転部の外周面の一部に接して、前記円筒状の回転部を支持するとともに、前記円筒状の回転部を回転駆動する支持台をさらに有することを特徴とする粒子線治療システム。
  5. 請求項4に記載の粒子線治療システムであって、前記円筒状の回転部は、筒状部材と、前記筒状部材の軸方向の両端に、周方向に沿ってそれぞれ配置された円環状のガイドレールとを含み、
    前記支持台は、前記ガイドレールと接する位置に配置されたホイールと、前記ホイールを回転駆動する駆動部とを含むことを特徴とする粒子線治療システム。
  6. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、前記回転部の開口内に配置され、前記回転部と同軸であって、前記回転部に同期して前記治療対象の周囲を回転する円筒状の移動床をさらに有し、
    前記ノズルの照射口は、前記移動床よりも前記治療台側の空間に突出していることを特徴とする粒子線治療システム。
  7. 請求項6に記載の粒子線治療システムであって、前記ビーム輸送系が配置され、前記ビーム輸送系の外側には、前記ビーム輸送系内の粒子線に磁場を印加し、前記ノズルから出射される粒子線を走査させる走査用電磁石が配置されていることを特徴とする粒子線治療システム。
  8. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、前記円形加速器は、入射した粒子に周波数を変調した加速用の高周波電場を印加することにより、軌道半径を増加させながららせん状の軌道に沿って周回させて加速する構造であることを特徴とする粒子線治療システム。
  9. 請求項8に記載の粒子線治療システムであって、前記円形加速器は、前記加速用の前記高周波電場とは周波数の異なる高周波電場を、前記集約領域において前記粒子に印加することにより、前記粒子の少なくとも一部を外周側に偏向させて出射させる高周波キッカを有することを特徴とする粒子線治療システム。
  10. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、前記円形加速器は、入射した粒子を加速して出射するまでを1加速周期としたときに、少なくとも1加速周期以上の時間間隔で、出射する前記粒子線のエネルギーを異なるエネルギーに変更することを特徴とする粒子線治療システム。
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